新小児科医のつぶやき

2007-11-29 信じてよいのか、悪いのか

まず11/29付読売新聞より、

08年度の診療報酬改定、薬価を1%程度引き下げへ

 政府は28日、2008年度の診療報酬改定で、薬価を1%程度引き下げる方針を固めた。

 厚生労働省が同日、厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)に提出した薬価調査で、医薬品に支払う公的な価格が市場の実勢価格を平均約6・5%上回る価格差があったためだ。薬価の1%程度引き下げが実現すれば、来年度予算で医療費への国庫負担は約800億円抑制される見通しだ。

 一方、中医協は同日の総会で、診療報酬の本体の改定について、医師不足問題などを背景に、「マイナス改定を行う状況にない」とする意見書を決定し、舛添厚労相に提出した。

 今後、政府・与党が、診療報酬本体の改定幅などを議論し、来月中旬にも診療報酬改定を決定する方針だ。

さらに11/28付共同通信より

医師技術料プラスで調整へ 診療報酬、勤務医対策に

 2008年度診療報酬改定で中央社会保険医療協議会(中医協)は28日、医師の技術料である「本体部分」についてマイナス改定を行うべきではないとの意見書をまとめ、舛添要一厚生労働相に報告した。これを受け厚生労働省は、本体部分の引き上げに向け財政当局と調整に入る方針。

 政府は年内の予算編成過程で診療報酬の改定率を決める。改定率の決定権は、汚職事件に端を発した改革により前回06年度改定以降、中医協から内閣に移ったが、医療費を負担する立場の健康保険組合や財界の委員も合意した意見書は一定の重みを持つ。与党内にも厚生労働族議員を中心にプラス改定を要求する意見が強く、本体引き上げへの流れは加速しそうだ。

 こうした動きの背景には、病院勤務医の過酷な勤務状況など医療現場が疲弊している実態がある。意見書では「産科・小児科や救急医療などの実情に照らし、次期改定では勤務医対策が重点課題」と明記した。

医療費削減、診療報酬削減一辺倒であった平成20年度診療報酬改定ですが、中医協の結論は技術料本体部分は「マイナス」は行なわず「プラス」との意見であるとの事です。開業医として素直に嬉しいのですが、それまでの流れからするとやや唐突の感じは否めません。

中医協以外の流れとしては財政制度等審議会が建議として、

    「3.6%程度のかい離がある」として、「これを是正する方向で見直す」と明記した。

後はこれも強い影響力を持つ経済諮問会議も医療費削減の大合唱です。平成20年度改定については外堀も内堀も埋め尽くされた状況でしたが、それでも中医協が逆の結論を出した事に驚きを隠しきれません。情報として中医協の公益側委員が診療報酬引き上げの意見を表明した事が報道されたりはありましたが、それを圧倒するかのように「削減、削減」の情報が溢れていましたから、意外と感じても不思議無いかと思います。

問題は中医協の意見がどこまで反映されるかです。共同通信記事にあるように診療報酬の決定権は内閣にありますが、首相がこの問題をどこに振るかでその意向がわかります。またぞろ経済諮問会議の意見を聞くの路線となれば問題は振り出しに戻ります。振り出しに戻ると言うより、首相の意向はマイナス改定路線である事になります。

与党の意見を聞くとなれば、プラスさえも可能性が出てきます。プラス改定を主張する議員は厚生族議員の他に、地方出身議員も多いと考えられます。参議院選挙の敗因は表面上は、年金問題、さらに閣僚の相次ぐ不祥事や、それに対する前首相の指導力の欠如とされていますが、それだけでない事を地方出身議員は痛切に感じているはずです。地方においてより深刻化している医療崩壊の影響が無視できないものになっているのです。

