新小児科医のつぶやき

2011-11-29 虫垂炎事件の補足情報

11/26付読売新聞・関西発より、

虫垂炎症状見逃し患者死亡 医師の不起訴「不当」…検察審議決

 患者の虫垂炎の症状を見逃して死亡させたとして業務上過失致死容疑で書類送検され、大阪地検が不起訴(嫌疑不十分)とした40歳代の男性医師について、大阪第3検察審査会が「漫然と診察し、血液検査など最低限の検査を怠った」として、不起訴不当を議決したことがわかった。

 10月26日付の議決などによると、医師は2006年11月、大阪府内の病院で当時43歳の男性患者を診察。風邪と診断したが、患者は翌日死亡した。解剖の結果、死因は虫垂炎による敗血症ショックで、診察時にすでに虫垂炎を発症していたとみられることがわかった。

 遺族は「診察時に腹痛を申告していた」と主張したが、地検は今年7月、カルテに腹痛の記載がないなどとして不起訴にし、遺族が同審査会に申し立てていた。

どこかで見た事のある記事と思ったら、2010.10.16付アッペは怖いで取り上げていました。今日はまず当時の記事を補足情報として提供します。まず2010.10.15付産経記事より、

 大阪府枚方市の星ケ丘厚生年金病院で平成18年11月、腹痛を訴え受診した枚方市の男性=当時(43)=が30代の担当医に「風邪」と診断され、翌日に壊死(えし)性虫垂炎による敗血性ショックで死亡していたことが14日、病院関係者への取材で分かった。病理解剖の結果、男性は死亡の数日前から虫垂炎とみられる炎症を起こしており、医師が診察時に適切な治療をしていれば、死亡しなかった可能性が高いという。

 男性の遺族は、医師の「誤診」で死亡したとして、業務上過失致死罪で枚方署に告訴状を提出。病院側は今年7月、当時の解剖結果や検体などを同署に任意提出した。同署は関係者から事情を聴くなどして慎重に捜査している。

 病院関係者や遺族によると、男性は18年11月23日午前8時45分ごろ、激しい腹痛を訴え受診。担当した男性内科医が聴診器を使うなどして調べたが、「風邪」と診断し、風邪薬を処方して帰宅させた。

 男性は翌朝になって体調が急変。自宅で心肺停止となり、同病院に運ばれたが、午前9時半すぎに死亡した。同病院が遺体を病理解剖したところ、男性の虫垂に穴が開き、そこから漏れた細菌が腹膜に感染、血流に乗って全身に広がり、急死したことが分かった。

 死亡後、医師は男性の遺族に謝罪したが、診断書には男性が腹痛を訴えたとの記載がなかった。医師は病院側の内部調査に「診察時には腹痛を訴えていなかった」と説明。診察時の症状について医師と遺族の間で説明に食い違いもみられるという。

 ただ、専門家が当時の病理組織を検査したところ、虫垂炎の発症時期は少なくとも死亡日の数日前だったことが判明。医療関係者によると、診察時に血液検査や超音波検査などの適切な処置をしていれば、死亡しなかった可能性もあるという。

 病院側は「患者が死亡されたことは大変気の毒だが、当時の対応に問題があったかどうかは捜査機関に委ねるしかない」としている。

 同病院では平成17年2月にも、ヘルニア手術を受けた当時1歳の乳児のぼうこうを誤って切除するミスが起こっている。

この記事のポイントは読売記事の検察審議会議決の事件と同じものである事の確認が一つです。死亡した男性や担当医師、症状の経過、発生月日から同一の事件である事が確認できます。当時もう一つ焦点となったのは、患者側が激しい腹痛としているのに対して、担当医が風邪と診断している点です。激しい腹痛の怖さを医師なら知っているはずなのに、なぜにここまで食い違うんだろうです。

続いて2010.10.15付スポニチ記事です。

風邪と誤診?虫垂炎の症状で死亡「見分けるのは難しい」

 

 大阪府枚方市の星ケ丘厚生年金病院で2006年、腹痛を訴え受診した枚方市の男性=当時(43)=が風邪と診断された翌日に虫垂炎による症状で死亡していたことが15日、同病院などへの取材で分かった。

 07年2月に、男性の母親が誤診ではないかと被害を枚方署に申し出たため、同署は業務上過失致死の疑いもあるとみて関係者から事情を聴くなど慎重に捜査している。

 同病院によると、男性は06年11月23日、嘔吐や腹部の不快感を訴え受診。30代の男性医師は風邪による胃炎と診断し、男性はいったん帰宅した。ところが24日朝、トイレで倒れて心肺停止となり搬送先の同病院で死亡した。その後の検査で、以前から虫垂炎を患い、細菌が患部から全身に広がったことが死因と分かった。

 同病院は「風邪と虫垂炎を見分けるのは難しく、誤診とは考えていないが、捜査には全面的に協力したい」としている。

ここでは産経記事では漠然と風邪とあったものが、胃炎症状として記載されています。胃炎による腹痛と虫垂炎による腹痛はある程度見分ける事は可能です。それでもはたくさんありますが、スポニチ記事では虫垂炎特有の右下腹部痛は必ずしも認めなかった、もしくは主訴として取り上げるようなものではなかったとなっています。

