新小児科医のつぶやき

2008-05-04 ある宣言

舞台は首都圏に属するある産婦人科医会での会議です。出所を伏せなければならない関係上ボカしていますが掛け値無しの実話ですし、時期もごく最近です。この地区でも産科危機と言うより産科崩壊は確実に進行しており、分娩予約は妊娠のごく早期に行わないと不可能な地域に属します。基本的に

    分娩需要 >> 産科戦力

これが慢性化している状態で、ニッチもサッチもいかないのが大前提です。産科医が集まって知恵を絞ったところで「無いものは無い」しか結論は出ないのですが、テーマはハイリスク分娩の取扱いを巡って紛糾する事になります。医療では疾患の重症度に応じて、

    一次医療機関 → 二次医療機関 → 三次医療機関

こういう風に患者を振り分けます。この地区の詳細な情報が分からないのですが、集まったメンバーは、

  • 一次医療機関:開業医
  • 二次医療機関:基幹病院

こういう感じのようです。ここでハイリスク分娩を取り扱うはずの基幹病院が悲鳴を上げる事になります。もちろん慢性的な人手不足もありますが、産科減少により開業医の弱体化が進行し、その分の妊婦が基幹病院に押し寄せ、基幹病院が本来の二次医療機関としての役割を果たす余力が失われしまったのです。会議では基幹病院が従来のようにハイリスク分娩を受け入れる事が不可能であるとの意見を中心に回ります。

通常と言うか、常識的な発想なら、基幹病院の戦力強化であるとか、広域連携によるネットワーク化みたいな話が出てきそうなものですが、そんな話は全く出ません。基幹病院を強化するための産科医を獲得するあてなど全くなく、隣接する地区はもとより、県下全体を一つの単位として見ても、どこも状況は似たり寄ったりで、応援としての連携など望むべくも無い状態であるからです。

会議は見ようによっては泥沼と言うか、答えの無い問題を解いているようなものですが、ハイリスク分娩の受け入れについてはとりあえず玉虫色の先送りになったようです。スッキリしないと言えばスッキリしませんが、現実的にはそれぐらいしか対処の方法はありません。ただ基幹病院側も玉虫色の回答を病院に持って帰っても病院産科医は納得しませんから、最低限の要求を持ち出します。飛び込み分娩問題です。

飛び込み分娩は最近やっとそのリスクが社会でも認知され始めましたが、産科医の間では遠の昔から切実な問題になっています。最近になり数が増えてきた事と訴訟問題への危機感の高まりにより非常に重く見られています。「これをなんとかして欲しい」の提言ですが、これもまた難題です。「なんとか」と言っても誰かが対応しなくてはならない問題であり、基幹病院が断るから開業医が引き受けましょうの話にもなりようがありません。会議はひたすら煮詰まる事になります。

煮詰まった挙句なんですが、ちょっと信じられないような宣言が採択されることになります。言っておきますが、これはブログや某巨大掲示板の話ではありません、ごく普通の産婦人科医会の話なのです。宣言内容は、

    この地区では飛び込み分娩を一切引き受けない

画期的といえば画期的ですし、飛び込み分娩問題で開業医も基幹病院も同意する提案はこれしかないと言えばそうなんですが、素直に驚きます。もっとも会議段階では勇ましくても現実の発表段階になればもっとマイルドな表現となり、マイルドすぎて実効の無いものになる可能性は十二分にありますが、もしこのまま宣言されれば大変な事になります。

予想される事態は二段階です。

    第一段階:マスコミ、住民、自治体からのバッシング
    第二段階周辺地区の同調

第一段階で宣言を引っ込めれば、とりあえず事は小さく収まります。収まったところで何の問題の解決にもならないのですが、とりあえず表面上は収まります。表面上は収まっても今度は基幹病院産科医の間で不満が内向してさらに強くなり、医師逃散から基幹病院が機能麻痺にでもなろうものなら、地区の産科医療は根こそぎ崩壊する危険性が出てきます。

第一段階をクリアするか、もしくはこの宣言が受け入れられたりすれば、周辺地区は一斉に右へならえになります。第二段階の始まりです。産科医療の危機的状況は会議が行われた地区だけではなく、周辺地区も同様ですから、宣言に同調しないと行き場を失った飛び込み妊婦が雪崩れ込んでくるからです。雪崩れ込みを防ぐには自分の地区も宣言する以外に手はありません。宣言自体は医師として抵抗があるものですが、既に先例ができ、宣言しないと自分のところに危険が降って来るとなれば次々と飛び火するのは目に見えています。

飛び込み妊婦もある意味切実ですので、未宣言地区を探して周り来襲します。飛び火はやがて大火となり全県を覆うまでは時間の問題となります。大火が全県を覆っても飛び込み妊婦は消えるわけではないので、今度は隣接の都県に流れる事になります。首都圏で目指されそうなところはやはり東京でしょうか。東京がそんなに余裕があるとは間違っても言えませんし、東京の産科医が喜んで飛び込み分娩を引き受ける道理もありません。そうなるとになりますが、最終的に全国に飛び火する危険性も出てくるわけです。

もちろんそこまで火の手が拡がるかは分かりませんが、一つの地区の決定が全国の産科に影響する可能性はあると考えます。産科医療の戦力は極言まで薄く伸ばされ、なおかつ伸ばされすぎてあちこちに亀裂が入りかけている状態です。この宣言自体は産科戦力に余裕があれば、キリで小さな穴を開けた程度のものですが、現在の産科事情なら、小さな穴が見る見る広がってズタズタに切り裂いてしまうインパクトを秘めています。

杞憂に終わるのか、明日の現実になるのか。ちなみにこの産婦人科医会の出席者はおそらく10人程度、多く見積もっても15人は越えませんから、たったこれだけの産科医の宣言が日本の産科を大きく揺り動かすかもしれません。

事故調パブコメ緊急要請! 17:46

今現在のパブコメ情報です。

  1. 締め切りは5/7
  2. パブコメ数は先々週時点で約60通
  3. 厚労省は少なくとも数百通の反対意見が無いと賛成と見なし、三次試案を法制化する

数百通の反対意見があっても黙殺される可能性はありますが、医師にできる最後の抵抗としてせめて「数百通」をクリアしたいところです。もちろんパブコメは医師でなくとも出せます。協力しようと思われる方がおられれば是非お願いします。

ここになりますので、宜しくお願いします。

shy1221shy1221 2008/05/04 09:12 本当に疲れている地域の方々なんでしょう。これが実行されれば、先生のおっしゃるように凄いことになりそうですね。

mit33mit33 2008/05/04 09:29 ちょっと話からはずれるかもしれませんが、飛び込み出産が妊婦にとっても医師(病院)にとってもリスクが高い行為である以上、厚生労働省が

