ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

こら!たまには研究しろ!! RSSフィード Twitter

2009-02-01

[]まずは三択だって言うことに気づかねばならない まずは三択だって言うことに気づかねばならないを含むブックマーク

 今週もちょっと早読み『週刊ダイヤモンド』です.今回の特集は「正社員vsハケン 対立か共存か!?」と銘打っての格差問題*1.それにあわせてか「Data Focus」でも樋口美雄先生の雇用保険のカバー率低下のお話し.経済誌ということもあって,TV・新聞の派遣問題者よりも現実的な認識・解決策の模索に重点が置かれているかんじ.特集記事関連以外ではあいかわらず山崎元さんが冴えてます♪


f:id:Yasuyuki-Iida:20090201193518j:image


 囲み記事ではおなじみ湯浅誠・雨宮処凜・赤木智弘の三人のそろい踏みなんですが,なかでも注目したいところは雨宮氏の「対立をあおるのは逆効果」という主張です.湯浅氏も他のメディアで同じような主張をされることが多いように感じます.

 全くそのとおりではある*2んですが……分配の問題は必然的にパイの取り合いにならざるを得ない点を忘れてはいけない! ダイヤモンドの表紙自体がそれを如実に表しています.

 

 一定の産出量(総所得)の元でA氏の有形無形の取り分を増加させるためには……どこかから取ってこなくてはならない.実に単純な算術です.この「一定の総所得」の前提がある限り「だれかの改善」という要求は「だれかの状況悪化」によってしか実現しない.

 今のところはその「だれか」を政府だの企業だのという抽象的な対象に設定することでこの算術の顕在化を避けているようですが,政府が徴税によって支えられ,企業が株主という「だれか」によって支えられていることを考えると問題は同じことです*3.また,製造業派遣への規制緩和を仮想敵にするのはもっと不味い.この点で池田信夫氏の囲みは正しい.今回の場合では仮に製造業派遣への規制が継続されていても失職者の肩書きが期間工・正社員だっただけでしょう.問題が生じたときにすぐに規制強化に答えを求めるというのは日本における経済学の普及度の低さを物語っているといえます.


 すると格差と雇用の問題への対応には3つの選択肢しかないことがわかる.


(1)だれからも奪わないしだれも救わない

(2)だれかから奪ってだれかを救う


そして,


(3)経済成長 


この3つ.


 僕が常々残念だと思っているのは,低所得者層の生活保障の必要性を感じている論者の多くが(3)の選択肢に冷淡なところです.それどころか経済成長が現在の低所得者層の苦しい生活の原因だなんて思っている人までいる.経済成長と相対的な格差の関係については議論が残りますが*4,絶対的な貧困への唯一にして最善の処方箋経済成長なのです.

 にもかかわらず,貧困・格差論の人は(3)を推さない.そして(2)についても主張の核とはならないようだ.すると……貧困・格差論者はいろいろな現状分析はするけれど改善の提案は持たない議論に向かわざるを得ないんじゃないだろうか.これは旧来の左翼の「いろいろ言うけど何もしなかった(できなかった)」という歴史を再現させるだけな気がしてなりません*5


(追記)

 ナショナルミニマム(もしくはベーシックインカム)と経済成長についても書こうと思ったのですが,ちょっと長くなりそうなので割愛.手短に言うと,ナショナルミニマムの原資は最も非弾力的な経済活動からの税収のみでまかなうべきで制度をいじって達成することは不可能だし,出来たとしてもとんでもなく高くつくでしょう.

*1:それはさておき,週刊ダイヤモンドって毎号のように特大号な様な気がするんだけど(今回も),特大号の基準って何なんでしょw

*2:さらに雨宮氏の話は「正社員との対立」をあおるなということなのでこれには僕は全く同意ですが,でも彼らの要求の実現のためには「他の誰かから奪う」か後に説明する「成長」しかないのもまた事実なんです.

*3:企業は儲けすぎだからもっと負担をと言う議論には問題があるんだけど,それ以前に儲けすぎなんて言ってられない状況になって来ちゃいましたorz

*4:80年代以降の米国の例もあるので絶対的ではないにせよ,少なくとも長期では経済成長は多くの国で相対的な格差をも縮小させてきました.