これは2010.10.15付の産経の続報記事です。

正確な診断難しい虫垂炎

 虫垂炎の症状は、風邪ウイルスによる感染性胃腸炎などと症状がよく似ており、一般的に正確な診断が難しい疾患とされる。

 典型的な症状としては、みぞおち付近に痛みが出て、時間の経過とともに右下腹部へと移動することが多い。ありふれた疾患だが、右下腹部の痛みを伴う症状は胃腸炎など別の原因も考えられ、虫垂炎の所見を見落として治療が遅れるケースもみられるという。

 「外科医と『盲腸』」や「孤高のメス」などの著書がある阿那賀診療所(兵庫県南あわじ市)の大鐘稔彦院長は「問診や触診をきちんと行ったうえ、血液検査で白血球数を調べたり、超音波やCT検査で炎症反応や虫垂の状態などを確認すれば、そんなに見落とすことはないはず」と話す。

 ただ今回は、担当医が初診の段階で「(患者が)腹痛を訴えていなかった」と主張。遺族の証言と食い違う部分もみられ、医学的観点からの十分な検証が今後、求められる。

 大鐘院長は「初診から患者が死亡するまでの進行が早く、かなり前に発症していた可能性が高い。最近は虫垂炎の手術例が少なくなったこともあり、経験不足が不幸な結果を招いた可能性も否定できない」と話している。

 一方、死亡した男性の遺族は産経新聞の取材に「まさか盲腸で息子が亡くなるとは思わなかった。あのとき適切な診察をしてくれていたら、きっと助かっていたはず…」と話している。

受診時の患者の訴えが生き残った担当医師の証言のみになるので判断に保留部分を残しながら、一般論として胃腸炎との鑑別の難しさを書いてあるぐらいに取ります。

これは2010.10.15付MBS記事です。

星ヶ丘厚生年金病院 「風邪」と診断、翌朝に患者死亡

 4年前、大阪府枚方市の総合病院で風邪と診断された男性がその翌朝に虫垂炎による敗血性ショックで死亡していたことがわかり、大阪府警が調べています。

 枚方市の星ヶ丘厚生年金病院の説明によりますと、2006年11月、43歳の男性が母親に付き添われて受診し、おう吐や下腹部の不快感を訴えました。

 30代の当直医は触診などで風邪による胃炎と診断し、風邪薬を処方して帰宅させましたが、翌朝、男性の容体が急変、心肺停止の状態で搬送され、およそ1時間半後に死亡しました。

 解剖の結果、男性の死因は虫垂炎の細菌が全身に回った敗血性ショックでした。

 このため遺族は「診断に誤りがあった」と警察に被害届を提出し、現在、捜査中だということです。

 「病院としては『これは刑事事件になるようなものではない』と判断をしている」(星ヶ丘厚生年金病院 浦野光廣事務局長)

 病院側によると診察した医師は「男性は腹痛を訴えていなかった」と話していますが、付き添っていた母親の主張と食い違っているということです。

この記事には目新しい情報はないのですが、43歳の男性が受診した時に母親の付き添いがあった点です。色々考える事はできますが、全体の経過を類推すると死亡した男性の虫垂炎は受診当日に格別悪化したものではないであろうとの見方は有力です。結果として受診後に破裂から敗血症ショックを引き起こしたと考えるのが自然ですが、母親が説得してようやく受診したとの見方は出来るかもしれません。

2010.10.15付関西テレビです。

枚方の病院で風邪と診断の男性死亡 虫垂炎と誤診か

大阪府枚方市の病院で4年前、風邪と診断された男性が、翌日、虫垂炎で死亡しました。遺族は「誤診があった」と訴えていて、警察が捜査しています。男性が死亡したのは、枚方市の星ヶ丘厚生年金病院です。病院によりますと、男性は、2006年11月、おう吐や腹部の不快感を訴え救急外来を訪れましたが、医師は風邪と診断し、風邪薬と胃薬を処方して帰宅させました。しかし、男性は翌日、容体が急変して死亡し、遺体を解剖したところ死因が虫垂炎と分かりました。遺族は、「診察の時に腹痛を訴えた」と主張していますが、病院側は否定しています。

【病院の話】「当方の医師としては、「そういう訴えはなかった」と話している。(医師の対応は)基本的には適正であったと判断している」遺族は、「誤診があった」と警察に被害を訴えていて、警察が業務上過失致死の疑いで捜査しています。

これもスポニチに近いのですが、受診時の症状は嘔気や腹部の不快感となっています。おそらく医師側の主張ですが、処方されたのが「風邪薬と胃薬」。判じ物みたいな処方ですが、なんらかの感冒様症状も伴っていたのかもしれません。主訴は胃腸症状であっても、これに感冒様症状もあれば一緒に処方しても不思議ありません。うちでも下痢症状がメインであっても鼻炎様症状があたりしたら同時に処方します。つうか、処方しないと「鼻の薬がない」の指摘が回ってきます。




ここまでは当時のマスコミ情報なのですが、当ブログに御遺族と名乗る方からのコメントがあります。長くなりますが紹介しておきます。実名も出ていますが、あえてそのままにさせて頂いています。