「妊婦検診未受診は母体、胎児を危険に晒します。また、病院で受け入れられない場合もあります」

とでも広告をうつといいと思うんですけど。

Med_LawMed_Law 2008/05/04 09:32
ヨーロッパのゲルマン民族の大移動と近いものがありそうです
バーバリアンがシビリアンを侵食していく
常識の乏しい人が常識のある人の資源を食いつぶしていく

方策は、地域を囲み込んで塀を高くして、堀を掘って、常識のある人の資源だけは確保するしかない、なんてのも中世の防御法と同じ

産科だけではありません
救急医療も、労基法を順守するよう指導がきたら、常勤医を準夜・深夜勤務に常態として駆り出すことはできず、救急指定の看板を下ろすしかなく、看板を上げているところに向かった群衆が看板を踏み越えて襲い掛かる
これも中世の民族大移動と同じ構図が当てはまりそう

共有地の悲劇は、共有地にタダ乗りする人が増え、共有地を維持する人が減った時に、あっという間に完成する
ここまで来ると、良識をもって共有地を維持した人も、我先と争い始めるのは、今の石油危機と同じこと。そして苦しむのは、一番底辺にある人であることも同じ。

救急医療の未来も、もしかしたら今晩見えてくるかもしれない


……ということで今晩は料亭で秘密会です……(政治家みたい?!)

YosyanYosyan 2008/05/04 09:52 shy1221様

宣言の内容事態は現在の産科事情からすれば誰でも思いつくことです。現に匿名世界での本音ではごく普通に語られます。しかし実際に行なうとなれば医師として躊躇します。医師の意識も様々ですが、地区の産婦人科医会レベルでは従来の建前論が強力でしょうし、建前論が出てくれば通常は本音論は引っ込みます。これが現実世界です。

そんな建前論のブレーキが吹っ飛ぶぐらい疲弊しているんだと推測しています。こんな宣言をすればバッシングが起こるぐらいは分かっていても、それが気にならなくなるほどの疲弊感と言えば良いでしょうか。現実に宣言する時は建前論の揺り戻しがあるとは思っていますが、それが無いようなら「もはやそこまで」と思わなくてはいけないでしょう。

BugsyBugsy 2008/05/04 09:57 首都圏で 地域の周産期センターも公的病院も大学病院もお隣の地域の基幹病院も
アップアップな 余裕なぞ逆さに振ってもありっこない地域といえばあそこでしょ?
まあ複数思い浮かびます。
周辺へのドミノ効果は確実です。

首都圏でも医師会に所属している産科医はご高齢な方が多く、分娩を取りやめるか閉院しかないよって声をよく医診連携の懇親会で耳にします。「借金はとりあえず払ったし、子供も社会に出ちまったし。」

こういう宣言は早いモン勝ちかもしんないですね。まあ波動砲で周りの空気ごとぶっ飛ばすんでしょ。飛び込み出産はダメッつったって、気がつきゃ里帰り出産が出来なくなったと直前にになって泣きつく妊婦の話も産科の開業医の方からよく聞きます。

YosyanYosyan 2008/05/04 10:05  >こういう宣言は早いモン勝ちかもしんないですね

早いモン勝ちと言うより、最初と最後が叩かれると思います。第1号は前代未聞として叩かれるのはほぼ確実ですが、それに引き続く第2号、第3号となるに従ってバッシングは拡散し弱まります。弱まるのですが、歯を食いしばって頑張った最後の砦が宣言した時には再びバッシングが集約します。世の中そんなもんじゃないですか。

shy1221shy1221 2008/05/04 10:22 >最初と最後が叩かれると思います。
そうですよね。だから、最初と最後にならないように、時勢を読むのが難しいんですよね。ともあれ、今回の該当地域の先生方、お疲れ様でした。

サルガッソーサルガッソー 2008/05/04 10:39 >第一段階:マスコミ、住民、自治体からのバッシング
考えられるのは「いざ(飛び込みたい)というときに受診できないのは困る」でしょうか。
準備期間が10ヶ月もあるのに準備してないほうが悪いとはならないのでしょうね。

なんせ万引きを通報したり、入学金を払わなかったから入学させなかったら非難される「庶民感情」ですからね。

風はば風はば 2008/05/04 11:04 医療従事者の良心だけに頼り、喰い物にしてきたツケがやって来た、ということでしょう。

野良妊婦を引き受けることで、良識(きちんと検診を受けてきた)ある妊婦に対する安全が担保出来ないのであれば、当然といえば当然です。

マスコミのバッシングより無理解の住民がいれば、そこが聖地化するだけです。

野良妊婦による道産子が日常化する!?

子持ちししゃも子持ちししゃも 2008/05/04 11:06 主治医として、乏しい医療資源(とても少ないNICU、産科ベット、オペ室)と体力と気力を自分の大事な患者さんのために振り絞って使いたいというのは当然です。

「飛び込みお断り宣言」と同時に、
「妊婦健診にきちんとかかっている妊婦は責任をもって地域の産婦人科医会で支えます。守ります。安心してください」
の宣言を同時にして、強力に広報、新聞、チラシ、CM、母子手帳の表紙にシールでも張っていただければ、普通の一般人にも理解してもらえるかも知れません。

全国でドミノで産科休止→分娩施設の消失になるくらいなら、
「飛び込み分娩は、最後の医療資源を食いつぶして住民とまじめな普通の妊婦さんと赤ちゃんの健康と幸せを略奪する行為だ」
と全国いっせいに宣言して広報すればよいのです。

産科医療は、もう無理です!! 守ってください!! 助けてください!! の宣言です。

そうすれば、お産で死ぬなんてありえないという認識を変える力もあると思います。

元もと保健所長元もと保健所長 2008/05/04 11:52 昔、「百い巨塔」サイトにあった「強産党宣言」という歌の一節に
「救急に産婦来る、本当に産婦来る、消防に嘘(食中毒みたいなんですが・・)ついて、」「救急に産婦来る、リスク高い産婦来る、隣町から来た・・」

というのがありました。普通の救急外来に分娩開始してしまった妊婦が只の腹痛とウソついて飛び込む姿が思いやられます。

元もと保健所長元もと保健所長 2008/05/04 11:52 昔、「百い巨塔」サイトにあった「強産党宣言」という歌の一節に
「救急に産婦来る、本当に産婦来る、消防に嘘(食中毒みたいなんですが・・)ついて、」「救急に産婦来る、リスク高い産婦来る、隣町から来た・・」

というのがありました。普通の救急外来に分娩開始してしまった妊婦が只の腹痛とウソついて飛び込む姿が思いやられます。

physicianphysician 2008/05/04 12:30 飛び込み出産→胎児への虐待ってことで、刑事罰にすれば問題解決のような気がします。
パチンコ中に子供が車の中で死亡なんて事件も刑事罰でいいんじゃないのかと思います。

banch1banch1 2008/05/04 12:36 元もと保健所長さま
>普通の救急外来に分娩開始してしまった妊婦が只の腹痛とウソついて飛び込む姿が思いやられます。

