新小児科医のつぶやき

2011-01-13 ボタン電池の誤飲

私の知識のアップデートにお付き合い下さい。ボタン電池についてはかつては中に含まれている水銀の問題であるとか、同じように含まれているアルカリ水溶液が問題視されていました。簡単には電池の皮膜が腐食して溶け出したら水銀中毒であるとか、穿孔の危険性です。これについて当時聞いた知識では、その対策としてそうは簡単に皮膜が破損しないように改善されたです。

つまりは噛み砕いてでも飲み込まない限り、経過観察で通常は大丈夫との情報です。これを聞いてチョット安心した遠い記憶があります。実はそこからアップデートは怠っていました。理由は何故か幸運な事に1例も遭遇しなかったからです。たぶんボタン電池は怖いの知識が普及して注意される方が増えたのもあると考えています。

ただ調べてみると、どうも私の知識はかなり古色蒼然たるものになっているようです。遭遇した事は無いとは言え、いつ来るかわかったものではありませんから、これではいけません。恥ずかしながら大失態をやらかさないように勉強させて頂きます。


とりあえずですが、「ボタン電池 = 水銀電池」すらかなり古くなっているようです。今でも水銀電池はあるそうですが、安全性からもかなり少なくなっているようです。ここでなんですが、ボタン電池の種類の見分け方を示しておきます。見分ける指標は表面に書いてある型番で、LR44、CR2032みたいなやつです。このうち2番目のローマ字は電池の形を現し、Rはround(円形)でボタン電池ならすべてRと思って良いかと思います。

注目したいのは最初のローマ字です。これが電池の種類になります。ボタン電池も一次電池と二次電池があるのですが、二次電池はまず縁がないでしょうから、一次電池の分類を紹介しておきます。出典はwikipediaです。


記号 電池系 陽極 電解液 負極 電圧(ボルト)
B フッ化黒鉛リチウム電池 フッ化黒鉛 非水系有機電解液 リチウム 3.0
C 二酸化マンガンリチウム電池 二酸化マンガン 非水系有機電解液 リチウム 3.0
G 酸化銅リチウム電池 酸化銅(II) 非水系有機電解液 リチウム 1.5
L アルカリ電池 二酸化マンガン アルカリ水溶液 亜鉛 1.5
M 水銀電池 酸化水銀(II) 酸化亜鉛の水酸化カリウム溶液 亜鉛 1.35
P 空気亜鉛電池 酸素 アルカリ水溶液 亜鉛 1.4
S 酸化銀電池 酸化銀 アルカリ水溶液 亜鉛 1.55

「M」と書いてあるのが昔からの水銀電池になるようです。それでもって現在問題になっている(多く売られているにもなります)ボタン電池はアルカリ電池とリチウム電池、すなわち「L」「B」「C」「G」が注意となっています。なんかどっかの予防接種みたいで覚えやすいですが、BCGのリチウム電池と「L」のアルカリ電池についての警告が為されています。わかりやすいのは日本小児外科学会のリチウム電池に関する警告があります。

 最近、ボタン型電池の事故の報告がふえております。

 こどもは何でも口に入れ,誤って吸い込んだり飲み込んだりします(異物の誤嚥・誤飲).こどもが誤って飲み込むものの中でもボタン型電池はあらゆる小型の機器に使用されており家庭にたくさんあるため,事故の多いことで知られています. アルカリ電池は胃の中に入ると放電し,胃の中の胃酸で被覆されている金属が腐食され,電池の中にあるアルカリ性の物質が流れ出て胃の壁を損傷することが警告されてきました.

 最近多用されているリチウム電池は放電能力が高く,電池の寿命がきれるまで一定の電圧を維持する特性があります.このため誤って飲み込んだ時は消化管の中で放電し,電気分解によりマイナス側にアルカリ性の液体を作ってしまいます.アルカリ電池のように金属被膜の腐食によって電池の内容が流出するのではなく,電池の外側にアルカリ性液が生成されるわけです.金属被膜の腐食には時間がかかりますが,放電によって危険な液体ができるため,リチウム電池では30分から1時間という非常に短時間でも消化管の壁に潰瘍を作ってしまうことが報告されています.また,金属被膜が腐食するには胃液が必要ですが,放電はどこでもおこります.つまり胃の中に限らず,食道でもアルカリによる消化管壁の損傷がおこることになります.リチウム電池は間違って飲むとアルカリ電池よりもさらに危険と言えます.