*5:もっとも左右とわない日本の言論のダメなところかもしれない……そして僕のいわゆる言論人嫌いの原因でもあるw

hogehoge 2009/02/02 00:17 私も経済成長は大事だと思うんですけど、
経済成長って、そんなに人的な制御が簡単にできるものなのでしょうか?

上に、(1),(2)は政治の話で、合意が取れれれば人的な制御ができます(富の再分配をめぐる話なので)。

しかし、(3)は、そんなに「狙って」行えるのかわかりません。飯田先生は、トークラジオで、

>>飯田:いや実際そうで,そんな次の産業とか分かるんだったらさっさとビル・ゲイツにでも孫正義にでもなってください,大学の臭い給料もらってる場合じゃないぜ,っていう。
http://wiki.livedoor.jp/life_wiki/d/2008/9/28%c6%fc%ca%fc%c1%f7%a1%d6%b7%d0%ba%d1%c0%ae%c4%b9%a1%d7Part2

とおっしゃいました。
経済成長は、個々の産業が富を生み出すことによって成し遂げられます。
だとするなら、経済が成長するかどうか神様しか分からないが、経済成長を目指せ。という話になります。

(1),(2)の立場は、そんな不確実なことはとりあえず脇に置いておいて、制御可能な話をしている気がしますが、(3)の立場は、どこか神頼みっぽい感じがします。

先生には、何が経済成長のための、秘策があるのでしょうか?

この論の趣旨は、経済成長するな」ではなくて、「経済成長は狙ってできるかよくわからない」というものです。

人 2009/02/02 01:07 経済成長と重点的な所得再分配でGOということになると思います。

Yasuyuki-IidaYasuyuki-Iida 2009/02/02 01:27 経済成長絶望論の中心はhogeさんのおっしゃるとおり「経済成長なんてできるんかいな」という見解だと思います.この疑問は一面の真理ではある.

経済成長とひとくくりにすると見えにくくなってしまいますが,「長期的な潜在GDPを上昇させること」と「潜在GDPを達成すること」のふたつに分けて考えて見ましょう.

潜在GDP上昇のために……というと新産業を探して重点投資という考え方にいきがちですが,Lifeで言及したとおりこれは完全に不可能.そして有害な考えです.これは本号の山崎元さんも指摘されている論点です.もちろん規制の緩和や貿易の自由化などできることもある…ただしこれは効果が出るのにかなりの時間がかかる苦しい作業です.

で,日本の場合の問題は「潜在GDPが達成できていないこと」になる.要するに景気の問題.バブル崩壊以来日本が潜在的なGDPを達成できたのは2003年から2004年のごく一時期のみに過ぎません.これは多くの人が勘違いしているところですが,2000年代は方向としては改善していたけど潜在水準に到達する(水準としての好況)はほとんどなかったというわけ.つまりは「潜在的な所得獲得能力があるのにそれができていない」から「どこかにしわ寄せが来る」というわけです.

この問題については政策が出来ることは多い.何にも増して重要なのが金融政策です.90年代日本の潜在成長率は1.5-2%といわれます.これを16年にわたって実現していたら現在の日本の問題のほとんどは存在しなかったでしょう.その分全部を取り戻す……というのは不可能にしても現在の日本はその潜在水準を回復するだけでかなりの成長余力がある状態です.

小泉政権の誤りは焦眉の問題に効果が出るまで時間がかかる政策を割り当てたことです.まずは正しい方法で潜在GDPを達成すべきだった.人口減少という制約の元で潜在水準が達成されると人手不足が起きる.その人手不足を解消するために人材の再配置が進む……このルートで生じる人手不足倒産や転職は(それ自体はいつでもつらいことだけど)将来に向けての展望ある「明るい終わり」でしょう.

どんな大恐慌であれその最深刻期は1年強でおわります.その後の世界的な回復期に日本が「経済成長する」「その手始めにまずは潜在GDPを達成する」という議論が準備されていないと,ここから再び失われた10年take2が始まりかねない.そしてそれに耐えるためはもう日本には残っていないんじゃないかと思います.

あおやまあおやま 2009/02/02 01:32 >僕が常々残念だと思っているのは,低所得者層の生活保障の必要性を感じている論者の多くが(3)の選択肢に冷淡なところです.

