新小児科医のつぶやき

2007-03-15 15人のユダ書・小児科編

予算委員会柳沢答弁の聖典に用いられた厚生労働省御謹製の「15人のユダ書」(医師の需給に関する検討会報告書)より小児科編注釈をお届けします。まずはこの書の成立に関わった15人の名前から、

池田康夫慶應義塾大学医学部長
泉 陽子茨城県保健福祉部医監兼次長
内田健夫社団法人日本医師会常任理事(第13回〜)
江上節子東日本旅客鉄道株式会社顧問
川崎明徳学校法人川崎学園理事長、社団法人日本私立医科大学協会長
小山田恵社団法人全国自治体病院協議会長
水田祥代国立大学法人九州大学病院長
土屋隆社団法人日本医師会常任理事(第1〜12回)
長谷川敏彦日本医科大学医療管理学教室主任教授
古橋美智子社団法人日本看護協会副会長
本田麻由美読売新聞東京本社編集局社会保障部記者
矢崎義雄 (座長) 独立行政法人国立病院機構理事長
山本修三社団法人日本病院会会長
吉新通康東京北社会保険病院管理者、社団法人地域医療振興協会理事長
吉村博邦北里大学医学部教授、全国医学部長病院長会議顧問

まずは小児科医の数の動向です。3項目分引用します。

小児科については、平成16年医師・歯科医師・薬剤師調査では、14,677人と平成14年調査に比べ、約200名増加している。病院に従事する医師は、この間に8,429人から8,393人と約40人減少しているが、各年齢階級における病院に従事する医師の割合の変化は明らかではなく、臨床研修制度の開始により診療科に従事する医師の就職が遅れた影響がうかがわれる。

新たに小児科を志望する医師の動向については、この数年、増加傾向にある。平成16年医師・歯科医師・薬剤師調査では、臨床研修制度の開始直前の平成15年に医師となり、小児科に従事している者は556名であった。これは平成15年に医師となり、医療施設で勤務している医師全体の7.7%に当たる。

平成18年3月に実施した「臨床研修に関する調査(中間報告)」においても、臨床研修2年次生で研修修了後の進路を決めている者のうち、約8%が小児科を志望しており、ここでは減少する傾向は認められない。

基礎資料に当たれば良いのですが、この書の中からあえて類推します。ここで書かれている小児科医の数の良そうですが、

  1. 平成14年から16年に小児科医は約200人増えた。
  2. 勤務医は約40人減少しているが新研修医制度の影響だろうし、どの年齢層が減ったかは不明である。
  3. 平成15年には小児科医になったのが556人であり、同年に医師になったものの7.7%である。
  4. 平成18年調査でも研修医の小児科志望者は約8%あり減少傾向は見られない。

この書でも書かれているように平成16年から新研修医制度が始まっています。2年間の集計とは平成14年の小児科医数に対して、平成15年と16年の増減を表したものです。平成15年はこの書にもあるように新卒で小児科医になったものは556人ですが、平成16年は実質ゼロです。小児科は他の診療科から転向してくる医師の数は誤差以下と見なしてよいかと考えます。

そうなると2年間で新規に小児科医になったものは556名。このすべては勤務医になったと考えてよく、これが約40人減ったという事は約600人が勤務医を辞めたことになり、1年で約300名です。また約200人増えたとありますから、これもまた約350名が小児科医自体を辞めた事になります。この書に使われる統計に年齢上限はありませんから、これもまた素直に死亡したと考えられ、1年間で約175人となります。この書で用いられた統計は平成15年と16年の増減ですが、これがもう1年ずれればどうなっていたか。減少数は大差が無いと考えられ、勤務医は約600人減少したことになります。40人と600人、統計の取り方で印象はずいぶん違うものです。

ここからわかるように小児科医の増減は研修医のアンケートを信じるならば、年間550人程度の新規の小児科医が誕生し、300人が勤務医を辞め、175人が死亡している構図となります。新研修医制度の影響により穴が空いた分の600人は、頭数だけで言えば3年弱で回復する事になります。ただ頭数は回復するかもしれませんが、新卒医師の教育体制もまた大いに弱体化しているわけであり、新卒小児科医に従来のような教育体制を組めるかは問題です。教育体制が弱体化すれば新卒医師の戦力化もまた時間を要する事になるからです。

