新小児科医のつぶやき

2009-04-18 医師当直問題とパンドラの箱

まずはwikipediaより、

 プロメーテウスが天界から火を盗んで人類に与えた事に怒ったゼウスは、人類に災いをもたらすために「女性」というものを作るよう神々に命令したという。

 ヘーパイストスは泥から彼女の形をつくり、パンドーラーは神々から様々な贈り物(=パンドーラー)を与えられた。アプロディーテーからは美を、アポローンからは音楽の才能と治療の才能を、といった具合にである。そして、神々は最後に彼女に決して開けてはいけないと言い含めて箱(壺ともいわれる 詳細は後述)を持たせ、さらに好奇心を与えてエピメーテウスの元へ送り込んだ。

 美しいパンドーラーを見たエピメーテウスは、兄であるプロメーテウスの「ゼウスからの贈り物は受け取るな」という忠告にもかかわらず、彼女と結婚した。そして、ある日パンドーラー(エピメーテウスという説もある)はついに好奇心に負けて箱を開いてしまう。すると、そこから様々な災い(エリスやニュクスの子供たち、疫病、悲嘆、欠乏、犯罪などなど)が飛び出し、パンドーラーは慌ててその箱を閉めるが、既に一つを除いて全て飛び去った後であった。

 最後に残ったものは希望とも絶望とも、未来を全て分かってしまう災い(予兆)ともいわれる。それによって人類は希望だけは失わずにすんだと言われる。こうして、以後人類は様々な災厄に見舞われながらも希望だけは失わず(あるいは絶望することなく)生きていくことになった。

 この神話から、「開けてはいけないもの」、「禍いをもたらすために触れてはいけないもの」を意味する慣用句として「パンドラの箱」という言葉が生まれた。パンドーラーはその後、エピメーテウスと、娘ピュラーと、ピュラーと結婚したデウカリオーンと共に大洪水を生き残り、デウカリオーンとピュラーはギリシャ人の祖といわれるヘレーンを産んだ

有名な神話ですからご存知かと思いますが基礎知識として紹介としておきます。このパンドラの箱の喩えは様々に使われます。大きく分けて2つで、

  1. ある事態をキッカケに思わぬ悪い事態の展開になること
  2. ある問題に触れる事が悪い事態の展開が予想されること

僻地の産科医様が文字起こしされた4/14付の参議院厚生労働委員会の一節にこういう下りがあります。梅村聡議員の質問部分ですが、

 これあの、会社を経営されていたとお聞きしましたけれど、例えば銀行から企業が融資を受けるときもこのモノを単価いくらで売るのかと。どれくらいの収益が出るのかという計画を出さないと銀行はお金なんか貸してくれないんですよ。うどん屋さんでうどん一杯いくらで売るんですかと。いや、それはいえないよ企業秘密だからと。

 それで融資なんか受けられないわけで、ですから私が三つ目の観点として先ほど労働基準局の方に反論として本当の正しい働き方、それによる医療の提供の仕方。これによることでパンドラの箱をあけることになるかもしれませんけれど、いままさにここに切り込まないと、国民負担の問題にもつながってこないんです。医療費を増やすということにもつながってこないんです。

 ですからここは労働基準局からいうと今の制度の中でのしくみということを仰られますけれど私はここは勇気を持ってパンドラの箱を開けて議論をする時が来ていると思いますが、それに対して舛添大臣が取組むつもりがあるのか、そのパンドラの箱を開ける決意がおありになるのかどうか、最後にお答えいただきたいと思います。

この質問部分の簡単な背景説明ですが、医師当直問題を労基法に少しでも近づけて運用すれば、勤務医の待遇改善にはつながるかもしれないが、病院経営を圧迫し医療費増大の要因になる危険性を含めての質問です。もちろん医師自体が労基法運用を満たすだけの人数に遥かに不足していますから、医療体制の大幅な変更も必要になるという意味も含んでいるとしても、そんなに間違ってはないでしょう。

ここで使われたパンドラの箱の意味ですが、「ある問題に触れる事が悪い事態の展開が予想されること」に近い意味で使われているように感じます。こういう意味での用法はしばしば使われますし、例えば長年に渡って論議のタネであった自衛隊と憲法9条の問題などはそれに近いかもしれません。

ただなんですが、神話でもそうなんですが、存在の知られたパンドラの箱は必ず開けられるものだと考えます。神話では好奇心でしたが、現実社会では好奇心に加えて必要性からです。また神話では開けてみるまで人間は中身を知りませんでしたが、現実社会では内容も開けた時に生じる問題点もほぼ分かっています。つまり存在が認識された時点で封じ込める事は非常に難しくなるのがパンドラの箱だと考えます。