逆の立場からすると、常々残念に思うのは、「経済成長!!!」という論者の多くが困難な生活・人生を送っている人たちの境遇に対して冷淡ところです、になるのではないでしょうか。

あくまでも印象ですが、別にみなさん経済成長そのものは否定していないのではと思います。経済成長のための処方箋が貧困層を増加させてしまうようなものならその処方箋を否定する人は多いと思いますが。

Yasuyuki-IidaYasuyuki-Iida 2009/02/02 01:41 >人さん
うん.僕もそれしかないと思う…….
>あおやまさん
なるほど.僕は相続税増税と累進の強化カバレッジが高く維持可能な水準の生活保護(またはベーシックインカム)が基本主張ですし,類似の主張をしている景気重視派は少なくないと思うんですが,類似の論者の活躍の場は主に経済誌に限られがちな点がそのような印象を作ってしまうのかもしれません.

チンチン 2009/02/02 01:48 経済成長が毎年プラスであることが良いというのは常識だ!的なことをゼミで言われました。僕もそう思います。
投資減税や税制改革とかベンチャーキャピタルとかセーフティネットとか世代間格差の解消とか色々と出来ることはあるような気がします。
そうすれば、気付けば誰かが勝手に何か起業してどうにかしてくれるんじゃね?・・・・・なんて思ってます。
大学生である僕は、これからが不安です。
政治は全く信用してませんが、国の方向性を決めるのは政治ですから不安です。

hogehoge 2009/02/02 02:44 飯田先生、レスありがとうございます。

レスの趣旨は、
1) 長期的な潜在GDPを上昇させるために、政府が新規産業の助成するは、的外れである。
2) 潜在GDPを達成するために、金融政策は大事

ということだと理解しました。
だとすると
「低所得者層の生活保障の必要性を感じている論者の多くが経済成長という選択肢に冷淡」なことはあまり問題にならないのではないでしょうか?
というか彼らが騒いだところで、金融政策は日銀が行っており、貧困問題識者の意見は、単にスルーされる。つまり経済学者にとって目障りであるが、実害は無い。

つまり問題は、識者が経済成長を軽視していることでは無くて、単に日銀がちゃんと仕事をしてないことではないでしょうか?

メディア・識者が、が(3)を問題にしないのは、(3)番目を問題にしたところで彼らの影響力が限られているからでしょう。
GDPの増大は、新規事業であれば事業家と潜在成長率達成であれば日銀に握られているので、騒いでも仕方がないと思っているのでは無いでしょうか?

財政政策であれば、識者・民意の影響力は分かるんですけど、金融政策に関して識者・民意の影響力がそんなにあるのか良く分からないです。
「経済成長という選択肢に冷淡な識者」を論破しても、日銀や金融政策を動かせるとあまりイメージできないです。

fotosintesifotosintesi 2009/02/02 09:00 はじめまして。
「経済成長による貧困問題の解決」を主張する世耕議員に対する湯浅誠の反論が下記でご覧になれます。まだ、世の中が『好況』と呼ばれていた頃の議論です。

■ワープア問題でもやいの湯浅誠が世耕弘成にぶちぎれ - http://montagekijyo.blogspot.com/2008/05/blog-post_24.html

「僕が常々残念だと思っているのは」以降にお書きになっていることは、どうも古くさいサヨクイメージのステレオタイプに見えます(共産党とか伝統キープしてるかもしれませんが)。少なくとも今、市民運動レベルで活動している人たちはもっと現実的成果を目標にしているように思います。

ただ、レーガン政権下でもサッチャー政権下でも空しかった「トリクルダウン」に幻想を持っていないだけだと思います。

>絶対的な貧困への唯一にして最善の処方箋は経済成長なのです

それと同じことをアフリカ諸国の1日1ドル以下で暮らす人に言ってみても「ナンミョウホウレンゲキョウ」以上の意味を持たないでしょう。

経済成長を期待するのはもちろんだけど、それは「貧困・格差論の人」にはとりあえず今、具体的になにもできないでしょ。別に妨害する気もないと思う。むしろ協力や話し合いを避けて、いきなり急ブレーキをかけるようなことをしたのは企業経営者たちですよね。

