新小児科医のつぶやき

2011-11-07 耐性マイコプラズマ菌

今日は純粋に臨床のお話です。今年のマイコプラズマ感染症の流行は記録的だとも言われていますが、体感的にもそうです。そいでもって小児のマイコプラズマ感染症への治療の王道であるマクロライド系抗生剤の効果が実感的にも非常に悪い気がします。うちでも、もう何人も入院となっています。混合感染でもあったのかと報告書を読んでも、やはり純然たるマイコプラズマ肺炎です。

この耐性マイコプラズマ菌の現状がどうなっているかですが、小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011から引用します。

 2000年に札幌でマクロライド耐性肺炎マイコプラズマ(macrolide-resistant Mycoplasma pnumoniae)が初めて検出された。その後、Morozumiらによると、全国の臨床材料において2003年から検出され始め(5.0%)、2004年(12.5%)、2005年(13.8%)、2006年(30.6%)、2007年には40%を超えて年々増加している。病院ばかりでなく診療所においてもマクロライド耐性肺炎マイコプラズマが増加している。

 耐性機序は、23リボゾームRNAのドメインVの点変異でマクロライドの作用点の変化により親和性が低下したためである。変異の場所は決まっており、A2063GあるいはCが最も多く、A2064G、C2617CあるいはGが続く。最も多いA2063Gは、14員環、、15員環、16員環すべてに耐性を示す。マクロライド耐性肺炎マイコプラズマに対しMIC<2であるのは、テトラサイクリン系薬とニューキノロン系薬のみである、ただし、テトラサイクリン系薬は肺炎治療後も菌の排出は続いているので、感染源となる可能性がある。ニューキノロン系薬は、今後耐性ができる可能性も懸念される。マクロライド耐性肺炎マイコプラズマが増加しているのは日本だけと考えられていたが、その後の研究で韓国、フランス、中国、ドイツ、米国でも確認されており、中国においては耐性率が非常に高い。

非常に冷静な文章なのですが、よく読めば救い様の無い言葉が並んでおり、もっとも多い耐性菌のタイプはマクロライド無効であり、有効なのはMINOかTFLXしかないと書いてあります。ただそれでも2011ガイドラインの治療は、

 2000年以降わが国においてもマクロライド耐性肺炎マイコプラズマの増加が報告されている。病院ばかりでなく診療所においてもマクロライド耐性肺炎マイコプラズマが増加している。最近では日本ばかりでなく海外でもマクロライド耐性肺炎マイコプラズマの増加が報告され注目されている。しかしマクロライド耐性肺炎マイコプラズマをマクロライドで治療した場合、平均2〜3日程度発熱期間が延長するのみで自然治癒する傾向が強い。また、マクロライド耐性肺炎マイコプラズマによって重症感染症や重篤な合併症が増加した報告を認めていないため、ガイドライン作成委員会は現時点ではマクロライド耐性か感受性かが不明時の肺炎マイコプラズマに対する初期治療はマクロライド系薬と考える。

要は耐性菌の感染症状はたいしたこと無いのでマクロライドで対処できるとなっています。これは伝聞情報なのですが、2001ガイドラインの耐性菌の検出頻度は2007年の「40%を超えて」です。ところが昨年の検出頻度は60%を既に超えているとなっています。それでも昨年までは実感的にはマイコプラズマ感染症に手間取るという感触は少なかったなので、今年の耐性菌率は飛躍的に増えているのかもしれません。

耐性菌の方が症状がマイルドであるは、日経メディカル2011年9月号抜刷となっている2011学会アップデートにある札幌徳州会病院小児科 成田光生氏の「マイコプラズマ感染症の治療において重要なこと、それは菌を殺すことではなく、新たな脅威を生まないことではないだろうか」より、

 小児マイコプラズマ肺炎患者における解熱までの日数は、プラセボ8日間に対して、マクロライド系薬投与例のうち感受性菌感染例では1日、耐性菌感染例では3日と、耐性菌に対しても臨床効果が認められた。

町医者では感受性菌か耐性菌か以前に、その患者がマイコプラズマ感染症か否かがそもそも確認できない状態で治療しています。ですからどうしても症状が長引く例が印象として強くなりますが、「耐性菌感染例では3日」でケリがついているとはちょっと思いにくいところです。また成田氏はこうも書かれています。

