新小児科医のつぶやき

2010-10-26 続・例の朝日記事検証

昨日の続編です。先週は多忙だったので情報収集が十分でなかったのと、10/15付朝日記事およびそれに関連するMRIC記事(主に東大医科研からの反論)だけで大ボリュームだったので、補足して記録に留めておきたい情報のアップとなんとか情報の整理を試みたいと思います。とりあえずの参考情報は、

書いていくうちに参考情報はドンドン増えたので、あとはエントリー中のリンクで行います。まずネットから消えていて読んでなかった10/16付朝日社説です。

東大医科研―研究者の良心が問われる

 新しい薬や治療法が効くのかどうか。その有効性や安全性について人の体を使って確かめるのが臨床試験だ。

 研究者は試験に参加する被験者に対し、予想されるリスクを十分に説明しなければいけない。被験者が自らの判断で研究や実験的な治療に参加、不参加を決められるようにするためだ。

 それが医学研究の大前提であることは、世界医師会の倫理規範「ヘルシンキ宣言」でもうたわれている。ナチス・ドイツによる人体実験の反省からまとめられたものだ。

 東京大学医科学研究所が開発したがんペプチドワクチンの臨床試験をめぐり、そうした被験者の安全や人権を脅かしかねない問題が明らかになった。

 医科研付属病院で被験者に起きた消化管出血が「重篤な有害事象」と院内で報告されたのに、医科研は同種のペプチドを提供している他の大学病院には知らせていなかったのだ。

 医科研病院では出血のリスクがある患者を除くように臨床試験の実施計画を改め、被験者の同意をとるための説明文書にもその旨を書き加えた。

 被験者の選択基準を改めるのは重要な計画変更である。だが、連絡を受けなかった他の大学病院では、被験者は自発的参加の判断材料となる情報が得られなかったことになる。

 医科研はペプチドを提供した大学病院から有害事象の情報を集めていた。医科研は「報告義務を負わない」というが、被験者の安全と人権を守る観点に立てば、医科研の側からも情報を提供すべきだった。

 細川律夫厚生労働大臣は「事実関係をしっかり調査したい」としている。大学病院の被験者に事実が伝えられたのか確認を急いでもらいたい。

 国内では、薬の製造販売の承認に必要なデータ収集を目的とした臨床試験を特に「治験」と言い、薬事法などの法令で厳格に管理している。

 一方、今回のような研究者主導の臨床試験については厚労省の行政指針で対応している。指針に強制力や罰則はない。被験者の安全を守るためには、この二重基準を解消して、こうした臨床試験にも行政など外からの目でチェックする仕組みが必要だ。

 また今は臨床試験のデータをそのまま新薬開発には使えず、改めて治験が必要だ。研究者の負担は大きく、欧米との開発競争に後れをとることにもなりかねない。

 政府は大学の研究成果を画期的な医薬品の開発につなげることを、新成長戦略の一つの柱と位置づけている。

 法律によって統一的な研究審査システムを整え、治験以外の臨床試験で収集したデータも新薬の承認審査に使えるようにする。二重基準の解消は、被験者の安全を守り、研究成果の効果的な活用にもつながるはずだ。

やりだすとキリがないのですが、10/15朝日記事でも同じ出発点の問題です。


朝日社説 東大医科研の主張
医科研付属病院で被験者に起きた消化管出血が「重篤な有害事象」と院内で報告されたのに、医科研は同種のペプチドを提供している他の大学病院には知らせていなかったのだ。 まず、この臨床試験は難治性の膵臓がん患者さんを対象としたものであり、抗がん剤とがんワクチンを併用したものでした。難治性の膵臓癌で、消化管出血が生じることがあることは医学的常識です。当該患者さんも、膵臓がんの進行により、食道からの出血を来していました。あえて他の施設に消化管出血を報告することは通常行われません。また、別の施設(和歌山医大)で抗がん剤とがんワクチンを併用した患者さんで、消化管出血を起こしたことが既に報告されており、関係施設には情報が共有されていました。


このあたりの事は昨日もやったので、根本的に解釈が違う点の指摘で宜しいかと思います。でもってこの消化管出血はそもそもどの程度のものであったのかの情報が欲しいところです。これが驚くべき事にタブロイド紙に書かれています。10/15付記事より、

東大医科研病院:がんワクチン投与の1人が出血

 東京大医科学研究所(清木元治所長)は15日、医科研病院で08年に実施した「がんペプチドワクチン」の臨床試験で、ワクチンを投与した膵臓(すいぞう)がん患者1人が消化管から出血を起こしていたと発表した。医科研は出血を「重篤な有害事象」と判断して院内倫理委員会に報告したが、ワクチンを提供した国内約30の医療機関にこの事実を伝えていなかったという。

