新小児科医のつぶやき

2008-05-25 事故調法案化情報 委員会編2

昨日のおさらいから。

事故調の中核をなすはずの委員会ですが構成は、

  • 中央委員会
  • 地方委員会

この2部構成です。どの委員会も20人以内の委員と臨時委員、専門委員で構成され、地方委員のうち4人以内が常勤となる他は非常勤とされています。この二つの委員会の役割の違いですが、地方委員会は、

地方委員会は、医療事故調査を終えたときは、当該医療事故死亡者等に関する次の事項を記死亡者載した報告書を作成し、これを厚生労働大臣及び中央委員会に提出するとともに、当該医療事故死亡者等について厚生労働大臣に届け出た病院、診療所又は助産所の管理者及び当該医療事故死亡者等の遺族等に交付し、かつ、公表しなければならない。

地方委員会はここで調査報告書をまとめ「公表」してしまいます。つまり事実調査はこの時点で終了する事になります。遺族や病院関係者に交付し、さらに厚生労働大臣にまで提出された上「公表」されるのですから、報告書としては最終と考えるのが妥当でしょう。

中央委員会の役割は地方委員会から提出された報告書を基に、

(地方委員会の)報告書の分析及び評価を行なった結果に基づき、医療の安全の確保のため講ずべき措置について厚生労働大臣に対し勧告すること

中央委員会のお仕事は厚生労働大臣への勧告が主になるようです。勧告内容をもう少し具体的探してみると、

中央委員会は、地方委員会からの報告書の提出を受けた場合において、当該報告書の内容の分析及び評価を行った結果に基づき必要があると認めるときは、医療の安全を確保するために講ずべき措置について厚生労働大臣に勧告することができる

中央委員会の所掌事務に中央委員会として新たな報告書を作る業務はなく、また厚生労働大臣への勧告内容を公表する規定もどうやらなさそうです。地方委員会段階で「公表」しているのですから、中央委員会は地方委員会の報告書には手をつけないと考えられます。

あえて二つの委員会のお仕事をまとめると、

    地方委員会:報告書を作成し、遺族、病院関係者、厚生労働大臣、中央委員会に交付・提出する
    中央委員会:報告書を基に厚生労働大臣に勧告する

こういう機能分類になっている事がわかります。

ところでこの二つの委員会はどれほどのペースで開かれるのでしょうか。まず中央委員会はすべて非常勤です。他にフルタイムの業務を抱えての勤務ですから、他の類似の審議会・調査会の例で考えると月1回が妥当かと考えられます。地方委員会は20人として4人が常勤、16人が非常勤です。委員会の開催条件は過半数の出席ですから、非常勤の委員が交替で8人ずつ月1回出席すれば、常勤の4人とあわせて12人になり委員会開催条件が整います。そうなれば月2回が妥当かと思われます。

ここで事故調の年間想定取り扱い件数ですが、4/4に行なわれた参議院厚生労働委員会での岡本充功議員が質問し、

岡本委員

     報道によると調査対象となる対象は年間約2000件くらいではないかといわれておりますが、実際の医療安全調査委員会委員の構成の人数、それからそのバランス、こういったものはどのように考えられているのでしょうか。また調査チームとして何チームくらい予定されているのかお答えいただきたい。

これに対する厚労省側の答弁は、

外口崇医政局長

     委員会の構成でございますけれど、中央の委員会、地方の委員会、そしてその下の調査チームとそれぞれ同じようなバランスになるかと思うのですが、これは今やっているモデル事業のメンバーの構成と大体似通ったものとして、たとえば医療の専門医である解剖の担当医(病理・法医)それから臨床評価を行う医師、さらに法律関係者やそのほかの有識者としてたとえば医療を受ける立場を代表する人と、こういった組み合わせのバランスになっております。人数についてですが、中央の委員会、地方の委員会、審議会のシステムに関する指針にもありますので、一定の制限等はありますが、先ほどの2000件という推定からすると延べにすれば2000人は超えてしまいます。もちろん、全部別々ではないのですけれど、それでもやはりある程度の人数の確保が必要となります。この件については現在つめているところです。

年間2000件に対して外口崇医政局長は否定をせず、これも念頭に置いて事故調のシステムを考えると答弁しております。

事故調法案では地方委員会を地方厚生局に置くとしています。地方厚生局は管轄範囲も決まっており、管轄範囲の人口で地方委員会ごとの取扱い件数が推測可能と考えられます。前提は全国で年間2000件です。