声としてはマスコミが取り上げないので表面化することは少ないですが、医療崩壊に直面する高齢者の医療に対する痛みは確実に投票に影響しています。高齢者は投票率も高く、これまでは地方の与党の強力な基盤でしたが、医療だけではなく他の政策の痛みも強烈に感じ、与党離れの傾向は著明となっています。つまり次期総選挙に向けて医療費削減を断行したら、ドミノ倒しの大量落選の危機を強く感じているだろうと言う事です。

政治は決定権者の数で大きく動きます。各種審議会が強大な影響力を誇れたのは前々首相が党内を掌握していたからです。掌握という言葉は不適切で、前々首相の国民的人気に便乗していたら選挙に勝てるという強い支持です。前々首相が各種審議会の決定を政策決定の拠り所とした政治手法に不快感をもつ議員も少なくないでしょうが、「選挙に勝てる」という信頼は前々首相の政策を許容し、結果としての形態として前々首相の審議会重視手法が幅を利かしたと考えます。

ところが現首相はそこまでの選挙における信頼感を得ておりません。次期総選挙への与党の危機感は相当なものです。民主党も参議院選挙後エラーを行なっていますが、総選挙自体は風一つでどう転ぶかわからない状態であるのは続いています。ただでも前回選挙は大勝の極みで、誰がやっても議席が減るのは確実ですが、与党への逆風はまだまだ続いています。議員職がかかっている議員の動向は現実的です。なんと言っても前々首相が派閥を弱体化させてしまったために、各個の議員の統制は党内でも難しくなっています。

さて中医協の結論が今後の流れになっていくのか、医療費削減勢力が強烈な巻き返しを図るのか。どうにも先が読めない情勢に変わりつつあります。まだまだ医療費削減勢力は強大ですからね。

岡山の内科医岡山の内科医 2007/11/29 09:11 中医協の委員に例の有名な勝村久司氏がなれたのも、中医協の実質的な影響力が削がれた後だったからです。
中医協の答申にまともな意見が出たからといって、ぬか喜びは禁物と考えます。

MRROMMRROM 2007/11/29 09:47 @まあこれもひどいはなしですね、、、
  医療版ケアマネ みたいなもんか?なら、メデカルコンダクター メデコン
とかにすれば??


「主治医」の表現を撤回/後期高齢者で厚労省
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/13282.html

 2008年度から始まる75歳以上の後期高齢者医療の診療報酬について厚生労働省
は11月28日、中央社会保険医療協議会(中医協)
基本問題小委員会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)に対し、後期高齢者
の健康状態や薬歴などを総合的に把握する医師を
「主治医」と表現していたのを撤回した上で、主治医が受け取る医学管理料の算
定要件について理解を求めたが、前回と同様に
委員から反対意見や指摘が相次いだため継続審議となった。
 後期高齢者を対象にした新しい医療制度について、厚労省は外来医療や在宅医
療の中心に「主治医」を位置付け、
診療報酬上で評価していく方針を示している。
 主治医を中心に地域の医療関係者が高齢者の情報を共有して相互の連携を進め
ながら、主治医が高齢者の健康状態を総合的に把握して
継続的な医療を提供する制度を目指している。
 しかし、75歳以上の高齢者は複数の疾患を抱えていることが多いため、「高齢
者を診る医師を1人の主治医に限定するとフリーアクセスを阻害する」
という批判や、「情報の共有と連携は具体的なところが分からない」との指摘も
ある。
 このような批判などを受けて厚労省は、「主治医という名称は人それぞれでイ
メージが異なる」との理由から表現を改め、新たな名称に
変更することを提案。「地域担当医」「高齢者総合担当医」「高齢者顧問医」
「包括連携医」「地域後見医」の5つを例示し、
委員などの意見を踏まえて次回以降の審議で決める(記事中では「主治医」と表
記する)。
 また、厚労省は前回の同委員会で、後期高齢者の外来医療に新たな「医学管理
料」を創設し、年間計画に基づいた継続的な診療や検査を行った場合に
1カ月単位の包括点数を算定できるようにすることを提案している。
 この医学管理料を算定できる主治医は患者1人につき1人とし、原則として診療
所の医師に限定する考えも示した。周辺に診療所がない地域では
病院の勤務医も主治医として認める。