現在同定されている耐性菌は増殖速度の遅いリボゾーム変異菌であり、感受性菌より大きな流行を惹起する可能性は低いと考えられる。

これは町医者では手に負えない世界ですが、今年流行しているマイコプラズマ感染症の主体が感受性菌が殆んどであると言われたら、どんなものでしょうと言う感じです。


これは大雑把な感想ですが、伝聞で聞いた2010年の耐性菌率60%超えもウソでは無いと思いますし、今年がそれ以上になっている推測もそんなには外れていないと考えています。それでもって、2011ガイドラインや成田氏が書いた頃は、耐性菌へのマクロライドの有効性は「それぐらいあった」と考えます。去年ぐらいの外来での感触と合致するからです。

しかし今年は一段と手強くなった印象を抱いています。うちも第一選択はCAMかAZMですが、これではサッパリ解熱せず、フラフラになって再診する患者の数が明らかに目立ちます。うちでは方針として、そういう状態で再診すれば採血検査、胸部X-pを出来るだけ行なうのですが、とくに胸部X-p像は間違い無くマイコプラズマは肺炎です。

当初はあえてCAMで押したのですが、これが成績が悪く、入院を余儀なくされる患者が続いたので、今はTFLXに変更しています。CAM(or AZM) → TFLXの治療方針にしてから入院例は減ったのですが、それでも最近入院を余儀なくされた症例はありました。


本当に漠然たる印象で申し訳ないのですが、考えられる仮説は2つで、

  1. 耐性菌自体がパワーアップしている
  2. 耐性菌の増加率が非常に高くなり、その中の難治例が目立っている

1.については何の知見もないのですが、耐性菌自体の毒性は弱そうの傍証は耳にはしています。うちは初診でX-pを撮る事は少ないのですが、積極的にX-pを行っているところもあります。そこではX-p上でマイコプラズマ肺炎像を確認できるケースが少なかったと聞きます。うちは遅れて撮っているのであるとは言えますが、考えてみると「もの凄い」のは記憶にありません。

考えようによっては、あの時点でも「これぐらいか」の印象があります。どうも単にマクロライドが効かないので静かに増殖した結果みたいな印象です。確証的なソースは皆無ですが、耐性菌自体の毒性のパワーアップがあるかどうかはこれからの研究でしょう。

1.が必ずしも肯定的でなければ、2.の耐性菌感染の母数の増加による難治症例の体感的増加の方が筋が通りやすくなります。これも札幌徳州会の成田氏の話からですが、

マイコプラズマ肺炎は他の原因菌の発症機構とは異なり、宿主の免疫応答が関与する免疫発症である。

耐性菌の感染が大流行すれば、免疫が弱い宿主(患者)への感染例が実数として増え、外来の実感として難治例、重症例が増えている様に感じているだけかもしれません。


とにもかくにも厄介な問題で、聞く所によると成人領域でも手を焼いているとされます。小児科でもそういうところが出ているとも聞きますが、第一選択に「怪しければニューキノロン」みたいな傾向は確実に出現しているようです。ガイドラインにもあるようにニューキノロンの多用はさらなる耐性菌の誘発の危険性も含んでいます。

とは言うものの、病院と違い診療所では治るか、治らないかも問題は経営として無視できない問題です。当然ですが患者側の要求は「早く治せ」ですし、そこで将来のために「長めの我慢をしてくれ」の説得はしんどいところです。そんな説得を時間をかけてやっていたら、ホイホイとニューキノロンを出す診療所に患者は流れます。

小児でもTFLXの投与がどうやら急増している傍証として、TFLX(同時にCAMも販売しています)を販売するメーカーのMRがポロっとこぼした言葉があります。

    私:「これだけマイコが流行したらCAMが売れてボーナスがっさりでしょう」
    MR:「そんな事はないですよ。CAMは言うほどでなく、むしろTFLXが凄く伸びています」

今年と言うか、今はニューキノロンでしのいでも良いかもしれませんが、先を考えるとシンドイ気分に浸っています。上述した様に小児科の町医者では、診察だけで確実にマイコプラズマ感染かどうか確実に診断できるわけではありません(少なくとも私は自信ありません)。今年はRSウイルス感染も流行したので、目の前の湿性咳嗽(及び発熱)患者の原因菌(ないし原因ウイルス)が何かは推測の範疇です。