名称

位置

管轄区域

管轄地域人口

(百人)

予想発生事案数

北海道厚生局

札幌市

北海道

42204 77

東北厚生局

仙台市

青森県 岩手県
宮城県 秋田県
山形県 福島県
75598 138

関東信越厚生局

さいたま市

茨城県 栃木県
群馬県 埼玉県
千葉県 東京都
神奈川県 新潟県
山梨県 長野県
398445 729

東海北陸厚生局

名古屋市

富山県 石川県
岐阜県 静岡県
愛知県 三重県
156012 286

近畿厚生局

大阪市

福井県 滋賀県
京都府 大阪府
兵庫県 奈良県
和歌山県
188690 345

中国四国厚生局

広島市

鳥取県 島根県
岡山県 広島県
山口県 徳島県
香川県 愛媛県
高知県
65498

(四国を除く)

120

四国厚生支局

高松市

徳島県 香川県
愛媛県 高知県
32688 60

九州厚生局

福岡市

福岡県 佐賀県
長崎県 熊本県
大分県 宮崎県
鹿児島県 沖縄県
133363 244


最高が関東信越の729件、最低が四国の60件です。10倍以上の差はありますが、審議する地方委員会は同じで一つです。審議日数で1件あたりの審議事件がが計算できますが、月2回のモデルだけではなく幾つかのモデルを同時に出して見ます。審議時間はやや非現実的なんですが、昼休み1時間を挟んで朝9時〜夜6時までの実質8時間とします。


審議頻度 年間審議日数 関東信越 四国
処理案件数 審議時間 処理案件数 審議時間
月1回 12 60.8 7分54秒 5.0 1時間36分
月2回 24 30.4 15分48秒 2.5 3時間12分
週1回 50 14.6 32分54秒 1.2 6時間40分
連日 230 3.2 2時間30分 0.3 3日と2時間38分


全国でもっとも多忙な関東信越ブロックでは月2回の審議では1回の審議に付き30件の処理が求められ、1件あたりの処理時間は15分です。ちなみに非常勤である委員を1年間フルタイムで働いてもらっても、1日の処理案件数は3.2件で1件あたり2時間30分になります。どうなるかはどこにも書いてありませんが、委員の大半が非常勤である事を考えると、どんなに精力的に会議を行なっても週1回が限界で、それでやっと32分54秒です。またこの審議時間の計算の基は上記した通り、1回の審議時間を実質8時間としているため、午後からの半日開催であればさらに審議時間が短くなります。ちなみに中央委員会が月1回、8時間審議として計算すれば1件につき3分弱となります。

これは外口崇医政局長が答弁したとおり、2000件であっても耐えられるシステムとして作られていると考えて良いと思われます。解釈としてこんな審議時間ではパンクすると考えるのは間違いで、地方委員会や中央委員会に厚労省が求めている業務はその程度のものであると解釈する方が正しいと思われます。つまり厚労省が法案化して決定した事故調の審議は、

    中央委員会・・・3分審議
    地方委員会・・・15分審議

これであるなら中央委員会および地方委員会で委員が180人、臨時委員・専門委員がどれほどかわかりませんが、合わせても300人程度の人員で事故調の委員が構成できます。

しかし地方委員会で15分で審議を終わらすためには委員会提出時の報告書資料が限りなく完成版に近いことが要求されます。15分ではこれを大幅訂正する事など不可能だからです。この地方委員会への報告書資料を作るのは三次試案では調査チームとなっていました。しかし事故調法案を読む限り調査チームについて具体的に記した記載は見当たりません。あくまでも地方委員会が調査し報告書を作成するとなっています。

地方委員会が調査をするにしても委員が実際に調査を行うのは不可能です。あれだけの数の報告書の審議だけで目一杯です。そうなると臨時委員とか専門委員が調査チームに当るかと言えば、彼らも非常勤ですから日常業務を横において調査に専念するわけにもいかないでしょう。

そこで気になる条文が出てきました。これは昨日の段階では削除されたと考えていたのですが、別のところに復活していました。まったく法案を読むのは大変です。「委員等の職務従事の制限」として、

地方委員会は、委員、臨時委員又は専門委員が医療事故死等の原因に関係があるおそれのある者であると認めるとき又は医療事故死等の原因に関係があるおそれのある者と密接な関係を有すると認める時は、当該委員、臨時委員又は専門委員を当該医療事故死等に関する調査に従事させてはならない。

