やりたい人への参考情報

私は興味も関心も極度に低いのですが、真剣に検討されている方もおられるでしょうから、地域貢献加算の参考情報です。ソース元は平成22年3月11日付第174回国会予算委員会 第10号なんですが、必要部分を適宜引用しておきます。

○梅村聡君

     それでは次に、診療報酬改定について質問をしたいと思っております。

     今回はネットで0.19%増ということができたわけでありますが、この中で、いわゆる地域医療貢献加算、これは、地域医療で開業医の先生が夜間、休日、時間外、こういった ものを対応いただけた方に加算される診療報酬加算でありますけれども、この加算のそもそものねらいと算定要件をお教えください。
大臣政務官(足立信也君)
     ねらいということからまずお答えいたします。

     私は、今地域の医療の状態、特に医師不足の地域の状況を見ていると、昔から、私が子供のときなんかは、いつでも対応してくれる、電話でも結構なんですが、いつでも対応して くれる地域のお医者さんがいた。その方々と、今はそうではない、ある標榜時間が過ぎたらもうあと一切連絡が付かない、どこにいるのかもはっきり分からないというような方々もいらっしゃる。これは診療報酬の面で私は区別が必要だろうと、そういうふうに思っておりましたし、中医協の中の議論でもやはりそれは違いがあるだろうという、違いの評価を取り入れようということの議論になったと思っております。

     そして、その主な要件は、緊急時の連絡先について患者さんにお知らせしている、それから緊急時の患者さんからの問い合わせに対して対応ができる状況にあること、これは必ず しも個人ではなくて二、三の医療機関でということも入りますけれども、そして対応ができている。具体的には、要件の中で書かれていること以外に私は検証がこれ必要だと思います。みんながみんなこの加算を取ろうとして、対応できていないのにできているようなことになってはやっぱりいけないわけで、検証は必要だと思います。

     少なくとも、今患者数、患者さんが非常に多いと言われている例えば午後十一時あるいは十二時までの準夜帯、ここら辺りの対応は少なくとも必要であろうと、そのように私は考えております。

足立政務官のは「ねらい」と「要件」について答弁しています。チョット整理すると「ねらい」は、

    自分が子どもの時には「いつでも」対応してくれる地域の医師がいたから、今でもそうしてくれる医師がいれば「優遇」してやる。
こういう趣旨だと思われます。続いて「要件」ですが、
  1. 電話問合せが必要なときの電話番号を公開する
  2. 電話問い合わせについて「いつでも」対応できる体制を構築する
  3. 「いつでも」体制は3ヶ所以下のグループであれば許容する
  4. 「いつでも」体制は深夜12時まで必要である
こういう風に明言されております。

○梅村聡君

     そうすると、イメージとしては二十四時間ということではないということでよろしいでしょうか。
大臣政務官(足立信也君)
     通知で原則としてと書かれているという意味だと今思いますが、これは、対処の仕方としてはQアンドAの形でしっかり分かっていただくことが重要だろうと私は思っております 。ですから、原則二十四時間というものをどうとらえるかでありますけれども、私自身は、やはり少なくとも標榜時間外でも対応できるという表現、答えにとどめておいて、やはり集中する時間帯というのは当然あるわけですから、そこの要件が大事になってくるんではなかろうかと思っております。

     実際これは、検証という話ししましたけれども、じゃ電話対応あるいは訪れてきた場合に、いずれ準夜加算とかあるいは深夜帯の加算ということがレセプトで出てまいります。本当にやられているかということが後でだんだん分かってくると思います。そういうことも踏まえながら、一言で言うと二十四時間三百六十五日全部ということではないと私は思っています。

とりあえず24時間体制ではないとしていますが、365日体制であるのは構想としてあるようです。とりあえず午前0時から午前9時程度は「許してやろう」の発言がありますから、24時間365日ではなく、16時間365日体制ぐらいと理解しても良さそうです。ただし足立政務官は電話対応だけを想定している訳ではなく、

