転写産物をクラスタリングして見えてくるもの - 転写配列旅日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2014-07-16 プロテオームの領域で我々は貢献できるのか?

[]プロテオームの領域での役割を考えてみました。

 明日から、日本プロテオーム学会出展します。会期は、2014年6月17日から2日間、つくばの国際会議場で行われます、

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 6年ぶりの出展になります。展示のメインの商品は、KMデータ株式会社様のKeyMolnetです。

 もうひとつの目的は、プロテオームの領域での市場調査です。質量分析機器の精度があがり、また、種々課題を乗り越える努力をされた結果、定量的発現解析が可能になってきたことをいろいろな先生からお聞きしていました。その状況で、核酸配列やヴァリアント情報を扱う我々がお役に立つことができるのかを学会に展示することで調査してみたいと考えております。

過去の製品は今もニーズがあるのか?

 以前、質量分析での同定精度をあげるための商品を2点開発して販売していましたが、売れ行きがいまいちなので、営業を止めていました。しかしながら、我々の商品に興味を持っていただいて、ときどき問い合わせをいただくこともあります。これらは、今、プロテオームを行っておられる研究者の方に、どのように捉えられるのでしょう。もうすでに、だれかがなんらかの方法で対応しているのでしょうか?楽しみです。

Sequece Composer バリアントアミノ酸配列作成プログラム

UniProtに格納されているバリアント情報をもとに、各遺伝子ごとのアイソフォーム作成や1アミノ酸置換、シグナルペプチドの除去などの加工を行ったアミノ酸配列を生成します。また、アミノ酸配列ビューアを搭載していて、変異位置を提示することはもちろん、修飾情報も提示します。

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Human-PERFECT/Mammalian-PERFECT 未知蛋白質を同定するためのEST配列を含む転写配列セット

 NCBI-nrから、ヒト・マウス・ラットのアミノ酸配列だけを抜き出した配列群、EST配列アセンブルして得られたコンセンサス配列群、さらに、コンセンサス配列ゲノム配列のアライメントしてゲノム配列を切り出してEST配列の精度をあげたGenome refined consensus配列群で構成されています。

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KeyMolnetはプロテオームの分野でどのように販売すれば良いのか?

 KeyMolnetという商品は、ヒトが日々論文を読み、論文に記述されている”確かな”2つの蛋白質の関係、及び、それぞれの蛋白質の関連情報(疾患、病態、パスウエイ、シグナル伝達経路等)を蓄積しているデータベースであり、それを参照するソフトウエアです。我々は、約2年間、この商品の販売を手掛けておりますが、核酸を扱う研究者の方へのアプローチでは、手ごたえを感じております。KeyMolnetは、網羅的解析を行って、得られらた候補から意味解釈しながら実証実験にもっていく候補遺伝子を選ぶためのツールです。プロテオームの世界で、網羅的候補探索はどのように行われ、そこで意味の解釈を行いながら候補を絞り込むという場面で、どのようなニーズがあるのかを調査したいと考えています。

2014-04-29 MidnightBioTVの再放送をやってみました

お客様はだれなのかを改めて認識したかも

 昨日、MidnightBioTVの再放送を行いました。再放送ですから自分で見て聞くことができました。わたしのプレゼン内容はまだまだ未熟だなと感じ、Keymolnetは、やはり単にデータをコレクションしただけではなく、候補蛋白質を考察するための至宝のツールだと改めて思い、また、コンピュータ技術でバイオテクノロジーに貢献する企業がストリーミング配信する意味というのを改めて考えてみなければと思いました。

どこに向かって仕事をするのか

 わたしどもは、バイオテクノロジーという分野で、コンピュータソフトウエアを生業にした企業活動を行うにあたり、ツールとサービスを提供して、お客様により良い研究成果を出していただくことが目標となります。また、近い将来おとずれすであろう(すでにその兆しは、ここかしこで実施例が出始めている)次のステップ:生産現場や医療現場へのバイオテクノロジー技術の応用展開のステップでは、ツールをサービスを提供して、お客様により生産性・品質の向上を実現していただいて、さらにその先におられるエンドユーザ様に満足いただける活動の一助になることが目標となります。つまり、我々は、お客様がバイオテクノロジーのすばらしさを享受していただくために活動を行うのだということを再確認できました。

