2009-09-03 未収金対策モデル事業
え〜と、平成21年7月10日付保国発0710第15号なる通達がありまして、
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国民健康保険における一部負担金の適切な運用に係るモデル事業の実施について
これを行なうそうです。いわゆる「踏み倒し問題」になるのですが、基礎知識として、
手前味噌ですが、この辺を基礎知識として参考にして頂ければと思います。それじゃ不親切なので、出来るだけ簡単に未収金問題を解説する様に努力すれば、一部負担金とは何ぞやの定義がまず問題になります。言うまでもありませんが、これは保険診療のうち、保険で支払われない分の自己負担金です。これが支払われないのが未収金問題ですが、未収金の法的な扱いはどうなるかになります。
医療側の感覚としては「無銭飲食」みたいに感じてしまいますし、実際に医療側は一部負担金の徴収を義務付けられています。ところが位置付けは無銭飲食扱いではなく、債務債権関係になるとされています。飲食店で例えると「ツケ払い」にして支払わない状態と考えれば近いと考えています。債務債権の問題ですから、警察に訴えても民事不介入となり、病院側に回収努力が課せられる事になります。
どれぐらいの未収金があるかですが、古いデータで申し訳ないのですが、伊関さんのところによりますと、
全病院の6割以上が加入する「四病院団体協議会」(加盟5570病院、四病協)が加入病院を対象に02〜04年度の状況を調べたところ、累積の未収金は約853億円に達したという。
2002年〜2004年当時で年間400億円以上はあると推定され、現在まで「減った」「改善した」と言う話は余り聞いた記憶がありません。現在なら年間500億円以上であっても驚きません。どう考えても小さな額とは思えませんから、「医療機関の未収金問題に関する検討会」なるものが2007年から行なわれ、2年に渡る慎重な検討の結果として打ち出されたのが冒頭のモデル事業と考えます。
未収金問題の対処法は法律上は以前からあり、
- 一部負担金減免制度
- 保険者徴収制度
この2つを使う事は制度上あります。あるんだったら使えば良さそうなものですが、一部負担金減免制度は制度の周知と、手続きの煩わしさがあり、保険者徴収制度は事実上まず動いてくれないの実態があるとされています。今回のモデル事業はこの二つの制度の積極的活用であるみたいですが、2年もかけてそれしか出てこないのは画期的な結論であると感歎しています。
未収金の時効は3年だったはずで、検討会が2年も慎重熟慮を重ねているうちに1000億円ぐらいの未収金が消えた事になりますが、あまりの素早い対応に驚嘆するしかありません。通達には美しい表現でまとめられており、
平成20年7月に取りまとめられた「医療機関の未収金問題に関する検討会報告書」において、医療機関の未収金は「生活困窮」と「悪質滞納」が主要な発生原因であると指摘されている、このうち「生活困窮」が原因である未収金に関しては、国民健康保険における一部負担金減免制度の適切な運用や医療機関・国保・生活保護の連携によるきめ細かな対応により一定程度の未然防止が可能であるとともに、「悪質滞納」による未収金に関しては、医療機関等が従来以上に回収の努力を行うこと、またそのことを前提に保険者徴収制度を適切に運用することが、被保険者間の公平性の観点からも必要であると考えられる。
冷静になろうと努力しているのですが、
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「悪質滞納」による未収金に関しては、医療機関等が従来以上に回収の努力を行うこと
この通達で医療機関の職務として債権回収機能が付け加えられた様に感じてしまいます。「悪質滞納」者からの取立てなんて、その道のプロでも容易でないと思うのですが、課せられたのは「従来以上に回収の努力」ですから凄いものです。
モデル事業は上記したように既存の2つの制度の活用なんですが、それぞれについて通達を読んでみます。
- 協力医療機関は、入院時オリエンテーションにおいて、一部負担金の支払いが困難と思われる被保険者に対し、常備した限度額適用認定申請書や一部負担金減免申請書、委任状の作成を援助し、市町村に当該申請書等に所要の事項(想定される治療期間(入院・通院)や医療費等)を添えて提出する。
- 1.の提出を受けた市町村は、あらかじめ定めた基準に該当し、減免の決定をしたときは、協力医療機関を通じて当該被保険者に対し、一部負担金減免証明書を交付する。ただし、その基準については次のすべてに該当する世帯を減免の対象として含むものとする。
- 協力医療機関において入院治療を受ける被保険者がいる世帯
- 災害や事業の休廃止、失業等により収入が著しく減少した世帯
- 収入が生活保護基準以下、かつ、預貯金が生活保護基準の3ヶ月以下である世帯
- 一部負担金減免の期間は、治療期間等を考慮した1月単位の更新制で3ヶ月までを標準とする。3ヶ月までに制限するものではないが、長期に及ぶ場合、市町村は、当該被保険者の属する世帯の状況変化に留意しつつ、必要に応じ、適切な福祉施策の利用や生活保護等の相談が可能となるよう、生活保護担当など福祉部局との連携を図ること。
これまで一部負担金減免制度を利用するのは患者側であったと言う事です。支払いが困難と患者側が判断し、減免を求めて役所に申請に赴くという形です。モデル事業ではこれを病院が積極的に手助けするものと理解すれば良いようです。ただしこの場合は
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入院時オリエンテーションにおいて
こうなっているのでお分かりのように、入院治療でのみ行なわれることになります。おそらくですが、減免制度適用の基準の
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協力医療機関において入院治療を受ける被保険者がいる世帯
こうなっていますから、退院されると減免制度はモデル事業でも活用しにくくなり、そのため「入院時オリエンテーションにおいて」と強調していると考えます。つまり入院時に見抜けなかったり、書類作成にあんまり協力的でなく退院されてしまったら、オジャンと言うわけです。「生活困窮」者に対しては有効と考えますが、「悪質滞納」者についての効果は限定的だと思われます。
それと、そこはかとなく苦笑したのは、
本モデル事業による減免額について、その二分の一を特別調整交付金に算定する予定である。
減免制度は新たに作った制度ではなく、前からある制度です。モデル事業地区以外でも、もちろん活用できます。それでも「特別調整交付金」がないと使えないというあたりに面白味を感じてしまいます。
こちらはちょっと長いので分割しながら読んでいきます。
(1)未収金発生の未然防止策
協力医療機関は、以下の未然防止策を行う。
- 入院時オリエンテーションにおいて、入院患者本人及び本人以外の少なくとも1名(家族、身元保証人、代理人等。以下「家族等」という。)の氏名・連絡先並びに支払方法を確認し記録を残すこと。
- 支払期日や退院時までに全額支払いができない場合について、本人又は家族等と残金の支払いを約した文書を取り交わすこと。
これは連帯保証人みたいな制度を頭に思い浮かべれば良いのでしょうか。「・・・すること」と結ばれていますが、こちらの対象は「悪質滞納」者がメインになると思われますから、この「未然防止策」に素直に協力してくれるかに少々疑問は湧きます。
(2)治療終了から3ケ月経過時
- 協力医療機関は、以下の対応を行ったにもかかわらず、未収金の回収に至らない掛合、未収金協力要請書にその対応記録等を添えて市町村へ提出することにより、市町村による催促につき協力を要請する。
- 少なくとも1ヶ月に1回、本人又は家族等に対して、電話等で支払を催促し、その記録を残していること、
- 3ヶ月経過時までに少なくとも1回、内容証明付き郵便による督促状を送付し、その記録を残していること。
- 市町村は、提出された未収金協力要請書及び対応記録等により、協力医療機関の回収事務の取り組みが行われていることを確認した上で、電話又は文書による催促を実施する。
これを読まれて「なんて手間のかかる」の感想を抱かれた方もおられると思いますが、不払いの一部負担金は上述した通り債務債権関係になります。医療機関の未収金問題に関する検討会での厚労省担当者の説明を引用すると、