医師の当直問題は時間外勤務の問題に波及し、医師の絶対数の不足が露呈します。これまで医師が5人程度でも、「人数が確保されたので、24時間365日体制を取ります」なんて記事がよくありました。よく考えなくとも5人程度の人数で24時間365日のカバーなんて、普通の状態で可能なわけがありません。体力的な問題は医師の気合でカバーしてきたのが実情ですが、経営的には本当は莫大な時間外手当・休日手当が発生します。

たとえば5月なら1ヶ月に744時間のカバーすべき時間があり、このうち正規の勤務時間は160時間ほどですから、残り580時間ほどの時間外手当・休日手当を支払わなければなりません。あくまでも概算ですが、時間外手当の割増率は平均で37%ぐらいになり、休憩時間も考慮に入れると時間外1人体制でも、正規勤務に換算して690時間程度の時間給が発生します。

690時間と言えば5人分の正規勤務時間に匹敵するほどの長さですが、これが当直になれば200時間弱程度の負担で済むのが当直問題の一つの側面です。もちろん時間外勤務の上限問題もあり、それらをすべて封印してきたのが当直問題におけるパンドラの箱です。少しまとめると、

  1. 時間外手当の出費削減
  2. 時間外勤務時間の上限回避
  3. 上記の項目の効果による医師数節減

これが問題にならずに封印されてきたのは医師が気にしなかったからです。問題とも考えず、封印された条件で働く事が医師であると誰も信じ込んできたからです。今だって信じ込んでいる医師は少なくありません。誰も知らないパンドラの箱は、安全に封印され続けてきました。

ところが当直問題におけるパンドラの箱の存在は既に知られています。存在が知れた箱の封印を続けることは神話でも、実社会でもほぼ不可能です。必ず開けられるとしてよいでしょう。もう少し言えば、神話のパンドラの箱は内容は何か分かっていませんでした。内容が分かっていないからこそ好奇心から開けられたのですが、実世界のパンドラの箱を開けると言う意味は少し違うように考えています。

実世界のパンドラの箱は物理的な箱ではありません。存在を知られていない、もしくは存在に無関心である事が封印された状態であり、これが開けられるとは、内容が流布され、その内容が問題視される状態だと考えます。そう考えると医師当直問題のパンドラの箱を開ける、開けないの論争自体が無意味であり、既に開け放たれ、中身は飛び散ってしまっているとする方が適切かと思います。

神話のパンドラの箱は封じ込められていた禍が世の中に広がり、今もその禍に人間は奔走させられているとされます。医師当直問題のパンドラの箱から飛び出したものに、どういう対策を行なうかが注目されます。どうにもなんですが、その対策は魑魅魍魎が蠢く世界のように感じて寒気がしてならないのが不思議です。神話のパンドラの箱の中身への対策が永遠に解決しない問題であるように。

元もと保健所長元もと保健所長 2009/04/18 08:33 パンドラの箱を開けさえしなければ、人類は医師奴隷を過労死するまで酷使し、それにより、行政は税金を払わない住民に格安救急医療を提供でき、患者はコンビニ受診を享受し、病死者遺族は怨嗟の標的・死体換金所を有することができたということでしょう。

パンドラの箱を開けさえしなければ、古代ギリシアの天上界のごとく、世の中は平和だったのでしょう。まれにご主人の意に沿えなかった奴隷がいても、「根性が足りない」「赤ひげの心を求めたい」「一か八かやってもらっては困る」「都合の良い真相を知りたい」などと罵声を浴びせ続けていれば良かったのですから。

YosyanYosyan 2009/04/18 08:47 元もと保健所長様

パンドラの箱を開けたのは医師の意志ではなかったかと思っています。直接開けたのは医師という事にされるかもしれませんが、無関心であったパンドラの箱に関心が急速に向ったのは御指摘の経緯も大きいと感じます。パンドラの箱を開けることは、パンドラの箱に封じ込められていた禍が世に災厄をもたらしますが、それでも箱の中にあると言う希望に期待したように思います。

日本の医療を支えていたパンドラの箱の封印を解く様に世の中は流れ、押しきられるように医師はパンドラの箱を開けたと言えば良いのでしょうか。開いてしまえば二度と封印できないのがパンドラの箱ですから、これもまた一つの曲がり角を通り過ぎたと言うことかと思います。

くらいふたーんくらいふたーん 2009/04/18 08:47 医師版のパンドラの箱を書いておりました。
ご笑覧ください。

くらいふたーんくらいふたーん 2009/04/18 08:49 http://medicalfootball.blog69.fc2.com/blog-entry-353.html
アドレス書き落としておりました。連投申し訳ありません。