またマイコプラズマであっても、これが感受性菌か、耐性菌であってもCAMで対応できる範囲なのかは結果論でしか言い様が無いと感じています。安易にニューキノロンに走らない方が良いのは理屈でわかっていても、微妙な選択であるのだけはあるとは思っています。町医者がヤキモキしたところで、どうしようもないと言えばそれまでですが、どうしたものか思案中です。もっとも思案したところで選択枝は狭いんですけどねぇ。

当直明け当直明け 2011/11/07 08:31 おはようございます。当直明けです。
今シーズンのマイコプラズマ肺炎の流行、凄い勢いでしたね。おっしゃるとおりマクロライド無効例が主流です。愛子様、ようやくご退院されましたね。

>感受性菌より大きな流行を惹起する可能性は低いと考えられる

どうでしょう、この辺の現状把握は現場最前線の開業医のほうが情報が新しい気がしますが昨年までともまた状況は違うかも。今年の肺炎は例年より軽症とも思いませんし。

>マイコプラズマ肺炎は他の原因菌の発症機構とは異なり、宿主の免疫応答が関与する免疫発症である。

そう強く思います。治療に関してはステロイドの投与を検討されるべきケースが実は多くあるように感じています。

YosyanYosyan 2011/11/07 08:38 当直明け様

ガイドラインも成田氏の見解も基本的に去年までの状況をベースに考えている様に思っています。2011ガイドラインと言っても、作成されるのは2010年ないしそれ以前の状況が判断のベースでしょうし。今年の状況を踏まえて、これからの指針をどう考えていくかは注目しておく必要はあります。

元ライダー元ライダー 2011/11/07 10:18 小児科開業医の皆様

>町医者では感受性菌か耐性菌か以前に、その患者がマイコプラズマ感染症か否かがそもそも確認できない状態で治療しています。

最近、咳を主訴に来院する父母が「子供がマイコプラズマ肺炎と診断されて」とおっしゃるケースがしばしばあります。小児科で溶連菌同様にマイコプラズマの迅速検査を行って診断されたので、自分にも迅速検査をして欲しいとの希望を含意しているのかと思っていましたが、違うのですね?うちでは迅速検査はしないので断っていましたが。
それとも、「マイコプラズマ肺炎の可能性があります」→「マイコプラズマ肺炎です」との父母による脳内変換なのでしょうか?

また、マイコプラズマ"肺炎"というくらいですから、胸部X線撮影も診断に必要だと思いますが、もしかしたら、それも省略なんでしょうか?

OHSOHS 2011/11/07 10:37 今年もやはり耐性菌は増えているようですね。

http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3814.html

YosyanYosyan 2011/11/07 10:40 元ライダー様

 >小児科で溶連菌同様にマイコプラズマの迅速検査を行って診断

マイコプラズマIgM抗体の迅速検査があるはずです。ただあれは採血の上で遠心分離も必要ですから、うちでは使っていません。

当直明け当直明け 2011/11/07 10:50 イムノカードマイコプラズマ抗体というキットがあります。
http://www.tfb-net.com/iryou/products/01_03.html

IgMを引っかける検査ですが但しこの検査の感度の低さは巷では有名です。原因として前回の感染から持続的にIgM上昇例が報告されていることなどが理由だと考えています。
やはりHI抗体2ポイントでの抗体価の優位な上昇もしくは2週目以降の顕著な抗体価増加ではないでしょうか。なかなか開業医で2ポイントの採血は大変ですが。

特殊培地でないと検査できないこの細菌。どうしても検査が希望であれば川崎医科大学小児科、尾内一信教授の研究室で、PCR・遺伝子変異・最終的な薬剤感受性まで検体は郵送で行われているそうです。

うらぶうらぶ 2011/11/07 10:53 どうも不勉強でよくわからないのですが、
マイコプラズマ感染症は肺炎を伴わない、肺外病変のみのケースというのはどの程度あるもんでしょうか。
マクロライド耐性のマイコプラズマは、テトラサイクリンにも耐性を示すものなんでしょうか。