ここで気になることが書かれています。このシリーズは一昨日が麻酔科、昨日が産婦人科でした。どちらの診療科も深刻な人手不足なのは有名ですが、この両診療科については新研修医制度の影響については全く触れていなかったのです。小児科だけ減少理由に新研修医制度の影響を引っ張り出してきた点に関し妙に引っかかるのは私だけでしょうか。

続いて小児救急医療について語られます。

小児科については、対象年齢の受療率の低下が見られるなど、少子化と相まって、全体としての医療の必要量は低下傾向にあるものの、核家族化の進行、共稼ぎ家庭の増加等にも起因して、休日や夜間の救急受診が増加し、さらに専門医志向も伴って、小児救急医療を実施する特定の病院への患者の集中など、患者の受診行動が変化している。これらの休日夜間における小児患者の9割以上は入院の必要がない軽症の患者であり、救急医療の対象者となるものは限られているのが実情である。

こうした傾向に効率的に対応するためには、小児科の医師数の増加によるよりも、他職種と共同で小児患者の保護者向けの電話相談体制を整備することを含め、地域における診療所に勤務する医師が参加する休日夜間の小児医療提供体制の確立が優先されると考えられる。このためには、開業医で休日夜間診療を行うための動機付けを行うことが必要であり、地域医師会のリーダーシップが期待される。

前段は実情分析です。問題点として、

    これらの休日夜間における小児患者の9割以上は入院の必要がない軽症の患者であり、救急医療の対象者となるものは限られているのが実情である。

この点については異論は少ないかと考えます。いわゆるコンビニ受診が小児科勤務医の精力を奪い取っているのは医師なら誰しも否定できないものです。かなり的確な指摘かと思うのですが、後段でその対策が書かれています。

  1. 小児救急の増加に対し小児科医を増やさずに他の診療科医師で対応させる。
  2. 電話相談事業を充実させる。
  3. 開業医を動員する。

小児の診察は小児科医以外の医師から非常に嫌がられるものです。気持ちはわかります。患者は自分で症状を訴えてくれませんし、親から症状を聞きだすのはそれなりのテクニックが必要です。採血検査や尿検査一つ行うにも大人とは段違いの手間と暇がかかります。また薬ひとつ処方するにも小児薬用量と言う難物が控えます。だからこそ小児科と言う診療科が成立しているとも言えます。

最近はその上に訴訟問題が医師の意識の上に大きくなっています。自分の知識経験に乏しい分野に手を出して、誤診があり結果不良となれば医師生命に関わる事態に容易に進展します。民事だけではなく刑事にも発展しやすくなっているのが最近の傾向です。敗訴とともなれば枕詞のように「専門医に相談すべきであった」とか「充分な経験や知識が無い」と非難の嵐が巻き起こります。そういう事を医師も良く知っています。そんな現実の上で、小児科医以外が小児の救急医療に積極的になるとは思い難く、むしろより消極的になっているのが現在かと考えています。

電話相談事業も効果については出典は忘れましたが、小児救急医療の軽減にはつながらないの調査があったかと記憶しています。そうでなくとも大変怖ろしい事業と個人的に感じています。この事業の詳細は知らないのですが、まず完全に免責なのでしょうか。免責とは刑事はもちろんの事、民事に関しても完全に免責が保障されているかどうかです。なんと言っても初診の患者を顔も診ずに判断しなければならないわけですから、通常の診療上の注意義務を課せられたのではたまったものではありません。私程度の技量でも99.9%以上は判断を大きく間違わない自信はありますが、0.1%以下に大きな結果不良があれば身の終わりです。

開業医の動員はよく言われるところです。この書に語られる「地域における診療所に勤務する医師」ですが、文脈からして小児科医以外の動員も念頭に置いて書かれているかと思います。小児科医以外の医師となると通常は内科医を指すかと考えます。しかし開業医は若くはありません。爺医と揶揄されるように医師会の平均年齢は60歳に達します。そんな高齢者集団が「開業医で休日夜間診療」どれだけ維持できるか正直疑問です。作ってはみたものの脱落者が相次いで破綻状態になっている地域もあります。