元もと保健所長元もと保健所長 2009/04/18 09:00 くらいふーたんさま

「医師版パンドラの箱」を拝見しました。
最後の希望は「労働基準法」とのことですが、すでに「120時間の36協定」でねじ曲げられており、もし舛添の言うように「病院宿直は労基法宿直にあらず」と法改正されれば、もはやそれは「希望」ではなく未来永劫に医師を繋ぐ奴隷の枷になることでしょう。

もはや人類界に「希望」はないということです。

とおりすがるとおりすがる 2009/04/18 09:07 在宅療養支援診療所なんてのも、個人事業主である医師を24時間365日強制労働させるシステムで、労基法の問題もなく、厚生労働省としてはとてもよくできた制度なんでしょう。すべての勤務医も個人事業主とされて請負契約で働くことになったりしてとか、悲観的なことしか考えられなくなってきちゃいました。あ、これは一応偽装請負とかになるんでしたっけ。

こんたこんた 2009/04/18 09:40 全員とは言いませんが新研修医制度以後の若い医師には、そんな箱は最初から存在していません。
この議論が通じるのもあとわずか。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/04/18 09:42 下記、個人的な意見ですが。。。。

バンドラの箱とはあくまで比喩的表現です。
政治家が比喩的な意味で使うのは、政治的な意味があるかも知れませんが
こういった比喩的な表現(どうとでも解釈可能な部分のある)を多用すると問題点の本質が
それる可能性があります。
法のことは法律の専門家のアドバイスを受けながら発言しなければならないと思いますが
医師がこういった表現を使用することは基本的に問題があると自戒していたほうがいいと私は思います。
わかりやすく状況を表しているという反論もあるかも知れませんが、かならず現実と齟齬が生じますから事実を正確に表現するほうが長期的にはわかりやすいと考えます。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/04/18 09:52 梅村聡議員がどういう意味・意図でバンドラの箱という表現を使用されたのか どなかか医療ジャーナリストの方でも確認していただければと思いました。
たぶん、Yosyan先生の解釈でいいのではと推測はしますが。。。

YosyanYosyan 2009/04/18 10:43 京都の小児科医様

梅村議員のパンドラの箱発言の真意ですが、現時点では玉虫色と考えています。もう少し言えば梅村議員の真意と関係なしに動いて行くだろうと言うことです。勤務医の労働実態と労基法の乖離は説明不要ですが、医師の動きとして労基法を持ち出してくる動きは確実にあります。

労基法の運用については弾力性が非常に富んでいるのはこれまで学習したとおりですが、それでも弾力運用にも限界はあります。現在の勤務医の労働環境を労基法の弾力運用だけで対処するのは非常に難しいものがあると言う事です。言っても法は法ですから、監督省庁自らが無限の弾力運用の実例を示し続けるのは他の労働分野との整合性に無理が出てきます。

労基法と実態の乖離が弾力運用で埋めきれないとなると、実態を労基法に近づけるか、労基法を実態に近づけるのかの二択になります。そういう点で舛添大臣の法改正発言が非常に気になります。実態を労基法に近づけるのであれば法改正は不要になります。つまり法改正発言が意味するところは、労基法を実態に近づける趣旨ではないかと私は感じています。

どれぐらい近づけるかの真意は舛添大臣にもあるでしょうが、これもまた大臣の真意とは別の大きな影響力が及ぼされます。だいたい舛添大臣にしてもいつまで大臣の地位にあるか不透明ですし、たとえ舛添大臣が法改正のレールを敷いたとしても、具体的な法改正の段階になったときに誰が厚生労働大臣かは誰も予想できないことです。その時の世論・政治・財政状況により多様な終着点が予想されます。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/04/18 11:32 Yosyan先生
ありがとうございます。

「その時の世論・政治・財政状況により多様な終着点が予想されます」としても
医師は医師として継続しての意見・動きが必要と思います。
「医師の動きとして労基法を持ち出してくる動きは確実にあります」は個々の医師ブロクを
みればそう思いますが、組織的に労基法を出してこられる団体は学会も含めてまだないように思うのですが。。。どうでしょうか

特に法改正の動きについて、過労死・医療事故の観点からぜひ組織的に発言がほしいです。

元もと保健所長元もと保健所長 2009/04/18 11:38 Yosyan先生
>つまり法改正発言が意味するところは、労基法を実態に近づける趣旨ではないかと私は感じています。