そのためには

 わたしどもは、まず、次世代シーケンサのデータ解析のオペレーションを簡単にできるようにしました。次の課題は、現バージョンのブラシュアップと、データ解析の下流に向かってのシステムの機能の拡充です。ツールに磨きをかけていくには、ツールをたくさん使っていたいだいて、そこから要望をいただくことであり、また、自分でももっと使ってみてより使いやすくなる項目をたくさん見出すことだと考えています。また、下流に向けての機能拡充は、SubioPlatform(株式会社Subio製)やKeyMolnet(株式会社KMデータ製)を我々がもっと使ってみて、上流でのアウトプットに必要な課題をたくさん見出すことだということがわかりました。

プレゼン内容もポリシュアップ

 そういう意味では、プレゼン内容も、実例を用いて解析手順を示しながら、どのような考察にツールを使うとどのような効果があるのかを示すようなものに変えていく必要があり、ストリーミングで流すならKMデータさんが行われているように、公開されている実際のデータを使って、その場で解析して、しかも、インパクトのある結果を提示していくのが良いのではないかと思っています。つまり、たとえば、MidnightBioTVのチャンネルの番組のタイトルとして、今回KMデータさんがプレゼンされた”?型糖尿病をテーマとして、SNP解析とマイクロアレイ解析データを使ったオミックス解析による候補考察”のようなことを掲げたて、複数人でわいわいやりながら、候補探索をしていくような放送ができれば良いなと思っています。

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2014-04-22 本日、MidNightBioTV久しぶりにOpenします このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

[次世代シーケンサ]コンピュータ専門家を必要としない データ解析システムとは

 ここ1年半、わたしどもは、”コンピュータ専門家を必要としない データ解析システム”を提供する取組を行ってきました。この取組が少しまとまってきましたので、取り組みの基本となる考え方と、実際に開発したシステムをご紹介し、膨大に産出される生物情報のデータ解析を行われる”コンピュータ専門家ではない方”及び”コンピュータ専門家の方”のお仕事に少しでもお役に立てばと思いまして、今回のMidNightBioTVを企画いたしました。

最大の課題は”コンピュータソフトウエアが扱える専門家が不足している”こと

 ここ3年程で、次世代シーケンサの普及が急激に進んでいます。そこで発生した最も深刻な課題は、データ解析を担当するコンピュータソフトウエア専門家が不足している点です。このことが、研究に次世代シーケンサを活用しようとするモチベーションを下げているのは明らかです。しかしながら、世界中で次世代シーケンサを利用した研究が行われていますので、使わざるを得ないということも事実です。そこで、”バイオインフォマティシャンを養成する”ということが、官民で進められています。人材を育てるということは、たいへん重要な取り組みだと思います。が、しかし、人材が育つには時間がかかります。また、カバーしなければならない領域が多岐に

わたり、シーケンサから産出されるデータの量の増加率は、おそらく、”バイオインフォマティシャンが養成されるスピード”をはるかに超えていることも間違いありません。

ならば、”コンピュータ専門家を必要としない データ解析システム”を提供しよう

 ということで、いろいろ課題を残しながらも、必要とされるシステムを必要とされるところに供給する取組をはじめました。

今回のセミナーの内容

 今回のセミナーでは、次のような内容のお話をする予定です。途中、チャットでもTwiterでも結構ですので、どんどん質問やご意見をいただければと思います。

日時:2014年4月22日(金)20時開始

http://www.ustream.tv/channel/midnight-bio-tv:Ustream MidnightBioTV]

1)網羅的解析を行う際のデータ解析の種類と提供するソフトウエアの概要
2)Exome解析のシステムについて
3)mRNA-seqのシステムについて
4)Keymolnetについて(KMデータ:谷口さん)
5)Keymolnetを使った解析のデモ(KMデータ:谷口さん)
6)NGSの現場における今後の課題と解決へに向けて