最大の問題点はこの項の前段で不要な救急が多いとまで指摘しておきながら、その小児救急需要を満たす方針で考えている事です。小児救急は作れば作るほど需要が喚起されるのは周知の事です。ある小児救急拠点がパンクしそうになり、二つ目を作ったら緩和されるどころか小児救急が2倍以上に激増したなんて笑えない話は幾らでも転がっています。

現在の小児科医数は大雑把にいえば、平日の日勤帯と自分の病院の入院患者をカバーするぐらいはなんとか足りています。ところが休日夜間帯の小児救急を賄えるかといえば全く足りていません。これは小児科だけではなく、内科救急や外科救急にもあてはまるかと考えています。どれぐらい足りていないかの算数は何回もやってきたのでここでは控えますが、どう計算しても物理的に足りません。それを内科医や高齢の開業医を動員する程度で賄おうという構想自体に無理があります。受診抑制策こそがもっとも現実的なのですが、それについては全く触れていないと言う事です。

最後の項に話を移します。

日本小児科学会は、病院における小児医療提供体制について、二次医療圏、三次医療圏における集約化を中心とした将来の在るべき姿の検討を行っており、診療所との連携の検討が十分ではないものの、他の診療科・診療分野における今後の取組みの参考になると評価できる。

ものは言いようですね。小児科が不採算部門であることは説明するまでも無い事なんですが、診療報酬削減により経営に苦しむ病院は次々と小児科をリストラしたのは誰もが知っています。周辺の病院の小児科が閉鎖された余波を食らって残っている病院の小児科にドミノが圧し掛かり、整理淘汰された結果が集約化みたいな格好になっています。残った病院の小児科は必然的にそれなりの規模の病院だけになり、結果的に二次診療圏に一つないし数個みたいな形態になっています。

過程はどうであれ厚生労働省御推薦の集約化の意向に副う形になっていますが、二次診療圏の基幹病院とは言え、不沈戦艦規模のところは稀です。またそういう病院には小児救急の大命が下りますので、手薄な戦力の小児科医の疲弊は著しいものになっています。この書では望ましい完成形のように賛美していますが、残存集約化拠点病院が崩壊すればその二次診療圏は一挙に小児科空白地域となります。そんな地域が急速に広まるか、広まらないかですが、4月までもうすぐですから今年中に結果は出るでしょう。

774氏774氏 2007/03/15 14:19 1 get. 来たー小児科編

motomoto 2007/03/15 16:12 平成17年の「医師確保総合対策」
www.jsog.or.jp/news/pdf/27apr_6.pdf
と、平成18年の「新医師確保総合対策」
www.mhlw.go.jp/topics/2006/08/dl/tp0831-1d.pdf
を読み比べると、いろいろ違いはありますが(民主党の談話http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=8946がよくまとめられていると思いました)、小児救急に関して「新」では、

<開業医の役割の明確化>○ 小児救急医療について、夜間・休日に病院に患者が集中することによる病院勤務医の厳しい勤務環境といった問題があることを踏まえ、診療時間外でも患者の病態に応じて連絡が取れるようにするとともに、あらかじめ病院との連携体制を構築するなどの適切な対応等、小児科医をはじめとする開業医が地域において期待される役割について明確化する

となっていますね。医師会が研修終了後医師の僻地診療義務化を容認する方向になったのは、これを読んで「こりゃ堪らん」と思ったのか、とも思いました。
もともと不要な救急が多い、としながらも、国民感情にへそを曲げられないためにも、削れない部分、ということなのでしょうか。

サルガッソーサルガッソー 2007/03/15 16:45 コンビニ医療を当然と考える人は通常の受付時間を何だと考えているのでしょう?
時間外とするからには、機能縮小や超過料金などなんらかのデメリットがあるはずですが、それがないのが増長する要因かと思います。

YosyanYosyan 2007/03/15 16:49 moto様

小児救急を抑制すると政治家が口にしたら袋叩きにされます。与党は政権を失い、議員なら議席を失います。だから小児救急需要は満たす方針はまず変えません。現場が疲弊する事よりも自分の身の方が10000倍も大切ですからね、とくに医療如きでです。それに口にする事は一円の損にもならないですからね。

