新小児科医のつぶやき

2009-01-11 産経記事の検証

亡くなられた患者の御冥福をお祈りします。それと現時点では当時の状況についての情報が簡略な報道に限られており、事件性があるような事柄なのか否かの判断材料に乏しいところがあります。もちろん情報から推測される医学的見解を論じる事は問題ありませんが、御遺族の心情を慮って言葉や表現の選択に注意して頂きたいのと、また根拠が余りにも乏しい憶測を展開する事は十分な御配慮頂きたいと思います。現時点では真相は藪の中だからです。

昨日産経朝日タブロイド神戸の4紙の記事を紹介しましたが、このうち産経と神戸のタイムスタンプが確認できます。

    産経:2009.1.8 01:50
    神戸:2009.1.8 12:28

昨日のエントリーを書いた時点では病院側が記者会見を行い、それを取材した上での報道記事と考えていました。病院側の今回の事件に対する公式見解は尼崎医療生協病院での医療事故報道についてとして病院ホームページに発表されています。この見解の日付が1/9です。ここで4紙の事件を知った日時を記事から検証してみます。


産経新聞 7日、分かった
朝日新聞 8日発表した
タブロイド紙 8日、明らかになった
神戸新聞 八日、分かった


産経新聞は1/8の01:50に報道しているぐらいですから、「7日、分かった」になっています。問題は病院側の記者会見がいつ行なわれたかで、ここは朝日の記事に注目してみたいのですが、

    8日発表した

記事をどこまで信用するかの問題はあるにせよ、ここは素直に1/8に記者会見で発表されたと考えられます。神戸新聞のタイムスタンプが1/8の12:28ですから、1/8の午前中に記者会見があり、病院ホームページに見解が掲載されたのは翌日の1/9であるとしても流れとしてとくに問題はありません。どうもなんですが産経は今回の報道では先行しているようで、たとえば記事中に遺族の声がこういう風に紹介されています。

 女性の母親(62)は病院側の謝罪にも「家に戻ってきた娘の背中は赤紫色だった。どんなに苦しかったのだろう。もっと生きたかったはず。あの病院にさえ行かなければ」と怒りを抑えきれない様子で話している。

当然ですが産経が遺族に取材を行なったのは1/7以前であり、産経記事にある、

    7日、分かった

これを仮に信じるならば産経の遺族への取材は1/7に行なわれた事になります。他社が遺族への取材を1/7時点で行なっていたかどうかはもちろん不明ですが、産経が行なっていたのは確認できます。そうなると産経は病院側記者会見の前に記事を掲載した可能性が高くなります。高くなるのですが、そうなると問題は産経記事にある

 島田真院長は「主治医も立ち会っており、態勢に問題はなかったが、肝臓が悪いため出血しやすい状態だったなど危険性をしっかりと説明するべきだった。このようなことが2度とないよう取り組みたい」としている。

このコメントはどこから取材したかになります。他紙の情報ソースは1/8に行なわれた病院側記者会見であるとほぼ断定できますが、産経の院長コメントは推測する限り記者会見以外の情報ソースからこれを得ていた事になります。可能性としては、

  1. 産経が院長への単独取材に成功した
  2. 遺族からの情報

ここで遺族の姿勢ですが、産経記事の遺族のコメントでもある程度わかりますし、1/9付MBSニュースでも、

■「病院はミスを認めていた」遺族の悲痛な訴え

 「一度はミスと認めたはず」遺族が病院の対応に不信感を募らせています。兵庫県尼崎市の病院で、女性が腹部に溜まった水を針で抜く治療を受けた後死亡した問題で、遺族が思いを語りました。

「血の海の中で寝てました、血の海。だから止血もちゃんとしないで帰されて、かわいそうに…」(亡くなった女性の母親)

 事故は先月4日、尼崎医療生協病院で起きました。

 患者は重度の肝硬変で入院していた35歳の女性で、腹部に大量に溜まった水を針を刺して抜く治療を受けました。

 治療したのは20代の研修医。

 1度目は失敗し、2度目でおよそ1.5リットルの水を抜きましたが、その後女性が腹痛を訴え、皮下出血を起こしていたことがわかりました。

 しかし病院はすぐに血を止める治療を行なわず、数日後、輸血をしましたが、女性は先月16日、出血性ショックで死亡しました。

「娘が『失敗された、痛かった』と言ったから。『失敗したんでしょ』と言ったら『はい』って」(亡くなった女性の母親)

 不審に思った家族は病院に説明を求めます。

 そのとき病院側は結果的に病状を悪化させたと謝罪しました。

「出血に対して十分な対応を結果的にしていなかった。甘く見ていたんだと思う」(女性の主治医〜病院の説明の記録)

「腹水を抜くのに失敗したのが原因?」(女性の母親〜病院の説明の記録)

「それが大きなきっかけ」(女性の主治医〜病院の説明の記録)

 しかし8日開かれた会見では…。

「(Q.ミスといえるのか?)ミスという言葉を使っていいかについては、今のところこちらで判断しかねている」(尼崎医療生協病院・島田真院長)

「私らの前で言っていることと娘にも謝罪しているのにあの会見は何?とすごく腹立つ」(女性の母親)

 病院側は会見で「針を刺したとき偶発的に血管を傷つけたが、治療法に問題はなかった」と主張しています。

 一度は謝罪しながら、なぜミスを認めないのか、遺族は病院の対応に不信感を募らせています。

病院側と遺族側に強い緊張関係がある事が窺えます。こういう状況下で院長が産経の単独取材を受けた可能性は低いと考えます。ここは推測になりますが、1/8に病院側が記者会見を開いたのは1/7に産経から取材申し込みがあり、これに対応するために行なったと考えるのが妥当かと考えられます。今時の事でそれぐらいのマスコミ対応はどこでもすると思われます。

