新小児科医のつぶやき

2008-03-11 息抜きの小ネタ

見えない道場本舗様からTB頂いた記事が小ネタとしておもしろかったので、今日は息抜きで扱ってみます。

ネタ元は東京新聞の「こちら特報部」というコーナーだそうです。東京新聞がどれほどの新聞か存じませんが、大阪新聞よりはよほど上品な新聞だろうと言う理解で進めます。大阪新聞並だったら高尚過ぎる内容だからです。まずWeb掲載部分ですが、

医療法改正で 嘱託病院確保を助産所に義務付け 廃業助産所も

2008年3月8日

 奇妙な医療法改正に助産所が振り回されている。法改正で助産所は分娩(ぶんべん)中の急変などで緊急搬送先となる嘱託病院を四月までに自助努力で確保しなければならないが「多忙」を理由に断られるケースが続出。このままでは廃業する助産所も出てくるため、厚生労働省は「(嘱託病院は)新たな義務を負うものではない」と通知を出した。だったら嘱託病院確保は無意味では。何とも不可解な法改正なのだが…。 (鈴木伸幸)

以下は有料部分で読め無いのですが、見えない道場本舗様が要約として引用してくれています。

  • 地元でも評判の助産所が、存亡の危機に瀕した。医療法改正で、助産所は嘱託病院を確保せねばならなくなったが見つからなかったためだ。

  • そういう例を避けるため、「嘱託病院となっても新たな義務は負わない」とされたが、ならば意味はない(茨城県立医療大・加納尚美教授談)

  • 法改正で助産所開業は病院の意向次第になった。そもそも嘱託なのに義務が無いのは「応召の義務」違反。法律は病院と助産所の序列化を肯定しており、助産師への偏見が背景にある。

  • 今は99%が病院、1%が助産所で出産する。戦後、アメリカの指導でそうなり、妊産婦死亡率が減ったので助産所出産は危険と思われがちだが死亡率低下は栄養や抗生物質、輸血の向上の為。助産所が危ないわけではない。

  • 海外ではオランダが3割が助産師出張で自宅出産、NLでは7割を助産師がケア。米国でも5,6%は助産施設出産。

  • 低リスク出産は医療が介入しないローテク出産が望ましい、とWTOも調査報告でいっている。データ的にも出産の7、8割が医療行為不要である。

  • 現在、日本の就業助産師は25000人だが15%は産科以外で働く。資格を持ちながら働いてない人も20000人。理論上、潜在助産師を活用すればお産難民問題は解決だ。

  • だが、ある産科医はこう話す。

    「正常分娩は自由診療なので医療機関からすればもうかる”ドル箱”。病院側はそれを守りたいだろうし、何かあれば訴訟になりかねない高リスク出産ばかりを任されてはたまらないと思ってもおかしくない。助産師の活用で産科医不足が解消できるにしても、産科医はそれを自らは認めないだろう

折角なので順番に突っ込んでみます。

  • 地元でも評判の助産所が、存亡の危機に瀕した。医療法改正で、助産所は嘱託病院を確保せねばならなくなったが見つからなかったためだ。

助産所の嘱託医療機関の問題については一度扱ったことがあるので、その時の一産科医様のコメントを引用しておきます。

ま、どうであれ、嘱託を強制されたら現場から粛々と逃散するだけでしょう。

以前、周産期センターは法律で助産所からの搬送受け入れを義務付ける、という話もありましたが、そこまで踏み切れなかったのは、そうすれば周産期センターから医師がいなくなるだけだということが、さすがに看護系議員にも理解されたからでしょう。

ただ、このブログを読んでいる方に理解してほしいのは、大部分の助産所では嘱託医療機関は見つかっています。いまだに見つかっていないのは、そもそも周産期医療が崩壊して引き受け手がないか、「あの助産所には絶対に近づきたくない」というレベルの助産所だろうと思います。