ただし日勤帯並に無尽蔵に湧いてくるコンビニ感覚の救急患者を現状の体制で対処するのは最初っから無理です。それをどこまで知っての発言かはわかりませんが、掛け声だけは「24時間コンビニ小児救急」は執拗に唱えられます。それも人員も予算の手当もほぼ無しでです。

無しは言い過ぎかもしれませんが、到底そんな予算ではどうしようもない額だと言い換えれば相応しいかと思います。誰でも考えればすぐに分かることですが、moto様だって美容整形を24時間で運用しろといわれれば、一人では無理でしょう。3人程度集められても地獄の沙汰はよくご存知の通りです。病院小児科で7人といえばそれなりの大所帯ですが、豊岡が良い例で燃え尽きて1年で3人に減ってしまいました。

それでも目指すは24時間コンビニ小児救急路線ですから末路がどうなるかは時間の問題です。開業医をあてにされてもほぼ無駄です。開業してまで小児救急に血道を上げたい医師なんてほとんどいませんし、年齢的にも当直免除や定年になっている頃の医師に期待するほうが無謀です。

通りすがり通りすがり 2007/03/15 18:35 山口県の下関か萩だったかと思うのですが、地元医師会の協力で市民病院小児科へのコンビニ受診の軽減のため、地域の内科等で一部対応しようという報道を見ました。母親学級みたいなところで、市民病院小児科へのフリーアクセスとその末路にあるものを訴えておられました。母親達は不満もあるようですが、無くなられると大変ということで理解はしているようですが、どうなるんでしょうね。

motomoto 2007/03/15 18:46 >Yosyan様
そうですよね〜。わたしは、とてもよく解るのですが、ここを見ていらっしゃる一般人の方が、どのくらいそこんとこ解っていただけるものか・・
そういう意味で、本日の小児科編エントリー、どうまとめられるのか、興味深く待っておりました。
美容外科では、患者と医者の間に「カウンセラー」を置くところが多いですが(うちは小さいのでいない)、問診・情報収集などの専門職を間に挟んで、医者の労力を最小限に済ます、なんていうのはどうでしょうか?
・・お母さんは、やっぱり医者と話したがるかな?美容でも結局そうですしね。

motomoto 2007/03/15 19:08
以前、ある疾患の患者団体と、結構近い関係にありまして、そこの電話相談していた方によると、電話相談の9割以上は、疾患自体の相談ではなく、「良いお医者さんを紹介してください」だったそうです。
「はい、小児救急8000番です」
「うちの子、朝から熱が出てて夜になってもひかないの。今の時間にやってる小児科を紹介して頂戴。なに?あんたじゃ話にならないわよ!医者じゃないんでしょ?さっさとこちらの聞きたいことだけ答えなさいよ!あたしたちの払った税金で雇われてるんでしょ!」
こんな感じかな?ため息でますね・・

motomoto 2007/03/15 19:11
↑で記した「カウンセラー」は、小児救急の夜間診療所に置く、という意味です。せめて、そのくらいの予算はつけて欲しいですね。

motomoto 2007/03/15 19:28
閑話休題。滅入る話を続けてしまったもので。
今、私が使ってる静脈麻酔薬は、ディプリバンといって、非常に切れがよく、導入・覚醒とも早い。ケタラールやドルミカム使ってたときの苦労が嘘のよう。
患者は覚めたあと、非常にご機嫌良さそうに帰っていく・・あんなに気持ちいいものなんだろうか?自分にも打ってみたくなります。
「副作用」欄には、興味深いことが書いてあります。「多幸症、性欲抑制不能、譫妄・・」ううん、一度経験してみたい(笑)。
前に、麻酔科の女医さんが、不眠でこれ自宅で使ってて、そのまま帰らぬ人となってしまったというニュース読んだことあるので、一人では使えないですねー。
この静脈麻酔だけをメニューにして、自由診療で「お昼寝クリニック」なんてどうだろうか?「30分ほどで、気持ち良い熟睡感得られます。不眠症のあなたにぜひお勧め」
麻酔科の先生のドロッポ先としての一つの可能性としてどうかなあ。