外妊なら今でもありえるパターンですが、
いずれにせよ婦人科紹介先が見つからないとなると消化器内科としては冷汗ダラダラの恐怖です。

Yosyanさま
婦人科の現状は数年後の一般外科で起こりうると考えます。
それは当然内科救急にも直結する問題で、小児科も同様だと思います。
是非とも続報をお願いいたします。

3月で救急&脳外引退3月で救急&脳外引退 2008/05/04 12:54 性善説では対処できない時代で、性悪説で対応するしかないと思います。
ディズニーランドに行く金は出すけど、医療費は出さない、っていう人いっぱい見てますから。
自分の身は自分で守るしかない時代です。

YosyanYosyan 2008/05/04 13:24 子持ちししゃも様

 >産科医療は、もう無理です!! 守ってください!! 助けてください!! の宣言です

他に書かれた事も含めて、そこまで腹を決めてのものかどうかになります。詳細は言えませんが、会議の内容と言うかボルテージはあんまり高くなくて、例の宣言もダラダラした会議の末にヒョコット出て、くたびれ果てた出席者が無言の同意をして終わった気配が濃厚です。出席者は本当に「疲れている」の感じで「どうにでもなれ」が感じ取れます。

本当はここまでの宣言を行なうのなら、産科医サイドが強力に団結し、少なくとも医師会サイドと強力なスクラムを組んで計略的に推進していかなければならないのですが、読む限りでは無理そうな感じはしています。やはり責任を負うリーダーが必要なんでしょうが、はたしているかどうかです。

子持ちししゃも子持ちししゃも 2008/05/04 13:59 >やはり責任を負うリーダーが必要なんでしょうが、はたしているかどうかです。

ここがネックです。

産婦人科医会のT尾先生に、そのパワーと戦略があるかですが、産婦人科医師である医師会のK理事が第3次試案を通そうとしているのを見ていると、すでに厚生労働省に取り込まれていそうです。現場と果てしなく遠い所、もしかしたら昭和の時代にまだいるのでは?

宣言のタイミングは、大野事件の福島地裁の判決時が最適でしょう。

間違いなく現場の産婦人科医師は、明日はわが身と息を詰めて見守っています。
「もうたくさんだ!」と疲れ果てている先生には、そっと退場する決意を促す判決になると思います。
そのときに産婦人科学会が、腹をくくって断固とした態度で国と国民を相手にネゴシエート出来るかどうかが、存続できるかどうかの最後のチャンスでしょう。

昨日の胎盤早期剥離も警察が告訴を勧めていると関係者からの書き込みにありました。
どこが謙抑的なんでしょう!!
産婦人科医会の会長のT尾先生のお膝元なのに。

産科医師を守るのは、第3試案でも、無為過失保障でもなく、
国民一人一人です。柏原の住民のように自覚してもらうしかありません。

無理です宣言!で、消え去る産科医療の現状を国民に知ってもらうことが一番の近道ではないかと個人的に思っています。

子持ちししゃも子持ちししゃも 2008/05/04 14:13 元もと保険所長様。
>普通の救急外来に分娩開始してしまった妊婦が只の腹痛とウソついて飛び込む姿が思いやられます。

この方達については、産婦人科の初期研修2ヶ月終了し正常分娩が扱えると厚生省が認定した優秀な後期研修医が対応してくれるでしょう。毎年たくさん認定されていますし、勿論責任は、研修終了したと認定した厚生労働省が担保してくださるはずです。

分娩待機医分娩待機医 2008/05/04 15:37 当直中の一産科医です。
2年半前、旧帝大産婦人科教授が日医雑誌に「産科は開業医がする時代ではない。集約化すべき」と書かれていた。
産科開業医でバイトする身としても、看過できない「暴言」に思えたので周囲の産科医に意見を求めたところ
「集約化など机上の空論。
妊婦は遠くの分娩施設に移動中、車内で出産になって大混乱する。
だから、集約化は実現しないよ」と笑われた。

しかし、それからも、色々な有力大学産婦人科教授らによって
「分娩は開業医が扱うべきでない。集約化すべき」
と、雑誌に書かれ、講演されたりした。

そうこうしているうちに、堀病院の「看護師内診事件」。
開業産科医が、この事件にとどめを刺され、分娩を断念していく。
学会の偉い先生方は「看護師が内診しても問題ない」と産科開業医を庇わなかった。

私が思うに、今の産科崩壊を、学会の偉い先生方は、予測されてた。
開業医憎し、と思える発言が多かった事を考えても、開業医に分娩をさせたくなかったのだと確信する。

開業医が分娩から手を引けば、当然、基幹病院に妊婦が押しかけパンクするわけだが、もし、予測違いがあったとすれば、基幹病院産科勤務医がこんなに逃げるとは、想定していなかった事だろうか。

それまでも、基幹病院勤務医をやめて、開業する産婦人科医はいた。
基幹病院は人手不足がちだった。
それをわかった上で、それでもなお「看護師内診禁止」を庇わず、事実上、開業産科医らに分娩を断念させる方を選択した。

それは、集約化という理想のためと思われる。

ベテラン産科医が、分娩をやめるのは、とても辛い事だ。
本当は、続けたかったと思う。
産科医は、いなくなったのではない。
数年前まで、各施設が分娩の奪い合いをしてたわけで、産科医は過剰ともいえたのだから。
だから、産科医は不足などしていない。
ただ、分娩をやるわけにいかない状況というだけなのだ。
と、思う。

元ライダー元ライダー 2008/05/04 16:14 応召義務との関係で考えてみました。

飛び込み分娩拒否→応召義務違反→罰則なし→医道審議会
→処罰(医業停止)すると全体のお産不能→処罰なし
→道産子の出現→高死産リスク→死産になった産婦(家族)が民事訴訟
→応召義務を果たさなかったから死産になった→産科医敗訴
→産科医消滅

こういうシナリオになりませんかね?

>集約化という理想
前にもどこかで書いたと思うんですが、分散でも集約でも産科医1人あたりの分娩数は変わらないはずですが、集約化に何かメリットあるのでしょうか?休みを取りやすくなることは考えられますが、その分、勤務中産科医の仕事密度は増加します。それに耐えられるんでしょうか?