助産所が周産期医療の一員としてきちんと活動するならば、地域の周産期医療の中にちゃんと入るように自らも襟を正し、産科医療機関と連携を取るのは当然のことであって、それができない助産所は淘汰されるべきです。

  • そういう例を避けるため、「嘱託病院となっても新たな義務は負わない」とされたが、ならば意味はない(茨城県立医療大・加納尚美教授談)

まず茨城県立医療大・加納尚美教授とは看護学部母性看護学助産学教授です。ここで「義務云々」ですが医政発第1205003号「分晩を取り扱う助産所の嘱託医帥及び嘱託ずる病院-又は診旛所の確保について(協力依頼)」に嘱託趣旨としてあり、

分娩を取り扱う助産所から嘱託を受けたことをもって、嘱託医師及び嘱託医療機関が応召義務以上の新たな義務を負うものではないこと。また嘱託医師や嘱託医療機関となることが、特定の助産所を利ずることにはならず、公立・公的医瞭機関及びその医師が、助麗所の嘱託医師や嘱託医療機関となることは差し支えないこと (総務省自治財政局と協議済)

加納教授の主張は嘱託があろうが無かろうが「応召義務以上の新たな義務」を負わないのであれば嘱託自体が不要であると考えても良さそうです。そういう考え方も成立しますが、通達を読んでそれでも嘱託を受けられない助産所がどんなものかを考えたのか疑問に思います。

  • 法改正で助産所開業は病院の意向次第になった。そもそも嘱託なのに義務が無いのは「応召の義務」違反。法律は病院と助産所の序列化を肯定しており、助産師への偏見が背景にある。

これは殆んど意味不明の文章。通達内容を読んで嘱託を受けられない助産所が出現するのはまず不可思議。さらに『嘱託なのに義務が無いのは「応召の義務」違反』これはもう日本語ではありません。応召義務は負うと明記していても「違反」とするのは論理の破綻以外の何者でもありません。

  • 今は99%が病院、1%が助産所で出産する。戦後、アメリカの指導でそうなり、妊産婦死亡率が減ったので助産所出産は危険と思われがちだが死亡率低下は栄養や抗生物質、輸血の向上の為。助産所が危ないわけではない。

これについては僻地の産科医様の助産所からの搬送例は有意に死亡率が高いを御参照ください。それと改善理由に挙げた「栄養」「抗生物質」「輸血の向上」のうち助産所ができるものは何もありません。「栄養」は個人の問題であり、「抗生物質」「輸血」は医療機関で無いとできません。ま、この程度のリスクは同等と見なすの趣旨でしょうか。

  • 海外ではオランダが3割が助産師出張で自宅出産、NLでは7割を助産師がケア。米国でも5,6%は助産施設出産。

2004年の周産期死亡率では出生1000人あたりで、

  • 3.3人:日本
  • 7.9人:オランダ
  • 6.0人:ニュージーランド
  • 5.6人:アメリカ

確かに助産所分娩を多用しても「たった2倍」しか死亡率が増えないから問題なしとの主張です。

  • 低リスク出産は医療が介入しないローテク出産が望ましい、とWTOも調査報告でいっている。データ的にも出産の7、8割が医療行為不要である。

「データ的にも出産の7、8割が医療行為不要である」は間違いありませんが、残り2、3割は医療行為必要です。さらに分娩では予測不能で突然医療行為必要になります。さらに日本の分娩への風潮は「お産は100%安全」です。トラブルが発生すれば巨額の賠償問題が頻発します。優雅なお話です。

  • 現在、日本の就業助産師は25000人だが15%は産科以外で働く。資格を持ちながら働いてない人も20000人。理論上、潜在助産師を活用すればお産難民問題は解決だ。

楽しいな、こんな理論が通用するなら看護師不足も即座に解消します。去年の国会質疑では野党議員の「病院の助産師は厚労省の大甘の試算でも3000人不足している」と追及され、政府側は何ひとつ反論できませんでした。