2.前項の委員、臨時委員又は専門委員は、当該医療事故調査に関する地方委員会の会議に出席する事が出来ない。

ここで書かれているのは読んでの通り、委員、臨時委員、専門委員が事案関係者と関係がある時は調査や地方委員会に出席は認めないというものです。当然あっても不思議無いのですが、この「委員等の職務従事の制限」を杓子定規に読むと制限されるのはあくまでも委員、臨時委員、専門委員に限られます。それ以外の人間への適用は無いとも解釈可能です。

ここで「医療事故調査等の委託」をもう一度出せば、

  1. 地方委員会は、医療事故調査を行うため必要があると認めるときは、調査又は研究の実施に関する事務の一部を、独立行政法人国立大学法人、地方独立行政法人、民間の団体又は学識経験を有する者に委託することができる。
  2. 前項の規定により事務の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、当該委託事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない
  3. 第一項の規定により事務の委託を受けた者又はその役員若しくは職員であって当該委託事務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

地方委員会は委員では実務調査は不可能なので、調査自体はすべて「委託」にて行なう方針と考えます。委託先はどこかと言えば、案件が発生した院内事故調査委員会と考えるのが妥当です。三次試案でも院内事故調査委員会の整備は強く求めていました。ここで問題になるのは案件当事者との関係です。「委員等の職務従事の制限」を委託先に課せば院内事故調査委員会では調査不可能です。そりゃ、院内ですから最低限顔見知りでしょうし、親しい同僚であっても何の不思議もありません。そこで「委員等の職務従事の制限」はあくまでも委員に限定し、委託先への適用を慎重に避けたとの可能性が出てきます。

もしそうであるなら事故調の基本システムは、

  1. 院内事故調査委員会が完成版の報告書を作成
  2. 地方委員会が15分で審議して公表
  3. 中央委員会が3分で審議して厚生労働大臣に勧告

このシステムの優秀なところは調査チームへの医師集めに厚労省が頭を悩ます必要が無いことです。院内の人間の調査ですから資料集めも、調査も非常に容易です。調査に当る方も調査時間が長引けば、自分の本来の業務の首を絞めますから、可能な限り短時間で精力的に行ないます。間違っても非常勤だから月1回しか審議を行なわないな悠長な事はしません。厚労省から委託費用も出るでしょうが、こっちは非常勤扱いの月1回を目安にした薄謝で必要にして十分ですから、専属の調査チームを抱え込むよりはるかに安上がりです。

今日のお話はあくまでも法案から読み取れる事故調のシステムの仮説です。本当にこうなるかどうかはもちろん分かりません。しかしもし本当であるなら、調査システムの根本を見直さなければならないと考えます。医師サイドのみから立てば有利な点もありますが、こんなシステムでは事故調の調査結果が信頼を勝ち取るのは不可能だと思われます。

こんなシステムでは医師ですらそうですし、遺族の立場に立てばなおの事「信用できない」と断言されても不思議ありません。私がごく一部の急進的な患者団体に余り良い感情を抱いていないのは御存知かと思いますが、この仮説通りのシステムであり、これに患者団体が反対するのであれば私ですら賛同するかもしれません。役に立たないのが目に見えており、事故調と同時に選択可能である民事及び刑事訴訟に従来通りに遺族は向かうと考えられます。そうなれば医師及び病院は民事・刑事だけではなく事故調の調査まで背負い込む事になります。

最後にもう一度念を押して起きますが、条文だけから事故調制度の全貌を推測するのは非常に難しく、この仮説に誤りがある可能性は多分にあります。あくまでも仮説であり、そうとも「とらえられる」とぐらいで御理解頂きたいと思います。

元外科医元外科医 2008/05/25 14:08  事故調の基本システムは、
1. 院内事故調査委員会が完成版の報告書を作成
2. 地方委員会が15分で審議して公表
3. 中央委員会が3分で審議して厚生労働大臣に

