2011-12-19 刈谷豊田産科医時間外訴訟2・和解の結末
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よろしかったら、ご覧ください。
1回の当直で約10万円の人件費です。
つまり労基署の記録から適正な労務管理をしていることを証明できないので、事業主は自前で受領印を受けた副本を全部保管しておかないと碌なことがありません。
まさか届出制の書類だけで無く、許可制の書類まで保管してないとは知りませんでしたが。
>労基署に届け出る書類の類いを、労基署が保管してないのは普通の状態です
そうなんですか! こりゃ勉強になりました。
>つまり労基署の記録から適正な労務管理をしていることを証明できないので、事業主は自前で受領印を受けた副本を全部保管しておかないと碌なことがありません。
>まさか届出制の書類だけで無く、許可制の書類まで保管してないとは知りませんでしたが。
ものごとを悪意でもって判断してはいけないかも知れませんが、法に違反しないならさっそく本ブロク・コメントを読んで書類を破棄される事業主もおられるかもしれないと思いました。
フランスだと年間10000件以上月間1000件前後という施設も珍しくないですけど、日本ですもんね。
御指摘ありがとうございます。謹んで訂正させて頂きます。
昭和38年の学卒初任給の賃金統計データです。
・大卒男子 (事務系)19,839円 (技術系)20,107円
・高卒男子 (事務系)13,609円 (技術系)13,758円 (現業系)13,653円
・中卒男子 (現業系)10,382円
現在の学卒初任給は大卒が概ね20万円台半ば、高卒が概ね20万円前後ですから、14倍になってます。昭和38年当時の宿直手当の400円は、大卒初任給約20,000円を1/25で日給換算(当時は週休1日で月25日就業)した半日分、高卒初任給13,800円では日額の75%ぐらいでしょうか。現在の宿日直許可の条件である「賃金1人1日平均額の3分の1」は満たしていると思えます。ただし医師を除く病院職員であればという条件が付きますが…。
あと、申請制じゃなく、許可制なので、申請してから調査が行われますので、申請⇒許可のギャップは当然あります。
それにしても勝訴したら、付加金つけて倍返しの金額が取れたかもしれないと思うと、この和解が良かったとしても、ベストかどうか・・・・裁判官に半分言いくるめられた気がします
アメリカだったら集団訴訟+懲罰的罰金でトヨタが吹っ飛ぶかもしれないくらいの訴訟になって、弁護士が寄ってたかって丸裸にしちゃうんだろうなぁ。。。
例えばですが、訴訟費用は高くなりますが慰謝料などを含め、請求金額を2,800万円としていた場合、被告側は満額回答に応じたでしょうか、法外な請求でも満額回答をするという前例もまた被告側に都合が悪いはずです。ときどき法外な請求金額と思われる訴訟を目にしますが、それは訴訟自体を吹き飛ばさないための戦術なのでしょうね。
いや、逆です。逆。ちゃんと保管して置かないと、あそこは届け出を出してないって誰かにいちゃもん付けられたときに、届けてあることが立証できないんですよ。労基署には残ってないので。
満額回答の和解の場合の訴訟知識が乏しいので、なんとも言えません。今回の場合は和解交渉の経緯自体が、どうしても和解にしたいのなら「満額なら考慮する」と原告側から出たと言うのもあると聞いています。これは和解条件と言うより、そこまで条件を吊り上げれば和解に応じないだろうの駆け引きのつもりであったとも聞いています。
それから先はエントリーに書いた様に、裁判官が180万円の案を出し、原告が和解の文面条件を提示し、被告側が渋るの展開です。これも良く分からないのですが、和解時にも請求額以上の金額が成立するかどうかも存じません。漏れ聞いた話では「むつかしそう」な印象を抱きました。
裁判官の意図は永遠に不明ですが、どうも原告が満額回答なら和解に応じるの言質をうまく活用した様に感じています。被告にとっては大した金額ではないとも言えるからです。原告側にとっても「まさか」の満額回答なので応じないわけにはいかなかったと言う展開になったと考えても良いような気がします。
和解交渉は判決もにらんだ心理戦の側面が大きいですから、自らが提示した満額回答を蹴飛ばすのは躊躇されたと推察されます。
>請求金額を法外なものにするというのがこの件からの教訓でしょうか。
>例えばですが、訴訟費用は高くなりますが慰謝料などを含め、請求金額を2,800万円としていた場合
民事訴訟では、賠償請求する金額の計算根拠は原告側に立証責任があります。今回の裁判では23回の宿直で合計金364万1485円、そこから既払いの当直手当84万0195円を差し引いて、請求額が280万1290円という計算額は、訴状の中で原告が計算式を明示して積算します。