 がんペプチドワクチンは、がん細胞だけを攻撃する特定のリンパ球を体内で活性化させる治療法。開発した医科研がワクチンを全国の医療機関に提供し、食道がん、大腸がんなどで臨床試験が実施されている。

 医科研によると、患者は投与開始から2カ月後の08年12月、消化管から出血したため中止。患者は小康状態となり退院したが、入院期間が約1週間延びたため、厚生労働省の臨床研究倫理指針に基づき院内の倫理委員会に「重篤な有害事象」として報告した。患者は退院の約1年後、がんで死亡。同じ試験に参加していた5人に異常は見られず、試験は昨年5月に終わった。

 ワクチン提供先の医療機関に知らせなかった理由について医科研は「医科研病院が単独で実施した臨床試験で(他施設に)報告義務はない。以前実施された共同研究で同様の症例があり、情報は既に共有されていると考えた」と説明する。

 消化管出血は膵臓がんに見られる症状で、医科研は「ワクチン投与と出血との因果関係を100%否定はできないが、出血はがんによるものとみられる」としている。厚労省は「被験者への説明がきちんと行われていたかなどを含め調査したい」と話している。【河内敏康、佐々木洋】

ビックリするほど冷静な記事(朝日記事の後だからとくに)なんですが、この記事も合わせての事実関係は、

  1. ペプチドワクチンと抗がん剤の併用療法であった
  2. 消化管出血のために入院が1週間延びて退院した
  3. この事実は厚生労働省の臨床研究倫理指針に基づき院内の倫理委員会に「重篤な有害事象」として報告した
  4. 消化管出血を起したのは6人の治験対象者のうち1人であった
  5. この時のペプチドワクチンの治験は、この6人が対象で終了した
  6. この時の治験は東大医科研単独の治験であり、共同研究の治験は別に行なわれていた

ちなみに「重篤な有害事象」の定義もMRICに書かれており、

「重篤な有害事象」には、「治療のため入院または入院期間の延長が必要となるもの」が含まれており、具体的には、風邪をひいて入院期間が延長された場合でも「重篤な有害事象」に該当します。

つまり末期の膵臓がんの消化管出血と臨床的には判断したが、定義としての「重篤な有害事象」であるとは認め、倫理指針に基いて院内の倫理委員会に報告しています。これを他の施設に報せなかったのは、

  1. 単独研究であるので他の施設に報告義務はない
  2. 症状としてはワクチンによる副反応と判断しなかった
  3. ペプチドワクチン投与中でも、末期の膵臓がんには消化管出血が起こることは他の共同研究で報告済である事

ここも興味深かったのですが、記事と事実と考えられる事を較べます。


朝日記事 東大医科研の主張
しばらくして臨床試験をすべて中止した。 同じ試験に参加していた5人に異常は見られず、試験は昨年5月に終わった。


えらい違いで、朝日記事を読むと消化管出血に慌てふためいて治験が急遽中止されたかのような印象が植え付けられますが、実際は予定通り終了しています。社説のここも解釈によって相当イメージが変わってきます。


朝日社説 東大医科研の主張
医科研病院では出血のリスクがある患者を除くように臨床試験の実施計画を改め、被験者の同意をとるための説明文書にもその旨を書き加えた。 進行性すい臓がん患者の消化管出血のリスクは、本来はワクチン投与にかかわらず主治医から説明されるべきことです。


朝日の社説だけ読むと末期の膵臓がん患者に消化管出血が起こることが非常に珍しい症状と言うか、消化管出血がペプチドワクチンのみで起こる副反応であり、この消化管出血の報告を受けて急遽説明文書に書き加えた印象を与えます。ところが実際は末期の膵臓がんでは一般的に起こる症状であり、主治医が口頭なりで説明すれば良いレベルの物を、説明文書に加えただけと解釈するほうが正しそうです。

ここも繰り返しになりますが、


朝日社説 東大医科研の主張
被験者の選択基準を改めるのは重要な計画変更である。だが、連絡を受けなかった他の大学病院では、被験者は自発的参加の判断材料となる情報が得られなかったことになる。 以前実施された共同研究で同様の症例があり、情報は既に共有されていると考えた


共同研究時に和歌山医大から報告があり、当然の事ですがその時に消化管出血が起こることは情報共有されていますから、今回の医科研の報告の有無に関らず消化管出血の情報は既に共有されており被験者の判断材料に困る事にはなりません。従って、