わたしもそう思います。しかも、すでに労基法による保護を享受している看護協会が納得するはずもないので、労基法を病院実態に近づける対象は医師だけということになります。

法の下の不平等を解消することなく、逆に法そのものを改悪して医師を賤民におとしめる発想を許してはいけません。

tadano-rytadano-ry 2009/04/18 15:30  私の感覚から言えば、休日時間外の診察処置はすべて1点20円とか30円にすれば
済む話なのですが。報酬が増えれば手当が確保しやすいし、コンビニ受診に対する
受診抑制効果が多少期待されるので医師の負担も減り、上手くすれば時間外
就労時間が減少して手当の負担が減ります。自治体の負担額が一気に倍増・3倍増
ですから小児医療無料化政策も見直さざるを得なくなるでしょう。そんなに上手く
行かないかも知れませんが、自由経済の発想としては自然です。政府官僚の議論は
この手の話をタブー視しているようですが、いつも言っているように負担増には
税を徴収すればいいのです。

 大体、いい家を安く建てようという発想がそもそもおこがましい。国民にも
「いい家は安くは建ちませんよ」と説明すればいいのです。ロクに説明もせず
税を上げれば票が減るかもという発想自体が国民を舐めています。

勤務医勤務医 2009/04/18 16:10 大学のパンドラは開かれる時が来るのでしょうか・・・。

tadano-rytadano-ry 2009/04/18 16:29  法改正については、本来法の下の平等を擁護すべき国家が、逆に不平等を
認めるような発想をするのはおかしいとしか言いようがありません。
 公共の福祉という観点から医師の労働条件を例外化するなら、その不利益は
当然金銭で補われるべきです。道路建設のための立ち退きと同じですし、我々
医師側にも請求する権利はあると思います。私のような人間は結局カネに何でも
帰着してしまうのですがorz、金で解決するのならサクッと解決した方が結局
後腐れが無いというのが私の経験上得た教訓です。

麻酔科医麻酔科医 2009/04/18 17:49 >いい家は安くは建ちませんよ
広くて安いマンションには、構造計算の偽造という裏があったわけです。

麻酔科医麻酔科医 2009/04/18 17:58 しかし下痢嘔吐症でこどもを小児科に連れて行ったんですが、診察して頂いてお薬を頂いて、この保険点数はどうよと思います。。風邪の季節も終わって、待ち合室も閑散としていて、大丈夫なのかしらん。

元もと保健所長元もと保健所長 2009/04/18 18:15 tadano-ry 2009/04/18 16:29 さん
>公共の福祉という観点から医師の労働条件を例外化するなら、その不利益は当然金銭で補われるべきです

戦前の前借金=身売り労働の反省から、カネさえ払えば良い、契約さえすれば良いという発想から決別し、個々の労働者を国家が直接守ることを決意したのが戦後の労働者保護法制です。
それをカネで解決しようというのでは、結局は労働者を自己責任の蟻地獄に追い込むだけではないでしょうか。
金銭補償の前に、人身保護という発想がなければなりません。

麻酔科医 2009/04/18 17:49 さん
>>いい家は安くは建ちませんよ
>広くて安いマンションには、構造計算の偽造という裏があったわけです。

そうですね。でも医療に関して言えば、構造計算の偽造というよりは、昭和20年代の医療法による設計強度を超える「過積載」というところだと思います。
それを、「一つ一つの構造物」は設計強度を大幅に超える荷重に踏ん張って耐えてきたわけですから、設計強度通りの使用法に戻すのが本来あるべき対策です。

元外科医元外科医 2009/04/18 20:34 設計強度通りの使用法は診療縮小、アクセス制限ですね。小生はこれしか医療を最低限維持する方法がないと思っています。あ、もちろん医療予算の増加も必要ですがねw

卵の名無し卵の名無し 2009/04/18 20:48 >新研修医制度以後の若い医師には、そんな箱は最初から存在していません。

興味深い断言。ということは新研修医制度そのものがパンドラの箱のふただったということになるのかな?ぢゃあもうとっくに開いてるっつうことか♪
何を今頃になって開くだの開かぬだの、哀れというもなかなか愚かなり浦島太郎じゃなかった高老相w

元もと保健所長元もと保健所長 2009/04/18 20:53 元外科医先生
>計強度通りの使用法は診療縮小、アクセス制限ですね。
おっしゃるとおりです。昭和20年代の設計負荷は、自由診療による窓口全額自己負担、救急車はなし、患者は徒歩か荷馬車・大八車で来る、お産は自宅で産婆がやる、死亡は自宅で・・などを前提としたものです。

