新小児科医のつぶやき

2007-11-30 財務省のプレゼン

一昨日の財政制度等審議会 財政制度分科会 財政構造改革部会に提出された財務省主計局の資料のお話の蒸し返しです。資料の43ページを引用します。



この表は「一般病院の収支の状況(2007年6月医療経済実態調査:10月26日発表)」として出されています。この表に対する解説を引用します。

  • 一般病院の収支差額比率をみると、稼働日数の違い(※)を勘案すれば、

    • 一般病院(国公立を除く)は概ね前回調査と同様、その6割を占める医療法人は改善。
    • 国立病院も前回調査とほぼ同様であるが、公立病院は悪化しており、経営効率化等の公立病院改革が急務となっていると考えられる。

      ※稼働日数の減少(平日1日が土曜日に振替)により、医療費総額(≒医業収入)は▲1.2%程度の影響がある見込み。一方、医業費用の中には稼働日数が減少しても大きく変動しないもの(給与費・減価償却費)が多い。

  • なお、収支差額比率が悪化している公立病院を中心に給与費比率の上昇幅が大きいことに留意する必要。

この表と解説を使ったプレゼンを議事録から引用します。

 これがこれまでのことでございまして、マクロで見れば、まだ効率化努力というものの余地はあるのではないかということでございますけれども、43ページから、10月26日に発表されました「医療経済実態調査」の数字を掲げております。これでちょっとご説明をしたいと思います。

 43ページでございますけれども、これは、2007年6月、今年の6月のデータを10月26日に中医協で取りまとめて発表したものでございますけれども、まず、43ページは一般病院の収支の状況を見ております。下の表の方で見ていただきますと、左側の方が2年前の6月、右側の方が今年の6月ということでございますけれども、医業収入を100といたしまして、医業費用というものがあり、それを差っ引くと医業収支差額というものが出てくると、こういうことでございますけれども、この数字を、2年前と今年と、それぞれ6月どうしで比較をしたものでございます。

 上の文章の方に戻っていただきますと、一般病院の収支差額比率というものを見ますと、まず、実は稼働日数の違いというものがあるわけでございます。米印で中ほどに書いてございますけれども、実は今年の6月の場合、2年前の6月に比べまして稼働日数が1日少ない、具体的に言いますと、平日1日が土曜日に振りかわっているという状況がございます。

 これは、医療費総額、例えば病院を開いていないとか、あるいは半日であるとかということで、収入の方にはかなりマイナスにきく話でございますが、一方、費用の方で言いますと、給与費、あるいは減価償却費ということでありますと稼働日数に直接影響しないということになるわけでございまして、総じて言いますと、稼働日数の減少要因というのは、収支ということから言いますと悪い方へ働くということが前提でございます。

 その違いを勘案した上でもう1回文章の方に戻っていただきますと、一般病院、この表で言いますと一番上の欄でございますけれども、国公立を除いて見ますと、この医業収支差額比率というところをそれぞれ比べていただきますと、ほぼ前回調査と同様ということではないかと。つまり、右から2欄目の収支差額比率の変化幅というのが▲1.2ということでございますので、データ的に悪い方向にきく要因で▲1.2ということであるので、ほぼ前回調査並みと言っていいのではないかということでございます。

 その下の欄にあります医療法人、これは、要するに民間の病院だとお考えいただければいいと思いますけれども、医療法人の方は、実は収支差額比率の変化幅というのはプラスに出ております。プラスの1.2%ということでございます。ちなみに給与費の比率はむしろプラスになっているという中でございますから、それでプラスの1.2%ということになっているということでございます。

 それから、国立病院というのもほぼ前回調査並みでございますけれども、公立病院というのはかなり特異な数字になっております。一番下に公立病院の数字がございますけれども、実は2年前のこの調査でも、医業収支差額比率は▲9.1ということでございました。今年の調査で言うと、それが▲17.4ということでございまして、かなり悪化をしているということでございます。

 ただ、一方、公立病院の欄を見ていただきますと、一番右の給与費比率の変化幅というところでございますけれども、これはプラスの5.2ということで、実はほかの一般病院、医療法人、国立病院と比べてかなりプラスの方に出ているということでございます。

 これをどう見るかということでございますけれども、公立病院につきましては、構造的にいろいろ見直すべきところがあるというのはかねて指摘をされているところでございまして、事実、総務省の方でも懇談会が開催をされていると思います。例えば公務員の給与の問題であるとか、やや公立病院も含めてここでその診療報酬全体の議論をするというよりは、公立病院特有のいろんな課題について、別のアプローチできちっと答えを出していただくということが必要なのではないかということでございます。