    医科研はペプチドを提供した大学病院から有害事象の情報を集めていた。医科研は「報告義務を負わない」というが、被験者の安全と人権を守る観点に立てば、医科研の側からも情報を提供すべきだった。

医科研がペプチドワクチン開発に中心的な役割を果たしているのは誰も否定しませんが、消化管出血の報告は症状の重要度から積極的に提供するものではなく、さらに既に情報として共有されている程度のものであった事もわかります。この辺の事実関係が昨日の時点では曖昧だったので、確認できて非常に嬉しく思うところです。



さてなんですが10/24付朝日記事を紹介しておきます。

医科研記事、癌学会など抗議 朝日新聞「確かな取材」

 日本癌(がん)学会の野田哲生理事長と日本がん免疫学会の今井浩三理事長は、東京大学医科学研究所が開発したがんペプチドワクチンを使った付属病院の臨床試験で起きた有害事象が、ペプチドの提供先である他の医療機関に伝えられていなかったことを報じた15、16日付朝日新聞朝刊の記事への抗議声明を両学会のホームページに掲載した。「大きな事実誤認に基づいて情報をゆがめ、読者を誤った理解へと誘導する」としている。

 朝日新聞社広報部の話 記事は、薬事法の規制を受けない臨床試験には被験者保護の観点から問題があることを、医科研病院の事例を通じて指摘したものです。抗議声明はどの点が「大きな事実誤認」か具体的に言及していませんが、記事は確かな取材に基づくものです。

とりあえず日本癌学会「朝日新聞の記事(10月15・16日)に関して-- がん関連二学会からの抗議声明 --」日本がん免疫学会「朝日新聞の記事(10月15・16日)に関して-- がん関連二学会からの抗議声明 --」は内容が同じなので引用しておきます。

朝日新聞の「臨床試験中のがん治療ワクチン」記事(2010年10月15日、16日)には、東京大学医科学研究所で開発した「がんワクチン」を用いて同附属病院で行われた臨床試験に関して、大きな事実誤認に基づいて情報をゆがめ、読者を誤った理解へと誘導する内容が掲載されました。

その結果、ワクチン治療を受けておられる全国のがん患者さんに無用なご心配をおかけするとともに、今後の新たながん治療開発に向けた臨床試験に参加を希望される、多くのがん患者の皆様にも、多大なご迷惑をおかけする事態となっております。また、この記事は、がん患者さんに、より有効な治療を提供するべく懸命に努力している医療関係者、研究者、学生の意欲を大きく削ぐものであり、この分野での我が国の進歩に大きなブレーキをかける結果を招きかねません。

より良いがん治療の提供を最大の目的として設立され、活動を続けている学会としては、このような記事を容認することはできません。ここに朝日新聞に対して強く抗議するとともに、速やかな記事の訂正と患者さんや関係者に対する謝罪を含めた釈明を求めます。

なるほど朝日の反論通り、

    抗議声明はどの点が「大きな事実誤認」か具体的に言及していません

これは間違っていません。ほいじゃ

    記事は確かな取材に基づくものです

こちらを考えて見ます。朝日の取材がどれぐらい時間をかけて行われたものかですが、BTJ /HEADLINE/NEWS 2010/10/22 THE PRIME MAIL 第1495号にありますから引用しておきます。

 医科研の関係者に話を聞くと、朝日新聞の取材は1年以上前に始まっています。取材の過程で医科研は何度も上記のような点を説明し、対応に問題はなかったと主張したといいます。しかし、朝日新聞が医科研に送付した質問ファクスと記事を見比べると、最初に記者が立てたストーリーを全く見直していないことが分かります。

1年以上もかけた入念なものであった事が確認できます。満を持してのキャンペインに打って出たとの表現が相応しいと思います。そこでここまでで判明した事実関係を改めて整理しておきます。