2014-03-16 転写産物の発現と細胞間の相互作用に関する妄想

[]転写産物の発現と細胞間の相互作用に関する妄想

 シングルセルに関する発現解析が進む中、HiCEPの測定結果を日々見ていると、細胞と組織と発現プロファイルについて妄想が大きくふくらんでおります。そこで、ここに書き留めておくことにしました。

 HiCEP(Hign Coverage Expression Profiling)法は、低発現の転写産物から高発現のものまで、その発現量をほぼ同じ程度の誤差で観察することができる、とてもすぐれた網羅的発現解析手法です。ひらたくいうと、ほぼすべての転写物を”正確に”プロファイリングできる手法です。それについては、本ブログで以前に書きました。”アレイと比べる”話 - 転写産物をクラスタリングして見えてくるもの - 転写配列旅日記そちらを参考にしてください。また、HiCEP法の詳細はこちら http://bit.ly/NjbQTj

 このHiCEP法は、PCRで増幅して、キャピラリーで電気泳動して波形を得、ひとつのピークの蛍光強度が1転写産物の発現量に相当する手法です。しかしながら、PCRを使っているため測定された1転写産物の蛍光強度は、実際の発現量を正しく表したものではありません。しかし、HiCEP法で得ることができるピークの強度が発現量を反映しているという前提で妄想してみました。

低発現転写物の発現転写産物全体に対する割合に関する妄想

 ヒトの末梢血(単核球)にHiCEPを実施すると約3万のピークを得ることができます。ひとつの検体で見ると蛍光強度を持つピーク数(蛍光強度が50以上)は約2万5千、その中で、極低発現の転写物・蛍光強度200以下のピーク数が約1万3千、低発現の転写物・蛍光強度が1000以下のピーク数が約2万、蛍光強度1000以上のピーク数は約5千という結果となりました。

ピーク数割合
総ピーク数約3万5千-
1サンプルのピーク数約2万5千100%
蛍光強度200以下のピーク数約1万52%
蛍光強度1000以下のピーク数約2万80%
蛍光強度1000以上のピーク数約5千20%

つまり、1サンプルに検出されている約2万5千の転写産物の内、80%以上は低発現転写物であり、さらにその中の50%以上は極低発現転写物であると妄想できます。

極低発現転写物とはどの程度低発現なのか?

 HiCEP法の測定法で1細胞中mRNA何コピーまで検出できるかを検討するために、試料にmRNAを濃度を変えながら混入させて、HiCEPを行ったところ、10細胞に1コピーで蛍光強度約1000程度あることがわかりました。もちろん、PCR効率がフラグメントによってかわるので、これを基準に考えることができないのはわかっているのですが、そこをあえて目をつむって妄想するならば、HiCEPは、10細胞に1コピーにとどまらず、100細胞に1コピーしかない転写産物を検出して、さらに、それが2倍3倍と増加していく様子を網羅的にとらえることができているということになります。

極低発現の転写産物が増加するというこは?

 100細胞に1コピーしか存在しないmRNAが2倍に増加するということは、ひとつの細胞の中で、もう一本mRNAが転写されて現れたという解釈もできますが、そのmRNAを1コピー持っている細胞の数が2倍になったも考えられます。つまり、1細胞内の反応でmRNAのコピー数が増えているのではなく、細胞間の相互作用の中で組織として転写産物が増えているという解釈もなりたつのではないかと妄想しています。

組織はまさに組織的

 となると、一見均一に見える組織細胞群ではあるが、実は、細胞ごとに別々の役割をになったヘテロ細胞集団ではないか? それはまさに、個別の役割を持った多数の社員が組織化されて企業活動を行う会社と同様、個々の別の役割を持った細胞が多数集まって組織化されたものが生体内の”組織”ということになるのではないかと妄想しています。

MidnightBioTV、4月22日(火)20時から行います。テーマは、網羅的解析で得られた測定結果を、バイオインフォマティクス専門家ないで、本物の候補まで持っていくツールをご紹介します。HiCEP法の網羅的解析における位置づけをお話します。

2014-03-06 第2回 HiCEP研究会開催 2014年3月25日

[]HiCEPを使った研究事例をご発表していただきます

 網羅的転写産物発現プロファイリング法であるHiCEP(Hign Coverage Expression Profiling)の第2回目セミナーをやっと開催することになりました。第1回を開催してから2年少したってしまいました。