BugsyBugsy 2008/05/04 16:18 オイラの友人の親父が個人の開業産科医です。産科医師会の似たような内輪話を耳にはしています。というより皆さん疲れ果てちゃって会議中に居眠りする医師が激増なんだそうです。
ただ医師会には一定の割合には医師会長や理事のポストが欲しい高齢の医師も残ってはいるので頑張って出席してらっしゃるようです。若手は殆ど体育会の幽霊部員みたいなもんで家業に余裕が無くって顔をださないようです。

なんつっても70台後半の医師が多いですから、そりゃ疲れ果てるでしょうよ。

今回の話も宣言とまではならなくとも 「飛び込み出産はもうやめようよ、皆の衆。」とある爺様が言い出して無言でうなづいたというのは状況として首都圏の地区医師会ではよくあるようです。
どっかの医師会が公に言い出したら めだたぬように自分たちも右にならえでしょう。

ただし今回の問題は分娩まで検診に来ない飛び込みの妊婦であって 検診にきちんと来て分娩予定日をおさえている普通の妊婦の話じゃないだろうと言われました。

もっとも分娩そのものをやめたいと漏らす産科開業医が多くなってる方が問題なんじゃないでしょうか。昔は同業の産科開業医のことを商売敵なんて言ってたくせに 相手が分娩をやめて婦人科専門になった途端、自分のところに妊婦が押し寄せて来るかもって鵜の目鷹の目だってその親父さんが苦笑いです。

正常分娩をもやめたいという個人産科医が潜在的に増えてるということが地鳴りのように思いますよね.
「分娩を取り扱わず 分娩台も売却すれば 助産師を苦労して勤めてもらったり看護師の内診問題に悩むこともなくなるよな。」
本音はまだ頑張りたい産科医達にこう云わしめたシステムが悪いんですがねえ。

TOMTOM 2008/05/04 16:50 >首都圏で目指されそうなところはやはり東京でしょうか。東京がそんなに余裕があるとは間違っても言えませんし、

ご指摘の通りで、東京も余裕ないです。皆様ご存じの通りで東京も既に分娩取扱の病院は大分少なくなっています。

>検診にきちんと来て分娩予定日をおさえている普通の妊婦

も、最早「分娩予定日をおさえる」こと自体、“常識ある”人にとってすら困難になりつつあります。
 私は東京都23区の東半分の某所で開業していますが、最近弊院スタッフの一人が妊娠しまして、彼女は私から産科の惨状を散々聞かされていたものだから急いで受診に行きました。月経が2週間遅れたかどうかというタイミングです。すると、「キャンセル待ち」になるギリギリの所だったそうです。
 市井の一般の人々にもこういう情報に通じてる人は少なからずいて、彼女たちは「あれ?」と思うとすぐ分娩予約を取りに来るらしいのです。で、その後月経が来ると、キャンセルする。「キャンセル待ち」とはそういう意味で、分娩申込だけなら既に10ヶ月分以上の行列ができているという事です。キャンセルがいるから成り立っている引受数なのに、そこに野良妊婦なんてとんでもないでしょう。
 関係ないですが、最近私の周辺のめざといお母さん達は、妊娠に気づくとまず分娩予約、続いてすぐに(出産前に)保育園の申込をしています。これ、東京の話です。

toratora 2008/05/04 17:47 神戸出身、シンガポール在住の素人(♂)です。日本の産科医療はトンでもないことになっていますね。だた、何か変だぞ?と思うことがあり、コメントさせてもらいます。日本での分娩はなぜ『手なりでマージャンを打つ』ような自然分娩ばっかりなんでしょうか?シンガポールでは(他の海外でもそうらしい)、計画出産が常識化しています。分娩を9時ー17時のレンジに入れるよう、出産予定日の前日の夜に入院し、翌日全スタッフ(麻酔医などの専門医たち)の揃っている時間帯に出産させています。これだと、万一緊急事態が発生しても、助かるリスクが上がる、というのが理由の一つで、もう一つはお産のために夜中にスタッフを取られない=>他の事故などの対応に人的資源を振り分ける、という意味合いがあるそうです。日本ではこのような考え方を聞いたことがなく、耳にするお産事故の多くが、夜間に何か起こっているような気がします。(特に裁判沙汰になるような事故の多くが)

一方で医者の方々は、法律違反まで犯して、長時間労働を行うのか、不思議でなりません。日勤=>夜勤=>日勤と連続(休憩を入れたとしても拘束時間として)勤務することは法律違反です。第一、疲れた状態で手術などしたら、それこそミス発生の確率が高くなるのは当たりまえです。
医者は命を預かる、といいながら、疲れた体で診察するというのは、命をおろそかにする、という事をもっと世間にPRすべきです。
人がいないなら、いる人員で可能な方法はどうすべきなのか、という議論が出てしかるべきですが、どうも後ろ向きの話ばかりに聞こえます。

前述した、計画出産がうまく回れば、少なくとも夜間におけるリスクが何%かは低減しますし、医者の勤務時間の短縮(在宅による待機も可能)になるでしょう。

素人の意見なので、馬鹿なことをいっている、と専門家の方は思われるかも知れませんが、
先ずは医者が楽を(肉体的に)をしないと、医者も患者もリスクが増えますよ。
企業の危険予知じゃないですが、疲労困憊、精神衰弱状態で仕事に望むは危険です。

海外在住の素人の走り書きでした。

YosyanYosyan 2008/05/04 17:56 tora様

計画出産なんて事を日本で主張すれば非難レベルではなく、社会的バッシングの嵐が息の根が止まるまで情け容赦なく続きます。昼夜どころか曜日にほんの少しでも偏りがあれば、それだけで計画出産させているとの非難が当たり前のように寄せられます。そういう意識はさすがに一朝一夕でどうにもなるものではありません。

ssd666ssd666 2008/05/04 18:18 とびこみ分娩はテロリストですから、まったく正しい対応です。
唯一解ですらあります。

BugsyBugsy 2008/05/04 18:24 tora様

おっしゃる疑問はまことに妥当なものだと拝察いたします。
へい ここで本ブログ御主人様のコメントを補足させていただきやす。

計画出産はおっしゃるような合理的な思考は無視され、「医者の都合で分娩時間を決められてしまう。赤ちゃんの誕生日が決められてしまう。」とのたまう患者の家族団体がいてこれがねえ 結構世論を引き付けています。産科医個人が疲労困憊の末に起こってしまう不測の事態というのは本邦の国民の理解を超えています。
政府の言うことは無条件に信じてしまう、マスコミと国民性ですぜ。自ら掘り下げて考えることを知らなかったんです。
これからも永遠に、日本人の精神年齢はおそらく15歳を超えることはないです。

医師の勤務時間に関しては 米国のレジデントの激しい勤務がいつも引き合いに出され、妙にそこだけは米国のシステムをまねしてます。本邦では医師ならば一生レジデントの勤務状況を続けるように強制させられる暗黙の雰囲気がありました。

先日米国に学会出張の折、たまたまこの話題が出たのですが、先方ではとっくにレジデントは連続30時間以下 週に80時間以内の勤務が義務付けられ 違犯した病院はレジデントプログラムそのものを取り消されることになっています。
現地の友人の口調は いかにもクレージーな日本の医者の勤務といったものでした。昔からですよ、これは。昔カミカゼ、今医者ですかねえ。いや ハラキリ医者でしょう。死んで当たり前だと国民が思い込んでるんだもんね。

通行人通行人 2008/05/04 19:03 勤務時間について思い出したのですが、以前、テレビの小児救急の特集番組で、基幹病院の小児科医が減少したため、地域の小児科の開業医の先生に準夜帯(18〜23時)の小児救急外来の応援に来てもらっていると報道されていました。その開業医の先生は60代でした。おそらく日中は自分の医院の業務をされていると推測されます。60代以上の方にまで長時間労働を強いらなければならない状況は果たして正常な状態なのだろうかと思いました。アクセス制限を検討することも止むを得ないのではないかと思いました。

TOMTOM 2008/05/04 19:12 >tora様
既にTosyan,Bugsy両先生よりコメントされておりますが...