  • だが、ある産科医はこう話す。

    「正常分娩は自由診療なので医療機関からすればもうかる”ドル箱”。病院側はそれを守りたいだろうし、何かあれば訴訟になりかねない高リスク出産ばかりを任されてはたまらないと思ってもおかしくない。助産師の活用で産科医不足が解消できるにしても、産科医はそれを自らは認めないだろう

おそらくこの部分を受けたこの記事のまとめが、

妊婦たらい回しを報道すると、医者たちからの「産科医不足が悪いのであって医者は悪くない」と反論が来る。でも、医者から「もっと助産師の活用を」との声は上がらず、そういう運動も起きず、「産科医を増やせ」の掛け声ばかりなのは不思議だ。「ドル箱は手放さない」が理由なら、なんともお粗末だ。(隆)

御心配しなくとも自然に助産師の活用論に産科医の意見は傾くと思います。産科医療の窮状はこの記事の認識のように甘いものではなく、今や、

    ヤブでも貴重な戦力、カルトでも許す

「ヤブ」でも「カルト」でも許容せざるを得ない現状ですから、「猫の手」よりましな「助産所」だって不可欠な戦力になるのはそう遠くない未来に来ます。もっともその頃には産科救急の危機なんて言葉は死後となり、分娩施設で危機に陥ればそのまま撃沈です。救急で運ばれるべき医療機関そのものが機能麻痺になっているからです。

今日は軽いお話でした。

10年ドロッポ10年ドロッポ 2008/03/11 09:05 >今日は軽いお話でした。
ちっとも軽くねぇ!!

ririnko0406ririnko0406 2008/03/11 09:12 >10年ドロッポ さま
同意ですw 同じ突っ込みを思わず心の中でしてしまいました
>東京新聞がどれほどの新聞か存じませんが、大阪新聞よりはよほど上品な新聞だろうと言う理解で進めます。大阪新聞並だったら高尚過ぎる内容だからです。
ここで気づくべきだった…w

三上藤花@現在休業中三上藤花@現在休業中 2008/03/11 09:34 横レス失礼。

>>今日は軽いお話でした。
>ちっとも軽くねぇ!!
 全く同感です。


 みなさま多分ご存知だと思いますが敢えて付け加えさせていただきますと、
>今は99%が病院、1%が助産所で出産する。戦後、アメリカの指導でそうなり、妊産婦死亡率が減ったので助産所出産は危険と思われがちだが死亡率低下は栄養や抗生物質、輸血の向上の為。助産所が危ないわけではない。
>海外ではオランダが3割が助産師出張で自宅出産、NLでは7割を助産師がケア。米国でも5,6%は助産施設出産。
>低リスク出産は医療が介入しないローテク出産が望ましい、とWTOも調査報告でいっている。
 この3点はいずれも『自然分娩推進派』(女性史研究家とか助産師さんの一部とかいろいろな人)あるいは『病院分娩反対派』(被害者さま団体が主体)の決まり文句的な主張です。

 以前、そこを突っ込んでみようかと思って公衆衛生的な資料を漁ったことがあるのですが、
>死亡率低下は栄養や抗生物質、輸血の向上の為。助産所が危ないわけではない。
 をぐうの音もいえないくらいに覆すだけの論拠は見つかりませんでした(もう一度探してみたいです)。
 ただし付け加えますと、この主張を裏付ける根拠もないことを申し添えたいです(もちろん、私の探し方が悪い可能性もあります)。

ysys 2008/03/11 09:37 >東京新聞がどれほどの新聞か存じませんが

東京スポーツの親会社、てことはないですよね(笑)

三上藤花@現在休業中三上藤花@現在休業中 2008/03/11 09:38 それと、これはどうでもいい枝葉末節的なことですが、
>とWTOも調査報告でいっている
はWTOではなくWHOではないでしょうか……?
自分もコピペしたあとに言っているのですけれど……。

お気を悪くされましたらすいません。

moto-tclinicmoto-tclinic 2008/03/11 09:46 東京新聞は、わが名古屋の中日新聞の、東京地方版みたいな新聞です、たしか。
中日新聞が親。
ちびまるこちゃんの4コマ漫画やってます。

