新小児科医のつぶやき

2007-10-31 第3回奈良事件裁判・やりとり編

僻地の産科医様が奈良事件の第3回公判の様子をupしてくています。裁判自体は30分ほどで終わったらしいのですが、主なやり取りが書かれています。順番に見て行きます。

裁判官

    原告から10/22、10/29。被告からは10/16、10/26。に準備書類が裁判所に提出された。何か訂正があれば。

被告

    漢字ミス。必死の字が違う。

裁判官による現在までの流れの説明が始まる。

ここまでは前置きでしょう。

原告の主張

    死因は8日0時の右前頭葉における脳内出血によるヘルニア。6時で完成している。始まったのは0時である。過失は0時14分の意識消失時のCTなどの脳内検査等の検査を怠ったこと。除脳硬直を見逃したこと。

被告の主張

    国立循環器病センター6時20分には脳ヘルニアが認められる。右前頭葉の脳内出血は4時ごろおこりそれが脳幹にいたって6時ごろヘルニアになったものと考えている。0時の血圧上昇、意識消失、痙攣、瞳孔については子癇による症状である。

    CTを撮る義務はない。安静を優先させる。子供の安全を優先する。1時37分に痙攣発作がおこったときに母体搬送センターへ連絡をとっている。原告の主張には因果可能性がない。2時ですでに治療可能性は低い。

医師の過失個所の指摘が具体的なされています。焦点になるであろう脳出血の発生時刻で意見が当然のように対立しています。

  • 原告側:0時
  • 被告側:4時

原告側としては0時に脳出血が発生していない事には、責任の問いようが無いわけですから、0時説を主張するでしょうし、被告側は子癇の後の脳出血を主張しますから4時説になります。ここは今後の大きなポイントになると考えますが、第3回の時点では様子の探りあいの感じです。

診療情報提供書

    原告 被告病院が持っている情報を開示要求。同じであるかはわからない。 被告 国立循環器病センターからの情報提供に被告病院のものも含まれているため再提出の必要はない。

血圧の記載

    原告 送り先への情報提供について血圧の記載がどの時点での血圧かわからないので特定を 被告 検討

診療情報提供書とは大淀病院から国循に患者の容体を書いて届られたもので、俗に言う紹介状の事です。通常は複写にして作成し、搬送元(大淀病院)と搬送先(国循)に一通ずつ同じ内容のものが残ります。ここで私も良く分からないのですが、原告側は搬送元(大淀病院)の診療情報提供書を入手していないようです。そんな事は通常考え難いのですが、そうでないと

    被告病院が持っている情報を開示要求

この要求が理解できません。これに対し被告側は国循カルテに搬送先の診療情報提供書があるから再提出は不要としています。わかったような、わからないようなやり取りですが、原告側の証拠確保に不備でもあったのでしょうか、それとも法廷戦術としての駆け引きなのでしょうか、かなり不可解な問答です。

救命可能性について

被告

    いつ治療すれば救命可能性があったのか。

原告

    今問題としてるのは過失の有無であり、救命可能性ではない。救命可能性は血圧、呼吸、脈、脳神経の症状についてが確定後議論する。

被告

    1時37分ですでに依頼をしている。

被告 

    4時に脳内出血があったと考えている。0時に脳内出血があるなら原告に証明責任がある。救命可能性についても原告に証明責任がある。

原告

    情報(血圧、呼吸、脈、脳神経の症状について)を一覧をそちらが作成していただければやる。

被告

    わかりました。1時37分の搬送では間に合ったのか?

原告

    過失は診断すべきだったこと。検査を怠ったこと。搬送できなかったは過失でない。

被告

    診断と搬送の遅れは関係あるのか?