経済成長の為に具体的な施策が出来るのは大企業の経営者や、大きなお金を動かせる政治家。「貧困・格差論の人」が出来ることは目の前の貧困者が野垂れ死にせず、できれば社会に包摂される手助けをすることです。

(2)だれかから奪ってだれかを救う

基本的に考えているのは(4)だれかから少しだけ分けてもらってみんなを救い、景気回復を待つということなんじゃないですか。

Yasuyuki-IidaYasuyuki-Iida 2009/02/02 10:25 まず僕は別に湯浅氏&雨宮氏の活動を批判するつもりはないんですよ.第一もっと運動が盛り上がってくれないと中道派の意見はぜんぜん通らないわけで.特に両氏の活動は旧来の左派勢力にルーツを持たないという意味で面白いのに意外と思考が旧来の左派に結構近いとこが多いのにびっくりしたというのが正直な感想です.

>hogeさん
実は日銀ってものすごく世論に敏感です.日本の場合不思議な独立性の維持という目的がありますからなおさらのこと.「成長できない」「とにかくインフレ嫌」が世論の中で支配的になると日銀は文字通りそれにしたがって行動します.それを避けるために通奏低音としての経済環境全体の改善が必要でそれが可能だとう世論は本当に必要なんです.

>fotosintesi
>それと同じことをアフリカ諸国の1日1ドル以下で暮らす人に言って
>みても「ナンミョウホウレンゲキョウ」以上の意味を持たない
世界の絶対的貧困の減少はそのほとんどが成長によって達成されています.先進国のそれ以上に生存水準以下の
貧困に対しては経済成長しか処方箋がない.

>(4)だれかから少しだけ分けてもらってみんなを救い
なんですが,数百人だったら確かにそれは可能ですね.でもワーキングプアの人数は「少しだけ分けて」ですむような規模ではないです.

junajuna 2009/02/02 10:38 夕べのNHKスペシャルで成長著しいサンパウロが取り上げられていましたが、その中でブラジルのルーラ大統領は「経済成長こそが最大の貧困対策だ」と強く訴えてましたね。
ルーラ大統領自身も貧困層出身だとか。

fotosintesifotosintesi 2009/02/02 11:50 >世界の絶対的貧困の減少はそのほとんどが成長によって達成されています

もちろん経済成長、というか、そこに住む人全員が食っていける規模の経済があることが必要条件なのですが、
同時に、適切な再配分が同時に行われる場合です。
しかし、世界はあまりにも複雑で入り組んでいるし、必ずしも「神の見えざる手」は公平ではないので、成長が同時に大量の貧困を生産したりします。アフリカなどでは、資源に恵まれた国ほど貧困問題が深刻なことをご存じですよね。あるいは、「ダーウィンの悪夢」という映画をご覧になったでしょうか?
貧困の議論をするなら複雑系のこともやはり織り込む必要があるのではないでしょうか?
ついこないだまで、大好況と呼ばれていたのに、なぜ貧困が進行していったのか?

マクロの経済問題はとても大切なのですが、それだけで貧困問題は解けないと私は思います。
戦争に例えれば、全体の戦略はとっても大切だけど、今、目の前にいる傷病兵の命は急いで救わなければいけないし、もっと言えば、戦争が始まる前に、野戦病院の体制をもっと整えておく必要があったのです。


>意外と思考が旧来の左派に結構近いとこが多いのにびっくりした

私にとって旧来の左派とは、「評論家的で、原理に反すれば何でも反対で、分析ばかりで、現実的成果をもたらさない」という日本独特のスタイルを想定するのですが、湯浅氏らの活動は、ヨーロッパの市民運動にかなり近いと思います。実際、湯浅氏らは、政治や行政、そして世論を動かしつつあります。野党が束になっても実現できなかったことをやってます。また、東京都や自民党内部にも食い込んでいます。
もし、彼らに経済学的理論武装が足りないとお感じなら、むしろ、ご自身から参加を申し出たらいかがですか?