HirnHirn 2008/03/11 09:49 嘱託医についてもヤブ・カルトでもできるわけですよ。で、実際そうなってるわけで、県境の向こうにある「癌を免疫で治す」という類いの先生が助産院の嘱託をやってたりします。

HekichinHekichin 2008/03/11 10:30 WTO(世界貿易機関)>日本に妊婦さんを輸出すれば解決って話でしょ。

HekichinHekichin 2008/03/11 10:34 WTO(世界貿易機関)>日本の妊婦さんをオランダに輸出すれば解決って話でしょ。

YosyanYosyan 2008/03/11 10:49 見えない道場本舗様の要約に誤字があるだろう点は承知しています。ただ引用なので忠実にさせてもらった方が良いかと思い、あえて訂正していません。なんと言っても「軽い話題」ですし、ひょっとしたら記事原文もWHOではなくWTOであるかもしれないからです。

きちんと自衛!!きちんと自衛!! 2008/03/11 10:50 Hirn 先生に同意です。今現在の情勢で除産所の嘱託を引き受けるのは情報弱者or情勢が読めない御年配のセンセあるいはアレなセンセでしょう。但し、一度引き受けたからにはきちんと責任を全うしてもらいたいものです。具体的には、『SOSは必ず嘱託医が最初に受けること。』です。私が経験した助産所からのSOSは、まあ、医学的にとんでもないものばかりで産科崩壊以前から周囲の関係者の間ではなるべくかかわらないほうが、、との認識で一致していたものです。相手は様々な言質を弄して引き受けさせようとしてきますが、助産所が嘱託医or嘱託医療機関を飛ばして基幹病院にいきなりSOSしてこないように。また、基幹病院は、まず嘱託医に連絡を取るようにきちんと対処することが肝要って、、、きちんと自衛できる医師はもう分娩なんて無関係でしょうから余計な一言でしたー。

HekichinHekichin 2008/03/11 11:06 残念なニュースが...
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津軽・有床助産所姿消す 76歳 思い残し引退
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/03/20080309t23014.htm
津軽の母子を見守り続けた助産師が、お産の現場から身を引いた。青森県五所川原市で助産所を営んできた福士レイ子さん(76)。青森県に7日、廃業届を出した。寄る年波に引き際を考えていたところに、新しい嘱託医制度がのしかかった。津軽地方から出産を扱う有床助産所は姿を消し、引退を惜しむ声も聞こえる。
〜〜〜
嘱託医を引き受けていた吉田秀也さん(84)=五所川原市=は2006年で産科をやめている。嘱託医などを決める期限は、3月末に迫っていた。
「もうちょっと続けたいという気持ちもあったが、新たにお願いするのは大変。これからは家族と自分のために時間を使うことにした」と福士さん。
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福士レイ子さん(76)&吉田秀也さん(84)
お〜い、お互いもっと早く引退させてやれよ。周りの人々に不安はなかったんかいね!?
(前の投稿書き損じ&書き直しです。先の方は削除していただいてかまいません)

rijinrijin 2008/03/11 12:00 > 戦後、アメリカの指導でそうなり、…

 間違いです。

 サンフランシスコ平和条約の発効が1952年ですが、この後、55年の場所別出生数は病院186509、診療所77636、助産所40982、そして自宅・その他が1425565でした。

 圧倒的に自宅・その他が多かったのです。

 施設内分娩と自宅・その他での分娩がほぼ同数となったのは60年で、病院386973、診療所280292、助産所137292、自宅・その他801484でした。

 65年になると、病院670619、診療所625409、助産所+自宅・その他235784+291885と三者がほぼ同数となりました。

 その後は病院の方が診療所よりもやや多いという関係で、両者のシェアがどんどん増加していきます。病院と診療所での出生数のピークは75年頃、助産所でのそれは65年でした。