そうなると産経記事の院長コメントも病院側コメントもすべて遺族側情報であると考えられます。他には出所がないからです。遺族側の姿勢は報道情報だけとは言え「医療ミス」であると十分考えられます。そう信じるからこそ取材にも協力し、情報を提供したと考えるのが自然です。遺族側がそう考え、そう行動する事自体は問題ありません。またこの情報を受けて報道を考慮するのも基本的には問題は無いかと考えます。

ただそれであるならば、どういう取材であったか明確にする必要があったんじゃないでしょうか。遺族側の主張は直接取材ですからキッチリしたものが取れたとは思いますが、病院側の主張については遺族側からの伝聞(録音説もありますが、確証が無いので保留にします)だけです。これも推測になりますが、産経が1/7に取材を病院に申し込み、これを受けての記者会見を1/8に考えたなら、その旨も産経に伝えた可能性があると考えます。

現時点では今回の事件の真相はまだわからず、病院側に責任が本当にあるかどうかは分かりません。遺族側の主張を聞いて「医療過誤」であるの感触を抱いたにせよ、もう一方の当事者である病院側の主張を聞く必要があると考えます。それも病院側が応じないのなら仕方がありませんが、現実は翌日に行なわれています。報道の公平性からして双方の主張を取材した上で行うのが王道かと考えます。

産経記事の見出しは、

尼崎医療生協病院、医療過誤で女性死亡

こうなっています。デカデカと「医療過誤」と書かれています。さらに記事の中には、

病院側は「血管を刺したことで出血が止まらず亡くなった」とミスを認め、遺族に謝罪した。

こう続くと普通の読解力では、医療過誤があり病院が責任を認めての謝罪を行なったとの内容にしか読めません。しかし病院側が公式に発表した内容はホームページにあるように、

尼崎医療生協病院は不幸にもお亡くなりになられました患者様、ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。ご遺族の皆様には、これまで同様誠実な対応を継続して参ります。

お悔やみを申し上げるという意味での「謝罪」を行なったことは明言していますが、

現時点では今回の処置に明らかな過ちがあったとの認識はしておりません

医療行為についての責任を認めておりません。これは取材不足というか、取材の機会があったにも関らず勇み足で事実と異なる事を報道したとの批判が生じる余地が出てきます。ではどうすればまだマシであったかですが、これも報道手法で多用される「遺族側の話によれば」を付け加える必要があったと考えます。この「遺族側の話によれば」があれば、産経報道は病院側の取材ができておらず、報道時点では遺族側の主張に基づいて「医療過誤の可能性を考える」の報道になります。

私は医師ですから医療報道でよく目に付きますが、他の分野の報道でもこういう事が少なくないように感じています。今回のニュースは性質からして速報性が重視されるものではありません。当事者双方の取材という事に関しては、産経以外の3紙も遺族側の主張を欠いているのは確かです。ですからあくまでも事実関係と病院側の見解として報道しています。産経は当事者双方の取材をできる機会があったにも関らず、遺族側の取材のみで記事を掲載し、記者が遺族側の主張がすべてと信じて記事にした可能性を指摘します。

もちろん産経も遺族側から病院側の主張を聞いたと弁明するかもしれませんが、記事の正確性、公平性を保つために「遺族側から聞いた病院側の主張」と明記すべきであったと考えます。

TOMTOM 2009/01/11 12:42  この手の報道でよくある「謝罪した」というタームも問題があると思います。ものすごく大雑把に言うと、日本人は他の国の人に比べ、すぐ謝る文化を持っています。これは事の有責/無責とは【全く別】であり、乱暴に言えば挨拶に近いものです。自分も相手も同じ文化を共有してる事を意識下に期待してるから簡単に謝るのです。これは文化だから、そうしなければ「自分がどの程度悪かったか」に関わらず強い非難を受けます。しかし、大雑把に言うと外国では「謝罪 = 負けを認めた = 相手の言いなり」です。
 医師は基本的に人を助けたいので、それがうまく行かなければ、過誤か合併症かに関わら日本人的な感覚として「申し訳なかった」と口にします。それは謂わば「非常に残念です」という程度の意味であり、「負けを認めた = 相手の言いなりになります宣言」ではありません。
 ところが一部の遺族は、「病院が『申し訳ない』と言った → 責任を認めた → こいつのせいで自分は不幸になったのだ」、さらに一部は「 → 自分は何でも要求できる」になってしまいます。前3段までは身内を失った直後の興奮状態にある遺族にはある程度やむを得ない部分があるかと思いますが、問題なのは第三者の立場である筈の「報道」の連中です。医師が「救命できずに申し訳ない」とむしろ医療者としての誠意と真摯さから発した言葉を、一方的に「謝罪した」と表現し、更に直ちに諸外国が如く「負け宣言」という意味を付加するのは、理性を持たないただの野次馬の所行です。我々(読者)は、そんな尻馬に乗った騒ぎを報道に望んではおりません。ましてや『ミス』を認めないとはけしからん、なんて言い出すのは言語道断です(報道に対して言ってる、ですよ、念のため)。

 ま、もっとも最近は、日本もっていうか少なくとも医療界では、「謝罪 = 負け宣言」になっちゃってますね。こんな事ばかり続いた結果です。個人的には、その事自体はむしろ正常化過程であると捉えています。