上記:「風邪と診断され、翌日に壊死(えし)性虫垂炎による敗血性ショックで死亡」した本人・後藤周児の遺族(弟)の後藤浩二と申します。

 上記コメントにあるとおり、当初、星ケ丘厚生年金病院は、「腹痛の訴えは無かった。」と主張していましたが、その後、看護師の詳細な看護記録から「激しい腹痛の訴えにより来院」という記録が出てきて、当時の院長:吉矢生人も書面にて、これを認めました。吉矢院長により医師法21条の異状死の届出も行われています。

 今年2011年3月1日付けで当時の担当医:関川医師は、「業務上過失致死の嫌疑」として大阪地検に送致されました。現在、二次捜査中です。

 民事訴訟を行わず、刑事告訴だけに絞ったのは、医療機関としての刑事責任を明確にしたいという私や母遺族の思いです。

 私が、星ケ丘厚生年金病院と再三に渡り真相の究明を求めた協議の膨大な録音記録、情報開示請求したカルテ等の書面等、詳細な記録が私の手元にあります。

 私は、このやり取りのなかで、関川医師個人だけでない、病院ぐるみの隠蔽作業があったことは間違いないと、調査資料に基づき確信しています。残念ながら、刑事訴訟のなかでは、そこまで問うことは難しいようですが・・・

 下記に、兄が死亡に至る経緯を詳細に記録したもののうち、ごくごく一部を記載します。こうした事件が二度と起こらないよう、社会的にこの問題をみなさんに考えていただきたいと願って、また無念でやみません。関心のあるかたは、私のメール

nightcap2@mac.com

までご連絡下さい。警察に提出した私の手元にある証拠・資料を含め、すべて公開して構わないと思っています。

・・・・・・・・・・・・・・・

後藤周児:既往症は特になし。幼少時に、脳腫瘍(良性)の手術経験あるが、ほとんど後遺症は認められない。ただし、現在「広汎性発達障害」という軽度の自閉傾向があるが、この手術の影響があるのかもしれない。コミュニケーション能力自体はしっかりしている。

2006年11月22(水):嘔吐をともなう腹痛、微熱。右下腹が痛むというので、「陽だまりの会」(支援センター)へ行くのを休ませた。夕飯は普通食を食べ、途中で少し嘔吐した。夕食後2回嘔吐。

同年11月23(木・祝日):星ヶ丘厚生年金病院

 午前7時同病院の救急外来へ電話。直ぐ来るようにとの指示。(12月22日の病院側との話し合いで分かったこととして、この電話での看護士の対応は、受診の記録も含めた記録として看護側の記録に「激しい腹痛、嘔吐により来院。内服処方により帰宅」として病院側に残されている。)

 母と共に、午前9時頃受診(12月22日の病院側との話し合いで分かったこととして、正確には午前8時45分受診。5分程度。)救急外来。タクシーで。風邪との説明。母から腹痛について盲腸の不安を医師につよく訴えるが、触診だけで、血液検査やレントゲンなどの検査は一切なかったという。風邪薬が処方される。そのまま帰宅。昼食も食べられず。夜はおかゆのみ。寝たまま腹痛に苦しみ続ける。

同年11月24(金):午前5時:母が様子を見に行くと、お腹が張ったように感じたとのこと。うなりながら腹痛に苦しむ。そのまま、星ヶ丘厚生年金病院へ救急受診を頼むべく電話。看護士の対応で「前日に、専門医が触診しているので、緊急性はない。外来の時間をまってから来て欲しい。」と対応される。外来は午前8時半からとのこと。しかし、苦しむ様子が激しいので、再度電話をする。守衛らしき人の対応で、「初診ではないので、受付は午前7時半からでもいい」と言われ。タクシーを呼ぶ。タクシーが来る前、午前7時20分頃、トイレに入り、母の介助を受けながらトイレから出たところでそのまま倒れる。心肺停止状態となったという。そのまま119番通報。

 母の話では、救急隊と星ヶ丘厚生年金病院で蘇生措置を続けたが、間もなくそのまま死亡確認されたとのこと。

同年11月24日

・母と電話で状況を確認する。その夜、病院側に電話をするが、検死等の対応をしており現在対応出来ないので、週明けに連絡を欲しいとのこと。

・・・以下、省略・・・

このコメントとマスコミ報道の整合性を見ておきたいと思います。母親が付き添いで行ったのは

    現在「広汎性発達障害」という軽度の自閉傾向がある

コミュニケーションには問題はないとしていますが、付き添いが合っても不思議無いと判断されます。問題の「激しい腹痛」の有無ですが、母親と医師のやり取りとして、

    母から腹痛について盲腸の不安を医師につよく訴えるが、触診だけで、血液検査やレントゲンなどの検査は一切なかったという

検査がなかったのはマスコミ報道も伝えるところですが、母親が本当にそう言ったかどうかは当事者しか判らないところで、出来れば客観的な証拠も欲しいところですが、

    受診の記録も含めた記録として看護側の記録に「激しい腹痛、嘔吐により来院。内服処方により帰宅」として病院側に残されている

これはかなり重い記録です。ごく簡単な解釈ですが、「激しい腹痛」の症状の記載は、患者側が言わないと記録されないわけであり、診療時間は「5分」ほどとなっていますので、ポイントとして記載に値すると判断したものと推測されます。看護師がこの場面で高度の創作物をわざわざ書く必然性が乏しく、診察時のやり取りとして存在したと考えられる証拠になります。