微妙な問答ですが、原告側は救命の可能性の論議は後回しにして、過失の有無、すなわち原告側の脳出血0時説に基づいた過失責任を第1ラウンドにすると宣告しています。それに対して被告側は4時説を念押しするように主張し、0時説であるなら立証責任は原告にあると主張し、第2ラウンド以降に予想される救命可能説も原告側に立証責任があるとしています。この立証責任について原告側は、

    情報(血圧、呼吸、脈、脳神経の症状について)を一覧をそちらが作成していただければやる。

この原告側の立証責任ですが、被告側が巧妙に立ち回ったと言うより、裁判のルールだそうです。きわどそうな会話ですが、ここはルール確認みたいな会話と考えれば良さそうです。ただここで原告側は重大と思われる発言をしています。

    搬送できなかったは過失でない

搬送が長時間化したことについては争わないの姿勢を明らかにしています。過失を問うのは

    過失は診断すべきだったこと。検査を怠ったこと。

非常にわかりやすい主張で、事実関係にあわせて解釈すると

    CTを撮らなかった責任

この一点に原告の主張は集約され、そこから派生する救命の可能性に言及する戦略であるとしています。つまり原告側は0時に脳出血は発生しており、すばやくCTを行なえば診断はついたのに、それを怠ったとの主張です。一方でその後の搬送先探しが長時間化したことについての過失は問わないとしています。ここで医師なら誰でも素直に疑問に思う事があります。たとえ0時に脳出血があり、CTで診断されたとしても、陣痛が来ている妊婦の治療をどうするのかと言うことです。この点については、今回のやり取りから原告側に立証責任があるそうですから、次回以降の裁判が注目となります。

個人的に気になるのは原告側は「脳出血の誤診、見落とし」に焦点を絞り、「誤診、見落とし」からの「救命の可能性」までを争点にし、「搬送問題」は責任を問わないとしていますが、これを額面通りに受け取ってよいものなのでしょうか。裁判のルールは良く分からないのですが、一度こういう風に法廷で発言すれば事実認定で風向きが変わったときに再び問題にしないのでしょうか。それとも初めにそう言っておいて、後から蒸し返すのも法廷戦術として常套手段なんでしょうか。よく分からないとしておきます。

次回について

被告側による診療経過の一覧表の提出

原告 妊娠中毒症は妊娠高血圧症となって学会ではなっているが、今も妊娠中毒症を使っているのはなぜですか?

次回は12月17日月曜日 1006法廷 11時からです。

次回は12/17 11:00からだそうです。それと

    診療経過の一覧表

ここは個人的に事実認定で一つの山になるかと思います。今回の裁判でも原告側は脳出血0時説を取り、被告側は4時説を取っています。脳出血の存在が判明したのは国循到着後ですから、どこで脳出血が起こったかは症状、診察所見から判断する必要があります。原告側は0時説での鑑定医を用意しているのは間違いありませんし、被告側は子癇説の鑑定医を準備していると考えます。診療経過と言っても元はカルテですから、これ自体の作成は平穏でしょうが、カルテ記載事項以外の攻防があると予想します。

原告側は病院側が見ていない時間以外の家族証言で0時説の補強を考えるでしょうし、被告側は産科医師が感じたニュアンス、または0時に対診を依頼した内科医の証言を脳出血否定の補強材料に使うと考えます。カルテ内容自体は子癇説を強く示唆するとネット医師は結論していますが、脳出血の可能性を何%かでも裁判官の心証に抱かせれば原告側とすれば大収穫になります。さらに言えば原告側は心証に抱かせるのに失敗すれば裁判が成立しなくなります。

僻地の産科医様は第2回原告準備書類、10月29日原告側の論点整理も情報提供していただいていますが、これはこれで分量があるので明日読んでみたいと思います。

元ライダー元ライダー 2007/10/31 10:04 脳出血がいつ起こったかなんて、シュレディンガーの猫と同じで確定できない。そこを争っていたんじゃあ原告側の思う壺じゃないかな。
脳出血の起こった時点を確定して、そこから過失の有無を検討するのは完全に後出しジャンケン。
「結果は脳出血であった」という事実を考慮しないで、原告側の主張する0時の時点でCTを撮るべきだったかどうかで過失を検討すべき。
まあ、いつものレトロスペクティブな法廷戦術ですかねぇ。
被告側は、その戦術に乗らないで、「脳出血がいつ起こったかは確定できない。原告側の主張する0時の時点では総合的な所見から子癇として対処するのが妥当であった。」と主張するほうがいいんじゃないかなぁ。

