新小児科医のつぶやき

2010-07-24 ストライサンド効果

こういうものがあるそうです。これを拾ったのは忘却からの帰還様のサイモン・シンを訴えたことで自爆する英国カイロプラクティック協会を読んだ時です。リンク先のお話は、詳しくは知らないのですがサイモン・シン氏と言うサイエンス・ジャーナリストが出版した本(代替医療のトリック)に対し、英国カイロプラクティック協会が名誉毀損訴訟を起した事による一連の騒ぎのようです。

名誉毀損訴訟がキッカケになり、カイロプラスティックに疑問を感じる人たちが大挙として動き出し、

英国のカイロプラクターの4人に1人が、英国広告基準協議会の判例に違反したとしてサイモン・シンの支持者たちから苦情を申し立てられ調査対象となっている。

問題は本当にカイロプラスティックが効果があるかどうかにまで進み、なおかつ効果の殆んどが否定される事態になり、英国のカイロプラスティック自体が壊滅の危機に瀕するみたいな展開になっている事を伝えています。

それはそれで興味深いのですが、肝心のストライサンド効果に関する下りですが、

Privately, a number of chiropractors have expressed unhappiness at the way the BCA, General Chiropractic Council and other professional associations have carried themselves over the past year, and lay the blame for the crisis firmly at their doors. In communications with me they have said the organisations' attempts to "medicalise" a form of alternative medicine have backfired. One remarked: "I am sure when the dust settles the BCA will lose a lot of members [...] Suing Simon was worse than any Streisand effect and chiropractors know it and can do nothing about it."

少なからぬカイロプラクターたちが個人的には英国カイロプラクティック協会やカイロプラクティック評議会やその他のカイロプラクティック業界団体の昨年来のやり方に不満を表明し、危機について批難をしてきた。私とのコミュニケーションで、彼らは代替医療を「医療」の対象にしようとした業界団体の試みが逆効果になったと言う。そのなかの一人は「この騒動が終わったとき、英国カイロプラクティック協会は多くの会員を失うだろう。 ... サイモン・シンを訴えたことは、どんなストライサンド効果より悪く、カイロプラクターたちはそれを知っていて、しかもそれについて何もできない」と述べた。

サイモン・シンの事件では、事態の展開に慌てた英国カイロプラクティック協会の会員へのメイルがストライサンド効果を増幅したとしています。どんなメイルかと言うと、

"If you have a website, take it down NOW.

"REMOVE all the blue MCA [McTimoney Chiropractic Association] patient information leaflets, or any patient information leaflets of your own that state you treat whiplash, colic or other childhood problems in your clinic or at any other site where they might be displayed with your contact details on them. DO NOT USE them until further notice."

ウェブサイトを持っているなら、ただちに閉じるように。

すべてのブルーMCA患者情報リーフレットや、あなたが鞭打ち症・疝痛・子供の病気を治療すると主張するあなた自身の患者情報リーフレットを、あなたのクリニックあるいは、あなたのコンタクト情報が書かれたほかの場所からも撤去すること。次の通達があるまで使わないこと。

これはサイモン・シンの支持者がカイロプラステックのHPを手当たり次第チェックし、英国広告基準協議会の判例に違反しているかどうかを報告している事への対抗処置です。これによって沈静化を図ろうとした事がウェブに広まり、さらに騒ぎに火が付いたのも「ストライサンド効果」としているようです。


このストライサンド効果の「ストライサンド」とは、女優のバーバラ・ストライサンドに因んでいます。ある写真家が風景写真を発表したところ、そこにバーバラ・ストライサンドの自宅が写っており、これで自宅の所在が明らかになるのを怖れたバーバラ・ストライサンドが削除を求めます。削除の要請がウェブに広がるや否や、その風景写真はネズミ算式にコピペされ拡散し、自宅の写真は瞬く間に広く知られる事に由来しています。

これが転じて、

    インターネット上で情報を隠蔽しようとすると、その隠蔽行為が逆に注目を集めてしまい、隠蔽しようとしていた情報がよりインターネット上で拡散してしまうこと。

これぐらいのニュアンスでストライサンド効果と言う言葉は使われるようです。実に面白いと言うか、私が知らなかっただけで既に広く使われているのかもしれませんが、ネットの特色をよく表しています。もちろん日本でも確実にストライザンド効果は発生しており、記憶に残る典型的なものとして変態記事事件があります。