長いプレゼンなので適宜再引用しながら、見て行きます。

つまり、右から2欄目の収支差額比率の変化幅というのが▲1.2ということでございますので、データ的に悪い方向にきく要因で▲1.2ということであるので、ほぼ前回調査並みと言っていいのではないかということでございます。

このプレゼンでは数値をすべて比(率)で説明しています。この比で説明する手法について、tadano-ry様から、

    一般論としてですが、統計学の世界では比だけで表を作ることはタブーとされていまして、可能な限り数値A,数値B,A/B比の3点を同じ表に表記するよう指導されます。

ちなみにtadano-ry様のプロフィールは、

    数学科で統計学を専攻し卒業後、日本でもそれなりに有名な経営コンサルティング会社に籍を置いていました。なんとか中小企業診断士の資格も取り、再受験のため辞職するときには、それほど経営状況の厳しくない企業のコンサルティングを任されるようになっていました。

こえまでも統計や経営について鋭い指摘が何度もなされましたが、このプロフィールを聞いて納得しました。統計に強いというレベルではなく、実戦経験まである統計経営のプロだと言う事です。それだけにこの指摘は重いものがあります。財務省主計局も統計に関してはプロであると思うのですが、どういう判断か財政審議会と言う重要な場で比でもって説明すると言う行為を行なっています。

ここで▲1.2%は国立病院の収支差額比率を指しています。これについての資料の解説は

    国立病院も前回調査とほぼ同様であるが

この部分のプレゼンであるのですが、資料の一行上に

    その6割を占める医療法人は改善

医療法人の収支差額比率は+1.2%です。ここでの比較は比でもってなされているので、+1.2%の医療法人が改善であるなら、▲1.2%の国立病院は経営悪化と表現するのが妥当です。医療法人も国立病院も収支差額比率の変動幅は1.2%であり、一方を改善、一方を「ほぼ同様」とするのは明らかな意図をもったレトリックと判断できます。

一番下に公立病院の数字がございますけれども、実は2年前のこの調査でも、医業収支差額比率は▲9.1ということでございました。今年の調査で言うと、それが▲17.4ということでございまして、かなり悪化をしているということでございます。

 ただ、一方、公立病院の欄を見ていただきますと、一番右の給与費比率の変化幅というところでございますけれども、これはプラスの5.2ということで、実はほかの一般病院、医療法人、国立病院と比べてかなりプラスの方に出ているということでございます。

公立病院の悪化ぶりのプレゼンです。4年前の調査と比較すれば▲17.4%の悪化ですから、物凄く悪くなっている事を強調した上で、給与費比率の説明に入っています。資料では○で囲んで強調しているところで、もう一度抜き出して書けば、


開設主体 収支差額比率の変化幅 給与費比率の変化幅
医療法人 +1.2% +1.0%
公立病院 ▲8.3% +5.2%


医療法人が収支差比率が+1.2%改善しているのに、給与費比率が+1.0%しか上っていないのに対し、公立病院は収支差比率が▲8.3%も悪化しているのに給与費比率が+5.2%も上昇しているのを問題視していることがわかります。

次がこの部分のプレゼンの結論と考えられます。

例えば公務員の給与の問題であるとか、やや公立病院も含めてここでその診療報酬全体の議論をするというよりは、公立病院特有のいろんな課題について、別のアプローチできちっと答えを出していただくということが必要なのではないかということでございます。

財務省の主張は国立病院、医療法人の経営が「健全」なのに公立病院のみが悪化しているのは、公立病院の努力不足とし、努力不足の主因として公務員の給与が問題であるとしています。そういう風にはっきり説明している事が分かります。つまりこの資料で言う

    経営効率化等の公立病院改革

とは、病院職員の給与の引き下げであり、診療報酬の削減とは別次元の話であると結ばれています。

中央社会保険医療協議会 調査実施小委員会(第23回) 議事次第日本病院団体協議会提出資料に赤字病院の比率が示されています。


開設主体 平成18年度赤字率
国立 69.29
公立 92.73
公的 58.90
医療法人 25.33
個人 21.21
その他 47.67


たしかに公立病院の92.73%の赤字率は高値ですが、財務省が改善しているとした医療法人で25.33%、安泰と見なしている国立病院で69.29%の赤字率です。また赤字率は平成17年度から平成18年度にかけてすべての開設主体の病院で悪化しており、とくに民間病院で悪化している事を示しています。調査対象、調査方法が異なるので単純比較は出来ませんが、診療報酬削減と公立病院経営悪化は別次元とするのはかなりの我田引水かと考えます。

また公立病院の給与費比率の増加の原因を財務省は資料でもプレゼンでも一切触れず、聞くものの印象として「放漫経営」が原因と受け取れるようになっています。これについてまずphysician様から、

地方公立病院での人件費高騰は、『募集のための待遇改善』『現存職員確保のための待遇改善』が原因という分析は本当に正しいのでしょうか?