 また、戦後、実際に自分を産んだ母親に聞いてみましたが、特に病院や診療所での分娩が奨励・指導されたということはなかったようです。

rijinrijin 2008/03/11 12:00 …数字は人口動態調査からでした。

tadano-rytadano-ry 2008/03/11 12:34 母体死亡率(対出生10万)で見ますと

日本 6
オランダ 6
NZ 9
USA 11

となります。ちなみに

韓国 14
中国 45
タイ 110
インドネシア 420
インド 450
アフガニスタン 1800

となります。世界全体の平均は400だそうです。
http://www.who.int/whosis/mme_2005.pdf

マップもあります:http://www.who.int/research/WHO_maternal_mortality_ratio.pdf

tadano-rytadano-ry 2008/03/11 13:17 >助産所の嘱託医療機関の問題

そこでウチの県ではこういう請願を出す方がおられます。
http://www.eonet.ne.jp/~naraosan/1213preconf.htm

 平成19年11月26日
奈良県議会議長   辻 本 黎 士 殿

身近な地域で安心して生み育てる場所がほしい
安全確保に向けた医療環境の整備に関する 請願書

(請願者)「安心してお産ができる奈良県にしたい」の会 代表 ○○ ○○○ 他7294名

身近な地域で 安心して生み育てる場所がほしい! −安全確保に向けた医療環境の整備を−

一、請願の主旨
 奈良県における産婦人科医師が扱う出産数は、一人当たり年間163人で、これは全国で6番目に多い数です。(奈良県内では平成17年度に11,184人の赤ちゃんが生まれていますが、お産を取り扱う医師の数は74名、奈良県内の助産師の数は249名です。)また、県中南部ではここ1年余りの間に4つの病院が医師不足のために産科を閉鎖するという事態になりました。そのため400人ほどの方が出産施設を求めて遠くの医療機関に通うことを余儀なくされています。また里帰り出産の受け入れなどは極めて困難な状況です。
 そこでこの状況を改善するには、助産師の活用を積極的にすすめる必要があると思います。出産の多くは異常の少ない生理的出産といわれ、医療介入の必要ないお産は助産師だけで取り扱うことが認められています。正常産を助産師が担うことによって、産科医の負担は軽減します。そして産科医は異常や緊急時の対応に専念することができます。
 しかし、助産師がその力を十分発揮するためには、医療が必要になった場合、速やかに医療機関に妊産婦や新生児を搬送できるということが必要不可欠になります。

 そこで以下の事項を請願いたします。

二.請願事項
1. 来年5月に設置予定の周産期センターを軸としつつ、早急に一次、二次、三次に連携する周産期搬送システムをつくってください。

(中略)

4. 医療法19条の助産所開設の要件には「母子の安全を高めるため、嘱託医の他に嘱託医療機関を設けること」とありますが、嘱託医療機関を個人で確保するのではなく、上記搬送システムをもって嘱託医療機関とみなすよう県よりご指導ください。

一産科医一産科医 2008/03/11 14:19 コメント引用ありがとうございます。

周産期死亡率の経年変化ですが(日本)
     年 1970  75  80  85  90  95  2004
周産期死亡率 21.7 16.0 11.7 8.0 5.7 4.7 3.3
(出生 千対)