 HiCEP法は、高精度遺伝子発現解析手法で、極低発現遺伝子から高発現遺伝子まで網羅的に高い精度で転写産物量の変動を測定できる実験手法です。(バイオインフォマティクス手法ではありません。)

 たくさんのひとに使ってもらうことを目的に、企業として取り組みをはじめて14年たちます。まだ、HiCEPを超える結果を出す手法はないように思います。(超える手法が出れば、さっさとやめようと思っていましたが。。。 次世代シーケンサ出てきたときはやめようかなと思いましたが。。。)

 今回のセミナーでは、HiCEPを使った研究が2演題。発生・再生分野、及び、バイオ医薬品生産分野に適用いただいた事例をご発表いただきます。

 HiCEPは、やれば必ずといっていいほど新たな候補遺伝子を得ることができますが、”新たな”候補と戦うのもたいへんなことだと思います。そのあたりのところをお話いただけるのではないかと思います。

本会は、事前お申し込み制(参加費無料)とさせていただいております。

お申し込みはこちら (http://bit.ly/1ltO7P2)

 HiCEP 法は、多様な生物資源(実用培養細胞、商用実用生物、環境生物等)に対応でき、環境科学、農学医学生物学薬学はもとより発生・再生、生物工学、環境科学、農学医学薬学、健康食品等、基礎研究から工業的・実業的な分野まで、バイオ全般の分野に適用いただいております。

 HiCEP法の詳細は、(独)放射線医学総合研究所のこのサイトを...


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■第2回 HiCEP研究会

 --あらゆる生物学研究に対応可能な高感度発現解析の世界--
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■日時 : 2014年3月25日(火) 12:30 開場/受付
13:30 - 15:45 研究発表会
16:30 - 18:30 懇親会

■会場 : 関東ITソフトウェア健保会館 F室
http://bit.ly/1fBjGUK
東京都新宿区市谷仲之町4-39
03-3225-1133
都営新宿線曙橋駅」下車8分

■参加費 : 無料(定員50名、事前申し込み制)

■プログラム:

●京都大学大学院理学研究科 生物科学専攻
再生生物学特別講座  
                                       柴田 典人 先生

「成体全能性幹細胞プラナリアとHiCEPによるゲノムワイド解析−」

●徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部 生物機能工学大講座
次世代バイオ医薬品製造技術研究組合 プロジェクトリーダ
                           大政 健史 先生

「バイオ医薬品生産における網羅的解析法の課題と応用
−高生産宿主細胞構築へ向けて−」

[ お問い合わせ先 ]
株式会社メイズ
HiCEP研究会事務局
担当者名:湯野川春信
Tel: 042-673-3020
e-mail: sales92@maze.co.jp
URL: http://www.mscape.co.jp

2012-04-16 Midnight Bio TV 開局

Midnight Bio TV Ustreamで開局します

 バイオテクノロジー分野を中心に活動されている志の高き方々をおよびして、夜な夜なダダモレ状態で語り合います。日ごろのお付き合いの中ではなかなか言えない国の政策の問題点や解決アイデア、技術や研究に対する本音の評価、就職や雇用やキャリアパスに関する議論、ベンチャー創業や会社経営に関する薀蓄等々、種々の話題について、批判されることを気にせず語っていただいて、少しでも日本のバイオテクノロジーの発展に貢献できればと考えております。みなさんからのコメントも大歓迎です。Twitterでいただきながら番組を進めていきたいと思います。

Midnight Bio TV 第1回 

 タイトル:「大山彰さん(インシリコバイオロジー株式会社社長)vs.わたし」

 日時:2012年4月23日 午後22時〜終るまで

 URL:http://ustre.am/JJq7

 第1回は、インシリコバイオロジー株式会社を訪問し、社長の大山さんとわたしが、弱小零細バイオインフォマティクス企業について、思うところを語ってみたいと思います。特に、大山さんからの提案で、この度、日本のバイオインフォマティクスの発展に貢献することを目的とし、小規模バイオインフォマティクス企業の協会を作ることになりました。その設立主旨や活動の目標などを題材に話を進めていきます。 