って流石にYosyan先生卓見ですね(笑)
本当に役に立ちそうもないシステムで天下り機関創設と等価であると思いました。

YosyanYosyan 2008/05/25 14:36 元外科医さま

算数を行なえばそうなってしまうのですが、中央委員会の3分は書きながら笑ってました。再診でさえ「3分はダメだ5分は必要」としていたのですが、厚生労働大臣への勧告は3分も必要ないとは実に素晴らしい制度設計です。

moto-tclinicmoto-tclinic 2008/05/25 15:22 院内事故調が実質的報告書をまとめるとなると、病院が勤務医師に、「事故調はこちらでまとめて刑事にならないよう最善を尽くしますから、もし民事で訴えられて賠償確定した時には、先生個人の損保保険から支払ってください。」
てことにならないでしょうか?
風が吹くと桶屋が儲かるじゃないですが、事故調成立すると、勤務医個人の損保掛け金は上がる?

moto-tclinicmoto-tclinic 2008/05/25 15:27 続)
まず、厚労省課長クラスのひとが、「よくわかる 院内事故調査委員会報告書の書き方」って、How to本出しそうだな。
それから、中央委員会の委員を経て、徳州会とか、大手チェーン系民間病院の事務長におさまりそう。

YosyanYosyan 2008/05/25 15:42  >よくわかる 院内事故調査委員会報告書の書き方

そう言えば中央委員会の所掌事務のイの一番には、

『医療事故死等の原因を究明するための調査(以下「医療事故死等」という。)の実施要領(第十二条第二項において「実施要領」という。)を定めること』

とあります。12条2項って何かといえば、

『この節に定めるもののほか、医療事故調査は、実施要領に基づいて行うものとする』

つまり中央委員会は基本マニュアルを作ってくれる事になります。だいたいこの手の官製マニュアルは使い勝手が悪いですから、「こう書けば正しい♪早分かり実戦集」は出てきそうですね。

そうなると地方委員会の審議は報告書が実施要項に副って「正しく」書かれているかどうかを審議するところかもしれません。これなら予め事務局が「正しくない」とチェックしたところを「要修正である」と承認するだけですから審議時間は短縮できます。それともチェックは事務局でするのかな?

暇人28号暇人28号 2008/05/25 16:02 15分やら3分で過失の有無を判断ですか.....
どうしようもないですね。これで刑事罰に該当か否か、多額の損害賠償か否かが決められるんですね。もうどうしようもないですね。

YosyanYosyan 2008/05/25 16:08  >15分やら3分で過失の有無を判断ですか.....

なんと言ってもほとんどの委員は非常勤ですし、大部分は本業を抱えていますからそんなに審議時間は確保できないでしょう。

HajimaruHajimaru 2008/05/25 16:36 だんだん、そんな気がしてきました。
ただYosyanさんと私が違うのは、Yosyan:院内に作る委員会に「調査の委託」すると考えているのに対して、私は委託でなく「その報告書を提出させて、その内容を審議する」です。ですから下部組織として別途に調査チームを置いてもよい訳で、非常勤としてあれば他府県にまたがるメンバー構成も可能になります。(さすが、美しい国のネットワーク!)
 委託でないとするのは、刑事告発について実質的審議を地方委員会で行なう以上、それを裁定するのが当事者ではまずかろうと考えるからです。

無能な土木役人無能な土木役人 2008/05/25 16:46 必ずしも、断言できるわけではないですが・・・

特別委員と専門委員には定員はありません。したがって、必要があればかなーり増員することが可能です。ただし予算の制約はありますが。それから、委託というのはある行為を委員の代わりにやってもらうということなのですが、その結果の責任は委員会が負うことになります。仮に事故が起こった場合に当該病院の内部委員会に委託するというのはわたしらの常識からは想定外です。(ある意味それができたらすごいことですが、委員には医師以外の人もいるようですが、これらの人が納得するとは思えません。(外に向って説明責任を負うのはあくまで委員です。)

個人的には、中央委員会がどこまでまじめにやれるんかなあと思います。医療事故の原因を分析していえば、医療事故の中には担当医師の過労によるものなど、現状のシステムの歪に起因するものも現状においては多数想定されるわけで、そういう案件が積み重なれば、当然それを未然に防止するための措置を厚生大臣に勧告しなければなりません。いままで、現場へのしわ寄せでなんとかしのいでいた(これはうちも人のこと言えないなあ。)のが、行政として抜本的に対応を考えなくてはならなくなるのだけれど。これを梃にして、財政当局への反攻の足がかりにすることまで視野においているなら、good jobかも。
まあ、厚労省の医系技官は大学入学時の難易度からいっても、わてらよりも能力ははるかに高いはずなので、それぐらいの戦略は立ててくれないとね。(わても、どうあがいても理?は無理だったからなあ。)