あの事件の経緯を大雑把にまとめると、

  1. ネットで火が付いた変態記事を突然削除
  2. 謝罪と言いながら開き直る
  3. 謝罪社告を出しながら実は杜撰

他にもありますが、何かをするたびにネットに火が付き、沈静させようとする新聞社側の思惑がことごとく外れていったのは鮮明に覚えています。一度植えつけられた不信は新聞社側が何を弁明しても疑惑の目で見られただけでなく、それを検証しようとする人間が雲霞のように集まり、そのウソが暴かれてさらに事態が悪化する悪循環に完全にはまっていました。

医師の中で記憶に強く残っているものに奈良大淀病院事件があります。その中でもカルテ流出疑惑にまつわる騒動はストライサンド効果に該当すると考えられ、衝撃的な第一報の前にカルテを入手していたにも関らず、これを入手していないと言い切った上での工作は、凄まじい反響をネットに起しています。

私が上げた日本の例はストライサンド効果に厳密にあてはまらないかもしれませんが、個人的にストライザンド効果はもう少し広義に取っても良いと思っています。単なる言い換えに近いとも言われそうですが、

    インターネット上のみならず、姑息な情報操作を行なおうとしている事がネットに広がると、その行為に注目が集まり、裏の裏まで情報を穿り返そうとする人間が雲霞の如く集まり、情報が速やかに拡散する。

一旦そういう状態に陥ると既製マスコミであってもコントロールは不能になり、次か次へと隠されていた情報が露見し、さらにその事が新たな燃料になり燃え盛る事になります。日本のネット用語なら「祭り」に極めて近い状態と思われます。



・・・・・・そっか、そっか、日本の「祭り」とストライサンド効果は近いんじゃなくて同じなんだ。違いはネーミングだけであって、洋の東西を問わず、インターネットと言う情報装置に対する人間の普遍反応と言い切ってもよさそうです。これは多分ですが、ネットが普及した国ではどこでも同じような現象が起こり、その語圏で何らかのネーミングが行なわれているとして良さそうです。

それでもストライサンド効果は使い道がありそうな言葉だと思います。日本の「祭り」も短切に状態を表現していて個人的には大好きなんですが、これもまた世界共通現象としても良い既成マスコミのネット敵視の影響が及んでいます。ネット用語を貶め、「祭り」も起こる事が誹謗中傷の巣みたいなプロパガンダが為されています。

もちろん祭りも正の面だけではなく、負の面をふんだんに含む社会現象です。しかし負の面だけを切り取って強調されるがために、正の面に対する評価は殆んどなされません。ネット情報は常に玉石混交で、その中から玉を拾い上げるのが本質のはずですが、瓦礫が多い事のみを攻撃されるのは、これもまた既成マスコミの常套手段です。

そのため「祭り」と言う用語もマイナスイメージが強く植えつけられている面があります。なんとなくストライサンド効果も向こうではそう扱われているような気がしないでもありませんが、日本でも「祭り」を少しかしこまった文章で使うのは、状況によっては気を使う時はあります。そういう時にストライサンド効果を持ち出しておけば、なんとなくもっともらしくて使い勝手が良さそうな気がします。

外来用語は現在ですら「なんとなく」「もっともらしい」と思われるところがあり、「祭り」とすればネット用語として鼻白む人も、ストライザンド効果、もしくはストライサンド・エフェクト(Streisand Effect)と表現すれば、何か学術用語の様に受け取って尊重するアホらしい面は間違い無くあります。「○○とハサミは使いよう」の諺はここでも生きていると言うところでしょうか。

案外なんですが、向こうでもストライサンド効果と言えば、同じようにネット用語として鼻白まれ、かしこまった場では「MATSURI」として表現しているみたいなブラックジョークが成立しているかもしれません。そういうところも普遍性はありそうですからね。