項目 朝日の主張 東大医科研の主張
消化管出血の捉え方 消化管出血はペプチドワクチン治験に関する重大な事象である 末期の膵臓がんで消化管出血はありふれた合併症状である
報告の考え方 医科研は「報告義務を負わない」というが、被験者の安全と人権を守る観点に立てば、医科研の側からも情報を提供すべきだった。 ありふれた症状である上に既に報告済みの症状である
報告の影響 連絡を受けなかった他の大学病院では、被験者は自発的参加の判断材料となる情報が得られなかったことになる。 先立って行われた共同研究で報告され、情報共有はなされている
治験の行方 しばらくして臨床試験をすべて中止した。 同じ試験に参加していた5人に異常は見られず、試験は昨年5月に終わった。
ワクチンの開発者 今回の治験に使われたペプチドワクチンは東大医科研の中村教授が開発した 中村教授はペプチドワクチンの権威ではあるが、今回のワクチンは別の研究者が作成した
医科研の役割 国の先端医療開発特区では医科研はペプチドワクチン臨床試験の全体統括を担う 特区としてペプチド供給元となる責任者の立場
消化管出血の説明 医科研病院では出血のリスクがある患者を除くように臨床試験の実施計画を改め、被験者の同意をとるための説明文書にもその旨を書き加えた。 進行性すい臓がん患者の消化管出血のリスクは、本来はワクチン投与にかかわらず主治医から説明されるべきことです。


さらにの記事がどうもあるようです。10/21付記事で「がんワクチン臨床試験問題 患者団体「研究の適正化を」」と題した記事があるらしい事がわかります。ストーリー的には患者団体からの不安の声みたいなプロットです。この元記事が見つからなかったのが遺憾ですが、10/22付の東大医科研「大丈夫か朝日新聞の報道姿勢」に厳しい指摘が掲載されています。朝日が引用したのは10/20付がん患者団体有志一同「がん臨床研究の適切な推進に関する声明文」のようですが、


朝日記事 がん患者団体
有害事象などの報道では,がん患者も含む一般国民の視点を考え,事実を分かりやすく伝えることを求めている。 臨床試験による有害事象などの報道に関しては,がん患者も含む一般国民の視点を考え,誤解を与えるような不適切な報道ではなく,事実を分かりやすく伝えるよう,冷静な報道を求めます。


実に見事な「編集権」の行使で、

    誤解を与えるような不適切な報道ではなく

これを見事に削除されています。もう一つ元記事の箇所が不明だったのですが、朝日新聞社に対する抗議文提出のお知らせの中に、

第2 掲載記事にねつ造の疑いがあること

 また、掲載記事には「記者が今年7月、複数のがんを対象にペプチド臨床試験を行っているある大学病院の関係者」に取材した旨の記載がございます。

 東京大学医科学研究所で、改めて独自に調査を行い、「複数のがんを対象にペプチド臨床試験を行っている大学病院」に該当するすべての大学病院に問い合わせを行ったところ、今年の7月に記者から取材を受けたのは大阪大学のみということが判明した、と連絡がありました。ところが、大阪大学で取材を受けた関係者は掲載記事に記載されているような回答は全くしておらず、取材をした記者に対して電話で抗議したとのことでした。

 このように、掲載記事は十分な取材活動に基づいておらず誤りがあるうえ、ねつ造の可能性が極めて高いと思われます。

ここは著作権に関る「高度の創作性」に該当する部分でしょうか。さすがに1年以上かけて練り上げた代物で、

    記事は確かな取材に基づくものです

ここまで言い切れる自信が凄いと思います。1年かけて何を取材していたか首を捻るばかりです。現在までの朝日記事を巡る構図は、


1st Stage 朝日がスクープと判断し報道
2nd Stage 東大医科研が抗議、学会も連動
3rd Stage 朝日は「記事は確かな取材に基づくものです」と抗議を一蹴


ここでトバッチリ食ったのが、ペプチドワクチンの製造元のオンコセラピー・サイエンス株式会社のようです。この会社は東証マザーズに上場しているのですが、朝日新聞社に対する抗議文提出のお知らせの中に、

第3 損害について

 掲載記事により当社の名誉や社会的信用は大いに毀損され、のみならず有形無形の損害や影響が発生しております。当社株価は一時ストップ安となり、当社の企業価値として約83億円の損失となりました。

 当社の株価以上に、重要な影響を受け、我々として最も我慢できなかったのは臨床試験に参加くださっているがん患者さんに対しての影響です。貴社の報道で不用意に不安を煽りたてられ、問い合わせが殺到いたしました。患者さん・治験施行施設・医師の対応に忙殺され、小さなベンチャー企業である当社は大変混乱し、業務に甚大な支障がありました。

金銭に換算できる実害が生じていますから、扱いはどうなっていくのでしょうか。下手すると風評被害の可能性も出てくると思うのですが、この辺の法的対抗措置については残念ながら詳しくありません。ただオンコセラピー・サイエンス社は、

当社としては、貴社に対する法的措置をとるべく弁護士と協議中であることを念のため申し添えます。

「4th Stage」以降はあるのでしょうか。一つ言えるのは朝日はこの事件で先導しましたが、現在のところ追随するメディアはあまり出ていないようです。つうか私の目には余り止りません。その点は朝日の誤算になっているかもしれません。形勢不利と見てダンマリ作戦に転じるのか、それとも1年以上の取材成果を発揮して東大医科研の抗議を粉砕するのかも見所になりそうです。