 前回、委員から「病院の医師が主治医になっている場合もあるので、200床未
満の病院の医師も主治医として評価すべき」
との意見が出たほか、「主治医は本来、患者が決めるもので、1人だけというの
はあり得ない」と日本医師会が強く反対したため
結論が出なかった。
 この日、厚労省は主治医が算定できる「新たな医学管理料」の要件として、
1.対象となる疾患、2.年間診療計画書の作成、3.包括される診療項目、
4.「お薬手帳」の確認義務、5.主治医の研修――などを示したが、一連の方向
性に対して日本医師会が反発した。
 鈴木満委員(日本医師会常任理事)は「1人の医師という点が私どもの主張と
違う。がん、心疾患、糖尿病など、
それぞれ専門の主治医がいるのに絞り込むので話がよじれてしまう。ぜひ再考い
ただきたい。これは次回に持ち越しだ」などと反対し、
継続審議を求めた。
 これに対し、保険局の原徳壽医療課長は「それぞれの病気にそれぞれの主治医
がいるのはかまわない。しかし、
すべてのところでレントゲン撮影をする必要はない。患者の健康状態を総合的に
チェックする医師は1人でお願いしたいという意味だ」
と説明し、改めて理解を求めた。
 しかし、「新たな医学管理料」の算定要件となる「年間診療計画書」や「お薬
手帳の義務化」などをめぐって他の委員からの
指摘も相次いだため、土田会長は「次回に改めて検討したい」と打ち切り、次回
以降に引き続き審議することになった。

tadano-rytadano-ry 2007/11/29 11:12
 今の国会はテロ対策特措法をめぐる駆け引きに躍起で、医療を含む国民に直結した課題はろくに審議すらされていない状況です。だからこそ中医協や経済諮問会議を初めとする各種審議会の動向が報道されるわけです。

 政府自民党は事実上米国に成立を公約していることもあり引くに引けない状況になってますが、公明党との協力や選挙のことも考えればテロ対策を棚上げして国民生活に直結する課題を優先するというオプションもあるはずです。

 逆に民主党は国民生活に直結する課題を優先させられると選挙前に政府にポイントを取られることになるので、とことん固執してくると思われます。このままでは大事な問題がロクに審議もされず年度末間際にバタバタと成立するいつものパターンが展開されそうで、結局官僚の思うつぼの展開になってしまいそうなのが嫌な感じです。

 全然関係のない話ですが、自衛隊はアフガニスタンでの作戦の後方支援をしていることになっています。アフガニスタンはいま米軍でなくNATO軍が占領していますが、実は去年からタリバンの勢力が盛り返しており、アフガニスタンのほぼ半分がタリバンの支配下にあるという状況になってきているようです。

 http://news.independent.co.uk/world/asia/article3182330.ece

 これを受けて先日、英国の外交官であり、ボスニア・ヘルツェゴビナ問題で国連の代表を務めたLord Ashdown氏が「NATOはタリバンに敗北している」と発言するというショッキングなニュースがありました。

http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml;jsessionid=KJBN1QXBDVTM5QFIQMGSFFOAVCBQWIV0?xml=/news/2007/10/25/wafg125.xml

 日本では、インド洋での給油活動について議論されているのですが、肝心のNATOのアフガニスタンでの失敗についてはろくに報道されてもいません。この国の政治家たちは、自分たちが今していることの意味も考えずに給油を継続するか否かで大騒ぎしている訳で、この調子ではたとえ政権交代が起きても未来は暗惨たる思いです。

YosyanYosyan 2007/11/29 14:03 tadano-ry様

現在の政治情勢は御指摘のように政局をにらんでの駆け引きに終始しています。極論すればどの時期に解散総選挙を行なえば、与野党とも有利であるかの一点を巡って動いていると考えて良いかと思います。