1970年 21.7   2004年 3.3 です。
私は1969年生まれですが、私が生まれて成長した40年間で、少なくとも栄養や抗生物質について劇的な変化はなかったと思います。耐性菌の出現で抗生剤の使用が少なくなった事、輸血後の感染やGVHDなどで輸血も慎重に行うようになった、そういう変化はあったと思いますが。
少なくとも、1970年以降の周産期死亡率の改善は、栄養や抗生物質等のおかげではありません。そのような主張は眉唾もいい所です。
1970年以降の周産期死亡率の改善にもっとも貢献したものは、人工サーファクタントの完成だと思います。その結果、早産児の死亡率が大きく改善しました。そして、NICUが整備され(まだされていない地域もありますが)、周産期システムがしっかり稼働するようになったからでしょう。
周産期システムがしっかり稼働するという事は、一次・二次・三次の各医療機関がきちんと連携をとって母児の安全を守るという事です。当然、チームとして稼働するわけで、その中では各医療機関がそれぞれの役割を分担し、それを領分をきちんと守る必要があります。役割を理解しない、あるいは理解しても無視している医療機関(含む助産院)が「ヤブ」と呼ばれるわけですが、まあ、産科医療ではこれもあてにせざるを得なくなっている事は、上述の通りです。
何度も書きますが、周産期医療システムの中で自分の役割をきちんと自覚し、その役割をきちんと果たしてくださる助産院なら、連携を拒む理由は全くありません。まず、それが出来ているのかどうか、その点の検証から始めなくてはなりません。
チーム医療である以上、助産院であれ開業医であれ、そのチームの中で自分勝手に好きな事をしていれば、そのチームは崩壊します。チームスポーツで、一人の選手が(どんなに能力が高くても)好き勝手をすれば、そのチームが崩壊するのと同じです。

ssd666ssd666 2008/03/11 14:20 そのWHOの云々は、カルト一派が出したもので、結局その一派は追い出されたそうです。
それでもそれを金科玉条のようにずーーーーーーーーと信者はWHOの権威を頼りに布教に努めています。
教祖様のHP
http://www.marsdenwagner.com/
で、僻地の産科医様のhpでも過去特集
http://obgy.typepad.jp/blog/2007/07/post_e2e8_1.html

まあ、一言で言えば、「我田引水」

元ライダー元ライダー 2008/03/11 14:31 開業医(産科じゃありません)として気になるのは下記。

『だが、ある産科医はこう話す。
「正常分娩は自由診療なので医療機関からすればもうかる”ドル箱”。病院側はそれを守りたいだろうし、何かあれば訴訟になりかねない高リスク出産ばかりを任されてはたまらないと思ってもおかしくない。助産師の活用で産科医不足が解消できるにしても、産科医はそれを自らは認めないだろう 』

こう話す産科医は実在するのだろうか?実在するとすればどういう産科医がプロファイルされるのか?

TOMTOM 2008/03/11 14:34 Yosyan先生お久しぶりでございます。コメンテーターの皆さま、多くの方ははじめまして。TOMと申します。1年ちょっと前、時々書込させて頂いておりました。
私は東京の開業医ですが、その後DQN患者と家族に絡まれ、しばらく「医療崩壊上等」になっておりました。最近ようやく気持ちの整理もつきましたので、またぞろ時々お世話になろう...とおもいます。
ところで東京新聞ですが、どんな新聞かは以下の資料が詳しいです。
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/985635.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2007060702022329.html
ブログの品位を汚して申し訳ございません。ま、軽い話題ということで。

一産科医一産科医 2008/03/11 14:40 サッカーで言うなら
-------------------
守備を全くしないストライカー
口を開けば
「俺様にボールをよこせば、絶対点取ってやる。」
確かに、一試合で1点か2点は必ず取ってくれる。

彼が所属するチームは、弱小チーム相手に破竹の連勝。ストライカーはますます鼻高々。コーチがたまに
「たまには守備もしてくれ。」とお願いするが、そんなものはどこ吹く風。
「GKもDFもいるじゃないか。奴らは守備が専門だろ。あいつらがちゃんと守りさえすれば、俺様が点を取ってやるんだから、絶対勝つじゃねえか。」
「今は弱小チーム相手だからそれでも大丈夫だが、それでは強豪相手には通用しないぞ。」
「うるせえな。他の奴らがきちんと義務を果たしてしっかり守ればいいんだよ。」

他の選手からは
「あそこでもう少ししっかりチェックしてくれれば、もっと楽に守れるのに・・・。」
という声も聞こえるのだが、聞く耳もたず。むしろ「お前らがしっかり守れ、ボケ。」と罵声を浴びせられる始末。
しかし、このチーム、実はメンバーが11人しかいないので、彼を辞めさせる事は出来ないのでした。

