2011-12-08 日大光が丘病院問題・協会が本音を表明
12/7付東京新聞より、
342床日大撤退の光が丘病院 「4月移行時は50床に」
日本大学医学部付属練馬光が丘病院(東京都練馬区)の運営を来年四月から引き継ぐ公益社団法人「地域医療振興協会」の吉新(よしあら)通康理事長が、本紙の取材に、新規オープンの際には入院患者数を大幅に減らし、稼働病床数を縮小する考えを示した。患者の行き先などをめぐり混乱が生じる恐れも出てきた。
病院は十七科、三百四十二床。区の医療の中核を担い、特に小児救急は区内の約三分の一の患者を受け入れ、隣接区や埼玉県西南部からの搬送も多い。
日大は三月末の撤退と同時に医師を全員、病院から引き揚げる方針。区は、協会が現在と同じ病床数、診療科目、医療水準を提供できると患者や住民らに説明してきた。
これに対し、吉新理事長は「病床が埋まった状態で主治医も看護師もいなくなったら事故が起きる。医療安全上、あり得ない」と話した。三百四十二床の許可は取るが、実際の稼働は「五分の一、十分の一だろう。最初五十床ぐらいで、月ごとに増やしていくだろう」と見通した。
救急も、最初から今のレベルで受け入れるのは「無理かもしれない」として「周辺のいろんな病院にお願いして可能な限りやるしかない」と述べた。
患者を減らすには、高度医療が必要な患者は同じ日大の板橋病院(板橋区)で引き取るなど日大の協力が必要だが、区と協会、日大の三者で開いている引き継ぎ協議では、具体的な検討はほとんど進んでいない。
実情としては理解できます。現在の光が丘病院は100人近い医師によって支えられています。この水準を維持して引き継ぐには、やはり100人近い医師をかき集める必要が出てきます。半年ほどでそんな芸当が出来る組織は日本にはないと思います。練馬区が「そうする」と力説しても「できるのか」の疑問は最初からあったとしても良いでしょう。そういう当然の事が表面に出てきたと言う事でしょう。
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吉新理事長は「病床が埋まった状態で主治医も看護師もいなくなったら事故が起きる。医療安全上、あり得ない」と話した。三百四十二床の許可は取るが、実際の稼働は「五分の一、十分の一だろう。最初五十床ぐらいで、月ごとに増やしていくだろう」と見通した。
たぶん地域医療振興協会の練馬区に対する立ち位置としては、急遽日大が撤退したので「病院維持」だけは請け負うの立場だったと見て良さそうです。もちろん4月に現行水準になるように「前向きの姿勢で努力する」ぐらいは約束したとは思いますが、あくまでも希望的観測であり、できない時は「いたしかたない」ぐらいの合意はあったと考えられます。無い袖は振れない、嫌なら病院ごと消滅するぐらいです。
この時期に出てきたのは、協会が前向きの姿勢で努力した時間を示すためと見ます。協会が後継になった時点で表明すれば、後継問題自体が進まないので、努力目標が「やはり無理」と確認できる時間として必要であったとするのが妥当でしょう。この先はボールが協会から練馬区に投げられたので、練馬区が住民を納得させる作業に移行すると見ます。区の説明担当者は大変かと思います。
それにしても協会はどれほどの医師数に目途をつけたのだろうと思います。現在でも練馬区と協会の間に覚書が取り交わされているそうですが、練馬区議の池尻成二氏が区議会医療高齢者等特別委員会での覚書に関する練馬区側の答弁を紹介しています。医師数のところだけ引用しておくと、
■医師数について■
法的、医療法上の医師数というのは、病床の回転率それから外来数といったものによって数字は若干異なってまいりますけれども、概ね、病床利用率が90%、現実今光が丘病院は82〜3%、80切ることもございますけれども、90%。それから外来の診療者数を一日約800人、現在光が丘病院で約800には至っておりませんけれども、高め高めで設定しますと、41〜2人というところが法定で定められている医師数でございますが、当然のことながら、病院の機能を高度に維持していくということにおきましては、少なくともこの倍程度以上は必要になるということで、それが目標と掲げております。
現行の342床を維持するために必要な医療法上の医師数は40人ぐらいと見て良さそうです。これは外来数との兼ね合いもあって計算が単純ではないのですが、35人程度いれば医療法的には342床を維持できると考えても良いかもしれません。もちろん医療法の医師数では高度医療を行うには足りないのは周知の事ですから、35人なり、40人なりが居ただけでは現行水準の維持は不可能です。