SeisanSeisan 2007/10/31 11:00 今までの数多の医療裁判同様、結局は「結果責任」のみを追及されそうな悪寒です。
もし、原告敗訴になろうものなら、マスゴミ総動員で上告を繰り返し、最高裁に至って負けたとしても、再審請求を出しまくって、「世論の揺り動かし」による「原告が納得できる真実」が認められるまで争うのでしょう。
「CTを撮らなかった理由」が「CTをとった際に起こる問題」を上回ると認められたらまず勝てない展開になりそうですが、結局そこに「確定した真実」なんて絶対に見つからないと思います。
まあ、良くて泥仕合ですね。残念ながら。

moto-tclinicmoto-tclinic 2007/10/31 11:01
いつも思うんですが、われわれが、ああだこうだと考察してこういうブログに書くことは、原告側に手の内明かすようなところがあって、どこまで書いたらいいものやら・・と悩ましいですね。
「誤診、見落とし」と「救命の可能性」と「搬送問題」の関係ですが、
「誤診、見落とし」が認められなければ、病院側はなんらお金を支払う義務はないし、「誤診、見落とし」が認められて「救命の可能性」が無ければ、その分の慰謝料、たかだか数百万円の判決で、「救命の可能性」まで認められれば、どのくらいまで回復し得たか?によるでしょうが、数千万から億の判決じゃないかなあ。「搬送問題」まで突っ込むと、逆に病院の責任を薄めて、賠償額が少なくなるヤブヘビと考えたんじゃ無いでしょうか?

元脳神経外科専門医元脳神経外科専門医 2007/10/31 11:27 いつもこのブログで勉強させていただいています。ROM専門の元脳外科医です。
O時の時点で脳出血を起こしていたか、子癇発作であったのか、臨床経過や神経症状のみからの判断は不可能だと思います。被告の先生を責める気はまったくありませんし、あの状況下ではベストを尽されたと思いますが、個人的には0時の時点で出血していたとしても矛盾はないというかその可能性は高いと思ってしまいます(これには脳外科医としての「バイアス」がかかっていますが・・・そう考える脳外科医は少なからずいると思います・・・もちろん鑑定医になるかどうかとは別の問題ですが)。
ただし、その時点で診断がついていても結果には大きな差はないと思います。ですから結果が変わらないのであれば搬送が遅れたことを中心に争っても原告側には何の利益もないと考えられますから、Yosyan先生のおっしゃるように「誤診、見落とし」を争点の中心にしてるのではないでしょうか。
 脳外科医としては出血がいつの時点であろうと、このような脳出血の救命は非常に難しいという意見が大多数とは思いますが。不用意に発言すると前記意見は無視して0時の時点で出血の可能性と言うことのみを利用されるのでしょうね。

rijinrijin 2007/10/31 11:44 バイタルが揃ってから救命可能性の議論に移ると原告側が言明しているからには、この出血は比較的緩徐に進展したと考えているということでしょう。

 というか、緩徐に進展しない限り、つまり急激な出血であれば救命可能性はないという結論は不可避です。

 出血が0時、脳ヘルニアが4時、従って早急に開頭減圧していれば救命可能だったというのが原告側弁護士の現在の方向のように思います。だから0時のCT撮像にこだわるのでしょう。

 しかしながら、僻地で勤務していたとき、脳ヘルニアに至る前の段階でも手術不能で転院搬送不要と脳外科に断られたことが再三ならずあります。…最近は開頭減圧すればどんな症例でも救命可能なんでしょうか? あるいは、この症例では開頭減圧で救命可能であったという論証がこれから行われるのでしょうか? 既に確保されているであろう原告側鑑定人の脳外科医はどんな人でしょう?