 ボタン型電池,特にリチウム電池は決してこどもの目に触れないように管理して下さい.電池の表面を加工していないボタン型電池を万一飲み込んだ時には,急いで取り出す必要がありますので,できるだけ早く小児外科のある施設に行って下さい.リチウム電池は一般に直径の大きいものが多く,食道に引っ掛かることが多いのですが,胃の中に落ちていることもあります.これらの電池を取り出すには内視鏡を使う必要があります.小児外科施設には通常このような事態に対応できる器械,施設が備わっています.早ければ早い程いいので,直接小児外科施設に連絡されることをお勧めします.

 使い切って放電してしまった電池ではこのような早期の危険はありません.しかし,食道に留まっていると圧迫による穿孔を来すこともあるのでやはり取り出す必要があります.胃の中に落ちている時は,使い切っていることがはっきりしていれば自然に便と一緒に出るのを待ちますが,新しいものか古いものかはっきりしないときは取り出したほうが安全です.

 電池メーカーの皆様にもこの事実を認識していただきたいと思っております.使用上の注意を喚起していただくと同時に危険性をできるだけ回避できるように工夫をしていただきたいものです.

これだけで十分なんですが、ちょっと解説を入れておきます。アルカリ電池とリチウム電池では被害を起す作用機序が少し違うようです。共通項もあるのですが、整理しておきますと、


日本小児外科学会の警告
リチウム電池 アルカリ電池
記号 B、C、G L
電解液の影響 あまり無さそう 胃の中に入ると放電し,胃の中の胃酸で被覆されている金属が腐食され,電池の中にあるアルカリ性の物質が流れ出て胃の壁を損傷
電力による問題 消化管の中で放電し,電気分解によりマイナス側にアルカリ性の液体を作る。この液体は30分から1時間という非常に短時間でも消化管の壁に潰瘍を作る危険性がある アルカリ電池では大きな問題にならない様子
損傷部位 消化管全般 胃酸のある胃のみ
大きさ 大きいので食道に引っかかる危険性が高い 小さいので胃の通過時間が問題となる


アルカリ電池でもアルカリ性の液体を作って問題になりそうなものですが、アルカリ電池が放電するのはあくまでも胃酸の影響であるのと、もう一つは電圧が小さい事が関連している可能性を考えています。それと電池の皮膜が損傷するのは胃酸による影響だけのようで、そこを過ぎると問題としては小さくなるようです。

リチウム電池は胃酸の中でも放電するでしょうが、問題は胃以外でも放電するのがところのようです。どこかで滞留してアルカリ性の液体を局所性に量産すれば、そこの消化管壁に損傷(潰瘍、穿孔)を起す危険性があるのがさらに危険であるという感じです。だからボタン電池を誤飲すれば

    できるだけ早く小児外科のある施設に行って下さい

一般向けの警告としてはそれで十分なんですが、小児外科なんてそこら中にありふれている診療科ではありません。ここはとりあえず救急ぐらいと解釈しても一般向けでは良いと思います。



私もこの程度の知識で満足しても良いのですが、神戸ですら小児の救急は手薄になりつつありますから、医師としての知識がもう少し欲しいところです。とりあえず一番の問題は、誤飲したボタン電池がリチウム電池として、どの部位に留まっているのかが問題になると考えます。マグネットカテで除去を考えるにしても、届くのは食道から胃までです。十二指腸に流れてしまえば、手術でも行なわないと手が出し様がなくなります。

それとボタン電池が十二指腸まで流れれば、後の腸管の流れはスムーズで、放電中のリチウム電池といえども、1ヶ所に滞留さえしなければ、さしたる害は出ないと考えて良さそうです。

そうなると問題は食道と胃になります。食道は素直に危険と考えます。食道壁は薄いので、ここに滞留してしまえば潰瘍から穿孔は十分に起こりえますから、緊急性が高いとして救急に即受診を勧めるべきと考えます。いや救急車を使っても大げさすぎないかもしれません。リチウム電池は大きさから食道に引っかかる危険性が高いとありますから、食道にあれば電池の種類が不明でも要注意としておくべきでしょう。


では胃はどうかになります。これが微妙な判断になりそうです。胃も通過時間は、通常はそんなには長くありません。小児外科学会の警告では胃でもすぐとなっていますから、胃であっても救急にしてよいとは思いますが、胃については見解は若干割れているようです。これは日赤和歌山医療センター救急集中治療部千代孝夫先生の意見です