774氏774氏 2007/03/15 19:53 せっかく、1 getして書き込もうとしたら、急患が来て何にも書かず、アホ丸出しの恥かしい状態となっています。

 私は小児患者に接する機会は多いので、小児を診ることや、投薬量(もちろん抗生剤や解熱鎮痛剤程度ですよ)に抵抗は「かつては」ありませんでした。若い頃に小児科開業医の日曜にバイトに行っていたぐらいです。日曜のコンビニ診察なので、上気道炎や発熱、中耳炎程度で、血便が出てたら2次救に送っていました。今から思うと恐ろしい事をしていたものです。

 しかし全てを変えたのが割り箸事件ですね。あれ以来、一切小児が来るバイトは行っていませんし、自院の当直でも小児は外傷でない限り輪番に行ってもらっています。内科医も10歳以下は絶対診ないと言っています。以前は小児科医不足を他科が協力して助けてきましたが、相次ぐ訴訟や行政指導で、小児科医が全部自分でしなければならなくなったというのが、私の実感としてあります。

 また、電話での小児科医によるアドバイスが、免責されないかもしれないという意外な盲点があるのは、ここ1年で急速に言われるようになっています。行政は切り札のような事を行っていますが、本当に免責されないなら引き受け手などいないでしょう。

 またまた、のぢぎく県ですが・・・既に何度も書いている通りで、悲惨の一言です。全国的に小児科への入局が減る中、神大だけはちょっと前まで小児科入局者が多い年は20人を超えていたのに・・・

774氏774氏 2007/03/15 19:59 moto 様
 駄目ですよー、そんなこと書かれたら、自分で人体実験したくなっちゃうじゃないですかー(笑)。今、禁酒中ですので余計に・・・「ディプリバン」覚えとこう、メモメモ(笑)。

YosyanYosyan 2007/03/15 21:57 moto様

携帯からなので御了解を。

演出として三回目に小児科を持ってきましたが書けませんね。私が小児科であること、私が開業医であること、このブログの注目度が高いことを考えると控え目にならざるを得ない事に悔しさを覚えています。

小児救急問題は当事者として本音と建前が解離しすぎている問題であり、とてもだれもが共感できるものは書けません。

今日のエントリも相当過激な原文はあったのですが、すべて消え去り、残ったのは抜け殻かもしれません。

motomoto 2007/03/15 22:13
先日受けてきたBCLの講習では、8歳以下の小児が倒れていて、そばに誰もいない場合、119番通報よりも、まずCPRが優先、ということになってました。これにしたがって、患児が助からなかった場合、「119番通報をまずすべきであった」と親が仮に訴えたら、AHAのマニュアルに従ったといくら力説しても裁判で負ける可能性あるなあ、なんて思いました。
まあ、実際、そこまで訴える親もいないだろう、とは思いますが、可能性としてはあるわけです。
電話相談も、それをやってる主体がどこかによって、訴えられる可能性出てくるだろうなあ。国とかがやるとなると、国なら金取れると見て訴え起こす人もいそうですね。

>774氏様
今朝方は、15年間の私の国立病院勤務をねぎらっていただいて、ありがとうございました。いやホント(涙)。
ぼろぼろになってほんとに這うような退職だったですからね〜。刀折れ矢尽きて、とはあのことです。送別会もありませんでした。破門になってたはずの医局からは「勝手に辞めてもらっては困る。○○市民に1人医長でいってくれ」なんて電話かかってくるし。
退職金の600万円は半年でなくなりました・・何に使ったんだろ?家庭は崩壊したままです。家族と近場に遠出との書き込みみて、ちょっと妬ましくなりました(笑)。

