新小児科医のつぶやき

2011-11-10 舞鶴のこぼれ話

2010.7.25に舞鶴ナウとして取り上げましたが、こぼれ話程度の新展開があったようです。舞鶴の経緯をまとめておくと、

  1. 平成2年には総務大臣賞を授賞するほどの経営優秀公立病院であった。
  2. 聖地化前には優秀な研修システムがあり、新研修医制度以前でも全国から研修医が集まるほどであった。
  3. しかしその研修システムは病院会計上「赤字分野」とされ市から問題視された。
  4. 他にも事情はあったようだが、スッタモンダの末に研修システムの推進医師が退職させられた。
  5. その経緯と一連のドタバタに愛想を尽かせた医師が続々退職。(平成16年頃のお話)
  6. 最後は医師1人、入院患者2人まで減少。(その後「医師ゼロ」まで進行)
  7. その後も民間売却や自主再建などでひたすら迷走。

その後の医師数がどうなったかを調べられる範囲で確認すると、


date 常勤医の確認情報
平成16年3月 内科医13人大量辞職
平成18年3月 外科系医師辞職
6月 前院長辞職(常勤医ゼロになる)
平成20年8月 内科、脳神経外科、放射線科の常勤医師5名確認(広報誌8月号
12月 新院長就任
平成21年6月 常勤医師6名確認(広報誌6月号
9月 常勤医師6名確認(京都新聞
11月 常勤医師6名確認(広報誌11月号


待望の新院長の下で経営再建に頑張るとなっていたのですが、病院経営自体は集まった6人の医師が少々頑張ったところでどうにかなるような内容でないのは舞鶴延長戦で分析しています。でもってあれから現在ですが、外来診療表を比べて見ます。比較は6人そろっていた平成19年6月1日のものと現在(9/1付)のものです。


平成19年6月1日
診療科
一般内科 副院長 副院長 副院長 T.Y 副院長
内分泌内科 * * * * 非常勤
神経内科 N.S N.S N.S * N.S
消化器内科 T.N 院長 非常勤 T.N T.N
呼吸器内科 T.Y T.Y T.Y 非常勤
循環器内科 非常勤 非常勤
整形外科 非常勤 非常勤
脳神経外科 K.I K.I K.I
平成23年9月1日
診療科
呼吸器内科 T.Y T.Y T.Y
神経内科 N.S N.S N.S
消化器内科 T.N 検査 T.N T.N
脳神経外科 K.I K.I K.I


2年前と較べても実に閑散とした外来になっています。違いは色々あるのですが、とりあえず確認できるのは院長と副院長の名前が見当らなくなっています。残りのイニシャルで書いてあるところは、2年前と同じ医師と推定可能なので現在の常勤医は4人と考えられます。院長と副院長の退職時期(たぶん退職されていると考えています)の推測ですが、舞鶴市民病院HPに平成23年3月23日付として「内科一次休日診療及び整形外科の外来診療の終了について」があります。

 当院において日曜日に実施しております内科一次休日診療につきましては、平成23年3月27日(日)、整形外科の外来診療は3月31日(木)をもって終了することになりました。

 患者の皆様には、大変ご迷惑をおかけすることになりますが、ご理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。

どうも昨年度末で退職したと考えられそうです。もう一つ傍証として市民病院医療講座と言うのが開かれています。記録に残る最終は第10回で「1月21日(金)午後3時〜」となっています。年の表示はないのですが、日付と曜日からしてこれは今年の1/21と考えて良く、ここまではアクティビティを持って活動していたと考えて良さそうです。現在の状況に変化したのは、11/8付京都新聞より、

2月に当選した多々見良三市長が見直しを求めていた。

2月に市長選挙があったようで、これはぐるっと京都からですが、


2011年(平成23年)2月6日投開票・舞鶴市長選挙立候補者
当落 得票数 氏名 年齢 職業・肩書き 党派・現/元/新
271823 多々見良三 60 前舞鶴共済病院長 無・新
15766 斎藤彰 85 元京都府議会議員 無・現