とりあえず私も覚えておいて、時と場合に応じてひょいと出す事にしておきます。単なる衒学趣味ですが、衒学趣味は時に大きな効果を呼ぶ事がありますから、皆様も覚えておいて損は無いと思います。さらに都合のよい事に、現在のところ日本語wikipediaにストライサンド効果は無いようで、語源のwikiは英語版のみです。そういうところも衒学趣味的にはポイントが高そうなところです

京都の小児科医京都の小児科医 2010/07/24 09:36 いつも勉強になる話題でありがとうございます。
英国広告基準協議会とは
日本でいえばJAROのことでしょうか
全部をみたわけではありませんが
JAROのあゆみ
http://www.jaro.or.jp/a30/
はおもしろそうと思いました。
基本的には天下りを含めた官僚との関係が重要と思いますが
JAROは
http://www.jaro.or.jp/nan.html/n_sosiki.html
内閣府(公正取引委員会)および経済産業省ですね。
(総務省と思ったのですが・・・)

10年ドロッポ10年ドロッポ 2010/07/24 12:10 「やぶへび」とゆー古い日本語を思い出しました。
それにしても痛快な話ですねえ。

YosyanYosyan 2010/07/24 12:26 話は少々飛ぶのですが、サイモン・シン氏に対する名誉毀損訴訟の経緯はやはり面白いです。忘却からの帰還様が細かくfollowされているのですが、発端はサイモン・シン氏の本の一節に噛み付いて名誉毀損訴訟をカイロ協会が起したようです。一節とはごく簡単に「カイロは効かない」みたいな内容です。

細かな経緯は色々あるようですが、法廷論争の展開は本当に効くか効かないかの証拠をカイロ協会が出さざるを得ない展開になったようです。かなり渋った様子も窺えますが、カイロ協会が出したエビデンスが白日の下で粉砕される経緯となります。その頃なのか、それ以前なのかはよく分からないのですが、サイモン・シン支持派がカイロ施術所のHPや広告の情報を集めて、英国広告基準協議会に虚偽広告であるとの報告を続々と行なう事になります。

満身創痍状態の英国カイロ協会は結局訴訟を取り下げて敗退しますが、満天下に無残な姿を刻み込む結果だけを残しますし、広告問題は山の様に残る事になったようです。

当初の英国カイロ協会の動きは、出版社ではなく著者であるサイモン・シン個人を訴える事により「黙らせる」と意図したとなっていますが、黙らせるどころかネットを介して問題は煌々と燃え盛る展開になり、最後は収拾も対応も出来ない状態に追い込まれています。

英国は日本より民間療法・代替療法に親和性が遥かに高いと言われていますが、それでも火をつければこういう結末を迎える一つの事例の様に感じます。日本でもし起こればどういう展開になるかは、やってみなければ判りませんが、やらかしそうな雰囲気はあるように思っています。

たぶんですが英国カイロ協会も既成マスコミは敵に回らないだけではなく、味方になると計算していたと考えています。既成マスコミがマスコミが動けば世論になり、世論をバックに楽勝みたいな思惑です。日本でも同じ目論見で動いた新聞社がいましたが、既成マスコミが比較的健在な日本でも醜態を曝しています。

それでも日本では既成マスコミへの期待は強いですから、その力に頼って動こうとする集団はあると思われますが、動いた時にどうなるかは見ものです。個人的には英国カイロ協会の二の舞になりそうな気がしていますが、もちろんやってみなければ判りません。

10年ドロッポ10年ドロッポ 2010/07/24 17:39 >当初の英国カイロ協会の動きは、出版社ではなく著者であるサイモン・シン個人を訴える事により「黙らせる」と意図したとなっていますが、

その昔あの「武富士」も取った「組織」が「個人」を黙らせる時の定番な戦法ですが、実際訴えちゃったら被告だって必死に戦う以外の選択肢が事実上なくなるわけで、(無条件降伏したところで賠償金は払わされるから)だったらダメで元々、やるだけはやってみよう、となるのは人情でしょう。敢えて噛み付いてくるような骨のある人物相手にはやっぱりやぶへびですねえ…。

麻酔科医麻酔科医 2010/07/24 17:41 >もちろんやってみなければ判りません
大野、大淀病院事件を経た日本でどうなりますかね、、。
裁判ウイッチャーを楽しませてくれると思います。