もちろん「激しい腹痛」の所見を医師が取るかどうかは医師の判断ですが、たとえば2010.10.15付産経記事にある、

    医師は病院側の内部調査に「診察時には腹痛を訴えていなかった」と説明

この説明の信憑性はかなり疑われざるを得ないものになります。前回取り上げた時も、「激しい腹痛」が本当にあるのなら、やはり検査は必要であるの意見は強かったと記憶しています。いわゆる急性腹症の手強さ・怖ろしさです。だから推測として、患者側の訴えが「激しい腹痛」と必ずしも取れないようなものじゃなかろうかの意見がありました。

これが本当に「激しい腹痛」の訴えがあり、それを軽視・無視していたのなら問題と私は素直に感じます。痛みは本人しかわからないものですから、そういう訴えは問診上軽視できないとするのが医師の感覚と言えばよいでしょうか。少なくとも医師記録に留めた上で、軽視するならその理由も明らかにする必要性があると思います。

百歩譲って本人の意思表示が明快でなかったとしても、付き添いの母親が訴えているのですから、問題点は十分に残る対応と言わざるを得ません。民事上の注意責任義務を問われる可能性はありそうに思います。

もちろんですが、医師側の言い分はあるでしょうからこれを聞かないと断定はできませんし、案件は検察審議会の議決レベルになっているので、遺族側の主張から解釈すると「こうなる」の情報提供に留めさせて頂きます。あえて推測を加えると、看護記録に残された記載が検察審議会の議決に影響したんではなかろうかと推察しています。


遺族側のコメントにある程度信用を置くと、民事上の責任は問えると感じます。ただし刑事上の業務上過失致死に該当するかどうかを論じる法律的知見は私には不足しています。民事と刑事では責任の捉え方に差があり、民事で問える責任で刑事も必ずしも問えないものであったはずです。この事件の本当の論点は、医師の不手際の有無と言うより、刑事責任まで問えるかどうかのような気がしています。

そういう点で、福島大野や割り箸とは次元がかなり違う案件と感じています。十分とは言えませんが補足情報とさせて頂きます。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/11/29 08:16 エビデンスの内容にもよると思いますが、マスコミが伝えてない内容に、真相を解く鍵、色々ありそうですね。

当直明け当直明け 2011/11/29 08:34 星ヶ丘厚生年金病院というのは救急指定病院なんですね。
休日に救急担当医がいて、大鐘先生が言うところの緊急の血液検査、CT,超音波ができる体制なのでしょうか。
虫垂炎の超音波診断、小児科医ならかなりやれるでしょうが内科医は消化器科の医師でないと厳しいと思います。

YosyanYosyan 2011/11/29 08:45 当直明け様

虫垂炎の診断は小児科医だって難しいものです。エコーも虫垂が見つかれば話はまだ簡単ですが、そこそこの手練れでも判らない時は判りません。ましてや虫垂破裂なんて起されていた日には立ち往生になります。

あえて言えば小児の方がraptureの危険度が高く、見つかれば今でも原則手術ですから、腹痛と言うキーワードに敏感ぐらいは言えるかも知れません。下手に粘って「破裂 → ショック」なんてのは極力避けたい心理が強力に働きます。開業医ならある程度怪しければ、トットと二次に紹介します。

774774 2011/11/29 08:49 発達障害の人が受診することがある病院にいますが、症状の判定は難しいと感じます。痛みに素直というか痛くなくなるとケロッとしてたりします。怖いのでともかく検査というパターンになりますね。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/11/29 08:55 ここは電子カルテで、看護記録とカルテと共有できるシステムなのでしょうか
ちょっと疑問に思いました。

tadano--rytadano--ry 2011/11/29 10:39  大学の同期が働いているので少し知っていますが、星ヶ丘の緊急体制は問題ないと思います。血液検査は無論、造影CT,MRIも緊急でできるはずです。当時は電子カルテではなかったらしいです。

浪速の勤務医浪速の勤務医 2011/11/29 10:46 発達障害とか認知症とか精神疾患の方なんかで、コミュニケーションの困難な方の
診察って難渋しますね。 とりあえず血液検査やら心電図やらレントゲンやらオーダーして
診断に漏れがないように気をつけていますが たまにドッキリすることがありますね。

麻酔科医麻酔科医 2011/11/29 11:01 アッペと診断がつき、手術適応になった患者だけを選択的に診ている麻酔科医からすると、手術室に来た時の症状って千差万別です。外科医が「ひでーアッペだから、全麻でお願いします。」なんていって持ってきて回盲部切除になったような症例が、けろっとしていたこともあります。まあ、鎮痛剤を投与されているせいもあるんですが、患者の痛がり方と画像所見、そして、実際の開腹所見は、違っていることのほうが多いです。
言えることは、穿孔していても何かにくるまれて、膿瘍になっていると以外と耐えられてしまったりするんですよ。この症例の場合、24時間で、症状が進行したというのはないんですか?いくら医者でも症状がないと、診断は難しいと思いますね。
腹痛を主訴に来院していたら、腹部所見とか、カルテに当然書いてあるはずだし、主訴に腹痛って書いていなかったら、どうしようもないと思います。
腹痛のないアッペを診断しろ、、といわれても。_| ̄|○。