「自然がイチバン!」とか、「天然成分100%だから安全!」とかいうコマーシャルを本気で信じる知能の足りない人、多いでしょう。毒キノコだって自然で天然なのに。そういう事です。

 それにそういう人達は、まず「資源は有限」なんていう考え方をしません。「医療資源」なんて言わずもがな。何も差し出さないまま、いつでも、自分の好きな時に最高のサービスを無償で受けられて当然、と思っている。それを誰かが何とかして実現している、という発想は望むべくもありません。

 正直こういうのは、医者が独りでどうこうして改革できるものじゃありません。唯一解決できるとしたらマスコミ含めた教育でしょうが、そっちの方が医者が無理するよりもっと無理と思われます。

TOMTOM 2008/05/04 19:14 × Tosyan,Bugsy両先生
    ↓
○ Yosyan,Bugsy両先生

申し訳ありません。訂正いたします。

GreenTourismGreenTourism 2008/05/04 19:33 ブログ主さま。
きくりがせっかく来て来れたので、宜しければアク禁きくりのIPを公開していただけませんでしょうか。確か、兵庫県立病院内の無能事務員だと言う推定が成立している様子です。

元外科医元外科医 2008/05/04 20:13  連休の真ん中でお疲れ様です。産科医療の実態の具体的な報告ありがとうございます。大野冤罪事件の影響で産科が消滅するのは既定の道だと思っております。今後は静岡のような阿鼻叫喚の世界が日本各地で出現するのでしょうが。小生は傍観しておりますがいつもいわれているように刑事免責が産科や救急で立法化されない限り再生もあり得ません。誰か偉い方がのたまわっていたような強制労働の産科医では囚人兵と同じで督戦隊が必要です。
 日本の医療が再生する前には英国と同じく予算を増やすでしょうがそれから最低15年はかかると試算しています。小生が存命中は再生はみれないでしょうね(笑)自分自身は75歳すぎて高度医療は受けたくありませんので関係ありません。死ぬときは死にます。何せ死亡率は100%ですから。

SORASORA 2008/05/04 22:12 産科の医師不足という認識は一般にもかなり浸透してきているようですから、そのうち計画出産しか扱わないというのも容認されるんじゃないかという思いはあります。
公立病院等だと抵抗は大きいかもしれませんが、私立病院や開業医の方々なら告知から移行まである程度の猶予期間を設けて移行していけばもうそろそろ行けるんじゃないか…って思ってしまうのですが甘いでしょうか?
無い袖は振れないというのは何らかの形ではっきりと示さないといつまでたっても一般から窮状を理解してもらえないように思います。
#それでバッシング受けたらサクッと産科やめちゃう覚悟でやらないと逆効果でしょうけど。

釈浄圓釈浄圓 2008/05/04 22:21 tora様
母乳育児支援につとめている小児科医です。産科医ではないので確信はないのですが、すべての妊婦に帝王切開を施行することが、例え予定された帝王切開であっても、本当に母子にとって安全なのか疑問です。普通の帝王切開のはずが大変な状況になってしまうこともあります。また、お産というのは女性にとっては子どもを産み育てるうえでの、重要なポイントとなる体験だと思います。母子関係のスタートという面からみるとできるだけ、自然に近いお産と子育てのスタートをできるように援助することが長い目で見て、その後の子育てに役立つように思っています。
とはいっても、50年前の日本では妊婦死亡と新生児死亡が現在の20〜30倍になってしまうので、すべてのお産を自然のままに行うなどということは許されません。助産師さんから、よく引き合いにだされるオランダでは、全分娩の3分の1が助産師の立ち会いのもとで家庭で行われるそうです。オランダでの妊婦死亡率はこの25年間、出生10万あたり8人前後でほとんど改善していません。日本では同じ期間に20人から4人まで改善しました。日本で助産師による分娩を進めるには、オランダなみに妊婦死亡率が悪化することを覚悟しなければならないのでしょう。
周産期医療が崩壊しつつある日本では、選択枝がもうほとんど残っていないようですが、周産期施設の中で、正常分娩に関してはできるだけ助産師がカバーして、産科医の仕事量の軽減を図るようにする( 正常産で産科医を呼ばない )のがよさそうに思います。正常産が突然、修羅場に変化するの例も何度も経験したことがありますので、口でいうほど簡単ではないことも承知しています。

釈浄圓釈浄圓 2008/05/04 22:39 tora様
もうしわけありません。あれこれ考えているうちに、
計画出産といってらっしゃったのを帝王切開に勝手に変えてしまいました。
ただ、自然にうまれそうなときには何もしないで見守っていただいたほうがよいように思います。介入すべきときは迅速に介入する。
なんていうと結局、産科の先生の仕事が増えることになるのでしょうか。

toratora 2008/05/05 00:35 計画出産について、一つ書き忘れていました。
日本以外の先進国では無痛分娩も当たりまえと聞いています。
出産に限らず、私自身も外科手術を受けた際は、ペイン・クリニックが日本より数段進んでいると実感しました。
計画出産に対するアレルギー、言い換えれば、”自然出産信仰”の如く、人は本来自然であるので、という事であれば、産婆さんに取り上げてもらえばよいのでは?と思いますよ。

釈浄圓さんのお考えだと、夜間に産科の医者を呼び出すのを当然の権利と思っておられるようですが、あなたが、昼間の勤務に引き続き当直勤務をこなし、翌日また通常の昼間の勤務を行う、という事は当たり前でしょうか?
小児科医も同じ勤務をしているから、産科医も同じ事をやれと言う事でしょうか?
私は医者ではないので、小児科医がリスクの高い手術を夜間呼び出しでやっているかどうか知りませんが。。。

病院が医者のシフトを考えろ、という段階は既に終わっています。
医者がいないのでなく、そんな馬鹿げた勤務体系で、かつリスクを抱えた仕事をしたくない、という当たり前の考えの医者が増えているのです。(これは人間として当たり前のことだと思いますよ)
昼間の時間働いた医者が、産気づいた患者に夜間呼ばれて、という事が異常事態と感じないのが不思議です。

例えば、成田発の航空機で7時間くらいのフライト(昼間の通常の勤務時間が8時間しますと)だとちょうどシンガポールくらいの距離になります。(時差も1時間ですし)
シンガポールに到着したJALなりANAなりのパイロットが、そのままシンガポール発成田行きのフライトに乗務しません。なぜだか判りますか?