さて「ボタン電池」ですが、介在部位が食道なら、マグネット付きカテーテル(尿カテーテルでも良い)で摘出しましょう(簡単:鎮静無し:ER常備必須)。同一部位に数時間、介在すると「びらん」発生します。これを、侵襲の大なる、全身麻酔、胃カメラ、食道鏡で摘出しないで下さい。胃内なら無処置で結構です。当初「ボタン電池」の害が喧伝されすぎた時、胃切開して摘出したという馬鹿事例がありました。

う〜ん、

    胃内なら無処置で結構です

この意見に補足しておくと、子供の安全ネットワークジャパンに、

 アメリカでは、「ボタン電池は早急に取り出す必要があるのか?」という疑問の答えを得るために、国のレベルで「ボタン電池誤飲調査」が行われました。11ヶ月の間に114例について検討し、得られた結論は「電池が胃の中に入っていれば、内視鏡による摘出や外科手術の必要はなく、48時間は観察するだけでよい」というものでした。

二つの意見で注意が必要なのは、千代孝夫先生の発言は2004年のものであり、子供の安全ネットワークジャパンが引用したアメリカの研究が年代不明の事です。千代先生はそれでもリチウム電池について直接言及されていますが、子供の安全ネットワークジャパンではボタン電池の種類が不明です。

さてこの二つの情報からどう考えるかです。先ほど胃の通過時間はさして長くは無いとしましたが、時に長くなる事があります。ボタン電池ではありませんが、10円玉がなかなか胃から流れなかった事例を私も経験した事があります。つまり胃にも場合によっては長時間滞留する可能性はあり、滞留するかどうかは予測は難しい事になります。

アルカリ電池であるなら、胃であっても摘出の方向性を考えておくべきだと思います。ではリチウム電池ではどうかです。ここが良くわからない点になりますが、リチウム電池は放電によりアルカリ性の溶液を作りますが、胃酸との関係はどうなんだろうかです。つまりは中和はどうかです。この点についてはっきり書いたものが見つからなかったのですが、それでも胃壁損傷は起こるのかもしれません。

そうなると実戦的な対応としては、胃まではマグネット・カテで除去が可能ですから、胃であっても送れるものなら救急に送るのが正解かもしれません。除去して悪いものではありませんし、搬送中に十二指腸に流れれば、それはそれで良いと言う判断です。それと少なくとも食道に較べて緊急性は落ちるようですから、時と場合によっては時間を置いて、場所の再確認をするのも選択枝としてありそうです。


さて私には直接関係ありませんが、前に誤飲の話をした時に出てきたエピソードを紹介しておきます。ni-ni様からでしたが、

マグネットカテで、嫌な思い出があります。
ボタン電池誤飲で、透視下でマグネットカテを挿入した時のことです。
画像上は近くをすり抜けるのに、くっつく気配がなく、
結局は外科に御願いして全麻下内視鏡でとりました。

実物を見てびっくり。磁石に付かないのです。マグネットカテでとれるわけがありません…。
あやしい中国製のボタン電池だったので、同じものを探すことができず、
電池が古いせいか、中国製の電池だからなのか…、ついに真相はわかりませんでした。

いろんな国の製品が流れ込んでいる時代ですから、こんなシチュエーションも知識として頭の片隅にでも置いておいて損は無いと思います。いずれにしても一番重要なのは、

    ボタン型電池,特にリチウム電池は決してこどもの目に触れないように管理して下さい

知識のアップデートとしながらも中途半端な内容でしたが、不備及び不十分な点は優しくfollow頂けると幸いです。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/01/13 08:02 電池自体の放電量と言うか、電力供給能力自体は上がっているはずですからねえ。放電の危険性自体は上がっているでしょうね。

磁石にくっつかないというのは、アルミか何かだったのでしょうかね?

wikipedia - アルミニウム
> http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0

ななしななし 2011/01/13 11:15 手元のpediatric secrets fourth editionには
食道より近位なら取れ。胃より遠位ならほっとけ。としか書いてない。referenceはない。
小児外科2008.11の異物特集では食道に電池うんぬんの記載はあるが胃の記載はない。
referenceをざっと見たけど胃についての記事はなし。
知り合いの小児外科もそんなかんじでいいと言っていたのでそうしてる。

SeisanSeisan 2011/01/13 11:25 リチウム電池は瞬間給電量が大きいので、放電電流が高いためにアルカリ化を起こすようです。
アルカリ電池も電圧はほぼ同じ(だいたい1個当たり1.2-1.5v、むしろ昔の水銀電池の方が電圧は高い)なので、電圧による問題ではないはずです。