2012-03-06 技術力とは

[]技術力とは

 技術力の定義は、ずっと難しいと思ってきました。しかし、数年前にテレビを見ていたら、ある会社の会長さんが、「高い技術力とは、顧客の望むものを、顧客の望む価格で、顧客の望むタイミングで提供できることである」といっていて、それがわたしにはストーンと腑に落ちてしまいました。みなさんどうでしょう。

 技術は、ニーズに答えるための作業方法です。技術力とは、その作業方法が洗練されている度合いをいうのだと思いますが、それを推し量る方法が、顧客の望むものを、望む価格で、望むタイミングに提供できているか だと思います。

 この言葉は、今のわたしの日々の活動において、まさにやらなければならないこと=つまりちゃんとやれていないことだと実感しています。顧客のみなさん、すみません。

2011-12-10 雑談ー報酬はお礼の印し

[]報酬はお礼である

 以前、「予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」という本を読んで、確信したことがあるのでメモしておきます。

 結論からいいますと、”報酬はお礼の印し”だということです。この概念は、モノを売って得る収入にも、労働して得る報酬にも当てはまって、おそらく、すべてのお金のやり取りに適用できるのではないかと考えています。

 我々は、毎日、コンビニやレストランでいろいろなものを買います。生物学研究者のみなさんも、実験器具や測定機器などを購入されます。これは必要だから購入するわけですから、ないと困るものを購入されているわけです。なので、そのお礼の印しとしてお金を支払っていると考えてみてはどうかと思いました。

 では、お礼と考えた場合、価格はどうやって決めるのでしょう。旧来の経済学では、需要量と供給量の関係が価格を決めるといわれてきましたが、先の「予想どおり。。。」には、価格はかならずしも需要量と供給量の関係では決まらないと書いてありましたし、それを証明するいくつかの実験結果も紹介されていました。わたしも、商売をするものの実感として、需要と供給との関係で価格が決まるという考えに以前から違和感がありました。で、「予想どおり。。。」の本を読んで感じたのは、報酬はお礼の印しなのだから、支払うひとが決めればいいのではないか。時には、微々たる報酬しかもらえないこともあり、ある時は、思ってもいない高い報酬をいただくことがあってもいいのではないかと思うようになりました。もちろん、現実のビジネスの上では、そんなことは通用しないので、残念ながら、”弊社の商品は言い値で売ります”などとする勇気はまだありませんが、本質的にはそういうものなのだと思っていろいろなことを考えてみてはどうかと最近は思っています。

 この報酬はお礼という考えを少し広げて考えていってみましょう。もし、本当に販売価格がお礼の印しとして、買い手が決めるものとしましょう。売るひとが儲けるためにはどうすればいいかというと、多くのひとが必要だと思ってくれる製品を出す、つまり多くの人に役立つモノを作ることですね。そういうものを作ったとして、もし、みんながケチでちょっとしか支払わなかったらどうなるでしょう。商売がたちゆかなくなって、必要なものを供給してもらえなくなります。ですから、買うひとが、商品を売る人のことを少しだけ考えて値段を決めてくれることになります。また、その商品にたいへんな感謝をしているひとがいて、そのひとがとてつもない金額でそれを買ってくれて、後のひとが同じものを安く手にいれるなんていうことも考えられれます。でも、重要なことは、”人に役に立つモノを作る”ということです。

 しかし、これでは、収入が安定しませんね。確かに不安がつきまといます。一生収入の不安に悩みながら人生を送ることになりますが、人類も動物も、基本的にはある意味飢餓状態で生きていくというのがベースで、ときどきたらふく食べられるというのが本来のバランスの取れた生き方だったように思いますし、大量生産・大量消費の好景気の中で、一生収入に不安を持たなくても過ごせるのではという幻想を持つことができたのは、人類の歴史の中でもこの50年ほどだったのではないでしょうか。(日本は徳川300年があったかもしれない。その功罪は今や大きいかも)