必然的に現在より機能水準を落とす事にならざるを得ないのですが、50床とは大胆な提案です。意図としては現在の入院患者をとりあえず全部追い出すと受け取っても差し支えないと思われます。全部追い出した上で、集めた医師数・医療水準に見合った水準の新光が丘病院を再構築したいぐらいの意図としても良さそうです。
そうなると4月時点で協会が目途をつけている医師数は10〜20人程度の可能性も出てきます。協会とて50床の病院のままにしてきたいとは思っていないでしょうし、来年度中に100〜200床ぐらいまで機能回復する意図はあるとは思います。もっとも50床程度の維持なら、10人未満でも可能ですから、4月の時点で確実に目途が立っているのは、まだ「5〜6人」と言う事も十分考えられます。現在は二桁に向かって鋭意努力中でも不思議無いと思います。
日大光が丘病院問題の最大の謎は、なぜに練馬区があれほど日大運営を嫌がったかに尽きるかと思います。日大側が嫌がっていたのは経営負担と、それに対する練馬区の協力姿勢の乏しさだったぐらいに理解していますが、練馬区にとって光が丘病院とはなんだったんだろうです。日大の撤退意図に対して別の落としどころは沢山あったはずです。
とりあえず協会が練馬区にボールを投げたので、新たな展開が始まりそうです。予測としては「たとえ当初は50床になっても、出来るだけ早期に現行水準に戻る様に努力する。無いよりマシと思ってくれ。」で住民に理解を求めていくんでしょうねぇ。練馬区の説明担当者の胃に穴が開かない様に祈っておきます。

(342x0.9+800÷2.5-52)÷16+3=38.9897
結果が少し違うのは、なにか勘案すべき条件が不足しているのかもしれません。(ICU等の医師数とか?)
今後の新エピソードを無責任に予測するなら、住民運動による地域医療振興協会拒否=光が丘病院消滅&区長のリコール請求といったところでしょうか。
医学部が併設されている大学にとって医学部をもつことはステータスです。
私立国公立を問いません。偏差値が一番高く、地域医療を通じて地元や政府に直接のパイプが出来ます。研究予算も他の学部より多く獲得しやすく、地元住民ともっとも接しやすい学部です。また教養部に他の学部からスタッフを送り込みやすいのが助かります。法学部や工学部ではこうは参りません。
しかし医学部は金食い虫です。自前で病院と言う収入源を経営できるのは医学部だけで さぞやガッポガッポと金が入ると思いきや、実情は赤字で他の学部に回す予算から補填することが殆どでスタッフも多く人件費も莫大です。他の学部のように教授独り准教授や講師も数人ですむはずが、一つの診療科で十数人というのはざらです。儲かるかどうかもわからん高額な医療器械ばっかり買いやがると他の学部教官から怨嗟の声が上がって当然です。大学本部の経営陣も医師出身はわずかで 他の学部の学部長、銀行や国からの天下りが大半で、なんとかならんかといつも突き上げられています。
ことに私立は分院をたくさん作りたいのに土地が限られ、借地も含まれ経営を圧迫しています。おまけにどこの大学も独立行政法人と言う名の国家からの予算は先細りです。一方いったん病院を作ったら撤退は地元住民の反対があり、事実上撤退に踏み切った大学病院というのは歴史上ありませんでした。また大学の不名誉なことでもあります。
練馬区から喧嘩を売られたか 日大が仕掛けたのか存じませんが、よいいい訳ができましたね。他の病院の改築も迫っており金もスタッフもいくらあっても足りないはずです。下手な撤退をして世間の恨みを買うよりもまずはベストな方法です。
再度心からお祝い申し上げます。今年の忘年会は豪華版になりそうですな(笑)。
計算式ありがとうございます。今朝はなぜかネットがつながらなくて、計算式を探し出す余裕がなかったので助かりました。
今回の協会側のお話はババ抜きのババを協会に回されない様にするためと見れなくもありません。かなり問題はヒートアップしているところがありますから、練馬区側の住民への説明が「たぶんなんとかなる」で押しきろうとする様相があります。これで4月にどうにもならなかった時には、責任のボールが協会に飛んできます。「そらみたことか」の反応です。そこで練馬区が「協会に裏切られた」みたいな展開に持ち込まれるのは真っ平ごめんです。
今の時点に出してもタダでは済みませんが、後から出すよりは協会側のダメージがかなりマシだろうの計算ぐらいはあってもおかしくありません。あれもこれもが全部練馬区と協会側の示し合わせの可能性もありますが、それより練馬区と協会の間の合意も怪しい部分があるように見えます。