(4)だれかから少しだけ分けてもらってみんなを救い、景気回復を待つ

月並みですが、ワークシェアリングのことをいたつもりです。私自身、ヨーロッパで会社経営に携わったことがあり、普通に機能しているのを見ていましたので…。

Yasuyuki-IidaYasuyuki-Iida 2009/02/02 13:18 いきなりブクマが激増しているので田中さんすげぇ・・・とおもいきや小飼さんが言及してくれているんですね(田中さん失礼w).小飼さんの言うとおり僕も(2)はあり……そしてそれは引退世代から現役世代へという形だと思う.webではともかく一般社会では一番政治的に困難ですが……

>資源に恵まれた国ほど貧困問題が深刻
資源埋蔵量と国民所得は余り相関がありません.シンガポールとそして日本が典型ですが.どんなに資源があっても付加価値生産が少なければ所得は小さく,貧困・格差にいきつきます.

>月並みですが、ワークシェアリングのこと
あぁ.それなら納得です.ワークシェアリングはやり方しだいでは非常に有益なものになる.ワークシェアリングとは経済学的には何なのかについては次の週末にでもエントリ立てたいと思います.

とんぼとんぼ 2009/02/02 13:25 世の中には「経済成長」という言葉に不安を抱く人もいるかもしれません。なんか未知の世界に突入するみたいな言葉なので。しかし一方で「高度成長期が日本のあるべき姿だった。ああ古き良き日本」なんて矛盾した意見も同時に出るのが不思議な所。

高度成長期というものは、「太平洋戦争において日本が焦土となった事」「無条件降伏により、国際的な経済交流を再開させることができたこと」といったような莫大な犠牲を払った上でなし得た事だと思います。今が酷い時代で、高度成長期が「古き良き時代」だと思う方々は、もう一度「莫大なる犠牲」を払って「経済成長」をする覚悟でもあるものでしょうか。

toolisugaritoolisugari 2009/02/02 17:39 >>僕が常々残念だと思っているのは,低所得者層の生活保障の必要性を感じている論者の多くが(3)の選択肢に冷淡なところです.

 私も同意ですね。というより、彼らは経済成長という考えそのものにアレルギーを感じているような気がしています。それは、実際に議論していて気づいたことですが。ですから、一部に共産革命の発想すら出てきてしまう。もっと、経済に対しても敏感であるべきだと私も思っています。でなければ選択肢の幅が狭くなってしまう。そのあたり、経済学者をはじめとする専門家がもっと彼らと対話するべきだとも思っています。

>>また,製造業派遣への規制緩和を仮想敵にするのはもっと不味い.この点で池田信夫氏の囲みは正しい.今回の場合では仮に製造業派遣への規制が継続されていても失職者の肩書きが期間工・正社員だっただけでしょう

 まあ、規制緩和が本当に経済的に必要だったのかどうかは実はきちんと検証されているかどうかといわれると微妙な気も私個人的にはしていますのでこのあたりには容易には賛同しにくい面もあります。もっと、問題だと思うのは、池田氏のブログに解決策として大学や大学院のしくみを改めて、労働者の再教育機関として位置づけ直すことです。私は別にこれ自体に関して否定するつもりはありませんが。その教育された労働者をきちんと社会に生かす仕組み(特に中途採用の市場)に言及していないところだと思います。また、正社員・派遣社員双方に言えることですが、勉強するにはお金とともに時間も必要ですよね。そうした場合、正社員も派遣社員も忙しすぎて時間がない場合再教育のための余暇をどうするのかこの辺りにも焦点が当たっていないような気もしていささか現実味に欠けると思っています。

くろくろ 2009/02/02 22:33 論旨にはまったく賛成です。ただ、やっぱり誤解されてる方も多いように見受けました。
(1)と(2)はどちらかの選択になりますが、(3)は(1)あるいは(2)のどちらとも独立で実行できることを強調された方がよいように思いました。
(3)があれば(2)ないし(1)は後回しでよい、と読んでいる人が結構いるように思えました。
経済成長絶望論についてももう少しだけ筆を延ばしていただけるとわかってくれる人も多かったのではないかと思いました。2000年代において一応経済成長そのものはしているのに労働者に配分されていない、という意見を散見いたしましたが、おっしゃりたいことはその成長率さえ足りていない、ということかと思います。コメントでお書きになられていますが。
(2)が最優先とおっしゃる方には世界経済全体だと日本人のほとんどは「奪われる」側になることをあまり考えていないように思いました。世界経済全体を考える必要はない、となりますと、どこまで細分化されるかという議論になるのは必然で、結局現在がその結果となって現状を容認することになるかと思います。

