新小児科医のつぶやき

2006-04-18 医師逮捕起訴は県警本部長賞もの

警察の仕事は治安を守る事です。もう少し単純に言えば犯罪を取り締まる事です。もっと簡単に言えば犯人を捕まえることです。少なくともそういう役割を国民は警察に期待しています。警察も重罪人を捕まえるほど価値は高く、その価値の評価は素人でも知っている「警視総監賞もの」という言葉で表現されます。

ところで逮捕される容疑者ですが、逮捕時点で確実に犯罪者である事が間違いない者はいます。たとえば大阪の附属池田小乱入事件の犯人であるとか、オウム事件の麻原彰晃などもそれに近いかと思います。一方で逮捕時点ではシロかクロかはっきりしない者もいます。そういう容疑者も取り調べ時点で容疑が確定する者もいますし、取り調べ段階でも判明せず、公判によって罪状が確定する者もいます。

麻原彰晃を例に出しましたが、麻原も厳密には係争中です。逮捕時点で間違い無く罪人であるのは現行犯逮捕でしょう。それ以外は容疑があると言うだけで訴訟の場で決着がついて初めて警察の功績であると考えます。それでは定義が狭いというのなら、逮捕時点で99.9%誰が考えても犯人であると推定されるものは含まれても良いと考えます。

間違っても逮捕起訴されただけではまだ容疑者は罪人かどうか確定してないのです。この辺の色合いはケースが多様で一概に規定し切れませんが、個人的には訴訟の場において罪状を否認している場合にはまだ単なる容疑者にしか過ぎないと考えます。私は警察の逮捕が功績と認められるのは、逮捕起訴して訴訟の場において容疑者が罪状を認めたケースと、結審して有罪が確定したケースだと考えます。

有罪か無罪かを係争中の容疑者に関しては、当然無罪になる可能性を有しているわけであり、逮捕起訴時点で表彰すれば、後日逮捕した容疑者が無罪となり、冤罪事件として問題となる可能性を有していると考えます。つまり罪無き人を逮捕し、訴訟の場に縛りつけ、社会的制裁を自由に加えられる状況を作り上げ、長年にわたり精神的に苦しめる犯罪行為に加担したと言う事です。

そんな表彰は統制主義、封建主義の警察において大きな失態であり、厳に慎まなければならない行為であると考えます。私は警察関係には知人はほとんどいませんから、この辺の表彰規定について詳しいとは言えませんが、表彰までして礼賛した逮捕が、冤罪であると言う失態が起こる可能性のある行為は、警察と言う組織としては極力慎まなければならないはずです。

福島の産婦人科医起訴逮捕事件は、世間はともかく医療界では深刻な論議を呼び起こしています。医療のプロとも言うべき医師は真摯な議論の末、分かるだけの情報を分析し、逮捕された医師に犯罪的行為が無かったと判断しています。医学界が一医療事故に対して、これほど多くの医師が診療科の枠さえ超えて検証したことは前代未聞です。それでも結論は無罪です。ごく一部の医師が異論を唱えるかもしれませんが、産婦人科集団の最高権威である産婦人科学会も無罪であると公式表明しているほどの事例です。

当然どう贔屓目に見てもこれから訴訟の場において有罪無罪が激しく争われるはずです。またこの事例は既に訴訟の場における法律論議だけではなく、立法府たる国会でも社会問題として取り上げられています。つまり有罪か無罪かについて最終決着はまだまだ不透明であると言う事です。医師としては100%潔白と信じていますが、訴訟の場に移った以上、軽々しく絶対無罪と断言するのだけは控えてもです。

ところが福島県警の見解は相当異なるようです。ある産婦人科医のひとりごと氏のブログに掲載されていますが、福島の産婦人科医起訴逮捕事件に対し表彰が行なわれたとの事です。それも県警本部長賞だそうです。県警の表彰規定を調べたのですが、県警レベルで2番目ぐらいに重い表彰だそうです。

県警はその逮捕が誤認であろうが、冤罪であろうが逮捕起訴しただけで表彰する組織なのでしょうか。表彰とは結果に対する功績の評価であり、司法組織における結果とは有罪が確定する事だと私は考えます。これが逮捕起訴さえすれば表彰である感覚に驚きます。その後、訴訟の場でどうなろうとも警察は関係ないし一切責任を取らないと宣言しているような行為です。

福島では医者に難癖をつけて逮捕起訴すれば県警本部長賞として表彰されるのです。それも本当に罪人であるかどうかの結論は不要の地であると言う事です。医師の皆様、福島は通過するのにも十分ご注意ください。福島の警察官が総出で鵜の目鷹の目になって、医師を逮捕して県警本部長賞にありつくためにあなたを狙っています。彼らは逮捕起訴できれば出世できるのです。日本にこんな危険地帯が存在するとは思いませんでした。