ですから、まずは設計負荷に戻すというのが本来あるべき対策です。
もしできないというなら、古い基準の「病院」を解体し、新たな基準で作り直すべきです。

卵の名無し卵の名無し 2009/04/18 21:21 愚か者が何かお宝が入っていると誤解して開けるのがパンドラの箱なら、私に言わせれば厚生省が開けたパンドラの箱とは介護保険制度ということになるw

同じく医療費を原資とする医療保険制度に似せた現物給付システムもどきだが、医療保険制度で蛇口の栓となっている現物給付エージェントである医師が国家資格の免許を有しているのに対し、介護保険制度では現物給付エージェントは全くの無免許野放しの状態であって蛇口の栓が壊れている、つうかもともと栓がない欠陥設計。その「栓」無いところに厚生行政許認可裁量のうまみがぎっしり詰まっていたわけで、あれいらい医療制度の大番頭が率先してつまみ食い遣い込みに血道をあげるようになった。大穴を空けておいて誤魔化すために朝令暮改を繰り返し自分の罪を糊塗しようとしているが、蛇口に栓をつけない限り所詮は無駄なあがきであり詮無きwこと。

tadano-rytadano-ry 2009/04/18 22:32 元もと保健所長さま

>金銭補償の前に、人身保護という発想がなければなりません

 その観点は十分理解していますし、前職でもかなり気を遣ってきました。しかし
個々の労働者を守るべき国家が人身保護の発想を捨てようとしているとも取れる
今回の状況に於いては、国家に比べ力の弱い我々は金銭くらいしか対抗するすべが
ないかも知れません。いいものには金がかかるという当たり前の理屈を思い知らせて
やる他、道が無いというのは悲しいですが…。

神淡鳴道神淡鳴道 2009/04/19 03:35 今さらもう遅いとは思いますが、この「パンドラの箱」は早く開ければ早く開けるほど被害が少ないはずです。
これまで放置してしまった責任の所在は医師、正確には医師を管理監督する権限を有する医師にあると思います。
大学医局、医師会、学会の重鎮達には是非、責任を取って頂きたい。
むしろ、若手、中堅を主導して、パンドラの箱を開ける手助けをするよう促すべきです。

元もと保健所長元もと保健所長 2009/04/19 08:47 神淡鳴道 2009/04/19 03:35 さん

>大学医局、医師会、学会の重鎮達には・・パンドラの箱を開ける手助けをするよう・・
促すべきです。

おっしゃるとおりと思います。しかし、これまでは表の顔のままでは言い出せないことも多かったはずです。
きっと、そんな先生方が「罪滅ぼしに」とやってきた地下活動wがIY委員会ではないでしょうか。

元外科医元外科医 2009/04/19 10:13 IY委員会も十分成功しW 
既に現実の崩壊が見えています。日本に於いて今後、どれだけ医療の供給が低下するのでしょうか。

卵の名無し卵の名無し 2009/04/19 10:14 >そんな先生方が「罪滅ぼしに」とやってきた地下活動wがIY委員会ではないでしょうか。

それが事実なら>http://d.hatena.ne.jp/tadano-ry/20090417

ya98ya98 2009/04/19 10:39 パンドラの箱というのは、全くその通りです。人口構成や時間軸で考えると、アクセスフリーの皆保険制度を維持した場合に医療需要が減る可能性はほとんどない。需要の増大という状況は悪くなる一方です。みかけの供給も増えないのでこのままいけばどうやっても潰れる。問題は潰れ方で、最悪の破綻のケースはソ連崩壊後にロシアで起きたようなことが起こることです。

長い目で見ると勤務医の労働環境を改善するのは医療環境を守ることになりまが、時間外に対応できない事件はマスゴミのかっこうのえさだけに目先の選挙とか責任をとりたくないなどでの問題は先送りにします。どうやろうにも、1980年代から医師数抑制は仕込まれているのでもうどうにもならないです。

アクセスフリーの制限は需要の抑制に効果があります。なんらかのゲートを作る方法と、時間外などに金額を多くするといった価格による方法などがありますが、ここで問題となるのが公的病院です。一部の人しか使えない公的病院は意味があるのかという議論が出てきそうです。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/04/19 11:37 いつも状況(空気)が読めてなくてもうしわけありませんが。。。

IY委員会って何でしょうか

京都の小児科医京都の小児科医 2009/04/19 11:49 さらに、空気を読んでない発言をもうひとつ
この議論の元になったデータって、平成14年度(新研修医制度以前)ですが
何で、現在、再調査の話がでないのでしょうか
今のデータを出して議論することが常識と思うのですが。。。。

