新小児科医のつぶやき

2011-12-30 ブログ納め

今週もヘトヘトになりながら何とか紡いで、今日でブログを納めます。最後は定番の今年を振り返ってモノです。1月から順に目に付いた話題を拾ってみます。


1月

この月は平穏だったようで、ボタン電池の誤飲の話とか、医師の悪筆の話題とかを扱っています。そうそう山崎正和氏の読売インタビュー記事も話題になりました。


2月

この月も今から思えば平和で、男根挿入による膣の形態変化を大真面目に主張する脳科学者の話とか、福岡の助産所プロジェクトにかの牟田口中将が参画されたりの話題があった月です。そういやあの産屋プロジェクトどうなったんでしょうね。国際的にはエジプト騒乱があり、これに引き続いてアラブの春が誘発されていったのは今年の大きなトピックになるでしょう。NZの地震も今から思えば示唆的な出来事でした。


3月

この月は東日本大震災があり、もちろんその事も何回も取り上げて書いてはいますが、あんまりヒットにはなってません。今日のピックアップはブックマーク基準でやらせて頂いており、たぶん日本中のブログなり報道機関が根こそぎ震災を取り上げたので、その中に埋没したのだろうと思っています。

震災は重要なのですが、ちょっと置いといて、小児医療的に今年の大きな問題に同時接種による副反応問題がこの月に起こっています。公式の結論としては因果関係無しにはなっていますが、この件をキッカケにしてバラ打ち接種に流れが変わり、今年のインフルンザ接種は半殺しの目に遭いました。震災に較べると地味な話題ですが、個人的には大きな問題として尾を引いています。

それとこれは個人的に今年で一番手間がかかった幼児の不慮の事故の統計ですが、なんと震災の前日に書かれていたのに少し驚きました。個人的な思い入れは強いエントリーですが、上げた時期が悪かったとしみじみ思っています。


4月

さすがに震災関連の話題が主体となっています。これも今から思えばですが、4月時点でもボチボチ震災被害の主役は地震や津波の直接被害よりも、原発による放射能問題にシフトしつつあったように感じます。以後は御存知の通りで、震災といえば放射能問題、原発問題に話題の中心がシフトしていった様に感じます。もうひとつ地味な話題ですが統一地方選挙があり、練馬区の皆様も平和に投票されていたかと思っています。


5月

5月と言えばユッケになります。つうかあれが5月だったかと思い起こしています。それとフリー・ジャーナリストと会社記者の確執がこの後も何度か浮上しています。質の低いフリー・ジャーナリストの存在が明らかになる一方で、だからフリーは問題だと導く会社記者の主張にもあんまり共鳴が集まらないぐらいに言えば良いでしょうか。


6月

震災後の反応の一つに反原発があります。あれだけの被害をもたらしたのですから、反原発への共鳴が出てきて当然なのですが、一部の反原発派のボルテージと言うか行動は凄まじいものがありました。もともと原発自体には、多くの人に漠然たる不安感はあり、以前から反原発運動が息長く続けられていた事も周知の事です。それが原発事故を契機に一挙に爆発したとは言えるかもしれません。

ただ余りにも激しすぎたと言うか、過激に過ぎ、気に入らない説を主張する者に猛烈なバッシングを加えて回ったのは記憶に新しいところです。反原発以外の主張を根こそぎ叩き潰そうと動き回ったとすれば宜しいでしょうか。連動してと言うか、根拠とする放射能被曝問題もひたすらヒートアップしたとしても良さそうです。

ほいじゃ、それだけ激烈な運動を展開して、日本中が反原発一色に染まりあがったかと言えば少々微妙です。もともと親原発派なんて少なかったわけで、出来うるならば原発は廃止しようぐらいまでは成果はあったと思っています。一方で、過激反原発派は完全に浮き上がってしまったようにも感じています。これも震災後の狂想曲の一幕だったと感じています。


7月

こうやって見ると7月も平穏だったようで、静かな話題しか取り上げていません。ま、有名人の自殺報道があるたびに、WHOのメディアの基準が私以外にもセットの様に出してくれる方が増えたのは喜ばしい事です。もちろん、そんなものを物ともしないと言うか、鋭い忘却力で次の報道が為されるのも定番ですが、だんだん報道のたびにカウンターの様に騒がれれば、「そのうち」ちっとは変わると期待しています。


8月

ネタに困ったのかホメパチもしくはその類似の怪しげネタを頻用した月のようです。それと富山の話が出ていますが、最善とは言えなくとも次善であっても、結果が悪ければ許さない式の報道が例年のように多かった事がわかります。

もう期待するのもバカらしいかもしれませんが、結果からすべてを断定し、そういう結果が起こった事は二度と起してはならない式の話に少々ウンザリしています。結果は過程があって起こった事であり、過程のどこに問題があったかを論じ指摘する作業が本来は不可欠なはずです。救急問題の最大の問題点は、傷病者を受け入れる医療機関の戦力不足が根幹です。

この根幹に触れるのは基本的にタブーのようで、ひたすら効率的な運び方ばかりが指摘されます。トドの詰りが「無理やりでも押し込めばすべて解決」式の強引な論法が横行するだけでなく、行政の施策でも推進されています。それで解決するなら楽しいですが、そうはならないと私は指摘しておきたいと思います。


9月

このあたりから何度か日大光が丘病院問題を取り上げているのですが、一番のイメージダウンを喰らったのは地域医療振興協会であったように感じています。ここまでの騒ぎになるのも織り込み済みだったのか、想定外だったのかは知る由もありませんが、個人的には鬼女板に反発を喰らっているぐらいの状態に見ています。でもまあ、乗りかかった船ですから進んでいくのでしょう。

もう一つは佐々木俊尚氏の記事を書いて感じた事ですが、一貫性は大事ですが、発展性とか柔軟性も重要じゃないかと考えた次第です。自分の主張を売り込んでいくためには、事象に合わせた柔軟性・応用性が必要であり、教条主義に陥るのは良くないです。これは私にも当てはまる事で、常々自戒している所です。

一方でなんですが、とある有名人医師は、現れる事象に機敏に対応されるのですが、その度が過ぎて、「この人の根っ子はなんだろう」の疑念を抱かざるを得ないと感じています。確かに頭の回転も早く、その場の理解力は非常に優れているようですが、その理解が浅いと言うか、全体との整合性に齟齬を来たしていると見ています。

たぶん試験問題を解くのなら文句の無い能力ですし、臨床でもその場の判断材料で素早く診断を下し、また新たな情報が入れば即座に診療方針を切り替えていくので優秀であろうとは思います。ただ社会事象はその場で手に出来る判断材料はすべてではありません。その場だけを切り取ったものならまだしも、複雑かつ多層的に他の事柄と絡み合っていますから、そこまで考えての判断が求められます。

ある程度すべての判断材料が出揃っていた社会事件への対応・判断は非常に良かったので、すべての事柄でそうかと思われていましたが、その後の主張を見ると「どうも」そうでは無いように感じています。単なる才子肌の人物で、参謀役とか情報分析官としては適任でしょうが、リーダーとしてはチト問題が残るタイプと見ています。名前は出さないのは結論を出すにはまだもう少し時間をかけたいぐらいの趣旨と御理解下さい。


10月

小児科医としてSOTIの話は、実戦でも参考になると言う意味で今年一番の収穫でした。実戦に役に立つと言っても、そのまま使える訳ではありませんが、食事アレルギーの治療の基本戦略と言うか考え方として取り入れていきたいと思います。

それと今年の第2のワクチン問題としてOPV問題があります。神奈川県の動きは結果としてIPV早期導入の拍車にはなったと見ています。ただ導入に当たっては、OPVからIPVへの移行期問題、DPT-IPV(セービン株)と単抗原IPV(ソーク株)の並立問題、それと移行期のワクチン確保の問題があるとメーカー筋は話しておりました。来秋は覚悟しないといけないのですが、秋に導入されるのは正直厳しいところです。インフルエンザ接種で忙殺される時期ですからね。


11月

TPPと消費税、ついでに言えば普天間基地問題は民主政権がとりあえず担っている政治課題です。政治課題は他にもテンコモリありますが、抜き差しならないと言う意味では切迫している問題です。前回の衆議院解散が2009年7月21日です。それで来年が2012年。解散はなんだかんだとしないでしょうから、まだ1年半以上はこれに直面するわけです。民主政権は2013年夏まで続いても、現政権がどこまで頑張れるかは来年のお楽しみかもしれません。


12月

12月は書いただけでも私はヨシとしておきます。11月もそうですが、よくまあ、あの状況下で書いたものだと自分で自分を褒めています。


ちょっといい話

今日はできればホッとするような「ちょっといい話」を書くのが主題でした。ところが何にも思いつかず、定番ネタでお茶を濁させて頂きました。それじゃ寂しいので一つだけ提供しておきます。時間の関係で公開許可をまだもらっていないのですが、エ〜イ、コピペします。

「あの文書を、あの昭和38年の文書を認めて、

 あなた方はあの労働を法的に違法ではない

 『当直業務』であるとでも仰るつもりですか!?

 そもそも当直とはナンであるかを問い詰めるために

 起こした裁判です。あなた方は本当に「法の番人」の

 おつもりなのですか?判決文が欲しいのですが。」

これで和解交渉の流れがガラッと変わったそうです。元法学部生様が指摘された様に労基署に原本がなくとも、所持していれば有効性は保持されるみたいです。これはそういう扱いであるから致し方ないとして、労基法41条3号の宿日直許可があるから「当直業務」であるとの主張で和解交渉に入った流れはあったようです。それこそぶぶ漬けの50万円ぐらいで手を打とうです。

裁判官がそういう風に水を向けると言うか、被告側の和解条件を取り上げて提示してきたら、訴訟の当事者としては疑心暗鬼の塊になるとの指摘もありました。判決もそうではないかです。それでも凛として裁判官に言い切った光景は目に浮かぶようです。さぞ迫力があったと思います。いや怖かったとも思います。

原告側弁護士の後日談によると、そこまで言い切れる人間は和解交渉の場では非常に珍しいそうで、思いの他の原告側態度に動揺したんじゃないかと評しています。和解になったことに批判的な意見もありましたが、絶対に譲らない原告の意思の固さに満額和解しか逃げようがなくなったと私は見ます。私のようなヘタレでは絶対にムリな話と思っています。


ではでは、来年が皆様にとっても良いお年になられる様に祈ります。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/30 13:21 Yosyan様

来年もよろしくお願いします。 そろそろインフルエンザ+嘔吐下痢+マイコでしょうか
お体を大切に無理のない範囲でお願いします。

今年のことは忘れないためにも 忘年会?ではなく望年会に私のほうではなりました。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/30 13:42 ま、色々ありますよね...。
何気に見返したら、自己ブログ、休載のお知らせを含めたら、今年皆勤賞でした。
結構びっくりしてます。

今、ちょっと心配なのは、原発事故関連のこと。東北の疲弊もそうですが、他の地域での心理的な疲弊も心配です。典型的に現れて、今、まさに進行中なのは下記のこれ。心配です。
> 子供の周囲を健やかに保つため、「マルトリートメント」を考える(見守りの大切さ)。
> http://d.hatena.ne.jp/luckdragon2009/20111230/1325199009

あと、ひそかに喜んでいるのは、ずっと追っていた不活化ポリオワクチンが、やっと承認の兆しが見えてきたのと、報道の自殺報道が、何気に WHO 報道基準を遵守し始めているような動きが見えるところです。(朝日などは、ライフリンク代表を取材して記事にしています。)

まあ、雑感としては、そんなところでしょうか。
心配事はてんこ盛りありますが、ひとまず、一歩一歩、歩いていくしかないかな、と思っています。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/30 13:44 おっと、挨拶の転記が切れてました。

改めて、追記。

今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。
(そういえば、来年は辰年。私のハンドル名も幸運の竜ですからね...。)

お弟子お弟子 2011/12/30 22:55  今年もこのblogでいろいろ勉強させて頂きました。Yosyan先生、コメンテーターの方々、ありがとうございました。
 また言葉のみならず実際に様々な行動をされている方々を見かけるにつけ、勇気づけられたり参考になることが多かったです。
 また来年もこのblogの空気がうまく行きますことを祈念して、一年のお礼の代わりとさせて下さい。それでは皆様よいお年をお迎え下さい。

生涯いち医師生涯いち医師 2011/12/31 03:49 Yosyan先生のブログは読者の質が高いので安心です。
2011年も2012年も、法律を遵守する労働者であることと、プロフェッショナルな医師であることを両立させて、医療崩壊の荒野を進むのみ。雇われの身ですのでYosyan先生のご苦労の何分の一もわかっておりませんが、このブログを維持するエネルギーに敬服し、ご健康に留意されて末永く維持されますことをお祈りしております。

nomnomnomnom 2011/12/31 10:53  今年も、ブログ楽しませていただきました。来年は皆様にとってもよい年になりますように。

endovascular_DRendovascular_DR 2011/12/31 19:37 本年も4時間ほどで終了です
ブログ非常に勉強になりました.ちょいっといい話,FBでさっそくシェアしようかと思い公開許可が取れていないというのでやめました,これ歴史に残る「宣言」ではないでしょうか?

また,来年も,よろしくお願いします.

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20111230

2011-12-29 燃焼しなかったバトル

最近復活している産科医療のこれからの「助産所における嘱託医の包括指示による医療行為」について(抗議)by 日本産婦人科医会から日産婦の抗議文を引用します。

日産婦医会発第107号
平成23年6月29日

厚生労働省医政局長
大谷泰夫殿

公益社団法人日本産婦人科医会
会長寺尾俊彦


助産所における嘱託医の包括指示による医療行為」について(抗議)

 日頃より本会の事業に対しご指導とご理解を賜り厚く御礼申し上げます。

 日本産婦人科医会は、開業助産師が嘱託医の包括指示のもとに局所麻酔薬を使用し、さらに会陰切開、会陰縫合などの医療行為を行うことについて、明確に反対する。このような医療行為が開業助産所により日常業務としてなされることは、医療の安全の面から見ても断じて看過することはできない。

 保健師助産師看護師法第37条には、保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師の指示があった場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、又は、医薬品について指示をし、その他医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるところの行為をしてはならないと、明確に医療行為を禁止している。また、厚生労働省医政局長通知(平成19年3月30日)「分娩における医師、助産師、看護師の役割分担と連携等について」においても、医師は助産行為を含む医業を業務とするものであり、母子の健康と安全に責任を負う役割を担っており、その業務の遂行に当たっては、助産師及び看護師等の密接な協力を得られるように医療体制の整備に努めなければならない。助産師は助産行為を業務とするものであり、正常分娩の助産と母子の健康を総合的に守る役割を担っている。そのため、出産には予期せぬ危険が内在することから、日常的に医師と十分な連携を取ることができるよう配慮する必要がある。日本産婦人科医会は、医政局長通知に従って、役割分担を行い、分娩の安全と安心に心がけてきたところである。

 医療法第19条と医療法施行規則第15条には、嘱託医と嘱託医療機関の確保の規定がある。助産所は、「嘱託医師については産科又は産婦人科を担当する医師を嘱託医師とすること、及び嘱託医師による対応が困難な場合のため、病院又は診療所(医療嘱託機関)を確保すること」という条文が記載されている。日本産婦人科医会は、医政局長通知(平成19年12月5日)「分娩を取り扱う助産所の嘱託医師及び嘱託する病院または診療所の確保について」に基づいて、妊婦等に無用の混乱を与えないように、会員にその協力をお願いしているところである。

 しかし、日本産婦人科医会の姿勢と協力を無視して、開業助産師が嘱託医の包括指示のもとに医療行為である局所麻酔薬を使用し、会陰切開を施行すること、さらに医療行為である会陰裂傷縫合の研修会等を継続するのであれば、日本産婦人科医会としては早急に会員に通知を出し、母子の健康と安全に責任を負うことができない嘱託医契約についての見直しと、助産師養成のための教育で、医療行為にかかわる部分、医療行為の教育に関する部分の協力を辞することも念頭において、対応する所存である。

抗議の主題は、

    開業助産師が嘱託医の包括指示のもとに局所麻酔薬を使用し、さらに会陰切開、会陰縫合などの医療行為を行うことについて、明確に反対する。このような医療行為が開業助産所により日常業務としてなされること

まず保助看法37条です。

第三十七条

 保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。

読めばそのままなのですが、助産師の部分だけピックアップしておくと、

  1. 診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない(ただし医師または歯科医師の指示があった場合を除く)
  2. 臨時応急の手当は可 <il>へその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は可

この条文通りに解釈すれば、助産師だけの判断では、

  1. 局所麻酔の使用はできない
  2. 会陰切開、会陰縫合はできない

当たり前ですが、こうなります。そもそも助産師が医師の指示があっても局所麻酔とか会陰切開、会陰縫合が出来るか自体が個人的には疑問なのですが、御存知の方は情報下さい。もう一つ保助看法38条も紹介しておきます。

第三十八条

 助産師は、妊婦、産婦、じよく婦、胎児又は新生児に異常があると認めたときは、医師の診療を求めさせることを要し、自らこれらの者に対して処置をしてはならない。ただし、臨時応急の手当については、この限りでない。

この「医師の診療を求めさせることを要し」のためにあるのが、嘱託医師制度であると解釈するのが妥当でしょう。

医療法第19条

 助産所の開設者は、厚生労働省令で定めるところにより、嘱託する医師及び病院又は診療所を定めておかなければならない。


医療法施行規則第15条の2

 分娩を取り扱う助産所の開設者は、分娩時等の異常に対応するため、 法第19条 の規定に基づき、病院又は診療所において産科又は産婦人科を担当する医師を嘱託医師として定めておかなければならない。

  1. 前項の規定にかかわらず、助産所の開設者が、診療科名中に産科又は産婦人科を有する病院又は診療所に対して、当該病院又は診療所において産科又は産婦人科を担当する医師のいずれかが前項の対応を行うことを嘱託した場合には、嘱託医師を定めたものとみなすことができる。
  2. 助産所の開設者は、嘱託医師による第1項の対応が困難な場合のため、診療科名中に産科又は産婦人科及び小児科を有し、かつ、新生児への診療を行うことができる病院又は診療所(患者を入院させるための施設を有するものに限る。)を嘱託する病院又は診療所として定めておかなければならない。

助産所は嘱託医師が必要です。条文を読んで初めて知ったのですが、それだけでなく新生児への診療が可能な嘱託医療機関も必要となっています。ただし嘱託医師と嘱託医療機関は別でも良いようです。それはともかく医療法施行規則第15条の2には、

    分娩時等の異常に対応するため

局所麻酔や、会陰切開・会陰縫合も分娩時等の異常と考えるべきと思います。法の定めをごく素直に解釈すると、分娩時に異常が発生すれば、

  1. 嘱託医師に指示を仰ぐ
  2. 嘱託医師の指示で助産師だけでは出来ない医療行為(薬品投与など)を行う
  3. 助産師の手に負えない時は嘱託医師の指示により嘱託医療機関に搬送する

これが大原則であると素直に解釈できます。いわゆる連携医療と言えば宜しいでしょうか。


制度の趣旨はわかりやすいのですが、これもまた周知となってしまった事に開業助産師は医師の指示を嫌うものが「かなり多い」です。産科医療と言うか現代医学体系と離れたところに助産師学があるとの立場をとろうとされています。たとえば開業助産師の中でも助産所をもたない者は、嘱託医師・嘱託医療機関は不要の解釈をして助産行為にあたっている者もいると聞いています。

なかなか独立の気性に溢れた職業集団ですが、すんごい解釈を用いているようです。

    包括指示の拡大解釈

私にはそもそも包括指示が具体的にどんなものか判らないのですが、想像するにある程度の指示と言うか許可を嘱託医師が助産所に与えているぐらいに解釈します。まあ、日々のことですから、

    これこれは指示があった事にして、助産師の判断で行ってもよい

事前指示でも良いですし、事後了解でも良いぐらいの感じでしょうか。これも厳密には違法行為になるかもしれませんが、分娩現場も一刻を争うときがあるでしょうし、嘱託医師もいつでも助産師の要請に応対できるとは限らないからです。そういう包括指示があること自体は不思議とは思いません。しかし、助産所とか助産師会になると、

    包括指示 = 丸投げ許可

ここまで理論体系を成長させているようです。いやはや凄いものです。ほいじゃ、日産婦が抗議までする理由は何かになりますが、やはり

    責任は(包括)指示した者にある

こうではなかろうかと思っています。そのため、

    日本産婦人科医会としては早急に会員に通知を出し、母子の健康と安全に責任を負うことができない嘱託医契約についての見直しと、助産師養成のための教育で、医療行為にかかわる部分、医療行為の教育に関する部分の協力を辞することも念頭において、対応する所存である。

「母子の健康と安全」の建前は嘘ではないでしょうが、本音としては責任問題は本音として小さくないはずです。包括指示なしで助産師が独断で行なった事ならば責任はすべて助産師にありますが、包括であっても医師の指示の下での行為となれば、連帯責任は免れませんし、下手すると実際に行為を行った助産師より、指示した医師により責任が重いなんて事になりかねません。


ただなんですが日産婦の抗議の日付は、

    平成23年6月29日

5ヶ月も前の抗議です。抗議はしたものの、あっさりスルーされたと解釈できそうな気がしないでもありません。それともなんか実りでもあったのでしょうか。それなりに医療情報にアンテナを張っていたつもりでしたが、抗議があった事も、抗議に対する厚労省や助産師会、さらには日産婦のリアクションも遺憾ながら昨日まで耳にしていません。どうなったかの顛末を御存知の方は情報下さい。

元もと保健所長元もと保健所長 2011/12/29 08:58 不満があるなら、それぞれの産科医・産科医療機関が「包括指示」と受け取られかねないような「嘱託医契約」を一方的に破棄すればよいのです。
それをせずに、団体として国に文句を言ってくる彼らは単なるヘタレです。

SeiaiSeiai 2011/12/29 09:11 戦後に比べると出産率の低下が恐ろしく下がり続けています。
現在も0、01%上がったり、下がったりの平行線をたどり続けています。
国が策として子供手当やら年齢や受け取る期間を各都道府県で定め策定しています。
そん中でも出産率は殆ど変わることはありません。
何故だろうか?と考えてみると私は社会がそうさせてるんだと思います。
現在は共働きが多く、子供を持ちたくても持てない環境や子供産んでも経済的に育てていくのに厳しい家庭が増加している事をメディアだけでなく、日々自分が働いていて実感します。
例え、子供を出産したとしても、その後に職場復帰出来る環境や子供の成長に合わせた資源がなければ、今後はどんな策を国がうちだしても出産率の上昇傾向は目に見えてきません。

元もと保健所長元もと保健所長 2011/12/29 09:31 Seiai 2011/12/29 09:11 さん
>戦後に比べると出産率の低下が恐ろしく下がり続けています。
>何故だろうか?と考えてみると私は社会がそうさせてるんだと思います。

「社会がそうさせている」というご意見に全面的に賛成します。

そこで、内閣府の資料をご紹介しますが、世界で「出産率」の高い地域は何と言ってもアフリカです。経済・衛生の状態や女性の社会的地位などがそうさせているように思われます。

もし、「出産率」を「戦後」のように向上させることが絶対正義なら、西欧のような中途半端でなく、いっそアフリカの高出産率地域にこそ学ぶべきではないでしょうか。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2004/pdf-h/pdf/g10h0200.pdf

10年ドロッポ10年ドロッポ 2011/12/29 10:03 >それをせずに、団体として国に文句を言ってくる彼らは単なるヘタレです。

未だに産科医をやってる時点でででw
*ただし僻地の産科医先生を除く。

>現在は共働きが多く、子供を持ちたくても持てない環境や子供産んでも経済的に育てていくのに厳しい家庭が増加している事をメディアだけでなく、日々自分が働いていて実感します。

ソースはないんですが、一夫婦あたりの出生率はそれほど減ってないと、何かで聞いた事があります。私の周囲でも3人は普通、4人の子持ちも珍しくありません。では何故出生率が下がるのかというと未婚率が高くなってるからだそうで私の周囲でも以下ry

…誰かウチに来て妹をファックして下さいw

ふぃっしゅふぃっしゅ 2011/12/29 11:38 Yosyan先生、こんにちは。

琴子ちゃんのお母さんの「助産院は安全?」に関連エントリーがあります。

まず2011年3月10日の「助産師の会陰縫合術について、厚労省に聞きました」では、すでに助産師の会陰切開縫合に関して「2年間の施行と検証を始めている」が、「研究内容は公表できない」という答えが返ってきています。
いくつかの大学付属病院では助産師の縫合の研修をしているようですから、開業助産師だけでなくすべての助産師を対象にして何かが動き出しているようです。助産学生はすでに2年前から「会陰縫合の実習」があるようですし。
私の周りの助産師は皆、このような動きがあることさえ知りませんが。

また2011年8月19日のエントリーで、この講義文をすでに紹介しています。
私は助産師会には入会していないので、会の内部でどのように伝えられているかは知りませんが、助産関係の雑誌などにはいまだにこれらの会陰切開縫合に向けての情報と言うのは見た記憶がありません。こんなに重要なことなのですけれど。

8月19日にコメントしたように、「臨時応急の手当て」を拡大解釈してなんとか助産師が縫合術までできるようにと働きかけているようです。
でも産科医と分娩介助していれえば、「臨時応急」という助産師の不確かな知識や技術で対応しなくて済みより母子にとって安全だと思います。
実際に、明文化されていないクリステレル圧出法も「臨時応急」として、日常的におこなわれているらしいですし。
看護師の内診なんて比較にならないほど危険なことをしていることには甘いのですね、私たち助産師という世界は。

これは明治時代の産婆団体にさかのぼる分娩の主導権をめぐっての政治的な戦いなのでしょう。
もうそろそろそういうことは止めてほしいと切に思います。

麻酔科医麻酔科医 2011/12/29 14:23 助産師が局所麻酔で縫合するようなものは、翌朝、産婦人科医が縫っても問題ないんじゃないかとエベレストを登った産婦人科医の先生のブログを読んでいて思った私です。
それよりも、新生児蘇生の実習とか、産科専門医の更新みたいに、開業助産師の資格も更新性にしたらいいと思います。専門医の資格は、現在どんどん資格更新制で、臨床やっていないで、学会参加だけのペーパー更新はできない仕組みになってきています。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/29 15:43 >団体として国に文句を言ってくる彼らは単なるヘタレです。
本件は公益社団法人日本産婦人科医会が厚生労働省医政局長大谷泰夫氏に抗議しています。
公益社団法人日本産婦人科医会=団体と思いますが厚生労働省医政局長大谷泰夫氏=国という官僚的考えには疑問をもちます。

ついでながら、皆様ご存じなように、日本国で医師を規定する医師免許には
厚生労働大臣と厚生労働省医政局長の署名があります。
本件につきなぜ抗議先を厚生労働大臣+厚生労働省医政局長にされずに
厚生労働省医政局長のみに限定された日本産婦人科医会の意図が私としては意味不明です。

厚生労働大臣+厚生労働省医政局長の両方に抗議されて初めて国に対する抗議と言えるのでは

元もと保健所長元もと保健所長 2011/12/29 16:58 京都の小児科医 2011/12/29 15:43 さん
>厚生労働省医政局長大谷泰夫氏=国という官僚的考えには疑問をもちます。
>厚生労働大臣+厚生労働省医政局長の両方に抗議されて初めて国に対する抗議と言えるのでは

ホウ、厚労省医政局長宛の抗議が国への抗議でないなら、厚労大臣宛であっても国への抗議とは言えないでしょう。
医師免許の出元が厚労大臣+医政局長だったとしても、それだけの理由で「厚労大臣+医政局長」と書けば「国あての抗議」になるとはとても思えません。

日本国憲法第41条に「国会は、国権の最高機関であって・・」とあるので、衆参両議長あてか国会議員全員宛ならいいかもしれません。
また、日本国憲法第1条に「天皇は、日本国の象徴であり・・」とあるので、拝啓天皇様で出すべきだったかもしれませんね。 アハハ

774RR774RR 2011/12/29 17:27 >日本国憲法第1条に「天皇は、日本国の象徴であり・・」とあるので、拝啓天皇様で出すべき
日本国憲法第1条の条文を素直に解釈するなら、陛下宛じゃなくて(日本)国民宛じゃないですかねぇ?

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/29 18:23 元保険所長様

ありがとうございます。
>ホウ、厚労省医政局長宛の抗議が国への抗議でないなら、厚労大臣宛であっても国への抗議とは言えないでしょう。
たぶん、反論されると推測していました。
こういった脳内変換を官僚がされる日本の医療状況は非常に勉強になります。
ここらへんをお笑い医療行政ととるか(私はそう思いますが)
もしくは国会または天皇へとさらに脳内変換されるかも非常におもしろく感じました。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/29 18:23 元保険所長様

ありがとうございます。
>ホウ、厚労省医政局長宛の抗議が国への抗議でないなら、厚労大臣宛であっても国への抗議とは言えないでしょう。
たぶん、反論されると推測していました。
こういった脳内変換を官僚がされる日本の医療状況は非常に勉強になります。
ここらへんをお笑い医療行政ととるか(私はそう思いますが)
もしくは国会または天皇へとさらに脳内変換されるかも非常におもしろく感じました。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/29 18:26 上記2重投稿になってしまい失礼しました。

あと、私的に考えるのは(私的な脳内変換)は厚生労働大臣宛ての
厚労省医政局長解任要求です。

元ライダー元ライダー 2011/12/29 18:40 これ、見過ごすと、今話題の特定看護師にも波及するでしょうな。「医師の包括指示があれば処方していい」とか「処置していい」とか。
包括指示の責任が問われそうなのは産婦人科医ばかりではありませんよ。私の場合は、包括指示なんて出さないつもりですから、人ごとですが。でも、そうなったら、ジェネリック薬で議論されたように「包括指示を出さない理由をレセプトに記せ」なんて言われるんでしょうか。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/29 21:43 私論ですが、本件、公益社団法人日本産婦人科医会が本気で抗議を考えておられるのなら
厚生労働大臣+厚生労働省医政局長の両方に抗議するべきと考えます。
そこまできちんとされればきちんと燃焼するのでは。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20111229

2011-12-28 医療機関と消費税

消費税アップは紆余曲折はあるでしょうが、いずれ為されると考えています。消費税アップの是非は今日は置いておいて、消費税が医療機関に及ぼす影響の知識整理をしておきたいと思います。参考にするのは、

話は医療機関に絞りますが、医療機関が物品を購入し販売する流れは、

    メーカー → 卸問屋 → 医療機関 → 患者

こういう順序で下ってきます。ワクチンの様にメーカーと卸問屋の間に販売会社がある時もありますが、面倒なので適当に脳内置換して下さい。


自由診療の場合

消費税は最終販売価格にかかるものです。例にしやすい様に医療機関が100万円の価格の医療物品を販売した場合は、患者から105万円の代金を受け取ります。消費税は最終購入者が支払うからです。105万円のうち100万円は医療機関の売り上げですが、5万円は税金として納付する事になります。ただし医療機関が5万円を払う事になりません。

消費税は物品の販売毎に生じます。医療機関に物品を販売した卸問屋、さらに卸問屋に販売したメーカーにも消費税が発生しています。ここもわかりやすいように、

  1. メーカーは60万円で卸問屋に販売
  2. 卸問屋は医療機関に80万円で販売
  3. 医療機関は患者に100万円で販売

差額は各段階の取り分になります。実際は医療機関の差益はこれほど大きい事は少ないのですが、あくまでも見やすくするための例としてください。

そうなるとメーカーが卸問屋に販売時に3万円、卸問屋が医療機関に販売する時に4万円の消費税が発生している事になります。全部が別々に払えば12万円の消費税が発生してしまいます。そうならないように、各段階で払った消費税が差し引かれていく事になります。チトわかりにくいところですが、表にしてみます。


販売元 購入先 販売価格 発生消費税 実際の納税額 解説
メーカー 卸問屋 60万円 3万円 3万円 これはこのままメーカーが納税
卸問屋 医療機関 80万円 4万円 1万円 3万円はメーカーに既に支払っている
医療機関 患者 100万円 5万円 1万円 4万円は卸問屋に既に支払っている

各段階の販売者は自分のところで発生した消費税を納付するのですが、購入時に支払った消費税は既に支払っているので、差額が実際に納付する金額になります。くどいですが、実戦的には医療機関を例に取ると、

  1. 卸値80万円に対する消費税4万円は卸問屋が受け取り、消費税を払った事になる
  2. 100万で患者に販売する時の消費税5万円を受け取るが、既に4万円を消費税として卸問屋に払っているので、納税額は1万円となる

もうちょっと簡単に解釈すると、100万円の商品と言っても、卸値である80万円分は卸問屋から購入する時に消費税の納税は終了し、利益分の20万円に対する消費税を支払っていると言った方がわかりやすいかもしれません。

こういう仕組みは自由診療医療機関として例に取りましたが、通常の消費税の仕組みと言い換えても構いません。スーパー、コンビニ、デパートなどの殆んどの商品売買はこうやって消費税が徴収されることになります。


保険診療の場合

保険診療の場合も医療機関が購入する時までは同じです。問題は医療が非課税である事です。患者にとっては税負担がなくて良い事なんですが、医療機関にとっては様相が変わります。先ほどの表をもう一度出しますが、


販売元 購入先 販売価格 発生消費税 実際の納税額 解説
メーカー 卸問屋 60万円 3万円 3万円 これはこのままメーカーが納税
卸問屋 医療機関 80万円 4万円 1万円 3万円はメーカーに既に支払っている
医療機関 患者 100万円 0円 どうなるか?


保険医療機関では非課税になりますから最終消費者である患者から消費税を受け取れません。つまり卸問屋に支払った消費税がそのまま医療機関の負担になります。通常ならさらに最終消費者である患者から消費税の支払いを受けるのですが、これが非課税であるために最終消費者の位置にある事になります。

ここもわかり難いところかもしれませんが、消費税は最終消費者が負担するもので、販売者には税金がかからないものであるはずなのに、保険医療機関は販売者であるにも関らず消費税を直接負担している事になります。これを消費損税と呼んだりするようです。

医療費の非課税は、最終消費者である患者が非課税なのですが、国税庁的には医療機関が購入する段階まで徴収されます。最後の医療機関だけが転嫁先なしと言う構図があります。知っている人は知っている話です。


消費損税の行方

ここで販売者が払うものでない消費税を支払っているから税務署から還付を受けられるかですが、

課税売上割合とは簡単に言えば、総売上のうちに占める消費税が課税となる売上の割合のことである。つまり、課税となる収入に対応する分しか仕入れに係る消費税額は控除できないのである。消費税を計算する上で、診療材料の仕入れが非課税診療と自由診療に共通するものであれば、その診療材料の仕入高に対する消費税額に課税売上割合を乗じる。収入が、社会保険診療等しかなかった場合には、課税売上割合が0%になるので、仕入れに係る消費税額は一切控除出来ない。その場合には、還付を受けることができず15,000円の支払損が生じてしまう。

簡明に書いてくれてはずなのですが、私には少々難解でした。「課税売上割合」の定義が厄介なのですが、国税庁の課税売上割合の計算方法には、

    課税売上割合 = 課税期間中の課税売上高(税抜き) / 課税期間中の総売上高(税抜き)

こういう計算式で示されるそうです。そいでもって課税売上割合が95%以上の時は課税仕入れに係る消費税額の全額を控除できるそうです。しかし95%未満の時は、課税売上げに対応する部分のみが控除されるとなっています。自分で書いていても理解が怪しいのですが、

    収入が、社会保険診療等しかなかった場合には、課税売上割合が0%になるので、仕入れに係る消費税額は一切控除出来ない

こうつながるとわかるかと思います。保険医療機関は課税売上割合がほぼゼロなので、消費税額は一切控除されない事になるそうです。つまりは医療機関が医療品の消費税をすべて被る状態にあると言う事です。


消費税10%になると

単純化しますが、消費税5%と10%で80万円の医療品を購入したシミュレーションを書いてみます。


卸値80万円 保険診療機関 自由診療機関
税率 5% 10% 税率がいくらになろうと消費損税なし
購入段階の支払い 84万円 88万円
消費損税 4万円 8万円
販売価格 公定価格 自由価格


表にするほどではありませんが、同じ80万円の医療品を買っても5%で4万円、10%になると8万円の純粋な支出が発生します。医療は非課税ですから患者を最終消費者にする事はできませんし、保険診療の値段はコチコチの公定価格ですから、消費税分を上乗せする事ももちろん出来ません。消費税が増えた分だけ病院の支出は連動して増加する事になります。

当時は勤務医だったので消費税と医療経営については全く無関心でしたが、医療の非課税により消費税分だけ医療機関が被る構造になっているのに改めて驚かされます。よく、まあ、こんな条件を日医が旗振って導入したものだと思っています。それでも当初の税率は3%でしたが、現在の財政事情では確実に10%、さらには15%、いや20%以上を目指したいのが財務省の本音だと考えています。

消費税自体の意義はともかく、税率が上る分だけ消費損税が医療機関に増大する仕組みは検討を要すると思います。解消するのに一番単純なのは保険医療にも消費税を導入する事です。ただ日医は非課税に旗振った手前もあるでしょうし、先日も「患者事故負担増は受診抑制につながる」として外来負担100円反対運動を展開しています。そうなると患者負担増につながる保険医療への消費税導入なんてもっての他になります。

とは言え、来春には診療報酬改訂が行われます。慣例により2年毎に改訂は行われますが、その間に消費税アップが行われたらどうなるかです。消費税アップ分に匹敵する診療報酬増が迅速に行なわれるでしょうか。個人的には極めて疑問です。また診療報酬改訂で対応すると、これがまた全体額との複雑な神学論争が毎回展開され、消費税額がどうなったか訳のわからない結末になるのも十分に予想されるところです。

消費税がパカパカ上る時代を考えるのなら、医療機関に消費損税が発生しない税体系を構築するべきと思っています。素人考えなら、せめて非課税ではなく税率0%とし、課税売上割合に応じた控除ぐらいを導入したらどうだろうぐらいは思い浮かべます。

ただ税率0%案も問題はあって、医療では仕入れた医療品を患者に直売している訳ではないのです。院内薬局ぐらいなら直売に近いかもしれませんが、院内の治療に用いる医薬品、消耗品の類をどう計算するかと言われれば、正直なところどうなるのか私の知識では不明です。包括点数が多いものですから、税率0%による控除だけで何とかなるものとは思い難いところがあります。

それでも消費税率が上れば確実に医療機関に消費損税による支出は増えます。まるでどこにも問題が無かったかのように、モロに医療機関が被り続けるのでしょうか。とりあえず10%になる時には放置されそうな悪寒がしています。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/28 08:46 「(ぼそ)インボイス方式...(^^;」

まあ、事務手続きが色々大変だけど、本当に消費税を多様的で実利なものにするためには、インボイス方式が良いと思うけどね。透明化もされるし。

さっき読んでた。論文のページ。
> 「消費税の諸問題とインボイス方式導入に関する一考察」
> http://www.sozeishiryokan.or.jp/award/018/017.html

YosyanYosyan 2011/12/28 08:51 luckdragon2009様

 >「(ぼそ)インボイス方式...(^^;」

たしか導入の時にも検討されてましたよねぇ。御指摘のように事務作業が煩雑になるために採用されませんでしたが、税率がパカパカ上る時代になれば、改めて採用を考える必要があるかもしれません。

浪速の勤務医浪速の勤務医 2011/12/28 08:51 医薬分業は進みそうですね。

法務業の末席法務業の末席 2011/12/28 09:27 医療については、現在は消費税法6条の「非課税取引」に該当するようになっていますが、これを輸出取引と同じ同法7条の「免税取引」にすれば、インボイス方式にしなくても仕入控除で還付を受けることが可能なんです。現行の輸出取引業者は、川上で納税されて仕入価格に転嫁上乗せされた消費税分を、仕入控除を利用して税務署から還付を受けています。

昭和63年の消費税(3%の時代)の制度を導入するとき、大蔵省とやり合った日医など医療団体や厚生省などが、この6条の「非課税取引」と7条の「免税取引」の違いについて不勉強のまま、医療は「非課税取引」にするから良いでしょ、と丸め込まれたのが悔やまれます。

SeisanSeisan 2011/12/28 09:32 うちでも消費税関連は悩ましいんですが、今一番の悩みは「予防接種はどうなるのか」です。

予防接種は保険診療ではありません。ただし、定期接種に関しては「母子保健にかかわる部分は非課税」となっており、自治体への請求もワクチン自体は消費税込額で支払われますが、診療料・手技料は非課税計算になっています。また、インフルエンザやおたふく・水痘など任意接種に関しては基本的には完全に自由診療になりますので、ワクチン代・診療・手技料ともに課税対象になります。ここまではいいんです。

問題は「子宮頸がん等予防接種事業」です。

これ、うちの税理士さんが悩んでる点なんですが、税務署に問い合わせると「原則課税対象」といわれ、自治体に問い合わせると「診療・手技料に関しては非課税のはず」と言われちゃったんですよね。
もちろん、母子保健に関する自由診療と考えるのなら、非課税なんですが、一般の予防接種として解釈する(あくまでも公費補助の任意接種のため)なら、課税対象になるはずなんです。
もちろん、自治体からは非課税扱いでの報酬で設定されてますが。

もう、ほっかむりして非課税扱いで申告しよっか、なんて話をしています(^_^;)

元ライダー元ライダー 2011/12/28 11:07 診療報酬にかかわる消費税については法務業の末席様のおっしゃるように日医がバカでした。土地の譲渡や貸付け、住宅用としての建物の貸付けも非課税なんですが、価格に消費税相当分を自由に埋め込むことが可能です。一方、診療報酬(本当は”診療単価”と呼んだほうが適切なんだけどなあ)は公定価格で、医療機関が価格に消費税相当分を自由に埋め込むことができませんから、同一視できません。もし消費税アップとなったら、今度こそ「免税取引」にしないとなりません。

Seisan さま

実現できなかった(涙)とある事業計画を立てるときにお世話になった国税庁HPからです。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shohi/06/06.htm

(医療関係の非課税範囲)
(7) (略) 国又は地方公共団体の施策に基づきその要する費用の全部又は一部を国又は地方公共団体により負担される医療及び療養(いわゆる公費負担医療)

「子宮頸がん等予防接種事業」は非課税っぽいですね。

元法学部生元法学部生 2011/12/28 12:09 うちも厚労省公定の運営費は消費税率に応じて上がったりしない(国家公務員の人件費に対応した変動は、毎年年度当初にさかのぼって適用される)業界なんである意味、同じ問題を抱えています。

ま、それ以前に一人一人の子供にかかる食費・生活費等として見積もられている額が高度成長期前から一定ですし、そもそも食費に主食代は含まれていない(ご飯・パンの類いは保護者自弁で副食のみ給食の建前)ぐらいですからいまさら驚きませんが。

RomRom 2011/12/28 12:24 Romさせてもらっている歯科医です。
私の記憶では、点数改定年ではない97年に臨時の点数改定が行われております。
いろいろ、理屈はついておりますが、あきらかに消費税増税分を点数に反映させたと思っています。
このときから正式に保険診療は、非課税ではなく内税方式になったと思います。
国民をだましていますが。

YosyanYosyan 2011/12/28 12:38 Rom様

かつての点数改訂の話は私も聞いた事があります。ただ例によって例の通り、正式と言うか公式の扱いではなくムニャムニャと当時の当事者の口頭了解みたいなスタイルです。つまり次の時はどうなるかは誰もわからないです。当時より医療費削減の圧力が強くなっていますから、消費税率アップをそのまま被らせての削減政策が行われる事もありえると言う事です。過去の経緯をあっさりひっくり返すのも厚労省のお家芸です。

RomRom 2011/12/28 13:01 たしかにこの前の政策的事業仕分けを見ていても、本当にこの人たちに任せて大丈夫かーと思いましたものね。
また、Romさせていただきます。

当薬竜胆当薬竜胆 2011/12/28 15:54 「課税売上割合が95%以上の時は課税仕入れに係る消費税額の全額を控除」されている病院はあります。企業が設立した病院です。会計を設立元の企業と合算で行えば、課税売上割合が95%以上という条件は簡単にクリアー可能です。その分経営は楽なのですが、病院事業自体が黒字を上げ、本体が収支ギリギリや赤字の時は、黒字分を召し上げられてしまう事にもなりますけど。

一公務員一公務員 2011/12/28 18:07 税率ゼロの実現は不可能に近いでしょうから、診療報酬の確実な上乗せで実質的な補てんを狙うのが現実的でしょうね。
税制を設計する側から見れば、価格転嫁が難しいという技術論を理由に、免税という利益を勝ち取ろうとする、よくある主張の1つにしか見えないでしょうから。

ゼロ税率や刑事免責は、税制や刑事法制の根幹を揺るがすものを医療側の事情だけで軽々しく要求しているように見えて、実現が可能とは思いにくいです。
運動論として主張するのはよいと思いますが、診療報酬の確実な上乗せなり、まともな医師が過失の有無を判定する仕組みなり、実現可能な果実を狙う戦略を持った上で主張されるのがよいように思います。

ちなみに私は国家公務員ですが、財務省、厚生労働省の所属ではありません。念のため。

最後に、12月12日の税制調査会で、医療への消費税課税のあり方について審議されており、興味深いやりとりがありますので、興味のある方は議事録をご覧ください。
下の url の第27回(12月12日)の議事録の2〜5ページになります。

http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/index.html

SeisanSeisan 2011/12/28 18:55 元ライダーさま、情報ありがとうございます。
つーことは、税務署(の担当者)が間違ってるんですね。
安心して対応させていただきます。

元外科医元外科医 2011/12/28 20:52  インボイス方式にするべきでしょう。食料品などの軽減税率など複数税率にも対応可能だし、現実にEU諸国でやられてるわけで、日本だけが出来ない理由はありません。
 医療の免税は難しいかもしれませんが、食料品などとともに軽減税率を適用すれば、消費税の逆進性も緩和されるでしょう。医療機関だけが損税をかぶるいわれはありません。

元ライダー元ライダー 2011/12/28 20:58 一公務員様

輸出にのみゼロ税率が認められて、他には認められない合理的な説明って何なのでしょうかね?
それはさておき、

>診療報酬の確実な上乗せで実質的な補てんを狙うのが現実的でしょうね

いやー、それってゼロ税率を求めるのと同程度に困難だってのが、医療関係者の体感です。「”確実な”上乗せ」なんて医療経済実態調査を診療報酬を議論に出してくる方々に可能なこと、あるいそういう方々が本気で取り組むとは、とでも思えないですよ。「確実な」ってとこが画餅としか思えない。
まあ「補てんを”狙う”」ってのが100%でなくても仕方が無いって意味が込められているのでしょうが、本来1%も払ういわれの無い損税ですからね。損税でも我慢しろと言っているのと変わらないんじゃないでしょうか。

元ライダー元ライダー 2011/12/28 21:24 おもいっきり単純化すると

消費税UP分、診療報酬1%上げ

保険組合の支出増、多くの保険組合が赤字になった

保険組合も大変だし、保険料UPも限界だ。

そうだ!次回改定で診療報酬引下げよう!

次回改定で診療報酬1%下げ

こんなもんですな、ありそうな未来。

一公務員一公務員 2011/12/29 00:23 >インボイス方式にするべきでしょう。食料品などの軽減税率など複数税率にも対応可能だし、現実にEU諸国でやられてるわけで、日本だけが出来ない理由はありません。

もちろん、インボイス方式にすれば(あるいはしなくても)、課税技術的にはできます。
問題は技術的にできるかどうかではなく、建物の建築、機器、消耗品の類を医療機関に販売する場合に限って免税にするかどうかという話です。

なぜ、同じ物品について、最終価格が公定されている人に販売する場合だけ免税にすべきなのか、なかなか論理的な説明は難しいように思います。

>輸出にのみゼロ税率が認められて、他には認められない合理的な説明って何なのでしょうかね?

輸出の場合、輸出先で消費税がかかりますので、二重課税を防ぐためです。これはどこの国でも当たり前にとられているルールです。
日本が輸入した物品についても、輸出先の消費税はすべてゼロ税率となる一方、日本で5%の消費税が課されており、日本で消費される物品について消費税が免税されることはありません。

一方で、医療機関の仕入れを免税にするというのは、日本で消費される物品を免税にするということで、本質的に全く違う問題です。

一公務員一公務員 2011/12/29 00:53 >いやー、それってゼロ税率を求めるのと同程度に困難だってのが、医療関係者の体感です。「”確実な”上乗せ」なんて医療経済実態調査を診療報酬を議論に出してくる方々に可能なこと、あるいそういう方々が本気で取り組むとは、とでも思えないですよ。「確実な」ってとこが画餅としか思えない。
>まあ「補てんを”狙う”」ってのが100%でなくても仕方が無いって意味が込められているのでしょうが、本来1%も払ういわれの無い損税ですからね。損税でも我慢しろと言っているのと変わらないんじゃないでしょうか。

何度も投稿してすいません。

気持ちは分かるのですが、課税する側から見れば、「支払い側が価格転嫁を渋るから免税にしてよ」と言っているように見えてしまうでしょう。
何で販売側と購入側の価格転嫁についてのもめ事を、税収減という形で課税側がかぶらなきゃいけないの?ということ。

価格が公的に決められるという特殊性はありますが、購入側の力が強くて価格転嫁が難しい業種は他にもいくらでもあります。

いずれにしても「ゼロ税率は不可能」と言うつもりはありません。
医師の方々がおっしゃるとおり損税をかぶるいわれは全くなく、1.保険診療にも課税する、2.診療報酬に価格転嫁する、3.ゼロ税率にする、のどれかで解決すべきものですから。

ただ、ゼロ税率は、国内で消費される物品を免税せよという消費税の根幹を揺るがす主張になるので、税制をちょっとかじった者の感覚としては難しいと予想しているだけです。

miya93miya93 2011/12/29 00:53 上げていただいた議事録
「ゼロサムの中で考えるなら、2000億の損があれば、2000億の利益もあるのではないか。」
「損税があるのならば、それによって、むしろプラスになるという考え方もあるのではないか」

背筋が凍りつくような思いがしました。

miya93miya93 2011/12/29 01:19 >価格が公的に決められるという特殊性はありますが、購入側の力が強くて価格転嫁が難しい業種は他にもいくらでもあります。

軽く流されていますが、その「特殊性」が最大の論点だと思いますよ。

「もめ事」に過ぎないとしても
これは公的保健医療と国家の「公的な、もめ事」なのですから。
保健医療に関して最大最強の強制力をもつ国家側、行政側は当事者です。
他人の揉め事ではありません。

一公務員一公務員 2011/12/29 02:05 >これは公的保健医療と国家の「公的な、もめ事」なのですから。
>保健医療に関して最大最強の強制力をもつ国家側、行政側は当事者です。
>他人の揉め事ではありません。

まさにおっしゃるとおり、国にとっては他人の揉め事ではなく、当事者意識を持って真剣に対応すべき問題だと思います。

国は何らかの手段で、損税が全く発生しないような措置を確実に取るべきだと思います。
その手段としては、私は診療報酬への確実な価格転嫁が現実的で、課税理論上もより妥当性が高いと思いますが、ゼロ税率も実現不可能とか課税理論上不当だとまでは思いません。

個人的には、診療報酬を特定の項目だけ上げるのではなく、消費税を1%上げたら診療報酬をすべての項目について自動的に0.α%上げるルールを作るのがよいと想像しています。
全体をならしてαの値を決めると、仕入れ率が高いところ(大病院?)は損をし、低いところ(開業医?)は得をする傾向が出ますが、その不公平は無視しても、厚生労働省と財務省に裁量権を与えない価値は大きいと思います。

さらに言えば、いっそ不公平のないよう課税しちゃえば?とも思いますが、それはさすがに政治的に難しいでしょうね。

miya93miya93 2011/12/29 02:30 他人事のように語っておられる印象でしたので。
過剰に、キツい反応をしてしまったことをお詫びします。

その疑惑は払拭し、かつ具体的対案もあり、十分以上の回答をいただきました。
ありがとうございます。

一公務員一公務員 2011/12/29 02:51 すいません。何度も何度も。これで最後にします。
私がネット上で国の政策について書く文章は、「他人事のようだ」と言われがちなので、反省しているところ。

他人事っぽく取られないよう、書く内容に応じて主語・述語を書き換えているのですが、細かすぎて伝わらないですね。

担当者レベルの深い知識があって国はこうすべきだと責任を持って書ける場合=「国は……すべき」(医療機関の損税は根絶すべき)
一公務員としての知識から想像がつく相場観を書く場合=「私は……と考える」(ゼロ税率は難しく診療報酬で補てんすることになると考える)
一国民としての知識しかないことを書き殴る場合=「個人的には……と思う」(診療報酬の補てんは一律0.α%という形がいいと思う)

2011-12-27 交代勤務制導入促進案だって

まずソースは12/25付YakugyoJihoからです。

 中でも注目されるのは、診療報酬上の加算項目の算定要件として、 一部の病院に「交代勤務制」の計画の検討を義務化する点だ。現在も、医師の事務作業を補助する「医療クラーク」の人件費の一部を手当てする「医師事務作業補助体制加算」など8つの加算は、勤務医の負担軽減につながる計画を策定しないと算定できない。医療機関は、負担軽減の計画の中身を

  1. 医師・看護師らの業務分担
  2. 医師に対する医療事務作業補助体制
  3. 交代勤務制導入
  4. 短時間正規雇用の医師の活用
  5. 他医療機関との連携
  6. 外来縮小

― のいずれかを選択できる。

 厚生労働省は12年度改定で、小児、産科、救急などに関連する加算の算定については、3.の交代勤務制導入を「必ず検討する事項」とする方針だ。

 交代勤務制とは、夜勤明けを休みとするなど医師が交代で勤務することで長時間の連続勤務を軽減する制度。36時間連続勤務のような過重労働の防止が期待されるが、交代させられるだけの医師数の確保が前提となるため、広範囲で実施すれば「医師獲得競争」にも発展しかねない。

 そのため、交代勤務制を検討しないと算定できない加算は、そもそも一定数の医師がいることを算定要件にしている「小児入院医療管理料1,2」や「救命救急入院料」などの加算に限定する方針だ。「こうした加算を算定する病院は、通常8〜9人の医師がいると想定され、医師獲得の競争激化にはつながらない」(厚労省保険局医療課)とみている。勤務医対策は、過去数回の改定にわたって重視されてきた。前回の10年度改定でも、「医師事務作業補助体制加算」を大幅に増額したり、勤務医負担軽減の計画を策定しないと算定できない加算を増やすなどの対応をしてきた。

ま、軽いところから、

    交代勤務制とは、夜勤明けを休みとするなど医師が交代で勤務することで長時間の連続勤務を軽減する制度

記事を書いた人間はお気楽というか無知なんだろうと思っていますが、そもそも夜勤明けに勤務するとか、長時間の連続勤務が容認されている事自体が問題つうより違法です。

    36時間連続勤務のような過重労働の防止が期待

「期待」ってなんでっか?。勤務医の36時間連続勤務とは、

    通常勤務8時間 → 当直と言う名の違法夜勤16時間 → 通常勤務8時間 → さらに時間外勤務

これが基本で、この状態で翌日もごく普通に勤務する事を指します。そいでもって労基法41条3号の宿日直許可条件を遵守しても毎週1回以上、それ以上の回数のところなどゴマンとあります。なぜにこんなキチガイじみた勤務シフトが成立するかと言えば、違法夜勤時間が当直勤務と公式には見なされ、働かずに寝ているだけとされ、勤務時間に一切カウントされないからです。

軽減もクソも立派な違法労働であり、出るところに出れば一律断罪される代物です。ま、突っ込んでも今さらのお話ですから、ツッコミはこれぐらいにしておきます。



ほいじゃ本当に交代制加算なるものが中医協で検討されているか否かですが、12/7付中医協資料に確認できます。関係部分を引用しておくと、


課題と今後の方向性(医師事務作業補助者、交代勤務制)

  • 医師事務作業補助者の配置は様々な負担軽減策の中でも最も効果が大きく、より多くの医師事務補助者の配置や医師事務作業補助体制加算の届出が増加している。
  • 他方、医師事務作業補助者の配置していない医療機関の、配置しない理由として、補助者の雇用負担だけでなく、求人困難や、そもそも現体制で問題がないことをあげる医療機関もある。
  • 勤務状況の改善が必要と考える医師は全体の6割あり、増員を除くと勤務体制の見直しを上げる割合が高い。
  • 医師の8.1%が交代勤務制を行っており、負担軽減効果は高いと評価されている。特に救急医は他と比べ勤務時間は長く、当直に対する負担感は強い。
  • 勤務時間を短縮することで医療安全に関する指標に良い影響を与えるとの報告があり、当直明けの手術についてリスクが高いと考える医師の数は多い。

【今後の方向性】

  • 一定程度配置が進んだ医師事務補助者について少ない人数(100対1 75対1等)に対する評価の必要性についてどのように考えるか。
  • 医師事務補助者の配置人数に応じ、よりきめ細やかに評価することは可能か。
  • 産科、小児科、救急といった診療科に係る特定入院料(小児入院医療管理料等)や入院基本料等加算
  • (ハイリスク分娩管理加算等)は広くその算定にあたって、病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善を要件とする項目の対象の一つとし、交代勤務制についても負担軽減策の一つとして検討することとしてはどうか。
  • 特に勤務時間の長い救急医療については、医師の常時配置を必要とする入院料(救命救急入院料等)の算定にあたって、交代勤務制を実施していることに一定の評価を行ってはどうか。
  • 当直後の手術に対し一定の配慮を行うことを、勤務医負担軽減策の1つとして追加してはどうか。


何が驚いたかって、

    医師の8.1%が交代勤務制を行っており

たしか勤務医数は17万人ぐらいだったはずですが、8.1%と言うと1万4千人弱が交代勤務制であることになります。それだけいれば、少しは交代勤務制体験談が聞こえそうなものですが不思議なものです。なんらかの資料なり調査に基づいてのものでしょうから、嘘偽りとは思えませんが、非常に驚いたとさせて頂きます。まあ統計は様々なマジックがありますし、調査法もまた同じですから、根拠の調査やデータを御存知の方は宜しくお願いします。


それはともかく、ここでYakugyoJihoとの一致点を探しておきます。交代勤務制への加算をあげている点は当然として、


YakugyoJiho 中医協資料
厚生労働省は12年度改定で、小児、産科、救急などに関連する加算の算定については、3.の交代勤務制導入を「必ず検討する事項」とする方針だ。 産科、小児科、救急といった診療科に係る特定入院料(小児入院医療管理料等)や入院基本料等加算

若干わかりにくいのですが、とりあえず導入する予定であるのは「産科、小児科、救急」の予定であるのはわかります。でもって、これもよく読むと「加算」ではなく、交代勤務制を導入しなければ特定の加算を認めないものらしいのがわかります。つまりは減点と言う事です。具体的にどんな加算が対象になっているかですが、