「善管注意義務」を果たして、それでも払われないときには、自治体の強制徴収権を媒介にして、一部負担金の徴収をして、その徴収したものを医療機関側にお支払いをするというふうになったということでございます
つまり保険者徴収制度を自治体が行使するに当たっての、善管注意義務の病院側の努力義務を規定していると解釈すれば宜しいかと思います。とりあえず3ヶ月の間に
- 毎月のの督促電話
- 1回の内容証明付き郵便による督促状
これを行なえば、自治体が
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電話又は文書による催促を実施
この時点でも強制徴収ではなく、自治体も督促に参加してくれるのがこの段階です。
(3)治療終了から6ヶ月経過時
- 協力医療機関は、(2)の催促協力の要請以降も引き続き以下の基準をもって回収に取り組んだにもかかわらず、・未収金の回収に至らない場合、保険者徴収請求書にその対応記録等を添え市町村へ提出することにより、保険者徴収の実施を要請する。
- 少なくとも1ヶ月に1回、本人又は家族等に対して、電話等で支払を催促し、その記録を残していること。
- (2)の1.のb.以降において再度内容証明付き郵便による督促状を送付し、その記録を残していること。
- 少なくとも1回は支払の催促のため本人宅へ訪問し、その記録を残していること、ただし、本人宅まで通常の移動手段で概ね30分以上かかる場合は、近隣の家族等宅へ訪問するか、本人又は家族等と直接面会し、支払いの催促を行い、その記録を残していることでも可。
- 市町村は、提出された保険者徴収請求書及び記録等により、引き続き協力医療機関が回収事務の取り組みが行われていること及び当該被保険者が次のいずれかに該当することを確認した場合、国民健康保険法第42条第2項の規定による保険者徴収を実施する。
- 保険者徴収の対象となる一部負担金相当額が60万円を超えるもの。
- 当該被保険者に対し保険料(税)の滞納処分を実施する状態にあるもの
3ヶ月までの督促実績を積めば自治体も「督促」に協力してくれますが、次の3ヶ月の善管注意義務がここに書かれています。
- 毎月の督促電話
- もう1回、内容証明付き郵便による督促状
- 1回の患者宅への直接訪問
これを病院側は行なうことが必要とされています。合計6ヶ月の督促業務を無事終了し、条件を満たした事が確認されれば、ようやく善管注意義務が果たしたと認定され、保険者徴収制度が発動されますが、それでも条件があり、
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一部負担金相当額が60万円を超えるもの
60万円未満なら発動されないとの規定がまずあり、さらに
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保険料(税)の滞納処分を実施する状態にあるもの
この条件は少々驚きますが、保険料を滞納していないと発動されないとしか読めません。
(4)協力医療機関は、市町村が催促等を行った後に、未収金の支払いが行われたときは、すみやかに市町村へその旨を報告する。
これは当たり前でしょうが、
(5)市町村は、保険者徴収が完了した場合、(3)で協力医療機関から提出された保険者徴収請求書に基づき、その額を支払う。ただし、保険料の滞納処分を実施する状態にある者については、保険料徴収が未収金徴収に優先するため、徴収額から保険料滞納分を差し引いた額が請求額に満たない場合、その差し引いた額の範囲で協力医療機関に支払う。
一部負担金を未払いにする者は、同時に保険料も滞納している可能性も高いことから想定されている項目と考えられます。少々ややこしい文章と言うか、読んでもよく分からないのですが、
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徴収額から保険料滞納分を差し引いた額が請求額に満たない場合
「???」なんですが、無理に解釈すると、自治体が強制徴収する金額はあくまでも「一部負担金」であるようです。そこから先に保険料の滞納分を差し引き、残りの金額を医療機関に支払うとしているように読めます。そういう読み方で良いのかどうか自信がないのですが、こういう文書を読み慣れている人がおられれば、正しい解釈を教えてください。
もう一度まとめれば、一部負担金の未払い患者がおられたとき、病院側の保険者徴収制度適用の必要条件として、
- 6ヶ月間、毎月督促電話を行なう
- 3ヶ月に1回、計2回の内容証明付き郵便による督促状を送付する
- 3ヶ月〜6ヶ月の間に患者宅を訪問し直接督促を1回行なう
これに十分条件として、
- 一部負担金額が60万円以上
- 保険料を滞納している事
この必要十分条件を満たして初めて保険者徴収制度が発動されると言うのがモデル事業の概要のようです。発動されれば、病院側には滞納していた保険料を差し引いた一部負担金がめでたく支払われると言う事です。なかなかと言うより、かなり大変な作業が必要なように感じます。ところで、保険者徴収制度の適用条件の実施が可能になるのは、
-
治療終了から
こうなっていますが、治療終了がいつになるかの規定も明記されています。
治療終了とは、入院及び当該入院に付随する通院に係る治療の終了をいい、治療中に患者が来院しなくなった場合は、最後の診療時をいう。
ふぇ〜、こりゃ敷居がさらに高くなります。とりあえず保険者徴収制度が発動されるまで6ヶ月必要なのはわかりますが、モデル事業の期間は、
実施期間:平成21年9月〜平成22年3月
全部で7ヶ月ですから、モデル事業に選定された地区で、9月か遅くとも10月に始めないと間に合いません。たぶん9月から始めて2月までに6ヶ月間の督促業務を行い、3月に保険者徴収制度を発動するかどうかの認定業務を行なうと考えますが、どうなんでしょう。
なかなか意欲的なモデル事業ですが、2007年から慎重に検討して、出てきた対策がこれとは素直に驚きます。とくに保険者徴収制度がそうですが、モデル事業でこれですから、従来はまさに書いてあるだけで、まったく機能していなかったと考えてよいと思われます。おそらく検討会は、書いてあるだけの保険者徴収制度を実際に動かす規定の策定に費やされたのだと思いますが、それにしてもの感想を抱いてしまいます。
通達の冒頭に書いてある文章を引用します。
我が国の医療保険制度については、国民誰もがいずれかの公的医療保険に加入し、負担能力等に応じて保険料を負担するとともに、傷病にかかったときには原則として一部負担金だけで治療が受けられるという国民皆保険体制が確立され、国民の安心を確保しているところであり、将来にわたり国民皆保険制度を維持していくためにも、一部負担金の適切な運用が不可欠である。
なるほどこれが厚生労働省の考える、
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一部負担金の適切な運用
これになると言う事です。医療機関の未収金問題に関する検討会の厚労省担当者の姿勢から、画期的な対策は出そうにない感触はありましたが、そういう意味で見事に予定調和的な対策と感じます。
読めばおわかりのように今回のモデル事業に対し、私は余り好意的な印象は抱いていません。しかし病院経営者も「そうだ」とは必ずしも言えないかもしれません。保険者徴収制度はこれまで事実上封印されていましたが、様々なハードルが課せられているとは言うものの、明示された条件をクリアすれば発動してくれると読む事も可能だからです。
審議会の様子を議事録から読み取るには気力が足りませんが、好意的に考えれば渋る厚労省サイドから保険者徴収制度の実効性を勝ち取ったと見る事も可能だからです。条件が限定されるとは言え、手続きさえ行なえばある程度は未収金が回収できる目途が立ったとの考え方です。希望的には今回を突破口として、保険者徴収制度のさらに広い活用に道を付けたと考える事もできます。
それでもタイムスケジュール的には実に前向きで、お役所的にはそんなものなのかも知れませんが、
- 2007年から検討会発足
- 2008年に検討会報告書
- 2009年9月〜2010年3月までモデル事業
この後、考えられるスケジュールは、
- 2010年春にモデル事業の報告書
- 2010年度中にモデル事業の検証を行なう委員会発足
- 2011年春に検証委員会の報告書
- 2012年度予算で本格実施かも?