YosyanYosyan 2009/01/11 15:35 今回の事件に限らず、争い事には当事者が二人います。マスメディアが報道するというだけで問題は大きくなります。さすがに報道を一切するなとは言いませんが、事実確認ができていないうちは、物事のシロクロを決めつけるのは控えるべきだと考えます。とくに影響力が破壊的なマスメディアがシロクロを決め付けて報道を行なえば、それだけで第4の権力による社会的制裁が加えられる事になります。事実確認が難しいなら、最低限当事者双方の言い分を聞く必要があります。

 1.事実確認
 2.当事者双方の主張

これがある程度確認できていないうちは、報道するにしても中立性、公平性の立場を保つ必要があると考えます。ましてや片方の当事者の主張だけを鵜呑みして全面支持の立場を取るのは問題が大きいと考えます。ましてや今回の事件は私同士の争いであり、公権力との対決なんかではありません。公権力との対決の時だって、最低限お役所なりのコメントは取っているかと考えます。

シロクロをつけての勧善懲悪仕立てにしないと読者が理解できないと考えているのならば、それは読者をその程度にしか考えていない傲慢さの現われに感じてなりません。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/01/11 15:43 いくつか事実関係と時系列がわからないことが。。。

理解不足なら申し訳ありません。

1.
>「娘が『失敗された、痛かった』と言ったから。『失敗したんでしょ』と言ったら『はい』って」(亡くなった女性の母親)
これは、誰がいつどこでの発言でしょうか

処置直後に20代の研修医に聞いたということでしょうか
それとも その後女性が腹痛を訴えた後でしょうか
それとも 輸血の前後でしょうか


2. 不審に思った家族は病院に説明を求めます。

この不審とは出血性ショックで死亡のことでしょうか


 そのとき病院側は結果的に病状を悪化させたと謝罪しました。

「出血に対して十分な対応を結果的にしていなかった。甘く見ていたんだと思う」(女性の主治医〜病院の説明の記録)

「腹水を抜くのに失敗したのが原因?」(女性の母親〜病院の説明の記録)

「それが大きなきっかけ」(女性の主治医〜病院の説明の記録)

この病院の説明の記録とは、女性の母親・主治医が
場所・日付を記載した署名捺印したものでしょうか

前に出しましたが、たとえば、女性の母親が病院の説明を
録音しておいてテープおこしをされたようなものでしょうか

京都の小児科医京都の小児科医 2009/01/11 15:57 ちょっと思ったのですが

今後。病院側の説明の記録を患者・患者(遺族)の家族と病院側とが
署名・捺印・日時・場所を明記して公式に記録に残した場合
この説明の記録を第三者(報道関係他)に公開するときは
原則、事前に相手の了解をとるという一文が必要では
ないでしょうか

ただ、弁護士関係とか、急を要する場合とか、刑事事件とか
など例外規定はあってもいいとも思いますが。。。

私は法律関係者ではありませんので、意見ですがどうでしょうか

YosyanYosyan 2009/01/11 16:00 京都の小児科医様

ネットの一部で不確実ながら流布されている情報として、遺族は医師とのやり取りを録音していたとされます。もっともこれは現段階では噂に過ぎません。ですからMBSニュースに報じられている病院側情報もどういう経緯で提出されたものか不明です。また録音があるにしても会話が「これだけ」と言うことはありえず、もっと長大なものの一部と考えるのが妥当です。また文章等が署名捺印入りで交わされていたかどうかの情報もまだありません。

ゴメンナサイ、これ以上は私ではわかりません。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/01/11 17:10 Yosyan先生

ありがとうございます。
>事実確認が難しいなら、最低限当事者双方の言い分を聞く必要があります。

 1.事実確認
 2.当事者双方の主張

これがある程度確認できていないうちは、報道するにしても中立性、公平性の立場を保つ必要があると考えます。

に賛同します。

あと疑問点として、遺族は通常ひとりではありませんので 
>【私ら?】の前で言っていることとの発言もありますので

病院の説明の時点で、遺族側が亡くなった女性の母親以外の遺族の方が同席されたのか、病院側では女性の主治医以外の(たとえば病院長など)が同席されたのかも不明と思いました。

さらに病院の記者会見がネットで見れるかどうか不明ですが、

医療事故報道を受けてですから
病院HPの【現時点では今回の処置に明らかな過ちがあったとの認識はしておりませんが】は
明らかな過ち→医療事故のほうがとも思いました。

病院側はこの結果を公表されるのでしょうか。

現時点では今回の処置は医療事故であったとの認識はしておりませんが。。。

>現在尼崎医療生協病院では、この患者様の経過に関する医学的な検討を集団的にすすめており、【現時点では今回の処置に明らかな過ちがあったとの認識はしておりませんが】今回の診断と治療が適切であったか、インフォームドコンセントが十分なされたかなど、今後第三者の専門家を含めた検討の場を持つことにしております。真摯に検討し、今回の教訓を今後の診療に活かしていく所存です。

http://www.amagasaki.coop/byouin/

banch1banch1 2009/01/11 17:16 産経の認識ではいまだに、「患者が何らかの処置後死ぬ=医療過誤」ということなんでしょう。
朝日、毎日も「研修医」「血管に傷」と暗に、経験の浅い研修医が血管を傷つけて死なせたようなニュアンス。
神戸は「腹水抜く手術後、患者死亡」と昨日までは「出術」で笑えたけど、腹腔穿刺は手術とは言わないなあ〜・・・

いずれも素人記事で目も当てられません。
病院から逃散したいけど、開業はちょっとな〜って先生方、
顧問になってさしあげたらどうですか?