YakugyoJiho 中医協資料

  • 医師の事務作業を補助する「医療クラーク」の人件費の一部を手当てする「医師事務作業補助体制加算」など8つの加算
  • 交代勤務制を検討しないと算定できない加算は、そもそも一定数の医師がいることを算定要件にしている「小児入院医療管理料1,2」や「救命救急入院料」などの加算に限定する方針

特定入院料(小児入院医療管理料等)や入院基本料等加算(ハイリスク分娩管理加算等)

YakugyoJihoの情報を信用すると、12/7の時点では入院料の加算への減点であったものが、「医師事務作業補助体制加算」など8つの加算まで含めて拡大された可能性が窺えます。



どうにも微妙すぎるお話で、交代勤務制を導入すれば単純に加算されるものであれば話はある程度簡単です。交代勤務制導入による、とくに日勤帯の戦力ダウンと加算による収入の算盤勘定になります。単純化すれば、

    日勤帯の戦力ダウンによる減収 vs 交代勤務制導入による加算収入

この比較がプラスになれば導入に前向きになります。もちろんこの比較以前に「交代制勤務を導入しない」選択もあり、導入しなくとも従来の収入は確保され支出も変わりません。経営判断としては、支出と加算収入がプラスになれば「お得だ」で導入に前向きになり、損だと後ろ向きになると言うところです。


ところが加算方式では減収分をとても補えないは確実にあります。つうかそこまでの予算などあろうはずもなく、加算方式では実効性が極端に乏しいと判断したのか、ペナルティ方式を採用しようとしているようです。ペナルティ方式なら予算はゼロで済むだけでなく、医療費節減にも効果があるとも言えます。構図としてこれも単純化すれば、

    日勤帯の戦力ダウンによる減収 or 交代勤務制導入しない事による加算分の減収

なんかドカ貧かジリ貧の選択を強いているようにしか見えません。これもドカ貧かジリ貧の二択ならまだしもなんですが、もう一つの選択枝が出てきます。

    この際やめてしまおう

産科の現状は良く知りませんが、小児科(つうより小児救急)も救急もさしての稼ぎがアテに出来る診療科ではありません。赤字で持て余し気味のところなら、ドカ貧もジリ貧でもなく無にする選択枝も十分にありえると言う事です。少々解釈が微妙ですが、

    医師の事務作業を補助する「医療クラーク」の人件費の一部を手当てする「医師事務作業補助体制加算」など8つの加算は、勤務医の負担軽減につながる計画を策定しないと算定できない

最終的にどうなるか不明ですが、「産科、小児科、救急」で交代勤務が導入できなければ他の診療科と言うか、病院全体で加算を失うのなら、そもそも無ければ加算が確保できるの算盤勘定も成立するからです。


ま、厚労省的には撤退が増えるのも計算のうちかもしれません。これも別なる大方針である集約化に寄与するからです。いずれにしても、少人数で地域医療のために歯を食いしばっている医療機関には何の恩恵はありません。負担に耐えられる大規模医療機関に交代勤務制が拡大すれば、医師の流れは自然に出来上がります。とりあえず地方の産科の減少に加速はつきますし、小児科が入院できる病院の減少にも拍車がかかるのは間違いありません。

もっとも医師の絶対数の関係から、現在存在するすべての病院で交代勤務制導入など算数的簡明さでムリですから、それはそれで良いのかもしれません。かくして目論み通り「産科、小児科、救急」は大都市に集中する事になります。そうなれば逆に人気が出てきて医師数増加に作用する可能性もあります。そりゃ、交代勤務制で大都市の大規模病院勤務が約束されるからです。

ひょっとすると、なかなかのプランなのかも知れません。ただ感触として非常に薄気味悪い感じは濃厚にあります。はてさて、どうなる事やらです。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/27 08:07 医師に GPS 持たせて、実労働のレポート提出(勿論、各種個人情報は削除)なんてのを、全国いっせいにやってみるとか。エコチル調査ならぬ、ドクター勤務ログ調査。

密着取材だと、映像ついてると患者さん映っちゃうし、実態を放送するのも、結構難しいですよねえ。

国民が唖然、な結果が出そうで、ちょっと「どんより」したけど。

浪速の勤務医浪速の勤務医 2011/12/27 08:31 >>この際やめてしまおう

逃げ遅れて「仕方なし」というか「いやいや」救急やら産科をしている医療機関の
最後の踏ん切りをつけさせてくれそうですね。

当直明け当直明け 2011/12/27 09:15 ERなどの欧米の医療ドラマで週末や勤務時間が終わったらサクッと夜勤ドクターと交代してバカンスへでかけるような憧れの状況が来るのはいつの日でしょうか。

我が国は主治医制という真夜中だろうがお正月だろうが急変したら主治医が呼び出されるというウェットな文化がありますが(学会先まで電話が来たり)、こちらも意識改革できないと上記は達成できないのではないですかね。

10年ドロッポ10年ドロッポ 2011/12/27 09:34 >ERなどの欧米の医療ドラマで週末や勤務時間が終わったらサクッと夜勤ドクターと交代してバカンスへでかけるような憧れの状況が来るのはいつの日でしょうか。

今スグ勝手に行けばいいじゃないすかw。もし文句言われたらそれこそ出るとこに出ればよろしいww

法務業の末席法務業の末席 2011/12/27 10:00 >もし文句言われたらそれこそ出るとこに出ればよろしいww

労基署方面にお出かけの際はご一報下さい。添乗ご案内を格安でお引き受けいたします。

うらうら 2011/12/27 10:07 法務行の末席様にとっては病院は宝の山者にですかねw

海の向こうでは病院に弁護士がうろついていて、患者に「訴えませんか」と持ちかけてくるそうですが、日本では医師を見つけて「労基署に行きませんか」なんちゃってねwww

うらぶれ内科うらぶれ内科 2011/12/27 10:08 失礼、うら↑のまちがいです

元外科医元外科医 2011/12/27 11:13 交替勤務制にすると医師の絶対数が足らない件はどうなったんでしょうか(笑)
日勤一人としても365日24時間人を配置するには7人は必要なんですからね。
それ以外は違法労働です。

YosyanYosyan 2011/12/27 11:28 元外科医様

時間が無かったのでモデルケースは書きませんでしたが、どこにでもある、

 1.日勤5日間
 2.土日休日
 3.夜は当直

これを交代勤務にするとします。全時間帯を1人としても、日勤以外に増える通常勤務時間帯は、

 1.平日夜の16時間×5 = 80時間
 2.土日の24時間×2 = 48時間

単純化するために日勤8時間としていますが、合計128時間の新たな勤務時間が増えます。1人当たりの上限は40時間ですから、これも単純計算で3人必要となり、日勤の1人と合わせて4人いないと絶対に不可能です。常勤医が4人いても日勤が1人ですから、医療経営的には相当な見返りがないと忌避されます。

7人いたら増えた通常勤務時間は1人のままとして、残りを日勤に振り分けて4人と言う事になります。日勤戦力が7人から4人に減ります。導入しても影響を少なくするためには、余程の人数でやらないと影響はかなり巨大です。

元ライダー元ライダー 2011/12/27 12:09 役に立たない「なんたら計画書」作成を義務付けておきながら、事務作業の軽減策とはお笑いですが、この「医師の事務作業を補助する医療クラーク」ってのは具体的にはどんな事務作業を補助してるんでしょうか?どなたか勤務医の先生教えてくださいな。

BugsyBugsy 2011/12/27 12:48 元ライダーさま

ふぁーい。

理想 絶えず医師の傍にいて検査や外来時間の予約を取ったり、口頭で聞いた診断書の下書きをする。或いはカルテを書き込んで最後に医師が確認してサインをする。

実際 医師の傍にはいるが、いるだけ。時々書類やカルテを探してはいる。ずっと横にいるので気が散って仕方が無い。全員についているわけでもないのし せいぜい外来と病棟に1人ずつで足りない。病棟でも同様。

せめて研修医が一人増えた方がフットワーク軽そう。

元ライダー元ライダー 2011/12/27 13:58 Bugsy さま

御教示ありがとうございました。私のイメージはその理想なんですが、クラークなるものを上手に活用できていないらしいことは、なんとなく分かりました。つまりはクラークに何をやらせるかが決まっていない。何をやらせるかを決める人も決まっていない(クラークは誰の指揮下なんでしょうか?)。何をやらせるかを決める人が決まっていても、その人がクラークに何をやらせるべきか分かっていない。このように想像しました。

GolaudGolaud 2011/12/27 14:45 東大病院 高度医療クラーク養成コース
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/soken/shika-program/edu-pro_h24outline.html
クラーク職は医療現場の隙間を埋めてゆく地味な仕事ですので、なかなか頭で作ったカリキュラムでは歯が立たないことが多いと思います。

お弟子お弟子 2011/12/27 22:25  まぁ今の制度でもそうですが、監査入れば「計画検討されてないよね」と不当収入分を自主返納を要求される制度ですから、その気になれば保険組合にとってはそう悪い話ではないですよ。戻って来る額は巨額です。
 問題はその気になるか、ですけど。さてさて。

tadano--rytadano--ry 2011/12/27 23:26 Bugsyさま

 私のところは理想にかなり近いですよ。外来は医師1人に1人専任でついてくれていて、検査や外来の予約も取ってくれます。医師がするのは診察とカルテ書きだけです。本当に忙しいときはシュライバーもしてくれます。診断書も書いてくれます。今の病院に来て保険関係の書類を書いたことはほとんどありません。レセ関係も医師ごとに担当が決まっています。病棟担当は1人ですけど、患者さんやご家族とのややこしい交渉ごとから病棟忘年会の幹事や余興の準備も引き受けて下さる働き者さんたちです。委託ではなくちゃんと病院で独自に雇用しています。元看護師さんも多いです。

惨禍医惨禍医 2011/12/28 08:47  大学病院ですが、クラークにはかなり助けられています。病棟での診療報酬関係は全て一人でやってくれていますし、外来受付クラークもかなりの多忙です。問題は、彼女らの給料が本当に安いこと。残念ながら給料ヒエラルキーで行くと、日雇い医員よりもさらに安い給料になってしまいます。時々、申し訳なく思います。

 いずれにせよ、また実質減算方式で医療経営のやる気を削ごうとしていること、良く理解できました。個人的な立場として集約化はむしろ歓迎しますが、こんな「つぶれ集約化」は実に無計画な、情けない話です。ブン屋がよく書く医師の強制配置などという真逆の発想が、この結果ぶっつぶれてくれるならまだいいのですが、そんなこともないでしょうし。

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2011-12-26 今年も、もうちょっと

クリスマスも終って、お正月までの数日は毎年の事ながら慌しい気分を味わっています。気分だけじゃなくて本気で忙しく、土曜日に休載明けを書いたものの既に煮詰まっています。せめて木曜か金曜ぐらいまで書いておきたいのですが、残り数日が非常な重荷に感じています。最後は今年を振り返るぐらいの定番ネタを使えるのですが、そこまでのつなぎに四苦八苦です。

そう言いながら、ポコッと話題が出てくるときもあるのですが、昨日から今朝にかけて悪戦苦闘状態です。何本か書きかけたのですが、どれも気に入らずボツです。切羽詰まってなんですが、プライベートの亡父の思い出話を上げさせて頂きます。



亡父が開業したのは1970年になるかと思います。開業の理由は亡祖父が強力に望んだ事(の割りには開業資金の援助はなかったとボヤいていました)と、勤務医としてのポスト問題であったと聞いた事が一度ぐらいあります。どうも開業医になるのは相当嫌であったらしく、この当時の思いでは殆んど語ってくれた記憶がありません。

これは亡父からと言うより、亡父の知人から断片的に聞いた記憶ですが、次期々々教授戦の前哨戦みたいな様相も一部あったとされます。これもどこまで信用できる話か定かではありませんし、さすがに美化している面もあると思っていますが、当時の医局の様相を知るものならある程度理解できるかもしれません。

なんと言っても医局制度が本当に華やかなりし頃のお話で、勤務医を続けると言う事は最終的に教授の椅子を争うと言う事に素直に通じた時代です。教授の退官年齢から逆算して、教授候補世代と言うのが出てきます。これは年齢だけではなく、その世代に有能な若手が固まっていたりもあったりするそうです。医局内の競争は研究と発表、もちろん臨床成績、さらにはモロモロも加味されたものです。

序列に関しては、目に見える肩書きと言うよりも、派遣される病院の格とか、そこでの地位を占める時期で発表されると言えば良いのでしょうか。もちろん日の当たる病院だけではなく、当時の事で物凄い病院にお勤め時期もあったりしてのローテーションですが、医局員には人事で示される位置で自分の序列が分かるという仕組みです。

亡父もある時期まで出世競争のトップグループにいたそう(そういう自負があったと伝えられます)ですが、開業前に派遣された病院が凄まじいところでした(私もなんとなく覚えています)。亡父としてはそこを勤め上げる事によって、次の異動に大きな期待を寄せていたようです。ところが次に示された病院とその地位は、同期のライバルの下と言うものであったそうです。同期のライバルと言っても大親友でもあったのですが、この人事を内示されて勤務医を続けることを断念したとされます。

椅子は一つしかなく分け合う事が出来ないのが宿命なのですが、この件については同期の親友医師も気にはなっていたようで、私が医師になった時に庇護者の位置に立ってくれました。もっとも亡父が死ぬのを追う様に亡くなったので、肝心な時にはいなかったと言うのは「まあ、しゃ〜ない」です。


とにかくドタバタと言う感じで開業に至ったようです。いつの時代でも開業すると言うのは一大事業です。それでも自慢じゃありませんが、物凄く繁盛していました。当時の医師不足は今とはレベルが違い、開業医への潜在需要がテンコモリあったと言えば良いでしょうか。その上で猛烈な働き者でした。家族に対する無愛想(疲れていたと思っています)とは裏腹に患者あしらいに長けていたと言われています。

さらに時間外診察を実に断らなかったのはあります。輪番も小児急病センターも無い時代でしたから、それこそ可能な限り全部診察していた状況です。連日5〜10人の時間外診察は当たり前で、多くなると20人以上みたいな日もありました。この時間外診察は当たり前ですが、時間内診察が多い時に比例して増えますから、時間外診察が多い時の不機嫌さは格別でした。

ほいじゃ繁盛していた外来がどの程度かですが、100人程度はヒマに分類されます。これも今から思えばですが、年末は大晦日まで仕事していましたから、300人とか400人とか500人は大げさではなく実話です。ピーク時は年間平均200人を超えていたはずです。

この100人外来ですが、亡父が平然とこなしていたので「小児科開業医なら当たり前」と思っていました。ところが実際に自分がやってみれば途轍もない数であるのが身に沁みてわかりました。私も開業してから既に9年目ですが、一般診察だけで100人を超えた日は未だかつてありません。亡父の時代の予防接種は集団接種だったはずですから、一般診察だけで100人をラクラク超えていたことになります。

一般診察より遥かに回転効率が良い予防接種を含めて100人超えても、正直なところへたばります。物を言うのも億劫になるとしても良いかと思っています。まあ、私の経営手腕では亡父の繁盛の1/3にこれから達する事があるのさえ疑問と感じています。


儲かったのは間違いありません。そりゃ、あんだけ働いて儲からなければ嘘でしょう。現在の基準でもウハクリでしょうし、ましてや当時の事です。さらに実に無趣味な人でした。無趣味は亡父に失礼なので、歴史とかは結構好きでした。旅行も好きで、家族旅行も良く連れて行ってくれました。ただあんまり忙しすぎて、稼いだ金で何かに打ち込むと言う事が殆んど出来なかったと見ています。

当時はゴルフブームが訪れかけていましたし、亡父も医師会仲間から誘われて始めようとしていました。確かゴルフセットも3セットぐらい購入していたはずです。3セットあるというのは、3回ゴルフを始めようとしたと言う事ですが、3回とも挫折し、ついにコースに出ることはありませんでした。かわりに運動として定着したのが犬の散歩です。

賭け事も好きでなかったようで、せいぜい時間潰しにパチンコをするぐらいです。これも地元でやるとうるさいと言うのがあり、神戸に出かけた時にたまにやるぐらいのものです。当時の娯楽の定番であった麻雀もルールを辛うじて知っているぐらいのものです。賭け事嫌いは亡父の血かもしれません。

食べものはうるさく、食べに行く店もこだわりが満点でした。亡父を知る人に言わせると、当時としては相当なグルメであったようですが、田舎ではさして出かけられる店があるわけでなく、忙しくなると出かける余裕もなく、それこそ「たまに」レベルになっていました。「たまに」レベルになると、新規開拓なんて余裕もなくなり、体力の衰えとともに出かけることも少なくなっています。

クルマも好きだったようですが、ベンツとかポルシェに走るわけではなく、開業してから自分のために新車を買ったのは二度で、ずっと中古車を乗り継いでいました。最後に買った新車は「いつかはクラウン」でして、妙に、はしゃいでいた記憶が残っています。しかし買ってから幾分もしないうちに最後の入院となり、殆んど乗る事はなかったと記憶しています。私が見た入院後のオドメーターは2000kmもなかったはずです。


これだけ全力で走り続けて、開業医を続けられたのは20年足らずです。1990年代の前半には天国に御召還です。そいでもってそんな医師生活に満足していたかと言えば、全然満足していなかったそうです。これは最後の入院生活の時に母が聞いた話ですが、勤務医に未練タラタラであったそうです。私が知っている亡父からは想像も付かないのですが、臨床より研究がやりたかったそうです。

この研究へのこだわりは私も聞いた事があり、私がなんとか医師になった時に何回か「研究したいなら研究をしろ」と聞いた事があります。亡祖父がカネにならない研究に大反対だったのが余程悔しかったようです。ココロは「お前が思う存分研究するぐらいは、家にカネがある」と言いたかったのかも知れません。

この点については、実に親不孝と言うか、上述した庇護者であった亡父の親友医師が「一日も早く後継者に仕立てることが、親友への報いだ」と信じ込んでいたせいもあってか、研究の「け」の字もないところで過ごす羽目になりました。開業医に研究は不要だし、もちろん博士号取得など時間の無駄であると判断されたようです。

私が研究に向いていたかどうかは、今となっては不明です。全然触れるポジションにいなかったので、研究とは具体的に何をするのか皆目見当がつかないからです。ですから皆様が「研究も楽しい」とコメントを下さると、自分が近づく事もできなかったものですから、妙に羨ましい気分になります。やっぱり向いてなかったかもしれませんけどねぇ。


私の事で寄り道してしまいしたが、私にとって亡父の思い出は「ひたすら怖かった」です。猛烈に多忙でしたし、元はかなり短気であったのは間違いないはずですから、思いっきりの大目玉を何度も頂いたものです。仕事に疲れ果てて余裕がなかったせいかもしれません。亡父が怖かったのは手もあがるのもありましたが、口も達者であった点です。

それこそ私の悪事を論理的にも暴き立てて、これでもかの容赦ない叱責が下ったものです。亡父自体は才子肌と言うより、刻苦勉励の努力型の人間でしたから、エエ加減な人間は許せない気持ちが強かった様にも今からは思っています。人間努力しないと報われるはずもないし、そもそも努力もしない者は報われるはずもないと言うところでしょうか。

子供だった私は何も言い返せる余地はなかったのですが、これにはちょっとした後日談があります。亡父にも負い目はあったのです。亡父に研究指向があるとしましたが、亡父が目指したのは京大です。それも入試の時と、専門課程に上る時の二度に渡って挑戦していますが、ついに適っていません。とくに専門課程に上る時には二度も挑んだそうですが、亡父の努力をもってしても京大の壁は厚かったと言う事です。

この挫折譚は、晩年最後の元気の時にポロッと話してくれました。人間は努力は大切だが、努力だけでは越えられない壁が確実にあると。その壁を越えるには努力に加えて、才能が必要だと。そして励ましの言葉だった思いますが、

    お前にはオレにはない才能があるような気がする。本当にあるかないかはわからんが、あるつもりで努力はやってみろ。それでダメでも人生だ。

残念ながら亡父の努力する才能を受け継がなかったのは遺憾とするところです。せめて自分の子供に隔世遺伝で伝わってくれている事を願うばかりです。もう少し生きていてくれたら、もっと違った話を聞く機会もあったかもしれませんが、子供心には向うところ敵無しの快調な人生を送っていると思っていた亡父の意外な側面を最後に少しだけ知った様な気がします。

だから努力は重視しても結果はさほど問わなかったのかもしれません。努力は必ずしも報われない事を知った上で、報われなくとも、それであきらめるのではなく、別の努力でこれを補っていくのが人生である事を知っていた様に今では思います。もっとも今になってやっと判ると言うのが、これまた人生なのかもしれません。


この歳になって思うのは、育児で男親と女親は役割が少々違うと感じています。これとて現在の親子関係になるとまた違うのかもしれませんが、直接子供に関与する部分において同じ役割とは言い難いように考えています。うちは娘だけですからとくにそう感じています。

女親は顔を見せ、男親は背中を見せると言えば格好良すぎるでしょうか。私は確実に亡父の背中を見ていましたし、追いかけていた部分は多々あったと思っています。自分の子供は私の背中をどう見ているのでしょうか。気になると言えば気になるのですが、考えたところで詮無い話です。

年の瀬はそんな事を思ってしまう季節でもあるように思っています。

江原朗江原朗 2011/12/26 08:37 研究といっても、文系の教授である私は、エクセル土方という地味な研究をしています。崇高でもなんでもありません。

YosyanYosyan 2011/12/26 08:49 江原朗様

 >エクセル土方という地味な研究

統計ネタで私はロータスと格闘しますが、あれも研究の真似事みたいなものになりますねぇ。あれは地味ですが執念がいる仕事です。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/26 08:56 研究はしていないのですが、最近は σ と格闘中。
統計の検定の話ですけどね。結構、やっかい。少し数学忘れてたし...。

SeisanSeisan 2011/12/26 10:07 1970年代あたりは、小児人口のピークを迎えた時代でもあり、もちろんそれに比べて医師(特に小児科医)の数は圧倒的に少ない時代でしたから(人口当たりの医師数でもそれがわかるとおもいますが)、登校途中にあった小児科開業医なんて、それこそ患者であふれかえっていた記憶があります。

ただ、いまほど受診頻度が高いわけでもありませんから、咳鼻程度で受診することもなく、たいてい熱が続いたら初めて受診、ってパターンが多かったようです。

大体、私の母校(小学校)なんて、私が通っていたころは教室が足らなくて校庭にプレハブ教室を立てて対応してたのに、いまや児童数1/10ですから(マジです、これ)。

そんなところで開業しても、あまり流行らないのは仕方ないかな…Orz

YosyanYosyan 2011/12/26 12:30 Seisan様

1970年代は故郷でもベッドタウンが建設され人口(小児人口ももちろん)が急増した時代でしたから、小児科開業医は戦場だった時代だったと思います。なにせ開業した頃は市内で2軒目(もう1軒は内科・小児科)の状態でした。ピーク時は学年(市内合計)で20クラスは余裕であったと思います。20クラスと言っても45人学級の時代です。

今は閑散たるもので、母校(小学校)もパンパンの5クラスから、40人学級の2クラスを維持できるかどうかまでに減っており、1/10かどうかはわかりませんが、1/5以下になっているのは確実です。亡父の医院を継承するのに気が進まなかった最大の理由です。晩年は小児科と言うより内科にかなり変質してましたからねぇ。

そう言えば旧市内では小児科は愚か、内科開業医まで減少して、受診するのも難儀すると旧友が言っていました。亡父の時代の生き残りが頑張っているぐらいですから、推して知るべしです。

moto-tclinicmoto-tclinic 2011/12/26 13:48 わたしも研究はしてないんですけど、ひとがした研究論文を読むのは好きです。
実際に研究するのは、研究費確保からはじまって、緩衝液の調製やら、培養なら毎日の管理やら大変だろうな・・。上に上がれば、そういうのは、下々の仕事または予算潤沢な教室なら、技師雇えばいいんでしょうけど。
最近、ヒトの表皮細胞のgene発現をマイクロアレイって手法で一気に解析、って論文読んだんだけど、まあ、ほんと凄いなあ。。たぶんデータ処理の過程で、ほとんどコンピュータのプログラミングできる程度の能力ないと、解析も出来ないんでしょうね。
良く理解できなかった点が一つあって、1枚のGeneChipに最大640万くらいのプローブ搭載できる、って書いてあったけど、あんな小さな升目に、どうやって特定のDNA断片吹き付けてるんだろ?印刷みたいな方法あるんでしょうか?
研究って、バクチみたいなとこありそうですもんねー。下手すると人生全く無駄だったみたいな羽目になりかねません。そこが怖くて、とても自分には向かない(^^;。

BugsyBugsy 2011/12/26 18:05 基礎研究をやる臨床医とは実に卑怯な奴です。

基礎科学者には臨床畑だから そこまで研究には詳しくない、臨床が忙しいので あなたたちみたいにはかばかしい成果は上げられないと言い、臨床バリバリの奴らには研究が忙しいから患者なんかかまってられないからと嘯いて、そのくせわざと論文を残せないのは他の臨床医に情報発信をしていないのは怠慢だと開き直っています。

そのくせ年々進歩する研究技術に追い付くのが精一杯です。もっとも臨床研究主体の奴らだってちょろっと分子生物学的な背景にも気が気がじゃありません。またはこの立体画像の組みたてのソフトを習熟するのを内心どうしようなんて困ってます。

早く偉くなって後輩どもにやらせたいよんと思えども 後輩は取るものとったらさっさと逃げていきます。
基礎研究だって最先端の診療機械だって 自分がやってみせないと誰も付いてきません。予算とって機械かって部屋を分捕って ようやく当たるか外れるか分からぬ結果が出ます。後輩の論文の面倒を見て やっとそれで誰かは振り向いてくれるかもしれません。しかし数年おきに繰り返さないと元の木阿弥です。

こんな事を繰り返しても 中途半端な臨床医という見られ方はかわりません。それが証拠に外病院からのスカウトが来なくなって何年たったでしょうか。卑怯な奴と見られても平気な奴じゃないと研究なんか やっちゃいけませぬ。
じゃなかったら 世間知らずのふりをして高いところから物を語るしかないのです。かといって世間知らずの馬鹿でも生きてはいけないのでござる。

moto-tclinicmoto-tclinic 2011/12/26 18:58 Bugsy様の論文読んでみたいな。いや、ほんと、医学論文てのは、ほどよく知的で、頭の体操にいいんです。
手術したりレーザー当てたり、これはもう、手仕事だから、合間合間に気の向くままに検索しては論文ダウンロードして読んで暇つぶしてます。有料でもせいぜい30〜40ドル/本。ネットに一番感謝するのは、このアクセスの容易さですね。月に10万円くらいダウンロードしてるかなあ。ゴルフもやらない、飲みにもいかない、ねーちゃん買わない自分の趣味としては安いものです。
今日もこれから、さっき見つけたNotch signalとTSLPの関係の論文読み込む予定。べつにいまさら業績上げて出世しようとかって目的じゃない、ほんとに知的好奇心だけでワクワク(^^)。

SeisanSeisan 2011/12/26 19:25 しかし、1日300人って、どんな診療の仕方をすれば可能なのでしょうね。

もちろん、今みたいに、検査をしたり、点滴をしたり、という頻度は低いと思いますが、それにしてもすごいです。
朝8時診察開始にしても、夜10時まで12時間無休で診察を続けたとしても1時間当たり20人以上、一人3分です。

確かに、先輩のウハクリの応援診療をした時には、3時間の診察受付時間で100人、診察終了まで5時間という経験はあるんですが、その1回だけで、もうゴメンナサイ状態でした(笑)。
あーゆーのが毎日朝晩あるなんて、私なら誤診一発即廃業になっちゃうでしょうねぇ。

でも、論文を読んだり、学会で話を聞いたりって確かに面白いんですよ。
私も活字中毒なので、学会誌やいろんな医学雑誌を結構買いますし、学会もメインのものはよく聞きに行きます(発表はしませんが(^_^;))が、世間様の思い込みに反して、ほとんど会場内のどこかで発表を聞いてるだけで、どこにも遊びにいったりはしないです。

学生時代は勉強がキライでしたが、面白いと思えば、苦にならないもんですね(笑)

YosyanYosyan 2011/12/26 19:58 Seisan様

 >しかし、1日300人って、どんな診療の仕方をすれば可能なのでしょうね。

現場は見た事が無いのですが、基本(9割以上)は約束処方で、咳・鼻水ならA処方、下痢ならB処方みたいなスタイルだったはずです。当時はクスリが不味くて飲めないはありえない世界ですし、座薬さえない時代です。私も風邪引いても、当時出たばかりのL-ケフレックスしか内服しなかったような記憶があります。

それと小児科専門の看板は上げていましたが、母親なりのセット受診は増えていき、これに対してはケフラール 3cap 分3 + PL 3包 分3で押しまくるもあったとは思っています。

中待合でのセットアップは当然で、呼ばれたら瞬時に入る方式です。ただ看護師は雇ってなかったので、予診は取ってなかったはずです。これについては現場を見ていないので何とも言えません。

だから3分より短くて、2分診療ぐらいまで高速化していたと推測しています。2分なら1時間に30人ですから、10時間かければ300人は可能です。もっとも300人越えの時は、朝9時から始めて、延々と休みなしで3時半ぐらいまで続け、無理やり30分程度休んだ後、10時ぐらいまでやってましたから、2分半ぐらいだったかもしれません。

亡父も超人的ですが、亡父が最後の勤務病院の小児科部長は、1人で300人外来をやりながら病棟守ってましたから、亡父以上の超人技で当時を知る人間は神業と伝えています。当時はそんな事が出来た時代だった言えるかもしれません。

 >3時間の診察受付時間で100人、診察終了まで5時間

毎日続けばある程度「慣れる」かもしれませんが、命を削る作業であるのは間違いありません。気持ち近い外来がありましたが、完全にヘタバリきりました。時代がきっと違うと自分を慰めています。

いまだいまだ 2011/12/27 12:34 moto-tclinic さま
>> あんな小さな升目に、どうやって特定のDNA断片吹き付けてるんだろ?印刷みたいな方法あるんでしょうか?

大きく分けて2つの方法があります。
半導体作成技術(フォトリソグラフィー)を応用して、ガラス基板上を区画分けして、そこでオリゴDNAを化学合成するという方法がひとつ。
もう一つは、仰るとおりの印刷みたいな方法です。インクジェット方式やバブルジェット方式など、プリンタの印刷技術を応用してDNAなどの試料をスポットしていきます。

ちなみに、マイクロアレイで発現解析というのは既に時代遅れになりつつあって、最新流行の方法は次世代シーケンサーを使ったトランスクリプトーム解析です。

moto-tclinicmoto-tclinic 2011/12/27 19:03 >いまだ様
そうなんですか、ご教示ありがとうございます。
そういう基本的なこと(GeneChipがどういう構造になってるのかとか)判らないと、その先の論文の文章読んでても、いまひとつ理解できた気にならないです。ありがとうございました。
きっとむちゃくちゃ高いんだろうなあ<GeneChip。

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2011-12-24 日大光が丘病院問題・ラストクリスマス

せっかくのイブですから、せめて心温まる話でも書きたかったところですが、気力の消耗は如何ともしがたく、手垢のついた光が丘病院問題を性懲りもなく書かせて頂きます。これも記録として留めておくぐらいの価値はあると、無理やりでも信じ込んでおく事にします。

12/17付産経記事に地域医療振興協会(協会)が抗議したそうです。対象の産経記事はWeb上では読めないようなので、医療経済経営協会の【誰が守る 地域医療】練馬光が丘病院問題(2)振興協会に引用されているものから再引用させて頂きます。ちょっと長いですが、産経記事と協会の抗議個所を較べながら読んでみます。


その1

産経記事該当部分

 運営を引き継ぐ振興協会は、僻地(へきち)医療の充実を目的に自治医大の卒業生が昭和61年に設立した。全国で52の病院、診療所などを運営し、全国の自治体から誘致の要望が多いという。

 だが急速な拡大で人材を確保せず運営に踏み切る例が、医療関係者らから指摘されている。

協会反論

 医療関係者が示されず、私どもの反論が出来ない。

 協会が新たに運営を開始した医療機関の設置者である市町村からは、その運営に対し、評価をいただいている。こうした医療機関は、もともと医師の確保が出来ず、経営的にも大きな困難を抱えてきた。設置者である市町村と協議を行いながら、順調に経営を行なってきている。また、3月11日の東日本大震災に当たっては、宮城県女川町を中心に、職員等548名、延べ3201日にわたる人的支援を行い、女川町から感謝をされている。さらに、平成22年度には当協会が運営する医療機関以外の医療機関に対し、延べ5944日の短期派遣及び8つの医療機関に対し長期の診療支援を行っている。この事実を承知しながら、今回の記事は。一方的な見方のみを書くものであり、報道機関としての貴紙の態度には疑問がある。

冒頭の

    医療関係者が示されず、私どもの反論が出来ない。

ここは具体的に誰がそう話したかを明示していない事を指摘しているかと解釈します。わからないでもありませんが、一応匿名ですが私も医療関係者として指摘させて頂いたつもりです。当ブログのコメンテーターにも医療関係者がおられ指摘された方もおられます。それでもネット上の得体の知れない医療関係者ですから「反論ができない」とするのは一つの見識ですが、それならこの後の抗議反論自体も

    やめときゃ良いのに

と私は感じます。

ここで具体的な反論として挙げているのは、なぜか医療機関の運用の話ではなく東日本大震災の支援実績です。もちろん震災支援を行った事は称賛に値する行為ですが、それと医療機関の運用が連動するかと言われるとちょっとズレそうな気がします。支援活動の一端も紹介されています。本当に立派な活動だとは思います。またこういう活動を行なった事自体は褒められこそすれケチをつける気はまったくありません。

ただここで協会が抗議する内容は医療機関の運用拡大に関する人員不足への懸念払拭のはずです。こういう例を示すのなら、いかに豊富な人員を動員できたかが必要なはずです。抗議文には具体的な動員人数が書かれていますが、

    職員等548名、延べ3201日

1人平均で5.8日であり、ごく素直に少人数のグループを交代で送り込んでいたと考えるのが妥当です。具体的な規模も書かれてあり

11. 派遣チームの構成及び派遣期間

  • A.急性期(18,21,24日)は、医師3名、看護介護10名、薬剤師1名、事務4名(女川2名、黒川2名)で3日間
  • B.24日以降は医師3名、看護介護5名、薬剤師1名、事務4名(女川2名、黒川2名)で1週間

4/11時点のレポートで13次にのぼる救援派遣が記録されていますが、あちこちの協会系病院からの派遣であると考えるのが妥当です。こういう動員が出来た事、また実際に支援を行った事と、協会の人手不足への反論はちょっと筋が違うと言うか、反論になっていないと私は感じます。そりゃ、いきなり548名の職員を動員し、そのまま3ヶ月なり、半年の支援が行われたならともかく、

    一方的な見方のみを書くものであり、報道機関としての貴紙の態度には疑問がある

そこまで言えるのかすこぶる疑問です。たとえば日赤だって大きな支援を行っており、延べ日数も動員延べ人員も大きなものであると考えますが、それだけ動員出来たからといって、日赤に唸るほどの医師や看護師がいるとは誰も考えないのと同じです。


その2

産経記事該当部分

神奈川県横須賀市民病院は平成22年春の運営開始時、呼吸器内科、泌尿器科など4科の医師を確保できず病棟を閉鎖した。開設時にいた産科医3人もゼロとなり、出産は助産師のみで担当している。

協会反論

 記事は、事実とは異なる。

 病棟を閉鎖したのは2科のみである。出産は助産師による院内助産であり、これ自体は、日本で2番目の快挙である。

神奈川県本部/横須賀市職員労働組合・書記長 森田洋郎氏が書かれた市町村が開設する病院の役割は指定管理者制度は地域医療に何をもたらすのか と言うレポートがあります。立場上の考え方はともかく、内部情報を詳しく聞ける立場にあり、医師の人数の変動部分は正しいと判断します。このレポートに基づいての協会移管後の医師数の変動の表を再掲します。


診療科 指定管理前 増減 指定管理後
呼吸器内科 3 -3 0
消化器内科 4 -1 3
循環器内科 4 +1 5
神経内科 2 -2 0
血液内科 1 +1 2
脳神経外科 3 -2 1
形成外科 1 +1 2
リウマチ科 0 +1 1
小児科 5 ±5 5
泌尿器科 1 -1 0
耳鼻咽喉科 2 +1 3
麻酔科 3 -1 2
産婦人科 3 -3 0
32 -8 24

このうちで小児科の医師数の変動の内容についてはかなり調査していますが、合っています。そうなると

    病棟を閉鎖したのは2科

常勤医数がゼロになった診療科のうち、なんと2科は常勤医ゼロで入院治療を行なっていた事になります。もっとも「病棟を閉鎖する」と「入院数がゼロでも病棟は維持している」は事実と異なるとの主張の可能性なら成立します。病棟と言えば広い面積と言うか、多数の病床を有する病院の一角をイメージしてしまいますが、言葉の定義からすると名目上の1床があっても病棟とは言えます。

さらに名目上の1床(病棟)が使われていなくとも、他の診療科の入院に常に使われていても外形的には「病棟を維持している」と主張する事は可能です。そういう趣旨で事実誤認と言うのなら、なんとか理解可能です。それでも協会の反論は一つ言い落としている事があります。横須賀市民の平成23年4月付の院長あいさつに、

4月1日以降、市民病院の許可病床数は482床ですが、現在は診療報酬上の制約等により、稼働病床は262床で運営しています。

平成22年4月に運営を引き継いで1年後でも482床中220床が「病棟閉鎖中」です。これも事実を正確にしておかないと協会に悪いですから2010.1.27付読売新聞から引用しておきます。

新年度から公設民営化される横須賀市立市民病院の4月以降の診療体制が26日、明らかになった。呼吸器内科と脳神経外科、泌尿器科、神経内科の4科で入院を停止し、稼働病床数を377床から約250床に縮小する。

協会が引き継ぐ前から482床は稼動しておらず377床であった事が確認できます。協会引継ぎ後に「病棟閉鎖」されたのは115床とするべきのようです。マスコミ記事ですから注意は必要ですが、平成22年4月時点では4つの診療科の入院は「停止」であったのが、現在は2つが「停止」、もう2つは「病棟閉鎖」であるのが正しい理解と考えます。

常勤医がゼロになった呼吸器内科、神経内科、泌尿器科、産婦人科は現在の横須賀市民HPを確認しても常勤医はいません。たぶん「入院停止」の2科はなんとか復活させたいと努力中で、「病棟閉鎖」の2科はあきらめたと言うところでしょうか。ひょっとしたら1人か2人の、動かせない、やむを得ない長期入院患者がいるから病棟閉鎖になっていない可能性も残りますが、実態としては稼動していないと見ても間違いないと考えられます。これを事実誤認と抗議するほどのものかどうかは評価が微妙です。


それでも病棟閉鎖に対する事実誤認は頑張れば理解可能ですが、

    出産は助産師による院内助産であり、これ自体は、日本で2番目の快挙である

ここまで来ると感覚の相違は怖ろしいほどで、産婦人科常勤医ゼロの状態で助産師のみの院内助産所を開設した事、それも首都圏の横須賀市で開設した事が「快挙」だそうです。個人的には「怪挙」に見えます。ま、横須賀市民のNICUは生き残ったみたいですから、母体から出さえすれば日本一安全な助産所かもしれません。

ここも協会の主張が非常に難解なのですが、問題の焦点は協会が医師・看護師を集められるかのお話です。横須賀市民で産婦人科の常勤医がいなくなったのが問題の焦点であり、別に横須賀市民で、どんな形であれ分娩が可能かどうかを問題にしているとは思えません。協会の反論をごく素直に解釈すると、光が丘病院で常勤産婦人科医がゼロとなっても、助産師だけによる院内助産所が開設できれば、

    これ自体は、日本で○番目の快挙である

これも何番目かは正確には存じませんが、それでも「文句あっか」が成立しそうな気がします。ここで地元産婦人科医療関係者筋の情報を付け加えておきます。個人的には非常に信頼がおける情報と判断しています。情報によれば横須賀市民には現在2名の産婦人科常勤医が存在します。

1人は横須賀市民の前産婦人科部長だそうで、近所に開業して非常勤医として出務されているそうです。もう1人は優秀な産婦人科医だったそうですが若くして体を壊され、幾つかの病院の非常勤医をされておられるそうです。お二人とも「分娩は行わない」の約束で非常勤医を勤められているとの事です。そいでもって、協会が「快挙」と自賛する分娩数は月に1〜2件となっています。


その3

産経記事該当部分

 浦安市市川市病院組合(千葉県)から経営を引き継いだ東京ベイ・浦安市川医療センター(344床)も看護師を確保できず、来春200床減らし、144床で開院する。

協会反論

 記事は、事実とは異なる。

 現在、病床は50床で運営している。これは平成21年4月の運営開始と同時に新病院の建設にかかり、場所が確保できなかったことから、やむなく50床で運営している。来春、新病院がオープンする。新病院は344床の病院であるが、浦安市及び市川市と協議し、医療安全等を考慮してオープン時は144床でまず運営を開始するものである。医療安全上、どの病院でも行われているものである。

これもツッコミどころが多い反論で、

    医療安全等を考慮してオープン時は144床でまず運営を開始するものである。医療安全上、どの病院でも行われているものである。

医療安全は大学病院を引き継いだ光が丘病院でも同等もしくはそれ以上に求められるのが妥当で、来春4月時に50床の話が現実味を帯びる事になります。それと東京ベイ・浦安市川医療センターは現在50床が、来春には、

    医療安全等を考慮してオープン時は144床

簡単には約100床増えて3倍に拡大する事になります。さらに目標の344床は来々春ぐらいが目標になると考えるのが妥当です。つまり、

  1. 来春には96床分の医師・看護師が浦安に必要
  2. 来々春には200床の医師・看護師が浦安には必要

協会が横須賀市民をどうするのか存じませんが、横須賀市民も

  1. 平成22年の引継ぎ時の377床にするために115床分の医師・看護師が必要
  2. 許可病床の482床にするためには220床分の医師・看護師が必要

これを抱えながら光が丘病院342床分の医師・看護師も集めるわけです。光が丘病院の目標数は練馬区の議会答弁によると医師だけで80人程度となっていますから、外野から冷静に見て「できるんかいな?」と不安視されても不思議なさそうに感じます。


その4

産経記事該当部分

 選定委員会と区議会は、北区で協会運営の東京北社会保険病院(280床)を視察。区議から「患者の笑顔をみて安心した」との意見も出た。

 だが同病院は、品川区にあった社会保険都南総合病院が、16年に医師を含め丸ごと移転した。日大側の医療スタッフが全員引き揚げ、ゼロから作る光が丘病院と比較できない。

協会反論

「16年に医師を含め丸ごと移転した。」は誤りである。事実は1名も引き継がれていない。医師を含め、すべての職員は一から募集を始めたものである。

 当時、東京北社会保険病院を支援できる病院は現在ほど多くなかった。現在は運営する病院も増え、多くの病院が練馬光が丘病院を支援できるようになっている。

北社保病院と言われても私にはサッパリわからないのですが、医師・看護師ごと「丸ごと移転した」は当ブログに医療関係者から情報が寄せられていました。しかしそれは事実誤認だとしています。

    医師を含め、すべての職員は一から募集を始めたものである

北社保病院(220床)も光が丘病院と同様に医師・看護師がいなくなった状態から、すべて協会がゼロから集めたと主張されているのが確認できます。ここで私がよくわからないのは、北社保病院も引継ぎ時点では50床ぐらいからステップしたのでしょうか。半分の100床ぐらいでも構いませんが、引継ぎ時に許可病床がフル稼働した可能性は低いはずです。

理由は協会が自ら上げている浦安の例にあります。医療安全上の指導で344床のうち177床でオープンしたとなっています。もっとも管轄が浦安は千葉であり、北社保は東京です。千葉では指導があり、東京ではなかった可能性は無いとは言えません。ここの解釈として、

  1. 浦安同様に医療安全上の指導があるのが当然なら、光が丘病院は来春に半分程度(もしくはそれ以下)の稼動病床での縮小運営になるのが当然となる
  2. 北社保が引き継ぎ時からフル稼働であれば、なぜに浦安が制限されたのか不可解となる
  3. 横須賀の病棟閉鎖は医療安全上の指導なのか、人員不足なのかの理由を知りたい

これぐらいの疑問は誰でも湧く事になります。


余計な事は言わなければ良いのに

サラッと読んだだけで協会の反論は何が言いたいのか理解に苦しむ点が多々あります。私が読む限り、急拡大による人員不足の懸念を払拭できるような具体的な反論は何ひとつ行なわれていません。強いて言えば産経記事の個々の事実に対し、非常に狭い解釈論争で「事実誤認」と指摘しているのが各パーツにおいてディベート的には辛うじて成立するぐらいかどうかです。

しかし最も大きな主題は、協会が多数の医師や看護師を来春までの短期間で集められるかどうかです。これに対しては何ひとつ答えていないのに等しいとして良いかと存じます。この程度の内容の乏しい抗議で産経が記事を引っ込めるほどの政治力があるのはわかりますが、わざわざ公開して誇示するほどの代物とはどうしても思えません。

私の感想としては

    キジも鳴かずば撃たれまい

幾ら言葉を飾ったところで、ここ数年の間に途轍もない数の医師と看護師を集める必要があるのは算数的事実です。現在の医療情勢でそれがいかに困難かは、医療関係者でなくともある程度はわかります。記事が事実誤認と言うのなら、もう少し別の内容の丁寧な抗議を行うか、目に見える事実を示した方が効果的と考えます。

問題点として指摘された浦安、横須賀、さらに光が丘に実際に医師や看護師を実際に集め運用する事が最大の反論になると思います。論より証拠の世界で、有無を言わせぬ実績を明示すれば外野の雑音は速やかに封じられます。この抗議の様に相手の揚げ足を取る事ばかりに終始した反論を行なったところで、根幹の「集められるのか」の不安や疑問は一向に解消しないだけではなく、今日書いたぐらいの素直な疑問がかえって出てくるだけだ言う事です。


事態がここまで進めば「無理なものはムリ」と言った方がむしろ誠実な気がします。協会の自負はともかく、協会だからといって医師や看護師を無尽蔵に集められるとは医療関係者の誰も考えていません。医療関係者でなくとも信じている者は少ないでしょう。いや、協会自身からもポロポロと本音が零れています。

裏事情は知る由もありませんが、外形的には協会はホワイト・ナイト的な位置に本来あるはずです。練馬区が50億円問題で日大と縁を切る決断をやらかしてしまい、このまま潰したのでは区民への説明が出来ないと言う体面の救済者であると言う事です。継承に当たっては日大の協力と言う前提条件が、これも形式的にはあったはずで、これが練馬区の事情で仰げなくなれば継承内容が変わるのは当たり前と言う事です。

継承条件であった日大の協力が無理と判断できた時点で「長期はともかく、来春時点での運営規模はこの程度である」と早々に逃げてしまうべきであると私は考えます。光が丘病院問題で日大と喧嘩したのは練馬区であり、別に協会が日大と直接喧嘩している訳ではありません。日大の継承への協力の交渉者も協会が主役とは言えず、喧嘩の当事者である練馬区であるのは自明だからです。

ムリと言い切ってしまえば、それはそれで混乱を大きくするかもしれませんが、混乱に対する批判や責任問題は協会より練馬区に強く向けられる観測が私は強いと見ます。むしろ練馬区の尻馬に乗っている限り、同類とか一味とみなされて、不本意な批判やアラさがしで痛くもない腹を探られ続けるのは協会としても不本意の様に思います。

協会の本音など知りようもありませんが、経緯的に見て光が丘病院は最終的に欲しいのだと考えています。なんとか「日大と同じ内容」のカセさえ外せば、立地的にも、規模的にも、賃貸条件的にも魅力的な物件であると見えるからです。最後の最後のところで、少々の泥を被っても光が丘病院が欲しいがあり、そのために練馬区の意向に反したくない、機嫌を損ねたくないがあるように感じています。


練馬区の本音

ほいじゃ練馬区の本音はどこなんだになります。最高責任者である区長は光が丘病院にさしたる興味はなさそうに見えます。これが見せているだけなのか、本音からそうなのかは判断は不明ですが、公式にはそう表明しています。日大光が丘病院の存続を求める区民の会 公式ホームページに12/6練馬区長との面談してあります。ちょっと編集して掲載します。


住民質問 区長回答
「説明会に出て不安になった。本当に大丈夫なのか」の問いに対して

  • 日大にかかったことも、協会にかかったこともない。自分の体験・経験としては、何ともいいようがない。
  • 医者も看護師も技術者だ。その技術の高い低いは、私には言えない。
  • 日大が20年やってきた重みと、協会の重みとについてもよくわからない。
  • 地域医療振興協会が経営している都内の病院を見学してきた。患者が安心しきった顔をしていた。医療の技術の高い低いについては言えないが、患者さんの顔をみてなら、判断できる。そんなことしか自分には申し上げられない。
  • 大丈夫かときかれると、私もちょっと困る。それは、患者さんが判断すること。
  • 私は、最善でなければ困ると思っている。私が納得できる体制で引継ぎができれば、万全だと考えざるをえない。そういうことだと思う。
  • 今は、引継ぎの交渉や実際の引継ぎを行っている最中であり、現時点をもって断ずることは、むつかしい。
  • 私どもは、練馬区の医療や区民の安心安全を求めて仕事をしているわけだから、私たちが最善をつくすということで理解してほしい。

引継ぎ関連の各種問いに対して

  • カルテは、マイナスの個人情報の集積だ。

「今現在病院長の名前も、各診療科ごとの責任者やお医者さんも不明。新病院の体制がまったく明示されていないということについての報告を受けているか」という問いに対して  

  • 私は、そういう細かいところまで読んでいない。
  • 今は、体制をととのえようという最中。ingなんだ。名前が確定しているとか、いないとか、そういうのは今の時点ではまだ早い。
  • 協会が、責任をもって対応し、体制を考えていると思わなければ、任せることなどできない。公募・吟味の結果、協会ということにきまった以上、協会を信ずる以外はない。

「報告は一つずつきかずに、信じるというかたちなんですね」という問いに対して

  • そうだ(力強く)。


存続を求める会の編集なので、区長に好意的でない部分を差し引いても、区長の姿勢が垣間見れるような気がします。私なりに解釈すると、

    病院の事はようわからん。とにかく協会に任せてあるし、協会はちゃんとやってくれる約束になっている。

それ以上の事は何も話していないように見れます。政治的な意味で信用すると言う事は、責任も被せてあるのと同じ意味で、来春の協会継承後に問題や不満が噴出しても、「協会を信用していたのに」とか「想定外の事が起こり」とか「住民のニーズと違う結果になりましたが」とかの釈明と責任転嫁の布石を行っている様に読めます。

これもよくわからないところですが、区長の決断の大きな根拠は日大への50億円をチャラにする(出来るかどうか別にしてです)で良さそうです。区民のために50億円を節約したと言えなくはありませんが、節約した50億円以上の出費を招いたらなんにもなりません。出費は会計上の出費だけではなく、練馬区の財産としての損失も含みます。区長の決断がどういう損得勘定になるかの結果は時間が見せてくれます。

短期的には、今さら日大と復縁などやれば50億円問題は支払わざるを得なくなり、その上で協会への違約金支払い問題が浮上します。つまり今から日大復縁をやれば、区長が妄動したがために協会への違約金支払いだけが増えたになります。これは政治的に巨大な失点になり、区長的には”point of no return”を過ぎたと判断しているとして良さそうです。

それでも来春の懸念が現実化したら、これはこれで政治的失点になりそうなものですが、区長の政治的判断として問題の大きさは、

    継承による混乱 << 日大復縁

こうなっているような気がします。今は来春の混乱を少しでも小さくなる様に、協会と連携し、情報を小出しにしながらショックを和らげる工作に邁進していると見えます。こういうものは地方政治では良く見る構図ですが、東京23区でもあんまり変わらないのが興味深いところです。


それでもメリークリスマス

クリスマス・イブだと言うのに「また、つまらぬものを書いてしまった」とつぶやいておきます。せめてお口直しにクリスマス・ソングでも聞いてください。

D

この歌は個人的に好きなんですが、冒頭部の歌詞と日本語訳を紹介しておきます。

Last Christmas I gave you my heart
But the very next day you gave it away
This year, to save me from tears
I'll give it to someone special

去年のクリスマス 君に僕の心をあげた
でもその翌日には もういらないって
今年は 涙を流さないために
僕の心をあげるのは誰か特別の人に

悔しいですがクリスマスと言っても、若い頃のようなワクワク感がなくなって久しくなります。それでもクリスマスと言う語感は、年末の慌しさの中で、少しだけホッとさせるものだけは残っています。楽しめる方はイブの夜を存分にお楽しみ下さい。そうでない方にもせめてメリー・クリスマスととさせて頂きます。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/24 07:58 そうなんですよねえ。ラストクリスマスって、ハートブレイクの曲なんですよねえ。
区長さ〜ん。あなたが恋しい人の「えくぼ」、実は「あばた」なんじゃないですかあ?

まあ、誰かに冷や水を掛けられないと分からん、というのはあるかも知れませんがね。
でも、少なくとも現に騒動はおきているので、まあ、今後の経歴を評価する際に、選挙民とかがどう評価するんだろうなあ、と練馬区民ではありませんが、近隣の人間としては興味があります。

日大の現状の黒字化の話とか、病院関係者の話とか聞いている限りは、いわゆる古女房(すみません。日大さん、妙な言葉で表現してしまって。)とよりを戻したほうが良いと、私は思う。
医療体制が今後きつくなって、本当に撤退になっちゃう可能性はあるとしても、私個人は穏やかな撤退みたいな、周辺医療に悪影響が出ないような幕引きがいいなと思います。

今のままだと、突然、荒地が出現、みたいな印象がどうしても否めません。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/24 08:05 私からもクリスマス・ソングの贈り物を。

> John Lennon-Happy Christmas the War is over
> http://www.youtube.com/watch?v=8cJOm72QDDA

"the war is over, if you want it!"

vinvin 2011/12/24 08:30 区民の会の熱意は分かりますが現実は厳しいでしょうね。医師は医学部職員なので板橋病院にもどりますが看護師は附属病院異動組と他院就職組に別れているようです。もし日大存続が復活しても看護師不足から今と全く同じ体制は不可能でしょう。
四月以降は電子カルテ導入の話もあるのでスタッフのトレーニング期間を考えると、新病院が五月開院または日大の二月閉院(三月は紹介状書き)になるのでは。

BugsyBugsy 2011/12/24 18:05 ワムのLast Christmasとは懐かしい。昔オイラ達のようなボーゲンしか出来ない、しかもガテン系の下手スキーヤーばかりが民宿にいたのに この曲一発でオシャレなゲレンデに大変身して我々をスキー場から駆逐してくれた曲です。クリスマスなのに彼女がいない奴らばかりで 誰ともなく居酒屋に集まってこの曲が流れてきたら 妙に泣けたなあ。今でも泣いています。

ま それはともかく、
こういった自治医大出身者が地域医療振興協会に集うのは妙に納得できます。9年間の義務年限が終わって30半ばでしょうか。一方で新研修医制度が始まって7年目、第一期生は30歳を超えています。大学を卒業して色んな病院へ青い鳥を追いかけて移ったものの、思い悩む年代です。まあ40まではです。
別には少し上のやはり30半の年代では 専門医を取って医局制度が嫌で飛び出したものの、自分の専門性を追求しても腰を落ち着けられる「根っこ」がなければ そろそろソワソワし始めます。憧れの病院に居続けられるとは限らないのです。競争も多いのです。まだ大学から天下りの部長も多いです。裏も見えてきます。あちこち病院を変わるほど人間関係は希薄で 仲間意識が持ちにくいようです。お付き合いの短いのに そうそう親身になってくれる先輩もいませんよ。最初は猫なで声で引き抜いても 才能がなければお邪魔虫、あればライバルで邪険にされるようです。
だから尻切れトンボじゃなくて どこかに所属意識は持ちたいものと願うようになるものです。開業しても地域医師会に所属意識を持っている友人は多いです。
最近じゃ学会に出かけるごとに医局から飛び出てった奴を見かけては酒を飲ましては逆勧誘です。結構コロッと戻ってきています。あいつらも結構寂しいのかな(笑)。昔に戻って先輩後輩でじゃれ合って なんだか嬉しそうです。オイラと同じ男の叔母さんです。

この地域医療振興協会ですが 一声かければ医者が集まると豪語はしてはいるようですが まず無理でしょう。卒業後の親睦団体くらいなら所属しますが、無理筋の派遣義務が生じたら胡散無償してしまうでしょう。以前の医局制度とは鞭もあったけどアメもあったのです。この協会の場合アメは何でしょう?ちゃんと明示できますかね。ずっといたら何か好い事ありますか?人の行きたがらない病院への赴任というやつですか。一方鞭ってなんですか。かつての医局制度のように飛びだした先の病院へ圧力なんてできっこないでしょ。

これからも自治医科大学の卒業生は増えるものの ここの協会の勢いは一過性のものだと睨んでます。世の中ギブアンドテイクです。今の若い人ははっきり意識しています。うちに所属してくれたら こんな良いことがあるからこんな嫌なことも引き換えに我慢してくれと明示できなかった医局が滅んだのです。もちろん口先のおいしいことも若い医師にはお見通しですよ。

tadano--rytadano--ry 2011/12/24 21:02  偉そうに言ってはりますが、地域医療振興協会の傘下にある市立奈良病院は未だに奈良医大や京都府立医大の医局の派遣に頼ってます。ていうか自治医大出身の先生を見たことがほとんどないんですけど。と医師でありかつ奈良県民の私が指摘します。

元ライダー元ライダー 2011/12/25 09:41 >継承による混乱 << 日大復縁

今この時点で復縁を求められたら、私なら少なくとも50億円の返還と、今後の赤字全額補填を要求します。練馬区は無条件降伏するしかありませんよ。
また、日大(そして病院職員)としても撤退後に向けて動き出しているでしょうから、それを元に戻すのは不可能に近いのではないでしょうか。日大的にも”point of no return”を過ぎていると思います。

YosyanYosyan 2011/12/25 10:07 元ライダー様

日大医学部長の発言をある程度額面通りに取ると、日大復縁のチャンスがあったのは7月の公表時点の時だけだったかもしれません。日大の公表時に素早く復縁の積極的交渉を行えばまだ可能性はあったかと。しかし実際は素早く後継選出に練馬区は動いたため、その時点で縁が完全に切れたものとするのが妥当でしょう。

もっとも復縁交渉と言っても御指摘の通り、練馬区としては50億円問題と、その後の赤字補償問題について丸呑みするしかなく、丸呑みする気があるのなら、そもそも交渉は決裂しなかったとも言えます。そうなるとそれ以前の交渉経緯が問題になるのですが、こじれきった糸はほぐしようがない状態であったぐらいしか言い様がありません。

あえて興味はいつの時点から練馬区が「代わりなど幾らでもいる」の判断に傾いたかです。日大側にしても練馬区が「変わりは幾らでもいる」に変化したかを読みきれていなかったかもしれません。まあ深読みすれば、そういう変化を読んだ上での完全撤退作戦だったかもしれませんが、その辺の真相は簡単には出てこないでしょうねぇ。

京都の小児科京都の小児科 2011/12/25 11:54 本件シリーズに登場する練馬区光が丘病院と他の病院をどなたか地図上で提示していただければ日本の他の地区の方にも説明としてわかりやすいと思いました。

あと
>病棟を閉鎖したのは2科のみである。出産は助産師による院内助産であり、これ自体は、日本で2番目の快挙である。

日本で1番目の快挙ってどこでしょうか????