SeisanSeisan 2011/11/07 11:10 うちでも、マイコ(厳密には疑い)は相当数来ていますね。しかも、もうほとんどマクロライドが利かない(一説によると、ミオカマイシンやダラシンが利くとか。でもミオカマイシンはもう売ってません)ので、うちではMINOをメインに使ってます。TFLXも下痢が多いですしねぇ。

つか、これを書いてる間にCXpでマイコ様陰影が3人(^_^;)・・・

先日の小児感染症学会でも話題が多く、調査によっては耐性化率75%という報告もありましたから、まあ、ほとんど効かないと考えたほうがいいですねぇ。
PRSPやBLNARよりも高率に耐性化が進んでます。

もしかしたら、今の流行、国内で耐性化したものではなく、外来株なのかもしれません。

ただ、軽症例では不投薬で改善するものも多く、さて本当に抗生剤(MINOやTFLX)を投与するスキームが正しいのかどうかも要検討でしょうけど。

SeisanSeisan 2011/11/07 11:17 イムノカードマイコプラズマIgMは、血清を用いた検査になるので、採血及び遠心分離が必要になり、開業医の外来検査としてはなかなか導入しにくいですね。
一部の検査屋さんではやってくれますが、うちのところではそれもしてくれません。まあ、手間の割にコストが安いというのが主要因でしょうが。

ちなみに、マクロライド耐性とテトラサイクリン耐性はまったく別です。
昔、勤務医時代、マイコプラズマ髄膜炎、っちゅーのを経験したことがありますが、髄膜炎症状は比較的軽度で髄液所見も中等度くらいなのに、セフェムやペネムが効かず、往生したことがあります(マクロライドは髄液移行が悪い)。結局、マイコが判明してMINOが奏功して治りましたが。

うらぶれ内科うらぶれ内科 2011/11/07 11:45 Seisan さま
>マイコプラズマ髄膜炎、っちゅーのを経験したことがありますが

そこでお聞きしたいのですが、それは肺炎に併発したのでしょうか。それとも肺炎はまったくなかったのでしょうか。

>マクロライド耐性とテトラサイクリン耐性はまったく別です。

そうだろうと思います。そこで、マクロライド耐性にTFLXというのは、歯が黄色くなるのを恐れたからでしょうかね。大人では迷わずMINOを投与したいところです。値段が圧倒的に安いですから。

SeisanSeisan 2011/11/07 11:57 マイコ髄膜炎ですが、肺炎兆候はありませんでした。
ただし、入院後家族内でのマイコ肺炎があり、もしかしたら?と検査したらマイコだったという苦い思い出です。
もちろん、耐性マイコにTFLXを使うのは、MINOの小児における長期投薬に伴う歯芽黄染を避けるということと、とりあえず小児用のニューキノロンがこれくらいだということと、効いてくれるということ。成人ではあえて選択する必要はないかと思います。(小児でも8歳以上はOKと言われています)

元ライダー元ライダー 2011/11/07 12:07 皆様、回答ありがとうございます。理学所見+X線でマイコプラズマ肺炎を診断するのが一般的ということですね。ということは「子供がマイコプラズマで・・・」と言って来院した父母には、同様に理学所見+X線で「今のところマイコプラズマではありません」と言ってあげれば満足度が高そうですね。本業にとてもプラスになりました。