YosyanYosyan 2010/07/24 18:02 >10年ドロッポ様

あんまり面白いので、月曜日にもう少し詳しくしたものを上げる予定ですが、書き終わった感想として、英国カイロ協会には、それ以前から批判者は根強くいた気配があります。つまり批判される下地はあったようなんです。そこに英国では著名とされるサイエンス・ジャーナリストが強烈な批判を持ち出したことから、ここは看過できないと動いたと思われます。放置すれば今度は著書からさらなる批判の火の手があがるの懸念でしょうか。結果は完全にヤブヘビになってますけどね。


>麻酔科医様

「助産院は安全?」の件はともかく、どこかで民間療法団体ぐらいがやらかしそうな気はします。首相が代わって私は頓挫していると思っているのですが、彼らは前首相の保険適用検討の話に欣喜雀躍状態のようだからです。つまり鼻息があらくなっているのと、何かの批判により保険適用から落ちれば今度は無効の烙印を押されるのと同様になりますから、防衛反応は強くなりそうな気がします。とくに有力候補とされているところはカネも有力者及びマスコミへのコネもありますからね。

どこかで彼らが「ボヤのうちに消してしまえ」と強権的に動いたら・・・さてどんな舞を見せて頂けるのか、私も非常に楽しみですし、ブログの高品質な燃料にもなりそうです。

moto-tclinicmoto-tclinic 2010/07/24 18:33 てか、これって、健康保険がからんだ話じゃないですか?
GCCのホムペちょこっと見てみただけなんですが、
http://www.gcc-uk.org/page.cfm?page_id=6
イギリスじゃ、カイロプラティショナーは、登録制で(国家資格?)、日本の健康保険にあたるNHSの適応がある地区とない地区があるっぽいです。
なおかつ、私的健康保険で適応がある商品もあるようで、とくに、私的健康保険の会社が、カイロへの支払い増加を避けるために、なんか運動してそうな気がするけど気のせいかなあ・・。

moto-tclinicmoto-tclinic 2010/07/24 18:40 日本でも、整体なんかは、健康保険きくけど、健康保険が全部公的だから、垂れ流しみたいなとこありますよね。まあ、イギリスに比べれば、医療広告の規制が厳しいかもしれませんが。
なおかつ、整形外科とかも、老人相手の娯楽施設みたいなとこもあって、整体院批判もし辛そうだし。
そのうち、日本の健康保険が私的なのが出てきて、保険会社が企業倫理で持って、支出の切り詰め迫り始めると、イギリスみたいな話になるのじゃないかしらん。

moto-tclinicmoto-tclinic 2010/07/24 19:16 サイモン・シンが法廷でどう訴えたかと言うと、たぶん、
「イギリスのNHS公的保険財政は悪化の一途になる。それにもかかわらず、カイロ協会は、たいして根拠のない施術を、保険適応拡大の方向で動いている。もし、カイロ協会がこれを医療と言うなら、根拠を出すべきだ。」
って感じじゃないかなあ。
裁判官も、サイモンの支持者も、施術に根拠があるかないかよりも、カイロに保険を使わせることの是非でもりあがったんだと思う。

純粋に「カイロが医学的に根拠があるかないか」で、一般大衆が盛り上がるわけないと思う。ネットだろうとリアルだろうと。

naa_sannaa_san 2010/07/25 00:42 >moto-tclinic先生
>日本でも、整体なんかは、健康保険きくけど

ききませんよ。整体って民間資格ですし。
おそらく、柔道整復師がモミモミやって(ときには無資格者にやらせて)、捻挫や打撲で健康保険の不正請求をしている件のことをおっしゃっているのだと思いますけれど。

国家資格のあん摩マッサージ指圧師が健康保険を使えるのは、筋麻痺や関節拘縮等で、医師の同意書が必要です。

広告規制は国家資格者にはバリバリありますけど、無資格者はやりたい放題ですね。

odidiodidi 2010/07/25 09:37 初めまして いつもROM専ですが 毎回読ませて頂いております

先生 はじめのほうで「カイロプラスティック」になってますが

プラスティックWW ありそうですな〜

YosyanYosyan 2010/07/25 13:06 odidi様

気づかれましたか。恥ずかしながら明日のエントリーの下書きを書くときに調べなおすまで「プラスティック」と信じ込んでいました。訂正は明日のエントリーでしますが、ここは「ま、いっか」にしています。