ちなみに未収金の時効は3年とされます。もちろんどうなっているかの内情の情報は存じません。

債権回収会社に代理回収をしてもらうという事はダメなのでしょうか?
経費がかかっても抱え込むよりマシな気がしますが。
全部で数百億円なのはそうなんですが、1件あたりは小口のものが多いのが未収金問題の厄介なところです。1件数千万とか、数百万なら御指摘の通りなんですが、5万、10万単位が大部分では回収事業として難しいと言うのがあります。それに利息も付きませんし、3年で時効ですから。
その場で支払わせないと病院に債権回収はとても無理だなと
率直に思いました
正確な内訳のデータを持っていませんので、そこはよろしくお願いします。
税金や社会保険料を滞納すると、滞納処分が行われて、財産調査・差し押さえ・換価処分が行われます。一般論として、一部負担金を保険者が徴収するということは、保険者が未収となっている一部負担金について、税金や社会保険料を滞納した場合に行われる滞納処分(強制執行)を行うという事です。従って、健康保険法・国民健康法・船員保険法・高齢者の医療の確保に関する法律等の一部負担金について直接定めた法律のほかに、地方税法・国税通則法・国税徴収法といった諸法律との関係の中で考えていく必要があるのが、話を難しくする面もあるかと思います。
で今回のモデル事業の件ですが、保険料を滞納する者について一部負担金の強制徴収を行うと言うことは、一般的には保険料(保険税)と未収である一部負担金とを同時に滞納処分の対象とするという解釈が為されているはずです。元々保険料の滞納に対して滞納処分を行うのは当然ですので、併せて一部負担金の未収分も滞納処分を行おうと言うことかと想像します。ここで問題なのは、滞納処分で回収できた金額が十分でない場合に、保険料の滞納分と一部負担金の滞納分とをどの様に配分するか・優先順位はどうするか?という点だろうと思います。つまり先取特権の順位の問題が生じるのですが、租税公課はその他の一般債権に優先するという法体系との関係から、回収した金銭を滞納保険料(保険税)に優先的に割り振って、残りを一部負担金の未収金として医療機関に渡すという話になったものと思われます。
勿論一般論としては、保険料滞納が無くて一部負担金の未収金がある場合には、後者のみについて滞納処分を行うことも可能な法律上の条文にはなっていますが、今回のモデル事業ではそこには踏み込まないようですね。
もともと一部負担金の未収分について保険者徴収制度が発動されてこなかった事の背景としては、法律上は医療機関と患者との債権債務関係と言うことで、私人間の債権債務関係に行政が(自力執行権を行使して)強制力を持って介入することに謙抑的であったと言うことですが、現実問題として行政組織のヒト・モノ・カネの物理的限界という内情も影響していると考えています。ついでに市区町村の運営する国保については、市区町村毎に保険料方式と保険税方式という、根拠法・先取特権の順位等の異なる徴収方式が存在するという点で、話を難しくしている側面もあります。今回は直接関係しませんが、保険者の中には行政組織では無い団体が存在するという点に於いて、話をややこしくしますし。
前納金を入れさせる。まあこのくらいしか思いつかないですね。私人間の債権債務
関係についてですが、全額自費ならともかく、国が定めた保険制度の中での債権債務
関係ですから微妙な感じがします。もし全額保険負担なら本来医療機関が負わなくて
済む債権なわけです。自己負担を求めているのは国の制度なのですから、国が全く
静観というのはお門違いではないか、というのが私の考えです。
法律的な位置付けは微妙と言うのは理解しますが、わざわざ問題として公式の検討会まで開いたわけですから、行政上の課題の位置付けのはずです。つまり解決に取り組むべき問題であると解釈します。そういう時に考える方向性としては2通りあると思われ、
1.従来の制度の弾力的運用による強化
2.新たな枠組みの提案
今回のモデル事業は、1.によるものと考えますが、取り組み方に温度差を感じてしまいます。こういう検討会は、現場レベルでは様々な解釈や位置付けがあって取り組みが難しいものに対して、新たな方向性を打ち出す場ではないかと考えるからです。正直なところ、通達によるモデル事業程度なら、検討会無しで一片の通達でも実行可能レベルであるとすれば言いすぎでしょうか。
「自己負担金は後日お電話で請求いたします」としておいて、電話連絡がつかないとか、別ルートで払わなくても大丈夫との噂を流すとか(某氏で南米人が押し寄せた病院がありましたね)。こうすれば合法的な無料歯科だったんでしょうね。
現在の医療機関の経営状態からして一部負担金無しでは、ほとんどのところが音を上げると思います。それでも一部負担金を巡る対策を見ているとわかることがあります。
たいした事では無いかもしれませんが、医療機関が故意に徴収しないのには厳重な罰則が課せられているのはよく御存知かと思います。一方で患者側が支払わない事については、非常に寛大であると言う事です。大多数の方は支払って当然の意識を持っておられるから良いようなものですが、これが「支払わなくても、実質として罰則がない」に意識が変わればチョット怖いと思っています。
そこまで行かないと本格的な対策は期待できないのでしょうか。前に無銭飲食と一部負担金不払いの比較をやったのですが、私程度の知識ではその差が、「なるほど」とわかるレベルには達しませんでした。
もしかしたら、札幌の無料歯科の件を御存知ないですか?