うらぶれ内科うらぶれ内科 2011/11/07 12:21 Seisanさま

ご教示ありがとうございます。自験例ではマイコプラズマ肺炎に伴い、結構な筋炎や肝障害を起こした例がありました。

個人的にはニューキノロンは使いにくいので嫌いです。MINOはもうちょっと使われてもいい薬だと思います。

hirohiro 2011/11/07 12:30 マイコプラズマの診断が正しくなされているのでしょうか?入院症例は別として、幼稚園などで流行というケースは当地の総合病院のキャパからしてもおそらく診療所で診断されているようで、過剰診断ではないかと感じています。
マイコプラズマIgMの偽陽性が非常に高いのをご存じない方が過剰診断をされているのではないでしょうか?キットの出始めに、まだ勤務医をしていたので、外来でキットの迅速検査とPA法を両方してみたことがあったのですが、かなり特異度は低かったと思います。結局迅速検査は入院症例ぐらいしか使わなくなりました。
診療所で回復期の2ポイント目の採血はなかなかできないですし、1ポイントで抗体が高値のケースは非常に少ないので、診療所での妥当な診断は「おそらくマイコプラズマぐらい」と思うのですが、臨床診断でマイコプラズマ肺炎と診断しているのではないかと思います。
近隣の小児科病棟がマイコプラズマ肺炎であふれているとの話は聞きませんが、保護者の間でマイコプラズマ肺炎の病名がやたらと氾濫している気がします。学校側がやたらと気にしているのもあるのかもしれません。
たしかにマクロライド耐性は増えてきていると思いますが、最近は医療者の過剰反応が増えているようにも思います。麻疹や百日咳やRSなど検査試薬がすぐ品切れになるケースが多くありませんか?

当直明け当直明け 2011/11/07 14:08 同学年、同クラスで一度に何十人もというのは稀でしょうが、潜伏期間の長さからいって縦に数珠つなぎのように肺炎による欠席する児童や生徒が続くというのはやはりマイコプラズマ肺炎が原因と言って良いのはないでしょうか、レントゲン上は見紛うことなき肺炎ですから。
マイコプラズマで学級閉鎖というのも異例ではないでしょうか。

マイコプラズマ肺炎:欠席や感染の疑い、鳴水小で学級閉鎖−−北九州市 /福岡
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111027-00000126-mailo-l40

>麻疹や百日咳やRSなど検査試薬がすぐ品切れになるケースが多くありませんか?

幼稚園年長児や小学生に検査をしてくれと言われて難儀することがあります。いや小学生が罹れば風邪ですからっていうのも・・・

当直明け当直明け 2011/11/07 14:11 迅速検査の依頼はRSウイルスの検査の件でした。保育園から調べてこいと言われたりしているみたいです。

江原朗江原朗 2011/11/07 14:22 成田先生は、大学の大先輩で、マイコプラズマの専門家です。
マイコプラズマ学会を札幌でお開きになられたと存じます。

SeisanSeisan 2011/11/07 15:11 hiroさま
イムノカードマイコプラズマIgMは上記にも書きましたが、感度・特異度が低く、しかも血清検査なので、開業医では事実上使えません。
マイコプラズマという診断はほとんどが臨床症状とCXpからの臨床診断です。
もちろん、陰影が認められるのにマクロライドが無効、ってのも判断の材料になります。

もちろん、症状が強い例に関しては、抗体検査もしていますが、1回目はまだあまり上がらず、2回目(2週間後)はもう元気になった後なので、あまり有意な結果を得られません。

そういう点では開業医として「正確な」診断はできていませんことを私はお断りしておきます。

いしのしいしのし 2011/11/07 16:03 小児科勤務医です。マイコプラズマの流行は過剰診断ではないです。逆に病初期におけるイムノカードの感度の悪さから、偽陰性と診断されているケースの方が多いのかもしれません紹介される入院症例でも入院時はIgM陰性・PA<40は多いですが、退院する4日後には活きの良い(抗体産生が良好)の小中学生ではしっかりPA抗体が4倍以上に上昇するお子さんが少なくないです。今年は春先から稀にみる大流行で、髄膜脳炎や高サイトカイン血症と思われる重症肺炎も経験しました。先月、成田先生のの講演をお聞きしましたが、マクロライド耐性化率は平成6年の30%台が最終報告でした。最近はもっと上昇しているはずです。年次経過からはAZMの発売が助長しているのではというお話でした。MINOは耐性化しない(マイコはプラスミドを入れないので)から、成田先生はMINOを勧めていました(8歳未満でも5日間以内などの短期間なら副作用無しの論文ありと)。また、LDHが480以上の症例では、ステロイドの使用を考慮とのことです。診断に関しては現在ではペア血清が基本ですが、欧米のようにIgM・IgGのEIA抗体が有益とのことでした(ちなみにPA抗体はIgGではなく、IgM分画が主体らしい)。また、やはりLAMP法による迅速検査が理想で、先月保険点数も収載されたようです。