神経内科医です神経内科医です 2007/10/31 11:48 以前のカルテの流出が正しければ、痙攣発症(2時ごろでしたか)までは大出血はなかったと判断できると思いますが。子癇に伴う微小出血は別です。
僕自身はseizure at onsetが一番確率が高いと思います。
根拠などは以前、Dr. Iさんのブログにコメントさせていただきました。

BugsyBugsy 2007/10/31 12:01
原告が裁判に至ったのは「真実が知りたい」からだと報道されていました。
如何なる真実なんでしょう。未だにその気持ちをお持ちなんでしょうね。

要は 周産期に起こった脳神経外科領域の疾患じゃないですか。
産婦人科の医師で脳出血に遭遇するということは一生を通じても相当稀だと愚考します。同時に発症前無症状(おそらく)で短期間に脳ヘルニアを起こす程の脳出血を30台の女性がおこすことがいかに稀かということです。 後になって蓋然性のある原因疾患を脳外科医が自信をもって指摘できますかね。あっても症例報告くらいで原因疾患は多岐にわたり 同時に極めて稀なはずです。
50台のベテラン産科医が子癇と診察した段階で部屋を暗くして安静に保たなきゃいけないはずで、頭部CT撮影を躊躇ったとして何ら不思議はありません。そもそも極めて稀なんです。

脳神経外科がどこの病院にあるとも限らず、搬送しようにも受け入れ可能な病院が県内になかった。

このあたりが「真実」じゃないんですかね。
遺族の方には さぞや辛い真実になりそうです。

元ライダー元ライダー 2007/10/31 12:27 >Bugsy様
付け加えさせてください。
>産婦人科の医師で脳出血に遭遇するということは一生を通じても相当稀だと愚考します。

同様に、子癇に遭遇した経験のある脳神経外科の医師はどれほどいるのか?(もしかしたら、稀ではないという反論もあるのかな。想像できませんが)

何を言いたいかというと、子癇を見たことの無い脳神経外科医が産科医に「子癇を疑っている。子癇だったら動かさないほうがよい」と言われても「(脳出血の症状だ、でも子癇もこうなのかな?と思いながら)いや、脳出血の可能性がある。CT撮るべきだ。」と言えるんでしょうか?結局「脳出血の可能性があります。子癇なら動かさないほうがよいのでしょうから、CT撮るか否かは産科の先生が決めてください」となるんじゃないでしょうか。

「子癇を見たことのある脳神経外科医は稀だ」という前提が間違っていれば御容赦を。

三上藤花三上藤花 2007/10/31 13:08 多分、みなさまご存知だと思いますが、もう一つレポートあります。
「お決まりの日々? 三回口頭弁論準備メモ(大淀事件15)」
http://okimari.blog26.fc2.com/blog-entry-1608.html
管理人さんの力作のようなので、蛇足ながら付け加えさせていただきます。

YosyanYosyan 2007/10/31 13:34 三上藤花様

申し分けありません、力作を見逃していました。やり取りの詳細が非常に良く分かります。読ませて頂くと原告側の戦略がだいたい読めますね、

脳出血0時説を基点として、ただちにCT、脳出血診断と進み、ここからの見解は予想ですが、直ちに帝王切開、引き続いて脳外科治療と思います。つまり帝王切開をするだけ、脳外科治療をするだけに分けて搬送治療先を探せば予後が変わるだと考えます。

もちろんこれを補強する鑑定医も準備万端かと思います。さらにとなれば、子供は犠牲にしてもの主張が付け加えられれば、帝王切開をスキップしての脳外科搬送の主張もありうるかと考えます。

BugsyBugsy 2007/10/31 14:47 元ライダー様

子癇発作を見た経験のある脳神経外科医はまずいないと思います。救急救命センターにも脳神経外科医は頑張っていますが、それでも子癇発作の患者は来ないです。
直接産婦人科に運ばれますから。

分娩より以前、または産褥期の脳出血に関しては少ないながらも報告があるにはありますが、
(Bateman BT, Schumacher HC, Bushnell CD, Pile-Spellman J, Simpson LL, Sacco RL,Berman MF.Intracerebral hemorrhage in pregnancy: frequency, risk factors, and outcome. Neurology. 2006 Aug 8;67(3):424-9. Erratum in: Neurology. 2007 Apr 3;68(14):1165.)
今回のような ほとんど分娩と同時期に子癇発作を伴っておきたとする報告がどうも見当たらないのです。アメリカにおける疫学調査でも、全妊娠中で脳出血を起こす危険度は10万対で7.1です。その中で子癇に続くのが3-4割だそうです。分娩中とすればさらに稀で やはりexceedingly rare eventでしょうね。そしてそれを裁判で述べるべきです。逆に純粋な子癇の場合CT室に搬送すれば分娩がリスキーになってしまうことも。