元ライダー元ライダー 2011/11/29 11:05 私の現役当時を思い出しても、当直医外来(救急外来ですかね)にある看護記録なるものをイメージできないのですが。看護師が取る問診票のようなものですかね。

言った、言わないは藪の中ですが、
問診票
「○腹痛、○嘔吐」
実際の診察
「腹痛ですか、どのあたりが痛みますが」
「いや、腹痛は良くなったんですが、なんだかだるくて、少し熱があります」
カルテ
「主訴:倦怠感、発熱」
いや、一般的な話ですが、こーゆーのは時々ありませんかね。

これだけの情報で、「民事か刑事か知らないが、この経過なら責任を問われるのは仕方ないよ」と思える事案でしょうか。そう思える事案なら、よりよい医療へ向けての教訓になるのですが、私などは「発達障害の患者は地雷だ」との思いを強くします。

少なくない医師にそう思われたら、発達障害の患者さんがたは、ますますたらいの中で回らないでしょうか。

こうした事件が2度と起こらないように願っても、司法に問題を預けたら、「no doctor, no error」の方向に教訓化されるのは、いつものことですよね。

BugsyBugsy 2011/11/29 11:07 お亡くなりになった方は本当にお気の毒です。
ただ一抹の違和感を感じるのは 最初から民事ではなく業務上過失致死の疑いということで刑事告訴でしょうか。それが患者側の当たり前のデフォルトになってしまったのでしょうか。警察は行政なので訴えられれば一応動かなければなりません。

専門外なのでアッペの診断云々は敢えて申しません。
ただ脳卒中のオペをしてもしなくても いったん受診して後遺症や麻痺が残れば業務上過失傷害くらいは言い出す家族も出てきそうですね。ちょっと怖いです。

れいれい 2011/11/29 11:47 発達障害のある方の診察はほんと難しいですね。
腹痛などがあっても、本人の不安のため、医師が診察するときには痛いのを隠したり、不安のため筋肉の緊張が強くなり腹部の筋肉(腹直筋など)が診察時には腹膜炎がなくても硬くなったりで、診断が難しいです。エコー検査は本人の協力が得られにくいので難しいでしょうし、こういう方は腹部のガスも溜まっていることも多いので虫垂自身の同定も困難です。
発達障害や病気は違いますが統合失調症の方の腹部の診察は難しく、統合失調症の方のパンペリが内科学会総会でのポスター発表になるくらいなので、お気の毒なのですが、これも寿命と考えるのがいいのかもしれません。

記憶にあやまりがなければ記憶にあやまりがなければ 2011/11/29 12:35 時系列としては、たぶんこの後、府立医大の消化器内科が撤退したはずです。その後他の大学からの循環器も撤退と記憶します。今も嘱託だらけの診療科のようです。担当医の専門診療科が何だったのか?気になるところです。

とおりすがるとおりすがる 2011/11/29 13:03 私も、元ライダー様やBugsy様、れい様に近い感覚を持っています。

発達障害の人や統合失調症の人の所見はホントに難しいです。加えて、自分の経験では、薬物中毒の方もです。前腕の橈骨、尺骨が折れて、肉もむき出し、血がしたたり落ちる状態で、「なんか手がぐらぐらするんですよねえ」なんて、けろっとして、歩いて救急外来を受診された方もいらっしゃいます。けろっと歩いてきて、おなかも大して痛がらないけど、なんか変で、念のため腹部X−P撮ったらフリーエアーがあって冷や汗をかいたこともあります。潰瘍穿孔でした。

医師のあいだですら、こんなに意見が割れやすくて難しいのに、司法に問題を預けたら、そりゃ、・・・、以下自粛します。

smaniasmania 2011/11/29 13:57 元ライダー先生の推測の通りだと私も思います。
看護婦の記述を、ぐうの音も出ないような原告が正しい証拠と弟さんが考えているところが、私には相当痛く感じられます。
『触診だけで、血液検査やレントゲンなどの検査は一切なかったという』という内容も、医師の診断というものどういうものかが全くわかっていない素人の典型的な主張、思い込みのパターンです。というか、私の病院が今『触診だけで、腹部の検査がなかった』と主張されていまして、裁判官に診断学の教科書を読ませる準備中です。

当直明け当直明け 2011/11/29 14:39 2006年11月23日、祝日の午前8時45分受診。
当直の交代間際の受診となるのでしょうか、推測ですが。
m3へのカキコミで地雷であった可能性として当時ノロウイルスなどによる感染性腸炎が流行していたと述懐した方がおられました。
前夜の当直で相当数感染性腸炎の受診者を観た上で当直終了間際に腹痛嘔吐のこのコニュニケーションがとりずらい患者が来た所謂紛れ込みであった可能性を指摘されています。