前市長はたしか市民病院再建を旗頭にしていたはずですが、再選はかなわず見直し派の新市長が誕生した事になります。この新市長が前舞鶴共済病院長と言うのも興味深いところで、舞鶴迷走中には2007年(平成19年)5月に地域医療あり方検討委員会が作られ、そこで4病院の経営統合方針が出、これを舞鶴市公的病院再編推進委員会に2009年1月に格上げしたものの、2009年10月に舞鶴共済が離脱してシナリオは崩壊しています。

時期から考えてその時の舞鶴共済の院長が新市長と考えても良いかと思います。そういう方針の新市長が登場したことで、再建路線のために招聘された院長は不要となり、ついでに副院長もいなくなり、非常勤で維持していた診療科は綺麗サッパリ打ち切られたと見ても良いかと思います。副院長も基本的に再建路線のために院長代行として就任していたはずですから、院長と同じ立場だったんじゃないかと考えます。

前市長の再建路線も現実から「どうだろう」の懸念はありましたが、再建を公約にして任期中は努力され、市長選挙で新市長が「見直し」を公約にして就任されて路線転換をされた訳ですから、これも一つの民主主義的な「住民の民意を尊重する」政治ですから、わかりやすいと言えばわかりやすいものになっています。

医療崩壊ウォッチャーからはまるでゾンビの様だとも言われた舞鶴市民病院ですが、ついに市民も再建路線をあきらめたと見ても良さそうです。ただ完全再建はあきらめたようですが、生き延びるのは生き延びるようです。京都新聞記事からですが、

赤字が続く舞鶴市民病院は一般外来を廃止し、療養病院として移転新築する

エッ、新築移転するそうです。どの程度の規模かですが、

再編に伴い、4病院と府立舞鶴こども療育センターを合わせた市域の病床数を、現行1115床から197床削減するとした。

エ〜と、この5病院の病床数は、

「現行1115床」が指す1115床が何に当たるかですが、一般病床が1100床なんでこれと思うのですが、病床数に若干の変動があるのかもしれません。ここから197床減らすとなっているのですが、舞鶴市民の175床以外に22床減らすようです。そうなれば再生舞鶴市民は療養23床になりますが、前市長の再建路線中の実病床運用数は療養42床、一般40床です。

23床、42床以外に考え方として、これも京都新聞記事ですが、

修正案は舞鶴共済病院の循環器疾患医療、舞鶴医療センターの脳疾患医療、舞鶴赤十字病院のリハビリなど各病院の特定機能を強化し、医療の質向上を目指す。

舞鶴日赤の48床を移動して90床規模で作る可能性も無いとは言えません。ただ病床を病院間で移すと言うのは手続きとして厄介なもので、そう簡単に右から左に移せるものではありません。療養病床専用病院の適正運営病床数は私にはわかりませんが、23床と90床では新築移転費用の桁が変わって来ますから、どういう構想かは気にはなるところです。

それと現在でも累積赤字は莫大だと思うのですが、その上に新築移転するそうです。ま、移転となっているので現在の敷地を売り払い、その資金で新築するのかもしれませんが、今のご時世でどれだけのものになるのかは私ではわかりません。最悪新病院には現在の負債と、新たに新病院建築のための負債が覆いかぶさるかもしれません。

ただ病院ごとなくなれば負債は舞鶴市に直接転嫁されますから、会計処理上は病院はある方が良いのかもしれませんが、そこまでの話になると私の手に負うものではなくなります。ここでもし新市長の腹が閉院であるなら、新築移転構想だけ打ち出しておいて、とりあえず現在の病院を閉院し、その上で新築移転構想を断念なんてシナリオもあるかもしれません。

再生舞鶴市民病院に幸が多からん事を祈るばかりです。

浪速の勤務医浪速の勤務医 2011/11/10 08:54 もう少し今までの研修制度を維持してがんばっていたら、新研修医制度になって
確実に「勝ち組」病院になれたでしょうに本当に残念な病院ですね。