    電話対応あるいは訪れてきた場合
時間外診察も要件として「いつでも」体制として要件に入れたい構想のようです。この加算の取得を目指される開業医の先生方は最終決定に十分注意しておいてください。そのうえで、本当に対応できたかどうかの検証はかなりユニークな方法を考えられているようです。
    準夜加算とかあるいは深夜帯の加算ということがレセプトで出てまいります。
レセプトで確認される診療報酬で検証すると明言されています。そうなると電話で請求できるのは電話再診のみです。電話初診と言うのは成立しませんから、初診で電話対応を行い「その症状なら急病診療所ではなく二次医療機関を受診すべきだ」と指示しても、これは「何もしていない」と同様と見なされる事になります。それと電話再診は平成20年時点では、
    同一日における初診又は再診に附随する一連の行為とみなされる場合、時間おきに症状の報告を受ける内容のものである場合には、再診料を算定できない。
この基準はウルサイところはウルサイそうですから御注意下さい。査定されても「何もしていない」と認定されます。

○梅村聡君

     それでは、例えば一つの例ですけれども、一つの町とか市とかで、百とか二百でもいいんですけれども、医療機関がそれぞれ輪番制を決める、そして二十四時間三百六十五日必ず どなたかが対応できるようにする、あるいは休日夜間診療所にどなたかが必ず詰めていただく。そして、そのことをきっちり市民の方に広報すれば、足立政務官が今おっしゃった ような体制というのは組めると思いますが、こういった体制の組み方でこの診療加算というものを取れるようにできるのかどうか、教えていただきたいと思います。
大臣政務官(足立信也君)
     先ほどの地域貢献加算のことと、今輪番制のことがございました。私はどちらも大事だと思っております。

     そういう形で、地域連携夜間・休日診療料ということで点数もちゃんと付いておりますし、在宅当番医制はこれはもう既に六百四十三地区で行われております。こういうことも診療報酬の中で反映される部分だと思います。

     大事なことは、その病院に連絡している例えば何千人とかすべての方に対応するんではなくて、二、三のグループで対応しようとする場合等は、その方の情報を前もって伝えてあるとか、その患者さんにこの間はここに行くようにしてくださいねという情報も伝えてあると、そういうことがこの貢献加算においては大事なんだろうと思います。

まず急病診療所に参加していても加算の要件として認めないとしています。もちろん急病診療所に自分の患者から問合せがあっても、これは急病診療所の業務になりますし(これは取れるのかなぁ?、微妙だなぁ?)、もちろん急病診療所での診察による実績は「何もしていない」と認定されます。では大人数で「いつでも」体制を組めばどうかと言えば、3ヶ所までしか認めないと明言されています。

○梅村聡君

     ただ、この評価を見てみますと、これ緊急時の対応体制や連絡先等を院内掲示、連絡先を記載した文書の交付、診察券への記載等ということが書かれておりますから、現実的には 数千人の方に連絡先が知らされて、そして電話の転送等で二十四時間三百六十五日これやっぱり掛かってくるわけですよね。それで、例えば三千人、四千人の方にお教えして、過去にかかられた方もこれは全部その情報を知っておられるわけですから、そうしますと、一年に一回お一人の方が問い合わせても、一日十人ぐらいの方からは二十四時間三百六十五日これやっぱり掛かってくる、連絡が来るわけですよね。それを、あなたはかかりつけじゃないから駄目ですとか、あなたは一年前の方だから駄目ですとか、そういうことはや はり電話とか対応とかでは区別できないと思うわけですね。

     だから、現実的にこの対応策を取ると、実際問題としては二十四時間三百六十五日になるのではないかと思いますが、そういうことに実際なるんですけれども、その点に関しては いかがでしょうか。
大臣政務官(足立信也君)
     実際問題と今おっしゃいましたけれども、それは例えば加算をした場合にレセプト上で査定されるかどうかということにかかわってくると思うんですね。全員に対応できているかどうかということは、恐らくそれは査定のしようがない、評価のしようがないことだと思うんです。後々で分かってくるということは、そういう連絡先やあるいは対応ができているということが、例えば先ほど申しましたように、準夜帯加算が実際上のレセプト上表れているというようなことでこの方はきちっとやられているんだろうなという評価になって きて、全員が全員それに対応していなければ認められないというようなものではない。