一晩腸炎の患者を相当数診察してあと15分で帰れるときこの紛れ込みを間違いなくみつけられる自信は・・・ないです。
やっぱり当直業務は地雷が埋まっていると考えてしまいますね。

峰村健司峰村健司 2011/11/29 14:49 裁判傍聴マニアを自称する私としても、遺族側の話だけから結論らしきものを導くのは早計だと思います。
傍聴していて、原告の尋問を「ふん、ふん」とうなづきながら聞いていたのに、被告の尋問では全然内容が違っていて、しかも裁判所の判断も被告の言うとおり、ということはしばしばあります。
この事件の場合、民事訴訟を提起していない点も気になります。弁護士がつかなかったんでしょうかね。
蓋を開けてみたらビックリ、も、ありうるかも知れません。

オルトオルト 2011/11/29 18:49 >当直医外来(救急外来ですかね)にある看護記録なるものをイメージできないのですが。看護師が取る問診票のようなものですかね。

当直看護師が当直日誌に(メモ程度の)受診患者の簡単な記録を書いて交代時に申し送りをする病院はありますね。 ただ、今回の件がどうだったのかは知りませんが。

元外科医元外科医 2011/11/29 20:23  かつて外科救急をやっていたころ、数日前に右下腹の激痛があったが、来院時は心か部痛と発熱だけでCRP2桁WBC正常範囲で腹膜刺激症状はほとんど無い虫垂穿孔。と言う方も居ました。採血したから判ったんで、もししてなければ小生も当該Drと同様な目にあったかもしれません。
 当該事件の患者さんも来院前は激痛だったのかもしれません。虫垂炎の経過として破れる直前が激痛で、破れて腸管の内圧が下がると痛みが一時軽快します。その後徐々に腹膜炎症状が広がるので受診時期が気になるところです。
 既に局所穿孔して腸管で被覆され一時的に軽快した破れアッペは、慎重な病歴聴取と画像診断CTなどがないと正確な術前診断は出来ません。いわゆる当直医にそれを求めるのは無い物ねだり(脳外科医に心タンポナーデのドレナージしろと言うのと同様)でしょう。最近の腹部救急はJBMからみてもう画像診断が優先ですね。デファンス有無なんて裁判官は判りませんし(笑)

生涯いち医師生涯いち医師 2011/11/29 21:20 コミュニケーション障害のある患者さんは、ご家族からみると、幼少時からずっと可愛がって守ってきた存在で、43歳でも、子供のように大事大事なのでしょう。医師がじゅうぶんに診察してくれなかったから虫垂炎で死ぬはめになった、と不憫でたまらず、強い処罰感情に突き動かされたのだと想像されます。
医療における過失は重過失でない限りは刑事事件に問うべきでない、というコンセンサスが専門家の間ではできつつあると思われます(「日医総研シンポジウム『更なる医療の信頼に向けて―無罪事件から学ぶ―』平成23年7月24日)。検察は謙抑的です。
問題は、非専門家の庶民感情でしょう。検察審査会はいわば素人がメンバーですので、こういう流れは十分予想されたことでした。
日本人は仏教徒で、寛容な哲学観のはずなのですが・・・。なぜか、世界でも珍しい、「過失は犯罪」という刑法になっています。
欧米のほうが、To Err Is Human. とか、 Accidents Will Happen. とか、過失や事故には寛容なようです。
上記シンポジウムでも、結論は「医師だけを特別扱いするのではなく、誰でも、『過失が罪になるのは重過失のみ』という社会になること」となっています。故意や隠蔽がなければ、過失は犯罪ではありえません。誰でもミスをするのです。たとえどんなに過失を犯した人物が憎くても、罪には問えず、賠償を求めることができるだけです。
従って、この「事件」で真に問題になるのは、看護記録の「激しい腹痛」という記載について病院側がどのように内部調査をしたかだと思われます。裁判になれば、これを記入した看護師が証人(どちら側の証人かが注目の的ですが)喚問される可能性が高いですね。万が一、隠蔽行為があったならアウトです。
真相の解明が待たれますが、果たして裁判で真相が明らかになるのかは疑問です。医療裁判は虚しさのみが残ると言われます・・・。

麻酔科医麻酔科医 2011/11/29 21:54 答えがわかっているアッペばかりみている私としては、元外科医先生のお言葉は重いです。
そして、最近は、救急外来での画像撮影の閾値が低いと感じています。なんでもかんでもCT撮影。昔は、安易にCT撮影したら、「ちゃんと腹部所見とれ、、」という外科医が多かったけれど、最近は、客観的(自然科学的な意味で)で、あとから、検証できる証拠として、CTをさっさと撮影することが多いように感じます。それで助かったことも多いですね。
新聞は、患者さんが43才で病気が虫垂炎だから、死ぬはずがない、、という固定観念ですが、何故、43才の元気な男性が虫垂炎で死ぬんだろうという観点をもっと医学的に考えたほうがいいですよ。そもそも、報道されない何かってないんですか?

tadano--rytadano--ry 2011/11/29 22:52  大淀の例でも大野事件の例でもありましたが、一般的には看護記録もカルテの一部として取り扱われるはずと認識しています。ですから、