JSJJSJ 2011/11/10 10:44 >療養病床専用病院の適正運営病床数
療養病床の1病棟当たりのベッド数は、私の勤務先も含め、たいてい40床台なので、何か合理的な意味があるんだろうと思います。
まず、思いつくのが、医師の配置基準48:1ですが、今どきの「医療区分」2、3がゴロゴロいる病院では受け持ちが40人を超えると さすがにしんどいです。
他に見つけたのは、看護職員の25:1あるいは20:1基準と、夜勤者の72時間規定です。
たぶん、看護基準と夜勤規定から1病棟の最低適正規模が計算できるのだろうと思うのですが、夜勤のことが判らなくて、明確な結論は出せませんでした。

YosyanYosyan 2011/11/10 11:18 JSJ様

 >医師の配置基準48:1

なるほど! そういうものがあるんですね。だから舞鶴日赤の療養病床は48床と見れば良いのかもしれません。単位がそうであれば、やはり舞鶴市民の療養病院計画も48床が一つの単位になって建設されると考えられ、40床台か、倍数の80〜90床程度の選択になるのかもしれません。

もちろんどうなるか不明ですが、とりあえずまだ4人の常勤医と一般40床と療養20床を賄う職員が存在するわけですから、これの受け皿病院なら80〜90床規模、新築移転に伴って縮小するのなら40床規模になるのかな?

JSJJSJ 2011/11/10 11:40 Yosyanさん
>だから舞鶴日赤の療養病床は48床
これは たぶん関係ないと思います。
というのは、回復期リハ病棟は専従医師を求められますが、医師は療養病棟と一般病棟を兼務できるので、一つの病院に一般病棟と療養病棟がある場合は、医師の融通は利くからです。
むしろ、看護師の配置のほうがクリティカルなのではないかと想像します。
ただし、療養専門病院となると、最低病床数は48に近づけたいかもしれません。

JSJJSJ 2011/11/10 11:55 ええと補足説明すると、医師の配置基準は一般病床16:1、療養病床48:1ですから、たとえば現状の舞鶴市民では医師一人で一般病床の患者8人と療養病床の患者23人を受け持つことができるわけです。

余談ですが、私はこの一般病床16:1という数字を見る度に、7:1看護基準を実現させた看護協会はえらいよなぁ、と思います。
医師も病院機能によって、1:1とか2:1とか あるいは1:2なんて配置基準を実現させるべきです。

BugsyBugsy 2011/11/10 13:42 そういえば 介護療養病床は2012年度(平成24年度)に廃止し、有料老人ホームや老人保健施設などの介護施設への転換を促す方針を厚生労働省は以前から公表しています。

介護療養病床13万床がなくなり、現時点では医療療養病床25万床という数ですが こっちに患者がなだれ込んでくれば相対的な医師不足になります。同一の病院としても医師の兼務はきついですよ。すんなり既存の介護療養病床が特別養護老人ホーム、老人保健施設などに転換できますかね。

オイラは行政も医師も少し様子を見たほうが良いように思います。

JSJJSJ 2011/11/10 16:17 Bugsyさん、
>介護療養病床は2012年度(平成24年度)に廃止
それでしたら、2017年度末まで先送りされたようですよ。www.asahi.com/national/update/0215/TKY201102150636.html
私の勤めている病院でも差し迫った雰囲気は感じません。

後半がよく分からないのですが、介護療養病床が廃止された場合、病床利用率が低迷している一般病床に流れ込む、ということでしょうか?それなら いままで48:1でみていた患者に16:1が適用されるのですから、医師不足になるというのは理解できます。
昔、一般病床と特殊疾患療養病床の患者を診ていたことがありますが、きついかどうかは、結局 合計患者数の問題でした。

