新小児科医のつぶやき

2009-06-22 新型インフルエンザみたいなドタバタ劇

6/21付Asahi.comより、

新型インフル患者、東京―京都間新幹線で帰宅 都が指示

 東京都内で19日に新型インフルエンザ陽性と判明した奈良県在住の男性が都の指示を受け、「自宅療養」のため、新幹線の普通車指定席で東京から京都まで戻っていたことがわかった。都から連絡を受けた県は「周囲に感染する恐れがある」とあわてて夜に幹部が車で京都駅まで迎えに行く騒ぎに。こうしたケースを想定した国の指針はなく、自治体間で“温度差”が際立つ対応になった。

 県によると、男性は同県桜井市在住の20代の大学院生。11日からハワイに滞在し、16日に帰国。17日から東京に行き、18日に熱感を覚えた。19日朝に病院で受診した際は38.1度あり、遺伝子検査を受け、午後3〜4時ごろに陽性の診断を受けた。

 男性は「1週間程度の入院か、自宅待機か」と尋ねられ、「帰宅する」と回答。マスクをして午後5時ごろ、同行の家族1人とともに新幹線の普通車指定席に乗り、京都に向かった。その後、東京都港区の保健所から連絡を受けた県はあわてて男性の携帯電話に連絡。車掌に頼んで2メートル以内に人がいないグリーン車両などに移るよう要請したが、やりとりしているうちに新幹線は京都に到着した。

 男性は電車で奈良に戻る予定だったが、県は「妊婦や子どもが乗っているかもしれないから」と駅で待つように説得。男性は、迎えに来た車で同県橿原市の病院に運ばれ、午後11時に入院。容体は落ち着いているという。

 都感染症対策課によると、都では6月10日ごろから、患者に「入院か自宅待機か」を選択させており、帰宅を選んだ場合、電車、バスなどの公共交通機関を利用しているという。「マスクをし、周囲に人が少ない席で帰宅したと聞いている。都外で感染し、公共交通機関で都内に帰ってくる例もいくつかある」

 一方、自ら迎えに行った奈良県の武末文男・健康安全局長は「陽性の診断直後に、他に多くの乗客がいる公共交通機関で患者を帰らせる措置は、感染症への対応としてもどうか。せめて2、3日でも、症状が落ち着くまで治療をまずしてほしかった」と話した。(吉岡一)

話は日付の問題が絡むのでそこを抜き出すと、

    6/16:ハワイから帰国
    6/18:熱感を覚える
    6/19:東京の病院を受診。PCRにて新型インフルエンザの診断を受ける。

感染場所はハワイと推定され、6/17付在ホノルル日本総領事館より、

 17日、ハワイ州衛生局より、ハワイ州において新たに100名の新型インフルエンザ(豚由来A型インフルエンザ(H1N1))の感染が確認された旨発表がありました。これにより、ハワイ州での感染確認数は298名となりました(内訳は、オアフ島:288名、ハワイ島:4名、マウイ島:3名、カウアイ島:3名)。なお、ハワイ州における感染者数については、同衛生局のウェブサイトでも確認できます。(URL:http://hawaii.gov/health/about/H1N1.html))。

こんな感じです。6/19と言うのが微妙な日なんですが、6/19付Asahi.comに、

 今秋にも予想される新型の豚インフルエンザ流行の「第2波」に備え、厚生労働省は19日、医療対策や検疫態勢を見直す運用指針の改定を正式に発表した。全国的、大規模な流行を見越して、原則として患者を入院させず、重症者向けに病床を確保することを都道府県に求めている。

厚労省が新型インフルエンザ対策の転換を都道府県に求めた日ですが、この日に即座に東京都も奈良県もこの方針に変わったかと言えば大いに疑問です。神戸は6/16に既に転換していますが、東京も奈良も厚労省の発表を受けても早くても翌日以降になると考えるのが妥当ですし、6/19は金曜日ですから週末に対策会議を行なって今日辺りから動いたとしても不思議ありません。つまり体制的にはそれ以前のものであった事になります。