 テクノロジーが発達して、インターネットという道具を手にいれて、だれでも情報を発信することができるようになった今、数少ないけれど自分の商品を欲しいと思ってくれる人に出会うことができるようになりました。また、世の中にはいろいろな考え方で、いろいろな商売をしているひとがいることを知ることができるようになりました。これによって、我々は、”自分の社会への役立ち方”の選択肢が大きく増えたと思います。わたしの若いころには、後継者がないといわれたいろいろな職業に、後継者が表れていますし、大儲けはできないかもしれないけれど、自分が楽しいと思える職業で細々とでも仕事を続けていくことができるようになってきたと思います。

 報酬はお礼だと考えると、”安定”はしないかもしれないけれど、収入を確保し続けるためには、結局のところ”人の役に立つモノを作る”という立ち位置からぶれないということになるのではないでしょうか?お礼をいってもらえるような”仕事”をすることが大事で、お礼をいってもらえるような仕事をすれば仕事の種類がなんであってもりっぱな仕事ということになるのではないでしょうか?

 なんだか当たり前の話に落ちてしまったのですが、次は、”報酬はお礼の印し”と考えた場合、具体的に日々の行動がどう変わるかについて、考えてみたいと思います。

2011-12-04 HiCEP - That Uniqueness of Look & Feel

[]”アレイと比べる”話

 転写産物の網羅的発現プロファイル取る方法といえば、一般的にはDNAマイクロアレイであり、また、サンプル間で発現量の異なる転写産物を得る方法としては、ディファレンシャル・ディスプレーやサブトラクションがあるようです。

 初期のころ(2002年ごろから始めてます)は、HiCEPの営業にいくと、DNAマイクロアレイとどう違うのか、比べてどのような点がどのように優れているのか という質問を必ず受けました。(最近は、なぜだか、この手の質問をされることが少くなってきました。)そのころ、アレイとの比較データを出していただいておりましたが、”発現変化率の高いものから20個ならべると”2割くらいは同じ遺伝子が入ってくるのですが、それ以外はアレイとまったく異なる遺伝子がリストアップされてきました。(つまり論文にも載っていない遺伝子が8割くらい出てくるということです。)そのころ、この話をしたとき、アレイと結果が異なるわけですから、”HiCEPの結果は信頼できますよ”というデータにはならないわけで、つまり、”ほとんどアレイと同じ結果ですが、その中にも、アレイでは拾えない遺伝子もいくつかありました”ということならいいのですが、”アレイで拾えない遺伝子ばかり拾えます”という営業トークは、その当時では、HiCEPの優位性を印象づけるトークにはならなかったということです。それどころか”妖しい技術”という評価になるわけです。

 Dry担当のわたしから見たとき、アレイと比べる違和感がありました。比べちゃいけないのではないかと漠然と思っていました。得られている情報がまったく違うのではないか、決定的に性能として違うなにかがあるのではないか...

HiCEPは普通に変動しない転写産物プロファイリングが取れる

 おそらく、素人の私から見ると、HiCEPは”普通”なのです。プロファリングというのは、HiCEPで取ったデータのようなものを指すのであろうと思うわけです。変動しないものも、変動するものも普通に見えるのです。取り立てて、HiCEPは良いっていうほどのこともないのではと思うわけです。

  • 検出されたシグナルはすべて評価対象となる

 ヒトやマウスなどの哺乳動物ですと、組織や細胞にHiCEPを使って、約2万から3万種類のシグナルを得ることができますが、その約80%から約98%のシグナルが発現量の増減の評価対象となります。そのことは、”変化しない転写物”を見ることもできるということになります。

  • Global Normalization

 HiCEPにおいて、サンプル間比較を行う場合、シグナルの強度を補正するための方法として、”比較するサンプル間のピークはほとんど変動していない”という前提で、サンプル間の対応シグナルすべての強度が一番良く一致する補正係数を求めるという方法を採用しています。(RNAが上手くとれていて夾雑物が少なければ、HiCEPの手技を始めるときのRNAのスタート濃度を合わせておくと、Normalizationが必要ないほど波形は一致します。)