motomoto 2007/03/15 22:29 >Yosyan様
小児科を選ぶ医者は、子供が好きで選ぶのでしょうから、今後も社会情勢の変化に関わらず、一定数いるでしょう。そのあたりが唯一救い、というか、明るい材料ではないでしょうか?
イラクから白血病の患児の治療に同行してきたイラク人の小児科の先生と、何回か話したことがあるんですが、空爆(誤爆)で死んだ自分の病院の担当患児数十人を、なきながら病院の庭に穴を掘って埋めたそうです。なんだかんだいって、日本は平和で好い国なんですよ。これが明るい材料つーか気休め第二点(笑)。
まとめには、相当な葛藤があったこととお察し申し上げます。無理せず、たまにはブログも休養日など作って気分転換なさってください。

youriyouri 2007/03/15 23:05 moto様


「お昼寝クリニック」同意書

 胃に食べ物が残っていると誤嚥(窒息)しますので、朝から絶食で、飲水は来院2時間前までで止めておいてください。
 挿管困難を100%予測する方法はありませんので、万一気道が取れなかった場合は気管切開することがあります。
 その他起こり得る合併症:テープかぶれ、テープによる表皮剥離、静脈路確保に伴う出血・血腫・血栓・感染・神経障害、アレルギー、歯牙損傷、誤嚥、呼吸機能障害、心機能障害、腎障害、肝障害、脳出血・脳梗塞、低酸素による障害、ショック、譫妄、悪性高熱症、頚髄損傷、死亡。

 以上にご納得・ご同意いただけましたら、ご署名ください。


 それから、事前に、ECG、chest Xp、CBC、一般生化学検査、尿検査、出血傾向検査、肺機能検査、既往歴、現病歴、使用中の薬剤、悪性高熱症と妊娠の有無についての問診が要りますね。
 ・・・なーんてのんびり打っているうちに、話題が変わってしまったようで。
 こんなご時勢でも、絶滅危惧科を選んでくれる後期研修医はいるようで、それはとてもとても嬉しいことなのですが、教える側がボロボロなので、彼等が一人前になるまで育ててやれるか、それまで自分達がドロッポせずに前線に踏み止まっていられるかと言われると、皆、心中微妙なようです。
 自分が育ててもらった恩は、後進を育てることでしか返せないのですが、自分の命と家族の生活を守るために、もうそんなことも言っていられない状況になってきています。

774氏774氏 2007/03/15 23:08 moto様

 15年勤められて退職金600万円!? さすがは国立病院です、噂には聞いていましたが・・・噂ではなく、私は某国立病院でなんとレジデントを3年近くしましたので(レジデント修了証書はもらい損ねました・・全く不要ですが)、悲惨さは身にしみております。ただし、昔の国立病院は勉強できて臨床できて、論文もいっぱい書けて、専門医への最短コースでしたので、悪い思い出はないです・・・本当ですよ。

 ですので、上に書いたバイトも日雇いレジデントですから合法です。決して公務員扱いしてくれませんでしたので、違法兼業ではありません(笑)。ちなみに、家族と遠出するまで数ヶ月、抑鬱で家庭崩壊気味でした。

 さあ、忘れていましたが、国立病院機構の職員も、この4月からみなし公務員ではなくなるのでした。いったいどうなるのでしょう。

774氏774氏 2007/03/15 23:13 Yosyan様

 ぜひ、原文を!

某病院某科長某病院某科長 2007/03/16 02:14 moto先生
 播磨の皮膚科医です。先日、774氏先輩とお会いできて、それ以後もお世話になり、今日は774氏先生からmelanomaについて電話で聞かれ、私は恥ずかしながら腫瘍はノータッチですとお答えしたところ、わざわざ論文を送っていただきました。よく見るとmoto先生が紹介されている論文でした。moto先生にはこの場をお借りしてお礼申し上げます。
 moto先生と774氏先生は議論といいましょうか、ブログ仲間を救おうと喧嘩になっておられたようですが、最近は非常に仲良く会話されているようで、安心しております。
 私は腫瘍は苦手でありまして、大学の引き上げが続いていますし、同僚もどんどん開業していきますので、機会がありましたらご指導のほどお願いします。
 melanomaに轄を入れる話は興味深かったです。私は他の掲示板やブログで、先生を存じ上げておりますが、アトピー・アレルギーがご専門と思っていましたので、melanomaを全例自院でされたり、美容外科専門で開業されておられるのは意外でした。また先生が鬱になられた件も存じ上げており、新聞で見て私も施行するのを一切止めました。最近でこそ漢方や健康食品による臓器障害はマスコミでも取り上げられますが、当時は孤軍奮闘で大変だったと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。