YosyanYosyan 2010/07/25 13:16 moto様

私的保険会社の陰謀説は面白そうですが、若干リスキーな気もしないでもありません。イギリスの民間療法支持勢力は強そうですから、下手踏むと逆効果になるとも予想されるからです。もちろん流れに乗っての工作は否定しませんが、最初から仕掛けての大陰謀はないような気はしています。

確かイギリスでもホメオパシーが公的保険から外れるかどうかの段階まで進んでいたはずですから、それに対する危機感の方が強かったんじゃないでしょうか。ホメオパシーの次にカイロに飛び火しないかの切迫した危機感です。ですから英国カイロ協会にはサイモン・シンの本が危険な時限爆弾に見えたと思っています。

放置せずに手を出した結果がこんな感じのようですが、手を出さなかったならどうなったかは神のみぞ知るだったかもしれません。どっちが良かったのか、それとも既に詰んでいたのかは情報不足でわかりません。

BugsyBugsy 2010/07/25 17:32
オイラは New Yorkerとクーリエを定期購読しています。理由は日本のマスコミと違い、取材ネタが出色なことコラムが多いことからです。決定的なのはこの二つにはユーモアが、ペーソスが、アイロニーがあるからです。New York Timesだってユーモアにあふれたコラムはあります。

残念ながら日本の雑誌や新聞にはこういった上質なウィットが見当たりません。所詮は薩長閥が上京してきたのと相前後してできた書生気質 若気の至り、いや田舎者なんでしょう。自分も田舎者なんで良くわかります。洒落のめすといった感覚が100年以上たっても見につかなかったんですな。

大上段に正論をぶちかませば かちんと来て反発する奴もいますよ。洒落ですよ ユーモアですよとすれば正面切って反論する奴はいません。いればガキです。

上質なユーモアとは さりげなくやんわりと しかし本質をばっさりとくるんで相手にわからせる 知性の極みですぞ。日本のますこみの正反対。思うに落語の師匠のほうが 少ない言葉で社会の現実をずばり言い当てる。さりげないユーモアなんて落語にしか残ってないんでしょうかね。今の報道番組でも むき出しの下ネタを見てる感じで好きじゃありません。

ほんのちょっと文章の中にウィットをさしはさむ。これだけでも文章の質はぐっと上がってくる 締まってくる。日本のマスコミはやっぱり馬鹿なんです。英国や米国の大統領の自叙伝を読んでみろよ。Winston Churchillくらい知ってんだろが。ちょっとしたユーモアがいかに本質を鋭くえぐっているかって。

そういう意味でYosyan様 御気をつけ遊ばせ。

BugsyBugsy 2010/07/25 21:09
このイギリスの事例もそうですが 日本も医療訴訟は多いですね。
思うに医師のちょっとしたユーモア、心が暖まるウィットが随分患者側の気持ちを変え、心を開くような気がしてなりません。日本の医師は気まじめすぎますよ。がんの告知一つをとってみても 相手側の心の中に裸足で入りすぎるような気がすることがあります。もうちょっと柔らかい言い方も学ぶべきでしょう。

無理して笑わそうと思わなくてもいいんです。すこし口元を緩めるようなことを言ってもいいじゃないですか。まじめな内容も時間が長ければ退屈だし 話のの内容も緩急つけた方が 相手も耳を傾けます。ならば医師の話をもう少しは理解してくれるでしょう。

オイラは大したことがないのにお洒落さんと言われることが多いです。先日私の患者が入院されましてね。お孫さんができるそうです。よっしゃとばかり コウノトリの柄のプリントタイをしたんですね。それでその小母あちゃまの前で 御宅にもコウノトリが飛んできましたねなんて申しましたら 随分喜ばれました。外来通院中は頑なな人だなとも思いましたが、それ以来は仲良しです。 

初対面の患者さんと会うことが多い救急の先生は大変ですが それでもどこかでこういった相手をなごませる会話をしないと後々しんどいですよ。うちが気に食わないんだったら余所にいってくれなんて間違っても言ってはならないし、態度にありありと出てますからね。

