http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6189972
何せ「表層批評宣言」の蓮實重彦と映画作家の黒沢清なので退屈な一般論には堕さずに具体的な現象を掬い続けてくれる。(と言いつつ一般論を引いてしまうと)「アメリカ映画は、歴史意識を欠いたまま、ひたすら「有効」であることのみを目指していたからです。「有効」であるとは、スクリーンと向かいあう観客にとっての現在という何ともとらえがたい時間を、どう経済的に組織するかという実践的な戦略にほかなりません。」という認識を今も適用し得るアメリカ映画の健全さにはありがたくて涙が出る。
本書で収録されていた対談はどれもユリイカ誌上ですでに読んでいたのだけれど、2度目もやっぱり面白い。