怖ろしい、怖ろしい。

MidnightMidnight 2006/04/18 21:52 もし仮に医療ミスだったとしても故意ではなく過失、医療ミスでなかったら・・・。その後、次々と凶悪な犯罪を重ねる可能性など皆無の方を逮捕して表彰ですか。どの業界でも市民感覚とのずれというのは多少はあると思いますがここまでくると言葉がないですね。

ゴンだぬきゴンだぬき 2006/04/19 08:23 毎日拝見しております。福島の件、まさに先生ご指摘の通りです。
そもそも福島県人は民度が低くて有名なのです。実例を挙げましょう。
2004年の泉崎村立病院医師撤退問題です。そもそも医師が居なくて困るという窮状を見かねて僻地医療の経験のあるドクターが着任されました。着任時に当直は週に1回という約束だったのに連日となり、外来は毎日100人、ドクターは自分ひとりなのに入院患者70人だったとか。そのうえ、田舎モノというのは図々しいものです。まともな診療時間に受診せず、夜中といわず朝方といわず電話で呼びつける始末。
興味深いのが村長で、「院長のため病院そばの院長用宿舎を450万円かけて改修し、引越しの支度金100万円を用意した」とか威張っていました。宿舎や引越し代は経費で村が払うの当たり前でしょ?

私も若い頃、村とか行きましたが、医者が思ってるほど感謝なんてしてませんよ。「医者だから金がある」と思い込んで、勤務医から冠婚葬祭のたびに金をせびる、往診に呼びつける、最悪です。

心あるドクター、家族のいるドクター、臨床能力が自分はあると思うドクターは福島県から脱北しましょうよ。いつまでバカにされてヘコヘコ媚売ってるんですか? そういう医者はknee down doctorと呼ぶんですよ。
医療はサービス業だなどとカテゴライズしたことにも問題があると思います。

某T田綜合病院循環器科では、T京大学、N潟大学の循環器科が撤退したため、F島大学だけでは到底、回せないので、現在では研修医が本見ながらカテやってるという噂を草の者達から聞きました。

もう一度言いますけど、不当逮捕・冤罪になりたいドクター以外は福島から撤退した方がホントに良いと思いました。

YosyanYosyan 2006/04/19 11:20
>Midnightさま

逮捕された容疑者が起訴された時点で表彰するのが、今回だけの例外事象なのか、それとも慣例なのかはわかりません。もし慣例であるなら怖ろしい慣例で、一般感覚から相当乖離したものと言わざるを得ません。医師逮捕起訴が凶悪犯逮捕に匹敵するぐらいの大手柄であるとの警察的認識であるなら、慣例なら日本では医療は行なえませんし、福島での例外的事象であるなら、福島県での医療は不可能となるでしょう。

>ゴンだぬき先生へ

泉崎村事件は2ch程度の知識ですが私も存じております。ただし福島県全体の民度がどうかの問題となると、神戸に住んでいるため、あまりに縁遠くて即断はややしづらいところはあります。ただし警察はかなりトンデモである事は、私も含めて全国の医師に深く刻み込まれた事だけは間違いないと思います。

にゃごんにゃごん 2006/05/05 15:37 はじめまして、私は福島県内の病院に勤める、医療事務員です。自分が勤める病院は、常勤医師が3月までは、内科医3名、外科医1名、眼科医1名で、80床の中小病院です。4月からは内科常勤医師が1名減って、しまい週のほとんどを、福島県立医大からの応援でまかなっています。
でも、福島県だからといって、冠婚葬祭のたびに金をせびるとか、往診に呼びつけるとかはありません。併設の訪看をやってる患者に対しては、往診に行きます。それは、地域医療を考える上では、当然のことと思います。
 ゴンだぬき先生はどのようにお考えになっているかわかりませんが、福島県内でも、必死に医療を行っています。(私は事務ですが)患者の中には確かに困った患者もいたりしますが、少し、考えて下さい。福島県でも医療が必要な患者はいるのです・・・。確かに福島県警の対応には同じ福島県人として恥ずかしく思います。

少し、興奮してしまい、すみません。このブログを見つけて、興味深く読ませていただいたのですが、同じ福島県人として恥ずかしいけど、やはりうちの医師の頑張りを見ているので・・・。

乱筆乱文ご容赦下さい。

YosyanYosyan 2006/05/06 14:56
>にゃごん様

ゴンだぬき先生もつい筆が滑りすぎたのでしょう。私も福島県警の対応は医師として許しが痛いものとは考えていますが、福島県警の警察官個人々々のすべてを憎んでいるとか、許しがたいと考えているわけではありません。同様に福島県警が許しがたくても、福島県人を許しがたいとも考えてはいません。組織と個人は関係ないですからね。

泉崎村事件は2chでおもしろおかしく取り上げられていましたが、どこの都道府県でもあの程度の事は起こりうることであり、あれが全県民性を象徴しているとは私は考えていません。たまたま大野事件と連動するような形になったため騒がれていますが、この手のブログや掲示板でも、ごく一部を除いて福島県人まで目の仇にするような意見は目にしていませんから、それほど深刻に考えなくても良いと思いますよ。