このチームが、本当の強豪チームと戦ってどうなるか?皆様のご想像にお任せします。

一産科医一産科医 2008/03/11 14:58 書き込み多くてすみません。
>元ライダー様
>>正常分娩は自由診療なので医療機関からすればもうかる”ドル箱”。
これは事実でしょう。というより、保険診療では全く儲からない状況になりつつあるため、結局自費診療の正常分娩で稼ぐしかなくなっています。ある病院の部長に聞いた事がありますが
「ウチの病院の黒字は産科と売店だけ。」と話されていた事があります。

なお、たいていの病院では正常分娩は助産師だけで管理しています。産科医が助産師に分娩を任せていないというのも正しい主張ではありません。おそらくは産科開業医が助産師を入れずに産科看護師に産科管理をさせていた事に対する意見でしょうが、それが全ての産科医の総意のような言い方はおかしいでしょう(産科看護師の問題は今回は横に置いておきます)。

こういう事を言いそうな産科医は、上田市に一名おりますが・・・。
その上田市の周産期システムが風前の灯なのは、ご承知の通りです。

YosyanYosyan 2008/03/11 15:48 今回の引用記事は残念ながら要約だけなので、記事原文はもう少しおもしろかったと想像しています。記事が引用した内容もどこまでが加納向美教授の話なのか判然としないところがあり、また他の人物の引用もあるのかと興味が尽きないところです。

産科医の声もストーリーに合わせて捏造したのか探したのか歪曲したのかは分かりませんが、記事冒頭にあるように助産所礼賛論の趣旨は明白ですからワクワクさせられます。ワクワクと言うか、現時点でも産科医を貶めてでも助産所礼賛論を書くマスコミレベルでの周回遅れ感覚がなんとも軽い話題です。きっと東京新聞の「こちら特報部」って埋め草のお笑いコーナーなんでしょうね。

ああ播磨だなああ播磨だな 2008/03/11 16:09 東京新聞が2005年11月24日に書いた有名文
「キムチは最近、寄生虫卵騒ぎで不評だが、なあに、かえって免疫力がつく」

おふろできゅきゅきゅおふろできゅきゅきゅ 2008/03/11 16:17 きんさんぎんさんに、どうさんという三つ子の妹がおり、ブラジルに移民していた
−−東京新聞2001年4月1日「こちら特報部」の記事です。

不思議?!不思議?! 2008/03/11 16:48 『病院』
・産婦人科、小児科、他科医師常勤の雇用(医師は一人1千万円以上/年)。・すぐに帝王切開可能な人員配置に多額の費用。・超音波、MRIなど医療機器に、又、手術室設備保持に高額の維持費。
『助産院』
・医師なし(医師人件費なし)。・高度医療機器なし(維持費も0円)。・手術室などの設備費なし。

でも!あら不思議!?分娩費用はほとんど同じデース!!
でもでも、嘱託で、あるいは嘱託でなくても医者と設備を活用させてね!○投げも必ず受け取れーい!
by助○院

10年ドロッポ10年ドロッポ 2008/03/11 17:16 >「キムチは最近、寄生虫卵騒ぎで不評だが、なあに、かえって免疫力がつく」
…激しく納得。

ちなみに、免疫というかアレルギーですと、宮崎医大の豚回虫流行時の疫学調査では、むしろ寄生症例の方が花粉症が悪化していたそうですが…。

元ライダー元ライダー 2008/03/11 18:00 一産科医さま

私が言うものなんですが、「ドル箱」って言うだけでは続けられないのが産科。
にもかかわらず、「ドル箱」という理由で守りたいと、こう話す産科医ってリスクの概念がないんでしょうか?