>年度末間際にバタバタと成立するいつものパターンが展開されそうで、結局官僚の思うつぼの展開

そうなる可能性も十分ありますが、与党は予算案成立後の解散が当面の目標ですから、逆にドタバタで生活密着の選挙のためのアメが成立する可能性があります。アメには野党も反対できませんし、与党はアメを「成果」として選挙に臨むわけです。野党としては選挙でアメを実現するとの公約を掲げたいでしょうから、予算案前の解散が狙いですが、党内の結束は微妙で一丸ではありません。結局、防衛庁汚職問題、テロ問題で膠着させながら様子窺いと見ています。

中医協の結論も与党が選挙用のアメと考えるかどうかが焦点になりそうです。

tadano-rytadano-ry 2007/11/29 17:36
>選挙用のアメと考えるかどうか

 微妙なところですね。診療報酬を下げれば一時的には自己負担が減るわけですから、よく知らずに好意的に捉える国民は多いような気がします。もちろん選挙の後には医療崩壊の荒野が待っています。
 
 診療報酬を上げれば自己負担は増えますが、病院や診療所の経営は改善され長期的には国民に理があるような気がします。

 要は、「医師は儲けすぎている」という幻想を国民の頭から払拭させ、今の医療崩壊のシステムを一般の人たちがどれだけ理解してくれるかにかかっている気がします。しかしこの期に及んでもマスコミは電波な論説を張っています。ここのトラバで知ったのですが、コピペするのも不愉快です。

ttp://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/other/106414/
           ↑
 ご覧になるのは血圧の低いときをおすすめしますwww

BugsyBugsy 2007/11/29 18:32
tadano-ry様

夕食前に ふと拝見して血圧がうなぎ登りです。
>約2兆円の国民負担増
公共工事は如何?論拠がわからん。
>薬価もそうなのだが、税金が投入されているという事実認識が医師には希薄なのではないか。
最初に公務員に聞けば?健康保険が破綻して国家予算から補填する事態にならざるをえないのは 医師のせいか?
>では、その使い道はどうかというと、半分は医師などの人件費、つまり診療報酬なのだ。公務員ほどではないが、医師も公費で養っている。
この日本語がわかりませーん。自費診療にしろと論説してるのか?

これ以上突っ込むと 脳卒中になりそうです。しかしこれが産経新聞の現状認識なんですかねえ。
エブリデイ新聞も駆逐されそうな勢いです。

YosyanYosyan 2007/11/29 18:54 Bugsy様

中間管理職様のところに情報としてありますが、この記事を書かれた論説副委員長とは岩崎慶市(株)産業経済新聞社論説副委員長のことであり、財政制度分科会 財政構造改革部会の委員を務められておられます。会議ではさぞ医療費削減の急先鋒であったことは容易に想像されます。

みかんみかん 2007/11/29 19:06 ちなみに座長は港区に本社のある電気メーカーの元社長です。医療用機器も作っています。

tadano-rytadano-ry 2007/11/29 19:53
長いですが引用します。結局岩崎氏は官僚の言うことをそのまま書いているだけのようです。

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財政制度等審議会 財政制度分科会 財政構造改革部会 議事次第

平成19年11月5日(月)16:31〜18:01 財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
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〔 富田部会長代理 〕 それでは、ただいまより財政制度分科会財政構造部会を開催いたします。皆様にはご多用中のところをご出席いただきましてありがとうございます。本日は、社会保障についての審議を行います。(略)

それでは、まず、迫田主計官より社会保障関係について説明をお願いいたします。

〔 迫田主計官 〕 厚生労働担当主計官の迫田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
(略)
 ただ、5ページをちょっとお開きいただきたいと思いますけれども、最近の国会等の議論でも、この5ページにあります総医療費の対GDP比が、日本の場合、非常に国際的に低いので、「上げるべきである」、あるいは「今が低すぎるのである」というふうなご議論があります。しかしながら、数字のとり方というのはいろいろでございまして、例えばこの5ページで見ていただきますと、総医療費の対GDP比ということでありますと左側の黒い方の棒グラフになりまして、日本の場合は8.0ということで、OECD平均、一番右端の9.0に比べて、低いと言えば低いわけでございますけれども、例えば薄い方、つまり公的医療費の対GDP比ということをとりますとOECDの平均を上回っているというふうな形になるわけでございまして、必ずしも総医療費の対GDP比ということだけで論じられるのかという議論はあるんだろうと思います。