http://fd005.exblog.jp/7728896/
>一部負担金無しでは、ほとんどのところが音を上げると思います。
うちも同様です。しかし過当競争の歯科では自己負担金なしでも、その分を上回る集患ができれば経営戦略的には無料もありという話もあります。その場合、医療機関が故意に徴収しなければ厳罰ですが、「うちの患者さんは何故か皆、自己負担金を支払ってくれないんですよねw」ということであれば無罰なんですね。
役所が未集金対策に力を入れないのであれば、「逆手を採って・・・」という話です。
この問題(検討会)には個人的に注目していて、検討会が設置された以上は「いよいよ行政として本腰を入れるのか」と期待していました。
はたして検討会の結果とその後の対応ですが、率直に申し上げて、激しく脱力したのを覚えています。
大山鳴動して・・・としか思いようが無く、先生のご指摘はご尤もとしか言いようがありません。
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この国の法制度も行政の職員定数も、性善説と事前規制を前提に構築されていて、より多くの人的資源を必要とする”性悪説と事後規制”を前提に構築されていない(実際に人員規模は自由と事後規制の某国の半分以下ですからね。)という点が、現場の執行能力の許容量を低くする一因ではあるのですが。それにしてもこの件は、野党対策に必死の与党に気を遣ったのか、なんなのか。。。
> 診察券にクレジットカード機能をつけて
ご存知だとは思いますが、クレジットカードを利用すると最低でも5%の手数料を持っていかれますので、今の病院経営がさらにひどいことになるかと思います。
利益率が5%以下になるような診療報酬の定価決めがすべての原因ですが…
我々は保険者との契約で保険診療をしているのですが 本来的には窓口の患者支払いも含めて保険者側の責任で医療機関に支払われるべきではないでしょうか。言いかえれば 窓口の料金の未支払いは保険者の責任じゃないのですかね。
そのあとに保険者が契約をむすんでいる患者から窓口料金の未払い分を請求するべきではないでしょうか。
こういった保険診療以外の問題まで医療機関に押し付けるのはどうですかねえ。
未収金の回収にはそれなりの手間とコストがやはりかかってしまいます。
自由診療であれば、診療の義務はそもそもないのでOKなんでしょうけれど。
「契約」だったら、その制度設計でどこもまずくないとは思いますが、その場合
「応召義務に関しての厚生省通知通達 昭和24年
(1) 診療報酬の不払いがあっても、ただちにこれを理由として診療拒否はできない。」
http://dscyoffice.net/office/tuuti/010520.htm
をなんとかする必要があります。「医者はただ働きをするべきだ」を変えるのには、相当抵抗がありそうですが(お役所にもマスコミにも国民にも)。
その解釈は間違いだと思います。
>(3)治療終了から6ヶ月経過時
>2.当該被保険者が次の *いずれか* に該当することを確認した場合、国民健康保険法第42条第2項の規定による保険者徴収を実施する。
>a.保険者徴収の対象となる一部負担金相当額が60万円を超えるもの。
>b.当該被保険者に対し保険料(税)の滞納処分を実施する状態にあるもの。
a.とb.の両方の条件を満たさなければならないという意味ではなく、
どちらか一方の状態があれば、保険者徴収を実施してよいという意味です。
つまり、金額が60万円未満でも、保険料の滞納処分を実施する状態であれば(≒保険料を滞納していれば)、保険者徴収を実施してよい。
b.は、もし市町村が、健康保険料について滞納処分を実施することがあれば、そのついでに保険者徴収の金額も取り立てててあげるよ。
同じ滞納処分の手続きで強制徴収できるのですから、まとめてやってよいという趣旨でしょう。
(余談ですが、医療機関が自ら患者に対して一部負担金を請求する時には、私債権として裁判所を通さなければ強制執行ができないのに、保険者徴収ならば行政庁が自力執行できるというのはスゴイと思います。)
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>徴収額から保険料滞納分を差し引いた額が請求額に満たない場合
>自治体が強制徴収する金額はあくまでも「一部負担金」であるようです。そこから先に保険料の滞納分を差し引き、残りの金額を医療機関に支払う
ここは、私の解釈では、
市町村の行為の意味をそこまで厳密に、「一部負担金」を徴収している、つまり保険者徴収を行っているものと限定する必要はないと思います。
市町村の保険課が、市民からお金を徴収できた時は、ア健康保険料の滞納金 と、イ保険者徴収制度に委ねられた一事負担金 の二種類の債権に充てることが考えられるが、
ア保険料 のほうに優先的に充てることとし、もし残額があれば、イとして医療機関に交付する。
例えば、「保険者徴収により金○○円を請求します」という文面の催促文書を送ったら、任意に支払ってくれたという場合に、役所の一存で、保険料滞納額に先に充当してよい。
市町村はあらゆる機会を捉えて、保険料を徴収するという意思の表れかと思います。
もっとも、滞納処分の差押えを行う場合には、差押えの根拠となる滞納金の種別・金額を明示すべしとされますから、
差押えた物を換価して得られた金額を、差押調書には記載されていなかった保険料滞納額のほうに充当してよいかは、やや疑問です。
全部の支払いをクレジットカードで支払ってもらうしかないんじゃないでしょうか?
私は派遣社員で消費者金融の督促の仕事をしていましたが
なかなか入金してもらえませんでした
本職でさえ、困難なのにどうして督促の素人である医療関係者が努力しなければならないのでしょうか?
それなら最初から医療制限をしたほうがマシです
市町村で、現に、市民に対して国民健康保険料の滞納処分をガンガンやっているところは少ないと思いますので、
それに便乗して保険者徴収をしてもらえることも、少ないだろうと予想します。
大部分の人は、お金があれば健康保険料くらいは真面目に支払うのであって、
保険料を滞納する事態になれば既に無資力無収入であって、差押えの値打ちのある財産など無く、滞納処分の実効性が無いことが多いからです。
それに、こう申しては何ですが、保険者徴収とは、市町村が医療機関の代理で徴収するようなシステムであって、自分のところの収入が増える活動であませんので、一遍の通達やモデル事業に指定されたからといって、個々の職員にとっては、モチベーションの上がる仕事ではなかろうと思います。
(もともと、役所の職員は、保険料の滞納処分を頑張ったからといって、うんとボーナスが出たり早く出世するというものでもない)
市町村やそこの職員の資質能力によって、成果が変わる可能性はありますが、
医療機関としては、依頼する市町村を選べるわけでもないので、、、
全体としてあまり期待はできないというか、これでお金が取れればめっけもの、という程度の話と思われます。
>自治体が強制徴収する金額はあくまでも「一部負担金」であるようです。そこから先に保険料の滞納分を差し引き、残りの金額を医療機関に支払う
この部分の解釈ですが、国保法で関連の条文では、被保険者が医療機関で支払わなかった一部負担金は、「徴収金」として強制徴収できる規定になっています。(国保法42条2項)
その上で、国保法78条で「保険料その他この法律の規定による徴収金については、地方税法の規定を準用する」(抜粋引用です)とされ、具体的には国保法79条の2で「地方税法231条の3を準用する」規定となっています。
さらに、国保法80条4項で「保険料その他この法律の規定による組合の徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。」とされていて、徴収金は地方税より先取特権が後位に置かれています。その結果、保険料を税法式としている大多数の市町村では、当然に被保険者から強制徴収した金員から保険税が先に充当され、残った場合に一時負担金などの「徴収金」に充てられることになります。
しかし、保険料を税法式としない市町村や、税法式に出来ない国保組合などとの扱いを揃えるため、強制徴収を行った場合は保険料方式の保険者の場合であっても、先に滞納保険料に充当し余りをもって未払いの徴収金に充てることになっています。この滞納保険料を先取する運用の根拠となる通達が、かなり昔に出されていると記憶しているのですが、今手元で通達の番号を提示できる資料が見当たらず、提示できないことをお詫び致します。
私もYosyan先生やYUNYUN様と同じく、今回のモデル事業に限らず、一時負担金の強制徴収は実効性は期待できないという意見に同意です。
踏み倒し問題に対する医療機関側からの不満に対するガス抜きであって、官僚の小賢しさを感じます。