京都の小児科京都の小児科 2011/12/25 12:20 Bugsy様

>こういった自治医大出身者が地域医療振興協会に集うのは妙に納得できます。9年間の義務年限が終わって30半ばでしょうか。一方で新研修医制度が始まって7年目、第一期生は30歳を超えています。大学を卒業して色んな病院へ青い鳥を追いかけて移ったものの、思い悩む年代です。まあ40まではです。
〜だから尻切れトンボじゃなくて どこかに所属意識は持ちたいものと願うようになるものです。開業しても地域医師会に所属意識を持っている友人は多いです。
最近じゃ学会に出かけるごとに医局から飛び出てった奴を見かけては酒を飲ましては逆勧誘です。結構コロッと戻ってきています。あいつらも結構寂しいのかな(笑)。昔に戻って先輩後輩でじゃれ合って なんだか嬉しそうです。オイラと同じ男の叔母さんです。

人間の集団を考える場合、たしかにそうですが、やはりここは巨視的に医制百五十年の視点も必要と思います。
私的にはなんちゃって大学医局VS官制医局かなと思いますが・・・
あと、自治医大論として、第3代自治医大学長選挙で、一期生の尾身茂氏が落選し、Yosyan様が分析されたように底の浅い地域医療振興協会の抗議文などで、6年間のエージェント教育による医師集団がようやく精神的に分裂の兆しをみせてきたことは非常に意義のある2011年であったと考えます。

endovascular_DRendovascular_DR 2011/12/25 23:34 ご指摘と通りとすれば,どうしてこういう愚かなことになってしまったんだろう?50億,それも本来返済せなばならないお金でいわばネコババ状態ではないですかな.一般会計,特別会計合わせて3533億3430万円の練馬区にとってその50億ってそんなに大金かな.もし,その判断を誤っただけとすれば,歴史的事件になりますね.

moto-tclinicmoto-tclinic 2011/12/26 00:13 >だから尻切れトンボじゃなくて どこかに所属意識は持ちたいものと願うようになるものです。開業しても地域医師会に所属意識を持っている友人は多いです。

最近開業した知人(男)が「男に会いたくなった」と私のクリニックに訪ねてきました。まあ、開業したら、確かに周り女ばっかりだから・・。
しかし、私の場合は一度たりともそんなこと考えたことも無かったですが・・。いや、人生で一度も。「男に会いたい」なんて、夢にも思わない(^^;。きっとこれからも。
世の中に、私以外に男がいなくなったら、さぞかし楽しいだろうなあ、とはたまに思うけど。
医師会も医局も男ばっかりじゃん。きっと変態の集まりに違いない(^^;。

moto-tclinicmoto-tclinic 2011/12/26 01:00 何年か前に、シンガポール行って、「マレーシアや中国の金持ちを日本にプチ整形ツアーに送ろう」と意気投合した現地の中国系のお医者さんからメールが来て、リーマンショックやらで遅れたけど、用意が整ったんで来月くらいから実現したいと。
こういう見ず知らずの人(男)と、いきなり仲良くなる(ふりをする?)のは嫌いじゃない。ゲームみたいで楽しい。
意味無く内輪仲間作ってつるむのはなー。日本人(男)の習慣だけど、これからはきっと役に立たないよ。

moto-tclinicmoto-tclinic 2011/12/26 01:11 私が女のひとの中にいると居心地よいのは、女って、つるんでるようで、男みたいに結束強くはつるまないんだよね。
悪口は誰彼無く言うけど、基本自分ひとり主義。誰の悪口も言うけど、誰ともすぐ「仲良く」なる。
ああいう生態系の中に混ざるのは心地よい。エッチな意味じゃなく、周りが女ばかりだと、ほんとに楽チン(^^;。
これから、女医増えるし、男は女性化するから、旧男社会(医局や医師会)はどんどん崩壊していくでしょう。早い話、看護婦さん社会みたいに、医者社会もなっていくのさ。
振興協会が、成功するかは、民間派遣会社みたいに割り切れるかでしょうね。昔の医局組織みたいになろうとしてるなら沈む一方。

YosyanYosyan 2011/12/26 08:27 moto様

 >男みたいに結束強くはつるまないんだよね

かもしれまへん。つうか男でも結束強くつるみたい人間ばかりではないはずですが、結束が強いと言うのは、そうでない人間を強力に排除させる機能も同時に働きますから、結束の中に入らざるを得ない環境に追い込まれているのかもしれません。一種のムラ社会的原理と言えばよいのでしょうか。私は好きではありません。

SakinoSakino 2011/12/26 15:06 京都の小児科さま

明日、ちょうど、練馬区に対する監査の陳述なるものがありまして、地図を3枚こしらえたところでした。
ほんとは、埼玉のデータを入れるべきなのですが、東京都のデータをグーグルマップにほおりこんだので。
(埼玉側は、あと、国立埼玉病院と、来春でどうも小児科が機能しなくなる志木市民病院があります。)

・マップ東京都指定二次救急医療機関(小児科)
http://batchgeo.com/map/bdc1a945d474701e8ee8f89f7a20aff3


・小児科だけでなく全部のも一応こしらえたのですが、さすがに見にくいです。
http://batchgeo.com/map/5390d2b68167d8bde2d9b693a7b7b405

・あと、東京都CCUネットワーク加盟施設
http://batchgeo.com/map/81bb6f2f7a0eadd77d327942dac41246

これで目につくのは、とうきょう23区西〜西北(世田谷〜練馬)が「ぽっかり」的であることでしょうか。やはり小児科の「ぽっかり」は、マップ的にも目を引きます。

光が丘病院は、その中での2.5次的病院であり、ここにはマッピングしてありませんが、

東京北部唯一の3次である日大板橋のゲートキーパーとして、日大板橋の三次への集中というところでも役目を果たしていると思います。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kyuukyuu/shoni/sanji/index.html

区・振興協会とも、医療圏という発想が希薄なのが信じがたいところです。東京都は、練馬区に対して、再々、日大とはなしあえないのかとうながしていますが、聴く耳持たず状態。現時点(週末)で、事前計画書は提出されておりません。

SakinoSakino 2011/12/26 15:14 >日本で1番目の快挙ってどこでしょうか????

こちらが参考になりませんでしょうか。聖地?


「院内助産」は横須賀を救えるか?
http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/32216999.html

(うろうろドクターさまのブログ)

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2011-12-20 イブまで休載

本業が少々多忙でついにエントリーを紡ぎきれなくなりました。今日も明日も(昨日も)エントリーを練る時間は殆んどなくて、一昨日も年末の恒例の大仕事である年賀状作成に時間を取られ、刈谷豊田の件を書いたらストックはついに1本も書けませんでした。実感として「くたびれた」です。

時間はその気になればゼロと言う事はないのですが、くたびれるとテーマをまとめる集中力と、それ以前のテーマを見つける気力が低下します。こんな時に限ってお手軽にお茶を濁せそうなネタもなく、今朝はついにギブアップです。ゴメンナサイ、休載しますで終っても良いのですが、思い出話をオマケにだけ付けておきます。


私が初めてPCを手にした頃はDOS時代の末期です。当時の情報機器(とも言い難いですが・・・)の王者はワープロで、私もワープロを愛用していました。ワープロもまた進化の頂点に達しようとした頃で、PCの台頭に対し「生き残るのはワープロかPC」かなんて特集があったぐらいだったと思います。対立関係は進化の限界に達していたワープロとこれから無限の可能性を秘めるPCみたいなものでしょうか。

この勝負は御存知の通りPCが圧勝です。ワープロなんてこの世から完全に姿を消す結果になったのは周知の通りです。次の時代はPCだとばかりに乗り換えたんですが、今から考えてもPCも不親切な時代でした。電気屋からPCをヒョイと買ってきたのですが、当時のPCは見事に箱だけの代物で、OSさえも別売りでした。つまりPCを買ってきても動かないと言っても今の方なら想像も難しいと思います。

PCが台頭期に入ったと言っても実態はそんなもので、まだまだマニアの時代であったと言っても良いでしょう。ただマニアの時代だったがために、院内に新しいPCを購入した人がいるというだけで、マニア連中がどっと押し寄せたのも時代です。優雅な時代で、あっと言う間にOSからソフトまで見事な違法コピーが手に入りました。こんな事を書くとDQN自慢と言われそうですが、当時はソフトのコピーに誰も罪悪感を感じないと言っても信じてもらえるでしょうか。


DOS自体は今でもWindowsのベースに組み込まれているはずですが、実にマニアックな代物で、どうやって操るかのマニュアル本が必須でした。言うまでもなくネットなんてPCマニアのうちで、さらにディープなものがパソコン通信をやっていたに過ぎません。音声カプラーの時代です。

まだ若かったから熱中できたのでしょうが、毎晩毎晩、どうやったらスムーズにアプリが起動できるかのシステム作りに熱中したものです。これも時代ですが、当時のPCにはまだマウスはなく(アップルはあったかも?)、スクロール一つもすべてすべてキーボード操作の時代です。ついでに言うとディスプレイもモノクロでした。

印刷も大変で、オートシートフィーダーすら標準装備ではない上に、アプリごとにディップスイッチの設定が必要でした。とくに当時の標準ソフトの一つであったロータス123がプリンターと相性が悪く、その相性の悪さをどうするかなんてのがパソコン雑誌の特集に書いてあったりしたと記憶しています。


DOSに悪戦苦闘しているうちに時代はWindowsになります。これも早い時代から導入したのですが、最初に導入したのが3.0Aです。次が3.0Bでその次がようやく3.1です。なりゆきでWindows派になってしまった関係で、散々「プアマンズ・マック」と酷評された時代の初期Windowsです。

Windowsも初期時代はDOS的雰囲気は色濃く残しているというか、初期はもともとのDOSマシンをWindows化しただけですから、何をするにも大変かつ、カネがいりました。とにかくPC関連機器はトンデモないぐらい高価でした。どれぐらい高価だったかと言えば、神戸から大阪の日本橋に交通費をかけて遠征しても、余裕でモトが取れる程と言えば宜しいでしょうか。

現在のUSBは見れば見るほど感心するのですが、接続すれば大抵は動きます。動かなきゃ「アプリを入れてください」と御親切にも指示してくれます。当時は本体から拡張の為のインターフェースがプアで、やりたけれバス拡張が必要でした。このバス取り付けのためのは、本体カバーを外しての大作業がイチイチ必要だったのは懐かしいお話です。メモリ拡張もそうでしたねぇ。

もう伝説の時代ですが、私も歳を取ったのか時々懐かしく思い出されます。懐かしいと言っても、今さらあの作業をイチから始めろと言われたら「ご堪忍を」の世界です。それでもあれから何年経ったかと思うと、私的にはさほどの年数を重ねていると思い難いところがあります。本当にビックリするほど進化したものだと驚くばかりです。


そう言えばネットも変わりました。ネット導入はかなり遅いものでした。つうか、当時は病院の個人のデスクにネット環境を導入しようとするだけで、病院の事務を巻き込む必要がありました。無線なんて夢の時代ですから、外からラインを引き込む工事(CATVラインを引き込もうとしたもので・・・)が必要と言うわけです。

でもって噂に聞くネット画面をようやく開いたのですが、本音を言うとすぐに飽きました。当時はブログ前であり、ホームページ全盛の時代です。全盛といいながらホームページしか見るところがなく(2chを知ったのはかなり後です)、一通り見てしまうと飽きちゃいました。いつ見ても同じ情報しか書いてないからです。仕方がないので、情報がまだ入れ替わるニュースサイトをよく見てました。

ネットの特性は今なら言うまでもないことですが、自分で情報を探り当てないと何も得るものはないと言う点です。飽きかけたネットから、自分の欲しい情報を引き出すテクニックを覚えるまでチョット時間がかかったように思っています。つうても当時のネット情報は貧弱なもので、カタログ情報程度しか集められなかったと記憶しています。今とは隔世の感があります。


私が過ごした時代もそれなりにおもしろかったですが、たぶん今の時代から始められる方はもっと面白いと思います。今となって懐かしく感じる初期時代の悪戦苦闘をやらなくても良いからです。当時は機器やシステムの未熟性から必要な苦労でしたが、あれは正直なところ無駄な時間の浪費だったとも言えるからです。

そういう点では今の方が羨ましいですねぇ。まだなんとか付いて行っていますから、次の進化を楽しみにしておきます。

SeisanSeisan 2011/12/20 09:44 私も本格的なPC導入は学生時代のPC98でした。
親に借金して9801RA2を買ったのが懐かしいです。

MS-DOS3.3を買ってDOSコマンドを覚え、ソフトがないもので、安いワープロソフトや雑誌の付録のソフトなどで遊んでましたね。
そのうちパソコン通信にはまり、無料の草の根BBSにWTERMとかでつないでました。
電話代の節約のため、DLしてはオフライン、書き込んではオンラインULと、工夫が必要な時代でしたね。
そのうちFDDだけではどうにも不便になり、HDDもSCSIの80MB(!)を日本橋で安いところを捜し歩いて購入しました。メモリも2MBに2万円くらい出した覚えがあります。

入局したら、医局研究室にはやはり98があり、一太郎や花子があり、PCがつかえる、となったら重宝されたのも懐かしいですねぇ

でも、今のほうが、入り口は簡単ですけど、スキルは低く、情報アクセスは簡単かもしれませんが、取捨選択スキルも低い人が多いので、面白いのかなぁ、と思います。
必死になって、トライアンドエラーを繰り返し、自分のスキルをあげていった楽しみはないですから。
もちろん、すそ野が広がるのはいい話ですけど、大学のレポートを検索一発丸写しでOKみたいに勘違いする奴が出てくるようでは、まだまだなんでしょうね。

Med_Law Med_Law  2011/12/20 10:14 Windows3.1に失望して、OS2(IBM)を弄繰り回していた時代が懐かしいです

あのころスキャナーとOCRソフト、Zeus PCをアメリカにFaxで注文して取り寄せて十数回OSを再インストールしたりして、無駄に時間を使ってました。。。百万円ほど掛かった無駄遣いでした・・・涙

今の時代の自炊を試みていたのですが、当時のスペックでは爆沈でした(汗)

学生の時は、5inchのフロッピーディスクを2枚挿して、信長の野望や三国志に明け暮れてました。お陰でテンキーがブラインドで得てます。

中学生の時は、オリベッティーのタイプライターを新聞配達のバイト代で買ったものですが、今の時代じゃ想像できないでしょうね・・・・

元もと保健所長元もと保健所長 2011/12/20 10:51 昭和末期、労働組合の反対を押し切って保健所に入ったのは結核・感染症サーベイランス専用のオフコンN5200でした。
20メガバイトのハードディスク2機を外付けし、ワープロはLanword、表計算はLanplan、データ持ち出しは8インチフロッピーで行うというものでした。

結核・感染症サーベランス専用といっても、それに使う時間はわずかなので、ワープロや表計算に使っていましたが、当時急速に「普及」してきたpc-98とのデータ互換を行うために、大学にわざわざ8インチフロッピーディスクドライブを買ってもらい、Lanplanのデータを苦労してlotus123にコンバートしていました。

pc-98が「普及」してからも、「電子機器導入による合理化・労働強化反対」の組合団交でつるし上げを食らいましたが、私をつるし上げた組合支部長自らが、団交が終わるとすぐに、「非正規」で導入したpc-98にかじりついて「決裁文」を作成していました。

tadano--rytadano--ry 2011/12/20 12:12 AUTOEXEC.BAT や CONFIG.SYSをいじっていた時代が懐かしいです。

YosyanYosyan 2011/12/20 12:13 Seisan様

 >HDDもSCSIの80MB(!)

私が最初に買った外付けHDDは240Mで、買って帰ったらマニア連中が「そんな巨大な容量をどうするんだ」と言われたのを思い出します。容量の比喩の仕方も時代を感じるところで「FDの200枚分だぞ!」てな表現です。単に日本橋のセール品を買っただけなのですが、これがSCSIではなくなんとSASI。SCSIとSASIと言っても当時の私に差が分かるはずもなく、さらにSASIのHDDからさらに延ばす予定もなく、ただただ広がったHDDを持て余していたような気はします。

ただ巨大と思った時期は見る見るうちに過ぎ去り、あれよあれよと思う間にギガの時代が到来し、ギガもどんどん大きくなってテラの時代になったのは驚くばかりです。前に無線LANで苦労したiPad touchを見ながら、進歩の物凄さを痛感しています。

YosyanYosyan 2011/12/20 12:18 tadano-ry様

 >AUTOEXEC.BAT や CONFIG.SYSをいじっていた時代

スイッチの設定でメインメモリの容量が変わるとされて、マニア連中はこれまたマニアックな知識を競い合っていたと記憶しています。そんな小細工よりメモリを拡張するほうが効果的なんですが、98シリーズはメモリの壁があったり、それ以前にメモリ自体が高かったこと、高かったこと。。。

浪速の勤務医浪速の勤務医 2011/12/20 17:12 PC8801(マーク2やSRでなくて初代)が初めて購入したパソコンですね。
当時は、カセットテープにプログラムを保存してました。
I/Oとかの雑誌に載ったプログラムを入力してゲームしたり 懐かしいですね。
当時、医学生の芸夢狂人さんとか森田将棋の森田和郎さんにあこがれて
プログラミングもちょっとかじったのですがものになりませんでした。

SeisanSeisan 2011/12/20 18:40 ああ、Config.sysでEMSメモリの設定をしたり、なつかしいですー
メモリドライバをどこのにするかや、ドライバの設定も拡張メモリにIMEをロードさせて、メインメモリを確保するとか、いろいろやりましたねぇ。

もちろん、PC体験の最初は、電気屋の店頭にあったTK80。そのうちMZ80やPC8001を電気屋さんで散々いじり倒したもんです。

HDDは、98に手を染めたときは、パーソナルユースではSASI40MBが標準、ちょっと贅沢に80GB、って感じでした。Win3.1(486DX2)の時代はまだ512MBで大きい方ですし、そのあと乗り換えたMacでもしばらくギガの壁は高かったように思います。
ギガの壁を超えたのは、おそらくWin95の途中、あるいはMacOS8くらいからだと覚えています。

ハード的にはデジカメの普及あるいはビデオのデジタル化が容量増大に拍車をかけましたよね。

tadano--rytadano--ry 2011/12/20 20:33 でも実は私の家ではPC-9801VM21がまだ現役だったりorz
チューンアップを重ねて原型は見る影もないですが。

SeisanSeisan 2011/12/21 19:29 でも、9801で、FDD運用から初めてHDDを使ってみたときのあの起動速度はいまだに忘れません。
まさに別次元のコンピューターだと感じましたもん。

HDD>SSDの比じゃありませんね。

YosyanYosyan 2011/12/21 19:47 Seisan様

 >初めてHDDを使ってみたときのあの起動速度はいまだに忘れません

その通りなんですが、FDD起動の時の「いかにもPCが考えている」も今となれば懐かしい気もしています。ギーコギーコとFDDの読み取り音を聞きながら、いかにも動いている実感がありました。単なるノスタルジアに過ぎなんですけどね。

そういえば記憶装置の変遷も多彩で、さすがにテープ時代は殆んど知りませんが、MOが出たときには、これこそ次世代の主役と思ったものです。欲しい欲しいと思っているうちにアッサリ消えてしまったのはかえって驚きました。他にもZIPだとか、MDだとかもありましたが、今やメモリースティックですからね。

FDDに関してはレセをFD提出にしている関係で未だに残っています。これもFD自体の調達が困難になってくる時代が来たのにも驚いています。オンライン切り替えも考えないといけないのですが、もう少しFDで粘るつもりです。

SeisanSeisan 2011/12/21 22:44 うちは電子カルテのハード更新(これのコストがばかになりませんねぇ。ほんと)に合わせてオンラインにしました。
でも今年前半までFDだったので、まだドライブがあります。ディスクも1ケース近くあります。
アスクルでもお取り寄せになっちゃいましたからねぇ。

でも、オンラインレセ、返戻チェックがわかりにくーいです。

私はPC初体験がテープなので、FDDでもたいがい便利に感じましたが、HDD起動のスムーズさはほんとに巨大なインパクトでした。もちろん、ファイル管理ソフトが必須だったのも今は昔です。

自分の使ったメディアとしては、MO(レセはこれでも受けてくれますし、一部ではまだつかわれているようですね)、ZIP、JAZZなんてのも使ってましたね。で、CD-Rがでたらすぐに乗り換え。1倍速の時代から使ってました。
フラッシュメモリも最初に出たときは8MBのCFカードで1万円以上出してた気がしますが、今や4000倍でも値段は半分以下ですから。

モニタもそうで、DOSの時代までは640*400の画面で十分だったのに、Win&Macになって1024*768に、いまや1920*1200*2で作業してますから(^_^;)

パソコン使い始めて(電気屋店頭時代も込みで)30年くらいになると思いますが、最初の20年とこの10年の進化速度の違いは恐ろしいものに感じます。

元外科医元外科医 2011/12/22 10:17 Yosyan先生お疲れ様です。
自分はTK80の時代からマイコン(そんな言葉もありました)いじってた世代です。孫社長やビルゲーツの世代かな。今や家庭内にテラバイトのファイルサーバやgigaLANがあったりします。カセットテープでBASIC、フロッピーでMSDOSの時代が懐かしいですが、あの頃は趣味だったからかもしれません。いまじゃあ、PCインフラは職場でも家でも必須のアイテムですからねぇ。

2d212d21 2011/12/22 16:19 先生方、お年が。昔のPCの話題で盛り上がるところなんて、その機種名でいっても、40代後半から50をわづかに超えたくらいでしょうか。コンピュタにはじめて触れたのはマリオとかのファミコンではなくゲーム喫茶のインベーダーだったりします。パソコン通信とかRS-232C端子からの外付けモデムの現物を知っている世代ですね。

BugsyBugsy 2011/12/22 20:21 オイラはワープロ専用機の文豪ミニで博士号論文を仕上げました。かついでバイト病院に行くのが重くって。徹夜明けにはこたえました。
データ処理はPC9801からのスタートでしたが、データを統計処理するだけで偉いと言われた時代です。PC自体が高くって本体とモニターとドットプリンターで70万近くしました。秋葉原に週末通っていましたね。
一方その前派遣病院では宿舎で草の根BBSいつないでは返事が来ただけで深夜喜んでいました。

コマンドの難しさに愕然としていましたが、マッククラッシックと出会って虜になりました。System 9まで付き合ったことになります。プレゼン用にPesuationを使いましたが あまりの階層の深さにPower Point欲しさににWindowsに戻ってしまいました。さらに学会でマックだとUSBじゃなくてマック本体をもっていかねば接続できないからです。

先日のエントリーでもあったように自宅でWiFi接続に悪戦苦闘しています。大学や院内だといくらでも飛んでいるのに。
やっぱりMacのほうが楽かななんて思ってます。

SeisanSeisan 2011/12/23 11:07 わたしもTK80からいじった経験がありますが、高校生のころはシャープのポケコンを持ち歩いてました。
関数電卓としてはまだ動きます(^_^;)。

ワープロは大学生の時はキャノワードを使ってました。これで親父の執筆原稿を2冊仕上げました。
結構使いやすかった記憶があります。
つか、98時代の一太郎3あるいは4あたりよりは変換効率も良く、ワープロとしては使い勝手が良かったです。

ただ、仕事を始めてからは、やはりWin3.1から95くらいまでの時代は圧倒的にMacのほうが使い勝手がよく、おおむねMacに移行してました。Winに戻ったのはWin2000あたりからですね。

ネット環境もかなり初期から始めており、日本で(ほぼ初めて)個人向けサービスを妥当な料金でできるようになったBekkoameにすぐに加入しました。
でも初期はRS232C経由のモデム接続でしたから、テレホーダイもなく、電話料金との戦いがメインで、わずかなホームページをまわるていどで、国際回線も細かった(どことどこがどれくらいの接続速度か、というのがPC雑誌の記事になるくらいでしたから)ので、海外文献もなかなかアクセスできなかったのが不便でした。1枚の写真をDLするだけでも数分かかるんですから。
それがISDNになり、ADSLになり、光になり、とすごいペースで変わっていったので、こちらもついていくのが大変でした。今はほとんどついていくのをあきらめました(特にスマホ関連)

まあ、インターネット黎明期まではほとんどの人のPCに対する認識がスタンドアロンでしたからね。パーソナルユース市場でもネット関連のパーツがほとんどなく、何か必要になったら日本橋に行く、という繰り返しでした。モデムも何台買ったんだか(^_^;)

YosyanYosyan 2011/12/24 08:03 Seisan様もシャープのポケコン持ってはったんですか。あれもバージョンがあるはずですが、私が持っていたのは記憶容量が400バイトと言う画期的なやつです。エエ、400バイトであって400kでも400Mでもありません。ただの400k、つまり最大記憶容量400文字です。

コンピュター機能はともかく、計算式がそのまま打てるので電卓としては便利でしたが、液晶がアウトになって廃棄処分にしています。まだ持っておられるとは、懐かしいお話です。

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2011-12-19 刈谷豊田産科医時間外訴訟2・和解の結末

「2」とあるので「1」もあるのですが、2010.9.25付エントリーの続編です。訴訟の概略は病院での当直業務は時間外であるとの主張で、その理由として、

  1. そもそも労基法41条3号に基く当直許可が存在しない
  2. 当直業務内容も労基法41条3号及び関連通達に定める当直業務でなく通常勤務である

この2つの理由から当直勤務とされて当直料として支払われたものは時間外勤務であるから、これを支払えというものです。実は訴状が手許にあるのですが、全部で9ページもある上にjpgファイルでOCRの変換効率が宜しくないので全文掲載は断念しています。訴状の画像ファイルのみ示します。

請求金額

請求した金額は「請求の趣旨」にあり、

  1. 被告は、原告に対し、金280万円1290円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払い済まで年5分の割合による金員を支払え
  2. 訴訟費用は被告の負担とする

との判決及び仮執行宣言を求める。

この金280万円1290円はどれほどの回数の当直で算出された金額であるかですが、「原告の宿日直勤務の労働実態」に、

  1. 原告は、平成21年4月から同年9月までの間に、以下のとおり、平日宿直18日、休日宿直1日、日直後に続けて宿直を行なう場合が4日、勤務を行った。(以下略)

簡単には半年の間に23回の宿日直を行ったと考えても良いかと思います。宿日直回数と言うか負担自体はビックリするようなものではありませんが、23回分の宿日直を時間外手当で換算すると不足分が280万円になるのにチョット驚きました。細かい計算式は8-9ページにあるのですが、最後のところだけ引用しておくと、

  1. 割増賃金合計額

      上記割増賃金を合計すると、合計金364万1485円となる。

  2. 既払い金

      被告からは、原告に対して、当直手当として84万0195円が支払われている。

  3. 差引金額

      割増賃金合計から、既払い金を差し引くと280万1290円となる。

至極大雑把に言いますと当直1回あたりで10万円以上の支払いが不足している事になります。


交渉の経緯

これは「1」の時にあれこれ書いたのですが、訴状には、

原告は、平成22年6月14日、被告に対して、当直・宿直勤務について割増賃金を支払うよう請求したが、当直手当の支払いで精算が終了している、労働基準法に違反していないと主張し、話し合いに応じなかったため、本訴に及んだ次第である。

この経緯は原告が弁護士に依頼した後のものであり、それ以前に原告が弁護士に依頼する前に労基署詣でを頻繁に行ったエピソードは「1」を参照にしてください。


宿日直許可証

裁判の基本構図は原告が働いた時間帯が当直業務なのか通常業務なのかで争われているとして良いかと思います。当直業務として認定されるためには

    必要条件:労基法41条3号の宿日直許可が存在する
    十分条件:業務内容が宿日直許可の条件を満たす

このどちらかではなく両方を満たす事が求められます。片方だけでは不十分であるのは奈良産科医時間外訴訟を参考にしてもらえれば良いかと思います。奈良のケースは必要条件である労基法41条3号の宿日直許可は存在していますが、十分条件である業務内容で被告である奈良県は一審、二審とも退けられています。要するに被告としては争うには、必要条件である労基法41条3号の宿日直許可がないと勝負の土俵にも上りにくいと私は思います。

訴状からです。

  1. 名目上、宿直・日直勤務であるとされていても、原則として割増賃金の支払い義務があり、例外的に「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」である場合に限り、割増賃金の支払い義務を免れる(労基法41条3号)。宿直・日直については、さらに労働基準法施行規則23条の規定があり、「使用者は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、様式第10号によって、所轄労働基準監督署の許可を受けた場合」に限り、労働者を、法第32条の規定にかかわらず、使用することができると定めている。

    そのため、所轄労働基準監督署長の許可を受けていない限り、使用者は、割増賃金の支払い義務を負う。
  2. 原告は、平成21年4月1日付で、愛知労働管理局に対して、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づき、被告が宿日直勤務について所轄労働基準監督署長の許可を得ているかどうか調査したところ、断続的な宿直又は日直勤務許可申請書及び許可書は、申請がないため存在しないの回答を得ている。

訴訟は原則として原告側に立証責任があるとなっていたはずです。原告は宿日直許可に関して労基署に公式に情報公開を請求し、

    断続的な宿直又は日直勤務許可申請書及び許可書は、申請がないため存在しないの回答を得ている

つまり必要条件である宿日直許可自体が存在しないとの証拠を示しています。被告側はここで「はい、そうです♪」と認めてしまうと訴訟の形勢はそれだけで大きく傾いてしまいます。奈良の時のように十分条件の業務内容を争う以前の問題なるとすれば宜しいでしょうか。刑事ではなく民事ですから、直接に労基法違反の有無を争う訴訟でないにしてもしても、裁判官の心証が原告有利・被告不利になるのは誰が見ても当然です。

そこで被告は労基署にも公式には存在しないとされた申請書と宿日直許可証を探し出してきます。驚くべき事にこれがあったのです。

とりあえず反証として被告側が証拠として提出したものですから最新の許可証であると考えられますが、その許可年月日は、

昭和38年(1963年)に許可されたものである事が確認できます。それにしても時代を感じる許可証と言うか申請書で、手書きである点に懐かしさを感じます。それと驚かされるのは申請書が横書きが右から読むスタイルになっている事です。ちょっと自信がないのですが、昭和38年当時でも横書きは既に左から読むに代わっていた、いやそうなってそれなりの年数が経っていたはずと思うのですが、記入者のクセと言うか年配の人なのかもしれません。

懐かしさを感じるのは良いとしても、申請書の中味の判読が難しいと存じます。私だって読み難いのですが、どういう風に書いてあるのか原告側が読み取った情報がありますので、現在の病院側の実際の状況と合わせて表にして見ます。


1963年の許可申請書内容 現在との相違点(原告の指摘点)
宿直 総員数 7名 1200名(医師191名、看護職員607名、医療技術者245名、事務員110名、その他47名)
1回の宿直員数 4名
宿直勤務の闘始及ぴ終了時刻 午後5時より翌午前8時半まで 午後4時45分より翌午前8時30分まで
一定期間における1人の宿直回数 1ヶ月に2回 現在の回数と明らかに異なる
1回の宿直手当 400円 現在の実態と明らかに異なる
就寝場所 不明(読めない) 現在5棟構成に拡大されており場所が変わっている可能性が高い
勤務の態様 電話応答。急患応対処置の連絡 これは訴訟の焦点
日直 総員数 7名 1200名(医師191名、看護職員607名、医療技術者245名、事務員110名、その他47名)
1回の宿直員数 5名
宿直勤務の闘始及ぴ終了時刻 午前8時から午後5時まで 午前8時30より翌午後4時45分まで
一定期間における1人の宿直回数 3ヶ月に1回 現在の回数と明らかに異なる
1回の宿直手当 400円 現在の実態と明らかに異なる
勤務の態様 電話応答。急患応対処置の連絡 これは訴訟の焦点


実際の文面を読みながら補足情報を加えておくと、勤務の態様で「急患」としていますが、「急患」の文字が読み取り難く、見た目は「急看」に見えて仕方がありません。実際の拡大画像を示しますが、

注目してもらいたいのは右側の「看護婦宿直室」です。これは就寝設備のところにある記載ですが、文脈上からもそう読むしかないところです。「看護婦宿直室」の「看」の字と「急患」と読みたい「患」の字がどう見ても同じです。どうも記入者がマジで「急患」とは「急看」と書くと勘違いしていたんじゃないかと考えられます。


総員数も訂正印らしいものがあって判読が難しいのですが、ここも拡大画像を示しておきます。

訂正印の横に「七」の字は読み取れます。読み取れるのですが原告弁護人が読んだ様に総員数が7人はチト少なすぎます。刈谷豊田総合病院はホームページの沿革・診療実績によると

・昭和37年9月 医療法人豊田会設立
・昭和38年3月 刈谷豊田病院開院(病床数200床)診療科10科目

開院当初から200床規模であった事がわかります。200床病院をたった7人で運用していたとは思い難いところです。そこでもう1回良く見てみると、訂正印を押してあるほうは「四」に見えます。ただし二重線は下に伸びているだけでなく「四」の下にも文字らしきものがあります。また「七」の下にも文字らしきものが見えます。

申請書の書式は1回の宿直員数のところが参考になるのですが、単に数字で示しています。つまり「○人」とか「○名」の表記でないのも確認されます。訂正印の個所が「四」の下に伸びているのは、「四」に続く漢数字も同時に訂正したと考えるべきじゃないかと思われます。つまり元もとは40人台の総員数が記入してあったと考えるのが妥当です。

そうなると訂正後の「七」の数字の下にもなんらかの文字らしきものがあります。つまり原告弁護人は「7」だけと読みましたが、実際は70人台の総員数が記入してあったと考えるべきじゃないかと言う事です。

ただ200床の病院に総員数が40人台なり、70人台は今の常識からして余りに少ないと感じます・・・そっか、そっか、きっと200床は許可病床で開院時はフルオープンじゃなかったんだ。古い病院の沿革には「職員もそろい全病床が稼動」みたいな表現を時に見ますし、話にも聞いた事があります。40人なり70人で200床ではなく、もっと少ない病床数でスタートしたのではと思います。


もう一つ、ついでの謎があります。刈谷豊田は沿革によると昭和38年3月に開院となっています。なぜに4月でないのであろうはおいといて、労基署に申請書を提出したのは昭和38年4月13日となっています。ところが労基署の受理印の日付は「38.5.13」になっており、許可証が下りたのは「昭和38年5月24日」となっています。

さらに受理が「38.5.13」になっているのですが、申請書の提出日は許可と同日の「昭和38年5月24日」となっています。受理から許可までは役所内の手続き問題としてとりあえず置いとくとして、申請から受理までがチト長いの指摘が某所にありました。

あえて推測するなら総員数の訂正に関連するんじゃないかと考えられます。そこしかオリジナルからの変更点が無いからです。どういう事かと言うと当初40人台の申請を出したら受理を保留にされた可能性です。つうか4月13日の時点では本当に総員数が40人台であったんじゃないかの可能性です。40人少々で宿直4人、日直5人体制なんて無理の指摘です。そこで申請書を受理してもらうために1ヶ月の間に急遽職員を増やした形跡ではないかの推理です。

もう少し言えば、総員数が40人台でOKかどうかでもめて、受理の日時からさらに許可を受けるまでに訂正が行われたんじゃないかの推測も成立します。最終的に70人余りがようやくそろったのが許可が下りた「昭和38年5月24日」であったんじゃないかです。受理時点で「必ず増やす予定である」みたいな形です。謎が多いところです。


余談ついでなので就寝設備は一部判読可能のところがあります。読める範囲で書けば、

医師当直室 1
看護婦当直室 1
事務当直室 1

場所についてはその横に細かい文字で記入してあるのですが、確かに判読不能です。ここも不思議なのは宿直が4名であるのに対して部屋が3室と言うのも面白いところです。相部屋と言うか2人部屋があったんでしょうねぇ。まあ畳部屋であった可能性も無いとは言えませんから、2人部屋もアリかもしれません。

それと当直手当400円も時代を感じます。研修医の頃に聞いた話ですが、某県立病院の当直料は、刈谷豊田よりもうちょっと後だったはずですが「タダ」だったそうです。タダではあまりにもヒドいになり、そのあとに500円になったと聞いた事があります。当時であっても400円はいかにも安いと思います(これも古すぎて私でもよくわかりません)し、医師も、看護師も、事務職も同じ手当てと言うのも今から見れば感覚の違うお話です。

私の聞いた某県立病院の当直料も含めて、当直料を幾らにするかの規定がなかったのではないかと推測しています。ここも当時の情報を御存知の方がおられれば教えて頂ければ幸いです。


宿日直許可証の有効性

なんつうても50年近く前のお話ですから、今と異なる点があっても不思議ありません。問題はこの被告側が発掘してきた宿日直許可証が現在でも有効かどうかです。この辺も詳しくないのですが、前に聞いた話では一度許可された宿日直許可証は余程の事がない限り有効性を保ち続けるです。ただ50年前から許可条件は変遷しているはずです。たとえば当直料も現在の許可証では

なお、この金額については、将来においても、宿直又は日直の勤務につくことの予定されている職種の労働者に支払われている賃金1人1日平均額の3分の1を下回らないようにすること。

これは小田原市立病院のものですが、ここに書いてある「賃金1人1日平均額の3分の1を下回らない」はおそらく刈谷豊田病院が許可を受けた後に作られた気がします。他にも原告側が指摘している勤務時間や就寝場所の変更もあれば、許可が続くのは前提としても、ある程度は適宜届出が必要なもののように感じます。何が言いたいかですが、労基局にこの宿日直許可証が存在していない理由はなんであろうかです。

50年の間に幾度か行われたはずの労基法改正(通達を含む)の時に、改正に伴う宿日直許可の再届出の通達でもあったんじゃなかろうかです。その時に再届出を怠った病院(及び事業所)はある時期をもって許可が失効と判定され、許可証の有効性が消失した可能性です。ただ失効になっても、相手はお役所ですから失効になったの書類が残っていそうなものです。しかし原告が情報公開を公式に求めても存在しないとなっています。

謎々みたいなものですが、お役所相手の情報公開請求は木で鼻を括った様な杓子定規なものになると聞いた事があります。どういう事かと言えば原告は「現在でも有効な宿日直許可の存在」を問い合わせたと推測します。公開請求が「現在でも有効」ですから既に無効になった許可証の存在は答える必要がないと判断されたは如何でしょうか。

だから労基局の返答は「存在しない」であり、そこで無効になったものの存在まで公開請求されなかったから返答しなかったと見る事は可能です。公開請求されなかった書類の存在まで教える必要は無いとの判断です。不親切といえば不親切ですが、請求された分だけ公開しそれ以上の情報は公開しないの姿勢と理解すべきかもしれません。

ただそうなると、病院側が所持していた50年前の許可証は労基局サイドでは有効性を失っているとの判断は成立します。労基法41条3号に基づく宿日直許可は労基局が認めてこその許可であり、失効となった許可証を幾ら保持していてもタダの紙切れに過ぎないと言う事になります。

紙切れである傍証は被告側の反応にもあります。原告は労基局に許可証の有無を公式に公開請求しているわけです。それに対して存在する証拠を出してはいますが、これが本当に有効であるかを被告側が労基局に問い合わせたとは私は聞いていません。訴訟の場の証拠ですから、被告側はそこまですれば有効性は証明できたはずです。自分の病院の許可証の有効性を確認して悪い道理もないはずです。

実は問い合わせたのかもしれませんが、私が聞いている限りではそんな攻防はなかったようです。つまりその点の反論は被告側が「出来なかった」と取る事も可能です。

有効性についてはこれぐらいの一般論しか語る知識しかありませんが、それでも労基署に申請書も許可証が存在しないと言うのは裁判官の心証として良くはないだろうとは思います。これについての裁判所判断は後述する様に和解のためにありません。


労働実態を巡る攻防

これについてはさして付け加えれる事はありません。実際の訴訟では被告側弁護士もそれなりに頑張ったところらしいですが、客観的には産科医が、それも月間年間1000件もの分娩がある病院で、労基法遵守の当直業務が出来るはずがないのが実相として宜しいかと思います。産科医でなくとも、二次救急輪番病院の当直でも余裕でアウトです。三次救急でも同上で、救急を当直でになると完全にヘソが茶を沸かせます。

ほかにもICU当直とか、CCU当直とか、NICU当直みたいな凄い当直が幾らでも医療界にありますが、労基法の宿日直勤務の条件を満たしている当直は殆んどないと思います。個人的には税法上の当直条件を満たすのに近いぐらいのものだと考えています。

細かな展開まで知りませんが、労働実態の論戦でも被告側はかなり厳しい状況に追い込まれていったと聞いています。


和解交渉

私は感覚としてわかり難いところがあるのですが、280万円の請求事件にしては裁判は大がかりなものであったそうです。両陪席を従えた3人制で、被告側弁護人は東京から遠征の大弁護団が溢れかえるほどおられたそうです。原告側弁護人は少なからずビビッたとの感想を聞いています。

それでも訴訟は弁護人の多寡ではなく提示する証拠・証言の有効性を争うものであり、訴訟の展開として当直勤務を満たすための必要条件も十分条件も被告側に圧倒的に不利な状況になったそうです。そりゃそうだろうと思います。互いに提示する証拠もなくなり、結審が近いある時期に被告側から和解の申し入れがあったと聞きます。

原告の意向は「カネでなく判決文が欲しい」です。280万円の請求と言っても、よく御存知の通り、弁護費用を払うと足が出ない程度のものです。一審だけで終ればまだしも、二審三審と争えば足が出てもおかしくありません。ですから本気でカネではなく判決文が欲しいでした。もちろんできれば「カネも欲しい」とは言ってましたけどね。それでも優先したのは判決文です。

和解交渉には乗り気ではなかったそうですが、法廷戦術として蹴飛ばすのは裁判官の心証形成上宜しくないの弁護士からのアドバイスを受けて、和解交渉に臨んだそうです。最初は「絶対いやだ!」としていたそうですが、被告が請求額の全額を払うと言えば訴訟自体が成立しなくなるとか、なんとか説得されたとは聞いています。


和解交渉と言っても、実際に臨んだ事はもちろんないのですが、大雑把に言うと金額と文面のトレードオフみたいな面はあるそうです。いろんな和解交渉があるので一概に言えませんが、請求額から割り引いた面だけ和解文面、さらには文面の公開の有無なんかで取引する感じと言えば良いでしょうか。

和解交渉の展開は冒頭で裁判官が280万円は無理だから180万円が満額になると宣言したようです。ボーナスが日給計算に入っているのと、就業規則が法定より高いので云々らしいのですが、私にはよくわかりませんでした。その点については原告本人の理解も「そんなもんか♪」ぐらいでサラッと納得してしまったそうです。

満額が180万と言う枠が決まった後に、文面交渉になるのですが、これも判決文が欲しい原告の要求はシンプルで、

  1. 当直が時間外勤務であったと明記する事
  2. もちろん公開する事

この2点は何があっても譲らないし、嫌なら判決文をもらうです。金額については被告側もさして問題視していなかったようですが、文面については渋り、後はなぜか被告側と裁判官が御密談と相成ったそうです。ほいでもって2回目の和解交渉で、被告側は請求額280万円のほぼ満額回答を出して和解です。満額だから文面での云々は無しになっています。


推理遊戯

和解交渉の舞台裏を推理遊戯してみたいと思います。裁判官が持ち出した180万円は判決での認定額であったと考えて良さそうです。しかし判決文となるとなぜに180万円の支払いが必要になるかの理由を書かなければなりません。当然ですが、刈谷豊田の当直業務は時間外勤務であると事実認定することになります。そうしないと180万円は湧いてきません。

被告側は和解条件に当直が時間外勤務であると明記するのを渋りましたが、和解で入れなければ判決文に明記されるとの脅しじゃなかった「ほのめかし」が裁判官から被告にあったと考えます。ここまで来て、被告側が守りたい最後の一線は、当直が時間外勤務であるの裁判記録を残さない事になるかと思われます。

しかし判決文が欲しい被告を黙らせるには、裁判官が示した180万円では無理で、訴訟を吹き飛ばす請求額の満額回答が必要と脅されたじゃなく「ほのめかし」があり、万策尽きて被告側は和解条件を呑んだと見ます。あくまでも推理遊戯ですけどね。


それにしてもわかり難かったのは病院側の動きです。相手も天下のトヨタが動員した大弁護団ですから、訴訟自体に勝ち目があると踏んだのでしょうか。どうにもそういう気は薄かった様に感じてなりません。もちろん原告の主張がアラだらけであれば勝てるかもしれませんが、訴訟前に原告側弁護士が請求した時点でトットと払ってしまうのも一法だったはずです。これは原告側の弁護士が依頼を受けた時のお話ですが、

「これは多分、内容証明のやり取りくらいでパパっと済んじゃうと思う。
 応じなかったら相当のアンポンタンだよね。」

プロから見ればそれぐらい判りやすい事件構図だったわけです。ちなみに原告側弁護士は労働法制の専門家だそうですが、普段は企業寄りの活動をされている方だそうです。そういう専門家が見ても争う余地が乏しすぎる事例だったと言う事です。


それでもあえて争ったのは敵失での勝利の期待のほかに、訴訟で対抗する姿勢を見せたのに意味があった様にも感じています。ハイハイと払うのではなく、訴訟で争わない限り、つまり訴訟費用を積み上げない限り払う気がないの姿勢を見せることです。今回はそれでも280万円ありましたが、もっと少額なら訴訟まで争うとなると足が出るためためらいが出ます。

ホイホイと内容証明で払う前例を作りたくなかったぐらいと言えばよいでしょうか。欲しけりゃ、訴訟費用を準備してかかって来いです。訴訟を起されたがために病院と言うかトヨタの出費は増えましたが、正直なところトヨタにすれば微々たる金額で、類似の訴訟を起そうとするものへの十分なパフォーマンス(威圧)になり、他にも払っていない時間外手当と差し引きすれば算盤勘定は十分に合う計算と考えます。

最後の最後に妥協したのは、争いはするものの「当直は時間外勤務である」の判決なり和解文は回避せよの指令が出たと考えます。そういうニュースがトヨタ発で出ることのイメージダウンです。イメージダウンは直接の金銭換算は出来ませんが、企業ブランドの毀損は簡単に億単位で換算されますから、全部払っても口を封じるべしです、


もう一つ裁判官の動きも興味があります。民事ですから判決にするより和解にする方が望ましいと言うのもありますが、それより判決文をどうしても書きたくなかったように感じます。事実関係は明瞭ですし、まさか「間違い無く当直業務と認定できる」みたいなトンデモ判決を書くのは、裁判官の良心としては出来ないと思います。

では書いてしまえばどうなるかですが、奈良県が頑張ってくれているお蔭で最高裁判例が出来そうにはなっていますが、労働行政・医療行政に大きな影響力を及ぼす判決になりかねません。そんな事は司法に本来関係ないとは言え、心情的に出来る限り回避したいです。被告が判決文欲しいの要求を抑えるためには、まずは和解文章、次に請求額の満額回答しかないと被告側にかなり積極的に誘導したのかもしれません。


そこまで推理遊戯を巡らすと、本当の勝者はトヨタであったかもしれません。少なくともトヨタの中ではそういう風に総括されているような気がします。とは言え、原告の産科医もよく頑張ったと思います。「個人 対 大トヨタ」の争いですし、刈谷豊田と地裁がある愛知県もトヨタのコチコチのお膝元です。これ以上の成果を求めるのはないものねだりとするのが妥当と思います。

御苦労様でした。


あとがき

単なる感想なんですが、なんとなく民事訴訟の本質が見えた気がしています。誤解があれば「優しく」訂正して頂きたいところです。話を一般論にしてしまうと拡散してしまうのでこの訴訟での理解にします。この訴訟は「かくかくしかじか」の理由で○○万円払えの請求です。払ってくれないので訴訟になっているのですが、訴訟中であっても「やっぱり払う」と改心すれば訴訟は終ってしまうの理解です。

「払え」と言われて拒否しているから訴訟になるわけで、「払う」となれば原告が訴訟を続ける理由が消失してしまうと言えばよいでしょうか。被告が請求通りに払うと申し出た時点で訴訟が実態を失うみたいな理解です。それでも判決をあえて求める選択枝がどれぐらいあるかは私にはよくわかりません。あるとは思うのですが、その辺をどう解釈するのかは私には知識不足と言うところです。

それと請求額の満額支払いが決定した時点で、「かくかくしかじか」の理由について不問となる様にも見えます。「かくかくしじか」の裁定は判決になって初めて示されるものになると言う事です。私有財産の強制移動命令ですから、法に基づいた判断理由を裁判所は明示しなければならなくなる関係です。問答無用の「とにかくアンタが悪い、黙って払え」にならないとすれば良いでしょうか。

見えたと言いながらモヤモヤしたものは残るのですが、そんな事を考えさせられる訴訟でした。

江原朗江原朗 2011/12/19 07:53 江原朗.休日・夜間の救急診療を宿日直ではなく時間外勤務とした場合,当直料はいくらになるのか.日本医師会雑誌 2009;138:723−726http://pediatrics.news.coocan.jp/my_paper/ishikai2009_7.pdf

よろしかったら、ご覧ください。
1回の当直で約10万円の人件費です。

元法学部生元法学部生 2011/12/19 08:13 36協定、就業規則など、労基署に届け出る書類の類いを、労基署が保管してないのは普通の状態です。(たぶん単純にn年で破棄していいことになってるんだと思います)

つまり労基署の記録から適正な労務管理をしていることを証明できないので、事業主は自前で受領印を受けた副本を全部保管しておかないと碌なことがありません。

まさか届出制の書類だけで無く、許可制の書類まで保管してないとは知りませんでしたが。

YosyanYosyan 2011/12/19 08:18 元法学部生様

 >労基署に届け出る書類の類いを、労基署が保管してないのは普通の状態です

そうなんですか! こりゃ勉強になりました。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/19 08:38 >36協定、就業規則など、労基署に届け出る書類の類いを、労基署が保管してないのは普通の状態です。(たぶん単純にn年で破棄していいことになってるんだと思います)
>つまり労基署の記録から適正な労務管理をしていることを証明できないので、事業主は自前で受領印を受けた副本を全部保管しておかないと碌なことがありません。
>まさか届出制の書類だけで無く、許可制の書類まで保管してないとは知りませんでしたが。

ものごとを悪意でもって判断してはいけないかも知れませんが、法に違反しないならさっそく本ブロク・コメントを読んで書類を破棄される事業主もおられるかもしれないと思いました。

midbreumidbreu 2011/12/19 08:39 ■労働実態を巡る攻防 の二行目 月間1000件→年間1000件 ですよね?
フランスだと年間10000件以上月間1000件前後という施設も珍しくないですけど、日本ですもんね。

YosyanYosyan 2011/12/19 08:46 midbreu様

御指摘ありがとうございます。謹んで訂正させて頂きます。

法務業の末席法務業の末席 2011/12/19 09:51 >それと当直手当400円も時代を感じます。

昭和38年の学卒初任給の賃金統計データです。
 ・大卒男子 (事務系)19,839円 (技術系)20,107円
 ・高卒男子 (事務系)13,609円 (技術系)13,758円 (現業系)13,653円
 ・中卒男子 (現業系)10,382円

現在の学卒初任給は大卒が概ね20万円台半ば、高卒が概ね20万円前後ですから、14倍になってます。昭和38年当時の宿直手当の400円は、大卒初任給約20,000円を1/25で日給換算(当時は週休1日で月25日就業)した半日分、高卒初任給13,800円では日額の75%ぐらいでしょうか。現在の宿日直許可の条件である「賃金1人1日平均額の3分の1」は満たしていると思えます。ただし医師を除く病院職員であればという条件が付きますが…。

MLML 2011/12/19 10:02 都立松沢病院の宿直許可書は昭和23年のもので、縦書きです

あと、申請制じゃなく、許可制なので、申請してから調査が行われますので、申請⇒許可のギャップは当然あります。

それにしても勝訴したら、付加金つけて倍返しの金額が取れたかもしれないと思うと、この和解が良かったとしても、ベストかどうか・・・・裁判官に半分言いくるめられた気がします

アメリカだったら集団訴訟+懲罰的罰金でトヨタが吹っ飛ぶかもしれないくらいの訴訟になって、弁護士が寄ってたかって丸裸にしちゃうんだろうなぁ。。。

元ライダー元ライダー 2011/12/19 11:11 どうしても文書が欲しければ、請求金額を法外なものにするというのがこの件からの教訓でしょうか。
例えばですが、訴訟費用は高くなりますが慰謝料などを含め、請求金額を2,800万円としていた場合、被告側は満額回答に応じたでしょうか、法外な請求でも満額回答をするという前例もまた被告側に都合が悪いはずです。ときどき法外な請求金額と思われる訴訟を目にしますが、それは訴訟自体を吹き飛ばさないための戦術なのでしょうね。

元法学部生元法学部生 2011/12/19 12:25 京都の小児科医様

いや、逆です。逆。ちゃんと保管して置かないと、あそこは届け出を出してないって誰かにいちゃもん付けられたときに、届けてあることが立証できないんですよ。労基署には残ってないので。

YosyanYosyan 2011/12/19 12:35 元ライダー様

満額回答の和解の場合の訴訟知識が乏しいので、なんとも言えません。今回の場合は和解交渉の経緯自体が、どうしても和解にしたいのなら「満額なら考慮する」と原告側から出たと言うのもあると聞いています。これは和解条件と言うより、そこまで条件を吊り上げれば和解に応じないだろうの駆け引きのつもりであったとも聞いています。

それから先はエントリーに書いた様に、裁判官が180万円の案を出し、原告が和解の文面条件を提示し、被告側が渋るの展開です。これも良く分からないのですが、和解時にも請求額以上の金額が成立するかどうかも存じません。漏れ聞いた話では「むつかしそう」な印象を抱きました。

裁判官の意図は永遠に不明ですが、どうも原告が満額回答なら和解に応じるの言質をうまく活用した様に感じています。被告にとっては大した金額ではないとも言えるからです。原告側にとっても「まさか」の満額回答なので応じないわけにはいかなかったと言う展開になったと考えても良いような気がします。

和解交渉は判決もにらんだ心理戦の側面が大きいですから、自らが提示した満額回答を蹴飛ばすのは躊躇されたと推察されます。

法務業の末席法務業の末席 2011/12/19 12:36 元ライダー様
>請求金額を法外なものにするというのがこの件からの教訓でしょうか。
>例えばですが、訴訟費用は高くなりますが慰謝料などを含め、請求金額を2,800万円としていた場合

民事訴訟では、賠償請求する金額の計算根拠は原告側に立証責任があります。今回の裁判では23回の宿直で合計金364万1485円、そこから既払いの当直手当84万0195円を差し引いて、請求額が280万1290円という計算額は、訴状の中で原告が計算式を明示して積算します。

この支払請求額の計算が具体的な根拠が無く、かつ社会常識に反する法外な金額、例えば、オレ様は1時間あたり10万円以上稼げる能力があるから、一晩の宿直勤務で150万円以上払うのが当然!こうした根拠の無い請求に原告が固執するのであれば、裁判所は原告の立証不十分として請求全額を棄却する判決をするでしょう。つまり労基法違反の具体的な審理に入る前の、門前払い的な原告側の全面敗訴とする可能性が出てきます。

さらに濫訴により迷惑を被ったとして、被告(本件では病院側)より、逆に損害賠償の反訴を受ける可能性もあります。280万円を根拠無く十倍の2,800万円に吹っかける提訴は、原告側に圧倒的に不利です。

また、労基法37条の時間外労働割増賃金の支払請求訴訟で、支払が為されなかったことに対する精神的損害として、慰謝料が認められた判例は聞いたことがありません。このような未払賃金請求訴訟で原告が慰謝料を請求したとしても、精神的損害の有無について踏み込んだ審理に入らず請求が棄却されると思われます。

なおML様が触れていますが、この賃金未払の精神的損害の賠償請求(慰謝料の請求)ではなく、労基法114条では未払賃金と同額の付加金の支払いを、原告労働者が請求することを認めています。この付加金は、裁判所が使用者の労基法違反の事実を認め、かつ付加金支払いを命令するに値する悪質性があると認めた場合は、和解ではなく付加金支払いを命ずる判決となります。

ただし付加金の支払判決は、当初の訴状の中で原告が付加金支払の請求を行っていることが条件です。民事訴訟では、原告請求の無い金銭の支払いを命じる判決出来ませんので、付加金が当初の訴状で原告側から請求(提訴後の追加請求も裁判所が認めれば可能)されていなければ、裁判所は付加金については一切審理しません。

こうした訴訟上の駆け引き戦術の面からは「本当の勝者はトヨタであったかもしれません」という、日記最後の推理部分でのYosyan先生の感想も、あながち的外れとは思いません。

元法学部生元法学部生 2011/12/19 12:41 いちゃもんを付けられたときだけじゃ無くて、たとえば「○○休業制度を新規に導入した場合」だの「定年年齢を新たに延長した場合」などの条件で受給できる補助金・奨励金の類いがもらえたりする制度が出来た場合にも、古い就業規則を自前で保管してないと、労基署には古い就業規則は残ってないので、補助金・奨励金をもらう申請書類を出せずにガッカリすることになったりします。

MLML 2011/12/19 13:25 >付加金の支払判決は、当初の訴状の中で原告が付加金支払の請求を行っていることが条件です

判決を求める原告の意思に忠実だったら、付加金を含めた賠償請求になるはずなのに、さて担当弁護士さんは労働訴訟に馴染んでおられたのか?という疑問が残ってます

悪質性といえば、深夜労働を連続でさせて安い当直料で酷使していたのだから、悪質だと思います。もちろん、全国の救急告示病院が悪質なので、平均よりチョい悪かもしれませんが。。。。