BugsyBugsy 2011/11/10 18:20 JSJさま

言葉足らずで失礼しました。介護療養病床がなくなれば医療療養病床にもなだれ込んでくるのかなあと感じた次第です。それを当て込んで舞鶴では
>赤字が続く舞鶴市民病院は一般外来を廃止し、療養病院として移転新築する
となったのでしょうか。社会的入院を減らし医療費削減のが目的のはずなので 医療療養病床もどうなることやら。
ただ48:1とすれば 医師一人で48人の患者ですか、ヒェー!
オイラも短期間助っ人をしたことがありますが 基礎疾患はてんこ盛りで体力もないので肺炎は流行る 転倒も多いと自分一人で診させられたんで、ほとんど宿舎に帰れませんでした。よく脳外科の医師だと療養型病床やリハビリセンターはのんびりまったりと勘違いするむきがありますが 自分の経験上はそれは嘘で医師が一人しかいないので夜間の呼び出しはしょっちゅうでした。老人ホームよりも痴呆老人は少ないけど 転倒や急性憎悪、基礎疾患の多さには目を剥きました。
前任者が体を壊した理由がよく分かりました。

JSJJSJ 2011/11/10 18:56 Bugsyさん
療養病床の医師の配置基準は介護型も医療型も同じですから、介護型が仮に医療型に転換されても医師の需要は増えないはずです。
あと、病院の医師数の算定方法というのを見つけました。www.med.or.jp/doctor/byosyo/#2
それによれば、48床の療養専門病院では最低2名の医師が必要になるようです。
おそらく病床数が多ければ多いほど、48:1に近づけるのではないかと思います。

(夕食に呼ばれたので、続きはあとで)

JSJJSJ 2011/11/10 20:23 (肉ジャガでした。ごちそうさま)
私は現在40名余りの入院患者を受け持っていますが、見てのとおり、過労とは縁遠い生活です。
まず、当直は全てアルバイトに任せていて、夜間・休日はフリーというのが大きいと思います。
あとは、受け持ち患者の 2/3はパーキンソン病や多系統萎縮症などのいわゆる神経難病、残り1/3は介護病棟の介護度は高いが医療区分では1の人たち、という患者構成だからだと思います。
医療療養病棟では、医療区分2以上を集めるのが、経営上重要な課題だと思いますが、いわゆる神経難病以外の医療区分2というのはBugsyさんご指摘の通り とんでもないです(ttp://nagao.or.jp/pdf/kijyun1.pdf)。
ポッと出の療養病院がそう簡単に神経難病を集められるわけがない と思えば、確かに 舞鶴市民のもくろみも前途多難と言わざるを得ないと思います。

BugsyBugsy 2011/11/10 22:56 JSJさま 何度も遅い時間ですが済みません。

オイラ達脳外科医が送り込まれるのはリハビリセンターか脳血管障害の後遺症、基礎疾患バリバリの療養病棟なんですね。神経難病はなかったです。無論お手上げですが。昼間のリハビリは専門スタッフが行いますが 夜間の急変はすべて自分一人でしたから。というわけで自分たちの知ってる療養病棟はなにがしら 脳卒中のからんだ病棟なんです。だから麻痺もあり転倒も誤嚥も頻繁です。

バイトの応援が得られるのなら羨ましいでーす。ナースもバイト医に夜間通報してと。やあ羨ましい。
今回外来配置表から拝見するに 舞鶴市民病院は常勤脳外科医が一人なのかしら、ひょっとして療養病棟もその医師が一人で送り込まれるのかしらと 背中が寒くなった次第です。

いわゆる神経難病やらALS Parkinsonismも入ってくるんでしょうが 一人でも患者にいたらオイラは心配で眠れません。いや 手術できない患者であって とりあえず減圧なりマニトールで脳圧を下げれば何とかなる疾患じゃないですもんね。
あのMSの患者が誤嚥して意識障害になった経験がありましたが 誤嚥とはわからなくて意識障害になったと報告を受けてどうすんでしょ。CTとって無酸素脳症らしい、じゃあ その後どうすんの。ムンテラどうすんの。とりあえず挿管してラインは確保したけどさ。

やっぱり脳腫瘍の方がわかりやすくていいわ。ムンテラは自信が持てるし。

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