まあ、保険診療だけでは苦しいのはどの科も同じ。知人の産婦人科開業医(分娩なし)は「不本意ながら中絶が飯の種」と言っていました。

HirnHirn 2008/03/11 18:20 件の医師の「分娩がドル箱」というコメントからは第一線の産婦人科医の姿は伺えません。かなり昔の古き良き時代しかご存知ない方と推察いたします。
人件費高騰などにより、分娩をやっていてもトントンのところは増えています。
Ausにしても、訴訟リスクを考慮するとあまりやりたくないものです。
むしろ外来オンリーで不妊かピルの処方をやっていたほうが、実入りは大きいでしょう。

tadano-rytadano-ry 2008/03/11 21:50 またまた面白そうな資料です。

全国医政関係主管課長会議(平成20年2月25日開催)
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/vAdmPBigcategory30/57D30866A8813A514925740200055909?OpenDocument

資料がいくつかありますが、たとえば一番上の資料1
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/57d30866a8813a514925740200055909/$FILE/20080304_1shiryou_all_1.pdf

の12ページ「医師不足問題の背景」を見ると、半年ほど前はどの資料にも載っていた「偏在」という文字が綺麗になくなっています。その代わりに「病院勤務医の負担」という言葉が踊っています。

麻酔科医麻酔科医 2008/03/11 22:24 >ドル箱
ここのところの円高で、大分為替差損が生じているでしょうね。

元ライダー元ライダー 2008/03/11 23:35 tadano-ryさま
>病院勤務医の負担
開業医が槍玉にあげられそうな悪寒

もと救急医もと救急医 2008/03/11 23:37 先ほど「NEWS ZERO」で、中河内の救命センターが出ていました。2人受け入れて、その後に来た依頼の91歳CPAを断るシーンで、「たらい回し」の説明がありました。3夜連続での救急医療の特集のようです。例の事件で断ったセンターがあえて取材を受け入れていましたが、業界では廊下に患者を置いてでも受け入れると恐れられていたセンターでしたし、実際の「受け入れ不能」の状況がよく伝わっていたと思います。

当局では「たらい回し」という用語は使いません、なんていいませんかね。「医療を、救う」を売りにしてるみたいですけど。

いのしんいのしん 2008/03/12 01:47 yosyan先生、お久しぶりです。
いやー、相変わらず「マスコミの記者様」の記事が炸裂していますね。ずうっと昔に書き込んだ学生の頃の忸怩たる体験の頃と変わってませんねぇ(その頃は自分が「幼かった」から余計にアカンかったのですが...とはいえ、今はもっと状況悪そうですし...)そして、やはり日本人は「親方日の丸」新聞報道に対する世間の信頼は、戦前と同じくとっても高いですねぇ。
先生の検証すべき記事に対する相変わらずの論理的な検証による論破には、敬服します(ということではいけないのでしょうが、疲れてアクション起こせずにいます)。ダメですね。
話題は変わりますが、とうとう東播地区でも小児救急は崩れてきました。多分、4月から自分らも叩かれるでしょうね...1昨年以降、明石や北播どころか、普通に神戸や姫路以西から来てた日もありましたしね...ホントに「先」が見えてきましたね。

鶴舞人鶴舞人 2008/03/12 13:05 産科が「ドル箱」だと宣う”ある産科医”ってのは、実在してるんでしょうか?
この記事書いた筆者の脳内だけということはないのでしょうか。
ちなみに、中日病院というのもあるのですが、ここには「ドル箱」のはずの産科は
ありません(各科外来・当直とも大学からのネーベンで回してる状況なので、産科なぞ抱える余裕はないでしょうけどね)。

YosyanYosyan 2008/03/12 13:42 いのしん様

先生のところに神戸から来ますか!う〜んですね。六甲アイランドの夜間休止の影響は小さいと神戸新聞が提灯記事を書いていましたが「そんなわけないやろ」と一人で毒づいていました。播磨は東播だけではなく西播、北播も情勢は悪化の一途で改善の兆しさえありませんから、どうか地雷を踏まないように祈っています。もっとも地雷を回避しても最近は回避しただけでバッシング空襲が来ますから、逃げ場が無いと言えばそれまでですが・・・。