YosyanYosyan 2008/05/25 16:49 Hajimaru様

なるほどもう一段組織を積み重ねる訳ですね。

 1.院内事故調査委員会が報告書を作る
 2.都道府県毎の非常勤の調査チームが報告書を審査する
 3.地方委員会が調査チームの報告書を15分で審議して正式決定する
 4.中央委員会がさらに3分で厚生労働大臣勧告を作成する

この場合、調査チームはチームではなく個人である可能性もあります。外口崇医政局長は

 >先ほどの2000件という推定からすると延べにすれば2000人は超えてしまいます

これは法案を念頭に置いての発言と考えられ、臨時ないし専門委員が1人で案件を担当すると考えれば合点がいきます。非常勤の委員が1人で乗り込んでも調査は進みませんから、ここで「委託」と言う形式で院内事故調査委員会を配下に置く形で調査させると考えればありえる形です。地方委員会にはこの臨時ないし専門委員が出席して持って上り、プレゼンをして決定ならシステムとして整う事になります。

YosyanYosyan 2008/05/25 17:00 無能な土木役人様

「委託」にすれば法的には無理が生じそうな気が私もしています。そうであれば委託ではなく命令で行わせる事が可能かと思われます。「医療事故調査に関る報告の徴収等」に、

『医師、歯科医師、薬剤師、助産師、看護師その他の医療事故死等について医療を提供した者その他の関係者(以下この条において「関係者」という。)に報告を求めること』

これが最初に書かれているのですが、これを拡大解釈すれば院内事故調査委員会に報告書を提出させる事が可能な気がしてきました。これなら委託料も不要ですし、委託関係も生じません。なおかつこの報告を基に地方委員会に報告書の原案を出すのは委員になります。つまり院内事故調査委員会の報告書は調査のための参考資料に過ぎないという形式が保てます。これなら委員等の職務従事の制限も完全にクリアできます。

元ライダー元ライダー 2008/05/25 18:18 特定機能病院A、特定機能病院B
一般病院C、一般病院D(解剖医不在で事故調査ができない)
診療所E、診療所F(同上)
の医療圏を仮定します。

・一般病院C,Dもしくは診療所E,Fで発生した事故を調査する際は、地方事故調査委員会は特定機能病院AもしくはBの院内事故調査委員会に事故調査を『委託』して当該事故の調査を行う。
・特定機能病院Aで発生した事故については、A病院の院内事故調査委員会が調査を行い、報告内容を遺族が納得した場合は調査終了。遺族が納得しない場合は、地方事故調査委員会がB病院の院内事故調査委員会に改めて当該事故の調査を『委託』する。

こんな感じじゃないでしょうか。

元外科医元外科医 2008/05/25 18:24 元ライダー様
たしかにそういうプロセスが現実的でしょうね。でも自院で事故報告書出すときの費用はどこから出して貰えるのでしょう。委託料はもしかしてタダ? なにか悪い冗談のような気がしますが。遺族の信用など絶対得られそうもありません。自分で報告書を出すのなら第3者機関じゃなくなりませんんか。
こういう制度になったら本当に「サルでもわかる 院内事故調査委員会報告書の書き方」が必読書になってしまう(笑)

無能な土木役人無能な土木役人 2008/05/25 19:01 >Yosyan様

 院内の内部調査委員会に命令として報告を求めることはありうると思います。でも、それをそのまま委員会の調査結果にすることは流石に無理と思います。報告の内容の真偽の確認、記載事項とカルテとの照合、医学的に見た措置の妥当性検討、関係者からの直接の聞き取りなどの行為を経ないと地方委員会の報告書にはできないと考えます。その過程において別の有識者が審査を行う(この行為の一部又は全部を「委託」することはありますが)
ことになるかと思います。

元ライダー元ライダー 2008/05/25 19:30 元外科医さま
>自分で報告書を出すのなら第3者機関じゃなくなりませんんか。

確かにそうなのですが、事故調検討会の議事録に
「すべて第3者機関で扱う必要はない。一定規模以上の病院には院内事故調設置を義務付けて、まずそこで調査するようにしてはどうか。そこで解決したものまで第3者機関で扱う必要はない」
という意見があったように記憶していましたので。院内で解決したものは第3者機関で扱ったものではなく(ここ大事です>無能な土木役人さま)、当事者同士で解決して、報告書だけ第3者機関に提出したという形式にするのでしょう。

ただし、そうなると21条のと兼ね合いが混乱します。
医療機関にとっては、この第3者機関事故調は

『事故届出済証という 対21条違反免罪符を発行する。』

という以外には確実な機能は無いし、且つこの新組織の唯一の機能にしか見えません。
ということは、院内事故調で解決したら免罪符は得られませんので、
遺族が心変わりしたらタイホですかね?