元ライダー元ライダー 2011/12/19 13:49 どのくらいの金額なら満額回答を阻止できるか私には漠然としていたので2,800万円は例えなんですが、原告がお得になり、被告が満額回答をためらう金額を請求できれば、文書を得られる可能性は高くなると思われます。ML様のおっしゃるように付加金を請求すればどうなんでしょう。被告病院も「欲しけりゃ、訴訟費用を準備してかかって来いです。」で対処するより、最初から時間外手当を払ったほうがお得だとソロバンを弾くんじゃないでしょうか。そうなれば文書を得るのと同じ効果です。

KEIKEI 2011/12/19 13:50 今回の和解による解決について、冷静に考えてトヨタの勝ちです。「損して得取れ」ですね。

原告にしてみれば、結局全部認容判決に等しいわけですから今後本件に関して同一の訴えを起こすことができなくなるばかりか、時間外であったことやら既判力を持って判断されていませんから、280万はもらったけど、「労して益なし」状態です。

一方被告にしてみれば280万円支払うことで、「その他の請求(原告が求めていた文言等)」を裁判所に判断されることがありませんから、280万円の性格も「口封じの解決金」のような性格といえそうです。痛い腹を探られないような。

したがって、原告はたとえ180万円の一部認容判決であっても「判決文」を得ることが今後のためにも必要であったのではないかと、今回最悪何も解決していない状況では、結局原告は今回の裁判で何がしたかったのかと疑問ではあります。

裁判的には原告は280万円の請求に対して280万を得たわけですから「全面勝訴」なんでしょうが、そもそも請求の趣旨に掲げられていないことに既判力が生じないわけですから、結論は見えていたともいえますが、、、。

法務業の末席法務業の末席 2011/12/19 14:21 この裁判(和解)を被告の病院側から見れば、続く同種訴訟に判決文を使われない(つまり既判力が無い)形で終結させたから、KEI さまの仰るトヨタの勝ちという見方も成り立つでしょう。

でも、訴訟を起こした産科医個人は、病院の同僚医師達を救う為に訴訟を起こしたのか?
最初に考えたのは、自分に対して払うべき賃金を払わなかったことへの怒りでしょう。
先ずは私に払え、これが第一であって、病院の同僚医師へ同様に、というのは順位的には下でしょう。

言うならば280万の支払確定がメインで、同僚医師にも同じようにはオマケの部分でしょう。
メインとオマケの比重をどう取るかは、外野が決めることではなく、訴訟を闘った原告自身の評価で決まることでしょう。私は原告がこの和解に満足しているならそれで良し、と受け入れるのが外野の弁えだと思います。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/19 14:41 ま、生活保護の件でもいえるのですけどね。
実質は、フェアトレードの原則が労働でも確立するのが第一ですね。

無論、個の救済のための争議は大事ですが、個に責を追わせすぎるのは、ちょっと過酷かと。

まずは社会のフェアを確立するのが大事でしょう。

労基法の遵守も含め、適正な労働環境を確立すること。
それが大事だと信じていますし、私はそれを目指します。

元ライダー元ライダー 2011/12/19 15:12 法務業の末席様

本来ブログ主がレスすべきことでしょうが、Yosyan先生はお忙しいようなので。
エントリ本文からですが、
「原告の意向は「カネでなく判決文が欲しい」です。280万円の請求と言っても、よく御存知の通り、弁護費用を払うと足が出ない程度のものです。一審だけで終ればまだしも、二審三審と争えば足が出てもおかしくありません。ですから本気でカネではなく判決文が欲しいでした。もちろんできれば「カネも欲しい」とは言ってましたけどね。それでも優先したのは判決文です。」

YosyanYosyan 2011/12/19 16:06 原告が判決文を望んでいたのは嘘偽りではありません。そういう姿勢をかなり頑張って示していたのも間違いありません。しかし訴訟は不慣れなものを消耗させる場です。気合を支える気力の消耗は微妙な関係で和解交渉に影響します。そもそも和解交渉の場と言うのも微妙なところで、判決を下す裁判官が入る場です。

情勢判断的に有利そうだと感じたところで、訴訟は水物です。勝利をどういう形で受け取るかで心理的に揺れ動く場でもあります。原告が満額支払いと言う形で勝利を受け止めた事に、私は非難をする気にはまったくなれません。外野から見れば不満足な部分もあり、原告自身も不満足な部分はあるとは思いますが、トヨタが支払った事は事実です。

エントリーの中でトヨタに利があったんじゃないかの論評をしていますが、この訴訟をどう活かすかは後に続くもので変わると思っています。たとえば訴訟に訴えても、さして手元に残る金がない、もしくは持ち出し覚悟で臨む者が増えればトヨタの思惑は狂います。またそういう戦術を取ると言う事を念頭においての戦いになれば、次はどうなるかは予断を許しません。

当事者のギリギリの判断は尊重すべきと思っています。原告は一つ道を切り開いたパイオニアとして敬意をもって接すべきだと私は考えています。

名無しのごんべ名無しのごんべ 2011/12/19 16:14 本来の趣旨からはずれてしまいますが

わたしはまったく違う分野ではありますが、同様の裁判(判決(+お金) or 和解(+お金)が選べる状況になった)を闘ったことがあります。
私の場合は一審で和解の謝罪書面なしに終わりました。(判決→和解で謝罪書面あり→和解で謝罪書面なしに流れていきました。。。)

かなりの特殊な状況下で相手のことだけでなく、裁判官の心証なんかも考慮して闘います。
本心から判決がほしくても和解のテーブルにつかないと裁判官の心証が悪くなるんじゃないかってのもすごくわかります。

お金ももちろん考えます。。。生活がありますから。。。
でもそれ以上に二審三審と争ったときの時間です。
その時間はすさまじいものです。
一審だけでも1年や2年なんかすぐです。(わたしは1年半かかりました。)
その間中、相手のことが憎らしくて。。。気づけばそのことばかり考えて、いつも心が黒い感情で覆われます。
心の疲労は言葉では表せません。
二審三審と考えただけでもおそろしいです。

わたしが言いたいのは「本気でカネではなく判決文が欲しいでした。」とありますが、途中で思いの比重が変わったり、メインとオマケが入れ替わったりもしたのではないでしょうか。あと判決文とお金以外にもいろいろと要因があっても終わってしまい他のだれかに話すときは最初の思いだけを伝えてしまう。

経験したものでないとわからないこと、言葉には変えがたいこと、うまく伝えれない感情、、、
それほどまでに特殊な状況下なのです。裁判とは。。。

きよ@XXXきよ@XXX 2011/12/20 06:05 こちらのブログにはいつもお世話になっております。この裁判をトヨタの勝ちとするかどうかは他の医師次第ではないでしょうか。Yosyan先生がおっしゃるとおり、次に続く(気概がある)人に一つ道が切り開かれたのは事実です。産婦人科勤務医を続けながらトヨタ相手にこれだけの成果を勝ち得られた原告先生は素晴らしいと思います。

10年ドロッポ10年ドロッポ 2011/12/20 09:36 >エントリーの中でトヨタに利があったんじゃないかの論評をしていますが、この訴訟をどう活かすかは後に続くもので変わると思っています。たとえば訴訟に訴えても、さして手元に残る金がない、もしくは持ち出し覚悟で臨む者が増えればトヨタの思惑は狂います。またそういう戦術を取ると言う事を念頭においての戦いになれば、次はどうなるかは予断を許しません。

そういや武富士って潰れたんだよね(ぼそっ

>その間中、相手のことが憎らしくて。。。気づけばそのことばかり考えて、いつも心が黒い感情で覆われます。
心の疲労は言葉では表せません。

それだけに完全勝訴の判決文は値千金なんですよね。私も貰った事ありますがw、憎い憎い相手を完全否定してやったあの高揚感、達成感!物理的に亡き者にしてやったとしてもあそこまで気分はよくないでしょうねさすがに経験はないけどw。苦労の甲斐はあった、と断言出来ます。
*個人の感想ですw

none_2217none_2217 2011/12/20 21:21 労働基準法37条に違反すると、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則を喰らうと書かれていたんですが、それは適用できなかったんですかね…
適用できれば、トヨタのイメージ低下は免れないと思うのですが

法務業の末席法務業の末席 2011/12/20 22:25 >労働基準法37条に違反すると、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則を喰らう

同じように当直勤務の時間外労働割増賃金を請求した、奈良県立病院の民事訴訟を覚えておられますか?
奈良の件では、1審2審とも当直は時間外労働と認め、労基法37条に定めた通りの時間外割増賃金の支払いを命じる判決が出ています。その判決を根拠にして、労基法37条違反で奈良労基署に刑事告発した人がいるのです。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20101125

奈良労基署はこの告発を受理して、奈良県知事など病院設置者の刑事捜査を行い、奈良地検に書類送検しました。しか〜し誠に残念ですが、奈良地検は最終的に不起訴としてしまい、病院設置者の奈良県知事を刑事訴訟の法廷に引きずり出すことは実現していません。

民事訴訟で完璧に時間外労働と認めた判決が出た奈良県立病院事件でも不起訴です。この刈谷豊田病院の民事訴訟は和解で終わっていますので、奈良県立病院での結果とも条件が違っています。

労基法違反での刑事罰(刑事裁判での有罪判決)は、なかなかハードルが高いのです。。。。

名無しのごんべ名無しのごんべ 2011/12/21 09:46 10年ドロッポ様

>それだけに完全勝訴の判決文は値千金なんですよね。
もらってみたいです。。。高揚感、達成感、想像しただけでも気持ちよさそうですね。しかも実際になってくるとさらに想像以上の。。。うらやましいです。が、もう一度という気にはならない(なりたくない)ので一生味わうことはできないでしょうね

none_2217none_2217 2011/12/21 17:10 >法務業の末席
ふむぅ、結構厳しいんですね
ここらへんのハードルが低ければ、ブラック企業とかサービス残業も横行せずに済むのですが…

お弟子お弟子 2011/12/22 00:24  他の分野だと、裁判に向けての証拠能力の問題や、裁判してもその影響力の低さ(刑事裁判は一罰百戒効果も狙われるので)を検討されるのですが、こと医療業界に対してはその影響力の広がりが逆に考慮されて起訴が抑制的になっているふしがあるのではないかと。つ〜か、もっと早々にやっていればと思わないでもないです。「これらの法律の規定に違反している事実が認められた場合には使用者に対し是正のための指導を行うほか、悪質な事案については刑事事件として取り扱うことも含め、厳正に対処していくこととしている」なんて答弁が小泉総理大臣時代にもなされているんですけどね。。。http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/154/touh/t154001.htm

YosyanYosyan 2011/12/22 08:33 お弟子様

 >こと医療業界に対してはその影響力の広がりが逆に考慮されて起訴が抑制的になっているふしがあるのではないかと

労働訴訟全般にそういう傾向があるように感じています。本来的には労働組合が、訴訟に依らずして交渉でなんとかすべきぐらいの考え方がベースにあるような気がしないでもなく、個人が訴訟でなんとかするは例外的な手法ぐらいに置いている感じなのでしょうか。もともと実質的に労組が存在しないと言う意味では勤務医はやや特殊なのかもしれません。


 >つ〜か、もっと早々にやっていればと思わないでもないです

時代の流れ、勤務医の意識の変化を考えると「難しかった」とするべきのように思います。お弟子様が経験された様に、当時はそういう行動をするというだけで医師からも総攻撃を受けかねない時代でしたから、仕方がない気もします。無関心でしたからねぇ。

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2011-12-17 記者の感覚

12/11付msn産経west関西事件史「附属池田小児童殺傷(7)監禁された先輩記者」

よりです。池田小事件そのものについては今日は置いておきます。注目したいのは記者の感覚です。まず冒頭です。

大阪教育大附属池田小学校の児童殺傷事件からまもなく1年になろうとしていた。平成14年6月某日の夜。私は必死になって、金づちを振りあげる元死刑囚、宅間守の父親の太い腕を押さえていた。

 「この野郎、邪魔するな!」

 「やめてください!」

最初サラッと読んだ時には事件当時の取材の様子かと思いましたが、よく読むと事件から1年後の取材の様子である事が確認できます。でも何故に元死刑囚の父親が金づちを振り上げる理由がわかりません。理由も明記してあり、

 こうなったのには理由がある。2人は事件後、宅間の人物像や生い立ちを追いかける「宅間班」で一緒に取材をしていたが、鈴木が父親から「絶対に書くなよ」と念押しされていたエピソードを記事にしたからだ。

 「もう忘れてるやろ」

この

    「もう忘れてるやろ」

は文脈からして記者の言葉と解釈できます。親子関係は色々あったとかもしれませんが、父親にとっても衝撃的な事件であり、決して忘れられない出来事であるのだけは間違いないと普通は考えそうなものです。それでも記者の感覚では1年もすれば忘れているに違いないと確信できるようです。

よく人間は「踏みつけた方は忘れるが、踏みつけられた方は忘れない」と言いますが、記者の感覚としては「踏みつけた方が忘れれば、踏みつけられた方は余裕で忘れる」ないしは「踏みつけた方が忘れたと思えば、踏みつけられた方は忘れなければならない」そういう感覚が記者には不可欠の様に思えます。



次は事件当時の取材の様子です。

まず最初に駆けつけたのが、宅間が住んでいたアパート。事前に聞いてはいたが、報道陣による荒らされ方は想像を絶していた。記者やカメラマンがあふれかえり、道行く人や近所の人に声をかけてもまったく相手にしてくれない。他社の記者にもすでにあきらめムードが漂っていた。宅間がその前に住んでいたアパートもよく似た状況だった。

ごく素直に驚くのですが、

    報道陣による荒らされ方は想像を絶していた

荒らした事に対しては一片の感情も無いように感じます。そりゃ、現行犯逮捕の犯人のアパートであるとは言えますが、だからと言って想像すら絶するような荒らし方をしても良いかは別問題の様に感じます。ちょっと怖い感覚です。そういう事が当然と思うような人々には、

    道行く人や近所の人に声をかけてもまったく相手にしてくれない

こういう反応になってもまったく不思議ないとは思いますが、記事を読む限り単に取材するに当たって「困った」以上のものを読み取るのは困難そうに思います。これぐらい無頓着であるのも記者の感覚として必要な要素だと思います。



次も事件当時の取材風景です。

 対応してくれたのは若い男性従業員。当然、「契約者の情報を漏らすわけにはいかない」ときっぱりと断られたが、簡単に引き下がるわけにはいかない。どれほど悲惨な事件で、報道する意味があるのかを必死に訴えると、従業員は「上司に聞いてくる」と言い残し、事務所の奥に入っていった。

 私の懇願にほだされたのか、それとも単に不注意だったのかは分からない。テーブルの上に「契約書」と書かれたファイルが置き去りになっていた。この状況で盗み見ない新聞記者なんているのだろうか。どきどきしながらファイルを開くと何ページ目かに宅間の名前が目に飛び込んできた。

 住所を丸暗記し、ファイルを閉じてから1分もたたないころ、従業員が戻ってきた。「申し訳ありませんが、やはりお答えできません」。心の中ではお礼を言いながら「そうですか…」と残念そうに装って事務所を後にした。外に出ると、ハイヤーに飛び乗った。

ここは元死刑囚の住所を調べる取材裏話です。不動産会社に住所を聞きだした状況の描写になります。不動産会社と記者のやり取りについて、記者としての取材術としてはアリの内に入るかとは思います。これぐらいはやっているとは想像の内ですが、こういう取材の裏話を公表するセンスが記者の感覚と感じます。

結果的に情報を提供した不動産会社は、記者も感じた様に最大限の好意を示したのかもしれません。であっても顧客情報を流出させる行為は宜しくないのは間違いありません。また盗み見た記者の行為もまた宜しくありません。不動産会社が示した好意への絶対的な交換条件は、そういう阿吽の呼吸の情報漏洩を棺おけまで持っていく事であったと私は考えます。

つまり住所を探り当てたのは不動産会社経由の情報漏えいではなく、記者がなんらかの手段で探り当てたにしておいて欲しいです。そういう事に念を押せる状況ではありませんから、口にはしていません。それでも最終的に「申し訳ありませんが、やはりお答えできません」との返答で、それぐらいはわかるだろうの判断であったと思うのですが、記者の感覚ではそうではないようです。



この記事を読みながら思ったのは、記者たるものの感覚として、

  1. 取材対象に都合の良い忘却力を無条件に期待する
  2. 自分の行なった行為に無頓着でいられる
  3. 念を押されようが、違法行為に触れようが、見聞きした事はいつでも平然と手柄記事にする

どれも人としてあまり嬉しい感覚ではありませんが、1.や2.は残念ながら多くの人が多少は持っている感覚と言えるかと思います。後は個人のキャラと職業特性の関係で強く出るか、抑制的に出るかの問題の様にも感じます。記者という職業はかなり強めに出る職種ぐらいの理解で良いのかもしれません。良いとは言えませんが、完璧な人格者なんてそうはいませんから、「そんなもんなんだ」ぐらいで考えないといけないのかもしれません。


しかし3.は嫌ですね。これも記者という職業柄で理解するにしても、人として接するのは避けたい人々になります。別に3.を行ったにしても必ずしも法に触れないのかもしれませんが、人としての信用と言う点において頂けません。単なる口約束、暗示としての約束であったとしても約束は守ってこその信用です。

まあ、それでもこういうタイプの方々は世間には記者以外にもおられます。いわゆる「口の極めて軽い人」です。どれだけ念を押しても、いや念を押されれば押されるほど話して広めたくなるタイプの人です。俗に「歩く拡声器」とか「人間スピーカー」とか揶揄される秘密を絶対に守れないタイプの人々とすれば良いでしょうか。

そういう人々は本人の自覚は別として、周囲の人間は「信用出来ない人」として取り扱われます。漏れてはならない秘密の相談相手として決して選ばれないと言う事です。そりゃ、ウッカリ聞かれたらあっと言う間に隠しておきたい秘密が公然の秘密になり、さらには尾鰭を付けた周知の事実に変わってしまいます。そんな人に秘密を委ねるのなんて愚かな選択は普通はしません。

そういう人々の利用法として、密かに広めたい事実を広める時にのみ利用価値が見出されます。話せば広がるのが約束された人たちなので、その場で「これは内密」の口約束など何の歯止めにもならないからです。利用価値は有るにはあるのですが、扱い難いと言うか、扱いの程度がその程度になってしまうのは致し方ないでしょう。

それでも面白いのはそういう人々自身はそういう扱いになっている事の自覚が非常に乏しいと言うか、殆んどないケースが多い様に感じています。逆に他人からの信用は非常に厚いと信じて疑わないところもあるように思えます。世の中うまく出来ているのかもしれませんねぇ。

SeisanSeisan 2011/12/17 10:24 今時、オフレコだろうがなんだろうが平然と記事にしていますから、こういうのが今の記者の平均感覚なんでしょうと納得できてしまいます。

というわけで、何かあっても平然と「取材はお受けできません」とするのがデフォルトですね。

774774 2011/12/17 12:43 まあこんなもんでしょうね。
特権意識だけは大したものです。

ヘンタイ事件に限らず道義的にやってはならない区別がないのは、今度TBSでドラマになる「運命の人」の件でも明らかです。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/17 13:04 まあ、ホメオパシーの助産師さんに取材して、取材先に来ている妊婦さんを追い回して、苦情が(何故か)うろうろドクターさんに来てて、困っちゃうなあ、という事はありましたね。

記者さんにも寄るとは思いますが。

...こういう、良い取材姿勢もあるのに。
> 朝日新聞「患者を生きる」の取材(1) - ブログ版ききみみずきん - Yahoo!ブログ
> http://blogs.yahoo.co.jp/bloom_komichi/65327351.html

吉田吉田 2011/12/17 15:35 この記事は正直どっかの痛いDQN自慢のようで、私も読んでて?の連発でした。
昔もあったんだろうけどネットで世界中の人が見れる時代に晒すのはさすがにバカというかなんというか。

政治家のオフレコもそうですが、こういうことやるからマスコミの信用が落ちていくんですが。

xx 2011/12/17 19:44 優秀な弁護士やトレーダーはサイコパス(反社会性人格障害)の傾向があるという話を読んだことが。
共感能力の欠如や責任感の欠如が業務に都合がいいんでしょうね。

BugsyBugsy 2011/12/17 19:45 医者 役者 芸者の三者は昔信用されなかったとは聞いています。どうやら江戸時代以来らしい。
医者は大学を出たからまだましかも。
芸者は死に絶えました。柳橋にも日本橋にもいません。実際に確かめました。いや いないんです。この話はおいといてと。
役者は未来の演出家、芸術家 将来の脚本家になり果てました。口先はともかく永遠にだな。
ところが記者は羽織を着た〜〜〜ゴロと言われます、オイラの片田舎ではね。明治時代からそうらしい。
羽織を着て客間にドカッと座るようです 御用聞きでも裏口から来ますが、奴らは玄関から堂々ときやがる。

賤業とは21世紀の現在こいつらのことを言うらしい。ないと習ったはずが、職業には貴賤があるようです。

人の痛みを分かるのが医療ですが 若い人にも分かってほしい。職業の矜持という言葉はあるぞ。
オイラの田舎じゃ ブンヤ、カブヤ、ホケンヤには今でも娘を嫁には出さんぞ、馬鹿もんが!

自称ピカソ自称ピカソ 2011/12/17 21:04 こんにちは、はじめまして
休日に菖蒲が見ごろの公園で見ていたら、カメラクルーがやってきて
「どいてもらえませんか」と言って自分たちがとりたい画像だけとって
さっさと帰っていきました。
あまりのことに、「失礼やないの」という声も出ませんでした。
(同じ人種だと思えなかった…)
大阪のゴミうりテレビです。
「失礼します」とか「ありがとうございました」とか一言もなくて
、職業の貴賎以前に人間失格、下劣です。

今度橋下さんが記者クラブ廃止をやるそうですが、応援します。
自分たちが広めたいことがあるときだけ利用すればいいんですよね。
新聞もとっていないし、テレビもない生活ですが、とても快適!おすすめです。

Med_LawMed_Law 2011/12/18 00:33 マスメディアの情報発信能力の低下に危機感を覚えてます。日本のマスメディアに元々、そんな正しい情報発信能力があったかどうかも疑問ではありますが・・・

言論の自由の基礎となる「正しい情報」を得るためにメディアは欠かせないと思うのだけれど、「正しい情報」も「正しい判断能力」が無ければ何の意味もない

>自分たちが広めたいことがあるときだけ利用すればいいんですよね。

これは一種危険なことでもあることの認識が欠けていると思えます
もちろん、今のようなゴミ売レベルの偏向報道が続けば、仕方ない部分があるのですが、、、

行政のチェックは、本来は高い見識を持った議員が行う(間接民主主義)が当然なのですが、メディア以上に見識が欠ける行動が見られるのは残念で、その議員を選ぶ国民が更に短視眼であるので、残念至極です。

もっと学校で政治学の教育すべきなのかもしれません

自称ピカソ自称ピカソ 2011/12/18 17:23 追記 橋下さんが記者クラブ廃止をやるというのはどこかで目にしたような気がしましたが、ソースを見つけられませんでした。うろ覚えで、ごめんなさい。
1、記者クラブ加盟以外の記者にも定例記者会見に参加させる
2、記者クラブに、水光熱費など相応の利用料を負担させる(役所の一室を我が物顔に使わせない)
この2つを是非やってほしいです

倫理倫理で夜も眠れず倫理倫理で夜も眠れず 2011/12/19 03:15 医療倫理はかなり普及してきましたが、まだまだ。
報道倫理は、普及すらしていません。
「ペンは剣よりも強し」という言葉を自己に都合のよいように解釈しているようです。
情報源の秘匿すらできないジャーナリストは当然追放ものです。
取材される側としては、ジャーナリズムに名前が載ることで自尊心がくすぐられる弱さを自戒し、そういう意識につけ込まれないことです(製薬会社の大規模治験に乗っかったり、何とかサイトで製薬会社の広告ビデオに出たりしたら、利益相反となるのでその薬を患者に勧めることにバイアスが生じます。そういうことに鈍感な医師が多すぎます)。それと、絶対に校閲権を譲らないことです。
最も忌むべきは、「自分には特別に相談にのってもらえる医師がいる」みたいな特権を自慢するジャーナリスト。
取材先と癒着している、ということが、ジャーナリスムの根幹を揺るがすことだということがわかっていない。こんな記者の書く医療記事は、提灯記事でしかないことはすぐ想像されます。まともな医療記事が書けるわけないでしょう。
そもそも、政治の世界では、記者クラブの存在自体が世界中の笑いものです。
日本のジャーナリストの皆さん、医者に倫理を説く前に、自ら報道倫理を守ってください。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/19 06:03 これは署名記事なので、ネットで色々とさぐられるだろうなと思いました。
さらに、ふと奈良大淀事件の新聞記者さんのことが頭によぎりました。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/19 06:29 >医者は大学を出たからまだましかも。
たぶん、大部分の記者は大学を出られているのでは

医者と医師をどう区別しているか私的にはよくわからないのですが、医者の中にも色々な方がおられるように、また科によって違うように
記者でも政治部・社会部と科学部・文化部では大部違うように思います。

>記者さんにも寄るとは思いますが。
>...こういう、良い取材姿勢もあるのに。
> 朝日新聞「患者を生きる」の取材(1) - ブログ版ききみみずきん - Yahoo!ブログ
> http://blogs.yahoo.co.jp/bloom_komichi/65327351.html

ここはいわゆる科学部では・・・

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2011-12-16 日大光が丘病院問題・水面下交渉の50億円

光が丘病院問題の大きな謎の一つは、何故に日大が撤退声明を出したのだろうです。これまででもそれなりに情報がありまして、

  1. 1991年4月に経営を引き継いでから光が丘病院が出した赤字が90億円にも上っている事
  2. 施設の老朽化による新築移転問題へのさらなる投資の問題
  3. 同じ日大系列の駿河台病院も含めて、日大大学病院の整理

ぶっちゃけた話、日大も経営が苦しいは情報としてありました。カネの問題はなんのかんのと言っても大きな問題で、私学の雄日大といえども、無い袖はふれないのは確かです。大学経営と言っても企業経営と基本は同じですから、経営が苦しくなれば不採算部門は整理しようと動くのは不思議とは言えません。ですから日大と練馬区の間の交渉は、経営赤字の補填問題、つまりは援助の交渉の決裂と見ていました。新築移転問題も含めての費用負担問題です。

具体的にどういう条件を日大が提示し、練馬区がこれに答えたかは水面下の秘密交渉であるがために、これまで殆んど表面に現れて来ませんでした。わかる範囲で再掲しておくと、


年月 事柄
2010年2月 日大からの光が丘病院撤退の申し入れ
2011年3月 日大は一旦撤退を撤回
2011年4月 練馬区長選挙
2011年7月 日大から撤退の決定通告

この情報も2010年2月時点で日大が撤退をいきなり申し込んだとは思いにくいところがあります。当たり前ですが、それ以前から交渉はあり、日大と練馬区の条件の溝が深くて広すぎて、日大側が交渉のためのカードとして切ったと考える方が自然です。2011年3月時点の撤退撤回の一時凍結は、4月の区長選挙のためのある種の政治休戦と見れます。もう少し言えば、再選を目指す区長が選挙前に日大撤退の情報を公にしたくなかったと考えても良いと思っています。

無事区長は再選されたのですが、再選からわずか3ヵ月後に日大が撤退を一方的に宣言する事態に急展開します。これは区長再選後に練馬区が日大に提示した条件に絶望したからではないかと考えるのが妥当でしょう。ここまでは今までの推測です。


とは言うものの具体的な内容がこれまでサッパリわかりませんでした。練馬区がここまで渋るぐらいですから、日大側の要求条件はかなり厳しいものであろうぐらいは推測されますが、わからない事には憶測ばかりが飛ぶ事になります。憶測の中に地域医療振興協会黒幕説みたいなものまで飛び出てしまいます。ここまで来たらもう出ないと思っていたのですが、日大側から転がりだして来ました。11/25付日大医学同窓新聞です。

 本学の練馬光が丘病院は、もともと練馬区医師会が経営する病院だった。しかし、平成3年には、約95億円にのぼる債務を抱えて、経営に行き詰っていた。練馬区医師会は、資産を売却するなどして切り抜けようとしたが、それでも50億円もの債務が残る状態だった。それを救済したのが本学である。本学は、練馬区に50億円を融通した。詳細を省略すれば、練馬区は、その資金で練馬区光が丘病院を購入し、練馬区医師会は、その資金で債務を返済したものと言える。

 本学と練馬区は、これを機会に契約を締結し、練馬光が丘病院を本学の附属病院として運営することになった。本学と練馬区との間の問題は、このときの契約に始まったと言っていい。本来、本学が融通した50億円は、契約のきっかけになったとはいえ、契約そのものとは関係がない。ところが、それを保証金と表現して契約を締結したのである。

 そのため、年月を経て関係者が入れ替わるにつれ、見解の相違が大きくなってしまった。たとえば、本学は、少なくとも最初の契約期間である30年で、必ず返還されると考えてきた。ところが、練馬区は、それが過ぎても、契約が更新されれば返還されることはないと明言するようになった。それでは、本学の附属病院である限り、50億円は永遠に返ってこないことになる。

 そこで、本学は、約3年前から、この問題を含めて契約を見直すよう練馬区に提案してきた。しかし、練馬区は、それを頑なに拒否して解釈を変えようとしなかった。そのため、本学は、そのような解釈をするなら、水面下での交渉とは言え、練馬光が丘病院の運営から撤退することも辞さないという意思表示をすることになった。それが約2年前のことである。

 それでも練馬区の態度は変わらなかった。そのため、本学は練馬光が丘病院の運営から撤退することを公表することになった。大学としては、区民に事情を明らかにして、区民の声を借りつつ練馬区に良識ある判断を促そうとしたのである。

 それでもなお、練馬区は、強気の姿勢を崩さず後継法人を公募した。それに応じたのは、わずか2法人だったが、そのうちの一つである地域医療振興協会を後継法人に選定した。あたりまえだが、契約のための保証金など要求しなかった。今どき巨額の保証金を出して自治体の所有する病院の経営に乗り出す法人などあるわけがない。

 区民は、本学による練馬光が丘病院の運営が継続されることを強く求めている。それは、ひとえに、練馬区が「いずれ50億円は返還すべきものと認識している」と言えるかどうかにかかっている。なぜ、区民の医療を確保するために、それくらいのことを言えないのか。練馬光が丘病院の教職員の方々には、いろいろご心配やご苦労をおかけしており、心苦しく思っている。

やはりカネの問題であるのは当然として金額は、

    50億円

たしかにこれは交渉が難航化するに相応しい金額です。この50億円についての解釈で日大と練馬区は徹底抗戦したと言う事になります。この50億円は表面上と言うか公式上は日本大学医学部付属練馬光が丘病院の運営終了についてにも、

開設時に練馬区に差し入れた無利息の保証金50億円

これもよくよく考えてみると不可思議なものです。つうても詳しくは知らないのですが、病院の委託経営でここまで巨額の保証金がいるのだろうかです。1991年はまだバブル景気の最中であったとは言え、チト高額すぎる気がします。それだけあれば保証金を入れて借りなくとも、それこそ病院ごと買収できそうな金額です。

そこについての日大の見解として、1986年11月に前身の医師会立として運営された時の赤字の穴埋めでとして純粋に融通したものとしています。これもまた豪気な話で、幾ら景気の良かった頃の話としてもポンと50億円を無利息で融通したと言うのも驚かされます。

これは推測になりますが、当時の日大として関連病院を広げる計画があったんじゃないかと考えています。そこでたまたま目に付いた物件が光が丘病院であり、本当は買収交渉に動いていたんじゃないかとも考えています。ところが、それこそ色々あって、所有者は練馬区の方が継承がスムーズに進むみたいな話が展開し、買収する代わりに無利息の保証金と言う形で契約した様にも考えます。

推測なんですが、この辺の見解の相違が今になって表面化したのが今回の騒動の様に思います。つまり

  • 日大は結果としてあくまでも「貸した金」であり、条件を満たせば返還されるのは当然である
  • 練馬区は実態として「もらった金」であり保証金と言いながら返すつもりはない

この練馬区の保証金に対する見解が、区議会議員である池尻成二のブログ「50億円」の謎 〜裏側から見る光が丘病院問題〜 その7にあります。

2009年9月の議会答弁を見る限り、練馬区はそもそも保証金を返すつもりがなかった、日大が病院の運営を続ける限り返さなくてもよいと考えていた。「担保としての保証金の扱いは、それは今の時点で、はいそうですかというのは、なかなか厳しい」と、地域医療課長ははっきりと語っています。

日大が急に保証金50億円の返還問題を蒸し返したのは、やはり経営問題だと思います。光が丘病院運営はおそらく日大理事会でも問題となっていたと考えます。医学部としては維持したいの意向はあったかもしれませんが、日大としてはこれ以上の出費は困るぐらいの展開です。そういう状況で出てきたのが保証金50億円です。

50億円を赤字の補填なり、医療設備の更新に使えたら話は変わってきます。日大の見解としてあくまでも無利息とは言え返してもらえるカネです。たとえば10年後であっても確実に返却してもらえるのなら、貸した金でも価値が出てきます。ほいじゃ、その確認をまずしておこうとなったのが日大医学同窓新聞にある、

    そこで、本学は、約3年前から、この問題を含めて契約を見直すよう練馬区に提案してきた

練馬区が渋った原因も容易に推測できるかと思います。練馬区は50億円のカネをどうしたかと言うと、保証金と言いながら、

    詳細を省略すれば、練馬区は、その資金で練馬区光が丘病院を購入し、練馬区医師会は、その資金で債務を返済したものと言える

要は使ってしまって無いと言う事になります。その上で返済のために再び50億円を積み立てる事もしていなかったと見ても良さそうです。これは返済はどうせ30年後だし、練馬区の見解として敷金みたいなもので、30年もすれば補修費で使い尽くしてオシマイぐらいで流していたと見ても良いかもしれません。さらに返すつもりはないとの見解を議会答弁で行っていた経緯もあり、今から10年後であっても返還確約なんてトンデモナイの姿勢に終始したと考えるのが妥当です。


延々と50億円を巡っての交渉は続く事になり、交渉開始の1年半ばかり後の2010年2月についに日大は痺れを切らして撤退カードを切ったものと思われます。それでも交渉は平行線を辿り、なんとなく日大側が交渉内容を公表すると言い出した様な気がしています。これは再選を目指す区長にとって避けたい事であり、20113月の休戦は、そうとう甘い事を言って再選に臨んだ見れそうな気がします。

ところが再選後に出した区長側の回答は従来のゼロ回答を基本的に踏襲したものであり、さすがにこれ以上の交渉は無駄と見て、2011年7月の日大側の電撃発表につながったとしても良さそうです。日大の撤退発表の真意をこれだけで判断するのは危険かもしれませんが、

    本学は練馬光が丘病院の運営から撤退することを公表することになった。大学としては、区民に事情を明らかにして、区民の声を借りつつ練馬区に良識ある判断を促そうとしたのである。

11月末時点の話なので割り引く必要はあるとは言え、うなづける部分はあります。つまり現在後継とされる協会が苦悩している事態を読み込んでの発表です。誰が後継になろうが、4月までに現在の日大レベルの医療体制を提供できる団体など日本に存在しないという事です。

日大は7月に撤退を発表して、4月には後継法人が引き継ぐなんて無理です。無理な事は練馬区も知っているはずであり、2010年2月の水面下交渉の撤退カードのさらにバージョンアップ版を切ったと見る事はできます。ここまでの瀬戸際交渉に持ち込めば練馬区も翻意するのではないかの計算です。練馬区民が50億円返還を受け入れるかどうかは未知数ですが、練馬区民が受け入れないと言うなら日大も「撤退もやむなし」みたいな腹積もりであったとしても良い気がします。

ところが練馬区側は水面下交渉については完全に蓋をして、日本大学による日本大学医学部付属練馬光が丘病院の運営が平成24年3月31日をもって終了しますで、

 しかし、平成22年2月に日本大学から区に対し「大学の理事会において、付属病院3か所の経営が思わしくないため、平成23年3月31日をもって日大練馬光が丘病院の運営から撤退することを決定した」との報告がありました。

 撤退の理由として、日大練馬光が丘病院は開設以来支出超過が続いていることとしています。また、賃借期間については、民法第604条を根拠に、当然に20年に短縮され、期間満了により平成23年3月31日に運営を終了するものであるとの主張でした。

 これに対し、区は、撤退は了承できないこと、基本協定書および公有財産貸付契約書に基づき、少なくとも平成33年3月31日までの30年間は日本大学が責任をもって病院運営を行うべきであることを主張しました。その後の協議によって、平成23年3月31日の撤退は一旦回避されました。

 その後、区は、受診されている方をはじめ、区民の皆さまの混乱を防ぐため、病院の運営継続を求めるとともに、もし日本大学が撤退するならば、責任を持って引き継ぐ医療機関を探すように要請してきました。それにも関わらず、日本大学は撤退の意向を変えず、引き継ぐ医療機関の紹介さえなされませんでした。

 そして、平成23年7月4日に、日本大学から平成24年3月31日をもって撤退するとの正式な申し出がありました。

ある意味決裂宣言を行って後継医療法人選定に突っ走る事になっています。

今日の情報に基いても不可解な部分は多々あるのですが、前身の医師会立病院が破綻した時に練馬区はその処理に苦悩したのだと考えています。そういう時に日大が50億円提供する申し出は本当にありがたかったと思っています。それこそ練馬区側はもみ手して日大の50億円を受け取ったと想像できます。そういう練馬区側が下手に出る状況下で「契約条件は形式上はこうさせて下さい」みたいな状況で、当初の契約は成立したと推測しています。

日大側の計算外と言うか脇の甘い点だったのは、練馬区側の担当者が代わると言う点であったと見ます。契約を交わした当事者間で幾ら口約束を交わしていても、20年間で担当者がコロコロ変われば口約束部分は消え去り、残るのは契約書にある条件だけになります。お役所相手の交渉ではママある事です。前任の担当者と合意寸前まで漕ぎ着けていたものが、担当者が変わるとすべてご破算になるなんてありふれたお話です。


日大側の言い分をある程度まで真実と取ると、溝深いですねぇ。最後の交渉相手の区長も3年前から同じだし・・・練馬区民は協会病院で我慢するしかなさそうな気がします。ただ7月時点で50億円が表面化していたら、日大残って運動が盛り上がっていたでしょうか。その点については神のみぞ知る世界になると思います。「日大に50億円返しても残ってもらえ」になりますからねぇ。

SakinoSakino 2011/12/16 09:08 この間の変化としては、やや抽象的ですが、《日大丸ごとvs練馬区丸ごと》だったのが、日大内部でもいろいろはなはしあいが行われ、練馬内部でもはっきりと行政に疑問を呈する側が登場して、《日大当局 & 日大医学部と病院 & 練馬区当局 & 地域医療という眼で見る住民》という4者が、互いにコンタクトしあう関係になったことでしょうか。はっきりいえるのは、《日大当局》から見て、練馬という地が、「とんでもない恩知らずで日大の資源を割くことなどまかりならぬ」ではなく、この間の日大光が丘病院の診療活動に共感や感謝の気持ちのある患者・住民がたくさん住んでいるところに変わったことです。

区の4回目の説明会にも、日大OBの方たちがたくさん見えておられ、練馬区の側の経過説明に意義をとなえておられました。「流れは変わっている」というご発言も……。

現時点では、ひとえに区の問題だと理解しています。

元外科医元外科医 2011/12/16 09:47 わはは
そういう事情だったんですか
じゃあしょうがないね
区がお金出さないのなら撤退はやむを得ないでしょう

地元民がなにがしか(25億とか)出すからお願いとかいえば
金額の大小として条件交渉の余地があったのかもしれないけど

元ライダー元ライダー 2011/12/16 10:59 かつての?練馬区側当事者の見解
http://www.izai.net/nerima.html
まあ、まずは残っている文書がどうかでしょうね。

BugsyBugsy 2011/12/16 11:35 日大側が今後も黙って引っ込むわけには行かないでしょう。
50億円が練馬区にわたった経緯と名目をはっきりしなきゃ、税務署が黙ってないですよ。
贈与 施設充当費、貸与など税率が全然違いますから。下手すりゃ賄賂ですか?
少なくとも50億円もの使途不明金なんてみなされりゃ大問題です。
税務署で税務処理がしてあり、そこがはっきりとすれば練馬区と法廷闘争は可能だと思います。

浪速の勤務医浪速の勤務医 2011/12/16 11:46 >>練馬という地が、「とんでもない恩知らずで日大の資源を割くことなどまかりならぬ」ではなく、この間の日大光が丘病院の診療活動に共感や感謝の気持ちのある患者・住民がたくさん住んでいるところに変わったことです。

長年、地域の救急医療に多大の貢献をしてきたのに、赤字の補填もしないばかりか
50億円ネコババしているんだから
「とんでもない恩知らずで日大の資源を割くことなどまかりならぬ」ではないでしょか?

MケツMケツ 2011/12/16 11:58 この問題は混沌してますな。
ところで、当時日大に財産を救ってもらった、練馬区医師会のお金持ちのおじさん達は、どうおもってるのでしょうかね。何か恩返しみたいなこと、したんですかね?

SakinoSakino 2011/12/16 12:00 「流れ」の件ですが、むろん、すごく努力なさったのと、周辺人口が増えたの等で、赤字がどんどん圧縮され、今年は黒字等の事情があります。それから、過去の赤字には、これは日大側の主張ということになりますが、使い勝手のすごく悪いたてもの(前の医師会病院のたてもの)に法外な家賃を払わされていたのが、とりあえず、今は、家賃免除状態になっている等の(書くと長くなりますからやめておきますが)等の事情もあります。財政状況だけみても、日大がレッドカードをつきつけた2年前より、はるかに好転しています。

あと、区の借金は、区が返せばいいというだけのことです。どっちにしたって返さないわけにはいかないんですから、ちゃんと、誠意をもって返せばよろしい。その原資はもちろん、私達が払う税金ですが。

なんだか、「わがままな住民登場」という構図ととらえて、恰好のフクロダタキのターゲットになりかねないリスクを感じますが、

医学部・病院は一貫して存続の姿勢を崩しておらず、住民が共鳴して弱体ながら必死でがんばっているという状態ですので、フクロダタキはご勘弁を。

日大の理事長とはじかに面談ずみです。はっきりおっしゃったのは、練馬区の側の問題であるということ。

MケツMケツ 2011/12/16 12:08 善意で過去の練馬区医師会の失態の尻拭いをしてあげた、区と日大が結局、煽りをくらった。ということか。

physicianphysician 2011/12/16 12:22 もやもやしていたのがすっきりしました。
『今どき巨額の保証金を出して自治体の所有する病院の経営に乗り出す法人などあるわけがない。』
おっしゃるとおりですねぇ。

元ライダー元ライダー 2011/12/16 12:36 当時の練馬医師会の顧問氏作成PDFからのコピペ
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練馬区は区有地を練馬区医師会に無償賃貸し 光が丘総合病院(300床)を準区立病院として昭和63年開設した。医師会は454名の会員を擁する大世帯で多くの会員の意見を取り入れざるを得なかった。中核は東京医大であったが、13医大から各科別に医師を受入れざるを得なかった。院長が医師会長であり、選挙によって交替するため、責任経営は当初から期待できなかった。
案の定、開設後3年で早くも債務超過45億円に達し、医師会理事の個人連帯保証を金融機関が追及する破綻状況になった。練馬区は医師会館を医師会から45億円で買収するなどして95億円まで膨らんだ不良債務を解消した。金融機関からの債務免除は受けていない。日本大学は、病院の賃借保証金を練馬区に50億円差し入れた。賃料は固定資産税並みとすることとされた。練馬区は実質的な負担することなしに日大に実質区立病院の経営を任せることに成功したのである。
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準区立ってなに?そこが、練馬区が医師会理事連中を助けた理由ですかね?

元ライダー元ライダー 2011/12/16 12:41 私が関わりそうになった物件の場合、賃借保証金の返還方法、(必要ならば)相殺の方法を契約書に明記しましたが、契約書すら無いのですかね?でなければ、こんなに双方の見解が違う理由が不明。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/16 12:49 うーん。
どうなんでしょうね。弁護士さんの通達書とかは読めましたが。(あの 20年の奴)

なんか、産経が微妙に味わいのある記事を書いている。
ここを読んでいると、何か味わい深い。(記者もここを読んでいたりして。^^;;)

> http://sankei.jp.msn.com/region/news/111215/tky11121521510010-n3.htm

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/16 12:51 あ、ここ、というのは、このブログの事ですね。
まるでシンクロするような記事だなあ、と思ったので。(12/15 付けですね。)

Med_LawMed_Law 2011/12/16 12:58 この契約には直接住民が関わっていないし、民間病院が近隣にあることは住民の権利でもなんでもないのに、「医療水準が下がる!」と大騒ぎしている住民が多いみたいです

まあ医療水準は下がるでしょうが、かろうじて支えようとしている継承法人に噛み付いている姿を見ると、なんとも浅ましい限りです

中で働いている人達からも「自分たちのやりたい医療ができなくなる!」との声が出ているようですが、経営側からすれば、「赤字で倒産したら誰が責任を持つんだ!」「誰が赤字を埋めていると思っているんだ?!」ということになるでしょう

参照) ボスしけてるぜ (by RCサクセション)
”ボーズお前のために、ボーズお前のために、オレの会社は潰せねぇーな、ボーズ!”

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/16 13:01 あ、ちなみに、契約書のない借金の話。
無利息の場合、税務上は「贈与」とみなされてしまいますよ。
これ、身内でも同じ、というか身内こそ、生前贈与ですけどね。(相続時の利益相殺対象)

あんまり税務は詳しくないけど、確かそのはず。

で、抵当権設定とか、しなかったんですかね? (すれば、登記簿に載るから、してないんだろうなあ。) 登記申請書とか出てくれば、利息規定も載っているはずだけど。

何か、やっぱ税務署的にも、既に公開状態なんで、色々やばいんじゃないの?
区の担当者とか、区長とか、関係者、大丈夫なんかいな?

# 税務詳しくないので、外しているかもしれませんが、「贈与」扱いは間違っていないはず。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/16 13:08 さっくり出てました。
贈与です。

> 親子間の金銭の貸借、出世払い等の特別な貸付は贈与税がかかります。
> http://homepage2.nifty.com/shirayanagi/businessinfo/inheritancetax.html

とおりすがるとおりすがる 2011/12/16 13:30 なんか、時代背景なんでしょうか、バブルの後始末で損失をトバシでごまかしていたのが、今頃表に出てきてしまって困っているオリンパスみたいですね。あいまいな解釈のできる形で50億円を日大から引き出して、その場をうまく取り繕って、30年後には自分はどうせ退職していないし、なんていうスキームを当時書いたのは誰なんでしょうね。

30年後とかって、福島第一の解体と同じで、責任をもって関わった人が退職して関係なくなる頃って言う意味だったんだなあと感じる今日この頃です。年金制度にしろ、なんにしろ、少子高齢化でいろんな余力が減ってきたところで、昔の「30年後だしオレ知らないし」のツケがいろんなところで表に顔を出し始めている気がします。

元ライダー元ライダー 2011/12/16 15:52 やっぱり、ここがポイントですかねえ。
「本来、本学が融通した50億円は、契約のきっかけになったとはいえ、契約そのものとは関係がない。ところが、それを保証金と表現して契約を締結したのである。」(同窓会新聞)

保証金でなければ、その50億円の支出名目は何ですか?って話になります。

にわか地方自治にわか地方自治 2011/12/16 16:15 準区立について。当事も今も、東京特別区は「病院」を経営できません(神戸市をはじめ市町村はできますけど)。これまでのカキコをみていて病床の少ない練馬区の住民運動が「公立病院」をもとめ、医師会立というかたちで、「準公立」ということで手を打ったのではないかと思われます。開設時に、革新自治体だったりするとよくある話ですし、革新自治体と医師会が仲が良いのもよくあったりします。

50億円の「保証金」について。自治体が保証金を収入することはありません。収入の科目は決まっていて、おそらく「寄附金」でしょう。寄附には、一般寄付(何でもいい)と目的寄附(このお金は福祉に使ってね)と分類されますが、さらに、負担付寄附(寄附を受けて何かをしなければならない)という概念があります(にわかなので、目的寄附との違いがわかりません)。負担付寄附なら、それを受け入れるときに議会の議決が必要です。
当事の予算書決算書や議会議事録をみると(練馬区クラスだと図書館にあるはず)、それらがわかるはずです。

30年問題について。借地借家法が適用されるのは底地は「普通財産」という扱いです。そのほかに、行政財産の目的外使用という形式(庁舎や病院の売店など)とか、行政財産の独占的排他的使用(これは議会の議決が必要)という形式もあります。

ちなみに、前回のスレ(12/8)のコメントで、議会の議決とありますが、自治体の財産を無償で貸し付ける際には、議会の議決が必須です。

元法学部生元法学部生 2011/12/16 19:58 練馬区60年史の歴代区長の経歴がなかなかおもしろいです。

http://www.city.nerima.tokyo.jp/annai/rekishiwoshiru/60shunen/nerima60/shosai.files/12979_14_115-179_3syou.pdf

光が丘地区(米軍グランドハイツ跡地)再開発を推進したのが、昭和48年10月から昭和62年4月まで4期14年(初就任時は都庁から練馬区総務部長に天下っていた東京都官僚の非公選区長)に渡って区長をつとめた田畑氏(東京帝大法学部卒)。
光が丘地区の病院用地が都市計画決定されたのは、昭和53年1月
練馬区医師会立に決定されたのが昭和59年10月
開院が昭和61年11月
在任期間が長くなると、なんか記念になるような妙なものを建てたがる典型かも。
いかにも在任中に間に合わせましたっぽい。
平成3年4月に日大に移管ですから4年半…。ずいぶん短い導火線だったねぇ。

で、前任者の置いていった時限爆弾を日大に何とかしてもらった後任の区長が…。
日大法学部卒の岩波氏。(在任期間:昭和62年4月〜平成15年4月)

現区長がその後任で平成15年4月から在任中ですから…。

元ライダー元ライダー 2011/12/16 23:21 今だけ見れば理不尽と思えることでも、今に至る歴史の結果であるということでしょう。決して今という断片だけで物事を見てはいけないという教訓になりました。今では「どうして医師会病院など作ったのだ!」という後方視もできますが、当時としては準公立という選択が最善と考えられたのでしょう。地域医療振興協会も新たに出てきた配役に過ぎないということでしょうね。

それでも練馬区民の皆様は前に進んでいかなければならない訳ですが、歴史的経緯を念頭に置けば、考え方も一味変わってくるでしょう。

にわか地方自治様
準公立ってそういうことですか、それなら区も医師会理事連中を突き放すわけにはいかなかったでしょうね

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/16 23:27 寄付かあ。
区の、「そのまま逃げ切り」もありそうな。

ただ、そういう事があった後の、以後の関係者の禍根も、ま、推して知るべし、のような。

ちなみに担当変更がらみのごたごたは、銀行なんかでもあります。
守秘義務効いているので、詳細はご勘弁を。 ま、ありがちな話なんで、世情に詳しい人は知っているかも。ま、公言するような内容ではないけど。

SakinoSakino 2011/12/17 08:39 >歴史的経緯を念頭に置けば、考え方も一味変わってくるでしょう。

むろん、念頭においています。つぶさに見てきてもいますし、微力ながら関わってもきています。

この問題を、準モンスターペーシェントや、近隣住民のエゴというふうにしか捉えられない方たちには、ぜひ、医療圏という見方をしていただきたいです。

医療圏で2.5次的な仕事をしている病院(念のために確認しておきますが、土地・建物は区の所有物)、医療圏という逆ピラミッドを支えている(下側)頂点という病院がなくなる……という事態に、医療行政が、住民が、病院スタッフが、救急搬送担当者が、○○が、△△が……どう対応するか……ということです。

また、懸念されている状況は、いわゆる「ドミノ倒し」です。

手をこまねいて見ているか、できることをするかの二者択一ということになります。むろん、後者には、「どうやって」という問いがついてまわりますが。

いわゆる「50億問題」ですが、区が必死で隠蔽しようとしてきたこの問題を表面に出したのも、私達です。

SakinoSakino 2011/12/17 09:35 あと、一応付言しておきますが、この問題で、しばしば出てくる「水準」という用語について。

この出所は、「区」です。


たとえば、こういう使われ方(http://sankei.jp.msn.com/region/news/110906/tky11090623230018-n1.htm)。

私たちが問題にしているのは、今なんとかギリギリのところで維持されている医療圏をどのように維持していくか……の一点につきます。

バラバラなのをつなぎ、アサッテ向いてるのをグイとまっとうな方を向かせ(るように努力し)……そういう地道な作業をやっています。

「水準」というのは、どうしても議会等で出てきてしまう用語ですから使いますが、私たちにいわせれば、それは、医療圏(もちろん、医療者だけでなく、患者・住民も含む)内の配分であり、構成であり、人間関係であり、水準であり、そういうもろもろのネットワークのことです。

ですので、「水準の維持」は、こちらの理解でいえば、高レベルの贅沢な医療がどうのこうのではなく(今日日、「崩壊してない医療」が贅沢なのはじゅうじゅう承知しておりますが)、ネットワーク・システムの維持と読み替えていただいてかまいません。

元ライダー元ライダー 2011/12/17 11:53 Sakino 様
>いわゆる「50億問題」ですが、区が必死で隠蔽しようとしてきたこの問題を表面に出したのも、私達です。

そうですか。それではお尋ねしますが、この50億円は寄付金なのですか?それとも保証金の意味を含んだお金なのですか?50億円の経緯を記した何らかの公文書はありましたか?そのあたりで区と日大の認識に食い違いがあるように思いますが、食い違いが生じた原因は何だと考えていますか?外野としては興味あるところです。
また、住民にとっても、過去の経緯によって、どこ(区、大学、振興協会)にどのような役割を求めるかが違ってくるかと思います。「○○という経緯があったから、□□という部分は△△に責任を果たして欲しい」とか。そこが見えなければ、この騒動に関して外野が評価するのは難しいですね。

SakinoSakino 2011/12/17 19:52 >この50億円は寄付金なのですか?それとも保証金の意味を含んだお金なのですか?
 寄付金ということはないと思いますよ。「保証金」というのは、ことばの定義が双方によって異なるところだと思いますが、現在、不動産屋さんにいって賃借物件を借りようという場合のような「保証金」でないことは、双方とも認めるところでしょう。
 経緯については、現在、もっともまとまっているのは、このエントリーの典拠の一つである区議さんの文章だと思います。公文書というところでは、議会の議事録に点々と残っています。まもなく、現時点で日大と区の間に結ばれたままになっている契約をめぐって議論が始まるはずだと思います。このいわゆる「50億円問題」は、日大と練馬区の交渉において、喉に刺さった骨のようなものですが、50億円というお金の問題というよりは、順天堂の誘致に際しての経緯ともども、両者の意思疎通の問題だと理解しています。

>住民にとっても、過去の経緯によって、どこ(区、大学、振興協会)にどのような役割を求めるかが違ってくるかと思います。

  これはどうでしょうか。過去の経緯というところでは、なんといっても、日大光が丘病院が、日大板橋本院とともにこの地域ではたしてこられた実績でしょう。そして、練馬区の場合には、「経緯」以前に、医療行政をどのように担うのかという行政としての役割という問題があります。(もちろん、そのうえで、過去・現在・未来にわたってそうした役割に照らして、これまでがどうだったかというところが問われるものと思いますし、それも経緯といってしまえばそれまでですが)。
  医療圏は何十年もかかって、相互に分担しながらできあがってきているものです。また、医療というのは継続が基本です。その余地があるのですから(日大側は存続の余地を残していると思います…その理解の正否は別途議論が必要かもしれませんが)、シミュレーションも検討も行わずの珍妙な実験を強行するのでなく、まずは、そうした体制が継続できるよう全力を尽くすのが本筋でしょう。
  地域医療振興協会は、まずは、実情を直視すべきです。年が明ければあと、3ヶ月です。「もし」の議論をしている時期ではありません。土地・建物無料という条件での「公募」なのですから、その公募条件を満たせないなら、率直にその事実を認めること。「努力します」「きちんとやります」などと12月後半にもなって病院長公表できず、医師がいないがために日大側と引継ぎの折衝にすら入れず、看護師も集まらずという状況で、4月までにはなんとかなるかもしれませんなどと言っている時期ではありません。日大がまだ平常の診療をつづけている現時点で(病床稼働率は9割近くと聴いています)、無理なら無理と認めて、区に日大と再折衝するよう促すべきと思います。
 詳しくは、http://www.geocities.jp/kuminnokai/TOP.html をどうぞ。

ママサンママサン 2011/12/23 17:58 >元ライダーさま

>それではお尋ねしますが、この50億円は寄付金なのですか?