危険だからです。

一般企業の常識からは考えられない、無茶苦茶な勤務体系が当たり前になっているのが、日本の病院の勤務スタイルです。
釈浄圓さんのコメントに、『改善』とありましたので、あえて書かせて頂きます。
企業では、一人だけ楽することは改善とは言いません。これはサボるとか、手を抜くといわれます。チームや組織全体で楽になる(結果が良くなる)事を改善と言います。
産科医療+救命救急など、夜間診療全体の仕組みの中で、限られた資源をどう集中し、効率よく運営するのか、という命題を真剣に考えていますでしょうか?
(効率よく運営する、という事は、銭儲けという意味とは違いますよ。)

先進国での無痛・計画出産と自然分娩の比較データやその成功率と失敗率のデータ集め、日本の現状との比較をされれば、現状の問題点が浮き彫りになると思いますよ。
夜間だと助からないけれど、昼間なら助かるケースもありますよね?
このような、昼間救出率、みたいなデータ取りできれば良いと思いますが。。。
(個々のプロが判断する細かい症例のデータでなく、もっとシンプルなものとして)

医者は神様ではないので、先ずはベストの状態(少なくとベターくらい)で患者と向き合える環境にいてほしいものです。それが結果として患者のメリットになりますから。

日本でまともな医療を受けたいと思っています。

LionLion 2008/05/05 00:59 Tra様へ。シンガポールの病院は、公的保険が使える国立病院と、私的保険あるいは自費でしかかかれない私立病院にはっきりわかれます。日本の医療環境では、そちらの国立病院と似た自己負担で、私立病院と同様の医療サービスを要求されます。それも、全国津々浦々同一の高いレベルで。呼び出しがない限り、手当ても無く、オンコールといったシステムは、理解を絶するものでしょう。

基本的な医療水準自体は、みな素晴らしいわけですが、シンガポール在住でらっしゃるなら、アクセス・アメニティー・主治医や術者の選択権・使える薬剤や医療機器、さらには 支払いに、どれだけの深遠な違いがあるか、ご存知ですよね。(答えていただく必要など無論ありませんが)外科手術は、どちらの医療システムで受けられてのご感想でしょうか?

一産科医一産科医 2008/05/05 02:27 >シンガポールの計画出産

中華系の方ですと、産まれる日時を指定される場合がありますね。
(占いの結果による)○月×日なら15時までに(あるいは11時以降とか)お願いしますとか言われたりする(経験あり)。
それだと計画出産が馴染みやすいのかも。

OBGYNOBGYN 2008/05/05 04:12 議論の流れが計画出産の話に移っており、
話を蒸し返すというかタイミング遅れの突っ込みを入れるようで
少々気が引けるのですが
”元ライダー”先生の下記コメントに対してちょっと補足を。

>集約化という理想
前にもどこかで書いたと思うんですが、分散でも集約でも産科医1人あたりの分娩数は変わらないはずですが、集約化に何かメリットあるのでしょうか?休みを取りやすくなることは考えられますが、その分、勤務中産科医の仕事密度は増加します。それに耐えられるんでしょうか?


集約化という言葉が指しているものは2つあります。
1つは本来的な意味での集約化。
A病院に医師4名、近隣のB病院に3名、C病院に2名。
これをA病院9名にし、B、Cは非常勤医が外来(妊健)のみ行う。
これが理想であり、この場合メリット大有りです。
診療レベルもQOMLも格段に向上するはずです。

もう1つはいわば”pseud集約化”もしくは出遅れて失敗した集約化。
A病院に医師4名、近隣のB病院に3名、C病院に2名。
A病院の若手1名が産休育休でセミリタイア状態になり、
時を同じくしてB病院の中堅1名が開業退職しますが、
このご時世で医局内部からの新規補充は困難、
外をいじって何とか回せとの発想になります。

C病院を撤退して1名ずつAとBに振り分けることも検討されますが、
この際だからBの残り2名とCの2名を一挙にA病院に集めて
7名にパワーアップ、理想の集約化を目論見ます。

ところが現実は”いまさらA部長の風下に立てるか!”と
B部長は開業医の雇われにトラバーユ(収入も少しアップ)、
C病院部長はよその土地で開業してしまい、
とどのつまりA病院の戦力は最終的に5名。
1人増えたけどそれ以上に分娩が激増して”何のための集約(?)”状態に。

以上はあくまでも例え話で現実の事例ではありませんが、
要は今起きているのは産科医が減って維持できなくなった病院を
後手後手に閉鎖しているだけでおっしゃるとおりたいしてメリットはありません。
メリットないけどやらざるを得ないということです。

私たちが目指すべきなのはどんどん先回りして真の集約化を進めることで
労働環境を改善し、中堅の脱落防止と若手の参入促進を図ることです。
(もちろん地理的条件、ベテラン医師の意向などもあり簡単にはいかないのですが...)

釈浄圓釈浄圓 2008/05/05 07:38 また計画分娩関連の話に戻してごめんなさい。

Tora様
>釈浄圓さんのお考えだと、夜間に産科の医者を呼び出すのを当然の権利と思っておられるようですが、あなたが、昼間の勤務に引き続き当直勤務をこなし、翌日また通常の昼間の勤務を行う、という事は当たり前でしょうか?
小児科医も同じ勤務をしているから、産科医も同じ事をやれと言う事でしょうか?私は医者ではないので、小児科医がリスクの高い手術を夜間呼び出しでやっているかどうか知りませんが

自分は長年、NICUで理不尽な勤務体制で働き続け、ぶち切れた末、NICUのない現在の病院へとばされました。今は主に正常新生児をみています。病院から自転車で10分以内のところに住み酒を飲めない質なので、異常分娩の立ち会いで深夜に呼ばれると自転車で出かけてゆく愚かな小児科医です。

以前は、tora様同様に深夜休日のお産はやめて、計画的に日勤帯でお産をするのがよいように思っていましたが、50歳を過ぎるころから、普通のお産には医療の介入は最小限にしたいと思うようになりました。出生直後からの母子の関係がその後の子育てに影響することが多いように思うからです。しっかり訓練すれば80%のお産は助産師だけである程度安全にできると思います。あとは残念ながら産科医を呼ばなければなりません。異常産は病気だからです。

産科医の勤務条件を考えると、アクセスをある程度犠牲にしても集約化とシフト勤務の方向に向かうことは仕方のないことです。日本人は、未来の日本社会の鍵になる周産期医療にもう少しお金をつっこんでほしいものです。ガソリン暫定税のうち毎年1兆円(約3 分の1?)をつっこめば、年間約100万件の分娩一件あたり100万円になります。妊婦健診、分娩、乳児健診全部込みでもずいぶん楽になります。お金だけで解決するものではないですが、お金だけでもできることはあります。

toratora 2008/05/05 11:21 話を逸れさせて申し訳ありませんが、少しお付き合い下さい。
Lionからのご指摘について、まさにその通りです。
病院のシステムそのものが、日本と違っております。
簡単にご説明しますと、最初は一般医(GP)での診察を受け、その後必要があれば専門医を紹介されます。
国立病院の場合、A&Eという救急センターでの診察を受けその後に専門部門に回されます。国立病院や一部の大規模病院は全ての部門が同じ法人で日本と似ていますが、私が手術を受けた病院は、病院(病棟)は共有ですが、個々の専門医はそれぞれが間借りし、手術にそこの施設を使用する、というスタイルです。
もちろん、それぞれの医者により値段は違います。
薬の価格も(同じ薬でも)違うと思いますが、それが当たり前になっています。
日本のシステムと違いますので、良いかどうか判りませんが、日本は一律どこでも(ベテラン医師と研修中の医師も)値段が同じですよね?
これが最も悪い点ではないですか?