少し話題はかわりますが、企業の内部保留で企業が叩かれていますが、内部保留があればこそ、それほど倒産がないのだと思っています。つまり、経営に日本のマクロ経済運営への信頼がほとんどなく、常に自衛モードに入っているのだな、と。個別の経営を叩いてすむ話ではないと思います。

庶民庶民 2009/02/02 23:08 > 低所得者層の生活保障の必要性を感じている論者の多くが(3)の選択肢に冷淡なところです.
> それどころか経済成長が現在の低所得者層の苦しい生活の原因だなんて思っている人までいる.

それは、「経済学者や経済アナリストにまんまと騙された過去があるから」です。
「経済学者は詐欺師の手先である」
「経済学者は裕福層に金を貰って、裕福層に都合のいいことだけを言って庶民を騙そうとしている」
「経済学者や経済アナリストは、美味いことを言って庶民を騙す、極悪非道の輩である」

と思われているからです。

では、なぜそう思われているかというと、
「経済成長」を口実に、「人間としての尊厳を奪われ、より困窮した状態にさせられた」
という認識があるからです。

少なくとも、庶民の感情としては、
「裕福層の手先となった経済学者によって、自分たちの人間としての尊厳が失われた」
という感情があります。

「日本人は経済学の程度が低い」などと他人を馬鹿にするヒマがあったら、
「自分たち経済学者が過去にどんなことを庶民に語り、どんな結果になったか」
を総括してみたらどうですかね。

Yasuyuki-IidaYasuyuki-Iida 2009/02/03 00:02 >とんぼさん
昭和回帰路線(?)については僕も非常に疑問です.高度成長期が明るく言い社会だったと感じる人が多いのは……「同時代のサバイバルで生き残った人しか(少なくともフォーマルセクタには)生き残っていないから」なんじゃないかさえ感じます.

>通りすがりさん
大学・大学院はこれまで知的好奇心にも専門訓練にも答えるような教育を行ってこなかったのでいまさらなにを感があるのは否めません.その意味でいきなり大学を見直せと言うのは無理筋だと思う.これは制度を維持ってどうなるもんではなく,労働市場の流動性向上の結果として変わるもんなんじゃないかと思います.

>くろさん
>経済成長絶望論についてももう少しだけ筆を延ばしていただけると
>わかってくれる人も多かったのではないかと思いました。
僕も全く同じ感想でして,さっき次のエントリを書きました.まだこのエントリへのコメが伸びているのでそれがおわったら公開しますね!

内部留保については(自画自賛ですが……)そのニュースについて即日のTBSラジオで「企業の危機意識の表れで,それ自体をせめてはいけない」とコメントしました.で,企業の心配の通り経営環境は「崖から落ちるように」悪化している.これは大体の人が気づいているようで,一瞬盛り上がった「内部留保あるのに派遣ギリなんて!」という議論は,さすがに,どこでも聞かれなくなったように感じます.

>庶民さん
そう言うシニカルな感想を聞くことが多いですが,経済学者・エコノミストにもいろいろいるということを知っていただければと思います.これは政治家にも市民運動家にも医者にも弁護士にも公務員にもいろいろいるのと同じ話です.精算主義(不況に耐えること)が有害無益であることは僕は少なくとも8年前(ネットも含めて世の中に公表される意見を書き始めた当初)から……岩田規久男先生なんかは20年近く前から言い続けているし,けしてそれがごく一部の意見だったわけではありません.経済学(の思考法)をもうちょっと知ってくれと言うのは,世論を左右する重要局面でたいてい世論は経済学的な根拠の薄い方(そういう主張をする人)に流れているように感じられてならないためです.