追加:Yosyan先生は奈良の小児科学会でしょうか

京都の小児科医京都の小児科医 2009/04/19 11:54 さらに、空気を読んでない発言をもうひとつ(最後です)

長期的に考えて、医系議員って(医師会系議員以外にも)必要と思いますが
梅村聡議員はその候補のひとりと思いました。

是々非々とも思いますが、長い目でその場の意見に賛成なら応援というやり方も
あるのでは。。。

YosyanYosyan 2009/04/19 12:23 京都の小児科医様

時間があるので判る範囲でお答えしましょう。順番は前後しますが、まず奈良には行っていません。それとなぜ現在のデータを出さないのか、再調査がどうなっているのかは残念ながら存じません。

梅村議員についてですが、とりあえず私は梅村議員の質問については特段の文句をつけていません。質問の内容については、むしろ良いところを指摘してくれたと思っています。国会質疑は御存知の通り、質問内容は先に提出され、それに対する応答の準備時間も用意されます。今回の質疑は梅村議員の質問の内容ではなく、それに対する舛添大臣の応答が注目されるかと考えています。

最後にIY委員会ですが、少々長くなります。医療崩壊論議が2chで盛んになりかけた頃に出始めたのが元祖とされます。医療崩壊をなんとかせよの議論に対し、

 「嫌なら辞めろ、代わりは幾らでもいる」

こういう書き込みが多数行なわれたことを指します。それ故に「嫌なら辞めろ委員会(IYC)」と呼ばれています。当初は反医師の行動と見なされていましたが、最近ではニュアンスが異なってきています。元祖的な用法も生き残っていますが、話題になるような労働条件の病院に勤務している医師に対しても、逃散勧告の意味で用いられる事が多くなったとされます。

過酷な条件を支えてしまうから、さらに過酷な条件が増えると言う考え方です。これは医療崩壊論議が「食い止め論」から「崩壊再生論」に転じた頃からそうなったと言われています。崩壊しないと再生できないから、崩壊の阻害因子である現場を支えてしまう医師への逃散促進勧告の意味合いです。

サルガッソーサルガッソー 2009/04/19 13:53 時間外の診療は保険料負担が半額もしくは無しで良いのでは?
増大する社会保険料抑制にもなりますし。
官僚は混合診療の先触れになるから嫌がるかな?

TOMTOM 2009/04/19 14:16  皆様大変お久しぶりです。4月に入って開業医の医繁期?を抜け、やっとこさ追いつきました。ホントもう、ここったらいつも議論が濃ゆすぎ(笑)。ちょっと遅れると過去ログ読むのだけでも大変ッス。

 さてパンドラの箱ですが、開けて最後に残るものを自分なりに考えてみました。
 箱を開けて飛び出したのは、自分たちが「当然」と思っている医療内容を充足できるだけの資金を、国民は負担する気があるのかないのか、という問いだと思っております。そして今のところ、答は「ない」だと私には見受けられます。これは非難しているのではありません。公的保険で賄うにせよ自己負担にせよ、たとえ医療でも無制限に資金を掛けられるものではないという事は承知しています。
 問題は、人々(特に公的保険により保護されている日本人)が自分の生命や健康の価値に対し夢想している無制限性と、現実的な経済有限性をマッチさせることができない、という所にあるのではないでしょうか。つまり箱に最後に残るのは「自分の命の価値の値踏み」。これができれば神話よろしく医療(制度)再生への「希望」にもなるんだろうけど、無理だろうなぁ〜。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/04/19 14:51 Yosyan先生
ありがとうございます。

私がすこしだけ奈良に出席しました。
IY委員会についての解説ありがとうございました。


>それとなぜ現在のデータを出さないのか、再調査がどうなっているのかは残念ながら存じません。
>梅村議員についてですが、とりあえず私は梅村議員の質問については特段の文句をつけていません。質問の内容については、むしろ良いところを指摘してくれたと思っています。国会質疑は御存知の通り、質問内容は先に提出され、それに対する応答の準備時間も用意されます。今回の質疑は梅村議員の質問の内容ではなく、それに対する舛添大臣の応答が注目されるかと考えています。

私としては、梅村議員と舛添大臣のやりとりに官僚をはさんで事前に打ち合わせがあったという印象を受けました。
そのことを踏まえて、なぜ現在のデータを出さないのか、再調査がどうなっているのかのやりとりがなぜなかったのかを色々と考えてしまいました。

私は舛添大臣はマキャヴェリストと考えていますが、梅村議員に花をもたす感じで今回は動いたのでは   推測ですが。。。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/04/19 15:01 すいません。流れの理解がわるくて