YosyanYosyan 2007/10/31 15:44 Bugsy様

周産期の脳出血に関する文献は被告側も証拠として提出していますし、準備書類の中でもはっきり主張しています。裁判の構図が理解しにくいかもしれませんが、とくに民事ではそれで主張したとして終わります。民事裁判では口頭で交わす言葉の10倍ぐらいの量が準備書面として水面下で交わされていると思えば良いとおもいます。刑事である福島事件とやや様相が異なります。

福島との違いは民事と刑事であるだけではなく、裁判前の論点整理も行なわれていません。ようやく3回目で原告側が「誤診、見逃し」を争点としてあげてきたという展開です。私も詳しいとは言えませんが、民事ではそういう展開がしばしばあるそうです。

moto-tclinicmoto-tclinic 2007/10/31 16:20
三上藤花様ご引用のサイト拝見しました。
直観ですが、この裁判、勝てそうですね。
原告側弁護士の持って行きたい争点が、「CTを撮らなかった過失」にあるようですが、母体保護の観点から大切なことは、子癇発作から、稀な合併症である脳出血への進展を予防することであって、そのために出来ること・しなければならないことは、血圧管理に尽きます。
CTを取って診断がついたところで、それ自体に対しては大淀病院において対策は取れないわけですから、むしろ、安静を保って血圧変動を避ける処置のほうが正しいです。動かせば、それだけでストレスになりますし、意識が戻ったときにCT室に入れられていることに気が付いたら、それだけで興奮しそうです。
子癇から脳出血に至る可能性を認識していたか?ですが、これは、たしか、カルテに「脳出血疑いもあり?」といった記載ありましたからね。
診断は診断、治療は治療です。医療は診断が目的ではなく、第一に母体、第二に児の保護が目的です。担当弁護士の争点の持っていき方は実に稚拙でした。もうあとには引けないでしょう。
もちろん裁判官が決めることですが、まあ、しかし、良かった良かった。

moto-tclinicmoto-tclinic 2007/10/31 16:38
ところで、以前、子癇の動画探してたんですが、画像は見つかりました。
http://mediwire.skyscape.com/main/Default.aspx?P=Content&ArticleID=312562
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It’s terrifying to witness a life-threatening eclamptic convulsion develop. First the patient’s face becomes distorted and her eyes bulge; then she becomes red-faced. The woman often foams at the mouth and usually bites her tongue, unless it’s protected (Figure 1). She actually stops breathing throughout the seizure. Lasting usually 60 to 75 seconds, convulsions occur in two phases. The first—which lasts for 15 to 20 seconds—begins with facial twitching; then the body becomes rigid with generalized muscular contractions. During the 60-second second phase, the muscles of the body alternately contract and relax in rapid succession starting in the jaw muscles, then moving to the eyelids and the other facial muscles before spreading throughout the whole body. Apnea develops not just during, but also immediately after the seizure. Coma sometimes follows seizures and the woman usually remembers nothing of the recent events. A period of hyperventilation occurs after the tonic-clonic seizure to compensate for the respiratory acidosis that developed during the apneic period.
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前にも書きましたが、除脳硬直を思わせるような強直性けいれんで、そのあとの昏睡が遷延することもあるようです。
CTやMRIを撮って確認せよなどとは、どこにも書いてありません。そのような「診断」は、脳外科処置が出来る施設に転送後なされるべきで、それまでは、
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The goal is to keep systolic blood pressure between 140 and 160 mm Hg and diastolic blood pressure between 90 and 110 mm Hg. That can be achieved with IV bolus doses of 5 to 10 mg of hydralazine or 20 to 40 mg of labetalol every 15 minutes, as needed, or 10 to 20 mg of nifedipine orally every 30 minutes for a maximum dose of 50 mg in 1 hour.
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とあるように、血圧管理とけいれん対策にマグネシウムが考慮されることが重要であり、それは、カルテ上も、守られたと判断できると思います。
もし、血圧がバンバンに上がりっぱなしで、何も対処されずに放置であったら、脳出血の発症に関して過失ですが、本件はそうではありません。
CTを撮らない判断は、母体(血圧)保護の観点からは、治療の一環ともいうべきものであり、なんら過失ではなく、とやかく言われる筋合いのものではありません。