いえ。保証金です。民間会計準則に従っての練馬区の貸借対照表上では負債項目に入ってます。というか、ずっとあいまいに処理してきたことが民間会計原則を当てはめよって言われてやったら、間違いなく負債項目に入ると、議会で答弁している。
詳しくは、練馬区議の池尻さんのブログをお読みください。
http://ikejiri.exblog.jp/17335505/

つまり、寄付か寄付ではないかについては、練馬区も議会で寄付ではなく負債であると認識している。それが大前提。
でも、練馬区は現在の契約が終了した後も、日大がいるんなら保証金は返す必要ないでしょ、と議会で言った。
日大の貸借対照表では、資産に計上されている50億円です。それが無利息で既に20年。さらに今後、光が丘で病院やっている限り練馬区はそのまんま絶対に返さん、と言い放った、ってことです。
つまり、30年満期での再契約交渉となったときも同じ論理でくるよねと、相手が堂々と議会答弁しちゃったんだからわかったんですよ。

>まもなく、現時点で日大と区の間に結ばれたままになっている契約をめぐって議論が
>始まるはずだと思います。

いえ。3年前から始まっていたんです。既に。
で、練馬区は返さん!
の結果です。

日大としては、これまで税務申告のたびに出してきた貸借対照表をどうしたらよろしいのかという重大な問題を抱え込むことになる。債務者が逃亡したという「不良債権」処理は、練馬区が存在する限りできないわけで。

>順天堂の誘致に際しての経緯ともども、両者の意思疎通の問題だと理解しています。

一度釣った魚に二度とはえさを与えない・・・が練馬区では。
企業会計準則すら知らないわけですから。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/24 08:12 あらま。保証金か、やっぱ。

...何か、練馬区自体も色々と危ない気がしてきた。

元ライダー元ライダー 2011/12/25 09:28 ママサン 2011/12/23 17:58 さま

池尻区議ブログの50億円問題連載を読みました。そこで練馬区が50億円を(現時点では)債務と認識していることが確認できました。その50億円を保証金と記した練馬区と日本大学が交わした基本協定書の存在も確認しました。保証金であるならば、来年4月以降も、この50億円の返還をめぐって、日大と練馬区のバトルは続くでしょうね。

ただ、そうなると11/25付日大医学同窓新聞記事に謎が生じます。「本来、本学が融通した50億円は、契約のきっかけになったとはいえ、契約そのものとは関係がない。ところが、それを保証金と表現して契約を締結したのである」とありますが、それでは、日大が融通した50億円を日大はどういう性質のお金と認識していたのでしょうか。
また、記事終盤の「ひとえに、練馬区が「いずれ50億円は返還すべきものと認識している」と言えるかどうかにかかっている」ですが、議事録からは2009年9月29日の決算特別委員会で50億円を負債として計上、つまり返還する可能性がゼロで無いものと表現していますから、ここは片山医学部長の誤認ですね。

病院は平成17年度以降、毎年5億円前後の赤字だったとのことですが、その額は民間法人が社会貢献として出費する額を大きく超えているという認識が練馬区にあれば事態はここに至らなかったのではないかというのが池尻区議ブログを読んでの私の感想です。

2011-12-15 プロの生保

周期的に話題に出てくる生活保護(生保)問題ですが、小児科に関してはと言うか、私が扱う範囲では後で書類を書くのが面倒ぐらいのものです。小児医療では相手が生保であろうと、なんであろうと「早く治したい」が共通認識項目であり、少なくとも医療を行なう上ではさしたる問題を感じた事は殆んどありません。

私は小児科医なんですが、ある時期に内科をやる羽目になったことがあります。病院の事情で本職の内科を病棟付きで1人で任せられた状態です。内科の後継を見つけ出すまでの「つなぎ」と言う約束のはずでしたが、内科医の後継を見つけるのは難航し、思わぬ期間をやらされたと言うところです。小児科と内科は重なる部分もありますが、重ならない部分も少なくなく、長期化に連れ勉強が必要になったのは間違いありません。

当時は開業なんて考えていなかったのですが、今となってはあの時に泥縄式でも内科知識の裾野を広げておいたのは結果的には良かったとは思っていますが、やっている間は大変でした。教科書的な知識だけで相談相手もなしに手探りで診療するのは冷や汗モノと言うところです。そんなにレベルの高い医療でなくて良かったと思っています。


その内科をやっていた病院ですが、土地柄ですが生保患者の比率が高いところでした。ひょいと並んでいるカルテ(紙カルテです)を見ると、ほとんど生保みたいな状態が珍しくもないと言えば良いでしょうか。もちろん全体数から言えば生保でない患者の方が多いはずなのですが、やたらと目に付くぐらいはおられたのは間違いありません。

内科と小児科の医療は様々な相違点があるのですが、町医者レベルで言えば慢性疾患の比率が全然違うのは挙げても良いかと思います。小児科なら慢性と言っても、アトピーとか喘息のようなアレルギー疾患が中心になります。もちろんもっと手強い慢性疾患もありますが、小児科の場合はそのクラスは病院フォローになるか、開業医でもとくにサブスペを掲げるところの患者になります。一方で内科はいわゆる成人病が中心になってきます。糖尿病とか、高血圧とかです。


話を生保に戻さないといけないのですが、生保患者でも糖尿病や高血圧ももちろんおられますが、非常に目に付いたのは精神系の疾患です。私は前任の内科医が急遽退職した後任でしたから、既についている診断名を眺めるばかりでしたが、心身症とか、自律神経失調症鬱病とかの類がとにかく多かったのを覚えています。何が言いたいかですが、見た目はどうみても元気な者がどうにも多いです。

もちろん心の病ですから見た目で判断してはならないのですが、根が小児科医ですから「なんとか治したい」と素朴に思ったりしていました。とは言え、「なんちゃって内科医」に過ぎない程度の技量では、前任(いや前々任、いやいや前々々任から)の本職内科医でも治せなかった病気は手強いのは間違いありません。

内科担当が長期化しそうな情勢になった時点で、拙いなりになんとかしようとした頃に気が付いた事があります。心の病系の患者でも非生保の患者は「なんとかしたい」の要求が確実にありました。少しでも状態の良い時には仕事にもつき、仕事に付いたら受診が遠のき、また病気が悪化して受診するみたいな繰り返しです。こちらもやる気はあっても知識も経験も乏しい分野だけにまさに切歯扼腕状態です。

一方で生保患者のある一群は治る気が非常に乏しいと言う事です。治る気が乏しい代わりに受診は非常に熱心です。定期的に確実に受診し、ちゃんと症状を説明してくれます。しかし症状に関しては全く変わりません。変わりませんと言うか、ある一定以上は絶対に良くならないです。どうしてだろうと悩んでいたら、ベテラン看護師がサラッと説明してくれました。

    彼らは病気である事、定期的にキチンと受診する事が仕事のすべてである

つまり病気で仕事に就けない証明を病院に求めに来るだけで、病気でもなんでもないと言う事です。すべては生保資格の維持のためのお仕事であると言う事です。聞いた瞬間にすべてを理解したと同時に大きな落胆を味わいました。


今から思い出してもプロとはああなのかと感心するぐらいの方々でした。心の病は本人以外は証明しようがありません。本人がそう主張する限り延々と心の病です。普通はそういう状態のままでは仕事が出来ない、食って行けないから治そうと努力する関係にあるのですが、心の病である事で生活できるとなれば状況が一変します。

彼らがプロであると痛感するのは医師には非常に対応が丁重である事です。しばしば生保患者は診察室で横暴になる事もよく聞きますが、プロとなると医師との関係を良好に保つ事がいかに重要であるか熟知していると言えば良いのでしょうか。医師の機嫌を損ねても彼らには何のメリットも無く、むしろ良好にする事によりメリットを引き出す事に努力を傾注させます。

おおよそ1ヶ月に1回程度の定期受診になる事が多かったと記憶していますが、その時には1ヶ月間の症状の変化についてキチンと説明されます。それだけでなく、定期受診以外にも「調子が悪い」との受診を挟みます。さらには、これも重要なポイントですが、入院治療も要求されます。調子が悪くてとても家ではいられないの強烈な訴えです。


この入院治療も見事なプロの技が展開されます。決して29日を超えての入院は行いません。29日目が来ると「良くなった」と何があっても退院されます。そうしておいて、数日すれば「やはりダメだった」として入院してきます。

何故にこんなに面倒な事をするのだろうと不思議だったのですが、これもベテラン看護師が解説してくれました。生保の入院は1ヶ月未満なら短期入院で生活費と入院費用が支給されるが、1ヶ月を超えると長期入院と見なされ生活費の支給が打ち切られるそうです。だから29日目には絶対に退院するとの事です。

入院する事により病気で働けないの証拠の補強になりますし、入院中は食事代モロモロが浮きますから小遣いも残ります。一石二鳥なんですが、実はこれが一石三鳥であり、三鳥目は途轍もなく大きなものがあります。退院すると何通もの入院保険の証明書が回ってきます。3通、4通はザラです。


入院保険のカラクリもベテラン看護師から聞いて納得したのですが、プロは生保が家業ですから一族生保状態です。そこでプロのプロたる所以は一族の中に生保じゃない人を作っておくのだそうです。生保状態では入院保険は掛けられませんが、生保でない人が生保の人に保険を掛けるのは問題ないそうです。病気で生保になっているので保険料は上がると思いますが、いくら高い掛け金でも確実に大きなリターンがあると言う事です。

もっとも15年ぐらい前の手法なので現在でも使われているかどうかは不明ですが、断続的であっても延べ3ヶ月ぐらい入院となれば相当な金額を手に入れることが可能です。どれぐらいか試算してみれば宜しいかと思います。


考えてみれば私は良いカモであったように思っています。本職の内科、とくに精神関係の専門家ではありませんから、赤子の手を捻るようなものだったのでしょう。ですから幾ら言っても専門科への受診はやんわり断られました。「ここが私に合っている」は偽らざる本音だった様に思います。もっとも私の歴代の前任者でもどうしようもなかったのですから、致し方なかったと慰めています。相手は筋金入りのプロだからです。

もちろん生保の方の全員がプロではありません。本当に困って生活保護を受けられている人が多数であると信じています。たまたまかもしれませんが、なんちゃって内科医時代はプロの方が「多いなぁ」と感じた次第です。きっと彼らはどんなに生保の制度を厳格化しても生き残ると思っています。そりゃ家業としての生保ですから、情報収集は熱心ですしネットワークもあるようです。プロとして迅速かつ的確に対応される事でしょう。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/15 08:39 医師は患者を選ぶことできませんからねえ。
結構、やっかいな問題ですね。医師が連帯するしかないのかな?

浪速の勤務医浪速の勤務医 2011/12/15 08:53 彼らは独自の口コミネットワークを持っておられます。
最初が肝心でダメなものはダメと毅然とした態度を一貫して保ってないと
「あの医者は甘い」と判断されたら、似たような方がわんさか来られて
外来の雰囲気が一変して、非・生保の患者さんが激減ってなことがよくありますな。

タカ派の麻酔科医タカ派の麻酔科医 2011/12/15 08:56  慢性期療養型の病院にとっては、生保は上客。急性期病院にとっては、悩みの種。

某血液内科某血液内科 2011/12/15 09:48 入院の話は現在も有効です。
白血病でケモしている人でも何が何でも1ヶ月経つ前に退院していきました。
面倒なことこの上ありません。CV入れたりするのを入院当日して、翌日からケモ開始とか、もうね…。

ただ、入院保険の証明書は現在は通用しない話だと思います。保険の証明書書いたら、役場に通報すれば召し上げになります。

BugsyBugsy 2011/12/15 10:43 先日の震災で東北地方では被災者の方達からの生保の申請が鰻登りと聞き 胸が痛みます。

これとは別に都内でも生保を受ける人間が増えているようで 外来でも多くなったという実感がします。実に申請書類について詳しいです。やはりプロなんでしょう。自治体によっては通院のタクシー代を援助しています。
生保は恥ずかしいという感覚が薄れてきているのかもしれません。それが比較的若い世代に顕著なようです。オイラの居住地域は戦前からの住宅地です。昔はすねかじりと呼ばれたのに 今では年取ったおぼっちゃま。親の健康保険の家族あつかい。皆親の持ち家に住んで、永遠に夢見る若者で無職。小遣いは当然親が出す。そういった仲間が多く、皆でつるんでは勤務医のオイラが行くのもはばかられる高級すし屋の常連。育ちが良いから 皆身奇麗でオシャレ、かつグルメ。
ところが親が死んだ途端に 自分で国民健康保険を身銭を切って入ることができないんですな。それで次から次へと生保に入る。昔フリーターってせいぜい20台の社会人予備軍だと思っていたら 今じゃ40台がごろごろいます。永遠の予備軍。
自称俳優や芸術家が昼間から酒飲んでますよ。そろいもそろって生保が多いですな。それでいてプライドだけはやたら高く 悲壮感のかけらもありません。

元ライダー元ライダー 2011/12/15 11:56 私、内科医ですから、このような方々は散々見てきました。「バッサリ、生保を打ち切るべき」と考えていたこともあります。生保打ち切りの結果、元受給者がどうなっても一切責任を負わない裁判官レベルの免責を与えた生保委員会でバッサリ打ち切る方法が仮にあったとします。その結果どうなるか考えてみると、元プロ生保が社会のあちこち(しぶしぶ就いた職場等)で今以上の摩擦を起こし、かえって社会の不利益が大きくなるような気がします。就職すれば必ず職場でトラブルを起こし、かと言って強力な監視の付いた強制労働といえば刑務所しかない社会で、このような方々をどのように扱えばいいのでしょうか。国がこういう方々の給与を全額補助するとしても、皆様の勤務先で雇えますか?このような方々は、プロ生保を生業にするしか現代日本社会に適合できない方々ではないでしょうか。
しかし、これは日本社会だから言えることであって、例えば北朝鮮のような管理が行われている社会であれば、こういう方々もプロ生保を生業にせずとも、摩擦を起こさず社会に適合できるような気がします(強制的にですが)。つまり、生保制度だけ変更しても問題は解決できず、人権とか、そういう社会の考え方の基本を変えるくらいでないと難しい話ではないかと。それができないのであれば歩留まりとして許容するしか・・・(あくまでも生保一般でなく、プロ生保の話ですよ)

それでも当院個別の問題となれば別です。当院の雰囲気を悪くする方々は、二度と来院しないように誘導しています。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/15 13:10 難しいよねえ。
実際、障害者とか、闘病者とか、本当に保護すべき層もあるしねえ。
何か、方式か、運用で何か方法...あったら、今頃解決、してますよね。

今のところは対処療法しかないのかもね。

YosyanYosyan 2011/12/15 13:13 >浪速の勤務医様

場末の小病院的な性格もあったところで、おそらく歴代の内科医も手を焼いたと言うか、売り上げ問題で引きずり込んでいたようにも今は思っています。後で聞いた話ですが、とくに初代の内科医が積極的に取り込んで利用した武勇譚が残されており、以後の歴代内科医にはお荷物になっていたような気がします。ま、外来受診も入院も取りっぱぐれはないですからね。

個人的には医療と言うか生保制度の光と影を垣間見させて頂いて、社会勉強になったとは思っています。


>元ライダー様

プロは本当に煮ても焼いても食えないところがありますから、小手先の制度改正でたとえ追い出しても、それで「正業」に勤しんでくれるとは思いにくいところがあります。ある意味社会的不適格者になるのかもしれません。こういうプロを世に放っても害悪の方が多いと言う御指摘はもっともですが、なんとなく複雑です。正論だけではどうしようもない問題の一つの様に感じています。

匿名希・望匿名希・望 2011/12/15 13:37 何かヤクザを壊滅させたら、無軌道なDQNが街に溢れるみたいな話だなぁ。

そもそも、生保なんて羨ましくなくなる程、底辺労働者の待遇が改善されれば社会的な不満はかなり無くなるとは思いますが。
#医療需要抑制の観点からは別としても

今も昔も、公務員の待遇はさして変わってない筈ですが、バブルの頃に公務員叩きのネタに給与が挙がった事なんて無かったと記憶してます。

BugsyBugsy 2011/12/15 13:56 つい最近 大学初任給より手取り金額は高くなったという生保の受給金ですからね。

少なくとも医療費が減免という点から 若いうちから家族が病気なら生保だろって真顔で言う奴います。地方だと極端に求人が少なくて、勤める事ができても社保や税金を引かれて手取りだと10万円台前半が殆どです。しかも常勤の雇用は極めて少ない。住宅だって生保の方が安い公営住宅に優先されるし。
若い世代がどっと生保になだれ込みそうです。無論窓口で相当弾いてはいるようですが。

nomnomnomnom 2011/12/15 20:00  舛添さんが発言して問題になった、「生活保護受給者にはジェネリックを」との意見がありましたが、厚労省も,舛添さんもどうかと思うことも多々ありますが,この意見には賛成でした。ただ、一部で「ジェネリックを強要するのは,人権問題だ」なんかの意見が出て引き気味になっちゃって今でも表立っていえないのはおかしな話ですよね。別に薬出すな、とか医療受けるなっていってるわけじゃないのだから。また厚生省自ら「ジェネリックと先発品は同等。」っていってるのに矛盾しませんか?
 車しか交通手段がない地域では,生保でも車持てるように認めろとの意見もありましたが,確かにそういう地域もあるでしょうから、絶対車もつなとはいいませんが、高級車だったり,維持費にかねかかる車だったらさすがにおかしいと思いますよね。同じことだと思うのですが。

 あと、震災で避難所にいた人が、仮払金や,義援金をもらったら生活保護打ち切られてかわいそう、みたいなニュアンスでマスコミ等で語られ,そう主張してる人もいましたが,よく考えてみると,生活保護でない人でも,震災で資産失ったり,仕事がなくなって収入がなくなった人は沢山いたわけで、避難所で最低限の生活は維持されていることもかんがえると、逆に生活保護もらっていない人から見ると、もし生活保護の人のみ収入保証されるのなら,そっちの方が理不尽な気がしますけど。

kittenkitten 2011/12/15 20:24  調剤薬局勤務の薬剤師、kittenと申します。

「生活保護受給者にはジェネリックを」というのは、今回の改訂でも言われそうですが、
前回とはかなり周りの状況が変わっているので、どうでしょうか?
 前回は、ジェネリックに変更する人の方が少ない状況でしたが、
その後、薬局でジェネリックに変更する人もかなり多くなってきています。
その中で、生保の方はほとんどの方が薬局では先発品を希望されます。
 自己負担金がタダなら、先発の方がいいに決まってます。

 今までジェネリックを希望されていた患者さんが、生保になったとたん
「先発に変えてくれ」と言われますね。(苦笑)その逆もあります。
中には、「税金がもったいないからジェネリックで」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、
まぁ少数派です。

 多くの人が医療費を気にしてジェネリックに変更している中で、
生保の方だけがブランドものの先発を使い続けるのは、もはや国民感情からしても
許されなくなっているのではないか、と思います。

あいちゃんあいちゃん 2011/12/15 20:37 ベーシックインカムは、だめかしら?

匿名希・望匿名希・望 2011/12/15 22:17 ・BI

ダメじゃないですか?
子供手当すらバラマキ批判される日本じゃ政治的合意は無理でしょう。
#制度としての当否とは関係無く

官僚も新ポストや天下り先が作れない、単純直接給付には積極的になる動機は無いのでは?
適正化事業として新しい監査団体(新部署か、天下り先になるかは知りませんが)を作るのが一番ありそうですね。

nomnomnomnom 2011/12/15 22:30 プロ生保とは違いますが、国民年金毎月14000円ちょっと納めて、フルに40年で、月に7万円弱。これだったら年金もらえないの覚悟で、年金払わずに、年取って収入なくなったら生保なんて考える人もでてくる可能性大。モラルハザードですね。

通りすがり通りすがり 2011/12/16 09:28 精神科医ですが、生活保護受給者にはそれほど困っていません。
生活保護受給者の対応で一番役に立つのは、市役所の生活保護担当者と密に連絡を取ることかなと思います。不正受給の可能性があれば
「睡眠薬を処方しているのに車の運転をやめようとしない。そちらからも注意して欲しい」
「生命保険の診断書の料金は生活保護費から出ますか?」
のような「ほうれんそう」をしております。

あと、専門外の治療をするのは避けた方がよさそうです。つけ込まれるもとになります。

none_2217none_2217 2011/12/16 21:33 自身の経験から言わせてもらえば、案外そういう人たちは発達障害とか人格障害で健常者以上にストレスを感じやすいように思います
その手の人たちがどういう経緯でそうなったかは知りませんが、職場でうまくやれず、脱落。精神的な病気をきっかけに生活保護を受ける。離脱しようと思えばできるけど、ものすごくストレスがたまるし、楽しくもなんともない。おまけに賃金も生活保護と大差ない。それなら、生活保護を受けようとなっても不思議はないと思います

http://megalodon.jp/2010-0822-1815-45/plaza.rakuten.co.jp/sayama/
香月佐山徒然草

現実にこういうパターンで生活保護を受けている人もいるようです
(この人の場合は専門の医師が働けないという診断を下してますが)

skyteamskyteam 2011/12/19 00:29  いずれ、プロにはプロ用ツールが出来ます。要は「チェック機構」。そしていずれ生ぽ様がたよりにしている国がもたなくなるでしょう。毎年の税収の中でやりくりできなくなっているので。そういう意味では自分で自分のクビを占めている訳で、放置です。とりっぱぐれないからとそればっかりで食って行けるのは今の内。最初から生ぽ専用の病院はいずれ消えますし、そういった人たちのメリットだけが特権のように残ることはいずれなくなるでしょう。自己負担の導入はいずれ視野に入ってくるのは見えています。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/19 13:35 議論が落ち着いてきたようなので、統計的に真の生活保護の状態を分析した記事でも。

ま、こんな感じだろうと、思いますよ。実態は。
> 生活保護の急増は本当に“不正受給”が原因か?
> 蔓延する「受給者悪玉論」の死角と真に論ずべき課題
> http://diamond.jp/articles/-/15267

2011-12-14 某教授訓告余波

某教授の訓告とは震災以来積極的な発言でとくにネット界でオピニオン・リーダー的な位置にいた某教授が、その発言内容と言うより、その表現方法に問題ありとして度重なる注意の後に大学から訓告処分を受け、さらに非公開であった訓告処分を受けた事を自ら公表したお話です。どうも某教授支持派というか、シンパの方は多いようで、訓告処分の是非についてあれこれ論議が賑わっていました。

ところで最近の私のミニ・シリーズで、

これは最後のお話のためにその前の2話が前フリと言う形態になっています。実際は結論となる3つ目の構想がまとまりきらず、とりあえず前フリとして2話目的な話を考え、そのなかの例外例に近い「非常時に便乗する人」の話が膨らんで、前フリの前フリとしてまず挙げています。それでもって時期的に微妙ですが、1話目は某教授訓告の前に挙げています。某教授の訓告のお話が「非常時に便乗する人」の直後に出て私が驚いたぐらいです。

ただ非常に近い時期であったので、私のエントリーと某教授訓告の話を関連づけて引用される方もおられました。ま、内容的に合うと言えば合います。その程度は別になんという事はありません。そういう関連で某所(フェースブックらしい)にも私のエントリーが紹介されていたそうです。私はフェースブックをやってませんから、どういう形態で紹介されていたかは不明です。

ところがそれは削除されたそうです。どういうシステムで削除が行われるかよく分からないのですが、とにかく削除されたそうです。理由は不明ですが、読みようによっては某教授を猛烈に皮肉っていると受け取られる方がおられても不思議ないとは思います。そういう方々が不快と感じて削除要請が出されたんじゃないかと推測されています。

その程度の事は気に障る事でもないのですが、別の意味の興味だけ私にかきたててくれました。


ごく自然に考えて削除要請を出されたのは某教授シンパの方であろうは推測以前の問題です。状況的に他の方々及びそのシンパの方がそこまで能動的になる動機が無いからです。シンパならばそれぐらいの支援活動を行なわれても理解の範囲ですが、一方で某教授の支援の大義はなんだったけ? と言うところに行き着きます。

某教授についてはあんまり興味も関心もないのですが、問題になったのはとくに表現方法でヘイトスピーチとか言われるようなものだそうです。どんな内容か知りたい人がおられるなら、wikiとしてまとめられているのがありますから、興味があればお読み下さい。

某教授シンパの方々の主張の基本は、こういう表現法による発言を容認すべしです。人には様々な考え方がありますから、そういう意見もあっても良いとは思います。ここで大学は学問の府であり、学問の自由、言論の自由に話題を拡散させる論法が多かったですが、話を単純化して某教授シンパの方の基本主張は某教授発言の容認であるとしているとして良いかと思っています。

容認するしないは立場や考え方で変わりますし、容認する主張自体はそれこそ言論の自由の範疇に入ります。ですから容認主張の存在自体は問題としません。ただなんでも基準と言うのがあります。某教授の表現・発言が容認されるのなら、当然ですが某教授基準の類似の発言は容認される必要が出てきます。まさか容認派の主張は、某教授だけの特例として容認の主張とは思えないからです。

一般論として某教授基準の表現発言は「容認される」でないと話の辻褄が合わなくなります。でもって、私のエントリーは某教授基準でも容認されないと認定されたようです。えらい長い解説でしたが、面白味がわかって頂けたでしょうか。


もちろんフェースブックに削除要請を出したのが某教授シンパである確証はありませんし、削除理由もまったく別の理由であったかもしれません。さらには仮に某教授シンパであっても考え方は様々でしょうから、総意の認定ではないとも言えますが、論理の遊びとして楽しめるエピソードになりました。エントリーの埋め草が出来た事に感謝しても良いかもしれません。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/14 07:47 > 一般論として某教授基準の表現発言は容認されるでないと話の辻褄が合わなくなります。でもって、私のエントリーは某教授基準でも容認されないと認定されたようです。

彼は表現の自由、と言ってましたので、もし、本人の論理を直接適用すると、「ダブルスタンダード」って事になりますね。


ちなみに、彼を取り上げた、私のブログのエントリーはこちら。
> http://d.hatena.ne.jp/luckdragon2009/20111209/1323385126
> 説得を勘違い? 他人を批判しても、相手が従うわけではない。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/14 07:59 フェースブックに参加していないので状況がよくわかりませんが
全員が実名を知っている状況でYosyan様の某教授とされる文化的背景?を
興味深く思いました。

映画:ソーシャルネットワークは見ました。
http://bd-dvd.sonypictures.jp/thesocialnetwork/

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/14 08:01 ちなみに、規則上の訓告規定。

> 国立大学法人群馬大学教職員就業規則
> http://www.h6.dion.ne.jp/~uni-uni/shu-ki/Gunma-u/Gunma-u%20shu-ki.pdf

> (訓告等)
> 第46条非違の行為を犯した教職員又はその監督者で懲戒に該当するにいたらないものに対して,注意を喚起し,訓告,厳重注意又は注意を行うことができる。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/14 08:07 あと、記者会見に際して、休暇中の教職員の大学構内の施設使用には、大学当局の許可が要る模様で、それに反して、本人が強行した模様です。

許可のごたごたはよく分かりませんが、私のフォロアーの方が群馬大に直接確認したところ、ご本人が大学の制止を振り切って、開催したようでした。

10年ドロッポ10年ドロッポ 2011/12/14 09:27 >wiki

…なんだか物凄く私と気が合いそうな方ですが私と気が合うようなのが大学教授ってのはマズイんじゃないかなあw

BugsyBugsy 2011/12/14 12:09 こんな教授って医学部だけじゃなかったんですね。
「人間には患者と医師の2種類しかおらんのじゃ。知っとるかね、君!」とか
「おい神の手で酒をついでやるぞ、おりゃー」なんてね いう教授います。

学内でほざいてりゃ良かったんですよ。なまじ本音を外部に発信したのがアホでした。

麻酔科医麻酔科医 2011/12/14 19:16 >なまじ本音を外部に発信したのがアホでした。
けっこう初期のころから、地図を参考にして、我が家は農産物を購入していて、文部省の航空機での汚染地図との一致にちょっと驚いていたところです。ま、シミュレーションすればわかるのに、福島県も国も公開しませんでしたからね、SPEEDI。教授を利用して、事実を小出しして、汚染地図のインパクトを和らげるのに利用されたんじゃないかとすら思いました。で、パールハーバーというタイトルで、今回の「暴言」新聞報道記事を特集しているのが、ちょっとお茶目。

卵の名無し卵の名無し 2011/12/15 05:50 東電福島第一原発事故由来の放射性核物質によって森永砒素ミルク事件以上の巨大なミルク汚染事件が起こっているのに、ここは子供の健康に無関係な一地方大教授の放言揚げですか。
事故以降に放射能基準値を泥縄式に変更して全国民に大量に被曝させた肛漏省のバカ役人テロリストの重大な刑事責任に比べれば、この程度の放言風評被害でもなんでもないくだらないマスゴミ自作自演スピンでしょ。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/15 07:07 素人なので何を信じていいかわからないのですが・・・
ブロクの地図から判断しても
http://kipuka.blog70.fc2.com/

次の原発事故、その他の原爆等の対応にあたっては、まず第1選択として
(特に初期には)米軍の避難勧告に従うべきと思いました。

元法学部生元法学部生 2011/12/15 11:55 ま、この2つにはあえて反論しておきましょう。

1.
フォローアップミルク粉体1kgに含まれるカリウムは6〜8g
カリウム1gあたりの放射性は31Bq前後ですから、そもそもフォローアップミルクそのものが1kgあたり180Bqを下らない放射性があるわけです。
その影響を排除してきちんと(最大で)1Kg当たり30・8Bqの放射性セシウムを検出した精度には感心しますが。
セシウムとカリウムは違うという信念をお持ちの方は手に負えないのでどうぞご勝手に。

2.
米軍は横須賀基地の家族にも国外への移動を勧告してますが、そのレベルで移動するってことですかね?
まあ、それは個人の自由ですが。

元々花崗岩系の岩盤が分厚い関東ローム層で遮蔽されずに地表付近まで及んでいるような危険な土地に平気で住む西日本在住の人に言われたくない気がします。(これはヘイトスピーチの例)

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/18 04:56 元法学部生様

>米軍は横須賀基地の家族にも国外への移動を勧告してますが、そのレベルで移動するってことですかね?

この情報は知らなかったので勉強になりました。ありがとうございます。

masanori-asamimasanori-asami 2011/12/18 17:22 「毒を口に入れられてはたまらない。殺される前に殺す。」とまで言って福島県の中通り地方の農家を叩いた「教授」早川由紀夫ですが、以前から彼を知らない人にとっては意外かもしれませんが、実は早川由紀夫は本格的な東電批判をしていません。それどころか東電の免責すら匂わせているのです。

では、放射能の危険性を強調する過激な学説を信奉していたのかというと、答えは「ノー」です。放射性セシウムの致死量をセシウム15億ベクレル・預託実効線量20シーベルト(2万ミリシーベルト)として訓告処分後に少し変な計算方法ですがLNT仮説的な計算をしています。

(togetter)[ ことし福島で生産されたコメを全部食うと何人死ぬか ]
http://togetter.com/li/227633
>セシウム15億ベクレルで成人ひとり死ぬリスク。そして、たぶん100人程度が病気になる。


しかし、タバコ屋やケーキ屋やマクドナルド叩きはしていません。

そして、教育学部の教授なのに「ばかなやつのこどもが放射能浴びて、その家系が途絶える。冷酷な自然の摂理だ。」とか「毒を口に入れられてはたまらない。殺される前に殺す。」とか「私は、ちゅうちょすることなく相手を殺します。」と最初の口頭注意後にも発言したのに、戒告や減給のような懲戒処分ではなく軽い訓告処分を群馬大学当局がアリバイ的に出した直後に、訓告処分を過大に宣伝して危機感を演出し早川由紀夫の研究に対して大学へ寄付するよう何度も発言してます。そして、その寄付の取りまとめをしてるのが電力業界関係者なのです。

詳細は下記の私のHP記事を御覧ください。(作成途中です)

[ デタラメを発表し、東電免責を匂わし、教育学部構内で凶器披露した「教授」早川由紀夫 ]
http://masanori-asami-hp.web.infoseek.co.jp/Fukushima1NPP/Hayakawa.htm

masanori-asamimasanori-asami 2011/12/19 23:58 2011/12/18 17:22投稿の修正

(修正前)
>その寄付の取りまとめをしてるのが電力業界関係者なのです。


(修正後)
その寄付の呼びかけをしてる者が電力業界関係者の疑いがあるのです。
*****
下記の中村友一氏より御異議のメールを受けたため修正します。

(技術コンサルタント:中村 友一氏のブログ「日々の雑多な事」)
http://techpr.cocolog-nifty.com/nakamura/2011/12/post-8458.html
>群馬大学教授・早川由紀夫氏を支援したいなら大学や学長には一切抗議せず
>「群馬大学研究・産学連携戦略推進機構」に早川マップへ感謝の言葉を添えて寄付金を申し込め!


(同上・プロフィール)
http://techpr.cocolog-nifty.com/about.html

(有限会社テックピーアールHP)
http://www.techpr.jp/
>業務内容のご案内
>・・・・・(中略)・・・・・
>洋上浮体のシステム開発検証


( wikipedia「浮体式洋上風力発電」参照。)
http://ja.wikipedia.org/wiki/浮体式洋上風力発電

(技術コンサルタント:中村 友一氏のブログ「早川由紀夫氏は電力業界と関係あるの?」)
http://techpr.cocolog-nifty.com/nakamura/2011/12/post-5775.html

techprtechpr 2011/12/21 23:10 当事者の中村 友一ですが電力業界との関係ありません。「電力業界関係者の疑いがあるのです」は事実無根のデタラメです。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20111214

2011-12-13 ブログのこれから

私の理解している範囲でネットでの意見表明ツールの登場順は、

    BBS、HP → ブログ → SNS → ツイッター → フェースブック

実際の起源論はまた別にあると思いますが、おおよそメジャーになった順はこんなものだと考えています。どの方式も今でも健在ですが、基本はBBSにあるように思っています。BBSの欠点と言うか弱点は2chを見れば判るような気がしています。弱点と言っても2ch特有の表現の強さではなく、BBS方式で起こる話題の拡散です。

あれだけ自由気ままと言うか、放埓な発言が跋扈する2chですが、あそこにも鉄のルールがあります。いわゆるスレ違い、板違いです。これについての適用は厳格で、破るものは速やかに寄って高って放逐されます。その代わりに無数とも言える板やスレがあるわけです。これは逆に言うとBBS方式がいかに話題が拡散しやすいかの証拠になると見れます。

これに対してブログは最初にBBSのスレの主旨を明記したようなものだと見ることが出来ます。主旨が明記してあるので話題の拡散防止にも有用ですし、主旨だけで従来のHPでの主張が可能になります。

ブログの基本は、HPでの意見の下にBBSをくっつけたような物だと考えています。かつてのHPにはそういう方式のものがありました。この方式の難点は、作るのが厄介な点です。昔試作した事がありますが、そういう形式のページを量産する手間にウンザリした記憶があります。BBSでも今のブログに近い形式のスタイルもありますが、自作で自分のHPに掲載するには、それなりのWeb知識が必要だったとさせて頂きます。


このブログが日本に登場普及していた時代に言われたのが「インターネット上の日記」でした。今から思えば、これはブログを普及させようとしていた人のブログへの認識がよく出ていたと思います。トラックバックシステムもそうだと思うのですが、ブログの利用法としてかなり狭い範囲のコミュニケーション・ツールを想定していた傍証になると考えています。

かなり古手のブロガーはブロゴスフィアなる言葉を使っていました。定義は幾通りかあると思いますが、初期のブログでは、そのブログが及ぼす影響範囲は狭く、その狭い範囲のブログ世界が構築される事をブロゴスフィアとしていたように理解しています。使われ方の主体として、日常の話題や趣味となり、その話題に集まる同好者グループみたいな方向性です。

狭いグループに対してのコミュニケーション・ツールですから、私もなんのためにあるのか良くわからなかったトラックバックがあり、これはあなたの意見に賛同ないし興味がありますのサインであったと理解しています。狭いコミュニケーションですから、トラックバックが来る相手もよくわかり、たとえ知らなくともトラックバックを契機にコミュニケーションの輪が広がるとでもすれば良いでしょうか。

そう考えるとSNSが登場して来たのはよくわかります。ブログは狭い範囲のコミュニケーションを目指すとする割りには発信方向がオープンです。そんなに範囲の広くないコミュニケーションならクローズにしてしまった方が使いやすいです。ま、SNSもmixiのように巨大化してしまうとオープンなのかクローズなのかの境界線が曖昧になりますが、ブログのクローズ版がSNSぐらいと理解しています。

フェースブックは参加していないので実態は良く知らないのですが、クローズのSNSのさらに実名版ぐらいに考えています。狭いコミュニケーションの行き着く先は相手の身元のより詳しい確認です。SNSも基本は匿名であるところがあり、最後の最後のところで相手確認が不確実ですが、フェースブックになるとリアルに近い形の身許確認が可能になります。狭いコミュニケーションのさらなる発展系と見ることが出来ます。



もう一つの方向性として、ブログの内容は自由だと言う点です。長文を書いてもよし、短文であってもよしです。とくに短文量産型のブログを書かれる方はかなり多かったと思っています。時事でも、日常の事でも、何かあれば短文でサッと感想を書くスタイルです。そういうスタイルの書き方の人はブログは使いにくかったかもしれません。

いつでも気の向いた時にサッと書き込める要望に特化したのがツイッターと見ています。ツイッターを「ミニブログ」「マイクロブログ」と解説しているのに違和感もあるのですが、短文形式のブログと考えれば理解出来ます。

ツイッターにはもう一つ、人を魅了する機能があります。ブログでは他者のブログを読もうとすればRSSで引っ張り込むか、相手のサイトに行く必要があります。ましてやコメントを書こうとすれば相手のブログに行かないとどうしようもありません。ツイッターは相手のツイッターをフォローするだけで自動的に自分のタイムラインに流れ込んできます。

またコメントを返すのも簡単で、自分のタイムラインから返信を書けばそれで事足ります。それより、なによりフォローしている人のツイートがどんどん流れ込んでくるので、何も書かなくとも自分のツイッターが賑わっている様に見えます。

ツイッターがブログの発展型かと言われると判断に悩むのですが、短文ブログの流れは組んでいるとは思います。ただそれだけでなく、ブログのコメ欄の相互乗り入れ、さらには短文エントリーの相互乗り入れがツイッターだと思っています。むしろBBSに近いとも言えますが、BBSの欠点であった話題の拡散性をあえて伸ばしたツールと言えるかもしれません。


この辺のツールの相関関係をあえてまとめてみると、


HP
BBS
ブログ 広い範囲に発信指向 長文 ブログのまま
短文 ツイッター
狭い範囲のコミュ指向 SNS フェースブック


需要あるところにツールの発展ありみたいな形です。ブログがかつて猫も杓子もブームになったのは、ブログには、

  1. 手軽にHP形式で意見表明が出来る
  2. BBSより話題拡散がしにくい
  3. SNS的な要素もツイッター的な要素も兼ね備えていた

自分でHPを作るのはあれで手間ですから、お手軽になんでも出来るブログにどっと流れ込んだと考えても良さそうです。現在のブログの伸び悩みと言うか衰退傾向は、かつては他にツールが無かったために取り込んでいたSNS層やツイッター層が専用ツールの誕生により離れていったと見て良いかと考えます。


ブログ後に誕生したツールは専用ツールで使いやすいというだけではなく、ブログ最大の欠点を覆い隠す特徴を備えています。上述もしていますが、短期に自分の目に見える部分に賑わいを呼び込みやすいです。BBSにもそういう面がありますが、ブログもコミュニケーションツールと言いながら、実際にコミュニケーションを広げるのは大変難しいツールです。

これはLife mediaリサーチバンクの調査結果からなんですが、


アクセス数 比率 累積比率
わからない、ほぼ0 26.3% 26.3%
1〜5程度 24.2% 50.5%
5〜10程度 11.2% 61.7%
10〜50程度 19.0% 80.7%
50〜100程度 9.0% 89.7%
100〜200程度 5.8% 95.5%
200〜500程度 3.1% 98.6%
500〜1000程度 1.0% 99.6%
1000〜2000程度 0.3% 99.9%
2000〜5000程度 0.3%
5000以上 0.1%


四捨五入の問題か、累積合計が100%を超えてしまうのは御愛嬌ですが、だいたい9割のブログがアクセス数が100以下であり、8割が50以下であり、6割が10以下であると言うのが確認できます。もう少し言えばアクセス数5以下が約半分です。この手の調査は前からありますが、傾向は大きく変わっていません。ブログを書いてもある程度の人数に読まれる様になるのは1000に3つ程度と言う事になります。

ブログと言ってもしょせんは読み物で、アクセスが増えるかどうかはその内容に依存します。簡単には読む方が「面白い」と感じてくれないと寄り付いてくれないと言う事です。ほいじゃ、面白い内容を書けば解決なんですが、どういう内容を書けば面白いと感じるかのマニュアルはありません。あればモノを書く職業の方は苦労しません。

長ければ良いと言うものでもありません。あんまり長いとページを開いただけでウンザリして閉じられます。うちも長い方の部類に入ると思うのですが、何故にこんなに長いのが読まれるのかの説明をしろと言われたら立ち往生します。ほいじゃ、短ければ良いかと言うと、短いと一瞬に読んではくれますが、短いだけに余程インパクトを与えないと、読み捨てで固定読者にまで至りません。

さらに一番大変なのは、ブログは連載形式である事です。単発で良作を書いて人気を集めても、読者は常に次を要求します。この次なんですが、水準として良作に劣らぬものを要求します。つまり常に一定水準以上のエントリーを量産できるところだけが人気ブログとして成長する事になります。そしてその確率は1000に3つ程度と言う事です。



ではではこのままブログが消えてしまうかどうかです。需要としては消えないと思いますが、問題はネット上の無料ツールとして存在するぐらいの需要が残るかどうかが鍵になりそうです。ブログは一時需要が巨大化しています。巨大化すると巨大化したサイズに合わせてブログ運用会社も大きくなります。ここで巨大化した需要が急速にダウンサイズを起こすと、それだけで経営破たんする事は多々あります。

ブログを書くだけならレンタルサーバーで自前で挙げても可能は可能ですが、そこまでの手間をかけるかと言われれば、多くの人はやらなくなります。ブログ前の時代のようなものです。

私もブロガーの端くれですから、ブログと言うツールは残って欲しいと思ってはいます。しかしこの私だってもっと便利に、私が書きたい方向性に適したツールが出現すれば移るかもしれません。かつてブログを書いていたものがSNSやツイッターに移行した様にです。

ま、そういうツールがまだまだ出現する余地が幾らでもあるのがネットの楽しさであり期待なんですが、これに関してはどちらかというとワクワクしています。

nuttycellistnuttycellist 2011/12/13 12:03 Face Bookにも最近参加してみましたが、結局クローズドのサークルですね。欧米では個人情報を結構公開しますが、日本では公開しない方が多いような気がします。内容も短い文面で、身の回りのことについてが多いようです。これに長くかかわることはなさそうだなというのが印象でした。Twitter等も、同じような印象を持っています。

ブログ・・・何か一頃の熱意は冷めかけというところでしょうか。私の場合、本当の日記になりそうな気配です。私のところは、その内、自然消滅でしょうか。英文でのブログも始めたのですが、維持が大変です。愚痴のようになってしまいましたが、熱意と内容がなくなったら、退くことですかね。

でも、若い方々には、マスコミに代わる情報源として、こうした道具を育ててもらいたいものです。

tadano--rytadano--ry 2011/12/13 12:43 結局残るのは某巨大掲示板のような気がします。

YosyanYosyan 2011/12/13 12:51 nuttycellist様

私も同じですがブログと言っても趣味でやっています。つまりは無料の情報提供です。なかには有料での情報提供を行っている方もいますが、趣味ブロガーの究極の目標が有料化であるかと言われるとちょっと違うと思っています。そういうアマチュアイズムがブログに限らないのがネット情報の一つの特徴の様に感じています。

ほいじゃ、アマチュアイズムの趣味の人の情報の質が劣るかと言うとそうとは言い切れません。もちろん玉石混交のカオスみたいなネット情報ですが、趣味の人の一点突破の能力はプロさえ凌駕します。さらに一点突破を出来る人がワンサカいるのもネットの特徴かと思っています。それぞれが一点突破できる部分は小さくともかき集めると巨大な量になるみたいな関係です。

ただ原点は趣味ですから、支えているのは熱意と言うか面白味です。趣味なんて面白いと思っているうちは熱中できますが、あきたら苦痛でしかありません。書くのが苦痛になれば自由に休めますし、路線転換も、完全にやめてしまうのもすべて自分の裁量であるのが趣味だと思っています。

とは言いながらシンドイ日もあるのですが、まだ面白味の方が私は上回っています。でも苦痛が上回るようなら、サッサとやめたいと思っています。刻苦勉励までして続けるのは趣味ではありません。周囲から刻苦勉励と見えても、趣味の面白味であれば単に熱中しているだけですが、続けるためだけに刻苦勉励なんてやってられません。

お互いに趣味として楽しむ原点を忘れない様にしたいものです。

YosyanYosyan 2011/12/13 12:57 tadano--ry様

 >結局残るのは某巨大掲示板

それも一つの見方と私も思います。後から出てきている様々なツール、もちろんブログさえBBSの変形に過ぎないとも言えるからです。BBSにも欠点、弱点はありますが、それを補って成立しているのが某巨大掲示板です。荒らしや粘着といった、他のツールがどうしても克服できない問題も、飲み込んで消化するぐらいの存在です。

某巨大掲示板だけ残るかどうかはわかりませんが、某巨大掲示板は残りそうに思います。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/13 13:47 まあ、人さえ残っていれば、ツールは何でも良いです。

これは、とっても重たいテーマのブログですが。
> http://www.unicef.org/photography/photo_week.php
(今掲載されているのも、かなり重い。)

2ch とか、巨大掲示板は、ちょっと、むき出しの言葉が刺さりすぎますので、あんまり好きではないかな?

twitter も結構すきです。
ただ、ログが残っているのが、少し嫌ですけどね。
昔の発言を掘り起こされても、忘れてたりするのが嫌なので、twilog で確認してます。

まあ、色々ありますが、人が後ろにいることさえ、忘れなければ、どこにいようと、どのツールを使おうと、やっていけそうな気がします。

ひとまず、私は、今のはてなのブログと、twitter は好きですね。

BugsyBugsy 2011/12/13 14:12 あくまで個人的感想ですが、

twitterは混んでる喫茶店での客同士の会話が聞こえているような感じがします。面白い話が後ろから聞こえてきて振り返っても誰が話しているのかわかりません。内容も短いし、話題もころころ変わります。

facebookは頼みもしないのに友達が出来るのはうっとうしいです。そんなに沢山友達はいらないし、職業も文化も国籍も違う相手と初対面で話す話題もありません。せいぜいゲームに参加してよくらいしかありません。とっくに止めました。

ブログは文章が比較的長いし、起承転結はそれなりに御主人がつけようとしています。コメンテーターも何回かコメントを拝見すると御本人の立ち位置が垣間見えてきます。「今日のお題」ということで興味があれば参加しています。

某巨大掲示板はいかがでしょう。オイラの職場ではアクセスが禁止です。自宅で自分の趣味に関するスレッドを読んだ事がありますが、明らかな嘘が多いです。おそるおそる自分の病院に関するスレッドも読んだら はっきりとオイラとわかる書き込みがありました。知らない間に不倫を囁かれていたのにはビックリ仰天。だから他のスレッドも似たようなものだと判断しました。全くの根も葉もない知らない相手だったからです。あそこで得るものはオイラにとっては何もありません。

tadano--rytadano--ry 2011/12/13 16:03 Bugsyさま

あそこで何かを得ようと思ってはいけませんw

twitterやfacebookはPCより携帯向きのコンテンツという感じがします。逆にその気軽さが災いしてつい口を滑らせ「馬鹿発見器」と揶揄されたりもするわけです。

SakinoSakino 2011/12/14 15:40 ツイッターは、BBS時代のチャットの発展形……というはなしを、よくしています。

2011-12-12 減点主義世界の医療

非常時に便乗する人の話のつづきの非常時にのみ強い人が出てくる状況さらにつづきです。前回の割愛分をやはり書いておきます。これは前回の時にまとめたものですが、

  • 平時に強い人

      減点主義の世界でコツコツ成果を挙げられる人。ないし減点主義でボロを出さない様に立ち回れる人

  • 非常時に強い人

      非常時の程度によって許されるリスクを見切り、それなりのリスクを背負いながら動ける人

  • 非常時にのみ強い人

      リスク感覚の次元が違い、生き残るためのイチバチ勝負が出来る人

moto様のコメントに、

わたしは、分類に当てはめると「非常時に強い人」かなあ。リスクがないと、退屈で耐えられない気がするけど、あんまり大きなリスクは大嫌いっていうか、絶対近寄らないし・・。
医者で分類すると
平時に強い人→内科
非常時に強い人→外科
非常時にのみ強い人→救急科
でしょうか?

これはこれで面白い意見だったんですが、私はもう少し違う事を考えています。新研修医制度に変わってからの現場をしらないので置いておきますが、それまでの医師養成教育システムは「非常にのみ強い人」を養成を目指していたんじゃないかと思っています。もちろん目指したからと言って全員が「非常時のみ強い人」になれるわけではありませんが、医師たるものの理想像として常に掲げられていたです。ですから、

    あんまり大きなリスクは大嫌いっていうか、絶対近寄らないし・・

この程度の事でも真顔で言おうものなら大変で、間髪入れずに「医師たるものは・・・」式の教育訓話が止め処もなく湧き出し、教育訓話でも屈さなかったものは医師仲間でも「変わり者」「変人」のレッテルが速やかに貼り付けられたです。新人教育ではそういう医師は反面教師として位置付けられ、「ああはなるな」とされるぐらいと言えば良いでしょうか。

何度かかつての医師教育システムは鉄人医師養成システムであるとしてきましたが、「鉄人 ≒ 非常にのみ強い人」としても良さそうな気がするのです。鉄人医師は24時間365日の勤務を屁とも思わない強靭さを一般的には指しますが、よく考えると24時間365日を屁とも思ってはならない仕事環境・生活環境自体が平時とはとても思えません。

24時間365日の環境自体が非常時であり、そういう環境を平時と感じるのは「非常時のみ強い人」である一つの傍証です。歴史転換期に出現する「非常時のみ強い人」とニュアンスが少し異なりますが、平時とは違う異常な環境で能力を発揮する事では共通点があるように考えています。


「非常時にのみ強い人」は平時感覚のリスクを平然と冒します。感覚としてその程度のリスクはリスクとは思わないと言う事です。ただそういう仕事振りは、大きな成果を得る可能性もある代わりに、大きな失敗を起こす危険性も付いて回ります。本当の非常時なら失敗があっても、これを挽回できる成功を収めれば帳消しに出来る得点主義の評価世界です。

かつての医療は得点主義の評価世界の部分があり、トータルとして得点が多ければ失点に関しては帳消しと言う意識は濃厚にあったと感じています。ところが医療界にも平時感覚の減点主義が滔々と流れ込んでいます。減点主義の世界では「出来て当たり前、失敗はすべてを失う」で減点はあっても得点はまずありえない世界になります。減点ゼロが評価の極みみたいと言えば良いでしょうか。

平時の減点主義の世界では「非常時のみ強い人」は住み辛い環境になります。成功のみを続ければ良いのですが、減点主義世界では成功は有効な得点になりませんから、どこかで確率的な失敗を行っただけで致命的な減点を喰らう事になります。


医療崩壊と称される現象の原因の中に、医療の評価が得点主義から減点主義に変わった部分はある程度以上にありそうな気がします。減点主義世界になれば、これに適応するのは「平時に強い人」になります。せいぜい「非常時にも強い人」ぐらいまでが適応できる限界です。医療の評価が変われば、そこに従事する人間は評価に応じて変わるのは当然の事でしょう。

さてこの「平時に強い人」は非常時環境には適合しません。「平時に強い人」はあくまでも平時で能力を発揮する人であり、非常時環境に放り込んでもうろたえるだけの存在になります。当然の事ですが仕事環境・生活環境も平時である事を望み、平時にする様に環境を変えていきます。そうしないと棲息できないからです。

現在の医療は、医療の評価が平時の減点主義世界になっているにも関らず、仕事環境・生活環境は従来の非常時体制を強いている点だと見ることが出来ます。そういう体制に無理があるのは当然で、あちこちでキシミをギシギシと鳴らしています。

非常時と平時では状況が様々に違う点がありますが、ごく簡単には平時の方が体制的に手厚いものが必要です。平時は失敗が基本的に許されない減点主義世界ですから、要求される体制は失敗を少なく出来る勤務環境です。非常時のように、少々の失敗を織り込みながらの得点主義でカバーの様な粗雑な体制は許されないと言う事です。


現在の医療の問題は、非常時体制でギリギリで回していた医療を平時医療に転換する点になります。しかし転換するにはマンパワーが決定的に不足しています。マンパワーの不足を補うには非常時体制を継続しながらの平時評価の医療と言う事になります。机上ではそうなりますし、現実の医療政策もそうなっていますが、そんな矛盾する環境は働く者にとってはリスクばかりの職場にしかならなくなります。

どんな非常時的スローガンを掲げられようが、身の破滅は誰でも嫌ですから、少しでも平時医療に近いところに医師は集まります。剥き出しの非常時医療体制のところは自然に忌避されるわけです。


医療崩壊とは非常時感覚から平時感覚の医療体制に代わる現象みたいな気もしてきています。ま、今はそれでも非常時感覚の医師が中堅以上にまだまだ残っています。彼らが現場を必死で支えているので持ちこたえていますが、10年もすれば中堅層も入れ替わってしまいます。平時感覚の医師が主流を占める時代はもうすぐです。

その時代は確実に私が現役中に訪れますが、厄介な時代に医師をやっているものだと嘆息しています。この歳で激しく変化していく医療への適応を行わなければならないのは、どう考えても決してラクではなく、もう少し若いか、もう関係ない歳であったらと思うばかりです。

元もと保健所長元もと保健所長 2011/12/12 07:51 平時の減点主義を徹底させ、特攻隊医師を訴訟などあらゆる手段で大粛清したいものです。

特攻隊医師がいる限り、いつまでたっても医療労働環境は改善されないのですから。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/12 07:55 ちょっと気になったのは、減点主義が、マニュアル主義、前例踏襲主義に重なりそうなところですかね。

実際の医療手法の発展のためには、どっかで「手順と違う」判定も必要な気がします。
いや、別に「非常時に強い人」になる必要性ではなくて、いわゆる、「医療研究のための試行錯誤」という感じの内容、ですけどね。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/12 08:26 >平時に強い人→内科
非常時に強い人→外科
非常時にのみ強い人→救急

小児科は?小児救急は?と思いました。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/12 08:34 平時に強い人
減点主義の世界でコツコツ成果を挙げられる人。ないし減点主義でボロを出さない様に立ち回れる人
=官僚?と一瞬思いました。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/12 08:39 何か、重なりそうですが、いわゆる硬直思考になりそうなのが怖いんですよね。
> 減点主義

現実がうまくまわってくのなら、減点主義でも全然構わないのですが。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/12 08:41 何か、過去のインフルエンザの接種優先順位問題を思い出してしまいました。
あの時も、かなり細かい減点主義でしたよねえ。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/12 09:12 >医療崩壊とは非常時感覚から平時感覚の医療体制に代わる現象みたいな気
連投すいません。 現象には多面性があると思います。
これは現場が
大学医局主体の医療から厚生労働官僚主体の医療への部分もある気がしました。
大学医局の弊害もありましたしこの流れが自然の流れかも知れませんが・・・

浪速の勤務医浪速の勤務医 2011/12/12 09:20 >>あんまり大きなリスクは大嫌いっていうか、絶対近寄らないし・・
若い医師の入局希望をみると明らかでいすね。
産婦人科、小児科は言うに及ばず、脳神経外科や心臓外科、一般外科さえ不人気です。
外科系の技術継承は大丈夫かと心配になります。 最近は、一般内科すら不人気で
人気は皮膚科、眼科、精神科とかばっかり・・・・

恥の戸市民恥の戸市民 2011/12/12 10:04 救急は医療の原点である、と言われているそうですから、
非常時のみに強い、あるいは非常時に強い医師が基本では無いでしょうか?
当八戸市民病院では、救急活動に特化する事で認知度を高め、研修医マッチングでは
高い人気を得ている状況にあります。

医師を目指す学生、若い方々は労働について基本的知識を持ち合わせていませんし、実際の
現場等知りえない、あるいはドラマ等に感化されて特異な印象しか持ち合わせていない状況では
ヘリだのERだのと言う単語に釣られてしまうしかないのかな、とも考えます。

平時においては乱世を思い廻らす、ERやコードブルー…
ヘタなドラマがこれほど罪だと感じるのは、こちらのブログを拝見しているからでしょうか?