しかし、産経の理解レベルは救い難いものがありますね。
隠し玉(録音テープで主治医が過誤を認めたもの)があるなら話は別ですが。

YosyanYosyan 2009/01/11 17:33 banch1様

録音にしても前後のつながりがわからないと何とも言えません。文字起こしして、適当に切り貼りされてしまえば、全体の意味とは全く違う意味になる事は、マスコミ報道では周知の事です。予感として続報がありそうな気配ですから、情報待ちと言うところでしょうか。どうも遺族はメディアに広く訴える手法を取られている様子もありますから、何か出てくるかもしれません。

それとほぼ確認される事実として、担当医(おそらく研修医)が一度失敗したらしいというのがあります。あんまり腹水穿刺の経験がありませんので、よくわからないのですが、、腹水穿刺と言う手技で失敗するとはどういうシチュエーションなのでしょうか。研修医が行なうぐらいですから、肝硬変の病状判断はともかく、腹水の貯留状態は十分であったかと思います。それこそ指導医が

 「ここを刺せ」

の世界で手技を行なって、なおかつ失敗するのはなかなか想像がつかないのですが、どんな事が考えられるのでしょうか。これは完全に憶測なのですが、ひょっとすると1回目の失敗した腹水穿刺に何かカギがあるようにも思えるのですが、考えすぎですかね。

元外科医元外科医 2009/01/11 17:40 研修医の経験値にもよります。初めてor2−3回目だと腹壁の抵抗がわからず一発で刺さらないことがあります。ゆっくり押すと腹膜または筋膜がもりあがるだけで貫けないので皮膚を貫いたあとはすっと押し込む感じで穿刺しなければなりません。この辺は刺し物の得意な方であればわかると思われますが。
 家族の前で研修医が「失敗した」といったのは一度で穿刺出来なかったことを言っただけだと思われます。また処置後12日も生存しているのですから、出血傾向の悪化の引き金を引いたことは事実であっても、死亡との因果関係はほとんど無いように感じました。ご遺族には納得のいかない経過だと言うことも良く分かりますが。やはり事故死ではなく病死です。

banch1banch1 2009/01/11 19:25 Yosyanさま

腹水穿刺の手技はまず腹部エコーでどこを刺すか、どのくらいで腹腔に針先が届くかをみます。
刺すポイントはいわゆるエコーフリースペースが十分あるところ、つまり腹壁の下で内臓との距離が遠いところ。
十分な腹水がたまっている患者の場合は迷うことはありません。
本例は1.5L抜けたということから、腹水が少なくて刺すスペースが少ないということも考えにくそうです。

刺すポイントを決めたら、針を刺す角度を頭に入れつつポイントをマジックなどでマーキングします。

次に消毒、オイフをかけて清潔捜査のための処置野をつくり、
ポイント周囲に局麻しつつ、試験穿刺します。
つまり、カテラン針で少しの陰圧をかけながらゆっくり刺入し、腹水の逆流を確認します。
ここでポイントと刺入角度を確認し、本穿刺に入ります。
本穿刺ではカテラン針をエラスター針につけかえ同様に刺入し
(元外科医さまのおっしゃるようにカテラン針は通常の針と挙動が若干ちがいますのでちょとコツがいります)
腹水の逆流を確認できたらもう少しだけ刺入し、点滴と同様に外筒を残して内針を抜きます。

あとは点滴セットを手加工したものを接続し、あまり早く抜かないよう排液スピードを調整。
予定量が抜けたら、外筒も抜去し、あとは刺入点をしばし圧迫。出血や腹水リークがないのを確認し、
さらにガーゼを丸めたものを同部にあてがいテープで圧迫固定して終了となります。

>失敗するのはなかなか想像がつかないのですが、どんな事が考えられるのでしょうか。

エラスター針による本穿刺の際、腹水の逆流確認後、外筒が腹壁を貫く前に内針を抜いてしまえば、
外筒先端はいまだ腹壁内ですから逆流が途絶えてしまします。
研修医が内臓刺入を警戒しすぎて恐る恐るやってしまうとこうなる可能性はありますね。
あわてず、に内針を再度入れてやりなおせばリカバリー可能ですが、
軟らかい外筒で無理に腹壁貫通させようとすると外筒が曲がってしまい2度と内針が入らず、やり直しになるかもしれません。

ひょっとしたら、患者が言った「2回」は1回目試験穿刺、2回目本穿刺の計2回かもしれませんね。

あとこれは、邪推しすぎだと思うのですが、直前の腹部エコーを省いた可能性。
エコーしないと誤穿刺のリスクはかなり上がるはずです。

前日の私の書き込み「通常1度目の穿刺を失敗することはまずありませんので」ですが、
経験の浅い医者ならありえるに訂正します。
書いてて私も研修医のときはそんなことがあったとフラッシュバックしました。
すみません^^;


元外科医さま

>家族の前で研修医が「失敗した」といったのは一度で穿刺出来なかったことを言っただけだと思われます。また処置後12日も生存しているのですから、
>出血傾向の悪化の引き金を引いたことは事実であっても、死亡との因果関係はほとんど無いように感じました。ご遺族には納得のいかない経過だと言うことも良く分かりますが。
>やはり事故死ではなく病死です。

私も同じように考えます。
ご遺族が裁判で戦えるとしたら、出血を予見できなかったかという点と、事前の説明が十分だったかどうか。
出血の予見については、血小板数がどうだったのか・・・
これが例えば5000未満とかなら風向きはかなり違ってくるかと。