『給与費比率の上昇幅が大きい』というのは比率の問題なので、他の支出、収入が減って、そこだけ残ったということはないのでしょうか?

さらにTM様から、

physician様

先生の読み通り病院の医業収入が減少し給与費の割合が上がっているようです.

給与費自体も減少していますね.

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/10/dl/s1031-3b.pdf

私も確認しましたが、医業収入は減少し、それに伴い医業支出も減少しています。給費比率は医業支出全体に占める割合ですから、医業支出の総額が減れば、給与費比率は当然のように増加します。給与費額自体も減少していますが、それ以上に医業支出が減少しているということです。ここで医業収入が減っても医業支出が減れば相殺するとも受け取られそうですが、収支差比率が8.3%も悪化していますから、

    医業収入減少 > 医業支出減少

医業支出の減少と言っても、絶対の固定経費部分があり、医業収入が減少した分だけ医業支出が等しく減少するわけではないのです。

それでも売り上げが落ちて経営が苦しくなれば給与費(人件費)を削減せざるを得ないであろうの意見はあるかと思います。給与費の削減が不十分の意見です。一理はありますが、病院は医療法により必要定員が定められており、その人数以上のリストラは不可能となります。強引にリストラすれば病床閉鎖を行なわざるを得なくなり、余計に収入源が減ることになります。

また公立病院によって違いはあるでしょうが、公立病院の職員は地方公務員です。公務員の給与費の抑制について、僻地外科医様からのコメントです。

 確保の問題だけじゃなく、公的病院ではそう簡単に給与を増減出来ないという問題もありますね。民間の小病院なら「収入が減ったで給与を下げます」と言うこともあるいは可能かも知れませんが(現実的には論外ですけど)、公的病院における給与は条例によって決められています。仮に実際に給与を下げようとしても、特別不適切な行為もない公務員の給与を下げるためには条例改正しかありません。そんなものの審議を1年やそこらで出来ると財務省では考えてるんですかね?また、給与の高いベテランの職員をリストラしようとしても、よほど問題でも起こさない限りクビに出来るものじゃないです。

公務員は給料条例主義と言って、すべて議会の承認が必要です。事実上、医師や看護師は病院にしか勤務しませんが、事務職などは異動の一環として勤務する事は珍しくありません。公立病院は自治体所属の施設の一つですが、病院単体の経営改善のために病院職員の給与だけを下げるのにはそれだけの名目と議会の承認が必要です。

一見簡単そうですが、病院以外の公務員との給与が問題となります。病院の赤字を職員個々の責任に負わせられるかの問題です。病院の赤字改善のために病院職員の給与を狙い撃ちして下げる理屈が通るのなら、例えばバス事業、水道事業などがあって、これも赤字であるなら、そこの職員も経営改善のために給与を下げる必要が生じます。そういう理屈は市の事業がすべて収益事業ならまだ通りますが、消防や清掃、警察、教育などの非収益部門の評価はどうなるかの問題に行き着きます。

民間であっても人件費に手をつけるのは容易でないとの指摘をtadano-ry様から頂いています。

 民間企業であっても人件費はそう簡単に減らせるものではありません。大企業では労組の力も強いですし、中小企業は社員全員が家族のような企業も多いので、人件費の削減はなかなか経営者の同意が得られないのが普通です。ですから、それこそ業務の効率化を図って他の経費から減らしていき、他に削るところがなくなってようやく人件費にたどり着いた例が多かったと思います。こんな若造の案に何日を迷われ、涙を流しながら同意された経営者の方を何人も見てきました。労組や社員の方にも納得してもらえるまで何度も面談しましたし、最後は「確かに苦しいけどみんな頑張ろう」と言って頂きひたすら恐縮することもありました。

 派遣という新しい業態が定着した昨今では少し様相が異なりますが、当時の同僚に聞けば、現場は私がいたころと今もそんなに変わらないようです。

 つまり人件比率の増加は民間であっても経営が苦しくなって一杯一杯である証左である(家計のエンゲル係数みたいなものです)のに、それを淡々と「経営改善の余地あり」と切って捨てる財務省の姿勢には大きな疑問を感じます。泣いて馬謖を斬ると言うと大袈裟ですが、もう少し医師の側にも配慮した書き方があるように思います。

もうひとつ僻地外科医様の指摘も重要です。

 2005年度前期と2007年度前期の比較をしてますが、平成18年度改正の内容が各病院に公示されたのは18年3月も半ば過ぎのことでした。これから各病院が対策を取ったとしても給与に手を付けるのは一番最後の話で(平成18年度改正は人集めが診療報酬を大きく左右するから)、それ以外の支出をいかに減らすかに各病院は頭を悩ましたのです。当然人件費率は上昇するはずでしょう。