この患者は東京で新型診断を受け

「1週間程度の入院か、自宅待機か」と尋ねられ、「帰宅する」と回答。

東京の当時の新型に対する体制は普通のガイドライン第二段階です。つまり患者が発見されれば感染症病床に隔離入院です。感染者の扱いは発見場所に依存するので、奈良の患者であっても東京で隔離入院させるのが原則になります。問題は入院の命令形態です。当ブログでもマスコミでも措置入院と言う言葉を使いましたが、実は正しくありません。

第二段階に基づく正式の手続きは、まず新型疑いの段階で、

受診医療機関は、新型インフルエンザ検査が検査機関において約半日以上かかることから、あらかじめ患者に対し、感染症指定医療機関への任意入院(新型インフルエンザの検査結果が出るまでは、任意の扱いとなる)を勧奨する。その場合、病院の他の病室等へ新型インフルエンザウイルスが流出しないような構造設備を持つ病床を使用する

検査結果が出るまで

    感染症指定医療機関への任意入院(新型インフルエンザの検査結果が出るまでは、任意の扱いとなる)を勧奨する

あくまでも「勧奨」ですから任意入院しない選択も患者にあります。ガイドラインには患者が任意入院の勧奨を受け入れない場合についても明記してあり、

感染症指定医療機関等は、検査の結果が判明するまで、患者に当該医療機関もしくは自宅での待機を指導する。その際には患者にマスクの着用、人混みを避ける等適切な感染対策について指導する。

任意入院の勧奨に同意しなかった場合の患者の選択は「当該医療機関もしくは自宅での待機」ですが、これも「指導」ですから必ずしも従う必要は無いことになります。そのうえでPCRで診断が確定した後でも、

保健所はその結果を患者に連絡し、感染症法第19条に基づき、原則感染症指定医療機関への入院を患者に勧告し、移送する。感染症指定医療機関が満床の場合は、協力医療機関への入院を勧告する

この感染症法の第19条ですが、

第十九条

 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。

  1. 都道府県知事は、前項の規定による勧告をする場合には、当該勧告に係る患者又はその保護者に対し適切な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。
  2. 都道府県知事は、第一項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る患者を特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わないときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。
  3. 第一項及び前項の規定に係る入院の期間は、七十二時間を超えてはならない。
  4. 都道府県知事は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、第一項又は第三項の規定により入院している患者を、当該患者が入院している病院又は診療所以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院させることができる。
  5. 第一項又は第三項の規定に係る入院の期間と前項の規定に係る入院の期間とを合算した期間は、七十二時間を超えてはならない。
  6. 都道府県知事は、第一項の規定による勧告又は第三項の規定による入院の措置をしたときは、遅滞なく、当該患者が入院している病院又は診療所の所在地を管轄する保健所について置かれた第二十四条第一項に規定する協議会に報告しなければならない。

よく読むと微妙な表現で、都道府県知事は「勧告することができる」となっていますが、勧告に従わない場合の対策が二段しかありません。

    勧告一段目:当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院勧告
    勧告二段目:特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院

二段目の勧告にも従わなかったらどうなるかがよくわかりません。そうそう無いことですが、記事の事件はこの勧告に従わない事を患者は表明したことになります。もう一度記事を引用しますが、

    「1週間程度の入院か、自宅待機か」と尋ねられ、「帰宅する」と回答。

「1週間程度の入院」は感染症法19条による勧告であり、「自宅待機」は勧告に従わない場合の患者の選択と言うかおそらく「指導」とか「勧奨」になるかと解釈できます。そうなれば感染症法19条の勧告に従わなくともとくに罰則はない事も推測されます。

さらにさらにここから感染症法やガイドラインに想定していない事が展開されます。自宅待機と言っても奈良の人間が東京に出てきているのですから、東京から奈良まで帰宅する必要があります。男性は自宅待機のために