欧米の医者はよく患者さんにウィンクをします。自分は苦手です。しかしなんらかのウィンクのようなサインを出さなきゃ 患者は心を開きません。それがユーモアであったり 御洒落をしてお互いにからかいあったりすることじゃないでしょうか。気持ちに余裕のない若手医師は着衣は無頓着だし、好い車に乗りたがる かといって患者には高飛車、少なくとも真面目に話したはずが患者にはそう映ってます。映画や花 ワインの話でもいいですよ。なにか気持ちを明るくする話題が思いつかない医師とは危なっかしいです。

個人的意見ですが こういった話をしない医師って訴訟をくらう人が多いように思えてなりません。何も息せき切って診療をする必要はないでしょう。5年でも10年でもつきあってますよ。そんななかで歳を取られて亡くなられる方は多いです。だけど お互いにそれは当然。結局医療裁判はおこされませんでした。

患者とは他人。ならば他人と長く付き合うにはどういった方法をとるかといった点に関心がない医師は昔より増えたんじゃないですか。これも一つの医療崩壊かと愚考しますね。

moto-tclinicmoto-tclinic 2010/07/26 00:25 イギリスでの「お祭り」の場のひとつであっただろうブログを見つけたので、ご報告。
Jack of Kenttっていう、イギリスの訴訟ウォッチングブログです。
http://jackofkent.blogspot.com/

発端は、よりにもよって協会の定めた「カイロプラクチック週間」に、サイモン・シンが、イギリスの新聞「ガーディアン」に書いた記事です。
(訴訟中閉鎖されてたようですが、現在は復活、読めるようになってます)
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/apr/19/controversiesinscience-health

この記事が2008年6月ですが、8月には訴訟が起こされてて、Jack of Kenttが、これをネタに取り上げてます。
http://jackofkent.blogspot.com/2008/08/on-simon-singh-against-chiroprators.html

これ以降、ブログ記事の履歴を追っていくと、サイモン・シンの訴訟が実況されてて面白いです。ブログのコメント欄への書き込みも活発で、それがブログ主の意欲を刺激もしたんでしょう。

moto-tclinicmoto-tclinic 2010/07/26 00:47 わたしの英語読解力もかなりテキトーなんでアレですが、ブロガーは新聞記事が訴えられたことに対して、表現の自由という利害の一致において、盛り上がったっぽうですね。もっとも、その活動が訴訟の結果に影響及ぼしたのかどうかはわかりませんが。

>カイロプラステックのHPを手当たり次第チェックし

てあたりは、熱心なブロガーが頑張ったんでしょう。
どうも「健康保険絡みの陰謀説」ではなさそうですが、それにしても、先に書いた、

>粋に「カイロが医学的に根拠があるかないか」で、一般大衆が盛り上がるわけないと思う。ネットだろうとリアルだろうと。

は、間違ってないと思います。「表現の自由」のキーワードで、ネット民が、燃えたっぽい。
「ネットで燃えやすいキーワード、燃えにくいキーワード」って題目で、社会学の卒論くらい書けそうな気がします。

luckdragon2009luckdragon2009 2010/07/26 01:39 少しだけ想像力があれば分かると思うのですが、自己の健全な分析を(それが正確であればあるほど)妨害されれば、それはブロガーが奮起して当然かと思います。
だって、自分の正確な記事もを、今後、妨害されるかも知れないって考えればね。

サイモン・シンの真なるファンではなくとも、そういう事起きれば、ちょっとそれは...と思ったのでしょうね。(そういう意味では、今回の助産院の問題を追っていたサイトが受けた話を、みんながいろんなところでするのは、当然かと思います。)