んっ------------------------
もしかしたら厚労省が言う法務・警察との合意というのは
厚労「事故調に届け出たら、警察に届けなくても済むように21条を変えたいんだけど・・・」
警察「(しぶしぶ)そのくらいなら譲歩してもいいかな」
厚労「本当!よかった。事故調に届け出た医者をタイホしないでね。」
警察「(しぶしぶ)わかったよ」
という程度の合意のような気がしてきた。

元外科医元外科医 2008/05/25 19:44 『事故届出済証という 対21条違反免罪符を発行する。』

って笑ってしましました。さすがに優秀な公務員の考えることは違いますな。

後輩がいない医師後輩がいない医師 2008/05/25 23:37 事故、過失、事件、殺人。あいまいな日本人でいいと思うが、人の死を扱うのもあいまいな日本人である。このあいまいさが、医療崩壊の原因ではないか。決して研修医制度だけではない。研修医の2年間という長い考える時間があれば、現代のネット社会においては手技をともなう科には絶対入りません。10年後が楽しみです。

お弟子お弟子 2008/05/26 11:28 美しい日本の私

元外科医元外科医 2008/05/28 12:06 蝋燭の国のはなし

落語で死神と言う話があります。人間を1本の火のついた蝋燭にたとえています。
ここからヒントを得て蝋燭の国の話を考えてみました。なおこの国は実在しません。

いろんな人生があるように、蝋燭も長い蝋燭や短い蝋燭、太くて消えにくい蝋燭や
あっという間に消えそうな細くて短い蝋燭があります。周りからはウイルスや癌、
交通事故や割り箸など、強い風、弱い風、持続する風や突風などがしばしば吹いてきて
蝋燭の火を消そうとしています。医師はこの風から蝋燭を守っている団扇です。
団扇が小さいと脇から風が入って蝋燭の火が消えてしまいます。研修医は小さく
てスイスチーズのような穴だらけの団扇です。ベテランの指導医は大きくてほとんど
穴のない団扇です。ある日、東京県で短くて細い蝋燭に割り箸の突風が吹きました。
穴だらけの団扇ではそれは防ぎきれず蝋燭は消えてしまいました。
またある日、福島市で太い蝋燭がもう一本の小さい蝋燭に火を移そうとしていたとき
非常に強い風が吹いてきました。結構大きな団扇でこれでを防ごうとしました。
小さい蝋燭の火はなんとか消さずに済みましたが、大きい蝋燭の火は団扇の
陰からきた風に吹き消されてしまいました。人々はもっと大きな団扇だったら火が
消えなかった可能性が高いといって、団扇が悪いと騒ぎ立てました。そのうち大きな
団扇が居なくなり、小さな団扇が大きくなる早さが遅くなってきました。しまいには
団扇の数も減って、蝋燭は風の中で火が消えるのを待つだけになりました。

BOOMBOOM 2008/06/12 19:46 医療事故の調査 民主が法案化 (動画あり)
http://www.nhk.or.jp/news/k10015192171000.html

 民主党は、医療事故が多発する中、医師などの専門家による第三者機関を都道府県に設置し、事故の原因を
調査できるようにすることなどを柱とした新たな制度をつくるための法案をまとめることになりました。
 全国の大学病院などからの報告によりますと、医療事故は、去年1年間でおよそ1300件と多発していますが、
現在、事故の原因を明らかにするための法制度はありません。このため、民主党は、医療事故の原因を究明する
制度をつくるための法案をまとめることになりました。具体的には▽重大な医療事故の疑いがある場合、病院が
「調査委員会」を設け、調査結果を明らかにすることを義務づけることや、▽患者やその家族が、病院の調査結果に
不服がある場合には、都道府県に新たに設置される医師や医療事故の専門家による第三者機関に再調査を依頼できるように
することなどが検討される見通しです。医療事故をめぐっては、厚生労働省も、原因究明のための制度を創設する方向で
検討を進めており、民主党としても、今後、さらに詰めの作業を急ぎ、次の国会での法案の提出を目指すことにしています。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20080525