BugsyBugsy 2007/10/31 16:50
もしも証人として脳外科医や産婦人科医が出席するのならば ぜひご意見を伺いたいものです。分娩間際の妊婦が脳出血を起した際の適切な治療というならば あなた経験したことが本当にありますか、治療して救命しえましたかって。

子癇ではなく 脳出血を示唆するに足る脳局所症状としての痙攣発作と言うならば、カルテに記載してあるどの症状が相当するのかって聞いてみたいです。強直性けいれん発作だけでは鑑別不可能でしょう。
ベテランの産科医が以前見たことのある子癇の発作とは少しでも異なっていたら必ずピンとくるもんだと思いますね。そして放置はせんでしょう。

元脳神経外科専門医元脳神経外科専門医 2007/10/31 16:57 >元ライダー様
子癇を診た事のある脳外科医はあまりいないと思います。私も見ていません。ですから、そこに脳外科医としての「バイアス」がかかっていると表現しました。
だからこそ、0時の時点で出血したと考えられると意見する脳外科鑑定医がいてもまったく不思議はないと思います。

>何を言いたいかというと、子癇を見たことの無い脳神経外科医が産科医に「子癇を疑っている。子癇だったら動かさないほうがよい」と言われても「(脳出血の症状だ、でも子癇もこうなのかな?と思いながら)いや、脳出血の可能性がある。CT撮るべきだ。」と言えるんでしょうか?結局「脳出血の可能性があります。子癇なら動かさないほうがよいのでしょうから、CT撮るか否かは産科の先生が決めてください」となるんじゃないでしょうか。

おっしゃるとおりだと思いますが。産科医の意見を尊重するというより、「自分は主治医ではないから(責任は取りませんから)先生決めてください」と言う様なニュアンスでしょうか。もし、自分がその場にいたら自分の立場としてはCTをとらなければ不安でしょうがないと思います。

誤解しないでくださいね。決して大淀の先生を責めているわけではありません。結果としては不幸な結果になりましたが、被告先生のその時点での対処には何の非もないと思います。この裁判には是非かって欲しいと考えています。

一脳外科医としてこんなことを考えることがあるという参考にして欲しかっただけですから。結果が悪ければ医療ミス、後出しジャンケンが正義の風潮にはまったく同意できません。

moto-tclinicmoto-tclinic 2007/10/31 17:09
たぶん、原告側の医療ブレーンとしては、元脳神経外科専門医様のコメントから推理するに、脳外科系のイケイケ先生がいらっしゃるんでしょう。それで、こんな(CTを撮らなかったのは過失だ)主張になったんでしょうね。
おかげさまで、構造としては、すごく有利になりましたよ。
「CT検査をしなかったのは過失だ」
「検査が患者にとって負担にしかならない場合には、検査をしないという選択肢もありうる」
すごく、一般人(裁判官)にとって、わかりやすい反論ですよ。

YosyanYosyan 2007/10/31 18:35 明日書きますが、10月29日原告側の論点整理(原告側から被告側への求釈明条項)には、血圧確認を強力に求めています。一応列挙しておくと、

・8/7の朝9時40分から PGE2投与までの血圧
・14時55分から21時30分CTGまでの血圧
・0時血圧11/84とあるがこれ以前のものは
・0時14分147/73となるまでの血圧の記録はないが測定はしたのであれば何故記録していないのか
・0時14分から1時16分までの血圧
・4時19分の血圧は?何故しなかったのか。
・紹介状にある血圧、救急で知らせた血圧?はいつのときのものか。

もちろん脳出血0時説補強のためとは思うのですが、被告も原告も同じカルテを資料として持っているはずなのに「???」と思います。カルテに無いものはわからないはずですし、医師が記憶に頼って証言してもしかたがないところです。