この支払請求額の計算が具体的な根拠が無く、かつ社会常識に反する法外な金額、例えば、オレ様は1時間あたり10万円以上稼げる能力があるから、一晩の宿直勤務で150万円以上払うのが当然!こうした根拠の無い請求に原告が固執するのであれば、裁判所は原告の立証不十分として請求全額を棄却する判決をするでしょう。つまり労基法違反の具体的な審理に入る前の、門前払い的な原告側の全面敗訴とする可能性が出てきます。
さらに濫訴により迷惑を被ったとして、被告(本件では病院側)より、逆に損害賠償の反訴を受ける可能性もあります。280万円を根拠無く十倍の2,800万円に吹っかける提訴は、原告側に圧倒的に不利です。
また、労基法37条の時間外労働割増賃金の支払請求訴訟で、支払が為されなかったことに対する精神的損害として、慰謝料が認められた判例は聞いたことがありません。このような未払賃金請求訴訟で原告が慰謝料を請求したとしても、精神的損害の有無について踏み込んだ審理に入らず請求が棄却されると思われます。
なおML様が触れていますが、この賃金未払の精神的損害の賠償請求(慰謝料の請求)ではなく、労基法114条では未払賃金と同額の付加金の支払いを、原告労働者が請求することを認めています。この付加金は、裁判所が使用者の労基法違反の事実を認め、かつ付加金支払いを命令するに値する悪質性があると認めた場合は、和解ではなく付加金支払いを命ずる判決となります。
ただし付加金の支払判決は、当初の訴状の中で原告が付加金支払の請求を行っていることが条件です。民事訴訟では、原告請求の無い金銭の支払いを命じる判決出来ませんので、付加金が当初の訴状で原告側から請求(提訴後の追加請求も裁判所が認めれば可能)されていなければ、裁判所は付加金については一切審理しません。
こうした訴訟上の駆け引き戦術の面からは「本当の勝者はトヨタであったかもしれません」という、日記最後の推理部分でのYosyan先生の感想も、あながち的外れとは思いません。
判決を求める原告の意思に忠実だったら、付加金を含めた賠償請求になるはずなのに、さて担当弁護士さんは労働訴訟に馴染んでおられたのか?という疑問が残ってます
悪質性といえば、深夜労働を連続でさせて安い当直料で酷使していたのだから、悪質だと思います。もちろん、全国の救急告示病院が悪質なので、平均よりチョい悪かもしれませんが。。。。
原告にしてみれば、結局全部認容判決に等しいわけですから今後本件に関して同一の訴えを起こすことができなくなるばかりか、時間外であったことやら既判力を持って判断されていませんから、280万はもらったけど、「労して益なし」状態です。
一方被告にしてみれば280万円支払うことで、「その他の請求(原告が求めていた文言等)」を裁判所に判断されることがありませんから、280万円の性格も「口封じの解決金」のような性格といえそうです。痛い腹を探られないような。
したがって、原告はたとえ180万円の一部認容判決であっても「判決文」を得ることが今後のためにも必要であったのではないかと、今回最悪何も解決していない状況では、結局原告は今回の裁判で何がしたかったのかと疑問ではあります。
裁判的には原告は280万円の請求に対して280万を得たわけですから「全面勝訴」なんでしょうが、そもそも請求の趣旨に掲げられていないことに既判力が生じないわけですから、結論は見えていたともいえますが、、、。
でも、訴訟を起こした産科医個人は、病院の同僚医師達を救う為に訴訟を起こしたのか?
最初に考えたのは、自分に対して払うべき賃金を払わなかったことへの怒りでしょう。
先ずは私に払え、これが第一であって、病院の同僚医師へ同様に、というのは順位的には下でしょう。
言うならば280万の支払確定がメインで、同僚医師にも同じようにはオマケの部分でしょう。
メインとオマケの比重をどう取るかは、外野が決めることではなく、訴訟を闘った原告自身の評価で決まることでしょう。私は原告がこの和解に満足しているならそれで良し、と受け入れるのが外野の弁えだと思います。
実質は、フェアトレードの原則が労働でも確立するのが第一ですね。
無論、個の救済のための争議は大事ですが、個に責を追わせすぎるのは、ちょっと過酷かと。
まずは社会のフェアを確立するのが大事でしょう。
労基法の遵守も含め、適正な労働環境を確立すること。
それが大事だと信じていますし、私はそれを目指します。
本来ブログ主がレスすべきことでしょうが、Yosyan先生はお忙しいようなので。
エントリ本文からですが、
「原告の意向は「カネでなく判決文が欲しい」です。280万円の請求と言っても、よく御存知の通り、弁護費用を払うと足が出ない程度のものです。一審だけで終ればまだしも、二審三審と争えば足が出てもおかしくありません。ですから本気でカネではなく判決文が欲しいでした。もちろんできれば「カネも欲しい」とは言ってましたけどね。それでも優先したのは判決文です。」
情勢判断的に有利そうだと感じたところで、訴訟は水物です。勝利をどういう形で受け取るかで心理的に揺れ動く場でもあります。原告が満額支払いと言う形で勝利を受け止めた事に、私は非難をする気にはまったくなれません。外野から見れば不満足な部分もあり、原告自身も不満足な部分はあるとは思いますが、トヨタが支払った事は事実です。