BugsyBugsy 2011/12/12 11:32 恥の戸市民さま

>救急は医療の原点である、と言われているそうですから、

オイラの感覚とは少し違います。救急は診療の入口です。手術は診療の通過地点のはずです。
医療は腰を据えて同じ人間に何度も行うものだと信じています。入口や通過地点にばかり脚光を浴びるから 若い医師が勘違いするのです。

さて減点とは何に対して減点するのでしょうか。不十分な教科書の知識ですか。社会常識ですか。病状が医学の教科書通りの社会常識に合った患者など滅多にいません。患者が死ねば そこまでの経過を吟味せずに一方的に減点を与えるというのは 評価じゃなくて一方的な指弾です。
少なくとも生死も含めて 患者側の要望が医療経済や医科学的にも整合性がないのに通らないのは医療側の減点という雰囲気は確かに強まっています。だからじっくりと腰を据えるよりも ささっと診療して減点を付けられる前に次に回ってほしいという若手の志向も強まっているようです。放射線科は検査部門で患者と接することが殆どないし、最新の機械を扱えるから志望するという人いたけど実際には間違ってると思いますけどね。

患者さんを患者さまを呼べと言われてから なんだかおかしな方向に来ているようです。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/12 12:01 >医師を目指す学生、若い方々は労働について基本的知識を持ち合わせていませんし
この件について
本当に知らないのかの実態調査はないのでは
逆に古い医師や年取った方々も労働についての基本的知識は持ち合わせていないのでは
あと厚生労働省の役人の年とった方も労働についての基本的知識は実はない可能性もあると思います。(特に厚生省出身)一般的には,実はよく知っているがわざと知らないふりをしていると言われていますが・・・
で、まず年取った方は仕方がないので まず、医師を目指す学生が労働についての基本的な知識があるか、教育システムのなかにあるかどうかの実態調査が必要と思いました。すでにあればすいません。

endovascular_DRendovascular_DR 2011/12/12 12:26 救急医療は非常時の医療です.これに減点主義を持ち込むのは完全に誤っている,というのはその通りだと思います.当院は救急が多く,「断らない救急」です.ここでは毎日非常時の状態であって,しかも病院上層部は減点主義です.救命救急をよくご存じないという批判もあるようです.私の認識としては救命救急科は疲弊しており,少しづつ人員は減少しています

地方の医学生地方の医学生 2011/12/12 13:10 はじめまして、いつも楽しく拝見させていただいております。

Bugsy様
>救急は診療の入口です。手術は診療の通過地点のはずです。
>医療は腰を据えて同じ人間に何度も行うものだと信じています。入口や通過地点にばかり脚光を浴びるから 若い医師が勘違いするのです。
先生の意見、心に刻んでおきます。なんとなく気になっていた小さな違和感のひとつが取れた気がします。

京都の小児科医様
私は現在医学科6回生ですが同級生のうちに皆様の言われるような「労働についての基本的知識」を持ち合わせている人は非常に少ないと思います。「公衆衛生」の講義の中で取り上げられていたと記憶していますが、医学生の中に法律が関わる分野(公衆衛生の分野や法医学など)は敬遠する風潮にあり、本気で取り組んでいる人は少なかったと思います。

また、国家試験の出題範囲を確認してみましたが労働基準法は記載されていませんでした(http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/04/tp0430-1.html)。どうしても国家試験に出るものから優先して勉強していくため、手つかずになりがちかもしれません(見落としで出題範囲に含まれていたらすみません)。

私は、臨床に出る前の医学生は「しんどいことは嫌だから、楽そうな皮膚科、眼科に行きたい」といっている集団と、「少々しんどかろうが興味のあることがしたい」といっている集団に分かれていると感じています。実際に研修をしてみて最終的にどのような考えになるか(自分も含めてですが)楽しみです。

個人的な印象ですみません。実態調査があるかはわかりませんが、個人的な印象でも少しでもお役に立てればと思い書かせていただきました。

一産科医一産科医 2011/12/12 13:43 周産期医療は、
「何もない平時の医療」→突然「非常時の医療」
というのが特徴でしょうね。
さらに
「何もないのが当たり前、当然」という、究極の減点主義です。

そらま、崩壊しますわな。

そこにいる人は・・・うん、確かに「非常の人」もおります。
自分は・・・逃げ遅れた馬鹿・・・かもしれんな。

元外科医元外科医 2011/12/12 15:14 非常時の医療から逃げ出して健診医という究極の平時医療に携わっています(笑)
Yosyan先生の秀逸な分析いつもながら感動ものです。

今後の日本では、人員、医療経済面からも、平時の医療だけが生き残るように感じています。非常時の医療なんてこの国には分不相応なものであったのでしょう。無理はいつまでも続きません。来年度予算編成でも財務省はあろう事かトータルでの医療費削減という凶器(狂気?)を持ちだしていますから、流れは止まらないでしょうな。

SeisanSeisan 2011/12/12 18:15 中村祐輔・東京大学医科学研究所教授(59)もどうやら、日本をお見限りになられたようですからね。

日本という国が世界の先端分野の研究開発をする、というのは結局官僚の縄張り争いで成立しなくなってしまったようですね。

非常時の人材というより、非常の才というべきかもしれませんが。

YosyanYosyan 2011/12/12 19:29 地方の医学生様

感触として予想通りの変化はあるように感じます。現在と私の時代では事前情報の量も質も違いますから一概には言えない部分がありますが、確実に変わっていると思います。

労基法については国試的な必要性は乏しいんじゃないかと思います。時代が違うとは言え、厚生(労働)省の試験に労基法は重視されないと考えられるからです。そんな知識は知られると医療政策として百害あって一利無しだからです。必要となるのは入職してから自分の身を守る知識としてです。経営者側にとっては知って欲しくない知識とぐらいとすれば良いでしょう。

ま、国試が済んでからでもつまみ食いでも良いので知識としてお蓄え下さい。必要な情報は殆んどネットで手に入ります。厚労省御謹製の「知って役立つ労働法 −働くときに必要な基礎知識−」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouzenpan/roudouhou.html

これも案外良くできていますよ。

moto-tclinicmoto-tclinic 2011/12/12 19:45 むかしは、鉄人的に働くと、なんかいいことが待ってそうだ、って気がしましたもん。
医者の世界だけじゃない、高度成長期のサラリーマンのあたりからバブルまではそうでした。
巨人の星のど根性を、いま、社員に要求する一般企業は無いでしょう。
若手は、労働基準法とか知らなくても、損得よく考えて、自分の勘で動いてると思うなあ。

昨日、小児救急のPALSの二回目の更新に行ってきました。
ああいうトレーニングっていうのは、近寄るべきでない本当にヤバいリスクを見抜くために受講する、っていうひとも、結構いるのではないかなあと思いました。
それはそれで、悪いことでもないような気もします。

moto-tclinicmoto-tclinic 2011/12/12 19:51 医局崩壊っていうのは、サラリーマンの年功序列制崩壊に似てますね。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/13 03:38 >むかしは、鉄人的に働くと、なんかいいことが待ってそうだ、って気がしましたもん。
医者の世界だけじゃない、高度成長期のサラリーマンのあたりからバブルまではそうでした。

この背景に多数の同年代の死と生があると思います。 つまり、戦争による多数の死と
戦後ベビーブームによる生です。

moto-tclinicmoto-tclinic 2011/12/13 09:37 さて、今日も、救急とはおよそ縁遠い、いつもの仕事をするか。
減点主義でも得点主義でもない、ただただ結果主義の世界です。
ほどほどのリスクと緊張感に包まれた世界で、ごまかしが一切きかないから、これはこれで楽しいのさ(^^;。
年中無休。仕事しないと、何もやることないもんなー。

tokicotokico 2011/12/16 19:22 元もと保健所長さん、特攻医師でも居ないと今の医療は守れないのでしょう。
医療は誰のものですか。医療者のものではないと思います。国民のものではないでしょうか。
国民の生命、健康守るためのものではないですか。如何でしょうか。
医者や医療者の医療だったら、患者は皆さんの事「先生様」とお呼びしますね。

通りすがり通りすがり 2011/12/16 21:18 医療は国民のものでもありますが医療者のものでもあります。
医療者だって国民ですからね。
知見も見識もあるプロを使い捨てにするような特攻医師って長い目で見て
必要だとは思えません。

2011-12-10 非常時にのみ強い人が出てくる状況

非常時に便乗する人の話のある意味続きです。

「非常時にのみ強い人」は「非常時に強い人」とは似ているがやや違います。「非常時に強い人」は平時にも有用な可能性を多分に残しますが、「非常時にのみ強い人」は平時では役立たずに近いとすれば良いでしょうか。また「非常時にのみ強い人」はそんじゃそこらの非常時では役に立たず、トンデモナイ非常時になってようやく頭角を現すみたいに考えてもらって良いと思います。例としてあげるのなら幕末の高杉晋作です。

そういう人物の特徴は、非常時になっても困惑するのではなくて「オレの出番だ」とワクワクするような人物です。必ずしも非常時に冷静になれると言う意味ではなく、非常時と言う状態が自分の性格に馴染むような人物とすれば良い様な気がします。もう少し言えば、他の人物が非常時と言う事で浮き足立ってしまうのに対し、そういう状況こそ「オレの平時」とすれば良い様に思います。

そういう人物にとっては非常時こそ平時ですから、平時の感覚から抜け出せない人物から見ると突飛な発想を次々と繰り出し、それを時に蛮勇とも言えるような行動力で実行させます。時代小説でも見せ場で、周囲を煙に巻くような奇策や奇手を行い、あっと言わせるような鮮やかな対処を見せてくれることになります。これは小説の中で膨らましている部分はあるにせよ、ある程度は事実でもあると言えます。


こういう人物が活躍するのはその特異な才能があるのはもちろんですが、やはり非常時と言う特殊環境が重要なポイントであると考えています。人は非常時になっても平時の感覚・秩序がどうしても抜け切りません。火急な事態に直面しても、手続きとか、承認とか、前例とかの手続きに拘ろうとします。

思うのですが、平時と言うのは突飛な行動を抑制する様に出来ているんじゃないかと考えています。平時で疎まれるのは秩序を乱すものです。少々の不便より、波風が立たない様に平穏さを保つ事に重きを置いて構築されている社会と言うわけです。そういう感覚下では「べからず集」が大きな意味を持ち、失敗も伴う危険性がある大成果よりも、失敗がない乏しい成果の方が歓迎されるみたいな状況です。

これが非常時になれば、価値観が転換します。平時では大前提として母体は絶対に潰れないですが、非常時では母体ごとぶっ潰れるかどうかの瀬戸際になるわけです。そういう状況で失敗のない乏しい成果では全滅します。取るべき選択は生き残れる可能性がある方策になります。この可能性があると言うのは、失敗して壊滅する可能性もあるというのも含む選択です。

この失敗の可能性がある選択と言うのは、平時の感覚を残す人間では選択できず、そもそも発想できないと思っています。平時の失敗は提案した個人の破滅に連動しますから、提案した自分が責任を負うアイデアは無意識のうちに封じ込めていると言えば良いでしょうか。これに対し非常時は、失敗は個人だけでなく母体(組織)の破滅になり、破滅の度合いが大きすぎてもはや個人の責任など問える状態でなくなっていると言う事です。


ウダウダ書きましたが、「非常時にのみ強い人」は失敗が既に問題にされない状況になって初めて、その能力が発揮できる様に考えています。平時感覚の人間では危機をどうする事も出来ず、「非常時にのみ強い人」の特異な才能にすべてを委ねざるを得なくなり、一蓮托生状態になってその真価が現れるです。

これが口では非常時と言いながら、平時感覚の責任問題が幅を利かしている状態では「非常時にのみ強い人」の出番はまだないとして良いかと思います。たとえ出てきても、失敗の責任を負わされてトットと退場を余儀なくされます。少し考え方を広げると

  • 平時に強い人

      減点主義の世界でコツコツ成果を挙げられる人。ないし減点主義でボロを出さない様に立ち回れる人

  • 非常時に強い人

      非常時の程度によって許されるリスクを見切り、それなりのリスクを背負いながら動ける人

  • 非常時にのみ強い人

      リスク感覚の次元が違い、生き残るためのイチバチ勝負が出来る人

「平時に強い人」と「非常時に強い人」は能力的にダブル事はありそうと思っています。つうか併せ持つ人がいわゆる有能な人であると思います。減点主義の中であえてリスクを冒せるだけで十分な大物と言えるかと思います。ただし「非常時に強い人」が冒せるリスクの範囲は広くないと見ます。平時感覚でのリスクぐらいまでが精一杯のように考えます。

「非常時にのみ強い人」が扱うリスクは身代賭けての一発勝負みたいなものになります。これだけのリスクは「非常時に強い人」程度では無理です。そういうリスクを平時の事務作業のように扱える感覚の人でないと扱いきれるものではありません。逆にそんな感覚で平時の仕事をされたら、周囲は大迷惑で忌み嫌われる存在になるとしても良いと思います。ですから平時にはうだつが上らない存在にしかならないわけです。


歴史の転換期クラスの非常時になって初めて「非常にのみ強い人」の活躍の場が広がると考えています。これも「非常時にのみ強い人」だけが活躍するのではなく、「非常時にのみ強い人」が駆け回った後を「非常時に強い人」が整備して回り、さらに圧倒的多数派の「平時に強い人」が活躍できる様に新たな体制を作り上げていくと考えています。

それでもって時代の荒波が静まり、「非常時にのみ強い人」の用がなくなると、これを「非常時に強い人」と「平時に強い人」が排斥してしてしまうのも歴史と思っています。その後は「平時に強い人」が濶歩する安定期につながっていきます。


一つのポイントは「非常時にのみ強い人」がどの程度の危機の段階で出現するかはありそうに思います。それまでの秩序が粉微塵になるような大転換期になれば時代が求めると考えますが、もう少し小規模な混乱期であっても出てくる国は活力に溢れているような気がします。その時点での現体制の復興が行えるぐらいの生命力がその国にあると見れるからです。

これが動脈硬化の果てみたいな国になると、「非常時にのみ強い人」は出る余地がなくなります。「非常時にのみ強い人」は「平時に強い人」にとっては邪魔以外の何者ではなく、常に排除の理論が絶え間なく働き続けると考えるからです。「平時に強い人」の排斥運動が究極にまで高まると、その国がどんな危機になっても従来の体制側に「非常時にのみ強い人」が出現しないと言う事になります。

そうなると「非常時にのみ強い人」は反体制派にのみ湧き出て、現体制を打ち倒す革命にまで至るのかもしれません。最後はかなり飛躍しましたが、今日は歴史閑話風に収まってしまいました。そういう日もあると言う事でヨシとします。


実はこの話を医療に力技で結び付けようと構想していたのですが、少々本業が忙しくてまとまらず割愛にさせて頂きます。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/10 07:50 そういえば、坂本竜馬が生き残ってたら、後年は死の商人になってたかも、という議論を見たことがあります。美談にならなかったかも、という話ですね。(武器商人ですし。)

西郷隆盛とかは、どっちなんでしょうね?
微妙に、この分類に入りそうな気もします。
勝海舟はどうなのかなあ。
織田信長とかは、どうだったんでしょう...。

明治維新付近だと、色々話題になりそうな人、多いですね。

...医療界は人物を知らないので、歴史関係のみ、でした。

当直明け当直明け 2011/12/10 08:25 医療界なら思いつくのは武見太郎元医師会長くらいですかね、非常時のみに強いヒト。
今現在あのキャラいませんね。

YosyanYosyan 2011/12/10 08:40 luckdragon2009様

有名なエピソードですが、魏の曹操を評して「治世の能臣、乱世の英雄」と言うのがあります。これは今から考え直すと破格の褒め言葉で、乱世の英雄にもなれ、その上で平時でも有能なんて人は滅多にいないかと思っています。

西郷論は前に書きましたが、彼は革命家ではありましたが乱世を治める政治家ではなかったと思っています。維新後は新政府に失望した人物の1人としてよく、失望しながらも自分では何も出来なかった人と見ています。平時の政治能力は案外律儀な小役人であったかもしれません。

海舟はやはり乱世の人で、幕府が乱世であっても彼を使えなかったのが江戸幕府の運命であったと思っています。海舟もまた世が収まると使い用のない人になり、旧幕臣系でも登用された人物は少なくなかった中で、明治はすね者で生きるしかなかったと見ています。

信長は平時に生まれていたら、それこそお家大事の重臣たちによって密殺されてしまったか、江戸時代なら改易でもくらった暗君・暴君としか記録されなかったような気がします。

中国史でも革命期に登場する人物は、得てして体制外のアウトローから出現しています。王朝末期になればなるほど破格の人物は登用されなくなり、最後は足の引っ張りあいから自滅しています。それでも面白いのは、革命期を最初に主導した人物は、その暴走ぶりから王朝打倒まで進んでも、新王朝を作るのはもう少し暴走がマシな人物に取って代わられます。日本の戦国期で言えば信長が中世を粉微塵にしましたが、安定政権を作り上げたのは家康みたいな関係と言えばよいのでしょうか。

YosyanYosyan 2011/12/10 08:46 当直明け様

医療界に力技で結び付けようとしていたのは、医政史的な話ではなく、日常的な現場医療の話を考えていました。「非常時のみに強い人」をもうちょっと手際よくまとめる予定だったのですが、前フリのはずの「非常時にみに強い人」の話に熱中しすぎて、どんなに力技を駆使してもつながらなくなった次第です。

タカ派の麻酔科医タカ派の麻酔科医 2011/12/10 08:52  西郷隆盛の太政官時代のことをもう少し評価してやって欲しいです。
 ちなみに、非常時の医者としては、ゲバラとか孫文とか居ますね。
 非常時のみに強い医師は、救急部に時々存在します。

当直明け当直明け 2011/12/10 08:53 Yosyan先生、レスありがとうございます。
タイトルの主旨に合ってるかわかりませんが、タイムリーな話題として坂の上の雲が放送されていますが、今の時代の政権であの当時の外交をやれたはずもなく、逆になぜあれだけのことが対外的にやれたのか?
どうも自分は司馬史観よりの考えになってしまうので、少しニュートラルな考えのお方のご意見を伺いたいとNHKを観ながら考えていました。どなたかお聞かせ下さい。

YosyanYosyan 2011/12/10 08:56 当直明け様(追伸)

医療の話のプロットは、リスクの高い治療を行なう時のものを考えていました。失敗も伴うが成功しなければ患者に確実な死が来る様なシチュエーションです。どこかで通じるものがありそうだったのですが、プロットがガスのままで文章と言う結晶にまとまらなかったのは遺憾なところです。

一産科医一産科医 2011/12/10 09:01 歴史的な話で言えば、唐の時代の「創業守成」の話を思い出しますね。
ビジネスでも創業者というのは多少なりとも型破りなタイプが多いように思います。
Appleでも創業者を平時には有能と思われる経営陣が追い出すなんてことをしていますね>その後復帰しましたが。
成長する組織では、破天荒なトップと安定・調整型の部下(もしくは後継者)がセットのように思います。破天荒なトップだけだと一代で崩壊したりしますし。

元もと保健所長元もと保健所長 2011/12/10 16:47 ダーウィンによれば、つねに一定程度の「突然変異」が発生し、それを自然が選択します。
平和な時代にも一定の割合で織田信長や豊臣秀吉は発生し、今もしているのでしょうが、「自然」が選択しなければそのまま排除されることになります。
伊達政宗はもう十年早く生まれていれば天下をとり、そのまま100年くらいは維持できたろうと思われますが、自然がかれをあのポジションに選択したものと思われます。

今の乱世もまた、一定の割合で発生した橋○徹や石○慎○郎が選択されたのですが、「自然」が変われば、より巨大化するなり捨て去られるなりするでしょう。

moto-tclinicmoto-tclinic 2011/12/10 17:42 わたしは、分類に当てはめると「非常時に強い人」かなあ。リスクがないと、退屈で耐えられない気がするけど、あんまり大きなリスクは大嫌いっていうか、絶対近寄らないし・・。
医者で分類すると
平時に強い人→内科
非常時に強い人→外科
非常時にのみ強い人→救急科
でしょうか?

あいちゃんあいちゃん 2011/12/10 18:51 「みんなちがって、みんないい」−金子みすず

当直明け当直明け 2011/12/10 22:02 moto先生

>非常時にのみ強い人→救急科

それだとあっという間に淘汰されてしまいます。

蛾蜻蛉蛾蜻蛉 2011/12/11 10:15 この手の話題になると思い出すのが、最近ではグチが増えてしまってますが、佐々淳行氏です。好きか嫌いかと言われると嫌いな方に入ってしまいますが、トラブルシューターとしては一流の方です。平穏になった時代には、組織からははじき出されてしまいますが、何らかの形で残しておくべき人材の一例として評価しています。ただ、一見平穏な時代には「平穏であるように水面下で動く」人々がいて、これが実は「非常時に強い人」ではないでしょうか。要は組織としてはバランスなのですが、どうも平時に強い人の方が増殖力が強いようで、いざという時には立ち遅れてしまうのが現実です。

Med_LawMed_Law 2011/12/11 12:55 「非常時に強い人」と、「非常時が好きな人」とは、ちゃんと区別しておく必要があると思います

最近、放射線関係でバカ騒ぎしている三流研究者などは、後者に入ります
非常時なら何を言っても関心を引くことができ、許されると思っている連中です

同様に、いつも「非常時」を煽って口銭を稼ごうとする情報公害をまき散らすメディア関係者も同様です

非常時に強い人は、「非常時が好きな人」ではないと思ってます

武見太郎にしたところで、「開業医の1/3はノンポリ、1/3は”欲張り村の村長”」という喝破をしており、今の医師会を見たら喝を入れることでしょう。決して、「非常時が好きな人」ではなかったろうと私は見てます

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/12 05:53 非常時の定義に議論が必要と思います。

今年は東北に大津波や地震があって、福島の原発事故があり、財政は大変だと思いますが中央政府が倒れるとはとても思いません。幕末とは明確に違います。

仮に首都直下型地震や富士山の大噴火があったとして中央政府機能が麻痺した場合が
初めて非常時と考えます。(これも非常事態のほうは適切のように思いますが)
中央政府が機能しているかどうかがポイントかなと思いました。

あと、テロの危険は常にどの国家でもありますし、東アジアで戦争が起こる可能性はあると思いますが、ここらへんは想定内と思います。

卵の名無し卵の名無し 2011/12/19 06:28 >例としてあげるのなら幕末の高杉晋作です。

ん?なんのことかな?w
以下(ryじゃなかった以下参照w

>「動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し」
             新しい時代を切り開いた熱き若者たちの群像

高杉晋作と明治維新革命「動けば雷電のごとく」ものがたり
>>http://www.c-able.ne.jp/~haguruma/raiden%20pdf.pdf

2011年 
□福岡市公演 県下28会場公演の総決算 

□岡山県内で公演始まる
 (有)劇団はぐるま座

2011-12-09 医療政策企画者には医者が必要

12/8付朝日新聞より、

当直明けの手術、やめれば診療報酬加算 厚労省方針

 厚生労働省は7日、当直明けの外科医に、手術の予定を入れないよう取り組む病院について、来年度から診療報酬の加算対象に加える方針を固めた。勤務医の負担軽減策の一環。診療報酬改定に向けて議論する中央社会保険医療協議会(中医協)に提案し、大筋で了承された。

 厚労省は、当直明けに手術を行う頻度を985人の外科医に尋ねた日本外科学会の調査結果を中医協に報告した。「いつも」が31%、「しばしば」が26%、「まれに」が15%であわせて7割に上った。

 当直による疲れが原因で「手術時に医療事故や、事故には至らないミスの経験がある」のは4%、事故経験はないが手術の質が低下することが「多い」「まれにある」と答えたのは83%に達し、医療安全に影響があると判断した。

 勤務医の負担減対策としては、長時間の連続勤務を減らす取り組みなどに加算する仕組みがある。当直明けに手術を入れないことも追加する。(小林舞子)

もうちょっと詳しい情報は12/7付CBニュースにあります。

新婚の頃のお話です。私と違って社交家の奥様は、近所の奥様連中(ママ友)とよく交流がありました。ところが特定の日にはまったく近所の奥様連中から連絡が無い事に気がつきます。しばらくしてその日がどんな日か気がつきました。前日に旦那(つまり私)が当直であるとの話題が出た日の翌日は、連絡も訪問も一切ないのです。

奥様が理由を聞いたところ、当直の翌日は当然ですが休みであり、なおかつ旦那は疲れて寝ているはずだから連絡も訪問もしないです。ごくごく当たり前の社交マナーとして扱われていただけでしたが、その時に夫婦で初めて「世間一般は当直の翌日は休みが常識なんだ」と気が付いた次第です。


宿日直業務とは本当はどんなものかを知ったのは、実はさらに以前の事です。かなり古いお話なんですが、週休2日制が県立病院にも導入されると言う事で、増加する休日体制についての検討会議が開かれていました。毎週毎週連休がある状態になるので、医師側が求めたのは休日検査体制の整備です。なんつうても、それまでは休日検査は医師がすべてやっていたので、週休2日制導入とともに、検査技師も当直体制を敷くべしだの要求です。

これに関してはスッタモンダがあったんですが、検査技師の当直体制は導入される事にはなりました。医師側は無邪気に喜んだのですが、検査技師側の条件に仰天する事になります。今から思えば労基法41条3号の宿日直許可条件に過ぎなかったのですが、そんなものにはとんと無知であった医師(私も含めて)たちは、「それじゃ、居るだけで役に立たんじゃないか」と大憤慨したのを覚えています。

結局検査技師側の出した条件でほぼ押しきられたのですが、彼らは偉かったと思いますし、偉い以前に当然の要求であり、受け入れていなかったら労基法違反であった事になります。若かりし頃の思い出です。


病院により濃淡の差はあると言うものの医師の当直とは、実質として違法の夜勤状態です。この話は腐るほどしているので詳細は省略します。勤務医の要求は宿日直は労基法41条3号の宿日直許可条件を遵守すべしです。その上で、一般の労働慣行である当直の翌日は休みを導入する事です。別に大した要求ではありません。たったそれだけの事です。

労基法は遵守して当たり前であり、これを違法状態にしておく方が余程異常です。とくに医療は(厚生)労働省の直接管轄下にあり、直接管轄している業種が労基法違反の「ド」がつく悪質常習犯ではシャレにもならないでしょう。

さらには労働安全、医療安全の問題も出てきます。労基法41条3号を遵守した宿日直でも疲労は家で寝ているより大きいものがあります。つまり日常業務に支障が生じる可能性があります。だからこそ一般的な労働慣行として当直明けは帰宅するになっていると考えています。

医療は人の生命・健康に直結する業務であり、どんよりとした疲労を引きずった状態での業務は可能な限り避けるべきものです。これも個人としての不摂生は医師個人の自己責任ですが、勤務体制としてそういう状況下に放置する事は大問題どころか、根本から間違っていると言えます。医療の安全もクソもあったもんじゃありません。

ミスを体制として誘発する状況を漫然と放置し、それによるミスが現実に起これば、通常は目の玉が飛び出るぐらいの罰則・罰金・賠償金を喰らいます。医療の場合はとくに「死」に直結しますから、監督官庁のだ〜い好きな責任問題に発展しないのが極めて不思議です。


現状は綺麗事では済まない部分があるとは言え、宿日直業務の現状には頬かむりを行い、小手先の姑息極まる「是正案」をお手盛りで出す神経が信じられません。現場を知らないとは、これほど人を無能にさせるのかと感心するぐらいです。

現場の改善には現場の意見がまず必要です。そりゃ、現場の意見だけで改善したら、それはそれで上手く行かない部分もあるでしょうが、現場の意見も聞かずに改善するのは無理があります。少なくとも医療政策で長年に渡って行われている、まったく現場の意見は聞かない方針が今の医療にどういう結果をもたらしているかだけは良くわかります。

やはり医療政策の企画者には医師と言うより医者が必要です。現場の実感を代表できる医者の意見が不可欠です。管理業務と会議出席がお仕事みたいな医師や、研修医でキャリアを終えた医師免許(だけ)所持者の発想がユニークすぎて役に立たないのは力説の必要すら感じません。患者と実際に直面している医者の意見が必要であると言う事です。


もっとも医療崩壊は遠の昔に"Point of no return"を過ぎ去り、ステージアップしていますから、この程度の医療政策ゴッコに目くじらを立てるのも大人気ないかもしれません。燃料としては不良でんなぁ。

江原朗江原朗 2011/12/09 08:07 基幹の自治体病院、過半数が労基違反- 広島国際大・江原教授が調査
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36174.html

こちらもよろしく

お弟子お弟子 2011/12/09 08:42 >江原せんせ
飽きられているのか、2chニュース速報+ではスレ立てして頂けませんでした。m(_ _)m

うらぶれ内科うらぶれ内科 2011/12/09 09:14 そもそもなんで当直明けにまで手術をしなければならないか、単に日が押しているというか手術のスケジュールで詰まってるからでしょう。これはようするに、当直明けの手術をやめさせることによって手術全体の数を減らし、医療費を減らそうという作戦なんですよ。

SeisanSeisan 2011/12/09 09:30 この話、金を絡めることで病院経営者に対応を促すのがまあ、目的なんでしょうが、さてどうでしょう。
解決の方向性としては

1)Ope日の前日には当直を入れない
2)当直をした翌日のOpeはキャンセルする/手術医(執刀医・前立を含む)を変更する

というあたりかと思いますが、多くの病院ではそれぞれの科によってOpe日が決まっていると思います。
その前日に宿直を入れないとなると、その日は当直医が不在になる可能性もあります。
外科医を何人もそろえる大病院なら成立するでしょうが、数人で回しており、Ope日はその科全員でOpeに入るような中規模以下の病院では、ほとんどこの要件を満たすことは不可能ではないかと感じます。

最終的な解決策としては、Opeの数を減らして当直要員を確保する、ですが、そうなると病院収入的にも、患者のOpe待ちが長くなる、という点でもマイナスしかありません。

ああ、もちろん某元日の沈むことのない帝国みたいに、Ope待ちをしている間にInOpeになってしまうようなことが頻発するようになってもいいのなら、成立しますね。

10年ドロッポ10年ドロッポ 2011/12/09 09:41 こんなもんは当事者が労働者としての当然の権利&プロフェッショナルとしての当然のリスク管理として断固として当直という名の夜勤を拒否するか当直という名の夜勤明けには断固として勝手に休めば済む話です。奴隷医どものマゾっぷりに久々に吐き気がしました。

何度でも言います。いくら個人の性癖でも公共の場でウンコを喰うのは辞めて下さい!臭いんだよ!!

元ライダー元ライダー 2011/12/09 09:55 私が病院経営者なら、外科(系)医は当直から外し(いや、表面上は配慮して免除ですよ)、すべてオンコールの対応にします。
これだと手術は減らないw

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/09 10:01 >厚労省は、当直明けに手術を行う頻度を985人の外科医に尋ねた日本外科学会の調査結果を中医協に報告した。
日本外科学会のお考えもあるかも知れませんがこういった調査結果の原本を学会HPに提示し
厚労省に調査結果を渡した経緯を公表するべきと思います。
この調査目的が最初から厚労省に頼まれてされたものかも含めて経緯が不明です。
まず、日本外科学会の責任において調査結果原本を公開していただければと思いました。

YosyanYosyan 2011/12/09 11:04 元ライダー様

経営サイドにかなり偏った案で、政策のポイントは当直明けの外科医「だけ」に手術をさせなければお手当(加算)がもらえると言う事です。「だけ」と言う点がポイントで、当然のように手術料は減らさずにいかに「当直明け」状態を作らない様にするの工夫合戦になるわけです。当然ですが外科当直を廃止してオンコールにするのも一法です。日祝日前に当直限定もあるでしょうし、定期手術日前日は避ける手法なんて誰でも思いつきます。

それにしても記事ではわかりませんが、(厚生)労働省の医師免許(だけ)保持者が想定している当直者とはどういう定義であるのかは興味があります。これに労基法41条3号の宿日直許可者を含ませていたら、ブラック・ジョークも良いところだと思っています。

法務業の末席法務業の末席 2011/12/09 11:17 思うけど、労働基準法違反(特に時間外割増賃金の未払い)で労基署から行政指導(是正勧告)受けたかどうかを、保険医療機関としての指定取消に反映すればどうだろう?

労基法違反の是正勧告で保険医療機関の取消処分なら、どこの病院も大慌てで医師を増やして交代制勤務に移行し、日勤→当直夜勤→日勤と連続する過度な長時間労働は一気に解消されるだろう。

でも病院の医師集めはアッという間に加熱して、医師不足から多くの病院は夜間救急から撤退で、医療体制の崩壊が・・・(涙

BugsyBugsy 2011/12/09 11:37 「当直」というのは如何にも欺瞞です。
医師がやってるのは当直業務ではなく夜間診療です。
当直というなら 停電、火災などに備えて職員が一人寝ていれば済むはずです。バイトの学生でもよろしいはずです。

夜間診療を当直と言いくるめ、正当な対価を支払っていないわけです。おまけに昨今は診療科が細分化され、外科で一人だったはずが、循環器や腹部やら何人もの人員を供出させられていますから疲労困憊しているわけです。

オイラの知ってる私立病院では休日や平日の時間外や夜間はバイトの医師でまかない、一次救急、病棟の急変や夜間の入院も全て行い、翌朝常勤医に申し送ってますがね。相応のバイト代を払っているので全然文句が出ません。国公立病院や大学病院ではそんな話は聞こえてきません。

診察時間でもない夜でも医者がいると思うから患者が押しかけてくるのです。

SeisanSeisan 2011/12/09 12:00 ああそうか、たいていの病院では、公式的には「夜間に通常業務に近い勤務状態の医師はいない」ことになってるから、あまり問題なし?

endovascular_DRendovascular_DR 2011/12/09 13:11 Yosyan様
手術は術者一人でやるもんではなくて,助手数名が付きます.こうした助手らが前日当直の場合はざらにあるわけで.
この案,確かに,経営サイドに偏ってはいますが,労基局に訴えをするヒマない大学病院など大病院では各科への定員削減要求や売り上げ増額要求抑制に一定の成果は出そうに思いますが.
つまり,この案件を満たすのは相当大変だと思います.

BugsyBugsy 2011/12/09 17:48 >当直明けの外科医に、手術の予定を入れないよう取り組む病院

今まで頑として医師の当直は医師の裁量として労務管理の責任をとることを拒んできた病院経営側です。
うかうかと取り組んで診療報酬の加算をもくろむ病院が出てくるでしょうか?

それこそ自宅待機から夜間の呼び出しまで白日のもとにさらけ出されるでしょう。
それとも昔のように医師が知らない間に 事務方が勤務時間に関して勝手に判子だけ押しますかねえ。
少なくとも医師側が律儀にタイムカードを正直に押しておいてもうやむやにする病院が殆どと聞いています。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/09 18:43 元調査結果がわからないと物が言えない気がしますが
ネットでは
外科医の7割、当直後にも手術 「待遇改善必要」と学会
http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011092901000950.html
外科医の約7割が、過去1〜2年に当直明けにも手術に参加した経験があり、このうち約8割は手術の質が低下することがあると感じているとのアンケート結果を、日本外科学会が29日発表した。
07年に発表した同様の調査と比べ、当直明けの手術経験の割合も勤務時間もほとんど変化がなく、同学会は「外科医療は医師の頑張りで支えられているが、危機的な状況にある。待遇改善をしなければならない」と訴えている。
で、調査結果が2011年9月29日には存在するまでは理解しました。

oldDroldDr 2011/12/09 18:44  厚労省は、当直後ではなく夜間診療後の手術を中止すれば診療報酬を加算する、というべきです。
 当直という建前で、実際は夜間診療が行われていることが、本当の問題です(すでによく知られていることですが、ずっと放置されています)。
 医療事故を騒ぎ立てるマスコミも、この現状を国民に知らせようとはしませんでした。

 病院としては、夜間診療専門の医師を雇用すればよいのです。主治医制も廃止し、(主治医制を続けたいところは、労基法違反を届け出て、危険な病院であることを周辺住民には知らせるべきでしょう)、憲法に沿った勤務労働体制にするべきです。

YosyanYosyan 2011/12/09 19:15 oldDr様

厚労省はあれだけ24時間救急に血道をあげられて、その人的体制の整備に無関心なのは驚くばかりです。勝手に誰かが無邪気に働いているぐらいにしか思っていないのでしょう。まあ、命じるのは通達1枚、体制整備の責任は病院に丸投げで、整備しない方が悪いでチョンは常套手段ですけどね。

 >当直後ではなく夜間診療後

労基法41条3号遵守後の当直明けより、夜間勤務者の勤務明けの方が100倍危険ですが、そういう事に触れる気もないのは「いつもの事」です。だいたい中止しているのは手術だけで、外来も、病棟業務もまったく支障が無いとして知らぬ顔をするのもまた「いつもの事」です。

元ライダー元ライダー 2011/12/09 20:26 嘉山センセも香ばしい。もう『医者』ではなく、単なる『医師』になったんでしょうか。
センセ曰く、
「医師の労務管理は一般社会の労務管理とは違う。患者が外来に来れば、休みにすることはできない」などと指摘し、交代制勤務自体は否定しなかったものの、交代制勤務の予定を組んでも実施できない場合なども想定されるため、厳密に管理するとかえって現場は混乱する懸念を呈した。さらに、「複数主治医制になると、いろいろな問題が生じる。日本の医療は主治医制の文化でやってきた。責任の所在が分からなくなるので、主治医制は守る形にしてほしい」と求めた。

爺医の感性とも言えるかな。それとも経営者の感性でしょうか。

お弟子お弟子 2011/12/09 22:27 いやいや、医療に熱意を持っている経営者なら、刑事罰を食らう位なんでもないはずです。
また医療に熱意を持っている人なら、無免許で医療行為をして刑事罰を食らう位、屁でもないでしょう。
ということで、刑事告訴運動をしても、その病院/地域に熱意があれば、医療崩壊なんてしませんよおー。

BugsyBugsy 2011/12/10 00:23 お弟子さま

>嘉山センセ のお話

まあ 一人の有名教授を作ろう、全国に名前を売ろうと思えば大学は応援し医局員は泣いております。
オペ室で金鈎を投げようが助手を殴ろうが。。。。忘れました。

YosyanYosyan 2011/12/10 07:13  >嘉山センセも香ばしい

私は主治医制云々の下りところで、がんセンターの次は病院機能評価機構に内定でもしているのかとごくごく素直に思いましたが、違うんですかねぇ。

元ライダー元ライダー 2011/12/10 09:06 >がんセンターの次は病院機能評価機構に内定

そこまで読みきれませんでした _| ̄|○ ガクッ

BugsyBugsy 2011/12/11 17:02 そういえば 手術日前日の当直っていいますけど、手術日の当直も普通に行われてますが なんとかならんでしょうか。手術を終わればさっさと帰宅して休みたいものです。麻酔から目が覚めて病室に戻るまでは付き合いますが、些細なことでも執刀医や助手が平気で夜中に呼ばれています。
執刀医はともかく 助手の名前なんて患者は覚えていませんよ。グループで診療にあたるといいつつも 現実は病棟から呼ばれます。当直医に任せればよいのに。

結局主治医制の弊害でしょう。

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2011-12-08 日大光が丘病院問題・協会が本音を表明

12/7付東京新聞より、

342床日大撤退の光が丘病院 「4月移行時は50床に」

 日本大学医学部付属練馬光が丘病院(東京都練馬区)の運営を来年四月から引き継ぐ公益社団法人「地域医療振興協会」の吉新(よしあら)通康理事長が、本紙の取材に、新規オープンの際には入院患者数を大幅に減らし、稼働病床数を縮小する考えを示した。患者の行き先などをめぐり混乱が生じる恐れも出てきた。

 病院は十七科、三百四十二床。区の医療の中核を担い、特に小児救急は区内の約三分の一の患者を受け入れ、隣接区や埼玉県西南部からの搬送も多い。

 日大は三月末の撤退と同時に医師を全員、病院から引き揚げる方針。区は、協会が現在と同じ病床数、診療科目、医療水準を提供できると患者や住民らに説明してきた。

 これに対し、吉新理事長は「病床が埋まった状態で主治医も看護師もいなくなったら事故が起きる。医療安全上、あり得ない」と話した。三百四十二床の許可は取るが、実際の稼働は「五分の一、十分の一だろう。最初五十床ぐらいで、月ごとに増やしていくだろう」と見通した。

 救急も、最初から今のレベルで受け入れるのは「無理かもしれない」として「周辺のいろんな病院にお願いして可能な限りやるしかない」と述べた。

 患者を減らすには、高度医療が必要な患者は同じ日大の板橋病院(板橋区)で引き取るなど日大の協力が必要だが、区と協会、日大の三者で開いている引き継ぎ協議では、具体的な検討はほとんど進んでいない。

実情としては理解できます。現在の光が丘病院は100人近い医師によって支えられています。この水準を維持して引き継ぐには、やはり100人近い医師をかき集める必要が出てきます。半年ほどでそんな芸当が出来る組織は日本にはないと思います。練馬区が「そうする」と力説しても「できるのか」の疑問は最初からあったとしても良いでしょう。そういう当然の事が表面に出てきたと言う事でしょう。

    吉新理事長は「病床が埋まった状態で主治医も看護師もいなくなったら事故が起きる。医療安全上、あり得ない」と話した。三百四十二床の許可は取るが、実際の稼働は「五分の一、十分の一だろう。最初五十床ぐらいで、月ごとに増やしていくだろう」と見通した。

たぶん地域医療振興協会の練馬区に対する立ち位置としては、急遽日大が撤退したので「病院維持」だけは請け負うの立場だったと見て良さそうです。もちろん4月に現行水準になるように「前向きの姿勢で努力する」ぐらいは約束したとは思いますが、あくまでも希望的観測であり、できない時は「いたしかたない」ぐらいの合意はあったと考えられます。無い袖は振れない、嫌なら病院ごと消滅するぐらいです。

この時期に出てきたのは、協会が前向きの姿勢で努力した時間を示すためと見ます。協会が後継になった時点で表明すれば、後継問題自体が進まないので、努力目標が「やはり無理」と確認できる時間として必要であったとするのが妥当でしょう。この先はボールが協会から練馬区に投げられたので、練馬区が住民を納得させる作業に移行すると見ます。区の説明担当者は大変かと思います。

それにしても協会はどれほどの医師数に目途をつけたのだろうと思います。現在でも練馬区と協会の間に覚書が取り交わされているそうですが、練馬区議の池尻成二氏が区議会医療高齢者等特別委員会での覚書に関する練馬区側の答弁を紹介しています。医師数のところだけ引用しておくと、

■医師数について■

 法的、医療法上の医師数というのは、病床の回転率それから外来数といったものによって数字は若干異なってまいりますけれども、概ね、病床利用率が90%、現実今光が丘病院は82〜3%、80切ることもございますけれども、90%。それから外来の診療者数を一日約800人、現在光が丘病院で約800には至っておりませんけれども、高め高めで設定しますと、41〜2人というところが法定で定められている医師数でございますが、当然のことながら、病院の機能を高度に維持していくということにおきましては、少なくともこの倍程度以上は必要になるということで、それが目標と掲げております。

現行の342床を維持するために必要な医療法上の医師数は40人ぐらいと見て良さそうです。これは外来数との兼ね合いもあって計算が単純ではないのですが、35人程度いれば医療法的には342床を維持できると考えても良いかもしれません。もちろん医療法の医師数では高度医療を行うには足りないのは周知の事ですから、35人なり、40人なりが居ただけでは現行水準の維持は不可能です。

必然的に現在より機能水準を落とす事にならざるを得ないのですが、50床とは大胆な提案です。意図としては現在の入院患者をとりあえず全部追い出すと受け取っても差し支えないと思われます。全部追い出した上で、集めた医師数・医療水準に見合った水準の新光が丘病院を再構築したいぐらいの意図としても良さそうです。

そうなると4月時点で協会が目途をつけている医師数は10〜20人程度の可能性も出てきます。協会とて50床の病院のままにしてきたいとは思っていないでしょうし、来年度中に100〜200床ぐらいまで機能回復する意図はあるとは思います。もっとも50床程度の維持なら、10人未満でも可能ですから、4月の時点で確実に目途が立っているのは、まだ「5〜6人」と言う事も十分考えられます。現在は二桁に向かって鋭意努力中でも不思議無いと思います。


日大光が丘病院問題の最大の謎は、なぜに練馬区があれほど日大運営を嫌がったかに尽きるかと思います。日大側が嫌がっていたのは経営負担と、それに対する練馬区の協力姿勢の乏しさだったぐらいに理解していますが、練馬区にとって光が丘病院とはなんだったんだろうです。日大の撤退意図に対して別の落としどころは沢山あったはずです。

とりあえず協会が練馬区にボールを投げたので、新たな展開が始まりそうです。予測としては「たとえ当初は50床になっても、出来るだけ早期に現行水準に戻る様に努力する。無いよりマシと思ってくれ。」で住民に理解を求めていくんでしょうねぇ。練馬区の説明担当者の胃に穴が開かない様に祈っておきます。

JSJJSJ 2011/12/08 09:26 たいした事ではありませんが、たぶんこの計算式だと思います。<医療法上の医師数

(342x0.9+800÷2.5-52)÷16+3=38.9897

結果が少し違うのは、なにか勘案すべき条件が不足しているのかもしれません。(ICU等の医師数とか?)

JSJJSJ 2011/12/08 10:13 入院患者50人、外来患者100人とすると法定医師数6人になるのかしら。まぁ当初医師数10人といったところではないでしょうか。まともな2次救急ができる陣容ではありませんな。

今後の新エピソードを無責任に予測するなら、住民運動による地域医療振興協会拒否=光が丘病院消滅&区長のリコール請求といったところでしょうか。

BugsyBugsy 2011/12/08 10:16 日本大学の関係者の皆様 心からお祝い申し上げます。

医学部が併設されている大学にとって医学部をもつことはステータスです。
私立国公立を問いません。偏差値が一番高く、地域医療を通じて地元や政府に直接のパイプが出来ます。研究予算も他の学部より多く獲得しやすく、地元住民ともっとも接しやすい学部です。また教養部に他の学部からスタッフを送り込みやすいのが助かります。法学部や工学部ではこうは参りません。

しかし医学部は金食い虫です。自前で病院と言う収入源を経営できるのは医学部だけで さぞやガッポガッポと金が入ると思いきや、実情は赤字で他の学部に回す予算から補填することが殆どでスタッフも多く人件費も莫大です。他の学部のように教授独り准教授や講師も数人ですむはずが、一つの診療科で十数人というのはざらです。儲かるかどうかもわからん高額な医療器械ばっかり買いやがると他の学部教官から怨嗟の声が上がって当然です。大学本部の経営陣も医師出身はわずかで 他の学部の学部長、銀行や国からの天下りが大半で、なんとかならんかといつも突き上げられています。

ことに私立は分院をたくさん作りたいのに土地が限られ、借地も含まれ経営を圧迫しています。おまけにどこの大学も独立行政法人と言う名の国家からの予算は先細りです。一方いったん病院を作ったら撤退は地元住民の反対があり、事実上撤退に踏み切った大学病院というのは歴史上ありませんでした。また大学の不名誉なことでもあります。

練馬区から喧嘩を売られたか 日大が仕掛けたのか存じませんが、よいいい訳ができましたね。他の病院の改築も迫っており金もスタッフもいくらあっても足りないはずです。下手な撤退をして世間の恨みを買うよりもまずはベストな方法です。

再度心からお祝い申し上げます。今年の忘年会は豪華版になりそうですな(笑)。

YosyanYosyan 2011/12/08 10:18 JSJ様

計算式ありがとうございます。今朝はなぜかネットがつながらなくて、計算式を探し出す余裕がなかったので助かりました。

今回の協会側のお話はババ抜きのババを協会に回されない様にするためと見れなくもありません。かなり問題はヒートアップしているところがありますから、練馬区側の住民への説明が「たぶんなんとかなる」で押しきろうとする様相があります。これで4月にどうにもならなかった時には、責任のボールが協会に飛んできます。「そらみたことか」の反応です。そこで練馬区が「協会に裏切られた」みたいな展開に持ち込まれるのは真っ平ごめんです。

今の時点に出してもタダでは済みませんが、後から出すよりは協会側のダメージがかなりマシだろうの計算ぐらいはあってもおかしくありません。あれもこれもが全部練馬区と協会側の示し合わせの可能性もありますが、それより練馬区と協会の間の合意も怪しい部分があるように見えます。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/08 10:27 >ことに私立は分院をたくさん作りたいのに土地が限られ、借地も含まれ経営を圧迫しています。おまけにどこの大学も独立行政法人と言う名の国家からの予算は先細りです。一方いったん病院を作ったら撤退は地元住民の反対があり、事実上撤退に踏み切った大学病院というのは歴史上ありませんでした。また大学の不名誉なことでもあります。

本件:日大光が丘病院問題は、地域医療振興協会問題も含めて日本の医療制度上のターニングポイントと理解しました。興味深いことです。誰かきちんとまとめてもらえないでしょうか。

元ライダー元ライダー 2011/12/08 11:13 ベタと言うか、過去に全国各地で繰り広げられた、最も予想された展開になってきたような気がします。練馬区側は「寝耳に水」とか「話が違う」とかいう思いでしょうなあ。ここまで練馬区と地域医療振興会の出来レースとするのは、練馬区側にリスクが大きすぎるような気がします。

こういう話の場合、田舎だったら怪しいコンサルが介在していることが多いのですが、練馬区に甘言をささやいたのは誰なんでしょうねえ。

元ライダー元ライダー 2011/12/08 11:23 そうそう、田舎でのベタな展開だと、コンサルに連れてこられた後継者もすぐに去ってしまうのですが、練馬区の場合はどうなんでしょうねえ。

元ライダー元ライダー 2011/12/08 11:42 >日大光が丘病院問題の最大の謎は、なぜに練馬区があれほど日大運営を嫌がったかに尽きるかと思います。

日大運営を嫌ったのではなくて、「区長さん、大学なんぞに頼らんでも、もっとうまく病院運営する団体がありますよ。区の財政改善にも貢献できますよ。」、田舎だとこういう甘言に首長がコロッと逝くパータンでしたけどね。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/08 11:51 志木がなくなるので、ここら辺一帯が真空状態になりそうな予感。
新たな、○らい回し事件、起きそうな下地がかなり怖いです。

個人的には、前も言ったが、日大と区が復縁して欲しいが。

YosyanYosyan 2011/12/08 12:38 元ライダー様

 >最も予想された展開

言うても東京23区内ですからチイとは違う展開もあるかと思っていましたが、東京とて変わらない事を示しつつある様に感じます。

本当に春時点で10人程度の医師しか集まらず、50床運用のしょぼくれた小病院になってしまったら、住民の不満は爆発してもおかしくありません。首長は当選して1年間はリコールできないそうですが、春には1年超えますから、定番のリコール騒ぎが出てきてもさして不思議とは言えません。

問題は完全に協会に移行してからの騒ぎになりますから、たとえ日大回帰を唱える新区長が誕生しても、今度は協会を追い出す作業から始めないといけません。日大も光が丘病院が欲しくて仕方ないわけでもありませんから、区長が変わったからと言って掌を返す様に戻ってくるとは言い難いところです。またそこまで泥沼状態になれば、協会は追い出さなくとも逃げてしまう事も十分にありえます。

犯人さがしをやっても意味は乏しいですが、区長に「日大は不要」と囁いた人物がもしいれば罪深いことの様に思います。

nuttycellistnuttycellist 2011/12/08 14:21 地域医療振興協会の吉新理事長は、自治医大の一期生のはず。この協会の根本に立ち返るべきでしょう。地域医療の基幹病院としては、自治医大と、埼玉に分院があります。医師のトレーニング、研修の場としてはそちらを使うべきではないでしょうか。協会が、自己保存・拡大に走っている気がします。地域医療を破壊する一翼をになってどうする積りなのでしょうか。

YosyanYosyan 2011/12/08 15:54 nuttycellist様

組織も大きくなり、とくにカネが大きく動く様になれば変質します。理想よりも現実論が組織を支配するのは必然でしょう。興味があるのは今回の事件での協会の本当の立ち位置です。手を挙げる前に現在の状況とか、日大の動きについて下調べをしていたと思うのですが、それでもあえて手を挙げています。医師を集めるにしても、そのハードルの高さを知らないはずがないのにです。

そうなると考えられるのは、

 1.仲介者にガセ情報をつかまされていた
 2.正面突破をしてでも東京の病院が欲しかった

どっちも可能性はあります。ガセ情報の内容を推理してみると、譲渡に際し、日大側から移行期の協力が得られるです。そういうガセ情報がベースにあって、練馬区も協会も動いたのなら、これまでの経緯はある程度筋が通ります。ところが日大側の協力なんて話は実はどこにもなかったと後で気が付いたです。

正面突破説はガセ情報がなかったら、見ればそのままの状況です。協会の将来のために、どんな手段を使っても光が丘病院を手に入れたいです。こちらになると、練馬区と日大の交渉が全く実りの無いものに終始した理由が説明可能になります。日大との交渉時に既に協会の提示した条件が練馬区の背後に貼り付いていたです。

詮無き詮索ですが、無理を通そうとしても道理は厳然と聳える状況に見えてしまいます。

元ライダー元ライダー 2011/12/08 17:48 Yosyan さま
>日大との交渉時に既に協会の提示した条件が練馬区の背後に貼り付いていたです。

そう、それですよ、日大に対する練馬区の強気の源泉は。
そして振興協会側から見れば、『光が丘病院後継運営主体公募要項』は、これまで順風満帆できた(と思っている)経営者なら乗ってしまう話です。だって、募集条件を満たせなくなったときに足枷になる条件が無いですからね。その上で、上手くいけば大学病院の後継だってできるんだとの実績にもなるし、上手くいかなくたって本体は傷つかない。さらに伊豆のいざこざをウヤムヤにできた『実績』がありますから、乗らない手は無いです。振興協会としても。もちろん日大の体制と同等の体制でスタートすることを目指していたでしょうし、それが振興協会自身にとっても望ましいと考えていたでしょうが、そうでなくても想定内だったと思います。23区内で賃料無料の物件は『おいしい』ですから、とにかく唾だけ付けといて、後でゆっくり料理するのも手ですから。

ただ、気になるのは公募要項の一説です。
----------------------------------------------
(3)土地・建物の貸付け条件等
1. 病院の土地・建物については、無償貸与とする。
ただし、練馬区議会において議決が要件となる。
----------------------------------------------
区議会の議決が済んでいなければ、ひと波乱ありますね。

浪速の勤務医浪速の勤務医 2011/12/08 18:12 >>区議会の議決が済んでいなければ、ひと波乱ありますね。

しかし、区議会としてはのまざるをえないのでは?
だって、ここで振興協会に抜けられたら病院が消滅するのですから。
足下見られていると思いますよ。しかし、小児救急のドミノが起こりそうですね。

シロクマ粒栗院長シロクマ粒栗院長 2011/12/08 22:53 ガラガラポン の 始まりですかね。

BugsyBugsy 2011/12/08 23:24 都内は十有余の医学部があります。
>しかし、区議会としてはのまざるをえないのでは?
はい 再度日大か他の医大に頼めば 笑ってやりませゥ。

経営母体が別なら 派遣して給与をもらうだけなら楽ですから。
ツー川崎市立病院もよろしく。あ 濃すぎました。
ま ジッツの復活と思えば   ねえ。

藤原百川藤原百川 2011/12/08 23:56 小児科に限らず「大学病院」の外来が患者で混み合う姿は異常でしょう。もっともそれは現在の診療報酬制度がそうさせてきた訳です。勤務医の疲労の一端は過酷な外来業務にあるのです。
前にも書きましたが、練馬区には二つの大学病院がある必然性はないのです。高野台にある順天堂だけで充分なんです、高度医療を任せるのは。
日大にしてみれば光が丘と板橋本院は余りにも近い。板橋本院は立派なライバルT大学病院に比べれば見劣りするし、建て替えなければならない。駿河台も縮小することで千代田区を慌てさせている。
光が丘地区に必要なのは高度医療を担う病院ではなく、振興協会が「得意とする領域」の病院なのです。「地域医療を崩壊させる」なんてことはあり得ませんからご安心を。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/09 03:44 >地域医療振興協会の吉新理事長は、自治医大の一期生のはず。この協会の根本に立ち返るべきでしょう。
あまり原理主義的な行動をされないほうがいいと思います。
ここは
(お笑い)協会(官制)医局VS(なんちゃって)大学医局の構図の中で小児救急をされている小児科の先生方はたいへんだなというイメージでいいのでは
練馬区における光が丘病院問題で、区・協会・大学の誰が一番悪いと思いますか:区民アンケートがあるのかどうかはわかりませんが
私のイメージでは悪いのは区・協会・大学=5:5:0のような印象を持ちました。
戦略として悪いはの区・協会・大学=3:3:4くらいの印象を与えるような
大人の対応戦略があればと思います。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/09 04:05 光が丘病院問題はまだまだ続くと思いますのでこれをきっかけに情報化時代において
自治医大・地域医療振興協会・地域医療の本質的な部分が日本全国の医療関係者に
丸見えになるのは国益を考えると本当にいいことだと思います。
本件は
前にYosyan様が出されたストライサンド効果というのでしょうか
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20100724

元法学部生元法学部生 2011/12/09 09:11 >日大にしてみれば光が丘と板橋本院は余りにも近い。

元々、光が丘は日大が自分で建てたわけじゃないですしねぇ。
日大撤退でアレしてますけど、元々練馬区医師会病院を医師会が投げ出して、医者を出してた日大が泣き付かれて引き受けた病院ですし。

元法学部生元法学部生 2011/12/09 09:17 あと、根本的な謎として、日大が引き受けるときになぜ民法上の賃貸借期間上限である20年でなく、違法な30年契約を行政がしたのかってのもあるんですよね。
練馬区の管財課には、六法全書ぐらいなかったんですかね。

藤原百川藤原百川 2011/12/09 09:29 >元々、光が丘は日大が自分で建てたわけじゃないですしねぇ。
その当時は高野台にJ天堂さんはありませんでした。できてみれば当然、差は見えてきます。
正直な所、送る側の我々もその差は知っています。

とおりすがりとおりすがり 2011/12/09 10:13 昭和50年代団地の光が丘には子どもはいないでしょう。むしろ、高齢者救急のほうが心配ごとかと。
すったもんだがあって、ホワイトナイトとしてT洲会さんがくるとか。

とおりすがるとおりすがる 2011/12/09 11:32 週間ダイアモンド12/10日号に、地域医療振興協会についての記事が出てましたね。ざっとななめに見ただけですが、もともと地域医療のために設立されたのに、最近は首都圏の病院を増やしていて、地方自治体とももめ事が絶えず、自治医大OBも眉をひそめているなんていうかんじの記事だったようでした。

元法学部生元法学部生 2011/12/09 11:44 実は、練馬区は光が丘にある区立保育園を民間に移管するときにもやらかしてるんですよね。

業界筋では「その条件で受けられるとこないだろ」っていう無茶な条件を保護者・住民に約束して、移管事業者選定して、案の定、選定された事業者はそんな人員確保できなくてトラブルになってたはず。

SakinoSakino 2011/12/09 13:55 ……ところが、ところが、協会は、ボールを練馬区に投げ返しませんでした。第三回説明会が一昨日あったのですが、「新病院への移行時に安全に気をくばる」という一例としての数字で、数字自体に意味はない。医師・スタッフ等には引き続き鋭意努力している」趣旨のご説明。区は、この説明会や昨日の委員会で、その理由として、都の「指導」があったとして、「都」を前面に持ち出しました(どうやら、食言のようです)。正直、こういう局面で「都」を持ち出すということに、許認可の場面でデメリットはないのか。見ていて、はらはらします。また、協会は否定していますが、「50床」が事実だった場合、そこから342床に1年程度でもっていかなければ、ベッド数過剰地域(多いのは板橋・豊島で、練馬自体は、ベッド過疎地域ですが)、今度は都から確実に指導が入ると思います。そうなれば、いわゆるベッド数の召し上げの可能性を免れることは困難になると理解しています。心臓に悪い日々です。説明会概要は、http://www.geocities.jp/kuminnokai/TOP.html 。

元ライダー元ライダー 2011/12/09 16:12 Sakinoさま
第 2回住民説明会概要をざっと読ませていただきました。その上で、過去に各地であったこの手の話を基に言えば、区と協会は最初からグルですからボールのやり取りは外には見えません。外に対しては破綻するギリギリまで(破綻してもかな)協力体制を見せるのが前例です。私の地域はオーバーベッドですが、当地で運営主体の変更があった病院の場合、許可病床は約300床でしたが、医師不足から半分くらいの病床しか実動せずにいて5年経ちます。しかし、県からの指導はありません。私の認識では、地域がオーバーベッドであっても、閉院となるか、病院自ら病床を返上しなければ県が病床を召し上げることはできないのではないかと思います。ただし、「増床したい病院があるのに、塩漬けになっている病床がある」とそれなりの場で問題になった場合は別かもしれませんが。

元ライダー元ライダー 2011/12/09 16:53 >民法上の賃貸借期間上限である20年でなく、違法な30年契約を行政がしたのか

医療・介護施設を賃貸物件で運営する場合、許認可の条件として30年以上の賃貸契約を自治体から要求されることがあります。私もそうした事案に遭遇し、変だと思って調べたのですが、行政は借地借家法を根拠に30年の契約を要求しているようです。

元ライダー元ライダー 2011/12/09 16:58 細切れでスミマセン

借地借家法
第二十九条  2  民法第六百四条 の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。

当初日大側の弁護士も賃貸借の上限は20年だから30年契約は無効と主張していたようですが。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/09 17:15 この問題はどうなるのでしょうか
実はなんとかなりそうですが・・・
保険診療継承できず? 来年4月は10割負担の可能性も 練馬・光が丘病院法人交代で
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111206/tky11120619290011-n1.htm

元法学部生元法学部生 2011/12/09 17:32 >行政は借地借家法を根拠に

ああ、借地借家法ですか。自分自身が借家人のくせに知らなかった。ありがとうございます。

ママサンママサン 2011/12/09 18:18 借地借家法は、元来、居住用土地、住宅で、借家・借地人の居住権保護を目的として作られた法律。

行政所有資産の賃貸に、果たしてそれが適用できるのか・・・となります。
一般的にみると、「病院を営む」ことを条件にした貸し出し契約ですので、借地借家法の適応外とも考えられます。