 そもそもこのような無茶な改訂を主導した厚労省・財務省が「人件費率の上昇があるから公立病院は放漫経営だ」なんて言う論調は盗っ人猛々しいというものでしょう。

これも少し解説しておきますと、平成18年(2006年)の診療報酬改定の公示は3月半ばの年度末ギリギリです。一方で2006年の給与費は2006年3月には通常成立しています。病院にもよるでしょうが、平成18年の改定で大騒ぎになったのは7:1看護であり、この体制を敷く為の看護師獲得狂想曲が吹き荒れました。獲得競争は予想されていましたので、2006年度予算には給与費抑制は組み込まれません。

診療報酬改定の影響は実際の経営状況を見て判断されます。これらの経営数値を見て2007年度の給与費は定められますが、下げるとしてもそんなに無茶苦茶な額を行なえるわけではありません。経営悪化の責任は誰がどう考えても診療報酬改定のためであり、個々の職員の働き振りが悪いとは出来ないからです。ですからせいぜい経営数値を見て経費節減に努めるのと、若干の給与費削減しか打てる手は無かったかと考えます。

もちろん公立病院の経営悪化に、公立病院自身も改善しなくてはならない点があるのは言うまでもないことです。ただし公務員によって構成され、地域の医療のために不採算部門の維持を宿命付けられている公立病院は、医療法人に較べて最初から経営上不利な点があります。医療法人とまったく同じ土俵、経営条件であるわけでは無いという事です。

少なくと数字上のレトリックで公立病院の給与を減らせば「すべては上手くいく」の主張は非常に浅薄な考えであると思います。

元ライダー元ライダー 2007/11/30 10:08 Yosyan様
財務省の味方をするわけではありませんが、「国立病院も前回調査とほぼ同様」というのは、今回調査は診療実日数が1日少ないので、収入にとってマイナス要因になる。そこを加味すれば▲1.2%というのは実質横這いではないかという意味ではないかと。

それにしても大部分の数字の解釈はあきれますね。故意なのか思慮不足なのかは判りませんが、故意だとしても、少し検討すれば、数字の用法や解釈の誤りをすぐに指摘できるレベルの稚拙な故意です。省庁の中の省庁とも言われる財務省がそんなレベル。医療政策に限らず、他の政策の基になるデータ・その解釈も同様ではないかという疑念が浮上します。中央官庁がそんなレベルでは本当にこの国の行く末が心配です。

元ライダー元ライダー 2007/11/30 10:21 私が注目したいのは国立病院の赤字率(ほぼ7割)です。
自らが設定した診療報酬で自らが経営しても赤字になっている。自分でも黒字にできないのに、他者にも同じ診療報酬を押し付けている。「診療報酬が大杉!だから削減!」と言うなら、まず自ら黒字にしてみろと言いたい。
こう言うと「国立病院は採算の悪い公的な医療を担っている」との反論が出てきますが、公的な医療の採算が取れないように診療報酬を設定しているのもまた国自身だと言い返してやりたいところです。

tadano-rytadano-ry 2007/11/30 10:45 >▲1.2%というのは実質横這いではないかという

 上のプレゼンの説明を聞けば何となく納得してしまいそうですが、この-1.2%はただの-1.2%ではありません。+0.9%が-0.3%に、つまり黒字が赤字に変わったわけですから、これをあっさりと稼働日数の差だけで片付けたら経営分析はできません。個別の数値をちゃんと分析して、それ以外の理由がないかを徹底的に探さないといけません(いわゆる除外診断です)。稼働日数の差は単なるアーティファクトですが、もし構造的な原因その陰にかくれていて、それを放置したら大変なことになるかも知れないからです。

 それよりもっと単純な疑問は、「それならばなぜ1稼働日当たりの収支計算をしないのか」というものです。私なら絶対にやります。非常に大ざっぱにすれば国公立病院ではすでに完全週休2日制になっていますから平日の日数で、国公立以外では一応土曜日を0.5日として計算するくらいはすぐにできます。実際はそんなに単純なものではないのは承知していますが、速報値のデータだけではそこまで重み付けが出来ませんので、一応そこまでで表を作成してみます。

医療警察特別捜査官医療警察特別捜査官 2007/11/30 10:45 @メデイコップ ですか? まさに断末魔の阿鼻叫喚。。。。。。

独協医科大学学長の寺野彰氏が
個人名で寄せたパブリックコメント
「もっとも大きな問題は、本案が法制化されれば、
現在医療にとってもっとも重要課題とされている
産科、小児科、麻酔科、すべての外科を専攻する
医師は今後皆無になるであろう。我々教育者も
学生にこれらの専門科を専攻するよう勧めることは
できなくなるだろう。なぜなら言うまでもなく、
医師にも基本的人権は保障されているのだから」