でも、磁石にくっつかない電池って、電極から電流が流れるんでしょうか、非常に不思議です。
もしかしてマグネットカテの方の問題じゃ…

あと、一般的に電池が誤嚥しやすい状況として、使用後のものを放置していることが多いですから、新品なら電流損傷の問題があっても、使用済みならあまり大きなトラブルになりにくい可能性が高い。
で、新品ならたいていパッケージに入ってますから、それを破って飲み込む可能性は低いと考えます。

と書いて、思い付いたのが、高齢者の補聴器用の電池。これ、新品でも補聴器ケースの中にむき出しでストックしていることが結構ありますねぇ。いちおう、セパレーター付きのプラケースに入って販売されていることが多いですが。

とおりすがるとおりすがる 2011/01/13 11:40 とても勉強になりました。電池の放電特性が改善されて病態も変わってきてるんですねえ。確かに電池としてはなくなるぎりぎりまで電圧が一定のほうがいいですからね。

たしかに食道はアルカリの影響も、圧迫壊死もどっちもあるし、後の狭窄や、穿孔したときのダメージを考えると早急に除去すべきだと思います。で、意見の割れている胃から下なんですが、参考までに強アルカリ誤嚥の場合を考えてみると、胃洗浄などは禁忌で可能であれば水分を取らせながら保存的に見ることになっていますよね。そういう意味からは、胃から下で経過観察の選択肢があるのもわかるような気がします。

で、アルカリの影響のほかに、胃の場合は胃酸との中和反応による発熱なんかも関係しているのかもとも思いました。中和反応って結構な発熱反応でしたよね。電池やその周囲が高温になって熱傷を起こす面もありえるんじゃないかなあと思うんですが皆様いかがでしょうか。そういう意味では酸が減少する十二指腸から下は、発熱も減るんでしょうか。

あと、手術手技的にも、食道は大変ですが、胃から下は比較的容易ですから、「手術しないで便から出たらラッキー、残念ながら穿孔しちゃったら開腹しましょう」と経過観察する考え方もあって、意見が割れてるように思います。

BugsyBugsy 2011/01/13 11:52 リチウム電池もアルカリ電池もボタン型がありますね。

どっちを誤って飲んでしまったがはっきりしないことがありそうで、悩ましいところです。
レントゲンでどちらか判るんでしょうか。

赤ちゃんもハイハイし始めると床にあるものは片っ端から口に入れようとします。だから床はフローリングにして家内が神経質に掃除していました。もちろん叱ってそのうち大きくなるとそんなことはしなくなります。オイラにとってのよく経験する誤飲とはダウン症候群の患者さんです。これは大きくなってもなかなか理解してくれないようでご両親も大変なんですよね。先日も別件で放射線科の読影室に顔を出したら 腹部レントゲンにボタン電池はおろか、ボタンや鳥の骨 卵の殻などが胃に入っていて一同声を失っていました。誤飲とは言わないのかもしれませんが。

大昔大阪の芸人さんで、金魚を飲み込んで釣り針で胃から金魚を釣り上げるっていう芸を売りものにしていたのを思い出しました。

YosyanYosyan 2011/01/13 12:35 このエントリーはとあるSNSのトピックにコメントを書こうとして拡大したものです。ちょっと特異な例になるかもしれませんが、子どもがおもちゃを壊して、その中のボタン電池を飲み込んでしまったケースです。ボタン電池の種類は書いてありませんでしたが、確認すると胃内にあったそうで。このケースは除去を行ったようですが、除去が出来る医療機関に行き着くまでにステップが必要だったようで、それまでに時間がそれなりにかかっても胃内にあったそうです。

当初、胃内にまで落ちているから経過観察でもOKのコメントを書こうとしたのですが、チョット待てよと思い返して、調べてみたのが今日のエントリーです。私が理解した範囲では食道は緊急性ありで良いと思いますが、やはり胃内は微妙な感じがします。おそらく殆んどは問題はないと思うのですが、十二指腸以下に較べるとトラブル発生率はチト上るみたいな感覚でしょうか。とくにアルカリ電池は嫌そうな感じがします。

もう一つ嫌な感じは、胃内なら除去可能の範囲と言うのもあります。十二指腸以下なら大きな侵襲が必要になりますが、胃内なら取れるので、経過観察でトラブったら厄介と言うところです。