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2011-12-07 非常時に便乗する人

世の中には非常時に強い人と言うのがおられます。修羅場に強いタイプとも言えますが、ちょっと違う感じで、混乱時にのみ活き活きとその能力を発揮するタイプです。混乱と言ってもタダの混乱ではなく、大混乱と言うか動乱の時代にのみその真価が現れるタイプです。幕末で有名なのは長州の高杉晋作なんかはそうだと言われていますし、土佐の後藤象二郎なんかもそうかもしれません。ある意味、西郷隆盛なんかも該当しそうな気はします。

こういう人物は平時には目立たない燻った存在であったり、下手したら破天荒な生活で身を持ち崩したりします。幕末の3人の例を挙げましたが、唯一長生きした後藤象二郎が典型で、維新の元勲に並びそうな存在であるのに、残された明治での逸話は手のつけられない暴走機関車として、誰もが手を焼くだけの無用の人になってしまっています。

平時になって世の中が収まってしまうと、その能力を活かす場所がどこにもない才能の持ち主と言えば良いでしょうか。

3月の震災も一種の非常時ですが、残念ながら指導者クラスでは「非常時に強い人」は出てこなかった様に思います。人知れず存在したかもしれませんが、私の知る範囲では登場しななかったように感じています。これはまだ非常時に強い人が能力を発揮するほどの混乱状態で無かったためかもしれませんし、そういう人物が日本で枯渇しているためかもしれません。


さて、震災直後の人々の心理状況は一言で言うと強い不安心理です。かなりの強さの不安心理で、不安を打ち消すような情報には拒絶反応を示し、不安を助長させる情報に親和性を強く抱く状態です。自分の不安感情を満足させる不安情報に満足するみたいな状態で、満足しても安心することなく、さらなる不安情報を探し回るような状況と言えば良いでしょうか。

私だってそうでなかったとはとても言えませんし、そういう不安を助長させるような情報発信と完全に一線を画していたかと自信がありません。誰しもある程度の不安情報を求めていたと思っています。不安が不安を求める一種のパニック状態と言うか、ヒステリー状態の時期は確実にあったと思っています。

とくに今回は強烈な津波被害だけではなく、原発事故問題も起こり、原発事故については現在ですら後処理が延々と続く状態になっています。津波被害も加えた地震被害だけなら強い不安状態から醒めていくのはまだしも早かったと思いますが、原発事故問題は不安心理を長く引っ張る要因に確実になったと考えています。


長く続いた不安状態ですが、それでも漸く平静さを取り戻しかけていると感じています。誰もが不安状態が強いときには、それなりに不安を助長させる情報発信は行なっていたかと思います。あれは自分の不安を満たすために、不安情報を書かざるを得ない心理状態であったからだと考えています。しかしそういう人々は平静さを取り戻すに連れて落ち着いて行っています、

かなりの人々が震災前とは言えないかもしれませんが、かなりの平静さを取り戻して時点において、浮き彫りになった一群の人々がおられるように感じています。それらの人々は震災前でもそれなりに名のある人たちです。平時でも一種の斜に構えた意見の持ち主で、それなりの評価を得ていたと記憶しています。そういう一群の方々人々が震災を契機に水を得た魚の様に大活躍を始めます。

不安心理のツボを突く刺激的な意見を次々と発表し、文字通り世間の注目を浴びます。もちろん、そのすべてがガセとかデマと言う訳でなく、正しい部分もきっとあったと思いますが、それより何より人々が求める不安感情を満たすに十分な刺激的な内容を矢継ぎ早に繰り出して行っていたと思っています。一時は時代の寵児みたいな状態であったとしても言いすぎではないと思っています。


一群の人々にとって幸いであったのは、不安の題材が放射能と言う「怖い」事だけは知れ渡っていても、実体と言われると知らない人が多いものであった点も大きかったと思います。一時は「放射能は怖い」とさえ書けば、だれでも「そうだ、そうだ」の大合唱となるぐらいでしたからね。これに対して「そこまで怖がる事はない」「正しい怖がり方がある」みたいな意見は袋叩きにされていました。

それでもそこまでの強い不安心理であっても、それでも人々は徐々に醒めていき平静さを取り戻します。一群の人々は、醒めていく不安心理を逆に掻き立てる様な刺激で対応していたと思います。醒めるのと、刺激のアップは反比例し、しばらくは奇妙な平衡状態を保っていた時期もありましたが、ついに醒める時期が来ます。

そうなった時に無闇に刺激を強化していた一群の人々が完全に浮き上がってしまったと言えると見ています。


彼ら一群の人々は、ここに至っては震災不安から抜け出られない人とは言えないと考えています。そういう人も含まれているかもしれませんが、本態として完全に違う感覚の人々だとする方が宜しい様に感じています。彼らは「非常時に便乗する人」ではなかったかと言う事です。震災による不安状態で最高の能力を発揮できる人ではありますが、その実態は不安を食い物にしている人です。

その傍証として、周囲の状況変化に付いていけません。いかなる状態でも便乗できる人なら、周囲の状況の変化を素早く読み取って変化に合わせることが出来るはずですが、彼らは不安状態が醒めても、同じ手法で押しまくるしかしません。彼らが活躍できる環境の狭さを示していると考えます。

おそらく今後は急速に支持者を失い、それでも残るカルト的な狂信者のみで閉じたカテゴリーを構築していくのじゃないかと予想しています。これも震災を彩った一つの風景であり、また風景の終焉が近づいているのだと思っています。一種の徒花みたいなものでしょうか。

非常時には平常時と違った能力が求められます。その時に平常時も非常時も変わらず強い人、非常時には弱い人・混乱する人、逆に非常時には強い人と出てくる事になりますが、非常時に妙な能力を発揮する人も確実に存在する事も確認できた様に感じています。その能力が光彩を放った時期から平常時の活躍を見直せば、少し面白い人間観察が出来るように思っています。

SeisanSeisan 2011/12/07 09:31 今の日本の統治システムはこういった非常時に強い(と思われる)キャラクターを徹底的に排除する方向に向かっているように感じます。

まあ、それでも出てくるのがそういう人なんですが、もとより、民主党(にかぎらず、今の日本の政治家・官僚全般ですが)は自己防衛(要するに何かあったら言い訳ばかりする)に長けた人材ばかりのようですから、非常時に強いキャラクターは絶対に生まれません。

非常時に強いキャラクターは私が考えるに、「下手な言い訳をしない」「マイナス思考をしない」「周囲の人と違った考え方をする」というのが絶対に必要だと思います。たとえば田中角栄なんかが典型だと思いますが、今の政治にはこういうキャラは徹底的に(マスコミ的にも)排除されます。
つか、いまの政治家で真っ向からマスコミと喧嘩ができる人はいませんからねぇ。

唯一可能性が感じられるのが、橋下徹大阪市長ですかね。
マスコミを利用して有名になった人ですが、マスコミを真っ向から批判できる人でもありますから。

匿名希・望匿名希・望 2011/12/07 11:24 ・橋下新市長

あれは単に大衆迎合が巧いのであって、「周囲と違う発想」とか「マスコミを真っ向から批判」とは違うように思いますが。

本当に危機に強い人は、大衆の意に沿わない事を説得出来る人間だと思います。

YosyanYosyan 2011/12/07 11:44 橋下氏の評価は保留にしています。ポピュリズム的手法は鼻につく部分はありますが、あれぐらいの手法を使わないと、どこかの元長野県知事のように口先だけの花火で何をやりかったかわからなくなります。橋下氏が真価を問われるのはむしろこれからで、構想を実現できるだけの権力基盤を手に入れたので、果たして何が出来るかを注目しています。

大阪府にとって吉と出るか凶と出るか、また隣接府県にも影響力拡大を企画しているようなので、それがどういう結果をもたらすかです。そうそう橋下氏が「非常時に強い人」かどうかは不明です。理由は単純明快で大阪府なり、大阪市が非常時になっていないからです。

nuttycellistnuttycellist 2011/12/07 11:51 橋本氏の政策は、殆ど知られていませんが、大阪都構想以外に、教育「改革」をぶち上げています。でも、その中身は、新自由主義経済に迎合する内容で、すでに過去のものとしか思えません。「みんなの党」と親和性が高いのもむべなるかなです。彼が政策を実行し始めたら、化けの皮がはがれるか、それとも石原慎太郎のように大衆迎合路線を突き進むのか、いずれかしかないように思えます。

SeisanSeisan 2011/12/07 12:00 橋下徹大阪市長に関しては、私も従来、大衆迎合の徒と思っていましたが、今回の市長選挙に関して、弱冠考えを変えてきている次第です。

もちろん、選挙に勝つためには大衆迎合も必要ですが、これからの大阪の改革はそういうわけにはいきません。大阪府知事時代にも、あの大阪府庁の公務員の考え方をある程度変革できた(具体的成果はおそらく松井新知事のもとで現れると思います)様ですし、今回、大阪の府市幹部の摺合せ会合でも「あの人はほんとにやっちゃうよ」的な申し送りがなされて、大阪市幹部も戦々恐々だそうです。
まあ、大阪府以上に大阪市は抵抗勢力が頑強ですから、お手並み拝見、ってとこですね。

もう一つ、大衆迎合では必ずしもないな、と感じたのがマスコミの扱い方です。
とくに週刊誌などは徹底的にプライベートまで暴いての橋下攻撃を展開しました。
もちろん新聞各社も平松迎合、橋下は無理だ、的な記事が満載でしたし、地元テレビも平松のほうが・・・な論調が目立ちました。
ただし、単にマスコミ露出という点では、改革の橋下vs反橋下の平松という点で、橋下新市長のほうが、目立ってたのが面白かったです。
もちろん、そういったマスコミの取扱いに市民も反発を覚えた面もあり、すでに一部大阪市民はマスコミ情報を鵜呑みにしないようになってきているように感じました。

そういう点で、「可能性が感じられる」と評価を代えたわけです。
もちろん、これから何をしてくれるかが最大のポイントとなりますが。

SeisanSeisan 2011/12/07 12:18 橋下新市長の教育改革は、むしろ当たり前ではないかと。
内容的には当たり前のことを当たり前にしたいための改革と感じられます。

本来国民教育は国の政治と切り離せないはずです。特に歴史教育。
極端な例としては、中国や韓国は「国の方針として」日本叩きを教科書に織り込んでいます。
アメリカでも歴史教育は国の方針として、原爆投下も正当化してます。

日本だけ、教育と政治の分離を建前に左巻きの連中が本来的な「教育」をおろそかにして政治的活動を強めているんです。
特に大阪ではその傾向が強い。
だから、無能な奴、政治活動にのめりこんだ奴はどんどんやめてもらう、というのが今度の改革の根幹だと思います。私はその点では賛成です。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/07 12:44 個人の評価は色々あると思いますが、非常時に強いのは軍隊だと思います。
今回の福島原発について、適切な対応をされたのは
無人偵察機で福島原発の正確な情報を把握された米軍だと考えます。
このこととアメリカが福島原発から80km以内にいる自国民に避難勧告
を出したことが適切だったかは検証が必要とは思いますが
私は適切な対応であったのではと思います。

774774 2011/12/07 12:58 非常時に便乗してる反原発教ワーワー信者もtwitter上ではカルト化して孤立状態のようですね。
某群馬大学教授とかIT社長ソ●ンとか、同じ反応で生暖かく見れますがw

BugsyBugsy 2011/12/07 12:59 治にいて乱を忘れずとは言うものの 平時に非常時に強い人間を見極めるというのは出来ないように思います。

先日家族で「坂の上の雲」を見ていました。
その時感じたのは 平時に昼行燈と称された予備役まじかと云われた東郷平八郎は 戦時において強力な指導力を発揮して泰然自若 一方刻苦精励と称された乃木希典は戦時においては泰然自若にみえて茫然自失にも見えました。一見非常時にうろたえないという点は共通してはみえますが 内実は違っていたようです。

少なくとも戦争と違って天災は予告もなしに瞬時にやってきますからね。落ち着いてみえる人間が実は腰が抜けているだけなのかもしれません。むしろ災害時に生き生きとするのはビジネスマンかもしれません。江戸の大火事のときに材木を買い占めた紀伊国屋文左衛門しかり 先日の大震災の時に物資を買い占めようとした企業しかりです。

YosyanYosyan 2011/12/07 19:44  >某群馬大学教授

本人が言うのだから間違いないようですが、訓告処分が下されています。それほど良く知らない人物ですが、学問の自由、言論の自由の使い方の能力に問題がある方であったぐらいに解釈しています。痛烈な批判と誹謗中傷の区別がつかない人だったと言う事です。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/07 21:48 今回の福島原発事故で私が得た唯一の教訓は
非常時には1次情報をもたない素人の意見はどうでもいい(日本人すべての意見)です。
現在、日本には原発が存在し、さらに地震・津波も起こる可能性はありますから、再度原発事故がありえると考えます。
その場合、偵察衛星・無人偵察機・サーバー部隊・スパイ等を有して
1次情報を把握しているプロフェショナルな集団(アメリカ軍及びアメリカ政府)の避難勧告に従うという教訓です。
さいわい、日本全国にアメリカ人は常におられますのでアメリカが自国民に避難勧告を出された場合は今後はその指示を第1選択に考えようと思っています。

匿名希・望匿名希・望 2011/12/07 23:15 無人偵察機を千里眼か何かと勘違いしておられる方が居られますが、アメリカ政府の避難勧告は一次情報を入手出来ない立場、また避難に伴うデメリットの少なさから、日本政府の出すものより安全係数を大きくとるのが当たり前という事は理解されても良い事だと思います。

勿論、個人が自己責任に於いて大きめの安全係数を採用するのは全く問題ありませんが。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/08 05:02 匿名希・望様

>個人が自己責任に於いて大きめの安全係数を採用するのは全く問題ありませんが
はい、ありがとうございます。私は素人なので、あくまで個人の教訓です。
あと、現時点の素人の感想ですが、今回の福島原発から80km以内にいる自国民に避難勧告は概ね妥当と考えています。また、日本政府の出すものは初期にはまったく信用できないと思いました。(今後も)

BugsyBugsy 2011/12/08 07:23 自国民が外国に在住する場合避難勧告を出すのは簡単です。しょせん外国ですから。
渡航自粛勧告も簡単です。これは日本政府もやってきました。

ところが国内の案件で居住地からの退去勧告は一筋縄ではいきません財産権や生活権がありますから。
同時に国内の災害では現地でパニックになって暴動がおこるやも知れません。周辺地域でも同様です。
風評被害を防ぐため情報管制もしかたがない部分があります。

東日本ではともかく 被災地から離れ電力制限もないはずの西日本ですら都内の暴動や食糧難がマスコミではなかったものの一般市民レベルでは面白おかしく噂されていました。
結局煽動的なマスコミの報道よりは政府広報を我々は腰を抜かして信じるしかなかったのです。身の回りの食料や水を確保するために右往左往するしかありませんでした。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/08 08:16 Bugsy様
>自国民が外国に在住する場合避難勧告を出すのは簡単です。しょせん外国ですから。
>渡航自粛勧告も簡単です。これは日本政府もやってきました。

>ところが国内の案件で居住地からの退去勧告は一筋縄ではいきません財産権や生活権がありますから。
>同時に国内の災害では現地でパニックになって暴動がおこるやも知れません。周辺地域でも同様です。
>風評被害を防ぐため情報管制もしかたがない部分があります。

はい、上記状況は承知しています。情報管制もあると思います。したがって、個人の教訓としてアメリカが自国民に避難勧告を出された場合は今後はその指示を第1選択に考えようと思っています。
この場合の要点はドイツでもフランスでもなくアメリカであること。アメリカの避難勧告は色々なしらがみ(所詮、他国ですし)がないことでしょうか。
アメリカが一次情報をもっているかどうかは軍の機密でしょうし、アメリカは自国内でも同様の場合、避難勧告を出すとは思いますが・・・

>結局煽動的なマスコミの報道よりは政府広報を我々は腰を抜かして信じるしかなかったのです。
はい、したがって繰り返しますが、まず、今後の個人の心得としてアメリカが自国民に避難勧告を出された場合は今後はその指示が第1選択です。家族もありますので・・・

サルガッソーサルガッソー 2011/12/08 12:44 事故から半年たってアメリカは避難勧告を20km圏内に縮小しているのですが、
これがプロフェッショナルの判断のようです。
http://www.asahi.com/international/update/1008/TKY201110080136.html

日本からアメリカへの情報提供が進まなかったために、アメリカは相当の安全係数(とキリのよい数字である50マイル)をとったというのが実情ではないでしょうか。

元法学部生元法学部生 2011/12/10 15:23 どの国でも、在外自国民への避難勧告エリアは大きくなると考えます。
当該エリア外に何らかの移動先がある(帰国するとか)のが普通ですし、そもそも当該エリア内に居住している人数が現地民と比較になりません。

当該エリアに生まれ育った住民をエリア外に一斉移動させるとなると、難民発生ですから負荷のが違います。

2011-12-06 首都地震対策

まずは11/22付猪瀬直樹Blogより、

「3月11日まで、我われは間違っていた。地震があったら帰宅すると考えていた。東北では“津波てんでんこ”(めいめい逃げろ)という伝承があるが、首都直下地震の場合は逆である。無意味に移動するな、だ。そのためには行政だけでなく民間企業でも3日分72時間の備蓄をする必要がある」

一種の逆転の発想と評すれば良いのでしょうか。地方都市と違い首都東京ともなると、震災が発生しても到底帰宅は困難であるとの結論に達したと考えます。帰宅困難者の試算は猪瀬氏のブログに掲示されている3/11の時のものもありますが、これに合わせて首都直下地震の被害想定(概要)もまとめて表にして見ます。


地域 帰宅困難者数
3/11調査 首都直下地震の被害想定
東京都 約352万人 約390万人

(うち23区320万人)

神奈川県 約67万人 270万人

(ただし1都3県の試算)

千葉県 約52万人
埼玉県 約33万人
茨城県南部 約10万人
合計 約515万人 約650万人


まあ物凄い数で、500万人とか600万人と言えば、我がのぢぎく県民すべてに匹敵にするような膨大な数になります。これを公共交通機関が停止し、道路も寸断、もしくは渋滞で麻痺した状態で運送するなんて「不可能」の結論に達してもおかしくありません。命令指示系統・情報伝達系統もとくに震災当日は大混乱なのも容易に想像がつきます。

帰宅するための手段がない状態で無理に帰宅しようとすれば、かえって大混乱が起こりますから、むしろ「動かない」にしようの発想と理解すれば宜しそうです。この動かない期間ですが、

    3日分72時間の備蓄

3日もすれば復旧する交通機関も出てくるでしょうし、行政側の指示系統も動き出し、情報もそれなりに広がるの計算かと思います。3日でどうなるかは、それこそ、その時にならないと判らないとは言え、これまでも3日もすればそれなりに被災地も秩序だって動き出しますし、有用な震災情報も入手できる様になるかもしれません。

これも震災被害の規模にもよりますが、3日で公共交通機関がどれぐらい復旧するかは難しい予測です。ただ震災当日に強行帰宅するよりは、ある程度の情報が入手できてから帰宅を目指す方が「マシ」との判断も含まれているとは思います。


冷静な判断としては間違っていないと思いますが、被災者心理を冷静な判断で抑えられるかどうかはまず疑問です。これでも私も被災経験者ですが、震災直後の心理は特殊です。たとえ身の回りの被害が少なくともどこかで舞い上がっています。一種の異常興奮状態で、とりとめもない事を次から次へと気になる状態になります。

個人差はあるとは言え、新しい不安情報に次々に振り回される過敏な心理状況に陥ります。流言飛語、デマの類に安易に飛びつく状況になります。そういう中でとくに気がかりとなるのは家族の安否です。とにもかくにも家族の安否を確認したくなるのは人情だと思います。これを確認することが、震災後にとりあえず無事だった人の最初の行動になるかと考えます。

阪神の時と違い、携帯電話やメイルが普及した状態ではありますが、それでも震災当日にどれぐらいこれが使えるかは微妙すぎる問題です。なんと言っても首都東京の震災ですから、帰宅困難者だけではなく、それこそ全国、さらには世界中から安否確認の問合せが殺到します。これは個人の安否だけではなく、取引先の心配もあるでしょうし、行政関係の問いあわせ数も膨大なものになるのは容易に想像されます。

東日本大震災の時にはネットは奇跡的に機能を保ち、あの落ちやすいツッターが持ちこたえたのは驚異でしたが、首都震災でも持ちこたえられるかどうかは未知数です。やはり震災発生から間もなくの時期に使用不能状態になると考えるのが妥当かと考えます。


そうなると家族の安否を確認できない状態で会社籠城を強いられる事になります。震災時に人は異常心理に陥りやすいとしましたが、そういう状態の時にもっとも辛いのが何もせずに待つという事だと思っています。とにかく何か動いていないと落ち着かないです。また動かずに待っていると、考える時間が増え、不安心理が増幅されると言うのも確実にあります。

さらにを言えば、被災者心理は集団心理によりさらに増幅される可能性もあります。3日は長い時間と言う事です。

ごく普通に考えて、震災当日は会社籠城の選択は出来ても、翌日になるとなんとか動こうの巨大なモチベーションが出てくると思います。それこそ何十kmあっても歩いて帰ろうです。この辺は帰宅困難者の自宅への距離の問題もあるでしょうが、少々無茶な距離でも動き出してしまうのが被災者心理だと思います。また、こういう時の帰宅は本人的には計画的と考えても実質的には行き当たりばったりになります。つまりは行ける所まで行って、そこから考えようです。



・・・と心情論を力を入れて書いていたのですが、どうもそんな事もすべて織り込み済みのような気がしています。建前は建前ですが、本音はもっと違うところにあるとした方が良さそうです。どうも本音の本音は「トットと帰宅してくれ」と受け取れそうな気がします。えらい建前と違うのですが、首都震災が起これば避難所の設置が必要なんですが、そのキャパシティが大きなポイントであると見れます。

首都直下地震の被害想定(概要)の避難者データがその傍証で、


分類 震災当日
避難者総数 約700万人
避難所生活者 約460万人
疎開者 約240万人
帰宅困難者 約650万人


とりあえず避難所のキャパシティは約700万人分しか確保できないとなっていると考えます。そのうち避難所生活者は自宅が被災した都民と受け取れそうに思います。そうなると疎開者は帰宅困難者のために割けるキャパシティではないかと考えます。つまり帰宅困難者のうち約400万人の行き場がないと言うか、避難場所を提供できないのが基礎計算と言うわけです。

それだけのスペースを作り出すのが困難なわけですが、現実には発生します。屋外に放置するわけにもいかないので、何らかの対策を立てなければなりません。そこで出てきたのが会社と言う建物の有効利用です。会社員なら震災後も会社を避難所にしてもらえれば急場は凌げるです。東京は本社ビルが林立するところですから、400万人ぐらいは収容できるであろうです。

それと今回の想定は比較的狭い範囲の震災被害であり、帰宅が困難になるような遠距離通勤者の自宅自体は健在の可能性が高いと言うのがあります。自宅に帰るまでの時間稼ぎを会社がやってくれれば、震災直後の避難所のパンクを防止できると言うのが本当の狙いだと見ます。

ただし東京都が提供する避難所の様に、行政が手を回すことも無理です。あくまでも会社持ちの避難所であり、運用日数も数日程度のものを構想している事になります。数日でなぜにOKかと言えば、被災者心理として自然に巨大な帰宅モチベーションが発生するからだと考えます。止めたって振り切って勝手に帰ってしまうです。家族が心配で帰ると言う人を引き止められるものではありません。いくら東京都が、

    首都直下地震の場合は逆である。無意味に移動するな、だ

こう力説したところで、3日もすれば殆んどの人間が万難を排して勝手に帰宅するであろうです。それでも帰宅が困難なものは600万人中200万人程度の避難所も用意してありますし、3日分の備蓄も籠城人数が減っていくことにより1週間ぐらいは食いつなげる可能性も出てきます。1週間もすればいくらなんでも帰宅できる人は帰宅するでしょうし。

かなりと言うか相当現実的な計画の様に私は感じました。



少し視点を変えてみたいと思います。首都と首都以外で大規模震災が起こった時の違いです。首都の方が人口が圧倒的に多く、経済の中枢でもあるだけに被害が大きなものになるのはスケールから必然ですが、もう一つ違う点があると考えています。首都以外で大規模震災が起こった時の基本対応は、

  1. 震災直後の急場をとにかくサバイバルする
  2. やがて被災地以外から救援の手が伸びてくる

これは首都であっても基本は同じなんですが、被災地外からの大規模救援の指揮者は国であり政府になります。実際の不手際は色々指摘があったりしますが、首都以外の震災の時は政府は基本的に健在です。3月の震災の時に首都もそれなりの被害はありましたが、基本的に政府機能は健在であったと認識しています。ところが首都震災となると政府もまた被災者であり政府機能の低下も避けられないと考えます。

私も古いですが被災経験者です。私の経験なんて些細なものですが、震災は起こってみないとわからない事が多々あります。建物もそうで、地震に生き残れるか生き残れないかさえも実際に起こってみないと「わからない」と思っています。倒壊もありえますし、倒壊しなくともライフラインの途絶によって機能しないもありえます。建物は健在でも内部の機能の損傷が強くて役に立たないもありえます。

高層ビルならエレベーターが動かないだけで半身不随になります。震災の時の水不足でポリタンを当時住んでいた10階まで運んだ事がありますが、運んだだけで精も根も尽きそうになりました。あの時はまだ若かったですが、今の歳なら果たして運べたかはチト疑問なぐらいの重労働です。火事だって運次第としか言い様がありません。起これば消防は期待できませんし、延焼も手の施し様がなくなります。

建物がそこそこ生き抜いて機能を保っても情報の問題があります。被災時には被災地ほど情報が入りにくくなります。中心地にいるほど情報の入手が困難になりやすいです。被災者の安否情報の確保も大変なんですが、政府が機能するためには膨大な情報が必要であり、これを機能的に収集するのが難しくなります。情報の問題は収集だけではなく伝達の問題も同様です。


政府が被災地外で基本的に健在であっても震災救助はある程度の混乱を来たします。ましてや政府自身が被災したら、尚の事の混乱が加わらないとは誰も言え無いと思います。そうなると震災直後の超急性期のサバイバルは首都以外よりも長期化する懸念は十分あると考えられます。ものは考えようで、政府が被災者であるだけにかえって対応が早くなるの期待も無いとは言えませんが、国と言う組織はそこまで反応が軽いとは思いにくいところがあります。

首都震災では被害スケールの桁が首都以外より遥かにデカイのは間違いありませんから、首都以外からの救援と言っても、それこそ国を挙げての体制が必要になるでしょうし、そんな桁外れのスケールを指揮できるのは国しかありません。そんな国を挙げての救援体制は首都以外でも時間がかかりますが、自らが被災しながらどの程度の時間で体制を構築できるかは未知数の部分が多いと感じています。

首都震災の特異さは

  1. 規模の桁外れの大きさ
  2. 政府自身が被災者になり、被災地の中心にいる
  3. 救援規模が国を挙げてのレベルになる

東京都が国の事まで含めて対策するのは無理があるでしょうが、首都以外の時と同じ速度・規模で国から救援が来るか来ないかの前提は大きな差になるように思います。もっともそこまでは事前に対策の建てようが無いと言えばそれまでですが、少し気になる点ではあります。

麻酔科医麻酔科医 2011/12/06 10:28 地震で交通手段が破壊されると帰ったら最後また出勤するのが困難になります。それを考えれば、移動に労力を使うよりも、2−3日職場でくらせるようにしておいたほうがいいでしょう。人員の確保もできます。今国家公務員の朝霞官舎の建築が問題になっていますが、国家公務員に職場近くに官舎を用意するのは、災害時などの非常事態に本当に必要なことなんですよ。まったく馬鹿だなと思います。
地震後に実感したんですが通勤というのは、電車の移動時間だけではないですね。地震の時、高層マンションに住んでいる同僚が、マンションについてからが、登山だったといっていました。電気が止まると当然水道もとまりますからけっこう辛いです。計画停電の時は、エレベーターとまるし、照明もとまって、懐中電灯で延々と階段を降りないとだめでした。重油で自家発電機能付きマンションも、地震当日は停電しなかったけれど今回のような災害時は重油の確保ができなくなってアウトでした。
今回は、首都圏がほぼ無事でもあの混乱ですから、首都圏に何かあったら2週間くらいはなんとかできないとだめかもしれません。一番アウトなのは水だろうと思います。
だって、井戸なんてないしね。川の水なんて、下水になるだろうし。
そもそも首都圏というのは、膨大な範囲から電車で人間が通勤通学して成立しているというシステムなので、移動ができなくなっただけで、かなりの問題が起こるのは、幸いにして、今年の3/15からの一週間でよく身にしみました。無駄な計画停電をしたことは無意味だったと思いますが、いろいろなことを経験して、その体験を無駄にしないことが大事だろうと思います。
あと一番の問題はネット途絶による情報伝達の途絶だろうと思います。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/06 10:53 >今国家公務員の朝霞官舎の建築が問題になっていますが、国家公務員に職場近くに官舎を用意するのは、災害時などの非常事態に本当に必要なことなんですよ。まったく馬鹿だなと思います。
本件ですが・・・
国家公務員宿舎の削減のあり方についての検討会
http://www.mof.go.jp/national_property/councils/syukusyaarikata/index.html
で検討され
国家公務員宿舎の削減計画のポイント
http://www.mof.go.jp/national_property/councils/syukusyaarikata/231201_02.pd
できちんとされていると理解しています。まったく問題はないと思います。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/06 11:08 私は首都分散が一番いいと思いますが
情報論・官僚論を踏まえて
有名な前島密(情報)氏が大久保利通(官僚)氏の大阪遷都論を建言から
話を勧めないと話に深みがでないと思います。
http://www.japanpost.jp/corporate/founder/
明治政府は新しい首都をどこにするか検討していました。前島密は、1868年(慶応4年)に大久保利通の大阪遷都論を読んで、これに対し、遷都の地はわが国の中央にあたる江戸でなければならないと大久保に建言しました。
この意見は大久保を動かし、その実現を見ました。この年7月江戸は東京と改められ、9月に天皇は東京へ行幸になり、江戸城は皇居となったのです。

この話と橋本大阪市長の大阪都構想と実はつながっているのではと推測しています。

YosyanYosyan 2011/12/06 12:07 麻酔科医様

今日のエントリーでは長くなりすぎますから割愛しましたが、飲料水も困りますが生活用水も困ります。具体的にはトイレです。もちろん究極となれば屋外で済ますという選択枝もありますが、そこまで行くには震災後とは言え、かなり抵抗感が残るものです。あくまでも目安ですが、大で15リットル、小で5リットルは必要とされます。そのうえ、これが節水しにくい代物で、むやみに節水すると詰りが生じてもっと悲惨な事になります。

これって100人程度でも膨大な水量が必要で、大1回、小4回で試算しても1日に2500リットル、つまり2.5トンが必要です。ちなみに神戸の震災時に住んでいたマンションの自治会が総力を挙げて行ったのが生活用水(トイレの水)の確保で、軽トラにタンク(たまたま近所の建設会社にあった)を調達して、水源地まで行って水汲み往復やってました。1ヶ月は余裕で断水していましたからね。

一産科医一産科医 2011/12/06 15:03 ウチはしがない産科開業医ですが、産科の場合災害が起こっても分娩はお休みしてくれませんから、最低限分娩と帝王切開が出来る能力は保てないといけません。当然、入院も維持できないとダメ。ウチの場合、基幹病院が近いので最悪帝王切開は搬送できるかなと思いますが、分娩も全部送っちゃうわけにはいかないですから、なんとか分娩は出来るように3.11以降、スタッフと色々相談しています。
非常食・飲料水・トイレ用の生活用水・非常用電源+燃料を3日分として考えましたが、コスト増が辛いですね。特に燃料の備蓄は法律が厳しくて、3日分となると結構大変です。

スタッフも、災害時は遠方に済んでいるスタッフは「帰れない/来られない」ですから、やはり3日はその時勤務していたスタッフで籠城することを計画しています。

ただ、さすがに避難民までは面倒見られません。トイレも外部者が「貸してくれ」ということになれば、あっという間に水が無くなります。それは確かに自分で何とかしてくれ、というところですね。

中越地震の時もそうでしたが、地震の直後は移動手段が無くなりますから医療施設もカバーできる範囲が狭くなります。以前は「医師会員も基幹病院に集合」なんてマニュアルがありましたが、そもそもみんな基幹病院にたどり着けないので無くなりました。生き残った医療機関がなんとか周辺の軽症者だけでもカバーしないとダメでしょうね。東京の規模だとどうなるのか、目が回りそうな気がします。

YosyanYosyan 2011/12/06 15:36 一産科医様

神戸の時の産科病院の話を聞いた事があります。当然の事ながら停電で、自家発みたいなものはなく、懐中電灯で分娩したと聞いています。帝王切開は幸いにしてなかったそうですが、完全に不意討ちでしたから大騒ぎだったそうです。水とトイレは困ったそうで、海が近かったので実際に汲みに行ったそうですが、水は重いですから効率は非常に悪かったそうです。

「トイレを貸してくれ」も、実際のところ1階の玄関を封鎖していないと続々と入ってくるし、近所の方であれば断るのは難しかったと聞いています。それこそかき集めた水で、必死になって便を削り、流し続けたと事務職員から聞かされました。幸い電気はその日か翌日に復旧したので、その点は助かったと聞いています。

職員はどの病院でも、「たまたまいた者」「なんとか駆けつけられた者」での籠城になっています。籠城と言っても食糧すら乏しく、米を炊くのも一騒動で、使った食器や調理器具も洗うのに難渋する状態です。動ける職員が紙皿や割り箸の調達、必要物品のに被災地外に遠征していたとの事です。遠征も交通事情から1日がかりの大仕事です。被災地外でも近辺ではあっと言う間に払底状態でした。

それでも神戸の時は周辺に大都市があり、患者の搬送先もあり、物品の調達もまだしも可能でした。東京で類似の事が起こった時に、周囲の都市がこれを吸収できるかは難題でしょう。神戸の時よりも医療事情は確実に悪化していますし、首都圏自体が東京にかなり依存していますから、依存先が倒れると相当厳しいとは思います。

SeisanSeisan 2011/12/06 17:55 幸い地震関連で大きな経験をしたことはありませんが、やはり、東京一極集中というのはいかがなものかと思います。
むしろ戦前のように、少なくとも経済圏は大阪を中心にすることも考えていいかと思います。

戦後民主主義の官僚制度のもと、金融を中心とした大企業にどんどん東京へ移転するように進めた行政制度のせいで世界でも類を見ない極端な一極集中が行われたんですが、だれもリスクを考えなかったのでしょうか。

あと、中央官庁の官僚が徒歩でも到達できる都心近くに官舎を作るのは私も反対はしません。
でも、官舎の家賃があまりに相場とかけ離れている点が問題ではと思います。
もちろん、一般企業でも家賃補助を行っているところは多いですが、せいぜい半分程度で、あまりに高額な家賃補助は収入の一部とみなして課税対象にされるようですので、都心の官舎に2-3万で住める、というのは事実上月10万くらいの給与上乗せとみなさなければ筋が通りません。

しがないサラリーマンしがないサラリーマン 2011/12/07 06:02 たまたま、地方公務員の友人と官舎の家賃の話をしたので。国家公務員とは少し違うかもしれませんが。
2〜3万円だと2LDK程度だと思いますが、実質金額を民間に比べたら安いですね。
ただし、地方で民間を借りた場合は家賃補助は最大で2万7千円で、実際に余分に払う金額と官舎の費用はほとんど差が無くなるのでどちらでも良いという感じです。
東京の場合はこの差が激しいから問題でしょうか。

追加で問題となることは、築年数でほとんど金額が変わらないこと。
築40年の物件と新築でも1万円ほどしか代わり舞えん。
構造その他は40年だとかなりの状況です。新築と比べると厳しいんじゃないでしょうか?
光栄住宅ですらこの年数の物件は立て替えていますので。
あと業務命令による転勤です。
3年に1度程度の転勤のたびに民間住居を借りるとなると敷金・礼金が3年ごとに発生します。東京だと2年に1度は更新料も必要でしょうか。
この辺を手当てするのかどうかで、今の家賃が妥当かどうかを線引きすればとは思います。

SeisanSeisan 2011/12/07 09:59 しがないサラリーマン様

業務命令による転勤での転居にかかわる費用は普通のサラリーマンでも同じかと思います。
私も勤務医時代は何回も転居しましたが、引っ越し関連費用が出るだけで、住居を替える諸費用は自己負担でした(公立病院を含む)。
もちろん、官舎を否定するわけではなく、社宅としての常識的な家賃設定(一等地にあるのならそれなりに高く)にすべきだと考えるわけです。

個人の話になりますが、たとえば、親が所有する家に住む(非同居)場合でも、相応額の家賃を払っていなければ、家賃相当の額が贈与とみなされて課税対象となる(もちろん親子間の贈与の非課税枠はありますが)わけですし、築年数はともかく、官舎だけが回りの相場からかけ離れた家賃で住める、というのはやはり疑問に感じます。それがちゃんと扱われるのなら、霞が関に作ろうが、新宿に作ろうが、六本木ヒルズに官舎を作ろうが、かまいませんよ、と思うわけです。

しがないサラリーマンしがないサラリーマン 2011/12/08 06:23 Seisan様

おっしゃる内容はごもっともです。
借り上げ住宅を持っているところはあまり気にしなくてもよい費用なんですが、会社の取り組みにより差があるかと思います。身の回りの話からは、所帯持ちになるとむしろ引っ越し費用の方が重しです。平気で日本の端から端へってパターンもありますので。

ところで、公務員住宅の家賃収入て一般会計に組み込まれているんでしょうかね。
きっちり家賃を取って、目的積み立てして自分たちの費用で立て替えるのがいいんじゃないの?とも思いますが、埋蔵金みたいになってしまいますかね・・・。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20111206

2011-12-05 統計データはちゃんと見ませう

12/3付秒刊SUNDAYより、

政府統計『白血病患者』が本当に7%近く増加している!Twitterで話題に

政府の統計データを公開するサイト『政府統計の総合窓口』http://www.e-stat.go.jpに公開されているデータで、大変興味深いデータが話題になっている。今年の6月までの死亡原因の表についてだが、性・年齢(5歳階級)を見てみると、白血病患者が前年比で6.6%増加しているという。日本医師会は『白血病患者急増』はデマだといったばかりに、これは物議をかもしそうだ。

問題の表は政府が発表している「政府統計の総合窓口」の中にある『死亡数,性・年齢(5歳階級)・選択死因分類別 』という表。

それによると白血病患者の割合が前年比の6.6%になっていることが記載されている。もしこれが事実であるとすれば、原発の影響で白血病が増えているという噂もまんざら否定できなくなるし、日本医師会が『白血病患者急増』はデマだといった件も翻ってしまう可能性もある。

ただしこのデータは6月までのデータなので何か別の原因でたまたま増加しているだけなのかもしれないし、実を言うと白血病意外にも結核等、増加している死亡原因がチラホラあるのでそちらのほうが不気味ではあると感じる。

いずれにせよ、このデータが日本医師会の発表でないことは変わりがない。政府が正しいのか、それとも日本医師会がこれを認めるのか、時間がただ過ぎていくことにヤキモキせざるを得なくなってきた。

どうでも良いような飛ばし記事ですが、暇つぶしに付き合います。


日医はデータの認定者ではない

とりあえずですが、

    日本医師会が『白血病患者急増』はデマだといった件も翻ってしまう可能性もある。

日医の話とは、11/29付ネット上の書き込み「白血病患者急増 医学界で高まる不安」についてであるとするのが妥当ですが、日医が否定したのは現時点での白血病「発生率」7倍説の否定であり、さらにデマ記事に書いてあった日医会長のコメントなど行っていないの発表です。今回の原発事故の影響については正確なデータを未だ把握していないとしているだけです。

日医とて原発事故でこの先に白血病患者が増えないとは一言も述べていません。あくまでも現時点で確認できるデータで白血病増加、とくに7倍増説を裏付けるデータがないと言っているだけであり、この先で白血病増加を裏付けるデータが出てくれば当然認めます。現時点の「7倍増説否定」は「この先の白血病患者増加否定」と同じでないのはオリジナルを読めば明らかです。具体的には、

統計の数値につきましても、現段階でそのようなデータについて確認できず、信憑性を疑わざるを得ないものであります。

いつもながら高度の編集創作が加わると

    日医が白血病7倍増説デマ否定 → 日医が白血病増加説完全否定 → 日医は間違っているかもしれない

注釈を加えておくと、日医は疾患の統計データなど取っていません。データは各医療機関も集める事はありますが、公式のもの、とくに全国規模のものは国ないし公的機関によるものです。またデータの解釈は日医だって行いますが、別に日医の解釈が特別の重みを持っているものではありません。日医とて単なるデータ解釈者の1人に過ぎず、逆に日医が認めなくともさしたる影響はありません。

秒刊SUNDAYは日医がデータを認めるかどうかに異常な位置付けを勝手に与えていますが、単なる妄想であると断言しておきます。どうせなら学会が認めるかどうかならまだしも重みがありますが、日医が認めるかどうかなんて医療者の誰もさしたる興味も関心も無いと言えば宜しいかと思います。白血病発生率7倍増デマの作者も日医の存在を勝手に拡大して妄想していましたが、秒刊SUNDAYも同じレベルで妄想を膨らましておられるのは良くわかります。


面倒だがデータ処理

秒刊SUNDAYが唯一無二の根拠としているのが人口動態調査の白血病死亡者数のデータです。

    それによると白血病患者の割合が前年比の6.6%になっていることが記載されている。

秒刊SUNDAYの記事には人口動態統計の白血病死亡者数の部分の画像引用までありますが、そこには「680人」と「6.6%」増の数値が確認できます。個人的に秒刊SUNDAYはこの数値をどういう風に理解したのか極めて疑問です。「680人」が今年のいつのデータであるかを判っているかどうかさえ疑問と言う事です。人口動態調査の今年の速報分は6月分まで発表されていますが、「680人」は6月分のデータを指しています。1〜6月のデータを表にしておくと、


平成23年 平成22年 増減 増減率
1月 680 656 24 3.7%
2月 634 582 52 8.9%
3月 669 662 7 1.1%
4月 655 645 10 1.6%
5月 660 664 -4 △0.6%
6月 680 638 42 6.6%
3978 3850 128 3.3%


たしかに6月分の白血病死亡者数は前年度比で6.6%増えていますが、震災前の2月データではそれを上回る8.9%増です。さらに言えば6月の前の月である5月データでは前年度より死亡者数は減少しています。これだけのデータで何か言えるとは到底思えません。では平成22年と平成21年ではどうかです。


平成22年 平成21年 増減 増減率
1月 656 688 △32 △4.7%
2月 585 555 30 5.4%
3月 662 680 △18 △2.6%
4月 645 615 30 4.9%
5月 664 676 △12 △1.8%
6月 638 623 15 2.4%
7月 702 648 54 8.3%
8月 725 702 23 3.3%
9月 721 685 36 5.3%
10月 707 702 5 0.7%
11月 678 636 42 6.6%
12月 693 680 13 1.9%
8076 7896 180 2.3%

前年同月比のデータはバラツキが大きく、「6.6%」を越える月もありまし、そうでない月もあります。平成22年も1-6月は前年より下回る月が出現していますが、後半では前年を上回る月が増えています。こういう状況で今年の6月が去年の6月より「6.6%」増えたデータに意味を持たせるのはかなり困難です。ほいじゃ面倒ですが、年次推移はどうかです。


死亡数 人口10万人
対死亡率
前年比
単純増減数
前年比
単純増減率
2000 6766 4.9 * *
2001 6940 5.5 174 2.6%
2002 6969 5.5 29 0.4%
2003 7018 5.6 49 0.7%
2004 7048 5.6 30 0.4%
2005 7283 5.8 235 3.3%
2006 7429 5.9 146 2.0%
2007 7607 6.0 178 2.4%
2008 7675 6.1 68 0.9%
2009 7896 6.3 221 2.9%
2010 8078 6.4 182 2.3%

見ればそのままなんですが、白血病による人口10万人対の死亡率は漸増を続けています。2000年から2010年の間に1.6人増えています。死亡者数の単純増加率については変動が大きく、殆んど変わらない年もあれば、3%を越える年もあります。それでも緩やかに増加しているのだけは言えます。今年の1-6月の単純増加率は3.3%です。これとて7−12月の集計が出てこないとどうなるかは不明です。


あえてまとめると、

  1. 今年の6月の前年比の死亡増加率「6.6%」は高い方であるが、震災以前にももっと高い率で増加を示している月もある
  2. 今年の1-6月の死亡増加率は「3.3%」であるが、月毎の変動は大きく年統計が出るまでまだ何もいえない
  3. 最終的に年統計が「3.3%」になっても、同程度の増加率の年はある

白血病の発生率、死亡者数、死亡率が原発事故の影響で増える可能性がある事は否定しません。それこそ増えるか増えないは注目されているところです。ただし数値として現れるまでには時間がかかります。それこそ5年、10年と言う単位の観察が必要です。間違っても6月単月の白血病死亡者数の前年比が「6.6%」であるだけでは何も言えません。

こういうデータを出すと、政府集計だから「そもそも信用出来ない」「そのデータが正しい根拠を示せ」と頑張る人も出てくるようですが、正直なところそこまで付き合いきれないところがあります。人口動態調査に人為的な操作が加わっているかどうかを証明するのは反論者のお仕事です。陰謀論は暴いてこその陰謀論であり、自分の主張に不都合ないかなるデータもすべて陰謀論で否定するのは安易さも度が過ぎると感じます。

ここまで力を入れて統計データを掘り起こすほどの相手ではありませんが、すぐに踊られる人が少なくありませんから御参考までに出させて頂きました。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/05 08:01 いちおう、こっちも。
> http://togetter.com/li/222594

こっちはギャグかな?
> http://togetter.com/li/222002
野菜って規格品以外は、けっこうでっかいのもあるのねえ。
桜島大根は元々でっかいし。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/05 08:07 グラフがきれいにまとまってました。

> 統計的に見た、白血病起因による病死者数変移
> http://www.jgnn.net/ls/2011/12/post-3476.html

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/05 08:13 よく知らないのですが
白血病死亡者数の学会レベルのデータベースはないのかなと思いました。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/05 09:50 >人口動態調査に人為的な操作が加わっているかどうか

人為的な操作は
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1.html
1.期間限定
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001028897
から見れる公開情報が平成7年からのデータだということです。
それ以前もあると思いますが、ここからわかりません。他の場所にデータがあるかも知れませんがそこのリンク先は提示されていません・
2.法的根拠
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1b.html
目的は明示されていますが、法的根拠が明示されていません。
3.予算・人数の非公開
どの程度の予算・人数を使ってされているかが非公開です。
このあたりでしょうか

BugsyBugsy 2011/12/05 12:05 遠い昔の記憶ですが AIDS日本上陸なんてありました。
それから頻々として悪性リンパ腫の国内発症が急に増加したなんて報道があったもんです。
良く考えると10年―20年のスパンで日本の高齢化は進んでいるわけで 免疫応答の弱った高齢者の悪性リンパ腫
は増えて当然だったのです。それを思い出しました。

今回の白血病の発症年齢のうち高齢者の部分で増えたのではありませんか。オイラはそれが気になるのです。

当薬竜胆当薬竜胆 2011/12/05 12:39 統計の戯れを少ししてみると、平成22年1月から平成23年5月までの前年度比増減率17サンプルの統計要約は

第 1 四分位 0.7%、中央値 2.4%、第3四分位 5.2%

ですので、6.6%やや外れた値ですが、上側ヒンジの8.9%には満たないので気にするほどの外れ値ではない。

敢えてt-分布に従うと考えて6.6%の上側確率を求めると、0.08となるので、このくらいのサンプル数を取っていればあり得る確率です(少なくとも1回起きる確率は、0.75)。

個人的には、上記の中央値が、0ではなく、プラス側にある要因に興味をひかれるのですが。

YosyanYosyan 2011/12/05 12:48 Bugsy様

 >今回の白血病の発症年齢のうち高齢者の部分で増えたのではありませんか。

確認してみると、まず悪性新生物の死亡者統計ですが、

80-84 16943 23978
85-89 14577 22230
90-95 6938 13247
95-99 1547 4784

前の数字が2000年、後の方が2010です。高齢者の悪性新生物の絶対数は確実に増えています。白血病を探すのが大変なんですが、とりあえず見つけられたのが人口10万人対のものですが、前が2000年、後ろが2010年です。

65歳以上 17.8 20.1 
75歳以上 22.8 27.2
80歳以上 25.3 29.7
85歳以上 26.8 30.5

高齢者の白血病は死亡率も絶対数も確実に増えていると見ても良さそうです。

BugsyBugsy 2011/12/05 14:55 Yosyanさま
お忙しい時間にも拘わらず ちゃっちゃとお調べいただいて有難うございます。
ある種の悪性腫瘍と免疫 あるいはウィルスの蔓延とはっきりと関連付けられるものもあります。白血病については存じ上げませんが 脳腫瘍だと高齢者ほどグリオーマの悪性度は上がっています。
俗説なんでしょうが、年寄りほど癌の進行が遅いなんて言われるようですが、オイラの分野ではむしろ早いですねえ。

nomnomnomnom 2011/12/05 23:05  血液学会では、何年か前から血液疾患登録始めてます。ネット上では出てなかったかと思います。地域がん登録も始まりましたが、これもリアルタイムではなくて仮登録から、本登録まで6ヶ月のタイムラグがあります。
 死亡統計から増えていることを考えるにしても、発症からのタイムラグがあります。まあ今回は、Yosyanさまのおっしゃる通り、統計データの数字はちゃんとみませうのレベルなんですが、かりに6月に本当に白血病の死亡者数が上がったとして、無治療の急性白血病でも2−3ヶ月は持つことが多いし、まして治療すれば、なおる人も出てきましてもなおらないまでも、半年以上持つことはざらです。ざっと急性白血病一般としても高齢者でも11ヶ月程度、若年だともっと持つことが多いです。(もちろん急性白血病でも、予後のいいもの悪いもの様々ですが)まして慢性白血病なら、数年以上、TKIでてからかなり増悪する人はまれ。慢性リンパ性白血病なら自然経過でも10年以上はざら。もしかりに6月の死亡者が増えたのが誤差範囲以上のものだとしても、実際の臨床的発症は、今年の3月以前、分子生物学的な発症となると数年以上前。どう考えても今回の原発事故とは関係なし。
 映画やドラマの影響で、白血病は若い人の病気のイメージですが、じつは高齢者ほど多く、今後も原発事故とは関係なしに、団塊の世代が高齢化すると増えていきます。
 Bugsyさま
「年寄りにできたがんほど進行が遅い。」といわれる方は多いですが、いつも嘘ですと説明します。進行のスピードはそのがん種によって違う。白血病でも慢性と急性では違いますし、リンパ腫でも進行の遅いもの、遅いものがありますし。逆に高齢者の白血病の方が骨髄異形成症候群からの移行であったりして、治療抵抗性のことが多いですね。極端なたとえとして、「癌ていう一つの病気はないのですよ。」説明しています。

BugsyBugsy 2011/12/06 00:18 nomnomさま

>「癌ていう一つの病気はないのですよ。」説明しています。

いいっすねえ、これ。著作権なんておっしゃらず、自分たちにもこの言葉是非使わせてください。オイラの専門の脳腫瘍は数十年前から全国統計やってます。やっぱり高齢者の悪性腫瘍は増えています。いや悪性腫瘍になる高齢者が増えているともいえますね。分子生物的にローグレードの星細胞腫が発見されねば年数を経ると悪性化するというのもあるし、まあ高齢化して転移性脳腫瘍、原発巣不明なんて例はうなぎ上りです。脳外科医の思いとは別に 癌の数ほど転移性脳腫瘍は潜在的に存在していると感じ始めています。遠隔転移という事で脳外科に紹介されないだけなんです。少なくはないはずです。

加齢とがん発症って古くて新しいテーマです。免疫能低下だけなんですかね。それと悪性であればあるほど細胞が幼弱化しています。先祖がえりかなあ?胎生期の細胞が残ったとも思えないし。年寄りの腫瘍組織で胎児の細胞みたいなのが見えるとしみじみ考えますよ。白血病も幹細胞みたいなのがあるんですかね。興味が尽きません。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/06 05:08 歴史的には
人口動態調査そのものが人為的な操作ともいえると思います。(少なくとも江戸期には
無かった)

がん関連の学会はいくつかあると思いますが、学会レベルで原発の影響で白血病が増えているという噂について何かコメントを出されているところがあればと思いました。

色々な表現方法があります。本例に仮に使用してみると
「原発の影響で白血病が増えているという噂について」(そのまま)
「原発の影響で白血病が増えているという噂についての見解」
「原発の影響で白血病が増えているという噂についての考え方」
「原発の影響で白血病が増えているという噂についての基本的姿勢」
「原発の影響で白血病が増えているという噂についての緊急声明」
など
日医は
ネット上の書き込み「白血病患者急増 医学界で高まる不安」について
でした。

nomnomnomnom 2011/12/06 20:09
Bugsyさま

どうぞおつかいください。
 あとよく使う台詞に「9割治る治療でも、なおらなかった1割に入れば、あなたにとっては100%治らない治療だし、1割しか治らない治療でもそっちに入れば助かる治療。治療成績はいえてもあなたがどちらに入るかはわかりません。」納得される方もおおいです。

 ところで、悪性リンパ腫のWHO分類第4版(2008)のなかの、びまん性大細胞リンパ腫の一亜系として老人性EBV陽性びまん性大細胞リンパ腫(EBV positive DLBCL of the elderly)という概念がいわれています。高齢になっての免疫低下の関連がいわれています。
 
 白血病幹細胞は、トピックスの一つですよ。CMLがグリベック等のチロシンキナーゼ阻害薬で抑えれるものの、完治が困難というのも白血病幹細胞レベルで残っているといわれており、白血病の治癒を目指すには、白血病幹細胞レベルの根絶が必要かと、いろいろ研究されております。

 これも患者さんによくいうたとえですが、「血液は造血幹細胞からいろいろな段階に成熟して、白血球、赤血球、血小板などの細胞になってそれぞれの働きをします。人間でいえば赤ちゃんから、幼稚園児、小学生、中学生、高校、大学そして社会人になってそれぞれの職場で活躍するようなものです。急性白血病ていうのは、かってに未熟な段階の細胞(芽球)が増えている状態、たとえでいえば幼稚園児や小学生だけ集めて会社が運営できないのと同じ状態ですよ。これではまともな社会は維持できません。」

2011-12-03 あのクソッタレに報いあらん事を

日常診療のお話です。現状のワクチン接種はバラ打ち希望が多く、インフルエンザ接種とも重なってスケジュール調整に大変な状態になっています。すくなくともうちの診療所はそうなっています。ここに「とある接種希望者」がいました。希望者と言っても小児科なので接種されるのは子供で希望するのは親であるのは適当に脳内置換してください。

その「とある希望者」はロタ接種も望みました。うちは前に書いた通りで、バラ打ち接種をやりながらロタを接種するのはスケジュール的に無理があるので現在採用しておりません。そこでうち以外の某他院でロタ接種を受けています。ここまではまあ良いのですが、問題はここからで某他院は同時接種をやらない方針だそうです。そのうえで接種スケジュールは「親が考えろ」で突き放されたそうです。

現在の予防接種のスケジュールは複雑です。とくにバラ打ちともなると難解至極のものになります。神戸はBCGが集団接種のためにさらに難解になります。これだけ複雑になった接種スケジュールを理解せよと言うのも無理があります。医学生だって実地の問題として与えたら、まともに答えが出せるとは思いにくいところがあります。

だいたいですが、ロタ接種をバラ打ちでやる事自体に無理があり、前に作った参考モデルを再掲してきますが、


週齢 ワクチン
6週 ロタ 1回目
7週
8週
9週
10週 ロタ 2回目
11週
12週
13週
14週 DPT 1回目
15週 Hib 1回目
16週 PCV 7 1回目
17週
18週 DPT 2回目
19週 Hib 2回目
20週 PCV 7 2回目
21週 BCG
22週
23週
24週
25週 DPT 3回目
26週 Hib 3回目
27週 PCV 7 3回目


頑張れば27週で終了すると読んで欲しくないところで、これだけギチギチのスケジュールで進んで行っても27週かかると読み取って欲しいところです。途中でトラブルがあればさらに伸びますし、それより何より、DPT・Hib・PCV7で最も予防したい疾患(時期)に効果を期待するための条件である「生後6ヶ月」以内をオーバーしています。「生後6ヶ月」も出来るだけ早く接種終了する方がより望ましいのも付け加えておきます。

ロタ接種を行うなら同時接種を行わないと無理です。あくまでもバラ打ちでロタ接種を望まれたらドライに断るのも一つですが、あえてやるなら、表にしたような次善のスケジュールでせめて頑張るか、他の予防接種が必然として遅れる事のデメリットを十分に説明すべきかと考えています。

この某他院はそのすべてを放棄し、そもそも同時接種はしない、接種スケジュールのアドバイスもしないなのです。そういう事情で困った「とある接種希望者」はうちに泣きついて来たと言う展開です。そりゃ困るだろうと思いますが、うちだって接種スケジュールが難解・複雑・無理になるのでわざわざロタを採用していないのに、某他院が適当に接種した後のスケジュール調整を押し付けられても迷惑千万でしかありません。

適当にロタ接種を一発やらかされた後の尻拭いを何故にやらにゃいかんのだと言う本音です。正直不満タラタラで、「うちゃ知らん」と内輪では毒づきしまくりでしたが、見捨てるわけにもいかず黙々と尻拭いをやる羽目になっています。まさしく「クソッタレ」状態です。もっと嫌なのはこれからも考えなしに適当にロタ接種をやらかして「後は知らん」を続けるのは間違いないので「クソッタレ」の上に傍迷惑極まりない存在が続きます。



「クソッタレ」ついでですから、毒づいておきますが、複数回を続けて接種するワクチン(DPTとか、Hibとか、PCV7とかです)があります。みみっちいと言えばみみっちい話なんですが、公費の設定は初回が高く、2回目、3回目が安くなります。値段の差は初診料と再診料の差ですが、結構大きなものになります。

これを初回だけ接種して、2回目以降は「忙しいから出来ない」と他所に投げられるところがあります。これも本当にやむを得ない事情の時もあるかもしれませんが、妙に目に付くところがあります。「またあそこか」の世界です。建前上は2回目以降でも接種医療機関を変更すれば、改めて初診料込みの料金を取れるのですが、取れる部分は自費となり、現実としてなかなか徴収が難しい部分があります。

料金で言えば一番美味しい初回接種だけ積極的に取って、2回目以降の安価な方を放り投げる姿勢に嫌な気分を味わっています。一度接種を始めたならば、希望者の意思で医療機関を変えた場合はともかくとして、そうでなければ最後まで責任を持つのが原則だろうと思っています。