日医白クマ通信 No.794 2007年11月22日(木)
刑事訴追からの不安を取り除くための取り組み
「診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案−
第二次試案 −(厚労省)について」
http://www.med.or.jp/shirokuma/no794.html
 日本医師会は、11月21日付で診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の
在り方に関して
「刑事訴追からの不安を取り除くための取り組み
−診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案
−第二次試案−(厚労省)について−」と題して、
現在までの取り組み等について、都道府県医師会・郡市区医師会宛に
文書を発出するとともに、『日医ニュース』12月5日号に掲載することとした。
   その中では、今回公表された試案に対するパブリックコメントでの問題点
の指摘について、試案の表現では真意を伝えていない箇所があることから、
試案についての問題点を解説することにより、
刑事訴追からの不安を取り除くための
日医の基本姿勢を改めて明らかにしている。
 また、この試案、あるいは文面だけを卒然と読むと、
確かに誤解を生む可能性があり、明らかに説明不足のところがある。
今後、この試案に関して、まだ詰めるべき論点はあるが、
診療関連死の場合に、原則として刑事司法の介入を避ける 新たな仕組みを法制
化することが、試案の最も基本的な目的であり、現行医師法21条の下で、
診療関連死は警察に届け出ることから始まり、刑事訴追へ至る方向性を、
診療関連死について変える現実的な第一段階であるとしている。
 最後に、会員の先生方におかれては、『日医ニュース』をご覧いただき、
日医の取り組みについてご理解、ご支援をお願いしたい。
◆問い合わせ先:総合医療政策課医療安全対策室 TEL:03-3946-2121(代)
独協医科大学学長の寺野彰氏が
個人名で寄せたパブリックコメント
「もっとも大きな問題は、本案が法制化されれば、
現在医療にとってもっとも重要課題とされている
産科、小児科、麻酔科、すべての外科を専攻する
医師は今後皆無になるであろう。我々教育者も
学生にこれらの専門科を専攻するよう勧めることは
できなくなるだろう。なぜなら言うまでもなく、
医師にも基本的人権は保障されているのだから」



日医白クマ通信 No.794 2007年11月22日(木)
刑事訴追からの不安を取り除くための取り組み
「診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案−
第二次試案 −(厚労省)について」
http://www.med.or.jp/shirokuma/no794.html
 日本医師会は、11月21日付で診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の
在り方に関して
「刑事訴追からの不安を取り除くための取り組み
−診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案
−第二次試案−(厚労省)について−」と題して、
現在までの取り組み等について、都道府県医師会・郡市区医師会宛に
文書を発出するとともに、『日医ニュース』12月5日号に掲載することとした。
   その中では、今回公表された試案に対するパブリックコメントでの問題点
の指摘について、試案の表現では真意を伝えていない箇所があることから、
試案についての問題点を解説することにより、
刑事訴追からの不安を取り除くための
日医の基本姿勢を改めて明らかにしている。
 また、この試案、あるいは文面だけを卒然と読むと、
確かに誤解を生む可能性があり、明らかに説明不足のところがある。
今後、この試案に関して、まだ詰めるべき論点はあるが、
診療関連死の場合に、原則として刑事司法の介入を避ける 新たな仕組みを法制
化することが、試案の最も基本的な目的であり、現行医師法21条の下で、
診療関連死は警察に届け出ることから始まり、刑事訴追へ至る方向性を、
診療関連死について変える現実的な第一段階であるとしている。
 最後に、会員の先生方におかれては、『日医ニュース』をご覧いただき、
日医の取り組みについてご理解、ご支援をお願いしたい。
◆問い合わせ先:総合医療政策課医療安全対策室 TEL:03-3946-2121(代)

tadano-rytadano-ry 2007/11/30 11:20 とりあえず全部平日を1稼働日とした表を作りました。

http://f.hatena.ne.jp/tadano-ry/20071130111847

先入観を与えるといけませんので、まずはご覧下さい

tadano-rytadano-ry 2007/11/30 12:35  先の表の私なりの簡単な分析です。なお平均を取っているわけなので個別の事情は様々です。私がもしこのような数字の一病院のコンサルタントを依頼されたら、という観点でお話したいと思います。

 まず国公立以外の病院ですが、1稼働日当たりに直しても収入は約4%減っています。つまり稼働日が1日少ない影響を除いても減少していることになり、他の原因を検索する必要があります。各項目を見ているとほぼ一律に下がっているので、これは来院・入院患者の減少や診療報酬の引き下げによる影響をまず考えなければなりません。
 費用についてみれば、人件費はほぼ横這いです。他の経費を見るとほぼ全部の項目で下がっていますから、何とか経費を削減して人件費を確保しようとしている状況が見て取れます。しかしそれでも黒字が赤字に転換したと言うことは、人件費による圧迫が出てきたということを示し、より一層の経費削減に向かうか、それともいよいよ人件費にメスを入れるか、経営的には難しい判断を迫られることになります。