元外科医元外科医 2009/01/11 19:58 banch1さま
そうですね。血小板1万切るとか、出血傾向がかなり危険であれば穿刺そのものの適応が問題にされる可能性はありますね。でもそれなら院長は医療過誤を否定しないような気もするんですが。観血的処置の適応の誤りは過誤と言えるでしょうから。

uchitamauchitama 2009/01/12 01:33 小生は循環器内科なのですが、一般論として、アルコール性の肝硬変、アルコール依存症というのは本来自己責任であり、保険診療となることすら問題があるのです。(例えば、海外なら、ウィルス性肝炎による肝硬変ならば肝移植の適応ですが、アルコール性なら適応外)ですから、もし外来にアルコール性肝硬変、腹水(肝硬変のterminal stage)の患者さんが来られても、なるべく非侵襲的に対応するべきものと思います。
肝硬変、腹水の患者さんの予後って1年くらいでしょ??
何もしないのが一番良いように思うのでですが、どうでしょうか?

n_yamajun_yamaju 2009/01/12 04:17 医療者も
明確なミスを指摘されても
ミスを認めず謝りもしないマスコミを
見習うべきですな。

kainkain 2009/01/12 07:44  {{女性の母親(62)は病院側の謝罪にも「家に戻ってきた娘の背中は赤紫色だった。どんなに苦しかったのだろう。}}

背中の赤紫色は治療によって発生した皮下出血ではなく、
死後数時間経過していたために死斑が発現していたと思われます。
遺族の話を客観的に検討しないで一方的に報道するのは
問題だと思います。

通りすがり通りすがり 2009/01/12 09:33 http://jp.youtube.com/watch?v=N8QRScLTyOc
一応ニュースはここにあり、遺族の録音の一部が聞けますよ
特に目新しい事は言っていませんが。
あえてここを流すということはココ以外は謝罪を認めたのかわかりません
全部聞きたいところです

rijinrijin 2009/01/12 11:00 > しかし、大雑把に言うと外国では「謝罪 = 負けを認めた = 相手の言いなり」です。

 さすがにこれは問題が表面化しやすく、既に90年代からアメリカの一部の州で謝罪表明を法廷で証拠として考慮してはならないとする法律が定められてきています。

'Sorry' Law Goes Into Effect in California
January 12, 2001
http://www.insurancejournal.com/news/west/2001/01/12/15145.htm

 この点に関しては日本の倫理教育はアメリカに及びません。

YosyanYosyan 2009/01/12 11:14 元外科医様、banch1様

丁寧な実戦解説ありがとうございます。小児科は腹水穿刺をよく行なう診療科とは言えず、私も必死で思い出しても羊水過多のベビーで「やった事があるように思う」程度でしたので助かりました。研修医の経験値は確かにポイントで、指導として内臓穿刺の危険性をビッチリ指摘されているでしょうから、慎重さの余り「突き抜けない」はあるかもしれません。医療の手技は細心さと大胆さが要求されますが、最初は慎重さが過剰になるのは誰でも共通です。

それと指導医の監督の下の腹水穿刺ですから、手順としては通常は基本をしっかり踏まえてやるかと考えます。この研修医が前期研修医なのか後期研修医なのかで変わる部分は大ですが、前期研修医なら症例を選んで、手順も一番オーソドックスなものを行なうと考えるのが普通です。医師サイドからすれば指導医が患者の状態を評価していたかを知りたいところではあります。

それと一部報道で「研修医」であることを強調していますが、指導医が行なっても同様の結果を招いた可能性もあると考えています。種々の状況から腹水は抜く必要が生じていたと考えられますし、もう少し言えば腹水を抜かずに帰すわけには行かない状態であった可能性もあるかと思っています。もっともその辺の状況についても情報不足が著しく、現時点ではわからないと言うことです。

taiekitaieki 2009/01/12 12:15 テロ朝、ネット叩きのつもりが、自らの自作自演がバレてしまった様です

「ネットが情報源」テレ朝番組、実はスタッフがブログ自作
>>テレビ朝日系で10日に放送された情報バラエティー番組の中で、「インターネット上
>>で流れている情報」として紹介されたブログが、実際は番組制作スタッフが作成した
>>ものだったことが11日、わかった。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20090111-OYT1T00788.htm

元もと保健所長元もと保健所長 2009/01/12 12:27 kain 2009/01/12 07:44 さん
>>女性の母親(62)は病院側の謝罪にも「家に戻ってきた娘の背中は赤紫色だった。どんなに苦しかったのだろう。

>背中の赤紫色は治療によって発生した皮下出血ではなく、死後数時間経過していたために死斑が発現していたと思われます。

ご遺族にとって、ご遺体の背中の死斑はきっと「娘の肉体に医療過誤という究極の虐待が行われた証拠」に見えるのでしょう。心情は理解できますし、謹んで哀悼の誠を捧げます。

>遺族の話を客観的に検討しないで一方的に報道するのは問題だと思います。

この報道自体は「死斑」と「遺族の思い」という客観的事実を報道しただけで、もちろん、「医療破壊の意図」など微塵も感じません。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/01/12 13:06 この件は