Yosyan先生の書かれた
>国会質疑は御存知の通り、質問内容は先に提出され、それに対する応答の準備時間も用意されます。今回の質疑は梅村議員の質問の内容ではなく、それに対する舛添大臣の応答が注目されるかと考えています。
から
なぜ現在のデータを出さないのか、再調査がどうなっているのかのやりとりがなかったのかを色々と考えてしまいました。 という意味です。

YosyanYosyan 2009/04/19 15:20 TOM様

もう誰もが知っている事ですが、医療崩壊の原因はカネに尽きます。カネが乏しくなったから、病院の経営に余力がなくなり、他の要因もあるにせよ医師の勤務条件が悪くなっています。医師の場合は勤務条件の悪化を防ぐカネが乏しくなったとした方が良いかもしれません。

苦しくなった医師は洗脳から醒めてしまい、勤務条件の改善なんて事を突然考え出したわけです。現在国が行なっている対策は、根本原因のカネの問題をスルーして、カネが乏しくなって以降に起こった諸原因の対策に奔走していると見ています。諸原因の中には不可逆性の変化も既に含まれていますが、根本原因に手をつけるのをタブーとしているために、一向に効果のある対策を取れず火の手だけが広がっているとも見れます。

カネもPONR以前ならまだ少なく済んだはずなのですが、PONRから時間が経てばたつほど必要な額は膨らみ、さらにそれだけ投入しても現状復帰は既に不可能になっていると考えています。足掻けば足掻くほど沈む泥沼状態みたいなものです。

さ〜て、希望を感じるときまで自分が現役かどうかも最近疑問に思っています。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/04/19 15:44 元もと保健所長様

恐縮ですが

話しの流れから昭和20年代の設計負荷とは主に医療法のことをさされておられることは
理解できるのですが
昭和20年代の設計についてさらに理解するための参考資料などあるでしょうか
もし可能なら教えていただければ勉強したいです。

個人的には【厚生省二十年史】は所有しています。


>計強度通りの使用法は診療縮小、アクセス制限ですね。
>おっしゃるとおりです。昭和20年代の設計負荷は、自由診療による窓口全額自己負担、救急車はなし、患者は徒歩か荷馬車・大八車で来る、お産は自宅で産婆がやる、死亡は自宅で・・などを前提としたものです。
>ですから、まずは設計負荷に戻すというのが本来あるべき対策です。
もしできないというなら、古い基準の「病院」を解体し、新たな基準で作り直すべきです

元もと保健所長元もと保健所長 2009/04/19 17:44 京都の小児科医さま

>昭和20年代の設計についてさらに理解するための参考資料などあるでしょうか
>もし可能なら教えていただければ勉強したいです。

IYCと同様に、内輪ウケを狙ったカキコですので、マジに聞かれても戸惑ってしまいます(^^;)

設計負荷とは、医療従事者にかかる「荷重」のつもりで使いました。自費診療などの医療需要のほか、書類書き、医療裁判、応招義務などによる負荷を想定しています。
設計強度とは、荷重に見合う強度ということで、具体的には医療法施行規則第19条の人的基準、宿直医制度などを想定しています。

医療法施行規則第19条の基準や宿直医制度が、いまだにそれが制定された昭和20年代の牧歌的医療における負荷を想定したままであることを言いたかったのです。

inoue04inoue04 2009/04/19 22:29  業界事情をあまり知らないんで、何か勘違いしているかもしれないんですが、
・フルタイム勤務をしている病院があるのに、わざわざ外勤して日銭を稼いでいる人が多い
・よって、外勤を止めれば、かなり労働時間は減るはずであり、長時間勤務は、身から出た錆じゃないのか?
 一口に外勤(ネーベン)といっても、医局人事で半強制的に行かされるものから、完全に自由意思で応募して、小遣い稼ぎしている例まで色々あるでしょうが、外勤を止めることは不可能ではない。
 非常勤医師がいないと、常勤医師だけで当直を回さざるをえなくなり、余計医療が崩壊するとか、マイナー科が週1回でも来てくれると診療の幅が広がって都合がいいという事情も承知していますし、完全なフリーター医師では身元が不安だということも知っておりますが。

BugsyBugsy 2009/04/19 23:11 Inoue4様

>外勤を止めれば、かなり労働時間は減るはずであり、長時間勤務は、身から出た錆じゃないのか?