 つぎにやり玉に挙がっている公立病院です。収入についてはほぼ同じ傾向が見られます。特に外来収入は平日のみの稼働はほぼ間違いないですから、やはりこれは単なる稼働日の影響とは考えづらいです。
 費用では人件費の上昇がまず目立ちますが、医薬品費の減少でほぼ見合いとなっています。費用削減もある程度はなさっているようです。私が非常に気になるのは委託費と経費(一般経費と考えられます)・人件費との関係です。委託は人件費や諸経費の節減を期待して行うのが普通ですが、表を見る限りその効果が現れていないことが分かります(この点は他の2つと対照的です)。これでは委託の意味がありません。委託を始めたばかりで初期費用がかかっているか効果が現れていない可能性もありますが、平均を取っていることを考えるとどうなんでしょうか。個別の例を見ないと分からないです。

 個別の事情は様々でしょうが、公立病院は赤字額も大きく確かに経営努力は必要です。しかし私なら取りあえず人件費は(本当は1割ほど削りたいですが)何とかこのレベルを維持し、まず他に手をつけるところがありそうなのでそこに着手するように提案します。自信はありませんが、2,3年先の黒字転換を目指し、それまでは何とか首長や議会の支援と地元住民の理解を求めていく他ないような感じです。
 国立病院は意外にうまく行っている印象ですが、職員の勤務状況や労働環境なども見た上で判断しなければなりません。おそらく病床数の多さや難病や高度医療の患者さんを扱う機会が多いからでしょうか、入院収入が多いのが強みです。
 国公立以外の病院は、おそらく国公立以上に個別の差が大きいのでこれだけで判断できませんが、平均レベルの病院はこれからかなり難しい経営を迫られ、平均以下の病院はかなり危機的な状況にあると見るべきです。

YosyanYosyan 2007/11/30 13:15 tadano-ry様

詳細な分析有り難うございます。もうちょっとゆっくり読んで、うまくまとめられたら、エントリーに仕立てたいと思います。

今日のエントリーの本来の構想は、最後の締めとして例の産経の論説副委員長の話につなげるつもりでした。残念ながら前段の話の解説に手間取り、説明だけで終わったのが心残りです。長さもそうですし、書く時間に余裕が無かったので残念です。

かの産経副論説委員はこの財務省のプレゼンを直接聞いています。なんと言ってもこの資料が提出された会議の委員ですからね。そして他の部分を含めて財務省の主張を鵜呑みしています。心からの賛同者である証拠に例の記事を書いています。記事の内容については触れるのも阿呆らしいので割愛しますが、周知の通りです。

ここで提灯記事を書いた事自体は矛盾していません。会議に出席し、討議し、賛同したのですから、そう書いてもおかしくはありません。問題なのはそういう財務省の主張を鵜呑みにした見識の無さです。真の問題点はそこにあります。財務省は会議のメンバーの目を眩ますためにプレゼンしております。その虚実を見抜けるかが委員の仕事です。

この資料が会議の前に渡されるのか、会議当日に渡されるのかはわかりません。会議の前に渡されたのなら、資料についてなんの検討もしていなかったことになります。検討は大新聞社に属しているわけですから、やろうと思えばやれます。いや、現在の政治で大きな影響力を持つ審議会ですから、十分な事前検討を行なってから出席するのは義務と考えます。

これが当日に渡されたのであれば、その日は財務省のプレゼンに惑わされた可能性はあります。しかし後日の検討は可能なはずです。いやこれも検討するのは義務と言えます。ボケッと出席して、御説頂戴してくるだけなら、小学生でもできます。

さらに事前であれ、後日であれ資料を検討してああいう意見に至ったのなら、委員の適性を疑います。この手の審議会の人選理由は不明ですが、政府の公式回答は「十分な識見を有した者」となっています。とても政府の公式回答レベルでさえ、その適性を満たしているとは思えません。論説副委員だけではなく、これを麗々しく記事にした産経もまたその調査能力、識見を疑われると言えます。

smaniasmania 2007/11/30 13:29 >tadano-ry様
>入院収入が多いのが強みです

ご教示ありがとうございます。勉強になります。

ところで7:1看護の話はご存知でしょうか?入院1日あたりの料金である入院基本料は、その病棟にどれだけ看護婦がいるかで全然額が違います。それで熾烈な看護婦の取り合いになったわけですが、大きな病院は看護婦確保に有利で、小さな自治体病院だとなかなか看護婦を集められません。私のところは10:1ですが、病床利用率が上がれば13:1に転落、年間数千万の損失になります。要するに価格で差を最初からつけられているので、財務省のしている効率の比較など最初から意味がない話です。

tadano-rytadano-ry 2007/11/30 14:56 smania様

>7:1看護の話はご存知でしょうか?