motomoto 2007/03/16 04:33 >先生が鬱になられた件も存じ上げており、新聞で見て私も施行するのを一切止めました。

これ、あれかなあ?私の上司が訴えられた件かなあ。。>薬剤アレルギーの患者に内服テストして、亜急性肝炎で患者が死亡した件。
某病院某科長先生が推測している人物は、たぶん私でありますが、私はいまのところ、患者から訴訟起こされたことはないです。今後はわかりませんが。

私が鬱になって休職中に、私の上司が担当患者から訴えられて、それが新聞に出て、このままじゃ、知らない人は私がしでかしたミスだと誤解するとあせって、急遽「鬱は回復しました」との診断書調達して(笑)復職した記憶があります。
当時私は一部でマニアックに名前が売れてて、当然科長だったと思われてたようですが、実はヒラで、上には年の離れた科長がおりました。
ヒラでよく国立に15年も勤められたと、また774氏先生に感心されるでしょうが、まあ、好きでやってたんですよ。当時の私は、某科長先生ご存知の通りで、むちゃくちゃ手間暇かかるわりに、まったく採算性のない患者群を扱ってました。>アトピーの脱ステロイド。
自分は、皮膚科医全体を代表して、ほとんどボランティアの気持ちでやってるのに(国立病院の使命は、民間では不採算の患者を扱うことだ、と信じてたので)、日皮会からは、アトピービジネスの元凶呼ばわりされるし、行き場なくした患者はどんどん全国から集まってくるし、もう、どうしようもなかったですね。
休職してみて、ひとつだけ明確に気が付いたことがあります。
それは、復職してみて、患者たちはほんと、涙ながさんばかりに喜んでくれたんですが、患者たちは皆、休職の3カ月分離脱が進んで、よくなってたんですよ。。。
これは、ある意味ショックでした。ということは、私は必ずしも居なくてもいいわけだ・・・
で、当時の私なりに、自分が今何をすべきかと考えました。自分はいま、心身ともに正常ではない。そんな自分が、万が一、明確な医療ミスを起こしたらどうなるだろうか?
日皮会や、私を嫌いな先生たちが「それみたことか、やはりあいつのやってた脱ステロイドとやらは間違っている」と、非難するのではないだろうか?
それは、私にとっても嫌ですが、患者達や、同じ志のもとにある仲間、少数の他の皮膚科医たちにとっても良いことではない。ここで、私がすべき最善の選択は、退職して診療から離れることではないだろうか?
先のことは考えなかったですね。。。

motomoto 2007/03/16 04:48
てなわけで、私がドロッポしたのは、実はそんなような理由で、医療崩壊に伴う皆さんの痛みとは、やや趣が違いますが、「国立病院こそが、このような薬害がらみの、不採算な患者群を扱うべきだ」と孤軍奮闘(ほんと、絶望的に孤独でしたよ)していたところ、国立病院が、独法化して、採算が重視されてきちゃったんですね。
それでもう、完全に魂の置き場を無くした、というのもドロッポの理由です。だから、まったく医療崩壊と無縁というわけでもない(笑)。
実のところ、医療崩壊をみんなで苦悩してらっしゃる皆さんみてると、羨ましくて仕方ないんですよ(笑)。私のときは、まーったくひとりだったですから。「さっさと美容に逃げて高みの見物に来やがっていい気なもんだ」と思ってる人もいるかもしれませんが、ずーっと孤独だったんで、人恋しいわけです。どうかこれからもよろしくお願いします(^^;。

motomoto 2007/03/16 05:16 ↓は、わたしが、国立病院勤務時代に、遊びで書いたものを、患者が面白がって、ネットにupしてくれたものです。当時の私の様子がわかります。某院某科長先生、ぜひご一読ください。
もともとは、入院患者がヒマそうだったんで、彼ら彼女らのために一話づつ書いてたものです。おもしろおかしく、かつその中から、自分達の置かれている状況を理解してもらおうと思って。
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~meg./sketch/skindx.html