 HiCEPで”発現変動率を検出する場合”はプロファイリングがあまり変わらない試料を比較することを前提にするわけで、”変わらない”シグナル群の強度パターンは、その試料のベースとなるプロファイリングということになります。つまり、白血球は、どんな状況でも白血球白血球であるための発現パターンがあり、筋肉は筋肉の発現パターンがあって、それをHiCEPは捉えることができます。

  • 低シグナルから高シグナルまで再現性が高い=誤差が変わらない

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図1:同じRNAで、別々に実施したHiCEPの波形チャートを4枚重ねています。

 図1は、酵母のRNAについて、HiCEPを行なって取得したプロファリング(キャピラリー電気泳動波形)の一部(256分の1)です。この図の波形チャートは、同じRNAについて4回別々にHiCEPを行なって得られたものを重ねています。ほぼピッタリ重なっています。

f:id:Yunokawa:20111204122612j:image

図2:拡大しても良く重なっています。

波形の一部を拡大したものが図2です。これも良く一致しています。このことは、低シグナルでも高い再現性が得られているということです。おそらく、この図2の強度が低い転写物は、10細胞に1コピー、あるいはもっと低発現の転写産物である可能もあります。そのような低発現の転写産物までも再現性良く測定できることが、少々状況が変化しても”発現変動しない多くのシグナル群=その組織での発現パターン”を正確に検出できる必須条件であると考えています。

  • HiCEPのLook&Feelの特徴は
    • 変動しない多くのシグナル群をベースにして、変動する転写物を特定していくという点が、アレイとは決定的に違うのではないかと思っています。

2011-11-06 正確な網羅的転写産物発現プロファイルが得られたとしたならが

[]正確なら沢山のサンプルを行う必要はない

 もし、正確に網羅的転写産物の発現プロファイルを取ることができたとしたら、実験計画としてはなにを考えれば良いのだろうか。

候補を絞るためにどのような実験を行うのか?

 発現プロファイルは正確に取れるのだから、結果変動遺伝子群の中に、現象に関連している遺伝子は必ず含まれている。となると、多くの変動遺伝子群からどうやって本物を取り出すかが最大の課題となるのでしょう。その解決方法のひとつは遺伝子アノテーションを使って絞り込む方法である。が、アノテーションは既知の情報であるので、それを使って新規の情報を得ることができるか?という問題もある。わたしは、アノテーションで絞り込むのではなく、当然のことなのかもしれないが、候補を多く出さないようにする、または、多くの候補から一定の挙動を示すものだけを取り出し絞り込むことができるように、どんなサンプルをどのように比較するのかをよく検討して、網羅的な発現解析を行うことではないかと考える。

 たとえば、個体差が多く出てしまって、候補遺伝子の数が多く出ることが予想される場合は、3個体以上比較して、各個体の各サンプルに条件を振るようにする。正確にプロファイリングが取れるなら、振った条件に従って、期待される発現変動を示した遺伝子を候補とすれば、本物を拾う確立はぐっとあがるはずだ。

 注目している現象が細胞や組織の形状の変化を伴うような場合、形状が変化する前と後でプロファイリングを取って比較してしまうと、プロファリングが正確であれば、形状の違いに関する変動遺伝子を検出してしまう。よって、正確にプロファイリングを取ることができるなら、形状が変わらないときのポイントでプロファイリングを取る必要がある。しかし、形状の変化が見られないわけだから、どのポイントで取るかが正確にはわからない。そういう場合は、ポジティブコントロールがあるならそれを使って、ないのであれば、感度が低いが網羅的がプロファイリングを取る手法を使って、どの細胞内で変化が起き始める点を見極めた上で、その前後でプロファイリングを取って比較すれば良いのではないだろうか。

 そうやって考えると、正確にプロファイリングが取れるのであれば、サンプル数はそんなに必要ではないということになるのではないだろうか。

HiCEP(網羅的転写産物発現プロファイリング)研究会を開催します。

 HiCEP法は、正確で高精度な発現プロファイルを得ることができる手法です。ご興味あれば是非ご参加ください。

ブログのHiCEP研究会ページはこちら...

本会の詳しいご案内 (http://www.mscape.co.jp/seminar.html)

お申し込みはこちら(http://www.mscape.co.jp/meeting/subscription.html)