情報追加 19:13

10/15付オンコセラピー・サイエンス「「本日の一部報道について」(続報)」より、

 先にお知らせいたしましたように、本日、一部報道機関において、がんワクチンに関する報道がでておりますが、その後の調査の結果、報道されたがんワクチンは、当社が現在治験を実施中のOTS−102を含むペプチドワクチン製剤や当社が関係し施行しているペプチドワクチン製剤ではないことが判明致しましたのでお知らせいたします。

ありゃ、オンコセラピー・サイエンス社は今回の騒ぎには基本的に無関係だったようです。そりゃ怒るでしょう。

luckdragon2009luckdragon2009 2010/10/26 08:30 利益相反問題の言及が追加になってました。
> http://blog.hashimoto-clinic.jp/201010/article_5.html

株のストップ安の損害賠償問題もありますが、株が絡んだ場合は、第三者による売り抜け、買い戻しの利益簒奪問題、また株取得に関しての経営権への悪影響もあります。(風評被害の株式関連問題)
法務部が関連した場合には、こういった問題(ベンチャーなのでストックオプションもありますが)が考察にあがっていると思われます。

商業登記簿閲覧している時間がないので、該当の経営者の経営構成権限については、不明です。

あと、名誉棄損関係では、主張の抗議などを、朝日が、特定の記載部分を外して記事にしているのも、かなり気になります。(前日の最初コメントのリンクエントリーにあります。)

利益相反行為(スポンサー配慮)は憶測も強くなってしまいます。
これは、情報公開ができない企業の守秘問題もありますので、第三者による分析は限界もあります。(私も、とある会社の株主ですので、こういう問題には、少々敏感になったりもしています。)

登記簿は公開事項ですが、研究関係は、結構守秘問題はあるでしょう...。

luckdragon2009luckdragon2009 2010/10/26 08:35 患者さんの不安の声は、これかな?
> http://blogs.yahoo.co.jp/mdsisyoku/27062001.html

luckdragon2009luckdragon2009 2010/10/26 08:40 すみません。本日のエントリー内に記載、ありましたね。
> 名誉棄損関係では、主張の抗議などを、朝日が、特定の記載部分を外して記事にしているのも、かなり気になります。(前日の最初コメントのリンクエントリーにあります。)

luckdragon2009luckdragon2009 2010/10/26 08:51 オンコセラピー・サイエンス社、文中から引用
> http://www.oncotherapy.co.jp/news/20101022_01.pdf

***
東京大学医科学研究所で、改めて独自に調査を行い、「複数のがんを対象にペプチド臨床試験を行っている大学病院」に該当するすべての大学病院に問い合わせを行ったところ、今年の7月に記者から取材を受けたのは大阪大学のみということが判明した、と連絡がありました。ところが、大阪大学で取材を受けた関係者は掲載記事に記載されているような回答は全くしておらず、取材をした記者に対して電話で抗議したとのことでした。
***

うーむ。取材してないどころか、記者にも抗議してますねえ。
これは、紙面、ないし、広報から謝罪あったんでしょうか?

大阪大からも、何か言われそうな気がしますね。

YosyanYosyan 2010/10/26 08:57 luckdragon2009様

ご紹介されたリンク先のお話は面白いですが、どうしても陰謀論になりますね。記事の内容的には速報性が重視される性質のものではないにも関らず、一般的に大きく耳目を集めているはず(読者も知りたいとおもっているはず)のチリの落盤事故救出ニュースを押しのけたのに何らかの意図を見出す事になります。

ここは半分お遊びですが、リンク先の記事がチリ落盤事故との関連に連想して、事業仕分け(つうか来年度予算編成)に絡めているのも面白いところです。そうなると当初の朝日記事が後半に異様に強調した治験の国家管理が何らかの意図を持っている事になります。ここも陰謀論を膨らませれば、ものになりそうなベンチャー企業のペプチドワクチンを誰かが買収したいがためみたいな話にも広がります。

これは陰謀論ですから根拠は何もありませんが、この問題が大きく点火すれば新たな情報が出てくるかもしれません。もっともそういう方向への展開は朝日にとっても好ましく無いので、必死でブレーキはかけるでしょうけどね。陰謀論がなくとも痛くもない腹を探られる事になり、かつ潔白を立証しようがなくなりますから。