エントリーの中でトヨタに利があったんじゃないかの論評をしていますが、この訴訟をどう活かすかは後に続くもので変わると思っています。たとえば訴訟に訴えても、さして手元に残る金がない、もしくは持ち出し覚悟で臨む者が増えればトヨタの思惑は狂います。またそういう戦術を取ると言う事を念頭においての戦いになれば、次はどうなるかは予断を許しません。
当事者のギリギリの判断は尊重すべきと思っています。原告は一つ道を切り開いたパイオニアとして敬意をもって接すべきだと私は考えています。
わたしはまったく違う分野ではありますが、同様の裁判(判決(+お金) or 和解(+お金)が選べる状況になった)を闘ったことがあります。
私の場合は一審で和解の謝罪書面なしに終わりました。(判決→和解で謝罪書面あり→和解で謝罪書面なしに流れていきました。。。)
かなりの特殊な状況下で相手のことだけでなく、裁判官の心証なんかも考慮して闘います。
本心から判決がほしくても和解のテーブルにつかないと裁判官の心証が悪くなるんじゃないかってのもすごくわかります。
お金ももちろん考えます。。。生活がありますから。。。
でもそれ以上に二審三審と争ったときの時間です。
その時間はすさまじいものです。
一審だけでも1年や2年なんかすぐです。(わたしは1年半かかりました。)
その間中、相手のことが憎らしくて。。。気づけばそのことばかり考えて、いつも心が黒い感情で覆われます。
心の疲労は言葉では表せません。
二審三審と考えただけでもおそろしいです。
わたしが言いたいのは「本気でカネではなく判決文が欲しいでした。」とありますが、途中で思いの比重が変わったり、メインとオマケが入れ替わったりもしたのではないでしょうか。あと判決文とお金以外にもいろいろと要因があっても終わってしまい他のだれかに話すときは最初の思いだけを伝えてしまう。
経験したものでないとわからないこと、言葉には変えがたいこと、うまく伝えれない感情、、、
それほどまでに特殊な状況下なのです。裁判とは。。。
そういや武富士って潰れたんだよね(ぼそっ
>その間中、相手のことが憎らしくて。。。気づけばそのことばかり考えて、いつも心が黒い感情で覆われます。
心の疲労は言葉では表せません。
それだけに完全勝訴の判決文は値千金なんですよね。私も貰った事ありますがw、憎い憎い相手を完全否定してやったあの高揚感、達成感!物理的に亡き者にしてやったとしてもあそこまで気分はよくないでしょうねさすがに経験はないけどw。苦労の甲斐はあった、と断言出来ます。
*個人の感想ですw
適用できれば、トヨタのイメージ低下は免れないと思うのですが
同じように当直勤務の時間外労働割増賃金を請求した、奈良県立病院の民事訴訟を覚えておられますか?
奈良の件では、1審2審とも当直は時間外労働と認め、労基法37条に定めた通りの時間外割増賃金の支払いを命じる判決が出ています。その判決を根拠にして、労基法37条違反で奈良労基署に刑事告発した人がいるのです。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20101125
奈良労基署はこの告発を受理して、奈良県知事など病院設置者の刑事捜査を行い、奈良地検に書類送検しました。しか〜し誠に残念ですが、奈良地検は最終的に不起訴としてしまい、病院設置者の奈良県知事を刑事訴訟の法廷に引きずり出すことは実現していません。
民事訴訟で完璧に時間外労働と認めた判決が出た奈良県立病院事件でも不起訴です。この刈谷豊田病院の民事訴訟は和解で終わっていますので、奈良県立病院での結果とも条件が違っています。
労基法違反での刑事罰(刑事裁判での有罪判決)は、なかなかハードルが高いのです。。。。
>それだけに完全勝訴の判決文は値千金なんですよね。
もらってみたいです。。。高揚感、達成感、想像しただけでも気持ちよさそうですね。しかも実際になってくるとさらに想像以上の。。。うらやましいです。が、もう一度という気にはならない(なりたくない)ので一生味わうことはできないでしょうね
ふむぅ、結構厳しいんですね
ここらへんのハードルが低ければ、ブラック企業とかサービス残業も横行せずに済むのですが…
>こと医療業界に対してはその影響力の広がりが逆に考慮されて起訴が抑制的になっているふしがあるのではないかと
労働訴訟全般にそういう傾向があるように感じています。本来的には労働組合が、訴訟に依らずして交渉でなんとかすべきぐらいの考え方がベースにあるような気がしないでもなく、個人が訴訟でなんとかするは例外的な手法ぐらいに置いている感じなのでしょうか。もともと実質的に労組が存在しないと言う意味では勤務医はやや特殊なのかもしれません。
>つ〜か、もっと早々にやっていればと思わないでもないです
時代の流れ、勤務医の意識の変化を考えると「難しかった」とするべきのように思います。お弟子様が経験された様に、当時はそういう行動をするというだけで医師からも総攻撃を受けかねない時代でしたから、仕方がない気もします。無関心でしたからねぇ。