最近でも、愛媛県の医療ネグレクト(多分、ネフローゼだと推測される。免疫抑制剤の投与サボタージュ事例。)で、結構みんなが奮起したのも、これはちょっと何かやらなきゃ、と思わせる事例だったからでしょうね。(生命の緊急度が高かったせいもありますが。)

sasimininjasasimininja 2010/07/26 01:55
このブログで『訴訟を食らうのは医師の態度が悪いから!』理論を見るとは驚きです。

>うちが気に食わないんだったら余所にいってくれなんて間違っても言ってはならないし、

言葉遣いはマズイけど、内容は間違ってないのでは?
あまりにも不平不満の多い患者さんや御家族には、『あなたは他の医療機関を選択することもできるのですよ?』と知らせてあげるべきでしょう。
(病状に余裕のある場合に限りますが)

moto-tclinicmoto-tclinic 2010/07/26 02:17 バーバラ・ストライサンドの自宅の写真を広めることに、ブロガーっていうかネット民が熱中するのは、健全な分析の妨害も何もないですからねー。
ただただ、燃えやすい素材であっただけのことで。
燃えやすいキーワードっていうか、ストライサンド効果っていうのは、もうちょっと違う、少し残酷な次元にあるんでしょうね。集団心理的な。
「表現の自由」とか、大義名分的なものは、それが犯されることが着火剤の役割するんでしょう。

luckdragon2009luckdragon2009 2010/07/26 05:18 ストライサンド事件の方は、単なる、いわゆる、祭り、の方でしょうね。

YosyanYosyan 2010/07/26 08:48  >「ネットで燃えやすいキーワード、燃えにくいキーワード」って題目で、社会学の卒論くらい書けそうな気がします。

ここは面白そうなテーマです。ネットの本質は巨大な井戸端会議と思っていますが、通常は主義主張、好みなどにより意見は分散しています。ある意見に対しても、一定量の反論異論が必ず存在し、一色に染まって燃え上がる事はそうそうありません。燃え上るとしたら、余程の共通の利害キーワードに触れた時であり、その時でさえ全員ではありませんが、巨大な流れが出来上がって燃え上がるのがネットの側面の一つと思います。

他にも要因があって、正義感を安全に燃やす事が出来るというのも条件にはあると思います。不自然な隠蔽工作に火が付くというのがストライサンド効果の説明の一つですが、隠蔽工作が行なわれると言うのは、そこに不正義が存在するという傍証になります。つまり隠蔽を暴くという行為は完全な正義になると言う事です。暴かれた側は負い目がありますから、それに有効な反撃が出来なくなるというのもあります。

もう一つ付け加えれば、対象はある程度の存在感が必要です。無名の存在にストライサンド効果が発生するとは思いにくいところがあります。発生しても限局的、短期的な物になります。存在感が大きいほど燃え上がれば大きな炎になるとも言えそうです。

素直に変態記事事件を思い浮かべれば、ある種の類型が浮かび上がりそうな気がしています。

10年ドロッポ10年ドロッポ 2010/07/26 12:04 Bugsy様、
私は逆で、奴隷医時代は極力疾患関連以外の話はしないようにしていました。理由は簡単で、病気で苦しんでるのに医師に趣味の話だのくだらんギャグだのかまされたらさぞかしむかっ腹が立つだろうと推測されたからです。

ちなみに素の自分は、各コメントでお判りでしょうが、どんな真面目な話題でもくだらないギャグや下ネタやブラックジョークにしてしまわないと気がすまない超不真面目人間なんですが、ある時患者さんがオーベンに、「○○先生って真面目を絵に描いたような人ですね」と評しておられたとかw。「世の中にはなんとまあ人を見る眼がない人間がいるもんだ」とオーベン苦笑してましたww。逆につい素を出してしまって凄く不評を買った事も…。
なお、マイファーザーは、謹厳実直を絵に書いたような人間で、幼少時笑顔を見た記憶が殆どないんですがw診察時はかなりギャグかましてます。さすが医師歴50年w

何を言いたいか、とゆーとユーモアには素養と努力が必要だって事で…みんながみんな先生みたいなわけにはいきませんよ。
*そういえば2ちゃんに院内の七夕行事でNSが短冊に、「○○ちゃんの病気が治りますように」、と書いたら「病気を治すのはオマエラの仕事だろうが!!」と親御さんがエラク御立腹だった、って話ががが。
sasimininja様、
>このブログで『訴訟を食らうのは医師の態度が悪いから!』理論を見るとは驚きです。

一般論として、態度が悪い方がいいよりは訴訟を食らいやすいのは事実かと。もちろん態度が良くったって、ダメな時はダメなのは言うまでもありませんが。

>(病状に余裕のある場合に限りますが)

そんな例外規定はイランでしょう。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20100724