庶民庶民 2009/02/03 00:25 >飯田さん
シニカルとかそういう問題ではなく。
「経済学者といっても色々いる」とかそんな分かりきったことではなく。

「(3) 経済成長」を口実にして、
「(2')+(1') 自分たちから奪われ、誰も救われない」
という現実にされた、という実感が庶民層にはある、
という現実を見たほうが良いのではないでしょうか。

しかも、それを主導した経済学者や「経済通」の人は、
今まさに飯田さんが主張していることをそのまま過去に言っており、
それに異を唱えた者には、飯田さんと同じ様に
「経済学の知識がない」「経済学に関する程度が低い」
などと嘲っていた、という記憶が強くあるわけです。

「詐欺師や裕福層の手先に騙された」人が、
「詐欺師と同じことを言う人」のことを信じないのは当たり前ではないでしょうかね。

「日本人は経済学の程度が低い」と他人を笑うヒマがあるのなら、
自分たちの仲間が過去になにを言っていたか、その結果がどうなったのか、
徹底的に検証してたらどうでしょうかというのはそういう意味です。

通行人通行人 2009/02/03 08:28 >庶民氏
貴方のいう「詐欺師や裕福層の手先」たる経済学者って誰のこと?白衣を着た人をみな医者だと思って白衣を着た自称専門家に騙されたとしても、まっとうな医者に向かって「お前たち医者は詐欺師の手先だ」と言われても、まっとうな医者は困る。あなたがいつから庶民の代表としてモノを語れているようになったのかは知らないが、「経済学者や経済アナリストにまんまと騙された過去がある」それを飯田先生に向かって「検証せよ」というなら、まず、あなた自身の方から、その経済学者が誰なのか、どのように騙されたのかを示すのが筋では?

toolisugaritoolisugari 2009/02/03 11:31 >>通行人さんや庶民さんへ
一つのエントリーに2回コメントを出すのは本意ではありませんが、ご了承ください。

 その上で、コメントをいたしますと。別に詐欺師かどうかは別として、彼らの考えをうのみにしたばかりにと小泉改革に賛同したことを後悔した人が結構多いと思います。彼らが本当に騙す意思があったかどうかは証明が難しいので置いておくとして「騙された。」という感覚があるのも事実なのではないでしょうか。憶測で申し訳ないですが、「騙した経済学者」に●應大学教授の竹●氏や東●大学教授の本●氏だと思いますが。彼らがテレビで経済の素人などの反論にわかりやすく説明するというよりある種高飛車な姿勢で答えていたのも事実だと思っています。

 そして、今になっても有権者に対して釈明や説明もないような中では信用しろというのも無理な気もします。ですので前回のコメントの際も「経済学者をはじめとする専門家がもっと彼らと対話するべきだ」と書いた背景もまさしくその一点です。

>>自分たちの仲間が過去になにを言っていたか、その結果がどうなったのか、徹底的に検証してたらどうでしょうかというのはそういう意味です。

 その検証をマクロ経済学者の飯田さんに求めるのは筋違いな気もしますが。しかし、経済学者の世界から何らかの意見表明はあってしかるべきだとは個人的には思っています。とりあえず、この経済軽視という現状は市民活動をしているグループにとって良くないとは思っています。そのあたりの誤解は早急に解かれることを期待しています。

JULYJULY 2009/02/03 13:17 経済のど素人の素朴な疑問なんですが、

「人口減少という制約の元で潜在水準が達成されると人手不足が起きる.その人手不足を解消するために人材の再配置が進む」

って、本当ですか? 人手不足を解消するために、国内の労働者の再配置が進む、とは限らないような気が...。IT 業界の流行言葉なら「オフショア」したり、介護の現場で始まった外国人労働者の受け入れだったり。

国内で「閉じている」と考えると再配置で最後には救われる、というのは分かるのですが、再配置で吸収される労働力が海外へ出て行って、国内の労働者は取り残される、ということはないのかなぁ。

Yasuyuki-IidaYasuyuki-Iida 2009/02/04 00:33 もちろん人手不足になると仕事そのものが海外に出て行くことは多いです.しかし……日本の労働者には特別な人的資本があります.ただし,それは日本スゴイ論みたいな話じゃない(今では日本の労働者の能力が欧米の労働者に比べて特に高いということはなくなってきています).日本人の特殊能力は「日本語のネイティブスピーカーなこと!」です.これは海外の労働者に対してものすごく高い参入障壁になってくれている.サービス業は輸入できません.そしてサービス業では日本語ネイティブであることのアドバンテージが大きい.したがって国内の労働者は十分にその果実にありつくことができるでしょう.