とおりすがるとおりすがる 2011/01/13 13:01 >十二指腸以下なら大きな侵襲が必要になりますが、胃内なら取れるので

たしかにおっしゃるとおりですね。結局、そのケースの侵襲とリスクを判断して、最終的に診る医師が総合的に判断するってことなんでしょうね。胃より口側にあって、鎮静なしでマグネットカテや内視鏡で簡単に取れるんだったら念のためとっておいたほうが安心だし、暴れたりする年頃で全身麻酔が必要となると、胃から下では念のための摘出よりは経過観察の比重が上がるでしょうし、小腸まで行っちゃったらもう、経過観察で、穿孔したら開腹することにしようってことになりますね。

いまだいまだ 2011/01/13 13:18 第42回日本小児外科学会関東甲信越地方会の演題から
マグネットチューブ非接着性ボタン電池誤飲の3例
マグネットチューブで摘出できないボタン電池

http://ci.nii.ac.jp/els/110006676968.pdf?id=ART0008702149&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1294892211&cp=

ブリーチブリーチ 2011/01/13 13:38 ボタン電池に限らず、連れて来られる親御さんの意向にも影響されます。「100%大丈夫か」との保証を求められれば摘出するしかありません。処置に非協力的な乳幼児〜学童は、たとえ異物が食道にあっても非鎮静下では危険です。当院では全例、全麻、挿管の上、内視鏡的に摘出しており、回収できなかった症例はありません。小児外科医ではなく、消化器内科医が行います。麻酔医の迅速な協力がないと不可能ですが、幸い、全麻に関連した合併症も皆無です。スコープは大人用の細径で十分で、最年少は8ヶ月の乳児です。
もちろん、誤飲した異物が鋭利なものではなく、10円玉など種類がはっきりしているものは数日経過をみて、胃内に留まる場合のみ摘出します。小腸以深に流れたものはやはり排便を待つしかありません。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/01/13 15:09 論文が見られなかったので。

磁石にくっつかないボタン電池、灯台もと暗し。
> http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/comment?date=20070920

コメント欄にありました。
> ボタン電池の構造は下記URLのようで、
> http://www.hitachi-cable.co.jp/products/copper/clad/primary/index.html
> 電池容器は通常鉄にニッケルメッキのようですが、これを、非磁性体(400系ステンレスなど:ステンレスには、磁石にくっつく300系とくっつかない400系があるようです)で作ってやれば、非磁性体のボタン電池が出来ます。

みたいですね。
中国製とか、材質が違うと、多分磁石がつかない電池になります。(ステンレス、アルミ、銅とかつきませんからね。電気はステンレス、アルミ、銅なら通りますが。)

これは磁石の話。
> http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/Lecture/magnet.htm

き 2011/01/13 20:43 114例という報告はいつのものか分からないのですが、救急をしていた時に根拠としていたのは1992年のPediatricsの論文でした。
Litovitz T et al; Ingestion of cylindrical and button batteries: an analysis of 2382 cases. Pediatrics. 1992 Apr;89(4 Pt 2):747-57
米国、7年間で2382例という大規模の調査について書かれています。食道に位置する場合をまず除外し(ひっかかっている場合は潰瘍リスクがあるため速やかな除去が必要)、それより遠位(胃も含む)は保存的にみるのがcurrent management protocolとあります。
本文にあるようにボタン電池には色々な種類がありますが、ごく特殊なものを除けば日本国内で通常使用されるボタン電池は「直径11mm未満かつ1.5Vまでの小さく起電力の低いタイプ」と「直径20mmで3Vの大きく起電力の高いリチウム電池タイプ」に大別されます。前者は胃に落ちていれば自然排出を待てますし、後者は内視鏡的摘出の対象になるのではないでしょうか。

元外科医元外科医 2011/01/13 21:04 リチウムがそれほど危険とは知りませんでした(^^;
胃に入ったら放置と思っとりました。
でも家庭内にそんなにリチウム電池って多いんでしょうかね。
うちではあまり使ってないようでした。大部分はLR、SRのようです。
リチウムは何年もそのままになっているため替えた記憶がないのかも。

mimonmimon 2011/01/14 01:00 私は、ある製鉄所に勤めるものです。
ステンレス鋼の鋼種名は、SUS300台がオーステナイト系ですから磁石に付かず、SUS400台はマルテンサイト系かフェライト系ですから磁石に付きます。
ボタン電池の容器は知りませんが、その中に使われるステンレス鋼の金網のような部品ですと、SUS316L(付かない)→SUS444(付く)→SUS445J2(付く)と、変遷してきています。
磁石に付くか否かよりも、耐食性優先で、民生用としては、かなり贅沢なステンレス鋼が使われています。容器のほうも同じような感じではないでしょうか。
今度、ステンレスのセールスエンジニアに、「フェライト系の方が誤嚥したときに取り出しやすいそうだよ」と、耳打ちしておきます。とはいっても、材料の選定は、お客様のお客様がしますので、あまり期待しないでください。

