新小児科医のつぶやき

2011-11-25 戯言的政治観察

なんでも小泉時代に話を持っていくのは気が引けますが、小泉政権が断行したの集中と選択の新自由主義です。結果として当時の不況状態をある程度克服しています。ただし選択と集中の本質は、富める者はますます富み、貧しいものはさらに貧しくの側面があります。良い様に言えば、選択と集中により富んで強者になったものが経済を引っ張る施策になります。

あの時代から現在にかけて、あの政策を取ってよかったのかどうかの結果論的な評価は今日はさておきます。ただ取った結果は一つ表れていると感じています。小泉時代の前の一億総中流時代から

  • 少数派のメリット享受者
  • 多数派のデメリット享受者

これが固定していく社会に変質定着していると見ています。選択と集中がもたらす一つの結果です。そういう状態が政治にどういう影響を及ぼしたかです。政権を取るためには多数派の支持が必要です。そして多数派はデメリット享受者にあります。政権奪取のためには多数派であるデメリット享受者の支持をかき集める必要があります。

一方で政権奪取後は、政権を維持するためにメリット享受者の支持が必要です。政権の旨みはすべてメリット享受者から与えられます。デメリット享受者からは得られないのです。ここをあえて整理しておくと、

  • 選挙で勝つにはデメリット享受者の投票が必要
  • 政権運営のためにはメリット享受者のカネが必要

選挙の時とその後では、必要とする層が乖離している政治状況が出現したと考えています。自民長期政権時代も基本的に類似はしていますが、小泉以前の自民時代は高度経済成長もあり配るべきパイは膨らみ続けており、利害調整政治の名の通り、選挙で勝つぐらいの範囲のメリット享受者層を作っていた見ます。自民長期政権を支えたのは、

  1. カネを出すメリット享受者層
  2. カネは出さないがメリットを享受していると感じている層

この2つの層が過半数を占めていたと見ます。これが選択と集中により「カネは出さないがメリットを享受していると感じている層」がやせ細ったのが今と考えます。


前々回の総選挙は自民圧勝でしたが、これは景気が良くなればそれまでの様にパイの配分があると期待し、さらにそうなるとの見事なアピールを行い支持を集めたためと考えます。集めて自民は圧勝したものの、経済構造が変わったためメリット享受者層が広がらなかったと見ます。そうなればデメリット享受者層は不満派に速やかに転換します。

前回選挙は不満派となったデメリット享受者層の期待と見ます。当然の様に民主はデメリット享受層への恩恵を約束しますし、これに期待したと言う事です。民主もそれをやろうとしましたが、その前提としてメリット享受者層への経済的な政策変換は行わないでやったのがポイントと考えます。小泉時代以来の経済政策はそのままにしてのメリット享受者層の拡大政策です。

つまり税金でこれをやろうと企画しましたが、国家財政は御存知の通り苦しく、どこかに振り分ければどこかかに大穴が開くセロサム、下手するとマイナスサム状態であり、何をしても大混乱で、どれも中途半端に収束せざるを得ない状態に陥ったと見ます。


政権を奪取するにはデメリット享受者層への恩恵を約束すれば支持が容易に集まりますから、選挙に勝つ事は容易な時代になっていると見ます。一方で、政権を維持するためには支持してくれるメリット享受者層が必要なのですが、これを拡大する手段が手詰まりのなのが一つの実相の様な気がしています。多数派であるデメリット享受者層の熱狂的な期待と急速な失望が政治を動かしている状態です。

そうなれば単純に考えるとメリット享受者層が多くなる、かつての一億総中流時代に戻すのが政権維持のためには望ましい事になります。自民はこれで長期政権を築いたわけです。でもそんなに簡単に戻れるかは疑問です。ここが大きな問題で、選択と集中の新自由主義が歴史の必然なのかどうかになってきます。果たして一億総中流時代で今の時代に適応できるかです。


ここから先は私にはサッパリわかりません。自信をもって保証出来る人物なんていないんじゃないかとも思っています。ただ恩恵乏しいデメリット享受者層が選挙のすべてを握っていますから、政治状況が安定するとは思い難いところがあります。デメリット享受者層に広く恩恵を与える政策と、経済全体の運営が矛盾している時代に突入しているような気さえします。