マスクをして午後5時ごろ、同行の家族1人とともに新幹線の普通車指定席に乗り、京都に向かった。その後、東京都港区の保健所から連絡を受けた県はあわてて男性の携帯電話に連絡。車掌に頼んで2メートル以内に人がいないグリーン車両などに移るよう要請したが、やりとりしているうちに新幹線は京都に到着した。

マスクはする良識はキチンと持っていたようですが、東京から奈良に帰宅するにあたり新幹線を利用したようです。奈良県もこの報告を聞いて慌てたようですが、グリーン車云々は誰の負担の要請だったかは記事からは不明です。もっとも午後5時ごろに新幹線に乗車してからどの程度の時間で東京から奈良に連絡が届いたのかもよく分からないところです。

京都駅まで奈良県職員が出向いたようですが、奈良県職員の説得と言うか勧告は東京よりも効果的であったようで、

男性は電車で奈良に戻る予定だったが、県は「妊婦や子どもが乗っているかもしれないから」と駅で待つように説得。男性は、迎えに来た車で同県橿原市の病院に運ばれ、午後11時に入院。容体は落ち着いているという。

奈良では男性は県の説得に応じて入院勧告を受け入れたようです。


さ〜て、問題は感染症法やガイドラインの運用においての法律解釈になるのかもしれません。感染対策のピットフォールみたいな事柄ですが、感染症対策を法律解釈で考える愚かさを噛みしめています。この事件は男性が東京で発見され奈良に帰宅したから問題になったわけであり、東京で発見されて神戸に帰宅したのなら、兵庫県職員も神戸市職員も微動だにしなかった気がします。大阪で発見されて神戸に帰宅していたらニュースにさえならなかったのではないでしょうか。

狭い日本で地域指定を異常に細かく行なった矛盾が現れたドタバタ劇の様に思っています。

通りすがり通りすがり 2009/06/22 08:40 このニュースを聞いた時の第一感は「奈良だし」って事でした。
机上の想定の虚しさを強く感じますね。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/06/22 08:46 新型インフルンエンザの達人様にも出ていますが。。。
http://newinfluenza.blog62.fc2.com/blog-entry-509.html
また
武末文男・健康安全局長が出てこられました(奈良の案件はすべてこの方が担当されているような印象があります)論点としては、感染症の専門家ではないことがあげられています。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20090424

記者会見までされたことが出ていますがhttp://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2009/06/dl/infuh0620-01.pdf
私として疑問なのは
4.積極的疫学調査
というのは福岡のように
http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/15037/1/0613joho.pdf
今回の新幹線の車両ナンバー・座席も公開調査されるのでしょうか
(もしするなら早いほうがいいと思いますが)
奈良県が頑張っているような感じもありますが、やはり現時点では奈良県はやりすぎという点と専門家が行政にいないという印象を受けました。

YosyanYosyan 2009/06/22 09:34 京都の小児科医様

あくまでも行政的な判断のお話ですが、6/19は厚労省が緩和方針を正式に発表した日です。都道府県により温度差はあると思いますが、近日中にその方針に従うであろうという事は目に見えている状態かと考えます。厚労省の新方針なら患者が入院治療必要なら「自宅療法」と言うか普通にインフルエンザの治療を外来でされるわけですから、東京から奈良に帰るのもまた普通に帰ると考えられます。

一方で公式の体制は第二段階のままです。これが変更解除されるまではそれに従うのもお役人として大事なところです。杓子定規といわれようが、定められた規則に忠実に従うのもまた大切なことです。ただ規則に従うと言っても、お役人でも融通があります。時間の問題で変更される規則をどこまで適用するかの融通です。通常は上司の許可を取ってになるのですが、健康安全局長クラスでも独自判断は難しいのでしょうか。難しいのかもしれません。

考えようですが、東京は新しい方針にそれなりに偏った運用を行ない、奈良は現在の規則にかなり偏った運用を行なったと言うことではないかと思っています。だからどうしたと言うほどのことはありませんが、こういうのは感染症対策ではなく、通達に関する運用解釈に過ぎないと思っています。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/06/22 09:35 第2報も出てます.
http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_menuid-9995.htm
http://www.pref.nara.jp/secure/15418/20090619ver2.pdf