う ぷ ぷ。外勤があるからこそ その日は割り切って時間どおり自宅に帰れるという部分を期待しています。外勤はすくなくとも夜間のオンコールはありませんからね。延々と勤務先の病院にいるより 気楽なんです。

> 非常勤医師がいないと、常勤医師だけで当直を回さざるをえなくなり、

そうなんですよ。だからお呼びがかかるんです。断ると 彼らがつらいのです。

結局 助け合いですよ。医師不足が続く限り これからも続けようと思っています。

>フルタイム勤務をしている病院があるのに、わざわざ外勤して日銭を稼いでいる人が多い。
仕方なくやってきました。だけど昨今は外勤しないと先方に病院はつぶれるんじゃないかな?

僻地医僻地医 2009/04/20 01:10 >外勤を止めれば、かなり労働時間は減るはずであり、長時間勤務は、身から出た錆じゃないのか

Bugsy様のおっしゃるとおり、外勤を止めても、(特に大学病院の場合)色々と断れない用事が降ってきて結局外勤に行くより仕事が増えます。善し悪しはともかくこれが現実なのです。

それと(やはり大学病院の場合)、大学から出る給料が(助教以上の常勤職員でも)市中病院と比較して大分安い場合が多く、兼業を禁ずると人材の流出が避けられないという点があります(もう大分流出してますけど)。もちろん大学が労働量に見合った給与を出せば(少なくとも時間外をきちんと支払う)良いのですが、勿論そんなことはせず、悪くいえば時間外給与を市中病院に肩代わりさせるような形で兼業を認めているわけです。

病院側は兼業を禁ずると時間外をちゃんと払えという要求が来る・・・医者の側としては大学側に時間外の支払いを要求すると(国公立の場合)杓子定規に公務員(独法職員)の兼業禁止規定を持ち出されて兼業を禁止され、お話しにならないほど安い単価の時間外給与で丸め込まれる・・・といった懸念がそれぞれにあり、微妙なバランスでお互いが言い出さずに黙っている感じです。

一方、市中病院にとっても、常勤の居るメジャー科の場合は当直の応援、常勤の居ないマイナー科の場合は週数回の外来診療で助かっている場合が多いと思います(高額のバイト代をむしり取られて困っているという話はあまり聞かず、むしろ来てほしいけど医局がバイト医を回してくれないので困っているという話をよく聞きます)。

やはりどちらにもメリットがあるからずっと続いているんだと思いますよ。

ただBermudaのブログに出てくるような産婦人科は酷いですね。内勤も地獄、外勤も地獄でどちらに転んでも身体がもちそうにありません。良くやっていらっしゃるなあと思います。

勤務医勤務医 2009/04/20 03:53 「嫌なら辞めろ委員会(IYC)」
なるほど。そんな意味があったとは。
と言うことは大学で権力をふるって居た方も、「もう無理せずに崩壊させたらいい」と
考えて居ると言うことでしょうか。
でも今の上層部はそんな事考えて居ないように思いますけどね。
あと、おいしい汁を吸って、自分が辞めてから言われてもねえ。
で、今の上層部も辞めてからそんな事言うのでしょうか。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/04/20 06:38 元もと保健所長様

色々と勉強になります。ありがとうございます。

>設計負荷とは、医療従事者にかかる「荷重」のつもりで使いました。自費診療などの医療需要のほか、書類書き、医療裁判、応招義務などによる負荷を想定しています。
設計強度とは、荷重に見合う強度ということで、具体的には医療法施行規則第19条の人的基準、宿直医制度などを想定しています。

>医療法施行規則第19条の基準や宿直医制度が、いまだにそれが制定された昭和20年代の牧歌的医療における負荷を想定したままであることを言いたかったのです。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/04/20 06:42 昭和20年代の牧歌的医療?

昭和24年「新しい保健所」
http://www.phcd.jp/gaiyou/newHC.html

これは前から知っています。

10年ドロッポ10年ドロッポ 2009/04/20 10:47 勤務医様、
マジレスするのもなんですが、委員会の中の人は大学のエライ人じゃなくてドロッポ医ですよ、多分。ちなみに私もメンバーですw。

moto-tclinicmoto-tclinic 2009/04/20 12:26 >フルタイム勤務をしている病院があるのに、わざわざ外勤して日銭を稼いでいる人が多い
>よって、外勤を止めれば、かなり労働時間は減るはずであり、長時間勤務は、身から出た錆じゃないのか?

フルタイム勤務と外勤と、どちらかを辞めろと言われたとき、フルタイム勤務のほうを辞める選択肢をとる人が増えてきたのが、今どきの「逃散」なわけです。

inoue04inoue04 2009/04/21 18:53 まあ、外勤といっても、医師労働時間には変わりないし、それを非常勤で埋めるか、常勤で埋めるかの違いでしかないですね。

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