・・自分の実名晒すことになるんで、やや不本意ですが、アトピーの脱ステロイドについて、もし関心のある方いらしゃったら、ぜひこちらごらんください。これはもう、誰が何と言おうが、医学的な事実です。
http://www18.ocn.ne.jp/~steroids/

ついでだから、宣伝しとこう(笑)私のクリニックは下記です。プチ整形全般やってます。アプトスとよばれる、糸でのたるみ引き上げが得意です。女医さんがひそかに全国からやってきて糸入れてます(マジです)。ぜひ当院にお越しください。
http://www.tclinic.jp/
アトピーの脱ステロイドは、ひたすら「待ち」の医療だったですからね。。。つらかったですが、今のプチ整形は、短期的に結果出るし、評価も明確ですから、精神衛生にいいです。
毎日楽しんで仕事してます。・・昔は、変に使命感持ちすぎたですね。

774氏774氏 2007/03/16 08:20 moto様

 お約束どおりに、驚きます。ひ、平で、国立病院に15年間も!? む、無茶苦茶尊敬します。よ、よく耐えぬかれましたね。私の周りでは、聞いたこともありません。お、驚き以外の何ものでもありません。

 専門外で恐縮ですが、外傷や褥瘡も扱うので、よく参考にする「新しい創傷治癒」http://www.wound-treatment.jp/ に、アトピーのひどい所にドレッシング剤を貼って掻けないようにしたら、治ったという解説があります。最近学会の論文にもなったと、某病院某科長 様から伺ったこともあります。

 私がポリクリで皮膚科をまわっている時、ステロイド派と脱ステロイド派の先生がおられたようで、各自1患者につきレポートを提出するのですが、アトピーに対して同じポリクリ班の中でこんなにレポートの中身が違っていいのだろうか、どちらかが落とされるかも不安になった事がありました(笑)

774氏774氏 2007/03/16 09:02 moto様

 昨日少し病理の先生と立ち話をしている時、病理医も非常に不足していて「皮膚科の先生が病理に転向してくれないかな」と言っていました。確かに保険診療は皮膚科だけでなく、全科駄目で(特にうちの科は不良債権と言われます・・・)、美容か腫瘍かしか将来性がないとmoto様が書かれていたと思いますが、病理という道もあるようで、つぶしがきいてうらやましいです。確かに自分で顕微鏡見ているのって皮膚科だけですね。いや、隣の芝は青いものだと思わないと、惨めな気分に・・・

physicianphysician 2007/03/16 12:34 次これどうですか...

706 名前:卵の名無しさん [↑] :2007/03/15(木) 23:53:35 ID:rli1A20b0
>>704
日本医師会のメンバーズルームに行けば、
「平成18年度 地域医療対策委員会 中間報告書」として
うpされてるのでダウンロード可能です。
ちなみによく読むと、今の医師不足はこれまでの厚生労働省の
政策のせいと書いてあるが、マスコミはそこには一切触れてない模様

YosyanYosyan 2007/03/16 12:45 physician様

メンバーズルームのアクセス方法を忘れてしまったので、問合せメイルを送っています。また手に入れれば読んでみます。

physicianphysician 2007/03/16 14:02 すみません。よろしくお願いします。会員じゃないもので

YosyanYosyan 2007/03/16 15:28 physician様

ざっと読みましたが大した事は書いてないようです。印象に残っているのはドクターバンクとか女医バンク、救急電話事業といった定番のお話と、これも出がらしの地域奨学金ですかね。そうそう地方僻地病院が研修医を確保できるように、マッチングの余裕をゼロにするというは目を引きました。

医師の数に関しては厚生労働省見解から一歩も出ず、足りているけど偏在ですね。とりあえず大都市では医師は余っているはずだと書いてあるようです。もうちょっと読んでみますが、長い割りに実効性に乏しい事を飾り立てて列挙しているように見えますね。

physicianphysician 2007/03/16 20:14 ありがとうございます。大変なお願いしてすみません。しかし、マッチングの余裕をゼロってのはスゴイですね。指導体制のない僻地病院に研修医を派遣とか百害あって一利なしだと思うのですが...

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