海図のない冒険航海に漂うような気分になっています。

通りすがり通りすがり 2011/11/25 09:01 比較的軽微なデメリット享受層を増やす施策というのもアリな気がします。
デメリット享受層の中にも濃淡があるでしょうし。

SeisanSeisan 2011/11/25 09:47 少なくとも医師は間違いなくカネを出すデメリット享受者層なんでしょうねOrz

元ライダー元ライダー 2011/11/25 09:50 >小泉政権が断行したの集中と選択の新自由主義です。結果として当時の不況状態をある程度克服しています。

そうですかねえ。
日本銀行による量的緩和政策:2001年3月19日から2006年3月9日
小泉内閣         :2001年4月26日から2006年9月26日

見事に一致していますね。ラッキー内閣なのか、何らかの意図が働いたのか。

ノイズノイズ 2011/11/25 10:16 多数のカネは出さないでデメリット享受者は、投票に行きません。

一方、かんじんのメリット享受層のなかでも、選択と集中の結果、カネをだしメリットを享受してきた層が分解しつつあるわけです。Seisan先生のご指摘はもっともですが、日医全盛時代のことを考えると。

自民党時代の総中流はなぜ砕け散ったかというと、バラマキのカネが続かなくなったからですが、カネはだしてたけどデメリット享受層の支持を奪い返すためのカネをどう捻出するかは、カネをだしてメリットを享受してきた層からカネをださせるしかないわけで(結果、彼らの感じるメリットは減少する)、そんなことは普通では無理ですね。

ただ、かつての東欧市民革命、天安門で失敗した中国、さいきんのアラブをみると、カネはださずにデメリット層が蜂起したとはとうてい思えないわけで、カネは出していたけどメリットが少なくなってきた層による「バラマキの復活」ではなく「われらにこそメリットを」とするクーデターと考えるとしっくりきます。
自民党の最終版は「バラマキの復活」をしたわけですから、民主党への政権交代がおきました。民主党が、旧自民党の支持基盤だとスケーブゴートにされている農家や医師をさらに圧迫する政策を志向するのも同様だと思います。

元ライダー元ライダー 2011/11/25 10:35 マスコミが向いている層がメリット享受層

これもやっぱり今世紀に入ってからかなあ

smaniasmania 2011/11/25 13:14 新自由主義なんて根拠の薄い単なる信仰ですよ。カルトです。カルト。

>国家財政

足りないことを強調する人の多くは、お金が使えば消えてしまうものと勘違いしています。国全体と自分の日常との混同でしょうね。

大口の消費者である国が金払いを惜しめば、まわりまわって国に入ってくる金も減るでしょう。逆に使ったからといって、国の借金が使わなかった時より増えるとも限らない。
大事なのは今お金の流れがどのようになっているかでしょうね。そして今、国は負債を増やしていますが、家計の金融総資産は横ばいで、お金は企業に流れています。(しかしほとんど誰も得していないです)
消費税増税?事業仕分け?馬鹿じゃないかと思いますね。

感情的な医者感情的な医者 2011/11/25 13:36  ネオコンは 単なるカルト とか根拠の薄い単なる信仰 よりもっと エゴセントリックで他人に対する悪意に満ちた何かですよ。少なくともその点で原始共産主義以下と思ってます。
 些細なことかもしれませんが デメリットは享受するものじゃなくて、甘受するもののような、、、。
 ギリシャ、イタリアが一足先に混沌としてますが、日本もセロ金利で塩漬けにしてある国債が動き始めたらあっという間であの状況だと思います。どういうきっかけで動き始めるか私にはわからないけど、堰止湖に水がたまり続けていることだけは確かのようですねぇ。

匿名希・望匿名希・望 2011/11/25 13:59 何か小泉時代の頃から、自分達にデメリットを与える政策を熱烈に支持する層が増えたように見えるのは気のせいですか?