通達解釈への補充情報ありがとうございます。何回読んでもお役所文の解読は厄介で、慣例としてどう解釈するかを判読するかの知識が無いと勘違いを起しそうなりますから、大変助かります。
未収金対策の方針は、減免制度と強制徴収と言う従来からある2つの制度の活用で対処するというのが方針である事は通達から良く分かります。あらためて考え直していたのですが、医療機関側としては減免制度の弾力活用の方がありがたいと感じています。強制徴収は御指摘のとおり、実効性は甚だ期待しにくいものなのですが、減免制度がスムーズに運用されれば少しは期待できそうな気がするからです。
減免制度の実態もさして知見は無いのですが、制度の周知と、手続きの煩わしさの他に、減免制度適用の辛さもあると聞きます。生活保護の認定が辛くなっているのと同様と考えています。どこかで裁判にもなっていたはずです。
非常に大雑把に考えると
減免制度:生活貧窮者対策
強制徴収:悪質滞納者対策
こうすれば、生活貧窮者対策は、前向きに行なって良いと思いますし、病院側も減免制度の手続きに協力する程度はやぶさかではないと考えています。後は行政サイドの認定が弾力的なればそれなりに有効であるとも考える事は可能です。
悪質滞納者対策は、通達でさえ「悪質」とまで書いているのですから、保険者徴収制度の枠組みの中の「強制徴収」ではなく、新たな枠組みを構築して対処しないとニッチもサッチもいかないのが実感です。あえて厚労省サイドの思惑を推測すれば、基本姿勢として後ろ向きであり、今回は病院側の強い要求により保険者徴収制度の活用でお茶を濁したというか、問題を先送りしたと見ることも可能です。
スケジュール的にはモデル事業で保険者徴収制度の有効性が否定され、その次の対策を考える頃には担当者が変わっているだろうぐらいの姿勢です。何事も時間がかかるというのが感想です。
一日遅れのお礼ですみません。応召義務は理解しているつもりでしたが、法律(医師法)ではなく通達なんですね。地方分権一括法以後の21世紀には、少なくても行政間では、通達は何の効力もなくなりました。
>Yosyan先生
減免手続のほうを利用しやすいものにするのは、医療関係者だけでなく「契約」論者も認めるように思います。もっとも減免の穴埋めをどうするかが一番大きな問題ですが(税金なのか保険料会計なのか)。どっちにしても国民負担なんですけれどもね。
>応召義務は理解しているつもりでしたが、法律(医師法)ではなく通達なんですね
いえ、医師法です。
『第19条 診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。』
通達はこの医師法の解釈です。地方分権一括法の影響は私にはわかりませんが、効力が低下するとは私には思いにくいところです。
なお、滞納処分の目的は、滞納保険料(税)及び未収金の両者であると解せると思いますし、その配分の理屈については、法務業の末席様のご指摘の通りに私も解しました。
一般論として、法律上は未収金のみを対象とする滞納処分は勿論可能ですが、本件モデル事業に於いては、滞納保険料(税)について滞納処分を行う際に、併せて未収金も回収するという形態を想定しているように読めますので、取りあえず保険料滞納&未収金を有する者を想定した事業のように思えます。
なお、実効性の点に於いては、法務行の末席様やYUNYUN先生のご見解と同じくです。
ついでながら、通称”地方分権一括法(平成11年法律第87号)”の施行後に、”一切の通達類が向こうになった”という解釈は、所謂”独自の解釈”と解されると思います。勿論、自治事務・法定受託事務・直接執行事務の別によって、過去の機関委任事務や団体委任事務を前提とした通達の全てが有効である訳ではないのですけれど。”ものによりけり”という事です。
が、少なくとも医師法第19条の行政解釈を示した通達については、行政として新しい行政解釈を示されるか、裁判で明確に現行行政解釈の誤りが示されない限り、通称”地方分権一括法(平成11年法律第87号)”の施行によって、何らの影響を示すものではありません。
直近の拙投稿中”法務業の末席”様のご芳名を、”法務行の末席”様と誤って記述した部分がありました。謹んでお詫び申し上げます。
なお、何等の意図がある訳ではなく、単純に変換ミスを見逃した事が原因でありますので、悪しからずご了承いただきますようお願い申し上げます。
所詮は仮の名(ハンドル)ですので、字が違っていたぐらいノープロブレムです。
>滞納保険料(税)及び未収金の両者であると解せると思いますし
国保での徴収金(3割負担分の未収金は、国民健康法で言う「徴収金」に含まれます)を強制徴収する場合、保険者(市町村)は医療機関から申告された未払い者に督促状を発する前に、氏名や住所などに間違いがないか、被保険者台帳や診療報酬支払記録と突き合わせします。
この被保険者台帳との突合の結果、当該被保険者に保険料の未納滞納が在るかどうかは、当然ながら強制徴収事務を行う市町村の国保担当者は把握できます。この被保険者台帳の確認作業で未納滞納保険料が判明した場合、強制徴収を行う市町村は、医療機関での未払い自己負担金(徴収金)と滞納保険料の両方を併記した督促状を発します。
具体的には、下記のように滞納保険料と徴収金の明細を記した督促状になります。
滞納保険料(○年○月分〜○月分) ××円
徴収金(○○病院での自己負担金) ××円
徴収金(△△薬局での自己負担金) ××円
以上3件を合計した×××円を、納期限(○月○日)までに納付のこと
指定期限までに納付がない場合、差押えなど強制手続きに移行します。
また、被保険者台帳との突合確認の結果、保険料の滞納が無く、徴収金だけの督促状となる場合もあるでしょう。その場合は下記のように徴収金だけを記載した督促状を発送します。
徴収金(○○病院での自己負担金) ××円
徴収金(△△薬局での自己負担金) ××円
以上2件を合計した×××円を、納期限(○月○日)までに納付のこと
指定期限までに納付がない場合、差押えなど強制手続きに移行します。
保険料の未納滞納がある被保険者の場合、徴収金(医療機関での未収金)に加えて滞納保険料も明記した督促状や差押え令状を発します。そうした場合に未納滞納者が督促金額の一部だけ納付したり、差し押さで徴収できた金額が督促金額の全額に足りなかった場合、国保法や省令で、滞納保険料の方に先に充当する規定となっています。
> 国保での徴収金(3割負担分の未収金は、国民健康法で言う「徴収金」に含まれます)を強制徴収する場合、保険者(市町村)は医療機関から申告された未払い者に督促状を発する前に、氏名や住所などに間違いがないか、被保険者台帳や診療報酬支払記録と突き合わせします。
> この被保険者台帳との突合の結果、当該被保険者に保険料の未納滞納が在るかどうかは、当然ながら強制徴収事務を行う市町村の国保担当者は把握できます。
これは、医療機関より一部負担金の徴収依頼を受けた場合(60万円超)の手順と思われますが、
逆に、保険料の滞納を徴収しようとする場合に、役所側から、診療報酬支払請求があった医療機関に対して「おたくに一部負担金の未納はありませんか?あれば一緒に徴収してあげますよ」と積極的に尋ねて回ることはするのでしょうか。
何となく、そこまでサービスはしないような気がしますが。
医療機関において、一部負担金の未納額が60万円以下だけれど、一定の期間が経過して催促事務は実施してきたという場合、
役所に対して、「ひょっとしてこの患者さん保険料滞納してませんか、こちらの一部負担金の未納を合わせて徴収してもらいたいんですがー」と問い合わせるべきか。
役所は、個人情報保護との関係で、医療機関からの単純な照会に回答できるかどうかは疑問ではありますね。
回答がもらえなくても、徴収要件を満たした分はとりあえず徴収依頼を出して、
いつか保険料滞納が発生するか、金額がどんどん溜まって60万円超え、役所が徴収手続きを行ってくれるようになるのを待つことになりますか。
モデル事業では、「協力医療機関」の未納金が〜とされていますから、
数軒の医療機関になら、役所のほうから尋ねてくれるかもしれませんね。
少なくとも、差押えしようという段階で、対象財産に余裕がある場合は、聞いてくれてもよさそうな気がします。
>保険料の滞納を徴収しようとする場合に、役所側から、診療報酬支払請求があった医療機関に対して
>「おたくに一部負担金の未納はありませんか?あれば一緒に徴収してあげますよ」と積極的に尋ねて回ることはするのでしょうか。
市町村の国保がこんなサービスすることは、絶ぇ〜〜〜〜対に無いと言えます。
大体が、一部負担金の保険者徴収を定めた国保法42条2項を根拠に、実際に保険者(市町村)が医療機関等から請求を受けて強制徴収した事例を、私自身の経験の中では聞いたことがありません。そもそも国民健康保険を担任する職員なんて、人口が数千人の村役場だと2人とか3人です。その少ない人数が国民年金などの担当も兼ねていて、就職や退職による資格取得や喪失手続、毎月の保険料の徴収事務という日常業務だけで手一杯です。