本件:日大光が丘病院問題は、地域医療振興協会問題も含めて日本の医療制度上のターニングポイントと理解しました。興味深いことです。誰かきちんとまとめてもらえないでしょうか。
こういう話の場合、田舎だったら怪しいコンサルが介在していることが多いのですが、練馬区に甘言をささやいたのは誰なんでしょうねえ。
日大運営を嫌ったのではなくて、「区長さん、大学なんぞに頼らんでも、もっとうまく病院運営する団体がありますよ。区の財政改善にも貢献できますよ。」、田舎だとこういう甘言に首長がコロッと逝くパータンでしたけどね。
新たな、○らい回し事件、起きそうな下地がかなり怖いです。
個人的には、前も言ったが、日大と区が復縁して欲しいが。
>最も予想された展開
言うても東京23区内ですからチイとは違う展開もあるかと思っていましたが、東京とて変わらない事を示しつつある様に感じます。
本当に春時点で10人程度の医師しか集まらず、50床運用のしょぼくれた小病院になってしまったら、住民の不満は爆発してもおかしくありません。首長は当選して1年間はリコールできないそうですが、春には1年超えますから、定番のリコール騒ぎが出てきてもさして不思議とは言えません。
問題は完全に協会に移行してからの騒ぎになりますから、たとえ日大回帰を唱える新区長が誕生しても、今度は協会を追い出す作業から始めないといけません。日大も光が丘病院が欲しくて仕方ないわけでもありませんから、区長が変わったからと言って掌を返す様に戻ってくるとは言い難いところです。またそこまで泥沼状態になれば、協会は追い出さなくとも逃げてしまう事も十分にありえます。
犯人さがしをやっても意味は乏しいですが、区長に「日大は不要」と囁いた人物がもしいれば罪深いことの様に思います。
組織も大きくなり、とくにカネが大きく動く様になれば変質します。理想よりも現実論が組織を支配するのは必然でしょう。興味があるのは今回の事件での協会の本当の立ち位置です。手を挙げる前に現在の状況とか、日大の動きについて下調べをしていたと思うのですが、それでもあえて手を挙げています。医師を集めるにしても、そのハードルの高さを知らないはずがないのにです。
そうなると考えられるのは、
1.仲介者にガセ情報をつかまされていた
2.正面突破をしてでも東京の病院が欲しかった
どっちも可能性はあります。ガセ情報の内容を推理してみると、譲渡に際し、日大側から移行期の協力が得られるです。そういうガセ情報がベースにあって、練馬区も協会も動いたのなら、これまでの経緯はある程度筋が通ります。ところが日大側の協力なんて話は実はどこにもなかったと後で気が付いたです。
正面突破説はガセ情報がなかったら、見ればそのままの状況です。協会の将来のために、どんな手段を使っても光が丘病院を手に入れたいです。こちらになると、練馬区と日大の交渉が全く実りの無いものに終始した理由が説明可能になります。日大との交渉時に既に協会の提示した条件が練馬区の背後に貼り付いていたです。
詮無き詮索ですが、無理を通そうとしても道理は厳然と聳える状況に見えてしまいます。
>日大との交渉時に既に協会の提示した条件が練馬区の背後に貼り付いていたです。
そう、それですよ、日大に対する練馬区の強気の源泉は。
そして振興協会側から見れば、『光が丘病院後継運営主体公募要項』は、これまで順風満帆できた(と思っている)経営者なら乗ってしまう話です。だって、募集条件を満たせなくなったときに足枷になる条件が無いですからね。その上で、上手くいけば大学病院の後継だってできるんだとの実績にもなるし、上手くいかなくたって本体は傷つかない。さらに伊豆のいざこざをウヤムヤにできた『実績』がありますから、乗らない手は無いです。振興協会としても。もちろん日大の体制と同等の体制でスタートすることを目指していたでしょうし、それが振興協会自身にとっても望ましいと考えていたでしょうが、そうでなくても想定内だったと思います。23区内で賃料無料の物件は『おいしい』ですから、とにかく唾だけ付けといて、後でゆっくり料理するのも手ですから。
ただ、気になるのは公募要項の一説です。
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(3)土地・建物の貸付け条件等
1. 病院の土地・建物については、無償貸与とする。
ただし、練馬区議会において議決が要件となる。
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区議会の議決が済んでいなければ、ひと波乱ありますね。
しかし、区議会としてはのまざるをえないのでは?