     そして、実際上、今全員から掛かってくる可能性があるのではないですかということをおっしゃいましたけれども、掛かってくる可能性としては私はそれは否定できないと、そう思います。しかし、その方々に全部対応しないと加算は一切駄目なのかというと、それはQアンドAでこれから示していきますけれども、運用上はそうではないと私は思っています。

ここも楽しい問答ですが、まず梅村議員のシミュレーションをあげておくと、仮に4000人の受け持ち患者が年に1回電話をしても年間で4000件になり、1日平均にすると10件以上電話があると指摘しています。これに対し、足立政務官は核心を突いた回答をされています。

まず

    掛かってくる可能性としては私はそれは否定できないと、そう思います
まずそうなる事は「当たり前」と明言されています。その上で、
    全員が全員それに対応していなければ認められないというようなものではない
対応が出来ないケースが生じる事を認めておられます。その代わりですが、
    準夜帯加算が実際上のレセプト上表れているというようなこと
ここまで来れば誰でもわかられると思いますが、なんたら加算の十分条件は準夜帯の診療報酬の実績にされるようです。おそらく要件として挙げられるのは、
  1. 件数条件:1ヶ月の準夜加算(たぶん深夜加算も)の件数
  2. 金額条件:1ヶ月の準夜加算(たぶん深夜加算も)された診療報酬額
この二つもしくは片方を満たさなければ加算は認めない運用と考えたらよさそうです。これさえ満たせば後は電話応対をしなくても加算は認められる代わりに、満たせなければたとえ365日24時間頑張っていても「サボっていた」と認定され、哀れ加算は取り消されるとしても良いかもしれません。具体的な手法論は足立政務官の答弁には出てきませんが、おそらく
  1. 定数
  2. 定率(1ヶ月の受診人数、診療報酬額に対するもの)
  3. 定数と定率を組み合わせたもの
どうなるにしろ、なかなかおもしろい加算要件で、必然的に時間外に対応する数を義務づける条件となります。梅村議員の1日10人も要件として十分考慮されているはずですから、これなら月に300人相当の件数条件が出てきます。300人はいきなり厳しいとしても、100人分ぐらいは条件となっても不思議とはいえません。

診療科によって差は大きいですし、スタート時は定数のみで低めに設定し50人程度かもしれません。しかし1ヶ月50人でも新規開業や、ツブクリで喘いでいる開業医、さらには診療科よっては厳しい条件になるかもしれません。電話再診だけでは、

    (再診料 + 準夜加算)× 人数
こうなりますから、件数が十分あれば自然に金額条件も満たしますが、件数が少なければ金額条件も満たす事が難しくなります。

そうなれば、準夜だけでなく24時間で深夜加算も狙うか、なんとか時間外初診に持ち込んで金額条件だけでもクリアを目指す必要性が出てきます。逆にウハクリ(そもそも参加しないと思うのですが・・・)であれば、ほんの数日だけ頑張れば加算要件をクリアできるかもしれませんから、残りは電話をシャットアウトと言う手も足立政務官の答弁からは考えられます。実際問題としては難しいでしょうけどね。

こうやって足立政務官の答弁を確認してみると、恒例の医系技官の「政策的誘導」技術がふんだんに盛り込まれている事がよくわかります。もっとも従来の「政策的誘導」のアメはもう少し甘くて大きかったと思うのですが、今回のアメは正露丸糖衣程度のものであるのがなんともと言うところです。私は関心が低いですが、意欲を燃やされる開業医の方々は足立政務官が何度も言及され、そのうち出てくる、

    QアンドA
これを十分に御確認下さい。来年度の診療報酬改訂では、うちでも下痢症状を呈しますが、私はたとえ糖衣であっても正露丸はあまり好きではありませんから、他の治療法での対応を考えたいと思っています。