HPにて

http://www.amagasaki.coop/byouin/

>尼崎医療生協病院での医療事故報道について
>患者様、組合員様、地域の皆様へ

となっていますが
最後に

>現在尼崎医療生協病院では、この患者様の経過に関する医学的な検討を集団的にすすめており、現時点では今回の処置に明らかな過ちがあったとの認識はしておりませんが今回の診断と治療が適切であったか、インフォームドコンセントが十分なされたかなど、今後第三者の専門家を含めた検討の場を持つことにしております。真摯に検討し、今回の教訓を今後の診療に活かしていく所存です。

となっています。

この検討の場をHP上に公開するかどうかが問題であると思います。

可能なら検討結果を公開してほしいです。

あと
>尼崎医療生協病院は不幸にもお亡くなりになられました患者様、ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。ご遺族の皆様には、これまで同様誠実な対応を継続して参ります。

となっていますが、検討結果を遺族の方が納得していただけるかどうかであると
思います。

この部分は、非公開でもいいのではと思います。

一内科医一内科医 2009/01/12 13:10  一般内科医、ジェネラルにやっているものです。
 そもそも肝硬変末期での腹水を診断目的(肝癌合併除外や腹腔内出血がすでに起きているかの確認)ではなく、大量に腹圧を減らす目的で抜く場合は、癌末期の疼痛緩和のためだけの治療と同様だと思います。
 抜かずにあくまで利尿剤などで頑張りますが、ダメで苦痛が強くなった場合には、減圧によって死期が早まります。皮下出血や腹腔内出血の悪化、血圧の急激な低下、尿量の減少、意識の低下が起きます。それでも苦痛をとるためにはやむを得ないことと了解してください。と説明した上でしか廃液はしません。(胸水で癌性胸膜炎の場合も同様に話しています。)
 医療過誤とかではなく、起きて当たり前のことが家族には理解できていなかったのではないでしょうか? もしムンテラ不十分だったとしたらその点は責められるかも知れませんが・・

一内科医一内科医 2009/01/12 13:30 追記しますが、一昨年、親しかった遠方の友人が、同様のことで亡くなりました。
本人、医療者ではありませんが、肝癌合併や、肝不全の進行具合なども
医者以上に理解しており、ICG検査値から自分の予後はあと何ヶ月という
ところまで予測。(この予測で間違ってませんよね・・とメールで
確認の同意を求められたときに、こちらは絶句してしまいました。)
アルブミン注や利尿剤の増量、麻薬鎮痛剤の増量などで頑張ってきましたが
最後の最後で腹水を抜いて良いものだろうかと病床からメールでの
相談が来ました。覚悟の上なこともわかっていましたので、「楽になるように
してください」と伝え、穿刺を行いました。その後1週間ほどで大量下血、
今輸血しているよというメールが最後のメールとなりました。
ずっと使ってきた利尿剤の効果が落ちてきて、
はっきり腹水が目立つようになってから最後の入院まで約1年がんばり
腹水を抜いたのはそれから2ヶ月後、死の10日前のことでした。
大量排液するのは死が前提となったときだと
医療者も家族も知っていなければならないと思います。

moto-tclinicmoto-tclinic 2009/01/12 14:20 造影CTとかは無いんでしょうかね?
ほんとに活動性出血なら出血源検索して外科的止血、って進むはずだと思うのですが。
エコーで液体貯留増大傾向でも、もともとの腹水が増えているのか出血なのかわかりにくいかとは思うけど。

YosyanYosyan 2009/01/12 14:30 京都の小児科医様

 >今後第三者の専門家を含めた検討の場

これは行なうと考えられますが、

 >HP上に公開するかどうか

これは遺族の同意がないと難しいと考えます。もっとも内容によりけりで公開可能かもしれませんが、公開されても診療情報は伏せられて「問題なし」「問題あり」の結論だけが記載されたものになるように感じられます。ちょうど大野事件の調査結果みたいな感じです。

ただ調査記録が遺族に公開されれば、遺族が公開するのは問題ないと考えます。HPでも作られて他の記録とともに公開する可能性はあります。この辺は「支援団体」の活動に左右される部分が大きいように感じます。

moto-tclinicmoto-tclinic 2009/01/12 15:19 尼崎医療生協病院って、HP拝見しましたが、緩和ケア科なんかもあって、ターミナルの扱いは、けっこう充実してそうな印象です。
肝炎患者の「肝友会」てのも組織されてるんですね。
緩和ケア的に少しでも苦痛を除こうとして、腹水除去したんでしょうか?
だとしたら、親切があだになった、ってことかもしれないですが・・

moto-tclinicmoto-tclinic 2009/01/12 15:34 腹水抜かなかったら、たぶんもっと苦しんで死んだんだろうな。。
今回の新聞報道で、肝硬変や癌末期の腹水に、緩和ケア目的で腹水抜く施設がガタンと少なくなるんでしょう。
一般人の皆さんは知らないだろうと思いますが、テレビドラマにあるような、安らかな死なんてのは、現実にはほとんどありません。
みんな、苦しみもがいて死んでいくんですよ、手を尽くしても最期は。
脅しじゃなくて、現実ってそうなんです。
わたしだったら、死期早めようが、リスクあろうが、一時の苦痛緩和のために腹水抜いてもらうだろうな・・
まあ、個人の価値観もあるけど。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/01/12 16:57 Yosyan様

すいません。確認ですが。。。

マスコミや遺族は自由に調査記録を公開可能で、病院側は
遺族の許可がなければ公開不可能という法的な根拠は何でしょうか

一旦、マスコミに記録が公開された段階(公的な記録)で、これを元に
調査記録は公開可能なように思うのですが。。。


今回のHP上の宛て先は
>尼崎医療生協病院での医療事故報道について
>患者様、組合員様、地域の皆様へ

となっています。調査記録が公開されて、本件が医療事故ではない(ある?)
と公示しないと組合員や、地域の住人は尼崎医療生協病院に対して不審感を
もつのではないでしょうか。