>地検は今年7月、カルテに腹痛の記載がないなどとして不起訴にし

とあるのですから、普通に考えれば医師カルテにも看護記録にも腹痛の記載はなかったと考えられます。そうなると、ご遺族の方の主張される

>看護側の記録に「激しい腹痛、嘔吐により来院。

という記述に矛盾が生じます。

元外科医元外科医 2011/11/29 22:58 麻酔科医様
>43才の元気な男性が虫垂炎で死ぬんだろうという観点をもっと医学的に
そのとおりだと思います。

 翌日sepsisで死んだとなれば、前日受診時には既に穿孔しており、限局性腹膜炎ないし汎発性腹膜炎を起こしかかって、むしろ全身症状がメインに出ており、虫垂炎固有の症状は乏しかったろうと思われます。重症感なかったのかなぁ?
 採血さえしてれば白血球増多、左方移動、CRP上昇などの所見はなにがしか有っただろうし、画像診断をしていればほぼ生前診断は可能であったろうと思います。ただし、これは後出しじゃんけんですから、カルテ記載通りであれば感染性胃腸炎と判断した被疑者の医師の「刑事責任」は問えないと思います。(病院の民事責任は格別)

 ちょっと疑問なのは、この病院、電子カルテなのでしょうか。外来カルテの方にも通常看護記録がつくのでしょうか。これも良くわかりません。もっともこれ以上の推理はこの情報だけでは無理ですが。

tadano--rytadano--ry 2011/11/29 23:05  私のような新臨床研修世代は総合診療マンセーですので、レ○デ○トノートに代表されるマニュアル系雑誌には急性虫垂炎の非典型例が毎号のように載っています。これだけバリエーションがあると私などは「これを問診と身体所見だけで診断するの無理だろwww」と思うのですが、そこはうまくしてあって、大体1冊に1例くらいしか載っていないので、みんな「へぇー、こんな例もあるのか気をつけよう」と思わされてしまう。こんなところにも『編集権』の落とし穴があるのです。

元ライダー元ライダー 2011/11/30 09:06 生涯いち医師様

『重過失』は要注意ですよ。一般用語の重過失と法律用語の重過失は異なるようですから。
一般用語だと「いくらなんでもそんなミスはしないだろう、どうやったらそんなミスができるんだ?」というのが重過失のニュアンスと思いますが(私の感覚ですが、違いますかね)。法律用語では「わずかの注意を払えば防げた過失」だそうです。これだとガーゼの体内置き忘れ、薬の用量間違いも重過失の可能性がありますね。医療行為において問題になるものの多くは重過失になりそうです。
ですから『重過失』という単語の使用は避け、「とんでもない過失」とか「ひどい過失」とか表現したほうが良いかと思います。

サルガッソーサルガッソー 2011/11/30 12:30 元ライダー様
「因果関係を否定できない」と言われた裁判官は数十パーセントを想定するって話もありましたね。
http://twitter.com/#!/minemurakenji/status/134100318068805632

元法学部生元法学部生 2011/11/30 14:31 元ライダー様

ネタにマジレスはカッコワルイかもしれませんが、念のため。
「重大な過失」については、基本的に元ライダー様のお考えの一般用語としての理解が法律用語としての意味としても妥当です。
た、だ、し、「業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者」と「重大な過失により人を死傷させた者」が、同じ法定刑に処されるだけです。
「業務上過失致死傷」と「重過失致死傷」は別の犯罪です。

「業務上必要な注意を怠」って人を死傷させると「ちょっとした過失」であっても、「外部からは故意と区別がつかないほど信じがたい過失」によって人を死傷させたのと同じぐらい重い罪に問われるだけです。

まあ、最高裁判事でも、かの「航空管制官として緊張感をもって,意識を集中して仕事をしていれば,起こり得なかった事態である。」などという個人的妄想を補足意見と称して開陳するほど「業務上必要な注意」を怠る人物もいますが…。それでも、かの判事でさえ当該判決書において「業務上過失」であるという前提で論じていたのであって、「重大な過失」であるとの補足意見は述べていません。

ちなみに、刑法211条前段にいう「業務」とは「本来人が社会生活上の地位に基き反覆継続して行う行為であつて、かつその行為は他人の生命身体等に危害を加える虞あるものであることを必要とするけれども、行為者の目的がこれによつて収入を得るにあるとその他の欲望を充たすにあるとは問わない」
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115536584640.pdf
ので、むしろ「業務」という用語が、日常語と法律専門用語として意味が異なるんじゃないでしょうかね。

麻酔科医麻酔科医 2011/11/30 14:36 「因果関係を否定できない」
それははじめて聞いた話です。司法関係者も医療関係者も同じ「日本語」を使って話しているので、そういう誤解があるんでしょうね。「客観的」という意味が司法と医療じゃ全然違うよっていうのは、すでに臨床麻酔の学会誌に乗っているレベルなので、当たり前だと思っていましたが、アンケートしてみたら、司法業界の人でもしらない人がいるかもしれません。
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/27/4/318/_pdf/-char/ja/
多分医者も全部はしらないはず「客観的」にそんな意味があるなんて。