元ライダー元ライダー 2010/10/26 09:57 言葉を粗末に扱ったことを朝日に付け込まれたとしか思えません。もちろん「有害事象」のことです。もっとも、有害事象を「投与された被験者に生じたすべての好ましくない又は意図しない疾病又はその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいい、当該治験薬又は当該市販後臨床試験薬との因果関係の有無は問わないものである。」と粗末に定義したのは新GCP省令に関係した局長通知ですが。

医療関係者の間では「治験薬との因果関係を問わない有害事象」ということが常識であっても、新聞記者・読者・患者には「(治験薬による)有害事象」と誤解釈させるのに十分な言葉です。膵がんという疾病の一症状ともいえる消化管出血の有無はデータとして把握すべきですが、それを有害事象に含めたのは安易でした。インフルエンザ治療薬の治験において「頭痛」を有害事象として扱うようなものです。

「有害事象」のように一見日本語に見える専門用語は医学分野ばかりでなく他分野でもマスコミに悪用されやすいですから注意が必要です。経済学分野の様に都度解説が必要なカタカナ用語を多用するのも悪用防止の一手段かもしれません。

BugsyBugsy 2010/10/26 11:06 また嫌な時期に報道しましたね。

今は文部科学省科研費の申請シーズンです。
年々書類がうるさくなり 利益相反問題や産学協同研究などがあれば細かくチェックします。こういった報道が少しでもあると 研究担当事務官がびびるし、監査のシーズンでは文部科学省や会計監査院が当然のごとく目をつけて お土産が見つかるまで関係者一同は返してもらえません。あれをやられた経験がありますが、仕事もできず、学会出張も急遽とりやめとなり 大層しんどかったですね。

事実関係とはべつに 後々ボディーブローのように効いてくるんです。

BugsyBugsy 2010/10/26 12:02 そう言えば 報道で褒められても迷惑です。

自分が兄事する他の大学の教授の研究が「夢の研究」と新聞の科学欄でもてはやされた事があります。
さっそく学会でお目にかかったおり、素直に凄いですねって挨拶をしましたが、随分渋い顔をされていました。

あの後患者が押し寄せて まだ動物実験の前の段階なのに癌が内服薬だけで簡単に消失すると勘違いされ、左程でも無いと知るや詐欺まがいの行為であると随分投書されたそうです。

一方で同じ研究分野の関係者の注目も当然集めましたが 報道内容と研究発表と些細な部分、結果が食い違ったため まずは疑ってかかられるわけです。或いは患者を不用意に扇動する研究者として信用はがた落ちです。当然各種研究費の申請においても点数はかなり辛かったそうです。

やはり取材を受けてろくなことがないと ぼやいていました。褒めて書いた記事の訂正記事なんて新聞社が引き受けるはずもありませんから。

YosyanYosyan 2010/10/26 14:06 Bugsy様

本当に縁が無いので実感が乏しくて申し訳ないのですが、

 >文部科学省科研費の申請シーズン

これは俗に言う研究費の事ですよね。今のシーズンに申請されると言うのは、申請をとりまとめて来年度の予算要求に結びつけるためと考えてよいでしょうか。たぶんですが、東大医科研のペプチドワクチンの研究もこの予算に依存している部分は大きいとは思います。私の知る限り、治験段階の薬剤を販売するわけにはいかないからです。

今回の朝日の取材は長期取材である事は判明しています。記事にする時期はかなりの幅を持って対応できるわけで、比較的ニュースが少ない時期に持ってきても良いわけです。記事の価値的には朝刊トップだったそうですし、記事に連動して社説まで展開しているわけですから、可能な限りインパクトの高い時期に発表したいはずです。

記事の内容的にあからさまに名指しで医科研だけではなく、中村教授、関連のベンチャー企業まで叩いたのですから、相当な自信であったのは間違いないでしょう。時期も御指摘の通り、来年度以降の研究に下手したら致命的な影響を及ぼす時期ですから陰謀論の温床だけは十分ありそうな気がしてきました。

もう一つ、医科研以下がこれだけ血相変えて猛反発している理由もそこなんでしょうね。たぶん関係者にしてみれば、今後の国産ペプチドワクチン開発の命運に関る大事件と言うか、降って湧いた災難みたいなものかもしれません。それなら、なおさら中途半端な決着ではなく、法的手段も含めた積極的な行動を取っていくと考えられます。黙っていると疑惑を認めたとされて、科研費ごと吹っ飛びかねません。こりゃ全面戦争になっても不思議ありません。

luckdragon2009luckdragon2009 2010/10/26 14:27 陰謀論は分かりません。

が、先程紹介した、患者さんのブログ、41患者団体が声明を出した点。研究団体が血相を変えて反論している件、ベンチャーの抗議の件。

少なくとも、この報道が、研究成果に致命的な打撃を与えそうな懸念は、非常に強く想起される訳です。
研究費の配分次第では、製品化が大幅に遅れる可能性だってある訳ですので。