あるいは、例えば8ページをごらんいただきますと、これは公的医療費を一般政府総支出で国際比較したものでございますけれども、このような数字をとりますと、日本の場合は一般政府総支出比で17.7%ということでございまして、諸外国と比べて決して低くはないわけでございます。むしろアメリカに次いで2番目の高さということになるわけでございまして、一概に総医療費の対GDP比だけで高さを論じるというのは適当ではないのではないかというふうに思っているわけでございます。

(略)

2005年度のベースで国民医療費は33兆円でございますけれども、上から2つ目、財源別というところをごらんいただきますと、公費が36%、保険料が約半分の49%、患者負担等が14%ということでございます。特に国の場合は、この公費の中の数字でございますけれども、25%ということでございまして、大体国民医療費の4分の1が国の負担になっているということでございます。

それから、そのすぐ下の?費用構造ということでございますけれども、国民医療費を改めてとってみますと、大体、医師等の人件費が約5割、医薬品が約2割、それ以外が約3割というふうな図式になっているわけでございまして、こういった数字の前提を少し頭に置いておいていただきたいと思います。

(略)

こういう流れをどう評価するかということでございますけれども、41ページをごらんいただきたいと思います、これはデフレと言われている期間、最近に、診療報酬の本体と、それから消費者物価、人事院勧告がそれぞれどういう経緯をたどっているかということをプロットしたものでございます。一番上が診療報酬本体の改定率でございまして、1回上がり、下がり、フラットになり、もう1回下がりというふうな経緯でございますけれども、98年を100といたしますと99.2という水準でございます。

一方、この診療報酬本体との関係で言いますと、先ほど物件費3割、それから人件費5割と申し上げましたが、それぞれ物件費に見合うものというような意味合いで消費者物価指数というものをここでトレースしておりますけれども、ごらんいただくような状況で、98年を100とすれば97.0という水準でございます。

一方、人件費という意味合いから人事院勧告をとっておりますけれども、ごらんいただきますと、今年の勧告も含めてでございますけれども、足元93.1ということになっているということでございます。

42ページで、それを改めて計量的に追っかけてみたものでございますけれども、一番左側にありますように、おさらいになりますが、医療費の費用構造ということで言いますと、人件費が約5割、物件費等が3割、薬剤費等が約2割でございますけれども、これ、薬剤費等の約2割の世界については市場実勢等に応じた引き下げということでございますので、それを除いて、人件費、物件費というようなことで、人事院勧告、それから消費者物価指数それぞれの累計の▲について、5割、3割ということで加重平均をしたものが、中ほどの欄、右端にある▲4.4という数字でございます。

その一方で、診療報酬本体の改定率というのを一番下に掲げてございますけれども、これは累計をいたしますと▲0.8ということでございますので、この▲4.4と▲0.8ということを見ますと、▲3.6の乖離があるというのが、これまでの引き下げと世の中の物価水準との関係ということであろうと思います。
これがこれまでのことでございまして、マクロで見れば、まだ効率化努力というものの余地はあるのではないかということでございますけれども、43ページから、10月26日に発表されました「医療経済実態調査」の数字を掲げております。これでちょっとご説明をしたいと思います。