また、保険者が市区町村ではない国保組合(医師国保など)は、そもそもが強制徴収の権限がありませんので、納付義務者の住所地又は財産所在地の市町村に4/100の手数料を払って強制徴収処分を委託(国保法80条)します。
市区町村役場の国保担当者は、自分達の職掌である保険料の徴収実績ノルマの達成ですらヒイヒイ言っているのに、保険医療機関窓口の一時負担金や、国保組合からの徴収委託などを、喜んで引き受けるでしょうか? 医療機関の窓口で踏み倒された一時負担金の保険者徴収の規定自体、絵に描いた餅としか言いようがありません。
>少なくとも、差押えしようという段階で、対象財産に余裕がある場合は、聞いてくれてもよさそうな気がします。
普通、国保の保険料を滞納している世帯は、国民年金保険料や、住民税、固定資産税、自動車税など、沢山の滞納を抱えているのが普通です。確かに国税や地方税には先取特権がありますが、それとて登記された抵当権などには劣後しますから(この辺はYUNYUN様には釈迦に説法ですね)、「対象財産に余裕がある場合」というのは、現実には考えられません。
こうした税や保険料の「多重滞納者」については、税務署(国税)、都道府県税務事務所、市町村の税務課・国民健康保険課・国民年金課、社会保険事務所などの官公署の徴収担当者に加え、民間の金融機関やヤミ金の取立屋などが、それこそを鵜の目鷹の目でマークしています。
差押え可能な財産を見付けた場合は、その滞納の所属する官公署の力関係を背景に、壮絶な分捕り合いが行われます。借金取りの素人である市町村職員が、プロ中のプロである国税や取立屋に先んじて押さえることは、現実ではまず無理と思います。
国民健康保険料の納付義務者は住民票の世帯主です(国保法76条)。ですので、滞納保険料の強制徴収での名宛人は世帯主となります。
世帯主には見るべき財産が無いが、世帯員である家族の名前では相当の財産がある場合、滞納保険料の納付義務者でない家族名義の預貯金や財産を差し押さえることは出来ません。財産が有りそうに見えても、その財産がことごとく納付義務者ではない別人の家族名義となっている場合は、手が出せません。世帯主である夫に対する差押え令状は、妻名義の預貯金には無効です。
あっ そのことは盲点でした。
医療機関に対して、一部負担金を支払うべき義務を負っているのは、「療養の給付を受ける者」(健康保険法74条、国民健康保険法42条)つまり患者ですよね。民法上の扶養義務のことは別にして。
そうすると、一部負担金の未納を請求すべき相手方と、国民健康保険料の納付義務者である世帯主とが、別人である場合もあります。その場合は、滞納保険料とのセット徴収というやり方はできないから、ますます徴収事務を実施してもらいにくくなりますね。
>医療機関に対して、一部負担金を支払うべき義務を負っているのは、
>「療養の給付を受ける者」(健康保険法74条、国民健康保険法42条)つまり患者ですよね。
一部負担金の納付(支払)義務者は、「受診した患者」であって世帯主ではないという解釈は、医療機関に対しての納付義務としては、正しいご理解です。
ところが、国保法42条2項による医療機関からの代理徴収の請求が、保険者たる市区町村に行われた場合は違います。保険者たる市区町村が代理徴収する場合、医療機関で受診した患者(被保険者)ではなく、その被保険者の世帯主が代理徴収を行う市区町村に対する納付義務者に変わります。
国保の強制徴収の実務上は、徴収権が保険者たる市区町村に移った場合は「徴収金」と定義され、未収滞納の「一部負担金」という呼び方はしません。そして「徴収金」は保険料と同じく世帯主が納付義務者です。
下記は東京都港区の国民健康保険条例施行規則ですが、四号と五号の規定を読むとご理解できるものと思います。
(東京都港区の国民健康保険条例施行規則 http://www.city.minato.tokyo.jp/reiki/reiki_honbun/g1041290001.html)
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(用語の定義)
第二条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 法 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)をいう。
二 政令 国民健康保険法施行令(昭和三十三年政令第三百六十二号)をいう。
三 省令 国民健康保険法施行規則(昭和三十三年厚生省令第五十三号)をいう。
四 徴収金 保険料、区が徴収することとなった一部負担金及び過料並びにその督促手数料、延滞金及び滞納処分費をいう。
五 納付義務者 徴収金を納付すべき者をいう。
六 保険医療機関等 保険医療機関又は保険薬局をいう。
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国保法78条では大意「保険料その他この法律の規定による徴収金については、地方税法の規定を準用する」という条文になっていますが、この条文の意味するところは上記の通り、未払いの一部負担金を代理徴収する場合は徴収金として保険料と同じ方法を執る、ということです。従って、徴収金の納付義務者は保険料と同じく世帯主となります。
そして、その納付義務者である世帯主の名義で見るべき財産が無ければ、同一世帯の構成員である他の家族名義でいくら多額の財産があっても、国民健康保険法に基づく強制徴収(滞納処分)は出来ません。
以下は法律に詳しい方には常識的なことですが、例えば自宅など不動産を所有していても抵当権が登記されていれば、滞納処分での先取特権の方が劣後します。また自動車を持っていても車検証の所有名義は自動車販売会社で、乗り回している本人は「使用者」であるのが普通です。登録上の所有名義が自動車販売会社の場合でも、購入代金を全額支払い済みであれば、法律論としては購入した「使用者」が真の所有者となりますが、挙証責任は差し押さえる債権者側(強制徴収をかける市区町村)になります。
登録上の所有者や使用者の協力を得られない場合は、車の真の所有者が国保料を滞納している世帯主であることを、訴訟を起こして確定させないと市区町村は差押えできません。市区町村の国保担当職員は、そこまでの手間暇を掛けて車を差し押さえることは滅多にしません。まぁ、滞納保険料などの強制徴収処分額が数百万円もあって、中古車としての査定価格が数百万円にもなる高級車の場合はやりますが、6年以上経過した国産大衆車などは査定課価格がタダみたいなものですので、経費倒れになります。
世の中には、借金取りの督促状に追いかけ回されながら、外見上は結構豪華に暮らしている方もいらっしゃいますが、そうした方々は債務上の名義と資産の名義を、非常に注意深く使い分けておられるのでしょう。ベンツを乗り回していながら国保の保険料を払えないとか、低所得での減免措置を受けておられるような海千山千の強者には、地方公務員は歯が立ちません。
私がこの未収金モデル事業を「絵に描いた餅」と形容するのは、こうした現実を知るからです。
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≫Yosyan先生、並びにこのブログの常連の方々へ
専門的な法律条文の解釈論で、皆様の貴重なスペースを大量に使わせて頂きました。
お詫びとお礼を申し上げます。
財産調査を要請する相手方である金融機関でさえ、社会保険料に自力執行権の発動による滞納処分権限がある事を判ってない担当者(ゴフォゴフォ。国税徴収法に基づく滞納処分であって、租税の滞納処分と同義であることが判ってない当事者とか(ゲフォゴフォ。
未収金である徴収金は、法律上あくまでも”保険医療機関等の請求に基づき、・・・できる。”であって、”ねばならない”ではないですし、保険者側からのアプローチは法律上は想定されていないと解されている筈でした。更に法務業の末席様ご紹介の実情を鑑みると、ご見解のとおりじゃないでしょうか。
この意味がよく分からないのですが、
国保法第42条(療養の給付を受ける場合の一部負担金)2項は、
・・・保険医療機関等が善良な管理者と同一の注意をもつてその支払を受けることに努めたにもかかわらず、なお被保険者が当該一部負担金の全部又は一部を支払わないときは、保険者は、当該保険医療機関等の請求に基づき、この法律の規定による徴収金の例によりこれを処分することができる。
この規定だけ読めば、保険者は、被保険者(患者)に対して徴収すべきであるように思われます。
「徴収金の例により」とは、徴収の方法・手続きに関する定めで、行政庁の自力執行権に基づく滞納処分を行い得ることを示しているのであって、このことから直ちに、徴収の相手方を変更する、つまり納付義務を新たに別人に負わせたという解釈には違和感があります。
しかし、第57条があることに気づきました!