内容によりけりで微妙な問題ですが、遺族の許可が必要であるとの法的根拠を
しりたいです。

逆に遺族は病院の許可がなくても情報をマスコミに流すことは法律的に
問題ないのでしょうか

>これは遺族の同意がないと難しいと考えます。もっとも内容によりけりで公開可能かもしれませんが、公開されても診療情報は伏せられて「問題なし」「問題あり」の結論だけが記載されたものになるように感じられます。ちょうど大野事件の調査結果みたいな感じです。

>ただ調査記録が遺族に公開されれば、遺族が公開するのは問題ないと考えます。HPでも作られて他の記録とともに公開する可能性はあります。この辺は「支援団体」の活動に左右される部分が大きいように感じます

TOMTOM 2009/01/12 17:03 >テレビドラマにあるような、安らかな死なんてのは、現実にはほとんどありません。
 ただっぴろい病室の真ん中にぽつん、とベッドがあって、酸素マスク「だけ」にせいぜい点滴1本(なぜか大抵ポタコール)のヒロインが、彼氏か何かの手を握って最期の会話をしながら逝く、医者とかは後から飛び込んでくる、そんなの見ると白けますよね。
 ちょっとずれますが、多くの人が「死」を抽象的概念でしか考えず、そのまま概念だけ振り回すもんだからまるであさっての方に着地してしまうのをよく見かけます。無理からぬことではあるし、死生観は個人の自由だから別にいいんですけれども。私昔救急当直してて、肺炎の老婆が家族とともに夜半にやって来て、さて診察しようとしたら家族がいきなり「母は尊厳死協会に入っておりまして」って遮ってきた時には往生しました。思わず「では、何しに来たんですか?」って訊いちゃいましたねぇ。

YosyanYosyan 2009/01/12 17:13 京都の小児科医様

こういう事案での病院側の公開範囲として許される基準を探しているのですが、適当なものが見つかりません。確かなんですが、大淀事件でも類似の論議があり、あの時は

 ・遺族は自由に情報を公開できる
 ・病院側は訴訟にでもならないと話せない

こういう結論になったかと思います。ただその正確な根拠はなく、現行法上ではそう解釈するのがもっとも妥当であるだったと思います。申し訳ありません、これ以上の知見は私にはありません。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/01/12 17:18 追加
本件は、ちょっとわかりませんが、通常遺族は1人ではありません。一般論で、わかりやすく、仮に遺族A・遺族Bと2名の遺族の方がおられて遺族Aは情報公開同意、遺族Bは情報公開不同意の場合はどうすればいいでしょうか

>ただ調査記録が遺族に公開されれば、遺族が公開するのは問題ないと考えます
遺族の定義(患者さんから何親等以内とか)もあると思いますが、
逆に遺族が公開するのは本当に問題ないかどうかもちょっと疑問です。

本人(患者さん)の許可あればいいと思いますが。。

YosyanYosyan 2009/01/12 17:25 京都の小児科医様

言いたい事はよくわかりますが、これは法律論になってきますので、専門の方のアドバイスが必要です。遺族と言っても御指摘の通りどこまで指すかとか、患者本人がお亡くなりになっているときにカルテの所有権(公開決定権)が誰に帰すかの問題は私では手に負えません。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/01/12 17:30 Yosyan様
私も小児科医なので法律には素人です。この部分は前から関心があったのでしつこくて申し訳ありません。 でも本当のことが知りたいです。

att460att460 2009/01/12 21:58 こんばんは。お役に立つかわかりませんが、このようなものがありました。

#すでにご存知でしたら、申し訳ございません。

厚生労働省:厚生労働分野における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン等
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/

医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン
 ? 医療・介護関係事業者の義務等
   5.個人データの第三者提供(法第23条)
     (5)その他留意事項
       ・他の事業者への情報提供に関する留意事項

に「特に、医療事故等に関する情報提供に当たっては、患者・利用者及び家族等の意思を踏まえ、報告において氏名等が必要とされる場合を除き匿名化(?2.参照)を行う。また、医療事故発生直後にマスコミへの公表を行う場合等については、匿名化する場合であっても本人又は家族等の同意を得るよう努めるものとする。」とあります。

? 用語の定義等
 2.個人情報の匿名化
には、「症例や事例により十分な匿名化が困難な場合は、本人の同意を得なければならない。」とあります。


上記は、特にわかりやすそうなところだけ抽出しています。マスコミ等への公開は「個人データの第三者提供」にあたると思われ、その項目中、他にも考えるにあたり必要な項目があると思います。

別表4に関係法令があります。

私も法律に詳しくはありませんが、すでに個人が特定されている上での情報提供ですから、情報公開には遺族の同意が必須に思えます。


第6回医療機関等における個人情報の保護に関する検討会
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/09/s0930-11.html

第9回「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1209-6.html

あたりに、過去の資料がありますから、あるいは参考になるかもしれません。


奈良の母子放火殺人の鑑定医が供述調書を漏らした件は、刑法の秘密漏示容疑で逮捕されましたが、今回のケースでもカルテを遺族の同意無しに出すと、同様のことになりませんかね?