マスクをされていたとはいえ、この方の半径2m以内は濃厚接触とも思いますが。。。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/06/22 10:08 話が前後して申し訳ありません。

私が理解するかぎり、本件が県として適切な対応だったかは
感染症の診査に関する協議会
で検討するべきと思うのですが、法的な解釈は素人ですので。。。
間違っていたらすいません。

ただ、論点として下記ではと思っています。

(患者さん本人の話ではないとも理解できるかも知れませんが)
症状もなくどんなに元気であっても、保健所の言いなりで入院していなければならないのでしょうか?
http://newinfluenza.blog62.fc2.com/blog-category-6.html

まだ、未公開のJMMですが、引用HPで
(ただ、これは検疫法で感染症法ではないのですが)
第33回:新型インフルエンザ対策の争点:検疫と人権
憲法学の泰斗 浦辺法穂氏 自らのホームページ
http://www.jicl.jp/urabe/backnumber/20090518.html

間違っていましたら申し訳ありません。

YosyanYosyan 2009/06/22 10:35 京都の小児科医様

感染症法16条に基づく入院勧告の強制力になるかと思っています。実際の運用上の強制力はよく分からないのですが、社会的合意による強制力なら確実にあります。たとえば成田で見つかった高校生の時期であるなら勧告を蹴飛ばすのは事実上不可能かと思っています。神戸・大阪で発見された時期もまたそうかと思います。ただ現在(先週)ならどうかとなると相当微妙になります。

BugsyBugsy 2009/06/22 11:06 新幹線の乗車が問題になるのなら 東京駅までの交通手段は問題ないのでしょうか。

JRでしょうか、バスかタクシーか?
そこまで慌てておいて これらの乗客や運転手にまでは手が届かないんですね。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/06/22 11:33 Yosyan様

>感染症法16条に基づく入院勧告の強制力になるかと思っています。実際の運用上の強制力はよく分からないのですが、社会的合意による強制力なら確実にあります。たとえば成田で見つかった高校生の時期であるなら勧告を蹴飛ばすのは事実上不可能かと思っています。神戸・大阪で発見された時期もまたそうかと思います。ただ現在(先週)ならどうかとなると相当微妙になります


過去に関して、私も医師の常識的な感覚としてはそう思うのですが、いわゆる人権に関して
弁護士に依頼して訴訟をおこした場合はどうなるかは裁判次第と思います。特に患者さん以外(いわゆる濃厚接触者)の隔離・自宅待機は論点になると思います。
まして先週の時点ではどうでしょうか

ついでながら、のちに新型インフルエンザの記録・検証は政府が出されると思うのですが
落ち着いたら神戸市・神戸医師会で、記録集を出す予定はあるでしょうか
あればぜひ読んでみたいと思っています。

昨日、豚インフルエンザの真実 人間とパンデミックの果てなき戦い
外岡立人
http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=300533
http://nxc.jp/tarunai/index.php?action=pages_view_main&page_id=23
が出てました。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/06/22 11:44 Bugsy様

1ケ月以上前の話ですが
香港では
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/26b9a575d82099a615a67efb61b16f47
だったようです。
便乗者もおられるようですが。。。
http://www.asahi.com/international/update/0504/TKY200905040190.html

本件の場合、奈良県が救急車(護送車?)を東京まで送って患者さんが乗って帰るというのが現時点の奈良県の行政の正しい対応の仕方でしょうか
それとも自家用車で????
それても、奈良県には病状が落ち着くまで帰って来るなというのが対応方法でしょうか
他の都道府県で自宅待機の患者さんが本県に帰県する場合の対応方法が公開されて
ないように思いました。

ひんべえひんべえ 2009/06/22 13:19  こんなことは、実は日常茶飯事なはずなんです。
と、いうのは 肺結核の場合も同様なのです。出稼ぎで来たものの肺結核が判明して入院勧告を受ける。
しかし、自宅へ帰ってそちらで入院したいという患者もいくらでもいるわけです。そういう場合と
同じ扱いな訳で。