 存じております。今度の診療報酬の改訂で廃止を含めた見直しとの方針のようです。
              ↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071125-00000011-mai-pol
http://mainichi.jp/select/science/news/20071125k0000m010129000c.html
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/0/f14da832faa17e2f4925739f00220582/$FILE/20071126_7shiryou1.pdf

すでに社保審医療部会では了承され、中医協に攻防の場を移します。
 http://mainichi.jp/select/science/news/20071123ddm002010134000c.html

ssd666ssd666 2007/11/30 14:59 性根の悪い官僚が、毒入り資料を嫌いな政治家の答弁用に渡すのは常套手段ですよね。
目的は違えど、どうせこいつらには理解できないという侮りは絶対に持っています。

tadano-rytadano-ry 2007/11/30 15:33
 書いては見ましたが、正直このような分析は難しく自信はありません。

 経営を分析するには既に確立された方法があります。その第一歩がB/S、P/L、キャッシュフロー表に代表される財務諸表分析です。財務諸表が出せない場合も一定の手法が存在します。逆に言えば一定の手法があり、ある程度パターン化できるからこそ中小企業診断士という資格が出来たともいえるのです。そういった方法を意識した報告書なら堂々とこれが正しいと言えます。

 以前も書きましたが、財務省も厚労省もそれを恐らく分かっているのでしょうが、敢えて収支差と医業収入との比の差などという、あまり意味のよく分からない指標を持ち出して煙に巻こうとしているように思われます。

YosyanYosyan 2007/11/30 16:00 ssd様が前に指摘していましたが、医療経営の企業マネージメントは特殊ではないかとありました。私は零細企業の経営者なので大きな事は言えませんが、特殊ではありますが複雑ではない気がします。むしろ単純と考えた方が良い気がします。

収入は大部分が保険収入で、2ヶ月遅れとは言え確実無比に入ります。値段はコチコチの公定価格で工夫のしようもありません。宣伝戦略もまた限定されますから、さして工夫の余地があるわけではありません。だから医師でも運営できたとも考えます。真面目に医療をすれば確実に儲かり、医療に専念できるようなものであったかと思っています。

それ故に経営分析の手法が確立していないとも言えます。確立していないので財務省でも、厚労省でも、○○会議でも適当な数値の断面を切り取って「・・・と説明できる」式の強弁が横行するのだと考えますし、開業医の収支差と勤務医の給料が等価値であるかのような論法が横行すると考えています。またこれも確立していなかったから、自治体の赤字隠しに公立病院が利用されるといった手法が常套手段として行われていたんだとも考えます。

TMTM 2007/11/30 17:32 Yoshan様
普通なら給費比率は医業支出全体に占める割合と考えてしまいますが.この資料の給与比率は医業収入全体に占める割合です.
参考までに医業支出に占める給与費の割合を出してみました.

      平成17年  19年
医療法人   52.8   54.4 %
国立     50.9   53.1 % 
公立     50.0   50.9 %
公立の給与比率はほとんど増えていません.
またこの3者の中で支出に占める給与の割合が一番少ないのです.

元ライダー元ライダー 2007/11/30 17:47 tadano-ryさま
プロの分析、恐れ入りました。
別な話ですが、単一な病院ならともかく、n=17(国立病院)の前回と異なるサンプルを拾ってきて前回調査と比較し、数%の差をもって全体の収支を云々し、それでもって政策を決めるなど、とっても危険ではないでしょうかね。

>財務省も厚労省もそれを恐らく分かっているのでしょうが、敢えて収支差と医業収入との比の差などという、あまり意味のよく分からない指標を持ち出して煙に巻こうとしているように思われます。

10年前ならともかく、このようにネット上で分析され、その分析が広まる現在では通用しない煙幕です。いや、この先もっともっと通用しなくなりますね。

tadano-rytadano-ry 2007/11/30 17:55
Yosyan様、TM様

 経営分析の方法が確立していない以上、まず多くの産業でひな形になっている手法に乗せてみて、それでうまくいかなかったら独自の手法を考えればいいと思います。会計原則はすでに国際基準も確立されています。日本の会計原則は国際会計原則と異なる部分も多いですが、基本的には国際原則に合わせようとしている途上です。