麻酔科医麻酔科医 2011/01/14 04:57 おもちゃの電池ですが、簡単にプラスティックの電池入れのフタをはずせる構造じゃなくて、最近は大人がプラスのドライバーでネジを回さないと取れない構造になっています。ネックレス系も、途中で、力を加えると外れるプラスティックの部品が入っていたり、いろいろ進化しているな、、と思います。ま、電池のフタについては、きちっとはまる金型をつくるより、ネジで止めるほうが簡単だからなのかもしれません。仕事ではいろいろ嫌な目にあった異物なので、いちおう注意しました。あっというまにこどもが大きくなったのでもう飲み込んだりしませんが。
あと、食道異物というと、導尿用のバルーンをつかって上手に硬貨をとる先生がいたのを思いだします。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/01/14 08:58 私の過去の引用コメントは、ステンレスの型番が逆になってますね。
まあ、いずれにせよ、部材の材質によっては、磁石につかず、導電するものがあるという事で。

多分、磁化してマズイような部品や、プラスチックカバー付着とか、状況によっての変化があるのかも知れませんね。
> 電池系の小部品、嚥下の際の磁石付着性

家庭内の保存、で考えれば、使用前はパッケージなど、簡単に口にできないような形での保管が望ましいようですね。

いまだいまだ 2011/01/14 13:21 こんにゃくゼリー庁を主導しておられる方々には、ボタン電池は磁石に付かなければならないというガイドラインを制定して欲しいものですね。

あいるあいる 2011/10/05 02:34 今日の夕、子供が知らないうちにキッチンタイマーで遊んでおり、そのタイマーのボタン電池が無くなっていました。タイマーの電池のカバーは、回した後押さなければ開かない、少し複雑な構造になっていたのですが、何をどうしたのか、カバーが開いてしまっていました。電池はどこを探しても無く、もしかして誤飲(?)と思ったのですがその確証も無く。本人は至って元気なので一晩様子を見て明日病院に連れて行こうと思っていたのですが、一応検索して見つかったこちらのページを読むうちボタン電池誤飲の危険性を知りました。もう一つタイマーがあり、それを見ると型番がLRで、どうやらリチウム電池らしいことが分かりました。、不安を感じて救急に連れてゆき、結果レントゲンで飲み込んだ事が分かりました。「透視しながらマグネットカテーテルで取り出し」という処置でしょうか?胃の中からチューブで電池を取り出していただきました。処置中は処置室の外で待たされていたのですが、中から子供の苦しそうな泣き声が聞こえ、いてもたっても居られませんでした。ただ、こちらのページのおかげで付け焼刃ながらも情報を頂けていたので、多少は冷静に居られたような気が致します。
全く全てにおいて親の責任であり猛省して居ります次第ですが(当然処置いただいた先生からも烈火のごとくの叱責を受けました)、またそれとは別として、このページから子供の命に関わる情報を頂けました事に心から感謝しております。
本当に、本当にありがとうございました。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/10/05 05:17 磁石でくっついたようで、何よりでした。

にゃおにゃおにゃおにゃお 2011/11/12 00:55 昨日、LR41という直径5ミリくらいの電池がひとつなくなっていることに気付き、今日レントゲン撮ったらハッキリ写ってました
多分昨日の朝か一昨日に飲み込んだと思われます
すでに腸のかなり下の方にあり、はいしんち

にゃおにゃおにゃおにゃお 2011/11/12 01:10 すいません、iPhone使えてません
続きですが、今日夕方から明らかに真っ黒い、異臭を放つ便が出て、さらに一時間後に電池が出ました
電池自体何やら黒い汁を出してる感じでした
さらに30分後にやや茶色に戻りつつある便が出て、救急でみてもらうと大丈夫とのことでした
さらに2時間程してやや緑色がかった便がでました
自浄作用かなと思うくらい出ましたが、本当に大丈夫なのか心配です
電池から発ガン物質でも出ていたらと思うとこわいです 電池さえ出れば本当に大丈夫なのでしょうか
本人はいたって元気ですが、内臓に何か残留して、そのうち病気になりはしないかと心配です