(略)
以上が、病院と診療所それぞれの10月26日に発表の実態調査でございますが、一方、医師の給与だけを抜き出しますと、45ページになります、左側に今年の調査による病院の勤務医さん、年収が1,415万円ということでございますが、一方で、開業医の個人の場合は、収支差額でアプローチをしますと2,800万円という数字になりました。単純に言うと2倍ということでございます。一方で、この中ほどにある法人等の開業医の場合の調査というのは、実は今年が初めてでございましたので比較する2年前のデータというのはありませんけれども、それと比べますと1.8倍ということになっておりまして、かなり病院の勤務医さんと比べると高い水準にあるということだろうと思います。

この開業医さんの収入について、公平を期すために日本医師会さんがどうおっしゃっているかということが47ページでございます。これは、今年の4月11日に、「医師の給与について」ということで、日本医師会、日医総研が公表しておられるものでございまして、左側の点線で囲ってあるところでございます。

いわく、「一方、開業医の所得は高いという指摘もある。しかし、個人立の診療所では、収支差から、税金を支払い、借入金返済、設備投資等も行わなければならず、実質可処分所得は約1,000万円である」ということでございまして、年収が2,800万円もあると思ってもらっては困るというご指摘のようでございますが、税金とか、借入金とか返済して1,000万円手元に残るのではあれば相当いいではないかというのが一般的な見方かもしれませんけれども、やや、批判という意味ではありませんが、気づいた点を右側の方に吹き出しでちょっと書いております。

「収支差から税金を差っ引くと」というふうに医師会さんはおっしゃっているんですけれども、病院勤務医さんの場合も、当然、給料月額は税金引き前でございますので、比較をするのであれば、これは別に比較の意味はないということだろうと思うんです。

それから、借入金返済というのを収支差からさらに引いておられるんですけれども、借金の返済の元本は、これは借入金の見合いでありますので、借入金を収支に入れないのであれば借金返済も収支に入れないというのが普通の発想だろうと思います。ちなみに、利払いの方はこの収支差を導く前の費用のところで計上してあるわけでございまして、要は元本をどう取り扱うかいうことでございます、さっきの返済という方を、これで出て行く金だとするのであれば、借金をしたときには、それは収入としてカウントするということになるんだろうと思います。

それから、退職金相当というところでお金が積んでありますけれども、まず従業員の退職金のお話であれば、これは前年実績の12分の1を既に費用として計上して、それを差っ引いた後の収支差でございまして、そこは関係はないのであって、もし開業医さんご本人の話だということであれば、開業医さんの場合、他の自営業者と同様、定年がないわけでございますので、退職金相当をどうするかというのは可処分所得の中での選択の問題ではないかというふうに思います。

それから、設備投資も行わなくてはならないんだというふうなご指摘ですけれども、当然、その現存物の価値以上の改善を行うとしても、将来的には、当然、減価償却費ということで費用で落としていくということでございまして、特に批判ということではありませんけれども、気がついた点を並べればこういうことになるということだろうと思います。

それで、開業医さんと病院の勤務医さんとの関係というのは、例えば48ページをごらんいただきますと、平均従業時間(週当たり)ということで、病院の、特に若い方というのは大変勤務時間が長くて大変であるというふうなことがよく言われていると。恐らく事実だろうと思いますが、診療所の場合には、週、大体40時間ぐらいということで推移をしているということだろうと思います。

それから、49ページは、これは診療所で、休日、あるいは時間外、どういう診療をしておられるかということでございますけれども、上の方は休日・時間外診療実施診療所数、診療所の数でございますけれども、見ていただきますと、日曜とか休日ということになりますと、なかなか診療所を開いているということが少ないという事実がございます。

また、事実、下の方の2.でございますけれども、診療所における休日・時間外の延べ診療患者数(一月当たり)ということでございますけれども、例えば休日というところを見ていただきますと、1999年と2004年では、休日に診療所で見てもらった患者さんというのは半分以下になっているというふうな実態もあるわけでございます。

さらに言うと、50ページで、往診ですけれども、診療所の先生に往診を受けたという外来患者の方はずっと減ってきているというのが大きな流れとしてあるわけでございまして、どうも、診療所、それから病院という間の差というものをどう考えていくかということは、診療報酬を議論する場合に、1つ重要な切り口ではないかというふうに思っているわけでございます。