だって、ここで振興協会に抜けられたら病院が消滅するのですから。
足下見られていると思いますよ。しかし、小児救急のドミノが起こりそうですね。
>しかし、区議会としてはのまざるをえないのでは?
はい 再度日大か他の医大に頼めば 笑ってやりませゥ。
経営母体が別なら 派遣して給与をもらうだけなら楽ですから。
ツー川崎市立病院もよろしく。あ 濃すぎました。
ま ジッツの復活と思えば ねえ。
前にも書きましたが、練馬区には二つの大学病院がある必然性はないのです。高野台にある順天堂だけで充分なんです、高度医療を任せるのは。
日大にしてみれば光が丘と板橋本院は余りにも近い。板橋本院は立派なライバルT大学病院に比べれば見劣りするし、建て替えなければならない。駿河台も縮小することで千代田区を慌てさせている。
光が丘地区に必要なのは高度医療を担う病院ではなく、振興協会が「得意とする領域」の病院なのです。「地域医療を崩壊させる」なんてことはあり得ませんからご安心を。
あまり原理主義的な行動をされないほうがいいと思います。
ここは
(お笑い)協会(官制)医局VS(なんちゃって)大学医局の構図の中で小児救急をされている小児科の先生方はたいへんだなというイメージでいいのでは
練馬区における光が丘病院問題で、区・協会・大学の誰が一番悪いと思いますか:区民アンケートがあるのかどうかはわかりませんが
私のイメージでは悪いのは区・協会・大学=5:5:0のような印象を持ちました。
戦略として悪いはの区・協会・大学=3:3:4くらいの印象を与えるような
大人の対応戦略があればと思います。
自治医大・地域医療振興協会・地域医療の本質的な部分が日本全国の医療関係者に
丸見えになるのは国益を考えると本当にいいことだと思います。
本件は
前にYosyan様が出されたストライサンド効果というのでしょうか
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20100724
元々、光が丘は日大が自分で建てたわけじゃないですしねぇ。
日大撤退でアレしてますけど、元々練馬区医師会病院を医師会が投げ出して、医者を出してた日大が泣き付かれて引き受けた病院ですし。
練馬区の管財課には、六法全書ぐらいなかったんですかね。
その当時は高野台にJ天堂さんはありませんでした。できてみれば当然、差は見えてきます。
正直な所、送る側の我々もその差は知っています。
すったもんだがあって、ホワイトナイトとしてT洲会さんがくるとか。
業界筋では「その条件で受けられるとこないだろ」っていう無茶な条件を保護者・住民に約束して、移管事業者選定して、案の定、選定された事業者はそんな人員確保できなくてトラブルになってたはず。
第 2回住民説明会概要をざっと読ませていただきました。その上で、過去に各地であったこの手の話を基に言えば、区と協会は最初からグルですからボールのやり取りは外には見えません。外に対しては破綻するギリギリまで(破綻してもかな)協力体制を見せるのが前例です。私の地域はオーバーベッドですが、当地で運営主体の変更があった病院の場合、許可病床は約300床でしたが、医師不足から半分くらいの病床しか実動せずにいて5年経ちます。しかし、県からの指導はありません。私の認識では、地域がオーバーベッドであっても、閉院となるか、病院自ら病床を返上しなければ県が病床を召し上げることはできないのではないかと思います。ただし、「増床したい病院があるのに、塩漬けになっている病床がある」とそれなりの場で問題になった場合は別かもしれませんが。
医療・介護施設を賃貸物件で運営する場合、許認可の条件として30年以上の賃貸契約を自治体から要求されることがあります。私もそうした事案に遭遇し、変だと思って調べたのですが、行政は借地借家法を根拠に30年の契約を要求しているようです。
借地借家法
第二十九条 2 民法第六百四条 の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。
当初日大側の弁護士も賃貸借の上限は20年だから30年契約は無効と主張していたようですが。
実はなんとかなりそうですが・・・
保険診療継承できず? 来年4月は10割負担の可能性も 練馬・光が丘病院法人交代で
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111206/tky11120619290011-n1.htm
ああ、借地借家法ですか。自分自身が借家人のくせに知らなかった。ありがとうございます。
行政所有資産の賃貸に、果たしてそれが適用できるのか・・・となります。
一般的にみると、「病院を営む」ことを条件にした貸し出し契約ですので、借地借家法の適応外とも考えられます。