麻酔科医麻酔科医 2011/11/30 14:43 >電子カルテ
医者のカルテだけが電子化されているのってあまり聞きません。検査値と指示だけ、電子化はあるようです。
外来で、患者さんに書いてもらうアンケート用紙(外来受診用)も、電子カルテであってもスキャンして取り込みますから、そこに、主訴:腹痛って、患者さんが書いているかどうかなんて、すぐわかると思いますよ。
ちょうど、勤務の終わりの時間帯だとすると、看護師同士の申し送りとか、看護日誌に、
前の勤務時間帯に受診して、診療が完了していない患者さんについての記録が残っている可能性がありますが、そこに、腹痛と書いてあったとしても、それが、受診時にあった腹痛ではなくて、昨日腹痛、今日は熱っぽくてだるいだったりして、アッペを疑うほどの腹痛が受診時にあった証拠にはならないと思います。

元ライダー元ライダー 2011/11/30 22:03 元法学部生様

いやー、ネタではないのですよ。
今回は業過と重過失の対比ではなく、生涯いち医師様の「誰でも、『過失が罪になるのは重過失のみ』という社会になること」というコメントを受けて、重過失の定義についてコメントしたものです。生涯いち医師様のコメントは、元法学部生のコメントを受けて言い換えれば、『業過であっても罪になるのは重過失のみ』という社会を目指したいということになります。
そこで、「いやいや、重過失の定義をきちんと確認しないとマズイよ」ということで先のコメントになったのですが、重過失に関しては失火の重過失が有名のようですね。
http://www.asahi-net.or.jp/~zi3h-kwrz/law2sikka.html
このなかでも某所で話題になったのはてんぷら油火災です。「ついうっかり型過失」の典型のように見えるのですが、重過失です。
上記URLで曰く、「重過失とは、注意義務の懈怠が重大である場合、わずかな注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見できた場合です」。この定義を受ければ、処方内容をきちんと確認するというわずかな注意さえすれば、たやすく誤投薬による違法有害な結果を予見でき、誤投薬は重過失です。医療における過失はこんなのが大半ですからね。そして、わずかな注意であっても(法律用語の)業務として何万回も繰り返せば、確率的に過失は起こるのです。ですから重過失の定義を踏まえず、(理想は)「誰でも、『過失が罪になるのは重過失のみ』という社会になること」と言うのは危険だと思うわけです。以上は某所でも法曹HNの方に指摘された重過失の見解を踏まえたコメントのつもりでもありますが、私の記憶違いかもしれません。

以前にもこれに類する議論はあります。医療事故調に関する議論ですね。
http://megalodon.jp/2009-0711-2103-26/blog.cabrain.net/media/article/id/23664.html
上記URLによれば、現状でも、薬の誤投与や手術ミスは、もちろん例外はあるでしょうが、重大な過失になる可能性が高いようです。

しかしまあ、過失というものは業務を繰り返せば繰り返すほど発生確率が上昇するわけですが、その業務に限って過失を重く(広くかな?)取り扱うというのは、なんとも精神主義であります。これなら、その精神主義に沿って、刑法211条から「航空管制官として緊張感をもって,意識を集中して仕事をしていれば,起こり得なかった事態である。」という名言が導き出されるほうが、かえって不自然ではありません。刑法211条があってこその名言ですがね。

それから、サルガッソー 様が示された峰さんのツイートですが、
>「因果関係を否定できない」という表現に対して、裁判官は数十%を、医師は0.01%とか0.1%という印象を持つと知って驚いた、という浜秀樹判事のお話

一般市民は何%の印象なんでしょうか?医師側がズレている予感がしますが、数十%なら医師側は「因果関係を肯定できない」と言いそうです。尤も、「因果関係を否定できない」とは「因果関係 ≠ 0」という意味以上のものは無いというのが正確なところなんですがね。

生涯いち医師生涯いち医師 2011/12/03 05:52 元ライダー様
 重過失、という定義があいまいなので"recklessness"という概念でとらえるべき、と、上記の日医総研シンポジウムにも言及してあります。要は、日本の刑法が「過失は罪」という精神論に立脚しており、これを医療にまで適用しているのは全世界的にも珍しい、ということなのです。過失は罪ではないが、過失に「故意や隠蔽」がからんだら罪、というのが世界の医療裁判の常識であり、日本のみが例外、ということです。
これに医師法21条がからんでくるので、極端に言えば、日本の医師は、いつ警察にしょっぴかれるかわからない、という状態で医業を行っているわけです。
検察が謙抑的になったのは、いわばお情け、ということにすぎません。世論でいかようにも揺れ動きます。
ましてや、検察審議会が、不起訴をひっくり返せるとなると、医療の不確実さを理解せず、死んだらとりあえず医師が悪いんだろう、と考えるおかしな国民感情に、もう医師は抵抗できない、という構図です。
外国の医師にこのことを説明すると、医師会と医学界(特に「異状死ガイドライン」を出した法医学会)の対応に呆れかえるのみです。
法医学会は、自分の出したこのガイドラインがいかに非常識なものか、猛省すべきですね。医師会も医学界も、日本の医師のおかれた法的立場がいかに異常か、もっと認識して戦わなければ。

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