レセプト完全オンライン?

厚生労働省はレセプト(医療報酬明細書)の完全オンライン化を進めることにしたそうです。期限は驚く無かれ2010年度末が目標だそうで、いまからたったの5年しかありません。メリットは「オンライン化で医療費の誤った請求や無駄遣いをチェックしやすくなるほか、病気の傾向を分析して保健指導に役立てるなどの取り組みも可能になるとされる。」だそうです。

当然それだけの機器を導入するには少なからぬ費用が発生するのですが、「整備を経済的に後押しするため、導入した医療機関は診療報酬で評価することも検討している。」とのことですが、診療報酬削減の嵐の中、雀の涙程度以上のものを期待するのは難しく、ほとんどは診療所・病院が自前で準備する以外の方策は無さそうです。

それにしてもオンライン化を推進している、政府のIT戦略本部や規制改革・民間開放推進会議というのがどうにも信用できません。オンライン化となると当然全国数万の医療機関はレセコンを更新せざるを得なくなります。零細のうちのような診療所でも200万弱ぐらいは必要です。もっと規模の大きいところでは数千万が必要となるでしょう。これが5年のうちにすべてが買い換えたら莫大な需要が生じます。さらに診療所だけではなく審査センターもすべて機器を更新する必要があります。これは数十億程度では足りませんし、これもまた全国にあります。

これだけの莫大な需要で誰が儲かるか、まず医療機関はほぼ一方的な持ち出しでほとんどメリットはありません。利益を生み出すのは膨大な需要を満たすパソコンメーカーです。また医療機関もこの負担に耐えられるところばかりではなく、借金をせざるを得なくなるところも少なからず出てきます。その資金需要で潤うのは金融機関です。潤う関係者が集まって議論した結論に胡散臭いものをどうしても感じてしまいます。

まあ正式に決まれば嫌も応も無く従わなければならないでしょうし、従わなければ商売が出来ませんからシブシブでも導入せざるを得ませんが、美名の下に隠れた火事場泥棒のような気がしてならないのは私だけでしょうか。