ネタ切れ新聞は、とにかく煽ってなにか書かないと、お金にならないから、、、、、

TOMTOM 2009/06/22 16:22 よくわかんないとこ。
1.都の感染症対策課の人は、本当は何と言ったのか。
 「(インフル患者には公共交通機関は使わないでねと言ってるが、実際には、)乗っちゃう例もいくつかある」なのか、それとも記事通り堂々と「乗車上等」と言ったのか。
 例によって新聞記事ですからね...
 ちなみに私はたとえばpandemic期の医療機関待合室で「完全な分離」など画餅であるとの主張者ですが、でも普通にできる範囲での「なるべく分離」には異論ありません。
 従って季節性であれ新型であれ、公共交通機関に乗っていいとは指導しません。都の人もせいぜい「あえて注意しなかった」程度で、「どうぞどうぞ」とは言わないんじゃないかなぁ。
 ついでに言うとよく問題になる、そしてこの冬も確実に問題になるのは入試シーズン(2月〜3月)です。具体的には今日インフル診断、明日ないし明後日入試の受験生。しかも10歳代なんだなこれが。医者としては「ダメ」しか言えないけど...

わかんないとこ続き。
2.車で迎えに行った奈良県の武末局長は、間違いなく濃厚接触者な訳で、奈良県の方針に従うならこの人も感染してる可能性があるので隔離されるべきではないか。
3.その武末局長に取材した朝日新聞記者も(ry

 朝日記者氏は大阪支社の方のようですが、直接取材に行ったのか電話かは解りませんが、この取材の後「自分も感染源としてまき散らしてるかもしれない」とは、多分思ってないんでしょうね。

moto-tclinicmoto-tclinic 2009/06/22 16:51 マスクと手洗い、この二つをしっかり行って、付近のひとへの感染を避けるように、という指導がしっかりなされていれば、いまの段階では、グリーン車で周囲に空席を作って、なんて必要はないと思います。
この記事でいちばん変に感じるのは、

>県はあわてて男性の携帯電話に連絡。車掌に頼んで2メートル以内に人がいないグリーン車両などに移るよう要請したが

のくだりですね。
現段階では、マスクを正しく装着しているか、鼻や口に手をもっていったあとは、手洗いをしているか、を確認するくらいでよかったのではないかと思います。
要請された車掌も困ったのじゃないかなあ。料金的には、グリーン車席、12席分くらい占有する話ですよね。気を利かせて欲しいという県の意向がわからないではないけれど、車掌の一存で決められる話ではないし、グリーン車に移動させて、その車両で乗客に感染したら、それはそれで困るし。
奈良県内に移ってからは、県の管轄だから、対応は自由ですが。
新幹線内は、厚労省および、JR東海の管轄だから、JR東海に情報を与えて、JR東海に判断させるのが筋だったんでしょう。「要請」はおかしい。

moto-tclinicmoto-tclinic 2009/06/22 17:01 だいたい、

>男性の携帯電話に連絡。車掌に頼んで

携帯電話は、メールだったのだろうか?口頭だと、それで、男性が話するだけで、周囲に飛沫の可能性増えるじゃないですか。車掌に話しかけたら、車掌にうつります。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/06/22 18:20 連投すいません。
moto様
>新幹線内は、厚労省および、JR東海の管轄だから、JR東海に情報を与えて、JR東海に判断させるのが筋だったんでしょう。「要請」はおかしい。

この新幹線内は厚労省ではなく、国交省の管轄ではないかと思ったのですが。。。
これは検疫との理解でいいでしょうか

moto-tclinicmoto-tclinic 2009/06/22 18:53 まあ、とにかく、奈良県の管轄でないことは確か(^^;。
緊急避難的なら、誰が言ってもいいでしょうが、それほどの事態ではないわけだし。

ところで、新幹線って、乗ってからグリーン席空いてるからお金払って座らせてくれ、っていうの、OKでしたっけ?
とりあえず、周り空いてるところに座らせたとしても、名古屋から乗ってくるひともいると思うのですが・・