まあ、そういう意味では、陰謀論に傾くのは本意ではないが、十分に素地がある騒動だと言えると思いますよ。

あと、利益相反の問題って、こういう産業に属している人間は、給与、研究費をどこかから得ている訳ですから、完全な「利害関係人否定」はできないんですよ。
また、悪魔の証明の通り、ない事の証明ってのはできませんのでね。

実際、朝日の報道に最初のバイアスを与えた人間が、現在の研究に反対する意見を持っている立場の人間である可能性はあります。利害関係人ではなくてもね。

ま、憶測にすぎませんし、証拠もないので、単なる推理話ですけど...。

BugsyBugsy 2010/10/26 14:31 >申請をとりまとめて来年度の予算要求に結びつけるためと考えてよいでしょうか。

その通りです。一度ケチがついたり採択されなかった研究が2度と採択されるということは稀で 同じく教授仲間からなる審査員が大幅に変わらない限り無理だとされています。

一方でいかなる理由であれ 途中で研究遂行を止めて研究費を返上と相成った研究者が 2度と科研費を採択されることは一生ありえません。そうなると大学にいられなくなるのです。競争者が黙ってないからです。研究グループのメンバーも同様です。

BugsyBugsy 2010/10/26 14:59 続けますと

今回の事例は文部科学省や厚生労働省の立ち入り調査は必発で研究資料をひっくり返して調べなきゃいけません。

いくら研究グループが正当性を主張しても事務方がびびり、研究申請を握りつぶすということをよく耳にします。学内で取りまとめる場合、罫線がないとかフォントが違う、あるいは右揃えの数字にしろとか申請規定にない事を何度も指摘してつき返し、申請に間に合わせないようにすることは実に簡単だからです。

どこの大学でも今週中で学内締め切りが終了のはずです。大規模な研究で枝葉になる研究も多いはずで大変なことになるはずです。医科研が猛反発するのも当然です。早く正当性が公的に認められないと ごっそりと研究費がなくなるからです。当然ポスドクや研究員の雇用計画にもひびいてきます。

YosyanYosyan 2010/10/26 15:10 Bugsy様

 >一方でいかなる理由であれ 途中で研究遂行を止めて研究費を返上と相成った研究者が2度と科研費を採択されることは一生ありえません。

ふぇぇぇ、厳しいですね。大袈裟に言うと今回の報道は、東大医科研のペプチドワクチン研究グループの存続がかかる大事件と考えてよいわけですね。ここで踏ん張らないとまさしく後がない上に、そのための時間もまた乏しい事になります。そうなれば事態は急展開する可能性は十分にあります。

東大医科研にすれば残されている道はわずかで、

 1.朝日が誤報を認め速やかに謝罪する
 2.誤報を認めないのなら記事を徹底的に粉砕し、朝日に事実上の白旗を揚げさせる

なるほど珊瑚事件をわざわざ持ち出した理由が良くわかりました。医科研の目標は例の記事を第二の珊瑚事件に追い込まない限り、息の根を止められる可能性が大と言う事です。それも短いタイムリミットでです。朝日がそう簡単に折れるとは思いませんから、こりゃ大変です。誰かの陰謀とかの話は置いといても、状況は非常に切迫しているのだけはよくわかります。

luckdragon2009luckdragon2009 2010/10/26 16:46 日本って、懲罰的賠償額請求って、判例ないんですよね。
民事裁判で、賠償額請求を高額に出来ないとすると、研究費を賠償金で賄えないから、朝日に謝罪させるしか、道がないんでは...。

83億の賠償って、真面目に請求したら、朝日新聞、どうなるのかな?
他の報道機関、なまじ口挟んで、巻き添えになりたくないでしょうねえ。

何か、そら恐ろしくなってきた。

YosyanYosyan 2010/10/26 19:18 luckdragon2009様

情報追加としてあげましたが、朝日が問題としたペプチドワクチンは中村教授が開発者でなかっただけではなく、オンコセラピー・サイエンス社が製造したものでもなかったようです。これが報道で83億円も株価が下がったら怒るでしょうねぇ。それでも朝日の姿勢は、