第57条(世帯主又は組合員でない被保険者に係る一部負担金等)
一部負担金の支払又は納付、第43条第3項又は前条第2項の規定による差額の支給及び療養費の支給に関しては、当該疾病又は負傷が 世帯主又は組合員でない被保険者に係るものであるときは、これらの事項に関する各本条の規定にかかわらず、当該被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員が一部負担金を支払い、又は納付すべき義務を負い、及び当該世帯主又は組合員に対して第43条第3項若しくは前条第2項の規定による差額又は療養費を支給するものとする。
保険料ばかりか、一部負担金についても、世帯主に納付義務が課されるということですよね。法務業の末席先生のおっしゃる「徴収金の納付義務者は保険料と同じく世帯主」は、この規定の効果ではないでしょうか。
ちなみに、保険料の納付義務が世帯主に課されることは、
第76条(保険料)第1項 保険者は、国民健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含み、健康保険法第179条に規定する組合にあつては、同法の規定による日雇拠出金の納付に要する費用を含む。)に充てるため、世帯主又は組合員から保険料を徴収しなければならない。
市町村の国保係が、一部負担金の未収金額を、納付義務者たる世帯主から徴収できることは分かりましたが、
治療を受けた患者(被保険者)に対しても請求できるのか?
「各本条の規定にかかわらず」(第57条)の規定からすれば、むしろ世帯主に対してのみ請求すべきか?
しかし、第57条には「支払又は納付義務」とあり、「支払い」とは医療機関での窓口払いの意味でしょうから、
医療機関のほうでも、患者本人より世帯主にあてに請求すべきことになるのでしょうか?それはおかしいような気がするけどなあ。
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私は個人的に、市町村国保がこのように世帯主中心主義をとり、世帯主に国保上のいろいろな義務を課していることは、不合理であると思います。個人主義の日本国憲法の原理と整合せず、旧民法の家制度・戸主の名残であるような気がしてなりません。
世帯主が国保の被保険者でなく他の健康保険に加入していたり、経済的には被扶養者の立場である場合には、特に矛盾が大きい。
> 抵当権が登記されていれば、滞納処分での先取特権の方が劣後します
厳密に申しますと、国税の「先取特権」は法律上の用語ではなく、私債権や公課より優先徴収権があるという意味です。
ただし、いつでも税が最優先というわけではなく、
抵当不動産に滞納処分を行う場合は、抵当権の設定登記と、公租公課の「法定納期限等」の先後により決します(国税徴収法16条)。
公債権と私債権がいくつもあって、ぐるぐる回りになる場合は、各抵当権の設定登記、各公債権の法定納期限等を古い順に並べて、公債権グループと私債権グループとに割り付けます(国税徴収法26条)。
つまり古い抵当権なら税に勝てる。銀行としては、お金を貸す前に、国税等の滞納がないことを確認しておけば、おおかたは大丈夫ということです。
> 金融機関でさえ、社会保険料に自力執行権の発動による滞納処分権限がある事を判ってない担当者(ゴフォゴフォ
というのは、銀行は融資にあたり、借主から所得税と市県民税の納税証明書くらいは提出させますが、ありとあらゆる税目の納税証明書を持って来いとは言わないし、まして、年金や健康保険料の滞納があるかどうかまではあまり調べません。
個人の国民健康保険料や国民年金の滞納で、滞納処分をかけるというケースは少ないですが、会社関係では社会保険事務所が頑張って徴収しており、金額も大きいです。
そのため、金融機関がいざ抵当権を実行しようとしたら、社会保険事務所の古い滞納が発覚して、公債権グループにごっそり持っていかれるという憂き目に遭うことがあります。
私の経験では、不動産競売案件で、個人の国民健康保険料の滞納に関して市町村からの交付要求を見たことはないのですが、
一つには、不動産を所有するクラスの人は、健康保険料くらいは真面目に払っており滞納自体が少ないことと、
もう一つは、市町村の国保係が滞納処分にさほど熱心でないのだろうと思います。どうせ公課は公租(税)と競り合ったら負けるから。
国保係はよほど頑張って、他の役所に知られないうちに、一人でささっと差押えて換価して配当してしまわねば、徴収できない。
けど、そんなに上手く独占的に財産を発見できることなんて、あるだろうか?
