女神伝説第3部:あとがき

 正直なところを白状すると、第三部は無理がありました。第二部で風呂敷を広げすぎて話を作るのに悪戦苦闘ってところです。やっぱり第二部で終りにしておけば良かったと途中でどれだけ後悔したかです。

 その辺は前半部分にありまして、第二部の焼き直しシーンが割とあります。あの辺を書いている時は、開き直って会社生活のドタバタの点描でお茶を濁そうと考えていたぐらいです。とにかくどう話を盛り上げたものか暗中模索状態だったのです。

 とりあえず対決路線を作ろうと手垢の付きすぎているユダをライバルに仕立て上げたのですが、ユダと戦って勝っても第二部の焼き直しになってしまいます。それだけ行き詰ると、これで話を完結させる意識が強くなった時に、そうだ、完結させて良いのならエレギオンに行かせようと思いつきました。

 コトリがエレギオンの地に立たせることになって、ようやく話が広がってくれました。エレギオンの場所は特定してませんが、イオニアあたりを漠然と想定しています。エレボールのエピソードを入れてますからエーゲ海に近くないと都合が悪いぐらいです。

 それと今回難儀したのはシノブとミサキに子どもを産ませてしまったことです。これは、そろそろ産まないと時期的に拙いだろうぐらいだったのですが、子育て中となるとバーなりで一杯やりながら話をする設定が使いにくくなります。旦那は家事に積極的で、子育てにも非常に協力的な設定にしてはいますが、独身時代のように気軽に飲みに行かせるのに無理があるからです。

 そうなると相談事をさせる場所の設定に工夫が要るのですが、これも芸がないと思ったのですが、シノブとミサキの家をコトリが訪れる設定を使わざるを得なくなりました。それはそれでまあ良かったのですが、三人なり二人を会わせる機会がどうしたって減ります。家まで行くのですから、入りびたりは拙かろうです。

 コトリは女神の仲間としてシノブとミサキを得たものの、二人が結婚し子育て期に入ると一人で過ごす時間が増えます。そのうえ、重役にしてしまっていますから、余計に寂寥感が強くなる設定にしています。そんな思いが強くなりすぎて、ああいうラストにしてしまった気がしています。