 >記事は確かな取材に基づくものです

これを貫くようですから、う〜ん、う〜んです。早く朝日の反論を聞きたいと思うようになってきました。

luckdragon2009luckdragon2009 2010/10/26 19:59 今、オンコセラピー・サイエンス社のニュースリリース見てきました。
確かに、続報(10/15に出てたんですね。続報。)で、弊社製品ではない、となってました。

いやー、一体朝日新聞は、一面を使って、何を伝えたかったんでしょうか?
誤爆も誤爆、当て外れもいいところなんじゃないですか?

luckdragon2009luckdragon2009 2010/10/27 04:24 > http://opinion.infoseek.co.jp/article/1072
名指しされた研究者(既に無関係状況が判明していますが)、そもそも、オンコセラピー・サンエンス社の利益関係は、既に解消済み(というより、関係分を寄付までしてる...)ですね。

...いったい、朝日は何をやりたかったんでしょうか?

> http://opinion.infoseek.co.jp/article/1065
患者さん視点の意見、ここにもありましたね。

YosyanYosyan 2010/10/27 08:36 今回の朝日記事を醒めて読めば、消化管出血の報告の点は取り上げようによっては賛否両論になる部分があります。私も書きながら「わかりにくいだろうなぁ」と素直に思いました。それでも致命的な大問題として取り上げるには少々無理があって、せいぜい疑惑の匂いを漂わせながら、「開かれた治験体制が重要だ」ぐらいで鉾を収めておくぐらいが妥当なラインンのように思っています。

どうも朝日の判断は「これは決定的」としたように感じています。決定的と思い込んだら枝葉が茂ったのだと考えています。インパクトとして利権問題が絡めば非常に効果的ですから、そちらに爆撃の方向を広げたのだと考えています。そしてターゲットになったのが中村教授とオンコセラピー社です。中村教授とオンコセラピー社にはつながりありますから、ここを叩けば効果的と考えたのだと思われます。

ところが中村教授もオンコセラピー社も今回のペプチドワクチンには直接的には無関係であったわけです。そりゃ間接的にはペプチドワクチン関連ですから、まったく無関係とは言えないかもしれませんが、朝日が爆弾の雨を降らすほどの関係はなかった事になります。これは誤爆の謗りを受けても仕方が無いように感じます。

それと陰謀論とは逆の読みになりますが、これほど猛烈な抗議がすぐさま巻き起こるのも計算外だったかもしれません。猛烈な抗議の背景には文科省科研費の関係があるとしても良いですが、この記事での取材の杜撰さを考えるとむしろ知らなかった可能性も出てきます。東大医科研にすれば、全力をあげても叩き潰す記事になるのは想定外であったんじゃないでしょうか。

それに伴う計算外として、朝日が煽動すれば他者が雷同する構図が実現しなかったのもあると思います。雷同すれば既に世論ですから、事実関係の説明が医療関係者以外には難解な消化管出血問題は「疑惑」として容易に固定します。ところが朝日記事は中村教授の件もオンコセラピー社の件も、ついでに言えば患者団体の件もミソがついていますから、どこも積極的には乗ろうとしなかったのは大きいような気がします。

まあ科研費がかかってますから、朝日もヤケドをする可能性はありそうですね。医科研も嫌でも角の立つ決着を必要としそうですし。

luckdragon2009luckdragon2009 2010/10/27 08:46 これは記者本人が素直に、誤爆を認めて、謝って、盛大に記者会見するのが、朝日にとっても、関係各所にとっても、一番選ぶべき選択肢、のような気がしてきました。

時には誤りを認めてしまうのも、一番傷が浅くなる方法のような気がします。

luckdragon2009luckdragon2009 2010/10/27 08:49 朝日だって、いろんな会社の謝罪会見、たくさん見ているわけですから、それに習って、謝罪会見の手本、という姿を見せてはいかがでしょうか?

> 該当の報道機関の担当部署 様

SORASORA 2010/10/27 12:31 署名活動始まりましたね。
http://iryohodo.umin.jp/

luckdragon2009luckdragon2009 2010/10/27 14:42 あ、署名してきます。(もちろん、実名の方で。)

nn 2010/10/28 01:44 大野事件とか「たらい回し」とかの報道なら、まだ
「新聞記者は無能だな」「この程度が記者の限界なんだろうか」とか思えましたが、
今回の件は経緯からいって、何らの擁護も成り立たないですね。
単に無能で事実誤認してるのとは異なる、決定的に邪悪な意思が丸出し。
最近のマスコミの問題行動の中でも特に気分が悪いです。
無知による誤報とは全然違う捏造記事なので、書いた記者は即刻クビにしてほしい。