例えば、52ページをごらんいただきたいと思いますけれども、診療所と病院で診療報酬点数が異なる例というのがございます。上は再診料です。初診料は病院も診療所も同じですけれども再診料が違うということでございまして、診療所の方が高めについているわけでございます。もちろん、これは1つの考え方があってこういう点数づけになっているはずでございますけれども、実態としては、診療所の方が高くて病院は低いということになっている、あるいは下の特定疾患療養管理料といったもの、これは、括弧に書いておりますが、糖尿病とか不整脈等の患者に対しまして治療計画に基づいて服薬、運動、栄養等の療養上の管理を行った場合ということでございますが、診療所が非常に高い点数がついていて病院がそれぞれ低い点数になっているということでございます。

繰り返しになりますけど、恐らく基本的な考え方というのがあってこういう点数づけになっているんだろうと思いますけれども、実態としては必ずしもその病院と診療所の役割分担というものがうまく機能していない中で、結果においては、診療所と病院との収支の差というものにこういう辺が寄与しているんではないかというふうに思われるわけでございます。
(後略)

BugsyBugsy 2007/11/29 20:25 >今年の調査による病院の勤務医さん、年収が1,415万円ということでございますが、

開業医の先生の年収は実感として存じ上げません。
勤務医の年収の平均ですか。よっぽど平均値を上げている集団があるんでしょうねえ。
都内の公立病院で実際に1500万以上もらっている勤務医という人にお目にかかったことがないのです(涙)。若手 といっても40台後半でも部長クラスにならない限り年収が1千万を超えるわけがないですよ。
さらに定年退職の際の退職金なんざ 大学病院で何千万もらっちゃいましたというのも知りません。あ そーか。大学病院のスタッフは臨床医といえども教官としての給料であって 医者としての給料じゃないと言われたことがありましたね。(泣きながら納得)それでも医局の都合として 教授以外で講師や助教授が定年まで大学に残れたって聞いたことありますか?

開業医は勤務医として臨床の修行を積んだ後に開業するのが通常であって 当然勤務医よりは平均年齢も上のはずです。勤務医とは医師になりたての若手の医師も含んでいて 開業医の先生方が臨床経験の年数が多いはずなので 相応して高い収入を得てもなんの嫉妬も不思議も感じません。仮に政策として開業医の収入を減らして勤務医の収入に近づけようとするならば 医師の臨床経験を侮辱した話ですね。今ですら 臨床経験年数や専門性を無視して 医師の技術料は世界でも稀にみる低さです。
個人開業医を減らしたいのですかね。そうなるといくら優秀な技量をもつ勤務医といっても60台で定年し あとはその臨床能力を活かせる場所がなくなり さらに臨床医の実働人数が減ることになるじゃないですか。

元ライダー元ライダー 2007/11/29 21:42 >みかん さま
>ちなみに座長は港区に本社のある電気メーカーの元社長です。医療用機器も作っています。

私は居抜き開業ですが、以前から設置してあったレントゲンが壊れたので、昨年買い換えました。座長のメーカーからは見積もりも取りませんでした。それから数年前に警備会社もヨン様から井上康生さんに変えました(料金も半額になりました)。リース会社もバファローズは絶対に使いません。

tadano-rytadano-ry 2007/11/30 02:38
>必ずしも総医療費の対GDP比ということだけで論じられるのかという議論はあるんだろう

少し考えれば自明のことですが、医療費における公的医療費の割合はその国の医療政策に大きく左右されます。日本のように国民皆保険で自由診療や混合診療に事実上制限がかけられている国で公的医療費の割合が多くなるのは当たり前です。公的医療費の対GDP比というのは、その国の医療に国がどの程度関わっているか否かを示す指標にはなると思いますが、それだけで公的医療費を削減する根拠にはなり得ないと私は考えます。