YosyanYosyan 2009/06/22 19:48  >県はあわてて男性の携帯電話に連絡。車掌に頼んで2メートル以内に人がいないグリーン車両などに移るよう要請

ここは確かに笑えますね。車掌も困惑したかと思います。とりあえず車掌にすれば電話の相手が奈良県職員か確認する術はありません。そういう状態でグリーン車に移る判断を車掌は行なわなければなりません。さらにグリーン車にうまい具合に空席があるかも大事です。良く知りませんが、車掌とは言え次の駅で乗車する乗客がどこに座るかまで把握していないと思います。

電話の時点で席が空いていても、それこそ次の駅の乗客が患者の近くに座る可能性があります。そうなれば事情を話して席を移動してもらう交渉が必要ですし、下手に事情を話すと一騒ぎ起こる可能性もあります。グリーン車に乗る乗客が必ずしも上品な方ばかりではありませんからね。逆に意気高々に「追い出せ」ぐらいは言いかねない人物もおられるかも知れません。

 >車で迎えに行った奈良県の武末局長は、間違いなく濃厚接触者

京都駅から橿原まで同乗したと考えるのが妥当で、マスクぐらいはしていたでしょうが、まさかフル装備で出迎えたとは思えません。当然ですが「自宅療法」を希望する患者を道すがら説得したでしょうから、車内で一定量の会話は行なわれたと考えるのが妥当です。ここでマスクをしているから濃厚接触ではないとするのなら、新幹線車内の患者もマスクを装着していたのですから、乗客もまた濃厚接触で無いとの理屈も成り立ちます。

理屈が成り立つのなら出迎え不要ですし、成り立たないのなら武末局長も運転手も濃厚接触者扱いになると考えるのが妥当です。なんと言ってもマスクをして新型を発見した医師まで休業要請を出すぐらいですから、フル装備で出迎えてない限りそうなるとは思います。どうにもこうにも中途半端な手続きを遵守するために余計な騒ぎを起した気がしています。

moto-tclinicmoto-tclinic 2009/06/22 20:04 >男性は電車で奈良に戻る予定だったが、県は「妊婦や子どもが乗っているかもしれないから」と駅で待つように説得。男性は、迎えに来た車で同県橿原市の病院に運ばれ、午後11時に入院。容体は落ち着いているという。

これも、現段階では、非常におかしなはなしで、病院というのは、感染→重症化リスクの高いひとたちが、入院したり出入りしたりしているところです。妊婦や子供よりはるかに危ない。
この場合は、むしろ、家に送り届けて、くれぐれも外出をしないよう、とくに、病院には近寄らないよう(病院を受診する必要が生じた場合には、まずは保健所に一報いれて指示をあおぐ)、念押ししたほうが理にかなっています。

moto-tclinicmoto-tclinic 2009/06/22 20:12 続)
みんな、新型インフルネタには、飽きてきていますが、次の山場は、いずれ出るであろう、基礎疾患をもっているひとが感染しての死亡例です。
これが、病院入院患者が院内で感染したとかだと、マスコミが書き立てるでしょう。
勤務医の皆様、病院関係者の皆様、くれぐれも、病院内への侵入への水際作戦(食い止められんだろうけど、せめてマスコミ対策のためにポーズだけでも)気を緩められませんように。

moto-tclinicmoto-tclinic 2009/06/22 20:21 続)
ですから、奈良での今回の収容先の病院で、後日、別の基礎疾患のある入院患者が新型インフルで死亡したりしたら、奈良県および収容した病院は槍玉にあげられますね。
わたしが、ここの病院長だったら、奈良県の収容要請を拒否したと思います。

元もと保健所長元もと保健所長 2009/06/23 06:00 Yosyan先生

>勧告一段目:当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院勧告
>勧告二段目:特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院

感染症法第19条を順に読んでいくと、
第1項 知事(新聞記事から港区長と思われる。以下同じ)は勧告することができる。
第2項 知事は勧告時によく説明する義務がある。
第3項 それでも従わないときは入院させることができる。