プライベート(私立)の医院や病院の診察料は、それぞれの病院が責任を持って決定すればよいのに、なぜか厚生労働省が決めてますよね?

一方で、本来新人の研修や基礎研究を行うべき機関である国公立の病院や大学病院は、もっと広く一般の人を受け入れるため診察料は一律にすべきと思います。
この位置づけを明確にすると同時に、必要が無いのに大学病院に来ないよう紹介状を必要とするか、あるいは初診用の部門を開設しても良いのでは?と思います。
同時に、人材育成や研究をしっかり行うための補助費用を国から十分に出すべきです。

また、日本の病院はクレジットカードが使用できません。これも問題ありです。
お金の回収に熱心で無いように思えます。
暴利を貪るのでなく、技術や使用機材に対する対価なのですから、堂々と請求して当然だと思います。(プライベート病院の場合ですが)
国公立の病院の場合には、お金を払えない人のための福祉政策として、病院に実費(薬だけでなく、診察費用も)を国が補填するシステムは無いのですか?
何か国庫から補填してもらえるルール作りが必要です。

どうも、味噌も○○も一緒くたのような感じがします。

OBGYNごめんなさい。もうちょとだけ素人の戯言に我慢下さい。

釈浄圓さんのお考えで、異常産は病気なので産科医が必要=>集約化とシフト勤務が仕方ない、となっていますが、これがよくわかりません。

シフト勤務は必要ですが、今のような悲惨な状態をどう改善するのか?というのが最重要課題と認識しております。
単に病院を集約化するしかない、のでしょうか?

必要が無いのに病院に行く人と、本当に医療行為が必要な人の選別、
医療が必要とされる人の中で、保険だけで賄って欲しい人と、プレミアを付けてでも見て欲しい人、というような選別は行えませんか?
災害時のプライオリティーについては取り組んでいるとTVなどで紹介されていますが、
普段の診察で選別は必要ないですか?

診療報酬は厚生省が決めている、患者さんの選別は馴染まない、
などと他人事のように言うのであれば、それこそ改善などできませんよね。

妊娠に関して、例えば中学や高校の性教育の段階や世間でのPR活動を通して、
どうなったら病院で検査しなければならないか、
という啓蒙活動を今以上に行う必要はありませんか?

こんなの知ってて当たり前、の事を知らない患者が多いのではありませんか?

何か基本的な考え方を少し変えないと、皆さんがどんどん辛い状況に陥って行くように思えます。

OBGYNさんのご指摘の如く、集約化により起こり得る事例は、一般企業の連衡合従でも良くある話です。
集約化により、資源の集中投下ができますが、その前にできることがある(医師だけでなく患者や地域社会も含めた)ように思えます。

医師以外の一般人への啓蒙活動は面倒ですか?

とにかく、医師の方に精神論で働いて欲しくありません。
事故が増える要素がたくさんです。

YosyanYosyan 2008/05/05 12:01 tora様

医療システムは国により異なります。社会事情、歴史的経緯により成立している部分が大きく、どこにも完璧な医療体制は存在しません。最終的にはcost、access、quallityのバランスをその国なりの事情で保たせています。つまりどこの国にも短所と長所があり、長所をかき集めた医療は成立しません。逆に言えば短所を国民の同意によりいかに我慢してもらうかになります。この我慢の範囲が社会事情、歴史的経緯になります。

日本では患者にとって世界的に見ると患者の我慢の範囲が狭い医療を成立してきたと考えています。これは患者のためには素晴らしい事で、これを成立維持するために医師が努力する事もつい最近までは当然であり、喜びであるとさえ感じてきました。マゾのように思われるかもしれませんが、このブログで強烈な意見を述べるコメンテーターのほとんどもそうだったのです。

しかし患者の我慢の範囲が狭い医療は一方で医師の負担の高いシステムになります。この負担が余りにも重くなって医師が悲鳴を上げているのが現在の医療情勢であり、医療崩壊とも言えます。だから「なんとかせよ」が医師の基本的な主張です。

問題は医師の負担を軽減するは患者の我慢の範囲を広げるの同じ事になります。つまり患者の痛みが必然的に増すということです。この問題は医師の良心として患者の痛みが増すのに同情的程度の問題ではありません。患者が痛みに対し文句を言うという世界になります。

医療システムは社会事情、歴史的経緯で成立してきたとしましたが、患者にとっての痛みの常識もそうなっているのです。当然のように痛みが増える事に患者は反発します。患者とは国民の圧倒的大多数であり、圧倒的大多数が反対する事を行なうのは非常に困難であるということです。

医療崩壊に対しソフトランディング論とハードランディング論がありますが、これは大雑把に言ってソフトは現在の状態を底として持続できる医療システムへの移行を考えるものです。ハードは例えとしては完全に壊れてから新規建て直し論です。被害はソフトのほうが少ないのですが、そのためには今の状態から患者に痛みを耐えてもらわなければなちません。しかしそんな事は現実的に不可能であろうと考えられています。

それとクレジットですが、この問題は当ブログでも論じられた事があります。システム導入について積極的でなかったのは事実ですが、現在ではもっと切実な問題で導入は難しいと考えられています。理由はクレジット手数料の負担が病院経営を直撃するからです。なんと言っても病院全体の黒字幅は2%なかったはずですから、クレジット導入はそのわずかな黒字幅を根こそぎ食い尽くします。

まさに貧すれば鈍すです。

pierrepierre 2008/05/05 13:36 toraさまのおっしゃる事は全て正しい感覚だと思います。
医療者もそういう医療が選択できたら良い、と思っています。

ただし、日本の医療は完全な社会主義国家の状態なのです。
価格は完全に統制されています。(お産に関しては表向きは自由価格なんですが、公立の病院がダンピング価格なので個人病院も値上げできません)
クレジットカードの手数料分の値上げもできません。手数料は5%以上必要ですが、そんな費用払ったら確実に赤字の経営状態です。