 またOECD Health Dataで比較されている30ヶ国の中で日本は米国に続いて2番目に人口の高い国であることを忘れてはいけません。国際間の比較には対GDP比が適当に思われますが、国民が医療の受益者であるという観点から考えると、国民1人当たりの医療費という観点も忘れてはいけないと思います。OECDのHPにちょうどそのグラフが出ています。

 http://www.oecd.org/dataoecd/45/51/38979974.pdf

の2番目のグラフ、Health expenditure per capita, public and private expenditure, OECD countries 2005 と書いてあるやつです。これを見るとやはり日本は総医療費も公的医療費もOECD平均をわずかですが下回り、記載されているサミット参加国の中では最低の水準であることが分かります。(ちなみにグラフの単位はUSD PPP[US dollars Purchasing Power Parity]、つまり米ドルの購買力平価レート換算です)

 数学なら反例を一つあげれば命題全体が否定されますが、実社会ではそういうわけにはいきません。色々な観点から出た数値を総合的に判断することが求められます。「総医療費の対GDP比ということだけで論じられるのか」という指摘自体は誤りではないですが、だからといって自分たちに都合のいいデータだけを恣意的に取捨選択して出してよいということにはならないはずです。また厚生労働省の主計官でありながら、統計にはバイアスがかかるという当たり前の論点もお忘れになっておられるのには失望を禁じ得ません。

tadano-rytadano-ry 2007/11/30 03:23
Bugsy様

血圧をあげてしまい申しわけありません。

>薬価もそうなのだが、税金が投入されているという事実認識が医師には希薄なのではないか。

 というより、税金も保険料も自己負担分も、その出所はすべて国民の財布であり、多くの人たちが額に汗して(少し大袈裟?)働いて手にしたお金です。そんなことは十分承知しています。むしろこの国のマスコミは税金税金と言い過ぎです。いまさら貧窮問答歌でもないでしょう。

>では、その使い道はどうかというと、半分は医師などの人件費、つまり診療報酬なのだ。公務員ほどではないが、医師も公費で養っている。

 私には「医師は準公務員みたいなものだ、だから官僚の言うことをおとなしく聞け」といっているように聞こえました。あまりに感情的になりそうなのでこれ以上のコメントは控えます。

uchitamauchitama 2007/12/01 01:28 Yosyan様
プラス改定やマイナス改定というのは現在の医療費と比較しているだけの小さな視点であり、アメリカや他のOECDの医療費と比較しなければ医療費が適正なものか判断できないのでしょう。特に日本は国民会保険制度なので、患者は何も考えることなく定められた額の窓口での支払いだけで、後の赤字部分は税金と考えられるのでしょうか。
結局、医療がさらに崩壊し、自由診療と民間医療保険(アメリカ型?)という次のステップに進まなければまともな議論(アメリカや他のOECD諸国との比較)など出来るはずはないのでしょう。そうなれば税金よりももっと多額の支払いを窓口あるいは保険会社にするだけになるのでしょうが。
結局、混合診療を解禁しなければ、医師会や医療提供者側の発言権は生まれてこないような気がするのですが、この考え方は間違っているのでしょうか?医師会が発言権(有効なカード)を持つためには自由診療部分の価格決定に影響力を持つようになればよいと思うのですが。(保険診療部分の価格決定はできないため)
現在の医師会のカードは「医療が崩壊するぞ」という言葉での脅し文句だけですから直接には役に立ちません。
かなり周回遅れのようなコメントでどうもすみません。

YosyanYosyan 2007/12/01 07:37 Uchitama様

混合診療の解禁の是非は問題として複雑です。医師の間でも意見が分かれます。私は劇薬と考えており、なおかつ一度使えば不可逆性の変化となります。さらに言えば、混合診療解禁後に医師がイニシアチブを取れるかと言えば、これも極めて不透明と感じております。「だからどうするんだ?」と言われれば困るのですが、そんな簡単に答えが出てくるのなら誰も苦労はしないんじゃないでしょうか。

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