まあ、あからさまなデメリットというより、生活保護受給者を叩くワーキングプアとか、経営者でも高額所得者でもないのに「法人税減税や所得税の累進緩和で経済に活力を」などとのたまう人々とか。

カネが無いのは取るところから取らないのと、そもそも絶対量が必要量に達してないからであって、もういい加減に貨幣が天然資源とかとは違う、只の人工物に過ぎない事を認識すべきですよ。
金本位制が世界恐慌の原因だった事からまだ学習してない人々が多すぎます。

smaniasmania 2011/11/25 14:45 >日本もセロ金利で塩漬けにしてある国債が動き始めたら

これ間違いなんですよ。
日本は黒字国なので、国がどれだけ借金を増やしても、最終的には家計もしくは企業の銀行口座におさまるために日本の銀行だけで買う余力が足りなくなることもなく、かつ日本の銀行が安い値段で国債を入札することは、既に持っている国債の価値を下げ、自己資本比率にひっかかるためにありえないです。キャピタルフライトも、いったいどこの国がいい投資先かというくらいそんな投資先がないわけで、買ってもらいたくもない外国から入札が殺到して3倍以上の倍率をつけているわけです。
十数年前から、後数年で破綻→実際破綻せずの狼少年を繰り返しています。日本は、頑張って回避したわけではありません。回避できて当たり前なのです。その手の経済学者の主張することの根拠って、我々自然科学者の端くれから見れば、ありえないレベルですよ。EBM厨の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいです。

釈浄圓釈浄圓 2011/11/25 15:38 >日本は黒字国なので、

そろそろ、あやしくなってきているから慌てているのではないですか?
(日本の国際収支構造)
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je09/pdf/09p01022.pdf

smaniasmania 2011/11/25 16:26 >あやしくなってきているから慌てている

いやいや。経済学上のお馬鹿さんたちはもっと単純な理由で慌てています。
小黒一正という人は、その代表格なのですが、『政府の借金が1000兆円、家計の貯蓄は1400兆円なので、日本経済が持っている国債の買い余力(政府の借金の買い手となれる能力)は400兆円分あります。で、毎年だいたい40兆円ぐらい政府の借金は増えていっているので、400÷40 = 10で、残り10年ほどすると、政府の借金の買い手が国内に見当たらなくなります。』とか言っちゃってます。ね、馬鹿でしょう。(40兆分(+外国に対する黒字分)、家計から企業が借りている借金が毎年減っているので、買い付け余力は減っていない)
他にも有名なUFJレポートとかも同じ間違いを犯しています。

円高は確かにきつく貿易で利益が出にくくなっています。以前は同じ円高でも新興国との差を打ち消す程の技術力があったのですが、それがなくなれば円高によって競争に負けるわけです。ただし、円高は新興国に投資したり、海外で生産したりして利益を得るためには有利になります。地震とかもあって貿易はついに赤字に転落しましたが、収支は黒字です。このくらいのことは、知らないで書いているわけではないです。

匿名希・望匿名希・望 2011/11/25 16:58 ・経常黒字

赤字部分の殆どは震災に伴う貿易赤字で一時的なものですし、資本収支からみれば純債権国ですよ。
大体、今までに積み上げた黒字による外貨準備を考えれば、ちょっとやそっとの赤字で外貨不足による危機なんて起こりようが無いです。

半世紀位は収支トントンでも問題ないかと思いますけどね。

ギリシャの破綻は自分で発行出来ない通貨による負債だから、日本で例えるなら夕張のような地方自治体の破綻のようなものですよ。
解決するには国(=EU)からの財政投入が必要なんですが、れっきとした独立国でありながらユーロ圏の一地方であるという矛盾が問題をややこしくしてますね。
ギリシャが独立国の地位を捨てるか、ユーロ圏を離脱して自己通貨を復活させない限り、何度でも危機が発生すると思います。

その意味では日本の地方分権推進派は今のユーロ危機を見て、少しものを考えた方が良いと思いますが。

うらぶれ内科うらぶれ内科 2011/11/25 17:28 日本の国家財政は、相続を禁止するか、高額の相続税を設定すれば解決しますよ。
金を持っているのは年寄りが多いですから。
...と、もらえるものがまったくないおいらは思います。

nuttycellistnuttycellist 2011/11/25 18:11 小泉構造改革が、景気を良くしたとはとても思えません。金融自由化、国際会計基準の導入等によって、企業の内部留保は増え続けましたが、労働者の給与は減らされ続けました。格差が広がり、国内の消費が落ち込み、デフレが際限なく続いた時期だったと思います。

smania様にお聞きしたいのですが、日本国債のCDsの利率が徐々に上昇しつつありますが、どのようにお考えでしょうか。私は、赤字国債の総額が、国民の貯蓄総額を超えた時に、国債の引き受けてが少なくとも国内にはいなくなるとしか思えません。