医療の内容に関しても、少し違ったことをするとすぐに保険診療停止という厚労省の伝家の宝刀があり自由が利きません。
医療の結果についても、裁判所から厳しい責任を負わされています。

だから、現場の人間には医療を辞める、という選択肢しかないのです。
そういう異常な世界にいる、という事をわかってください。

一産科医一産科医 2008/05/05 14:16 >tora様

>>分娩を9時ー17時のレンジに入れるよう、出産予定日の前日の夜に入院し、翌日全スタッフ(麻酔医などの専門医たち)の揃っている時間帯に出産させています。これだと、万一緊急事態が発生しても、助かるリスクが上がる、というのが理由の一つで、もう一つはお産のために夜中にスタッフを取られない=>他の事故などの対応に人的資源を振り分ける、という意味合いがあるそうです。

そういう方針に対してマスコミを代表とする声の大きな方々の反応は
「産科医は無理矢理平日に産ませて、休日にゴルフを楽しんでいるクズ医者。」であります。

>>プライベート(私立)の医院や病院の診察料は、それぞれの病院が責任を持って決定すればよいのに、なぜか厚生労働省が決めてますよね?

設立主体が公立/私立の違いはありますが、日本は国民皆保険制度ですので殆どの病院は(シンガポールでの)公立病院と同等です。
完全なプライベートと言えるのは、美容外科と検査を主体とした一部の病医院だけです。

また、現在は多くの病院でクレジットカードが導入されています。ウチもクレジットカードを導入しています。問題は、カードが作れないレベルの人をどうするかです。

また、日本には応召義務というものがあり、経済的な点を理由に診察を拒むことは難しいのです。未払い/支払い能力がなさそう、ということを理由に診察を拒否することは困難です。

>>妊娠に関して、例えば中学や高校の性教育の段階や世間でのPR活動を通して、
どうなったら病院で検査しなければならないか、という啓蒙活動を今以上に行う必要はありませんか?

現在の日本の学校での性教育では、妊娠についての具体的な指導は認めてくれません。
どちらかというと、ティーン向け雑誌がそちらの教育を担っています(笑)。
そちらの方面で頑張っている先生もいらっしゃるのですが、内外ともに壁があり、苦労されています。

>>普段の診察で選別は必要ないですか?

選別したいという医師は多いでしょうね。
現実には難しいです。自分の後の順番の方がどんなに具合が悪くても、自分の順番がきちんと守られることの方が正しいと主張される方が(数は多くなくとも)いらっしゃいますし。

OBGYNOBGYN 2008/05/05 15:55 適切な答えになっているかどうかわかりませんが、
tora 様のご指摘に関して。

>釈浄圓さんのお考えで、異常産は病気なので産科医が必要=>集約化とシフト勤務が
>仕方ない、となっていますが、これがよくわかりません。

>シフト勤務は必要ですが、今のような悲惨な状態をどう改善するのか?
>というのが最重要課題と認識しております。
>単に病院を集約化するしかない、のでしょうか?

他科はどうかわかりませんが産科に限って言えば
集約化は行政や司法ではなく医療者側の立場でお金をかけずにできる
数少ない自衛手段と考えています。

その他の方法としては(実現の可能性を無視すれば)
医療事故の刑事免責によって現場に踏みとどまる産科医は増えるでしょう。
たとえ大幅な労働時間の短縮や大幅な給与の増加がなくても…

>必要が無いのに病院に行く人と、本当に医療行為が必要な人の選別、
>医療が必要とされる人の中で、保険だけで賄って欲しい人と、プレミアを付けてでも
>見て欲しい人、というような選別は行えませんか?

>妊娠に関して、例えば中学や高校の性教育の段階や世間でのPR活動を通して、
>どうなったら病院で検査しなければならないか、
>という啓蒙活動を今以上に行う必要はありませんか?

啓蒙(患者教育?)によって不必要な受診を減らす、
つまりアクセス制限によってクオリティを守るということですね。
一般論としては大賛成ですし、小児の夜間救急などでは有効かもしれません。
(プレミアに関しては話が複雑になるのでここでは触れないことにします。)

しかし産科診療(妊娠、分娩)での効果はきわめて限定的と考えます。
そもそも正常分娩と異常分娩の区別を誰がするのか…
大部分のケースで上手くいくからといって
不幸にしてそこから外れるケースを今の日本では患者・家族が許容できないと思います。
訴訟の山がそれを如実に示していますね。

さんざん言い古されてきたことなのですが
妊娠分娩にロー・リスクはあってもノー・リスクはありません。
昨年3月14日のエントリーからYosyan先生の文章を引用させてください。
「正常分娩とは結果として正常分娩に終わったものを正常分娩と呼びます。分娩前から正常分娩と異常分娩が明瞭に区別されると考えているものは医師ではありません。正常に経過していても突然異常に変わるののが分娩です。」

啓蒙活動そのものは必要と思います。いろんな意味で…

LionLion 2008/05/05 16:25 Tra様、コメントありがとうございます。Pierre様は日本の医療を社会主義と言われていますが、共産主義的統制医療体制 がよりふさわしくありませんか? その統制をさらに強固にしようとしているのが事故調でしょう。

でも、日本そのものは、資本主義自由経済体制です。水が高きから低きに流れるよう、総体として若手の医師は、リスク・リターンを冷静に分析して将来の診療科を決めています。医療に携わらない人も増えてきました。誰も彼らを非難したり、強制したりはできません。1月に10日以上も当直・36時間勤務するような奴隷労働に従事せよ、刑事被告になれ、そして結果として過労死してくれ とは誰も言えません。なけなしの期間、強制して配置しても、本人のモチベーションがなければ、まったく無意味です。ですので、近い将来、大きなハードランディングは必至でしょう。

確かに、いろんな意味でハードランディング後の体制は、昭和や平成初期から比べればアクセス・コストなど問題点はあるでしょうが、それを甘受しないと、“すべてが失われる”ことになりかねません。極論すれば、経済力のある患者さんのみ、海外にいって、自由診療のもとに高度医療を受ける事態になってしまうからです。すでに、脳神経外科や心臓外科は新規入局者が激減し、10年後の惨状は今の産科医療の非ではない ともささやかれているのはご存知でしょう。

集約化 は何の長期的回答になりません。日本の医療の本質にはまったく手がつかないからです。第二次世界大戦のおり、ラバウルやトラックから航空隊を思い切って引き上げて内南洋に集中させ、反撃密度を高めてみたものの、戦局逆転という意味では、何の効果もなかった史実を思い出していただきたいです。百戦錬磨のベテラン搭乗員と新鋭戦闘機・紫電改で固めた第343航空隊も、一時的な局所優勢をかちえたのち、全滅しました。

医療資源の供給と需要をマッチングさせるとなると、はてさて、ハードランディング以外に、思い当たる方法はありません。

くるむほるんくるむほるん 2008/05/07 22:32 まだ意見書のダウンロードが出来たので今さっき送りました。