いしのしいしのし 2011/11/07 16:08 書き忘れました。先月の小児感染症学会では、マイコの重症例についての報告が相次いだのですが、フロアーからのコメントで「マイコは基本的に自然に熱が下がるから見ていれば良い。自分のところでは最高30日間高熱が出たが、自然にさがった。」と、ステロイドを使用しなかったことを誇らしげに言われた方が見えました。その病院には入院したくないものです。

うらぶれ内科うらぶれ内科 2011/11/07 16:14 話は変わるのですが、最近テレビで盛んに宣伝していることもあって肺炎球菌ワクチンの希望者が多数です。おまけに、マイコプラズマ肺炎も肺炎球菌による肺炎も素人さんには区別がつかないものだから、もうすぐパニックになりそうですw

うらぶれ内科うらぶれ内科 2011/11/07 16:29 で、その肺炎球菌ワクチンももはや品薄で、問屋もすぐには持ってきてくれません。100バイアルも確保してあったら小遣い稼ぎになったなぁ。
オイラの記憶では、注射薬がテレビで宣伝されたことはなかったようです。なんとなく今後の医療の行き先を暗示しているようで面白い。要は目先の聞く医者が生き残っていくということかw

京都の小児科医京都の小児科医 2011/11/07 17:33 「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011」
改正のポイント
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/tt/ozex1.html

感染症の病理学的考え方
Mycoplasma pneumoniae の肺病理:閉塞性細気管支炎は気管支腔内に炎症性の栓形成による
http://blog.livedoor.jp/garjyusaiga/archives/52225104.html

マイコプラズマ+成田で成田先生の論文はいくつか検索できました。

YosyanYosyan 2011/11/07 17:36 いしのし様

 >自分のところでは最高30日間高熱が出たが、自然にさがった。」と、ステロイドを使用しなかったことを誇らしげに言われた方

ぎぇぇぇぇ、そこまで納得させて説明した手腕にも驚嘆しますが、

 >その病院には入院したくないものです

紹介もしたくないですねぇ。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/11/07 17:43 >愛子様、ようやくご退院されましたね。

どこまで、病名を宮内庁が公開するべきかの
議論があると思いますが子供はともかく
陛下の病状が気になります。
ちょっと流れがづれて申し訳ありません

SeisanSeisan 2011/11/07 18:09 うらぶれ内科さま
ワクチンのTVCMなら、ファイザーのほうが先行してます。
いわゆる肺炎球菌.jpのCMですね。
MSDの中尾彬のは、むしろ便乗CMかな?

ついでに言うと、ファイザーの後に、GSKがサーバリックスを(ごく小規模に)CMしてました。

でも、いくらマイコと診断したからと言って、30日発熱を経過観察とは…

ちなみに、LAMP法って、試薬も結構高いけど、測定器がなー、なかなか開業医には手が出る値段になりませぬOrz
そりゃ、CRPとかに比べれば(本体は)安いんですけど、使用頻度(と保険点数)を考えると、ウハクリにステップアップできなければ、元が取れません・・・

SeisanSeisan 2011/11/07 18:10 陛下のご病状ですが、最近気管支炎症状を反復していたとの由。
LKとかでなければいいんですが…

hirohiro 2011/11/07 18:36 みなさまコメントありがとうございます。
当院は、抗生剤をあまり乱用しないようにはしているつもり(それでも感染症の専門家からは怒られるレベルですが)でなかなかMINO、TFLXまでは及び腰です。冬場で忙しくなるとついつい検査なしで広域のものを使う誘惑に駆られて、耐性も考えると頭が痛いです。LAMP法おもしろそうですがインキュベーターと測定装置まで必要となるとうちではとても手が出ません。

お弟子お弟子 2011/11/07 21:49  LAMP法、温度が2度くらい違うと反応がだいぶ落ちはするけれど、温度一定に保てれば、目視で混濁度合い判定いけますけどね ← 臨床では検体内のコピー数がギリギリ少ないと言うことが少ないという前提で。
 ただ、栄研化学のHP見るとマイコプラズマのキットは25コピーから検出可能と書いてある割りに反応60分となっていましたから、プライマーの設計で抜群の物を見つけれなかったのかもしれません。30分あればだいぶ上がってくるからなぁ。でも、ま、市販キットですので用法は守りましょう。。マイコプラズマのLAMP実物を触ったことない人のいいかげんな意見でした。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20111107