元ライダー元ライダー 2011/11/25 21:35 基本的にsmania様や匿名希・望様と同意見です。 えー、横ですが私見をば。

>日本国債のCDsの利率が徐々に上昇しつつありますが、どのようにお考えでしょうか。

それ、ドル建てCDSだから、国内投資家には無関係かと。それにCDSですが、ギリシャ国債に対して支払が発生しなければ,ソブリン債のCDS市場は意味を成さなくなりますが、そうなりつつありますね。

>赤字国債の総額が、国民の貯蓄総額を超えた時に、国債の引き受けてが少なくとも国内にはいなくなる

教えてgooからの引用なんですが、私はこの意見に賛成
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基本的に、借金額(正確には政府の債務)の上限はありません。何故なら、政府は通貨発行の権限を持っているからです。但し、これは国債を殆ど内債で賄っている日本だから言えることで、外債が多くを占める場合は、当然外貨の発行はできませんから、経済が不安定化する可能性が大きいです。上記のように、破綻(国債の債務不履行のことだろう思う)の可能性は理論的に有りませんが、この通貨発行に関しては、ハイパーインフレが起きるからまずいと言う反論があります。そのように主張する人は、アメリカや中国が最近急激にマネー供給を増やしているのにインフレになっていないのが何故かを説明する必要があります。(ただ、中国はあまり急激に増やしすぎたので今後、インフレが激しくなる可能性はありますが)
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イタリアやギリシャとは違うんですよ。

匿名希・望匿名希・望 2011/11/25 21:57 ・nuttycellistさん

smaniaさんに代わって簡単に。

>日本国債のCDsの利率が徐々に上昇しつつありますが、どのようにお考えでしょうか。

クレジットデフォルトスワップの保証金は、単一の破綻リスクの指標としてはあまり精度の高いものではありません。
投機的な思惑によっても前後するものなので、国債長期金利の方が信頼度が高いです。

>私は、赤字国債の総額が、国民の貯蓄総額を超えた時に、国債の引き受けてが少なくとも国内にはいなくなるとしか思えません。

この場合「国民」とは企業、銀行も含めた法人資産を含みますが、銀行には日銀からの貸付という、原理的には無限の資金供給源があります。
まあ、これは実質的に日銀が国債を直接引き受ける事と同義ですが。

smaniasmania 2011/11/26 11:51 >赤字国債の総額が、国民の貯蓄総額を超えた時に、国債の引き受けてが少なくとも国内にはいなくなるとしか思えません

通貨発行権のことを言われている方もいますが、そんなウルトラCすら必要ないのですよ。よく考えてみてください。

分かりやすいように国と国民だけ(しかない仮定)で説明しますね。
国が国債を発行する必要ができるのは、国の支出に対して収入が少ないからですよね。この差分を国債として国民の金融資産から買ってもらうわけです。
さて、ここで考えねばならないことは、国はいったい誰に支出したのでしょう。そうです。国民です。国が赤字の分だけ、国民は黒字なのです。国が債務を増やせば増やすほど国民は資産を増やすことになります。だから貯蓄総額を越えるなんて事がそもそもありえないのです。

正確には、対外的なものを除けば、国民の資産=国の負債+企業の負債です。wikiで「信用創造」を勉強していただくと理解が進むと思います(企業は本来採算があうような事業を見つけて借金しながら活動していく存在です)。
現在は、国民の資産は増減なし、国は負債を増やし、企業は負債を減らしています。企業の負債は、実際は負債と資産の差ですから、国の赤字分は、企業の預金と負債の返済に充てられているということですね。ですから国民の資産の総額がかわっていなくても、企業から返済された国民の資産と企業の預金がその分増えているので、国債を買う余力に関しては全く問題がないことになります。

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