あっ、申し訳ない。国保法57条の解釈を私自身間違えていました。
43条3項又は56条2項での一部減免や他の給付との差額のケースについてのみ注目していて、冒頭の全般的な一部負担金のことは頭から飛んでいました。ご指摘ありがとうございます。
よって
>一部負担金の納付(支払)義務者は、「受診した患者」であって世帯主ではないという解釈
これは大間違いで、正しくは医療機関窓口においても納付(支払)義務者は、受診した患者ではなく「世帯主」ですね。
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>市町村国保がこのように世帯主中心主義をとり、世帯主に国保上のいろいろな義務を課していることは、不合理である
>個人主義の日本国憲法の原理と整合せず、旧民法の家制度・戸主の名残である
仰るとおりと常々私も感じています。
国保法は今の六法などには、昭和33年制定と法律番号が記載されますが、実際には昭和13年制定の旧国保法(任意加入制)を、国民皆保険の実現を目指して強制加入制の新法に全面改正したのであり、昭和33年の新規制定として理解してはいけない法律だと思います。また、国保や共済などの公的医療保険諸法令は、大正11年の健康保険法を範として作られています。その為に日本の公的医療保険制度は、旧憲法時代の「戸主制」を基盤として制度設計ガナされています。
この戸主制を基盤とした制度設計は医療保険制度だけに限らず、戦前の旧憲法下に制定された厚生年金保険法(昭和16年の労働者年金保険法→昭和19年に厚生年金保険法に改正)、今の生活保護法の前身となる救護法(昭和4年)など、現在の日本の社会保険制度や社会保障制度の根幹部分は、全て旧憲法下の戸主制を前提とする過去の制度設計を引きずっています。すなわち21世紀の現在にあっても日本の社会保障システムは、世帯や夫婦という家族単位を基盤とする制度設計となっていて、個人単位の社会保障・社会保険システムに抜本的に改正されなければ、時代に付いて行けなくなっています。
日本は世界に誇る国民皆保険と国民皆年金を実現していると、政治も行政も学者もじまんしていますが、私に言わせればトンデモナイ勘違いです。日本の国民皆保険と国民皆年金は、約百年前の大正時代という19世紀的な残滓の社会的遺物であって、21世紀半ばに生きるこれからの世代には全く時代遅れの制度です。民主党政権に変わった結果、年金改革とか社会保障改革が声高に議論されるでしょうが、世帯や家族単位から個人単位への抜本的再設計を行う必要性に気付いている人はマレだと思います。
YUNYUN 様(続きです)
>市町村の国保係が滞納処分にさほど熱心でないのだろうと思います。どうせ公課は公租(税)と競り合ったら負けるから。
確かにどうせ負けるからというご指摘の面はあると思います。
ただ、市町村役場の徴収係や社会保険事務所の徴収担当にも、たまにはスジガネ入りの「取立のプロ」が居ます。彼らは不動産などは最初から諦め、預貯金や満期返戻金のある保険商品などを狙います。そして何処の銀行支店や郵便局を突っつけば預貯金が発見できるか、その嗅覚が抜群の職員です。
>財産調査を要請する相手方である金融機関でさえ、
>社会保険料に自力執行権の発動による滞納処分権限がある事を判ってない担当者(ゴフォゴフォ。
>国税徴収法に基づく滞納処分であって、租税の滞納処分と同義であることが判ってない当事者とか(ゲフォゴフォ。
<素人の浅知恵 様の投稿より>
徴収のプロのような職員は、こうした金融機関の認識不足の対応を上手に”逆利用”します。銀行融資を受けた者が、国税滞納処分で差押えをされると銀行取引約款では期限の利益を失い、融資を即時一括返済を求められるので、その支店にとっては「不良債権の新規発生」となり、支店の営業成績評価に影響することを上手に利用します。簡単に言えば、「国税滞納処分で差押えを受けると、アンタは銀行取引停止で破産だよ、分割払いでも良いから直ぐに納付して来なさい」と、銀行の融資担当者や役席者から滞納している者に説得させるのです。
>そんなに上手く独占的に財産を発見できることなんて、あるだろうか?
はっきり言って難しいでしょうねぇ。先に述べた「取立のプロ」のような職員でない限り、無理でしょう。ただ、先に述べた「取立のプロ」のような職員は何処の官公署にも居て、彼らは独自の情報交換ネットワークで繋がっており、手持ち情報や把握した財産情報のトレード交換をやります。滞納徴収を担当する公務員(現場実務の職員)は、結構水面下では垣根を超えた繋がりがあるようです。
こうした取立のプロ職員は、大抵はその地域に生まれ育った「土着のベテラン職員」で、何処の裏通りの何某氏のカーちゃんの実家は何処の家の出で、その実家はなんの商売をしていて何処の銀行と信金を使っているかなど、まさしく地域情報の「生き字引」みたいな連中です。地方自治法や地方税法、さらには民法と民事訴訟法の手引書での知識やスキルとは、また別の能力(情報収集能力)を持った人間です。
世帯主が被用者医療保険制度の被保険者で、世帯の構成員の一部が国民健康保険の被保険者である場合に、権利義務関係二関する諸通知は世帯主を名宛人として送付されるなどの、或いは所謂”擬制世帯主”の問題が生じるなど諸々の問題がありますし。
この点、戦前の立法の全部改正でなくて新規に書き起こされた国民年金法は、被保険者各人に納付義務を課し、その上で世帯主及び配偶者に連帯納付義務を課すという構成を取るなど、国民健康保険法よりはスッキリした構成になってますよね。滞納処分の名宛人も、まずは本人を対象とする事が出来る。勿論、連帯納付義務者もですけど。
>戦前の立法の全部改正でなくて新規に書き起こされた国民年金法は(中略)国民健康保険法よりはスッキリした構成
確かに健保・国保・厚年の3法よりはマシですが、保険料の面では専業主婦の「第三号被保険者」とか、給付面では遺族基礎年金の受給権を「子のある妻」又は「子」に限定するなど、家庭を守る妻に対する社会保障の側面が色濃く存在します。
2年後の2011年には、昭和36年(1961年)の国民皆保険の実現から丁度50年の節目を迎えます。社会保障の全面的な改革について議論を起こす良い機会じゃないでしょうか。
御説ご尤もかと思います。制定された当時の時代背景(社会・人口・産業等の構造)が残っていますから。
この現物とは、診療治療行為を意味し、料金徴収や督促の手間など想定していません。
そうしたものを義務とするなら、当然のこと、その分の点数増点を要求すべきです。
また、そもそも「保険者」が「被保険者」に、保険診療の一部負担金以外の治療費を支払うことを証する「保険証」を発行するに際しては、被保険者が保険料をきっちり納めるだけでなく、一部負担金も納める能力を有すると信じるに足る被保険者であると審査合格の上、保険証を発行すべきことは当然であり、資格に疑義があると判断される場合にはただちに保険証を回収して負担能力の精査をすべきでしょう。
医療機関は保険者を信用して保険診療するのが原則であり、見知らぬ初診患者の金銭的与信状況を精査してから診療などする義務は当然、負うべきものではありません。そんなものを定めるに等しい通達は憲法違反です。
という、ごくごく簡単な疑問を提示しておきます。
で、現場としてできることは、まず「なにわ金融道」を全巻読むことですね。そして、行政ならば判決なく強制力を持つような債権なんてものは、こりゃ金融のプロにとっては極めておいしい餌だということも知ると、かなりの高率で割引を依頼できる債権だということも判ります。
医療機関は平気でプロに割り引いてもらうらしいぞ、とうわさが流れれば、自然に滞納が抑止できます。そのことで皆保険制度がどうなろうと、考えるのは現場の仕事じゃありません。行政の仕事です。
しかし公的医療保険制度は、金融商品としての保険ではなく、通常の保険原理とは異なる社会保険原理に基づく社会保障政策の一部として存在し、従って保険者と被保険者の関係・保険医や保険医療機関と被保険者との関係は、法律の明文規定として存在するのです。故に残念ながら現場の一人様のご指摘(とりわけ第一段落)は、現状では所謂”独自の見解”でしょう。勿論、国会の多数意見が現場の一人様のご見解と一致して、その様な方向で法改正が実現するのなら、行政の現場を含めて現場の一人様のご見解に合致する方向で、喜んで業務を執行してくれるに相違ありませんけどね。
蛇足ながら、現状では保険医の返上の自由は認められてますよ。