 給費比率の件については、もうすこし他のデータを整理してからまとめて指摘しようと思っていたのですが、まさに仰るとおりです。支出の中で人件費は大きいのでいずれは削減せざるを得ないとは思いますが、今のところ他の経費が落とせる余地がありそうなので、人材確保の点からももう2,3年は待ちたいところです。理想を言えば医療法人や国立が落ちるのを待って給与面の優位性を少しでも保ちつつ落としていきたいところです。55%くらいまでなら待ってもいいと思います。逆に医療法人や国立の人件比率の高さは、もう経費節減が限界に達しつつあることを示しています。しかし給与を落とせば人材確保が難しくなり、痛し痒しです。

BugsyBugsy 2007/11/30 18:25
tadano-ry様 皆様

http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/meibo/meibob.htm
これが財政制度等審議会 財政制度分科会 名簿であります。

委員の肩書きを見て なるほど産業経済新聞社論説副委員長も入ってます。 全体的に医療と関係ない人ばかりがちりばめてあります。かといって現場の医師が仮にいたとしても こういった会計資料に対しては太刀打ち困難でしょうね。
また 財務省主計局の資料を見て 彼らが異論反論を丁々発止と議論できうるメンバーなんでしょうかね。独自に別の資料を持ってこられるでしょうか?正直言って肩書きからすると財務省の「最初から結論ありき」といった方針に公の場で異議申し立てすると後々まずいと感じる委員が大半じゃあないでしょうか。

分科会長は東京証券取引所グループ取締役会長兼代表執行役だそうですが、そもそも現今の医療システムが市場原理とは全く別のシステムで統制されているなんてご存知でしょうか?この人が力技で答申の文書をまとめれば たとえ正論を吐く委員がいたとしても それっきりでしょう。

YosyanYosyan 2007/11/30 19:43 >TM様

私としたことがまだ見落としていました。財務省資料は「給与費/医業収入」でした。医業収入は診療報酬が下がれば当然下がります。診療報酬が下がっても医業収入を上げるには、患者が増えないと回収できません。たとえば既にパンパンに回しているところであれば、延び代がないので必ず下がります。

これは訳のわからない指標というより、明確な意図をもった指標とも考える事が出来ます。あからさまに医業収入を人為的に減らしたのだから、それに合わせて給与を下げよの主張とも受け取れます。今回の診療報酬改定にあわせて行なわれた「医者は儲けすぎ」と一致する主張です。まったく「たまらんな」と思います。

ただしそれでも論理の矛盾はあって、実態調査では経営が改善しているとしている医療法人や安泰としている国立への給与批判はしていないのですから、公立病院改革としての給与引き下げは、公立病院職員だけが蒙る事になります。そんな事をすればになりますが、病院数削減、病床数削減に直結する算段とも読めないことはありません。そうなると地方僻地医療の建て直しは完全に口だけの主張になります。

>Bugsy様

審議会の面子の取り様ですが、財界のメンバーは確かに財務省のご機嫌を損ないたくないとの意向があって不思議ありません。とくに医療問題如きで財務省に楯突いて不興を蒙るなんてアホな事はするはずもありません。その延長線上で提灯持ちをしても納得できます。そうなるとあの記事は国民に向けてというよりも財務省に向けてのおべんちゃら記事と解釈できます。財務省様に賢明に尻尾を振っている健気な姿です。

tadano-rytadano-ry 2007/11/30 21:40 Yosyan様

>訳のわからない指標というより、明確な意図をもった指標

 私の言葉が足りなかったのですが、給与費/医業収入自体はは別におかしな指標ではありません。事業によって入ってくるお金に対して人件費としてどのくらいの割合のお金が出ていくかを計算することで、その企業本来の事業の健全度が分かります。経営学では「売上高人件費率」といいます。たとえば売り上げが月100万の企業A,Bがあって、Aの人件費が50万、Bの人件費が20万だとしたら、AよりBの方が少ない人件費で同じ売上高を上げているので事業効率がいい、ということになりますよね。そういう事を見るための指標なんです。

 では本当に人件費を削減するのか、という段になると支出に対する人件費率を検討することになります。何でこんなことをするのかというと、企業には通常事業外の収支というものがあるので、本業が苦しくてもたとえば不動産事業で出た利益を人件費に回すと言うことが生じたり、また子会社がある場合、子会社の利益をたとえば経営指導料という形で親会社に取り込んで人件費に回すこともあるからです。

 経営を改善するという点では、例えば社員教育をして事業効率を上げるという方が健全です。だから売上高人件費率も重要な指標です。その一方で事業効率がなかなか上がらなければ支出を減らさなければならないので、じゃあ支出の中で何がどのくらいの割合を占めているんだろう、ということになります。私がTM様のご指摘に対して「仰る通りです」と言ったのは、本来事業効率を見る指標を使って人件費削減の必要性を論じている、という点がおかしいという意味です。言葉足らずで申しわけありませんでした。

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