となっていて、第7項には、第3項を「入院の措置」と書いています。

したがって、先生のおっしゃる「勧告二段目」の部分は「勧告」ではなく「入院の措置」であり、講学上の「即時強制」ということになります。まさに入院を強制するのです。

したがって
>二段目の勧告にも従わなかったら・・

ということはありません。

>記事の事件はこの勧告に従わない事を患者は表明したことになります。
>1週間程度の入院か、自宅待機か」と尋ねられ、「帰宅する」と回答。

ここは感染症法の「勧告」ではなく単なる「意思確認」と考えるべきでしょう。本人に入院意思があるなら「勧告」してその後の医療費は公費負担してやろうという一種の「温情措置」です。
そもそも、勧告にせよ入院措置にせよ「知事は・・できる」とされているのであって、国がなんと言おうと、勧告(入院措置)するかしないかは「知事」の権限であって、他県知事の指図を受けることはありません。
むしろ、国がまさに対策を緩和しようとしていた時期において、人権と社会防衛との比較衡量をした場合、「入院のお勧め」はしても、本人の意向を無視した「入院勧告」などできるはずはないと考えるのが合理的です。

それよりも、他県通過中の新幹線車内という権限外の場所においてグリーン車移動を要請したという奈良県の越権行為=順法精神のなさにはただただ呆れるばかりですが、自ら迎えに行ったのが「武末文男・健康安全局長」とのことなので、「ああまたこの人か」と妙に納得しています。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/06/23 06:28 元もと保健所長様

もし、可能なら教えてほしいのですが、本件の場合、武末文男・健康安全局長の正しい行動の仕方として、奈良県に入県するまで待って、奈良県県境で対応すればよかったでしょうか

元もと保健所長元もと保健所長 2009/06/23 06:40 京都の小児科医様

>本件の場合、武末文男・健康安全局長の正しい行動の仕方として、奈良県に入県するまで待って、奈良県県境で対応すればよかったでしょうか

「行政権限」に着目するなら貴見の通りです。ただし、奈良市は中核市ですので、「奈良県知事」≒奈良県健康安全局長が権限行使できるのは奈良市以外の奈良県内ということになります。

ただ、そもそも論として、今回の奈良県の発想そのものが、感染症法前文が唱う「人権保護」の精神に反するものであったと思いますが。

京都の小児科医京都の小児科医 2009/06/23 06:56 元もと保健所長様

早速、御回答ありがとうございます。
たぶん想像ですが、奈良県では武末文男・健康安全局長にきちんと意見を言えるかたがおられないのだと理解しています。

omizoomizo 2009/06/24 14:10 行政の感染症の専門家の定義が、FETP資格者をさしているなら。それはむごいかもしれませんね。FETP資格者自体が100人いないのでは。 そんな感じですので。
  http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/a371de51ecb5aa72492572b2000f3fb1/$FILE/20070403_4shiryou3-1_2.pdf
  
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0329-14a.pdf

此処に有るように、納税者も関心がないのかもわかりません。

 感染症の診査に関する協議会の議事録も非公開の所多いです。 そこに弁護士資格を有する方の参加も少ないようですし。

 今回の新型騒ぎは、感染症法の前文分を無視しまくってます。

元もと保健所長元もと保健所長 2009/06/24 21:47 omizo 2009/06/24 14:10 さん
>行政の感染症の専門家の定義が、FETP資格者をさしているなら。
>それはむごいかもしれませんね。

FETPと言っても、所詮はCDCのトレーニングを受けた感染研職員による
間接的なトレーニングです。
CDCと感染研とでは天と地、雲と泥ほどの差があるのは、今回のことで
白日の下に晒されましたね。

また、WHO仕込みを吹聴する2人の大学教授の体たらくと、
実学のツボをきちんと押さえた仙台市副市長の対応を比較しても、
WHO帰り=専門家、FETP=専門家 という図式は明らかに誤りです。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20090622