ひょっとすると血圧記録に何か隠し球を秘めているんじゃないかと疑っています。血圧記録は子癇と脳出血の鑑別の傍証に重要ですからね。協力者の証言の可能性もあるとは思いますが、それよりカルテ記録の正確性になにか綾をつけるつもりとも考えられます。

moto-tclinicmoto-tclinic 2007/10/31 20:14
あと、老婆心になりますが、「胎児の保護」とか「子供は助かったんだから」ってことは、被告病院側関係者は、口に出しちゃだめですよ。誤解のもとですからね。
この裁判で問題になってる「被害」は母体のそれであって、胎児保護を強調すると、母体は犠牲にされたのか?って、一般人は疑い持っちゃいます。
あくまで、母体についての裁判ですからね。
「胎児保護のための最善の方法は、母体保護である」なんて、「女性を診たら妊娠を疑え」に近いくらいの、わたしら、医者にとっての常識ですが、一般人はそうは思ってくれないですからね。「女性を診たら妊娠を疑え」というphraseがひんしゅくを招きかねないのと同じくらい、「胎児保護」を強調するのは、誤解のもとです。
胎児保護=母体保護であって、胎児が健康に生まれた、っていうのは、母体の管理が最善を尽くされた、ってことの証左なんですけどねえ。

Med_LawMed_Law 2007/10/31 21:17
『その時点で、生存している相当の可能性』だけで慰謝料の発生が起こってますので、相当の可能性(20%以上)という可能性を叩き潰す必要がありそうです。
同じく、もし母体の生存可能性、延命可能性を優先すれば出産し子供を得ると言う機会はなかったということも、もっと声高に主張してよい話だと思います(今回の訴訟の論点とは異なりますが)。
もしかすると二人(母体と子供)の命を両方失ったかもしれないというのに、人間等言うのは得たものでなく、失ったもので、人生を評価している愚かなものかもしれません

moto-tclinicmoto-tclinic 2007/10/31 22:22 >Med_Law 様
>もし母体の生存可能性、延命可能性を優先すれば出産し子供を得ると言う機会はなかった

わたし、この辺が、今回の誤解の根幹なような気がしてならないんですよ。遺族も「子供よりも母親を救命してほしかった」みたいなこと、述べてたじゃないですか。
胎児を犠牲にして、母体が助かった方法が、何かあると思ってるんじゃないかな?
子供には悪いけど、体外に出るまでは人間としては半人前なんだから、当然医者なら誰しも母体優先で行きますよ。胎児を犠牲にして、母体が助かる方法があるならば、当然そうします。
ここは、いちばん大切なとこなんで、しっかり明言しとかないとね。
書き方悪いけど、胎児は生まれるまでは、母体の全身状態のモニター役みたいなもの。それが健康に生まれてきたっていうことの意味を理解してほしい。
極論を言えば、なにか侵襲的な脳外科的処置が、このケースの場合にもし行われて、それが原因で胎児仮死にでもなったとしたら、その処置は間違っていた=母体を危険にさらした、と判断される可能性すらあると思います。
母体を犠牲にして、胎児を助けるなんて発想は、一般人の一部には、情緒的なものとして、あるかもしれませんが、医者においては、ありえません。
・・まあ、そういう冷徹な判断すべきだっていう内的規律が意識にあるから、情緒的な面でもって、「子供が助かって良かった良かった」ってつい言いがちなのかな?
胎児に対して悪いな、って気持ちがどうしてもぬぐえないんでしょうね。

元ライダー元ライダー 2007/11/01 00:45 >元脳神経外科専門医様
実を言うと、最初は誤解していたのですが、読み返して誤解だとわかりました(前のコメントする前ですよ)。ですので、脳神経外科医云々表現はBugsy様のコメント(>周産期に起こった脳神経外科領域の疾患)を受けてのものです。しかし無意識に最初の誤解が行間に出ていたかもしれません。失礼しました。

G.FoyleG.Foyle 2007/11/05 00:01 原告側の関係者もご覧になっている可能性が高いので一言

お子さんが後に絶対知るのだから、「子供はだめでもと考えた」類の風説は裁判に不利としても公に否定しなさいな!

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