toriiyoshikitoriiyoshiki 2009/01/12 23:35 マスコミ関係者です。
議論の流れを無視して話を戻すようですが、
「病院側コメントもすべて遺族側情報である」というのは、
マスコミの常識で云えばあり得ないと思います。
何らかのかたちで病院に取材をしたと考えるべきでしょう。
ぼくはこの記事はかなり酷い、
悪意に充ちたものだと思っていますが、
もし、ほんとうに「すべて遺族側情報」で書いていたとするなら、
これは最低限のルールさえわきまえない、問題外の報道というべきです。

TOMさんTOMさん 2009/01/13 03:56  TOMさんが書かれたように「ものすごく大雑把に言うと、日本人は他の国の人に比べ、すぐ謝る文化を持っています。これは事の有責/無責とは【全く別】であり、乱暴に言えば挨拶に近いものです。」
 
  人に話しかける時も 「すみません。」 って言いますね。
   ほんとは 素晴らしい文化です。

 しかしながら、今から先は、
  「交通事故のときは謝った方が負けと言われます。」が 医療事故の場合も 「ミスはなかった。」という言葉を何度もつかうべきと考えます。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/01/13 04:32 att460様

情報ありがとうございます。ご提示されたものを詳細に検討したものでは
ありませんが。。。

「医療事故発生直後にマスコミへの公表を行う場合等については、匿名化する場合であっても本人又は家族等の同意を得るよう努めるものとする」

本件は、マスコミの公表(医療事故報道)後(発生直後ではありません)に
>現在尼崎医療生協病院では、この患者様の経過に関する医学的な検討を集団的にすすめており、現時点では今回の処置に明らかな過ちがあったとの認識はしておりませんが今回の診断と治療が適切であったか、インフォームドコンセントが十分なされたかなど、今後第三者の専門家を含めた検討の場を持つことにしております。真摯に検討し、今回の教訓を今後の診療に活かしていく所存です。

第三者の専門家を含めた検討の場による調査報告の公表ですから個人情報保護(匿名化)を踏まえて
公表は可能ではと思いますがどうでしょうか

さらに
今回のHP上の宛て先は
>尼崎医療生協病院での医療事故報道について
>患者様、組合員様、地域の皆様へ
ですからマスコミ宛ではありません。 マスコミ宛の記者会見などをおこなうこととは
別枠で考えるべきと思います。

>奈良の母子放火殺人の鑑定医が供述調書を漏らした件は、刑法の秘密漏示容疑で逮捕されましたが、今回のケースでもカルテを遺族の同意無しに出すと、同様のことになりませんかね?

カルテの直接の公開は仮に遺族の同意があっても、私は問題があると思います。
本人の許可があればいいと思いますが。。。
仮に遺族Aが同意、遺族Bが不同意の場合、遺族Aがカルテをマスコミに公開したことに
対して遺族Bが遺族Aを訴えるケースもありうると思います。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/01/13 05:19 素人が自分にとって有利な情報をとってくるのは問題があるとも思いますし、本件の調査報告は尼崎医療生協病院が公表されるかどうかを最終的にきめられると思います。

私は今回の場合は例外規定のうち下記に該当するものと思いました。
したがって、遺族の同意がなくても(というか遺族の同意は不要)HPに公開可能と判断しましたがまちがっているかもしれません。
公衆衛生の向上や医療の安全の向上のためにもぜひ調査報告を公開してほしいと思います。


?公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、
本人の同意を得ることが困難であるとき
(例)
・健康増進法に基づく地域がん登録事業による国又は地方公共団体への情報提供
・がん検診の精度管理のための地方公共団体又は地方公共団体から委託を受けた検
診機関に対する精密検査結果の情報提供
・児童虐待事例についての関係機関との情報交換
・医療安全の向上のため、院内で発生した医療事故等に関する国、地方公共団体又
は第三者機関等への情報提供のうち、氏名等の情報が含まれる場合

YosyanYosyan 2009/01/13 08:07 京都の小児科医様

法律の素人が口を挟むのが難しい問題で、あくまでも一般論とさせて頂きます。法律の条文で書かれている事についての解釈はしばしば分かれます。広く取るか、狭く取るかで分かれるときがあり、時代とともに変わる事もあります。解釈が分かれたときにどうするかと言えば、法を司るものの判断を仰ぐ事になります。つまり司法判断によって解釈の精度を高めるといえば良いのでしょうか。

今回御指摘の点も公開できるとの解釈も可能かと思いますし、一方で公開は難しいの解釈も可能かと思います。どちらの解釈も条文から可能であれば、最後は司法判断になるかと思われます。それと司法判断と言っても、法廷しかその場は限りません。たとえば不十分な部分もありますが、法務省に解釈を問合せるという手法もあります。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/01/13 08:50 Yosyan様

私は、個人情報保護(匿名化)を踏まえて公表されたほうが最終的には病院側にとってもメリットはあると思いますので、まず病院の顧問弁護士(おられればいいですが)に公開する調査内容を相談の上、公開していただければと考えます。

餅屋は餅屋ですから。。。医学のことは医師に 法律のことは弁護士に

rijinrijin 2009/01/15 13:01  患者側代理人弁護士への正式回答がされたようです。

国立循環器病センター、調査の意向伝える 治験不同意問題  
産経ニュース 2009.1.14 18:43
http://sankei.jp.msn.com/life/body/090114/bdy0901141845003-n1.htm

 代理人弁護士の言いたいことがよくわかりません。何か省略があるんでしょうか?

 ところが同じ事実を別の記者はこう書きます。


国立循環器病センター:人工心臓治験中死亡 厚労省、調査委設置を撤回
【清水健二】
毎日新聞 2009年1月15日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/science/news/20090115ddm012040011000c.html