インフルエンザでも初回だけやって2回目は「ワクチンがなくなりました」と断ってしまう医療機関は実際に存在します。小児科は2回接種が原則ですから、毎年、2回目の残りリストを常に確認し、さらに接種意思が残っているかどうかを電話で確認しながら、残りのバイアルをどれほど確保しておくかを計算するのに大きな手間をかけている者からすると信じられない「雑さ」と思っています。

ま、インフルエンザはさすがに問題になったらしく、医療機関を変えれば2回目でも初回料金を堂々と徴収できるのですが、これが患者の都合ではなく、医療機関の都合で起こる事に怒りが禁じえないところです。



もっとも医療でこの程度の事は「ささやかな事」であり、もっと物凄い「クソッタレ」はゴロゴロしています。ですから私が憤慨した程度の事柄は極めて平穏な部類に属します。それは判っていても「なに考えとるんじゃ」ぐらいの憤懣は生じます。ちょっとしたガス抜きを今日はさせて頂きました。

atsushimiyaharaatsushimiyahara 2011/12/03 08:41 世田谷で小児科医などをしております。似たような事例を体験しました。
http://setagaya-syouni.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-21f1.html

 ちなみに↑の病院では産科復活が大命題であるのですが、このかたがいらっしゃる限り無理だと思います。幹部も嘆かれていました。

SeisanSeisan 2011/12/03 09:30 どことも同じように悩んでますね。

うちは同時接種積極推進で、ロタもオンスケジュールしました。
でも、問題はお隣の市がBCGが4か月健診時に集団接種なこと。
これをスケジュールに組み込みながら「もうギリギリだから」とロタを希望してこられると、かなり厳しいです。
せめて、集団接種との同日接種を認めてくれれば話はスムーズなんですが、原則禁止です。

ただ、事前に相談していただければ、裏ワザとして、その自治体は「かかりつけでBCGをしたい」ということを言えば、依頼書を発行してもらうことで個別接種を認めておりますので(うち自体がそこの自治体のBCGバックアップをしているというのもあるんですが)、それでうちでロタとBCGの同時接種をする、ということが可能になっています。

問題は、Hib/PCV7の相互乗り入れが整ってないので、仮払い/償還制度にしかなっていないことかな。
そのため、Hib/PCV7(+DPT)に関しては、地元の医療機関で同時接種をしてもらい(ええ、してくれるところを把握してるので、そこに頼むんです)、BCG/ロタや不活化ポリオをうちでする、というややこしいやり方をしたりしてます。

うちの市の方なら、基本的に「同時接種でなければロタはできません」と説得しています。
また、幸い予防接種関連の役を医師会でいただいてますので、同時接種の推進を小児科医会で説いているせいか、比較的皆様同時接種をしてくださってます。
もちろん、保護者の方が嫌がる例も多く、それを説得してくれないので、個別接種でしてます、なんてのは結構いますけどね。

うちの市および周辺自治体は、複数回接種のワクチンの補助額は均等割りなので、1回目だけが高い、ということはなくて済んでます。まあ、その価格決定プロセスもだいぶもめたんですけどね(笑)

中国地方の小児科医中国地方の小児科医 2011/12/03 12:18  久しぶりにコメントさせて頂きますが、いつもこのブログは拝見いたしております。
 こちらのワクチン事情についてお話しさせて頂きます。当県は全国的にみても恵まれている方だと思います。定期接種はもちろん、ヒブ・肺炎球菌・子宮頸がんワクチンもすべて公費で実施され、基本的には県内どこの自治体でも接種できます。接種料金も、医療機関にとって十分な金額が設定されています。初回も2、3回目の接種も同料金です。
 同時接種に関しては、当院では比較的スムーズに行っています。最大の理由は、当県では1ヶ月健診が公費で無料のため、必ず小児科を受診するという点です。この時に、専門家である小児科医が今後の予防接種のスケジュールを懇切丁寧に説明します。多くの医者が、同時接種の安全性に関してもきちんと説明します。そのため、親は同時接種に対してあまり抵抗がありません。ヒブ・肺炎球菌の接種率もかなり高くなっています。
 ただし、小児科医の中にも温度差があり、同時接種を積極的に進めない方もいます。「すべて親の判断に任せます」的な小児科医も少なくありません。私見ですが、これはやはりおかしなことと思います。医学的に何が正しいことであるかは明らかな問題ですので、専門家である医師がはっきりと安全性を説明し、納得させるべき問題であるように思います。
 もちろん、不安の強い親には無理強いすることなくバラ打ちしていますが、全体からみると少数です。一般の方の意識が都市部と違うようには感じますが。

 ロタワクチンは私は開始していません。私の不勉強かもしれませんが、現在の日本の医療事情を考えると、他のワクチンに比べてそれほど必要性がないように感じています。接種スケジュールもかなりタイトになるため、無理をせず、まずは現在のワクチンを確実に接種するようにしています。

YosyanYosyan 2011/12/03 13:52 Seisan様 中国地方の小児科医様

読んでると羨ましくなります。この差が出る原因は様々でしょうが、一つに人数の差はあるように思っています。これは接種側、被接種側の双方に言えそうなんですが、意見を集約したり情報を周知させるのには少人数の方が有利です。多くなるほど情報伝達に漏れが多くなり、異論反論を唱える者が多くなるのは避けられません。

さらなる問題は異論反論がその個人レベルに留まるか、他に拡がりを持つかの差も大きいものがあります。対象人数が多いほど異論反論を広げようと頑張れる方の人数が増えます。出現率は同じでも絶対数が異なります。母数が多いほど強硬な方々が出現する人数が増えます。

神戸のワクチン行政も無茶苦茶悪いとは思いませんが、医師会も最大公約数的な意見しかまとめません。つうか、それ以上に集約しようとすれば強硬な反対論者が確実に混じってくるので集約できないんじゃないかと思っています。なにせワクチンには強硬な不要論者もおられますから、あるレベル以上の意見集約をやろうとすれば紛糾する危険性は多々ありみたいな感じです。接種される希望者サイドも似たようなところはありそうです。

幸いな事に今日書かせて頂いたような事例はごく一部のことであり、それこそ内輪で「クソッタレ」の呪詛を唱えていれば我慢できない範囲ではないとはできます。


ついでですから、もう一つだけ軽いストレス解消を書いておきます。これも某々他院となりますが、バラ打ちしかしないと言うのはともかく、HibとPCV7は接種してもなぜかDPTは接種しないと言うところもあります。予防接種の成り立ちを考えると、どうしてそんな変則な接種をやっているのか理解困難なんですが、とにかくそうなっています。

DPTも接種したいとなれば他院とかけもちにならざるを得ず、かけもち対象に当院が選択されることもあるのですが、正直なところ「なんでDPTをしないのか?」「そんな中途半端な事をやるなら、やめればよいのに!」は偽らざる感想です。なんらかの信念で接種されているんでしょうが、色んな考えの医師がおられるのには時々驚かされます。

oldDroldDr 2011/12/03 14:22 つぶクリ(非小児科)で接種しています。
近隣の病院小児科であるワクチンを接種しはじめ、他のワクチンを当院で接種したいと来る方(親)がいます。
理由を聞くと、接種のタイミングや、接種日の待ち時間であり、親の意向や接種費用も問題でもなさそうです。掛け持ちでもよいので接種を完遂しようと努力されています。

インフルエンザワクチンは、不足しているのか、供給を制限しているのか、品薄になりました。昨年と同じ数量は確実に入るとのことなので、小児の接種量が微妙に増えたことで、小児科開業医らの接種計画が狂ったのかもしれません。
インフルワクチンの確保のため卸に連日電話しています。1回目をしたら2回目もぜひ当院で受けてほしいところです(つぶクリとしては)。

YosyanYosyan 2011/12/03 17:29 oldDr様

 >1回目をしたら2回目もぜひ当院で受けてほしいところです

うちも同感で、そのために必死になってワクチンの在庫調整やってます。これで残って返品したら非難の対象にされかねませんから、連絡よろしくと心に念じています。もっとも来ない人からは、まず連絡は無いですけどね。

 >不足しているのか、供給を制限しているのか、品薄になりました

そうなんですか。この辺は地域柄もあるかもしれませんし、うちだって週が開けたら突然本数制限とか言われるかもしれません。そういう供給コントロールも突然行われますからねぇ。

予防医予防医 2011/12/03 20:19 「ショックドクトリン」を読んで、米国の「グローバル・スタンダード」が人非人拝金奴資本主義者の陰謀である一面に戦慄しました。
しかし、医療倫理や医療ガイドラインの「グローバル・スタンダード」は、良いところのほうが圧倒的です。アメリカ人は、自分たちが経済上非倫理的な医療制度を敷いていることは棚に上げてではありますが、すこぶる立派な理想を掲げます。小児科医のバイブル、"Red Book"など、素晴らしい出来にいつも感嘆します。
日本の厚生労働省の役人が、"Red Book"を知らないはずはない。なぜ、馬鹿げたワクチン行政を続けるのでしょうか。
日本のワクチン接種が「グローバル・スタンダード」に早く追いつくように祈るばかりです。ご健闘を支援いたしております。

場末小児科場末小児科 2011/12/04 09:29 話が横道にそれてしまいそうですが、今年のインフルエンザワクチンの「分配」のことです。当地区では例年卸から「前年並」で分配が決められてきます。開業初年は卸の試算と実際の実績で分配されますが、その後はほぼ一定の割当になります。もともと他のワクチンと違って年間生産量が決まっていますので、卸自体にも前年並で「分配」されることになるから仕方ないのですが。
今年は「接種量」の改定で小児科のワクチン不足が予想された(というか「確定」された)にも拘わらず、ウイルス混入での検定落ち騒動で、卸での「再分配」がなされて、何と「前年割」の状態となりました。
簡単に試算しても小児科では「1.6倍」程度の増量が必要だったにも拘わらず、「前年割」では全く足りません。また、「接種料金」も本来なら「1.6倍」でもおかしくないのに「前年並」のところもある中、当院はそれでも500円の値上げをしました。
当地区はヒブもプレベナーも頚癌ワクチンも公費負担で、「音を上げる」ほどの予防接種外来の混雑で閉口の上、見かけの高額収入の割に高額ワクチン原価であることと高額となる消費税の損税という状況の上でのインフルワクチンですので、CDCや添付文書上の抗体獲得を参考に「昨年接種があれば1回接種でもそれなりの効果があります」を押し出してワクチンを基本かかりつけの出来るだけ多くの子供に接種しよう(しかし500円は余分に負担して頂いて)と目論みました。
そこまで英断した結果、1ヵ月程でワクチン本数に足りて予約を締め切ったのですが、「新型インフルワクチン」の時にも身に染みて感じた「気軽な」キャンセル(接種を待つ間に他院での早期そして格安の接種に向かうのでしょう)の嵐が起こり、それなりにワクチンが余る状態になりました。
締め切り後に連絡を頂いてお断りをした方々に申し訳なくて「再予約」を躊躇したのですが、例年ならまだ予約を入れている時期でしたのでその後も連絡がありましたので英断して「再予約」を開始しました。それは数日で終了しましたが、受付の計算違いで今度はワクチンが少し不足することになりました。
卸に泣きつき、月毎に配布される中から何とか不足分が確保できそうだ、ということになりました。しかし、結果は「気軽な」キャンセルでほぼ不足分がチャラとなりました。
当地区でも「大手」の小児科は何故か潤沢にワクチンが入手できるところがあるかと思えば、2回目のワクチンの入手が難しくなっている小児科もあります。
今回の「接種量」変更に伴うワクチン「分配」への国の指導、前年接種者への事実上適切な「接種回数」の取り決め、「気軽な」キャンセルへの対応など色々な問題があります。
でも、例年儲けを期待してやっている訳ではないインフルワクチンですが、今回ほど「もうやりたくない」と思った年はありません。

みかんみかん 2011/12/04 17:33 Yosyan先生

開業していますので、医局の雑談を聞く感じで、エントリーを楽しみにしております。

ロタウイルスワクチン、どうしたものかと思っています。こんな問題も出てくるのですね。

いますよねぇ。こんな身勝手なヒト。
医師としてどうかと思いますが、患者さんが集まっているようなのが(以下省略)。

小児のインフルエンザワクチン、先生は2回目接種漏れがないようにチェックされているのですね。
1回しか接種しなかった場合の効果、どこかで見たような気がするのですが、すいません。

SeisanSeisan 2011/12/05 00:50 最大限に好意的に解釈するとしたら、一般診療が手一杯なため、ワクチンに関して、同時接種の説明・説得を含む努力を放棄していることが考えられます。

つか、知り合いにはそういう開業医もいますので。
元からキャパが少ないので、一人当たりに手間のかかる同時接種をしない、という考え方ですね。
それはそれで困るんですが。

こういったものは、来た患者に一人ひとり同時接種などを説明説得するのではなく、厚労省をトップに行政が積極的に同時接種を推奨してくれればいいのに、例によって責任を現場に押し付けるかのごとく腰の引けた対応しかしてくれないのが問題を拡大しているように思います。

ちなみに、当地区ですが、インフルエンザに関しては出荷当時に大量に確保要求した内科系医療機関が予想を大幅に下回る接種数だそうで、すでに確保分のキャンセルが相当数になっており、まだ追加注文を受けれますよ、と卸から言われています。
かなり地域で温度差があるようですねぇ。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/06 05:24 今後日本において医療をするにあたって
厚生労働省という教養は必修と考えています。 で、私も教養があるわけではありませんが
>厚労省をトップに行政が積極的に同時接種を推奨してくれればいいのに
は今後ほぼ100%ないと理解しています。

個人的な意見ですが
同時接種の壁を切り崩すには老人力を使えばいいと思います。
つまり、肺炎球菌ワクチン+インフルエンザワクチンの同時接種の推進です。
http://www.mylifenote.net/014/11091465.html
http://www.sanson.or.jp/sokuhou/no_776/776-9.html
日本のお笑い予防接種体制の中で、孫世代がたいへん困っています。ぜひ、同時接種に
推進にご協力を

コレは本当?コレは本当? 2016/06/27 00:00 ワクチンについて

生涯で、200〜250回の接種を受けると言われています。
それと、アルミと水銀は反応を起こすことが分かっていて、脳での反応はかなり酷い損傷を与えます。アルミも水銀も脳に生涯に渡って蓄積される。

水銀は、脳に貯められる間、イオン化水銀に代わって毒性が大変強くなります。
この事は、神経学的に立証済みです。問題は、ワクチンを処方する人たち、普通の医師、内科医、小児科医等は、こういうことを殆どが知らないのです。
こういう学術論文は、読まないので、政府機関の配るパンフレットなんかに目を通すだけです。医師は、大学でワクチンについて殆ど何も教わりません。

免疫学の授業が2週間あって、沢山学びますが結局2週間だけだし、免疫学の知識も結局その程度で、ワクチンの細かいことなど殆ど学びません。
現在でも変わらないと思います。免疫の反応機構についてはいろいろ教わりますが、

ワクチンについては、具体的に何も教わりません。だから医者は普通、そういうことを詳しく知らないし、学術資料を読んでそういう事を勉強することもしません。それに大抵の医師は、神経科学について全く無知です。

だから強毒性水銀から免疫反応の興奮毒性やら脳について話されても(脳の免疫反応による小膠細胞の活性化と興奮毒性と言われても)普通の医者は、チンプンカンプンです。専門も異なるし。

たとえば、グルタミン酸ナトリウム(化学調味料)の過度の摂取は脳細胞伝達の制御機能に障害を与えて、そうなることが明らかにされています。

グルタミン酸ナトリウムは、脳には達しないと学会が主張して何十年にもなりますが、いまでは、もう脳に達して伝達物質になるという事が確証されていて(神経毒の興奮毒になるという意味)、

特に発達段階の子供の脳への打撃は顕著です。
予防接種を何度もうけて起きる作用の一つに、脳細胞が活性化された結果、グルタミン酸塩が高濃度に放出され、似たような症状が現れますが、脳で免疫反応と興奮毒が作用し合うため、毒性はずっと強く、私の命名「免疫興奮毒性」は既に医学用語になっています。

そしてこの仕組みにより殆どの消耗性疾患、アルツハイマー、パーキンソン筋委縮性側索硬化症、ギランバレーなど現在話題の症状が現れます。
なのに、皮肉なことに、これら自己免疫症の件数が爆発的に増大すると、

免疫学者らはみんな、何故?どうして?と困惑していました。
過去30年の自己免疫症、特に脳を侵す疾病の増加は凄まじいものがありますから、

この議論に環境要因説を持ち込み、「空中の化学物質が原因であろうと」とか「ディーゼル粉じんの影響」とか。なのに一番明快な答えのワクチンには、全くの無言。

過去30年の予防接種量の増加は莫大ですから。

それと子供の糖尿病や関節炎も同じ自己免疫性反応です。
これは、脳ではなく間接の軟骨を襲うわけです。
糖尿病は、すい臓にあるベータ細胞を攻撃すると糖尿病になり、肺で自己免疫が起きれば喘息になります。

だからこういういろいろな病気は、異常免疫反応と繋がりがあり予防接種政策と関連して、様々なワクチンを定期的に追加している国では、1型糖尿病と喘息の件数も増加傾向です。

なので、ワクチンとの関係を示す状況証拠は、非常にはっきりしています。

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2011-12-02 出向と出張と常勤医換算

手強い手強い労働法制なので、細かい実務的な面は皆様のアドバイスを頂きたいと思います。まず出向とはなんぞやですが、税務関係情報ねっ島Tabislandから引用します。

 出向とは「従業員が自己の雇用先の企業に在籍のまま、他の企業の事業所において相当長期間にわたって当該企業の業務に従事すること」です(菅野和夫『労働法(第五版)』弘文堂358頁)。「在籍出向」「長期出張」「社外勤務」「応援派遣」「休職派遣」などと呼ばれることもあるようです。

 出向は、法的には「転勤」「派遣」「転籍」と全く異なります。転勤は単なる勤務場所の変更であって、労働契約の主体や従業員に対する指揮命令権者には変更がありませんが、出向の場合は出向先に従業員に対する指揮命令権が移転することが特徴で、有力説は労働契約の一部も移転するとしています(出向と派遣、転籍の違いについてはI−2参照)。労働契約の一部が移転し、従業員に対する指揮命令権も移転するということですから、出向が従業員の労働環境に大きな変化をもたらすことは明らかです。したがって、会社が従業員に対して出向を命じる際には慎重な態度が必要となります。

単純な理解ですが出向により、

  1. 指揮命令権は出向先企業へ
  2. 給与支払いも出向先企業へ

逆に言えば出向元企業からは原籍こそ残しているものの、実質としての関係は切れてしまうぐらいの理解をします。リストラなんかでもよく使われる手法とは聞いた事があります。原籍だけは残しながらも人件費の節約になるからでしょう。出向元と出向先の給与調整みたいな話は省略しています。

出張はお手軽にwikipediaからですが、

出張(しゅっちょう)とは、社員・職員が業務のために、通常の勤務地とは異なる場所に出向く行為を指す。

これも一般的にはそんなものだと思いますが、出張での業務内容は指揮命令権を持つ者が下す事になります。遊びに行くわけではありませんから当然そうなりますが、今日のポイントとしては出張中も会社で勤務しているのと同等の扱いになるはずです。出張中は欠勤扱いになるはずがありません。つまり会社に不在でも、出張業務を行なうことにより会社に勤務しているのと同等の扱いを受けます。これも当たり前すぎる話と思います。



さて医療の話にこれを結びつけるのですが、医師の派遣業務は原則禁止されていますが、出向ならOKとされます。派遣と出向の違いも細かい話になるのですが、今日は派遣でなく出向なら問題はないぐらいで話を進めます。医師が出向になっても上記で解説した「出向」の状態になります。ここで勤務医としてと言うか、医療法上、さらには診療報酬上で様々に絡んでくるのに常勤医数と言うのがあります。

常勤医と言ったら、ごく普通にはその病院に正規に勤務しているものを指しますが、実は医療法等においては必ずしも正規職員である必要はありません。医療機関で働いている時間がある一定以上であれば常勤医と換算されます。たとえば非常勤医3人で規定の勤務時間数に達すれば、常勤医1人と勘定されます。チト妙に感じられる方もおられるかもしれませんが、そういう規定です。

医師が出向で勤務になっても扱いはほぼ正規の職員と同等ですから、これが常勤医としてカウントされるのは問題ありません。では他の病院の支援のために出張となればどうなるかです。医師の応援勤務ですから診療になりますが、別にこれも問題にはなりません。また非常勤医と異なり、出張命令による勤務ですから、給与は出張元の病院から支払われ、出張中の不在時間も正規勤務として取り扱われるはずです。



当たり前の話をここまで書いているのですが、出向と長期出張(もしくは頻回の出張)を組み合わせるとどうなるかです。手順としては、

  1. A病院からB病院に医師を出向させる
  2. B病院からA病院に医師を長期出張させる

こういう状況です。まず医師はB病院の常勤医になります。出向ですから当然そうなります。B病院からA病院に出張しても勤務時間はB病院にカウントされます。出張勤務中であっても勤務しているのはB病院だからです。出張が長期とか頻回になり、実態としてB病院に殆んど勤務していなくとも、勤務時間としてはB病院の常勤医としてカウントされる事になります。

結果としてどうなるかですが、

  1. A病院は出向させた医師の分だけ名目上(計算上の常勤医数)の医師は減るが実戦力は変わらない
  2. B病院は出向してきた医師は戦力にならないが、名目上の常勤医数を得ることが出来る

計算上の常勤医数だけがA病院からB病院に移動する事になります。もちろん給料は実態として勤務していないB病院が支払う事になるのですが、医療では名目上と言うか、計算上の常勤医の存在は場合によっては非常に高い価値が生じる事があります。計算上でもいるかいないかで、病棟閉鎖になったり、診療報酬が大幅に削減されたりする事があるからです。定員定数と言うのは病院では時に重い存在になります。

この計算上の常勤医数を確保するために一時横行した手法が名義貸しであったのは思い出してもらってもよいと思います。

かつての名義貸しも詳しくは知らないのですが、確か大学院生とかの医師を名義上勤務した事にし、勤務実態がないのに給与を払っていた事だと認識しています。では「出向 + 長期出張」ならどうかですが、勤務実態はあります。そりゃ正式に出張を命じられているわけですから、これを否定したら出張勤務自体が成立しなくなります。

医療的にも出張で不在の病院で診療を行っているわけではなく、出張業務で命じられた病院で正規の医療なりその他の労働を行なっており、労働実態もちゃんとあります。さらにこの労働を出張先での労働カウントとすればおかしくなります。この労働は出張業務の一環であり、それに対する労働対価も出張を命じた病院が支払っていますから、当然の事ですが出張元の病院での勤務にカウントされます。

これが短期、たとえば半日とか1日のものであれば誰も違和感を感じないと思います。応援診療で1日出張をしても、これが出張元の病院での勤務カウントであるとしても「そうだ」と言うと思います。逆に出張先の病院の労働カウントであるとする方が妙です。

問題は長期になればです。長期出張を命じてもどこにも違法性はなく、他の業種でも長期出張は普通に存在します。医療で話がややこしく感じるのは、それによって医療法上の常勤医数に影響するところでしょうか。医療法上への影響は診療報酬への影響に連動し、直接のゼニカネの問題に結びつきます。


この「出向 + 長期出張」は出向が他の異動形態である「転勤」「転籍」であっても同等の効果があると考えています。どういう形態で他の病院に移ろうが、長期出張で他の病院で働けば成立します。こんな事が成立する可能性がある背景として、病院側が常勤医数に高いメリットを見出す以外に、勤務医側も病院への帰属意識が薄い上に、仕事場が変わることへの抵抗感の薄さがあります。

○○病院に所属している意識が高くないため、経営者側が捻った勤務体制を提示しても「要はここで働けば給料は出る」ぐらいで深く詮索しない側面はあります。「なんか変だ」とぐらいに感じても日常業務に支障が少なければ「ま、いっか。そのうちまた替わるし」ぐらいで終ってしまう感覚といえば良いでしょうか。



とは言え経営側も必ずしもメリットがあるとは言えないとは思います。言うても幻の常勤医に1人分の給料を払う事になるわけですから、これを上回るメリットがないと割に合いません。こういう手法が確実にメリットをもたらすのは病院グループになると考えます。確認はしていませんが、常勤医数の計算単位はあくまでも病院単位のはずであると言うのが前提です。間違っていたらゴメンナサイ。

とある診療科、面倒ですから小児科にしますが、小児入院医療管理料と言うのがあります。いろいろ施設基準があるのですがわかりやすいように単純化して、


小児入院医療管理料 常勤小児科医数 入院1日当たりの加算
1 20人以上 4500点
2 9人以上 3600点
3 5人以上 3000点
4 3人以上 2100点

ここである病院グループの3つの病院に小児科があり、そこの実質の常勤小児科医数が、

    C病院:13人
    D病院:4人
    E病院:2人

3病院とも小児科医入院を取っていますが、C病院からD病院に1人、E病院に3人動かせば、C病院の小児入院医療管理料2は変わらずに、D病院・E病院の小児入院医療管理料を3にすることが可能になります。ところがC病院も13人がいないととても回らない状態であったとします。そこでC病院からD病院・E病院に出向なりなんなり(グループ形態で異なるため)で名簿上医師を動かした上で、C病院への長期出張を命じます。

そうすればC病院の実勤務戦力を落とさずにD病院・E病院の小児入院医療管理料のアップが図れることになります。D病院・E病院は実質として医師数が増えたわけではありませんが、同じ入院数でも小児入院医療管理料がアップした分だけグループの収入増が行える事になります。

問題の給与の支払いですが、病院単位ではD病院・E病院の支出が増えますが、C病院の支出は減ります。グルッと回ってグループ全体の収支で考えれば、どの病院が払おうが支出としては同じになる計算になります。収入もまた同様に考える事ができます。医療として行っている事は現実として同じでも加算が増えた分だけグループ全体の収支は増えるというわけです。


なぜにこんな事を考え付いたかは書かなくともわかると思いますが、こういう事が成立するかどうかについて頭をずっと捻っています。少なくともなんらかの医療トラブルが起こった時の対応が所属の煩雑さにより厄介になりそうな気がしますが、ザッと見る限り致命的な違法性はないようにも見えます。ただ致命的なものはないにしろ、非常に危うい感じも濃厚に感じます。表沙汰になれば医療法の主旨に反する部分が大とは素直に思います。

つうか、普通は思いつかないような手法であると感じています。いやヒョットしたらアッチコッチで既に行なわれているのかなぁ? それとも「その程度は常識」ぐらいになってるのかなぁ?

元外科医元外科医 2011/12/02 09:27 どうみてもかつての名義貸しそのものではありませんか(笑)
詳しく勤務実態を調べられたら一発でばれるので無理でしょう。
非常勤医師の本来の在籍場所くらいは調べられますし。

ただし一ヶ月に数日の単位でなら出張扱いが可能かもしれませんが。官僚はそれほど甘くはないと思います。

YosyanYosyan 2011/12/02 09:47 元外科医様

細かい差異はあっても実態は「名義貸し」と私も思います。だから「やるはずがない」と思っています。もしやった上で露見すれば大きな批判が集まるのは誰でも判るとも思っているのですが・・・。

元ライダー元ライダー 2011/12/02 10:11 元外科医様

私の感ずるところなんですが、かつての名義貸しは集中的に発覚するまで、当局は黙認していたんじゃないかと思います。あれが無ければ、当時としては僻地の医療は成り立たなかったし、あれだけ大々的に名義貸しが行われていて、何十年も当局の耳に入らないはずはありませんからね。
それが、僻地の医療を従来通り維持する必要がなくなった等の事情の変化があり、一挙に噴出したんだと思っています。どう思われますか?

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/02 10:38 >医療法の主旨

主旨とは

医療法の制度趣旨と主な内容について教えてください
医療法はどのような目的と内容によって定められていますか?
http://www.bizup.jp/biz_member/member_qa/samples/sample_i01.html
1941年(昭和16年)制定の「国民医療法」において、初めて病院と診療所の区分が明確化(病床数10床以上を病院)されました。これと同時に設立された「国民医療談」(特別法人)は、戦前の自由診療時代に医療需要の大きい都市部に集中していた医療機関の地域配置の不均衡を是正するため、公的資本を注入し、全国に多数の医療機関の開設を進めましたが、供給不足を解消するには至りませんでした。

 1945年(昭和20年)の終戦当時、医療供給体制はまさに壊滅状態であり、これを受けて新たに制定されたのが、医療法です。

 医療法は1948年(昭和23年)に交付され、その第一条で「この法律は、病院、診療所及び助産所の開設ならびに管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を供給する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする」と規定されました。

でしょうか
上記「国民医療談」ではなくて「日本医療団」のことと思います。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/02 10:50 仮説ですが
GHQの影響もあると思いますし、日本医師会の位置づけも重要と思いますが
http://wapedia.mobi/ja/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%9B%A3
まずひとつの流れとして
日本医療団→自治医大→地域医療振興協会かなとも思います。

元法学部生元法学部生 2011/12/02 15:52 病気休職者、産前・産後休暇取得者、育児休暇取得者、介護休暇取得者、ボランティア休暇取得者、それから(休暇扱いで無い)大規模災害等での遠隔地への応援派遣者などが、専任の常勤者としてカウントできるのかどうかによってどう解釈すべきかが変わる気がします。

あとは兼務者の処理ですね。
通所介護デイサービスの施設長は、とくに何ら資格を必要としない職ですが、配置基準上必置で、同様な必置職員のうち一定の資格が必要な生活相談員・看護師等を兼任で施設長に当てる場合、施設長兼看護師の職務割合が0.5対0.5と書いてしまうと非常勤看護師0.5人分を雇うことを要求されるので、兼務割合は0.1対0.9とか、0.2対0.8と書きます。(1日8時間勤務(拘束9時間)で、施設開所時間が7時間だと、0.8あれば全開所時間中を看護師として勤務することが理論的に可能なので)

うらぶれ内科うらぶれ内科 2011/12/02 17:36 >それが、僻地の医療を従来通り維持する必要がなくなった等の事情の変化があり、一挙に噴出したんだと思っています。

僻地に住んでもらうのは医療に限らず道路やら災害対策やら何かとコストがかかる。ならばいっそのこと医療もなくして住民をおいだしちまおうという国家的陰謀でわ?

XX 2011/12/03 10:46 こういう補助金(管理料加算)が経営にもたらすインセンティブは興味深いですね
ICU加算は2:1看護が前提ですから、奇数でベッドを作ると看護師が無駄になるわけです。(4床なら2人で済むが5床でも3人必要)
ICU加算の病床比率が変わることはまずないでしょうがそれ以外の基準は容易に変わりうるでしょうね(所謂梯子はずし)

減るときは突然でも、小児科医の人数は徐々にしか増えないでしょうから
突然倍の人数になるより、実績がついてちょっとずつ人が集まってくるのが普通でしょう

経営サイドとしては管理料加算が変わるポイントで医師の人数をいじりたい誘惑にかられるのかもしれませんね

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20111202

2011-12-01 謎が少しだけ解消した地域医療振興協会の不思議な人事

一応前編にあたるのが、

これについてToshikun様が改めて現在の横須賀うわまち病院のホームページ上の小児科スタッフを確認するという作業をされています。魚拓に残っているスタッフ表を見てください。

いつ改訂されたかまでは不明ですが、横須賀市民と重複していた小児科医は

(横須賀市立市民病院に出向中)

ただToshikun様も指摘されていますが、慌てたのか故意なのか不明ですが、出向中の5人の小児科医は重複して掲載されています。ですのでパッと見として、横須賀うわまちの小児科医が突然5人増えたような体裁にもなっています。それでも、とにもかくにも重複する5人の小児科医は横須賀うわまちから横須賀市民への「出向」であった事が明らかになったわけです。

出向についての正しい理解といわれても怪しいところはあるのですが、原籍を出向元に残しながら本籍を出向先に移すぐらいの理解をしています。原籍が出向元の横須賀うわまちにあるのでそこの所属と名乗るのも可能であり、もちろん出向先の横須賀市民所属であると言っても手続き上は問題はないぐらいのところでしょうか。そう理解するとペーパーの所属名が時と場合によって両方にあると理解できます。


なぜに異動ではなく出向であるかの理由は様々な内部事情があるのでしょうが、正式に出向と言う事になっても相変わらず謎が少々残ります。とくに小児科トップの要職におられる医師がそうです。少なくとも2011.5.19時点では、横須賀うわまちの

臨床研修プログラム責任者/小児医療センター長

こういう肩書きである事が確認されます。この医師を直接知る方からの情報では人望篤い非常に有能な医師であり、こういう肩書きの要職に勤められても何の不思議もないとはされますが、トップが出向で不在と言うのは組織として珍妙です。同じ市内ですから、行き来がある程度容易にあるにせよ、常勤医としての勤務場所は横須賀市民であり、常識的に考えると横須賀うわまちの不在が多くなるはずです。

こういう状態がいつから続いていたかですが、協会が横須賀市民の指定管理を始めたのが平成22年4月であり、この時にそれまでいた5人の小児科常勤医がすべて入れ替わったとなっていますから、1年半以上続いている事になります。横須賀うわまちも5人が出向で抜けても10人の小児科医がいる組織ですから、トップがほぼ不在状態はあんまり好ましいと思えませんし、普通なら後任を就任させるはずです。

これは下司の勘ぐりですが、横須賀うわまちから横須賀市民に出向している小児科医、とくにトップの医師は「非常にしばしば」横須賀うわまちに「出張」しているんじゃなかろうかと妄想したりします。そうすれば常勤医としてのカウントは横須賀市民に積まれ、勤務の実質として横須賀うわまちの「臨床研修プログラム責任者/小児医療センター長」の責任が果たせる事になります。

横須賀市民での小児科常勤医が5人カウントされる絶対の必要性は、小児入院医療管理料3の加算にあり、施設基準の中に、

当該保険医療機関内に小児科の常勤の医師が五名以上配置されていること。

この項目があるので極めて重要です。出向と出張を組み合わせれば横須賀市民の常勤医条件を満たしながら、横須賀うわまちの「臨床研修プログラム責任者/小児医療センター長」の重責を勤める事も可能ですが、一番基本的な疑問はなぜにそんなに複雑な方法を取るのだろうです。これも前にコメントで指摘されていたことですが、表向きはともかく本当の実態は横須賀市民と横須賀うわまちの小児科は一体運用されているとの観測があります。

つまりは名簿上は横須賀市民と横須賀うわまちに分かれてはいますが、あくまでも名簿上の事で内部的には両病院を医師がシームレスに動いているです。説明としては一番説得力があるのですが、それでもトップは横須賀うわまちにいるのが組織的には宜しい様に思います。外形上の話であるなら、横須賀市民にはNo.2の腹心なりを名目上のトップに置けば事足ります。

内部的に横須賀市民の名目上のトップを横須賀うわまちの小児科センター長の命令指揮下に置けば良いだけの話であり、わざわざ小児科センター長を出向させるのは何故なんだろうと言うところです。あえて言えば、小児科センター長が両病院の名目上のトップにいないと小児科内部の統制が取れない可能性も考えられなくはありませんが、そこまでの内部事情は知る由もありません。不思議さが残る人事であるのだけは間違いありません。



もう一つですが、委託管理から1年半しても横須賀市民の小児科医が抜けた穴が埋まっていないのは事実です。それ以外にも委託管理後に常勤医が不在となった診療科もありますが、未だに穴は埋まっていないようにしか見えません。今どきの医師を集める困難さは十分に理解しますし、一概に協会の怠慢と非難するのは慎みたいですが、穴埋めが出来ていないのは事実になります。

もちろん協会も穴埋めに懸命の努力を重ねられているとは思いますが、そういう状態で光が丘病院の小児科医を日大並みに充実させる事が出来るかはごく素直に疑問符が付けられます。そう簡単に集まるものなら横須賀市民だってたちまち補充できているはずだからです。

光が丘病院の小児科医数のハードルは結構高く、現在の小児科のスタッフはホームページで確認するだけでも9名おられます。プラス研修医も合わせて20人規模みたいな話も聞きますが、とにかく常勤だけで9人です。年間小児救急8000人規模ですから、それぐらいは必要でしょうし、4月以降も日大時代と同程度の水準が要求されているはずですから、常勤医だけで9人と同じないし近い数が望ましい事になります。横須賀の現状に不安を抱く住民がいても不思議ないところでしょう。



協会が本格的に光が丘病院継承に動き出したのは、事前の準備活動は置いといても今年の夏からです。正式には9月に正式に継承に承認されてからになります。4月までの準備期間は非常に短いと言うのは理解しないといけません。この日大撤退、協会継承については練馬区民の不安は大きいのですが、練馬区側は「協会は日大時代と同等の医療を提供する」と繰り返し説明しています。

そう説明しないと住民の怒りはさらに爆発するのですが、現在の光が丘病院にどれほどの医師数がとりあえずいるかです。調べてみると現在の光が丘病院の医師数は95人となっています。結構いるものです。病院の医療水準はある程度医師数に比例します。マンパワーに比例すると言っても良いかと思います。たとえば半分になれば、半分のスタッフが死ぬ気で頑張っても95人体制には絶対に及びません。

ほいじゃ協会は日大時代の100人近い医師を集められるかです。これは客観的には非常に難しいとしか言い様がありません。日大側が漸次撤退の協力をしてくれればまだしもですが、喧嘩別れに近いですから、そうそうの協力が仰げるかは未知数です。日大の協力があんまり仰げないとするならば、練馬区と協会が本音のところとしてかき集めようとしている医師数はどれほどであろうかです。

住民説明会も行われているようですが、練馬区の新山地域医療課長の応答を引用させて頂きます。

回答(新山) 協定書を結ぶまでは時間がかかると認識している。覚書は締結したところ。内容については、さらに区民のかたにも分かりやすい基本協定書というものを、来年3月に向けて締結していきたい。説明会については、今回を皮切りにあと3回やる。自治会の方から説明が十分でないというお話があれば、わたくしのほうからまたお話させていただく。

医師の数だとかについては、今本当に熱心に面接だとかを進めているところ。かなり多くの方から実際に申し込みがあるわけです。非常に短い時間のなかで、実質的に10月の後半から始めたということでまだひと月しかたっていないということで、相当数いろいろな方々、医師、看護師、事務系の人も、来ていただいています。大変申し訳ないが、具体的な数字について、これです、とはまだいえないが、もう少し時間がたてばご報告ができると思います。

この住民説明会ではついに具体的な医師数は明らかにされなかったのが一つの特徴です。まあ、本格的に募集にかかってまだ2ヶ月余りですから、具体的な数字を挙げ難いのも嘘では無いと思います。それ以上に感じるのは、4月時点の目標数がかなり低いラインでないかの観測も出来ます。とても今の時点で住民に説明できるような代物ではないの判断です。

協会と練馬区は覚書を締結したとなっていますが、練馬区議の池尻成二氏が区議会医療高齢者等特別委員会での覚書に関する練馬区側の答弁を紹介しています。医師数のところだけ引用しておくと、

■医師数について■

 法的、医療法上の医師数というのは、病床の回転率それから外来数といったものによって数字は若干異なってまいりますけれども、概ね、病床利用率が90%、現実今光が丘病院は82〜3%、80切ることもございますけれども、90%。それから外来の診療者数を一日約800人、現在光が丘病院で約800には至っておりませんけれども、高め高めで設定しますと、41〜2人というところが法定で定められている医師数でございますが、当然のことながら、病院の機能を高度に維持していくということにおきましては、少なくともこの倍程度以上は必要になるということで、それが目標と掲げております。

医療法上の医師定数の講釈の内容は間違っていませんが、その講釈が答弁の大部分である点に注目します。日大水準が念頭であるのなら、医療法上の医師定員数は半分以下のレベルのお話です。にもかかわらずこれだけ講釈に時間を割くと言うのは、現実の目標数が「41〜2人」じゃないかの勘ぐりです。準備期間の短さを考えると「41〜2人」だって容易なものではありません。

現状の見通しは医師不足による病棟閉鎖を回避するのが精一杯ではないかと言う事です。日大水準を唱えながら、始まってみれば医師不足による病床縮小ではさすがに練馬区も協会も弁明が困難になります。そのため病床がなんとか全部動く体制の死守が、現在の目標死守レベルじゃないかと言う事です。だから住民説明会でそんな現状を今の時点で話すわけにはいかないです。

地域医療振興協会専務理事山田隆司氏が答えられた、

過渡的なところであれば、北、うわまち、場合によっては奈良も含めて支援できるところがあれば数十人の医者が数カ月の間、医師確保ができるまでサポートすることは不可能ではない

この言葉もなんとなく、協会が受け継いだ時点で日大水準のレベルを保つための動員と理解されているフシもありますが、考えようによっては、4月時点で全病床を維持するに足りない医師数であれば、それが集まるまでの動員計画と受け取る方が正しいかもしれません。



何回書いても同じところに話が行き着いてしまうのですが、今日は少しだけ捻りを加えて、東京の小金井市(だったかな?)で起こったゴミ処理紛争問題を頭に浮かべています。トップの不用意な言動によりこじれたゴミ問題を解決するために、市長が引責辞任を行い近隣自治体との話し合いの糸口を作ったと言うものです。

もし現在の協会継承路線を日大続投に変更するのならこれぐらいのリアクションは必要そうに思います。でもありえないでしょうね。ゴミ問題はあまりにも目に見える問題で、文字通り切羽詰ってがありましたが、光が丘病院問題はとにもかくにも4月までは問題を余裕で先送りできます。先送りしてしまえば継承は正式のものになり、日大続投の線は完全に消えます。

そうなると区長を力技で更迭する必要がありますが、区議会は市長支持派が多数とも聞きます。たとえ区議会が動いても、区長側が徹底抗戦すれば4月の時間切れはアッと言う間に訪れます。リコール運動も同上です。ほいじゃ、4月から「やっぱり」のリコール運動を行ったところで後の祭りで、日大復帰のハードルは途轍も高くなり、その上で協会まで撤退すれば病院の存続自体も怪しくなってきます。

時間的には詰んでいる様に思います。つうか、8月に突然の日大撤退問題が出た時点でスケジュール的には既に詰んでいたとも言えそうです。住民が希望をつなぐなら、4月の継承時期はともかくとして「将来的」に協会の基幹病院として「いずれ」日大水準に少しづつでも近づいてくれるのを待つだけになりそうです。協会の最低限の姿勢として、東京の拠点病院として力は入れてくれる期待だけはあるからです。

でも、まだまだもめそうですねぇ。

YosyanYosyan 2011/12/01 09:00 ありゃま、タイトルが長すぎたようで尻切れになってしまいしたので改訂させて頂いています。謹んで陳謝させて頂きます。

法務業の末席法務業の末席 2011/12/01 09:46 >区長を力技で更迭する

練馬区の区長は今年の4月に選挙が行われ、現在の区長が当選して4/27から3期目に入ったはずです。地方自治体の議員や首長などのリコールの請求は、地方自治法(84条)の規定で就任の日から1年間は出来ません。練馬区長をリコール請求するのは、来年4月末までは法的には不可能です。

リコール請求が受付られた後に全有権者の投票が行われ、その投票で解職賛成票が過半数にならないと解職は成立しませんから、区長の解職が法的に成立するのは来年の6月より後になります。

ママサンママサン 2011/12/01 10:19 光が丘一点勝負、なら全力傾注もできるかもしれませんが、東京ベイ・
浦安市川医療センターも来年四月に新病棟が誕生予定。前々から封切り予定が決まっていたそこですら、医師確保がままならずフル稼働させられない振興協会。
この拡大路線全体に無理がある、と思われます。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/01 10:38 >過渡的なところであれば、北、うわまち、場合によっては奈良も含めて支援できるところがあれば
地域医療振興協会専務理事山田隆司氏のいわれる
北、奈良とは具体的にはどこでしょうか 北はよくわかりませんが
奈良は奈良県と考えると
運営病院HPでは
http://www.jadecom.or.jp/hospital/ereaindex.html

奈良県での病院は
市立奈良病院だけです。
http://www.nara-jadecom.jp/
ここからという意味でしょうか

SakinoSakino 2011/12/01 10:52 地域医療振興協会が降りれば、問題の8割は解決する、あるいは転がりだすように思います。公募条件を到底守れそうにないのですから降りるのが当然(努力します……で、日大が戻れなくなる時期まで引き延ばして居座る)のは、医療法人、それも、自治医大を看板に掲げた法人としては、患者さんや地元・近隣地域に対してだけでなく、自治医大に対しても背信行為のように思います。

この年度末で、高久氏は学長降板ですし、次期学長は、これまでのように地域医療振興協会と密接な関係がある方ではありません。この状況で、医師、これはヒラのドクターもですが、各診療科の科長クラスの人事が決まるのか? 25日の説明会では、病院長の名前さえ公表できませんでした。信念をはさんで、もう4ヶ月を切っています。

練馬区は、議会委員会で、くりかえし、「協会は、(4月当初から)小児科15人、産婦人科常勤5人を確保するといっている」(文脈的に非常勤の換算でなく、ホンモノの常勤)を確保すると公言してきましたし、協会側が、これに対して反論したという事実は一切確認されていません。24時間小児救急の(外来だけでなく)入院受入を行うというのも選定理由に入っていて、練馬区長、吉新協会理事長の顔写真いりの区報(特別号)に大きく書いてあることがらです。こうしたことが、到底守れない状況になってきています。

日大医学部・病院は存続姿勢でいまだに病床9割近くが稼働、日大当局も、ボールは練馬区にあるという姿勢ですから(日大理事長は、区民の会と18日に面談)、地域医療振興協会が降りても、練馬区長さえきちんと動けば、十分存続可能という状況です。こういう状況で、12月に入ろうという段階で病院長命さえ公表できないというような事態の進捗を前にして降りなかったということになれば、地域医療振興協会と自治医大の医療主体としての矜持が問われるということなんだと思います。

まぁ、区の問題、そういう練馬区の立法や行政当局のありかたをそのままにしてきた区民の責任といった問題はおおいにあるわけですけれども、一番のしわよせは、患者さん、それも、重症で日々の生活を日大光が丘病院に頼っている患者さんのところにいくわけで、心が痛みます。

元法学部生元法学部生 2011/12/01 10:56 地域医療振興協会専務理事山田隆司にとっての「北」とは

東京都北区赤羽にある、東京北社会保険病院であると思われます。
地域医療振興協会の東京城北地区における拠点病院らしいです。

赤羽から光が丘はだいたい9Km弱ですから、まあ出向させつつ、やたらと古巣に出張するとか可能な距離ですね。

SakinoSakino 2011/12/01 11:00 >北、奈良とは具体的にはどこでしょうか 北はよくわかりませんが

北区赤羽にある、東京北社会保険病院です。横須賀市立うわまち病院と、横須賀市立市民病院は、受託元がおなじですが、北社保病院(そしてもちろん「奈良」「うわまち」も)、受託元が、光が丘病院とは異なります。市立奈良病院も、横須賀市立市民病院(受託元が「うわまち」と一緒)も、医師がまったく足りていない病院だと思います。

こういうところから、都心とまではいいませんが、少なくとも東京23区内の光が丘病院のようなところに、応援医師をさいていいのかどうか、はなはだ理解に苦しむところです。

公益医療法人で、税制上の各種優遇等も受けていると思いますし、そうしたことが可能なのも、「へき地医療に実績のある医師を会員として1986年に誕生したへき地医療のための団体です」(吉新理事長)からだと考えるのが普通なわけですから。

YosyanYosyan 2011/12/01 12:20 元法学部生様

あくまでも仮定として出向先からの「非常にしばしばの出張」による出向元への勤務と言うのは問題にはならないのでしょうか。もちろん出張命令を出すのは出向先になりますから、それこそ年単位の出張を命じても差し支えないかもしれませんが、なんとなく違和感を感じないでもありません。

普通の会社であれば、そんな事をすれば単に損なだけですから、そうそうはあり得ないでしょうが、病院の場合は常勤医数の問題が出てきます。実質として働いていない病院に常勤医としてカウントされ、実質の労働はほぼ出張先みたいな状況です。常勤医数は病床維持のための必要数から、診療報酬、各種加算まで幅広く関ってきます。その辺が引っかかるところです。

つまり働いていなくとも名簿上の常勤医を確保するためにカネだけ払っても良いは成立してしまうところがあります。かつて問題になった名義貸しにも通じる部分はないとは言えません。たまたま必要定員より多めの医師がいれば、出向と長期出張の組み合わせにより、出向先に幻の常勤医が出現してしまうんじゃないかとも見れるからです。

それでも合法的にはなるんでしょうかねぇ。

luckdragon2009luckdragon2009 2011/12/01 12:40 いわゆる、裁判とか裁定ごとには、この件については否定的で、筋も悪いとは思っていますが。

> あくまでも仮定として出向先からの「非常にしばしばの出張」による出向元への勤務
実勢的に、それは出向先に通常勤務している、とは言いがたいような。

労基法の訴訟で、似たケースがあったように記憶しています。
残業未払いの過重労働(兼務で、しばしば両事業所を掛け持ちしていたため)で、過労死だったか、過労による体調悪化だったか、そういうケースで。ちょっと、裁定結果を忘れましたが。

実際、勤務環境としてもかなり悪化しそうだし、実務労働上も問題ありそうだし。
厚生労働省的にも、こういう勤務体制に何か物言いしそうな気もしますけどねえ...。

元法学部生元法学部生 2011/12/01 13:06 >あくまでも仮定として出向先からの「非常にしばしばの出張」による出向元への勤務と言うのは問題にはならないのでしょうか

申し訳ありません。基本的には労働法規関連は「学部教育」+「今の職場での事務員として得た情報」なんですが、うちの職場では出向扱いを実際にしたことも、検討したこともないのでよくわかりません。

基礎法学だと「学部教育」+「一般人としての個人的趣味」なんで、自分の生活と関係ないことを知ってたり、個人的見解を持ってたりするんですが。

元法学部生元法学部生 2011/12/01 13:18 ただまあ、チャイルドデイナーサリー(注:ややこしくならないように検索されにくい単語で職場を表現してます)でやったら、行政の指導検査だったら最低でも確実に文書による改善指摘でしょうねぇ。エルダリーパーソンの日中処遇(注:同前)のほうだったら報酬の人員配置未達で減額査定くらいそうです。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/01 13:41 元法学部生様,Sakino様

ありがとうございます。

いわゆる、名義貸しということがありましたが、病院HPに名前を公開されて
ゆく状態と思いますので、見せ金=見せ医師のように思いました。

Sakino様の
>地域医療振興協会が降りれば、問題の8割は解決する、あるいは転がりだすように思います。公募条件を到底守れそうにないのですから降りるのが当然(努力します……で、日大が戻れなくなる時期まで引き延ばして居座る)のは、医療法人、それも、自治医大を看板に掲げた法人としては、患者さんや地元・近隣地域に対してだけでなく、自治医大に対しても背信行為のように思います。

が正論のように思いますが地域医療振興協会が降りれない内部事情があるのでしょうが
無理なものを無理と言えない空気のただよった組織なのでしょうか。

法務業の末席法務業の末席 2011/12/01 13:52 この事例が、労働法令上の「出向」該当するのかどうかは、2つの病院職員(勤務医)の雇用契約の主体(契約上の雇用主)が、同一なのか別なのかによります。

【ケース1】2つの病院の医師や職員は、地域医療振興協会という一つの法人が雇用契約し、横須賀市立市民病院や、横須賀市立うわまち病院という、協会が指定管理者として受託している病院の一つに配置している。

【ケース2】協会が指定管理者として受託している横須賀市立市民病院と、横須賀市立うわまち病院とは、別の法人格を持つ事業体の経営であって、2つの病院の医師を含む病院職員も、各々別の経営主体(法人)と雇用契約を結んでいる。

ケース1であれば、うわまち病院の医師が市民病院に移るのは「出向」ではなく、単なる転勤とか配置転換です。両方の病院の勤務を掛け持ちするなら、それは労働法令上の解釈では「兼務」であって、出向や転勤のどちらでもありません。

ケース2であれば、雇用契約上異なる別の雇用主(法人)の指揮命令下に移ることになりますので、元の雇用契約を解除(退職手続)して再就職するのでなければ「出向」と言えます。

通りすがりの者ですが通りすがりの者ですが 2011/12/01 20:38 うわまち と 横須賀市立病院の小児科はほぼ同一のものと考えてよいです。

M先生は掛け持ちで、うわまちのNICUや小児循環器を取り扱っているようです。

2つの病院の距離が30分以内ですから、スタッフ間の相談しやすい環境は整っている感じです。
病院間の形態としては、かなり特殊ですね。

藤原百川藤原百川 2011/12/01 22:59 練馬区が何を考えているかはわかりませんが、医療資源の集約化と役割分担が政策誘導的になされていることを考えると、光が丘縮小の流れは避けられないと思います。「地域医療振興会」の幹部、自治医大の執行部(ほぼ東大)、厚労省、全てがつながっていると考えるべきです。
小生の住む杉並区は練馬の隣ですが、さらに隣の世田谷区を含めて大学病院と名のつく病院はありません。杉並区には公立病院すらありません。世田谷には成育医療センターがありますが、それ以外には公立病院はありません。ところが練馬大根で有名な練馬区は日大光が丘に次いで順天堂練馬病院まで誘致しました。しかも北隣の板橋区には帝京大、日大板橋、さらに旧都立老人医療センターがひしめき合っています。これはまるで本郷、お茶の水界隈に五つもの大学病院がひしめき合っているのに似ています。杉並、世田谷住民に比べてとても恵まれた医療環境にあるのです。
まあ、現状をできるだけ変えたくないという、特に小児救急を心配される親御さんの気持ちは分からない訳ではありませんが、光が丘の規模が縮小されても実際のところはそれほどの影響はないと思います。

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/02 04:38 >「地域医療振興会」の幹部、自治医大の執行部(ほぼ東大)、厚労省、全てがつながっていると考えるべきです。
同意します。 したがって、本件は巨視的(医政百五十年)の歴史において、いわゆる官制医局とは何かの視点で論ずるべき対象とも考えます。一般的に6年間のエージェント教育を受けていない大多数の医師にとって臨床研修必修制度からあるいは開業からいままでの医局をそのメリット・デメリットを冷静に客観的に議論する素地ができてきていると思われます。
日本の医師の大多数は長期にわたる厚生労働省によるマインドコントロールを受けていますから官制医局のメリット・デメリットを冷静に客観的に議論する素地はほぼないと考えます。私はないという自覚からスタートではと考えます。
さらに、官制医局は全体像が巨大なため群盲象をなでるあるいは木をみて森を見ずとなり
やすいのでは

追加:自治医科大学の次期学長に永井良三・東京大学大学院教授
http://medical-confidential.com/confidential/2011/11/post-238.html

京都の小児科医京都の小児科医 2011/12/02 04:58 >まあ、現状をできるだけ変えたくないという、特に小児救急を心配される親御さんの気持ちは分からない訳ではありませんが、光が丘の規模が縮小されても実際のところはそれほどの影響はないと思います。

私が最も気になるのは現場の小児科医への影響です。現場の小児科医にとって士気も含めて本当に影響はないかは検証作業が必要では。

TT 2011/12/03 10:23 横須賀の小児入院管理加算が詐欺だとすると
損するのは保険支払基金・そこへ拠出している人で
法の厳格な適用によりそれが無くなると
病院の収入が減りますね
ほっておくわけにもいかないからその分補填が税金からなされるわけですね
(病院の倒産はそのあと)

公立病院のない逗子市葉山町鎌倉市、や国からいくら融通されているか知りませんが 三浦市は市立病院ありますが崩壊状態とか。少なくとも小児科は…
それらの自治体在住で横須賀市民病院を利用する人は
フリーライドとは言わないまでも相対的低負担での受益が可能になりますね
横須賀市民にとっては逆に相対的高負担での受益

街灯や道路なら市外の民に負担なしで使用されるのは前提織り込み済みでしょうが病院という営利も可能な組織でどこまで
支出と収入を

したまちしたまち 2011/12/04 15:53 おそらく出向については長年の慣例でやってるだけだと思います。
あの組織はもとの病院の所属を変えないでいろんなとこに出向させます。科長や部長が長期出向というのも普通にあります。時には院長までしばらくいません。
小児科トップの医師も、スタッフ医師も非常に真面目でまさに粉骨砕身して働いておりますのでよもや何か不正の意図などはないでしょう。センター長だけでなく他の上級スタッフも優秀な魅力あふれる方が多いのでセンター長の仕事を一部任せて、勤務終了後にmeetingなど行えば何ら業務に支障はないと思われます。(上級スタッフの健康に支障はあるかもしれませんが)

真相真相 2012/02/12 00:22 地域医療振興協会は、自治医大系列と言われますが、結局のとこと自治体との契約専門(M&A組織)です。
内部の方に聞くと、全体の医師数の約2割ぐらいが自治医大卒者で、残り8割がM&A以前から勤めていた医師のようです。下記アドレスからいうと130名がそうで、残り520名が違う出身医大。
http://www.jadecom.or.jp/overview/scale.html

ようは住めば都で経営者が変わっても元の病院がいいという医師がそのまま居残っているわけです。
そんなわけで、以前からいた医師がいてもらわなければ成り立たない組織なんです。

今回の、日大光が丘病院や横須賀市立病院、東京ベイ・浦安市川医療センターなどなど、居残ってもらえていないところは運営が滞ってしまってます。

練馬区の一件は日大の怒りを買ったので、近隣の志木市民病院も影響(日大出身の小児科医2名勤務(うち院長1名))も撤退されることになりました。
かの地域は自治医大(地域医療振興協会)がやれ、日大はもう知らんってことです。

以前から下記の問題も指摘されてますが、本音を言うと自治医大VS○○医科大学 となっています。



http://blog.goo.ne.jp/nogamiyukie/e/dbf676005e23079f6369d6902c27b683
練馬区健康推進協議会第七期会長である高久史麿(自治医科大学学長 日本医学会長)。この協議会では、H23年度から始まる新たな「練馬区健康づくり総合計画」を策定すること、

RT @itoshunya: そもそも、この協議会なるものが問題です。いわゆる御用協議会?僕はマトモな協議会を見た事が殆どありません。@nogamiyukie: 練馬区の医療や福祉政策に方向性を持たせる協議会メンバーが、自らの組織に有利なように政策を誘導し、関係事業の公募に自ら…

真相真相 2012/02/12 01:08 結局、東京北・うわまち、それぞれ所属病院の小児科医の1/3が集まるって聞いてます。
非常勤対応になるのかな?ここで指摘されている内容のように?

っということは、その地域から医師がいなくなるということですね。記事のとおり。

http://sankei.jp.msn.com/region/news/120201/tky12020110090000-n1.htm
 −−運営を引き継ぐ地域医療振興協会はへき地医療の分野で貢献しているが、
全国から練馬へ医師を結集することで、他の自治体にかける負担を首長としてどう感じるか

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20111201