音で人の心が分かったら?

カウンセラー (小学館文庫)

カウンセラー (小学館文庫)

人間の心の動きって、興味があったので、図書館で目に止まった本書を借りて読みました。
音楽を聴けばその人の心の中が分かるという希有な才能の小学校の音楽の先生が、ある事件に巻き込まれてしまう心理サスペンスです。一気に読まされました。面白い。
殺人の描写があるので、そういうのが嫌いな人(私も好きな方ではないのですが……)はちょっとご注意を。


人間って、きっかけがあれば変わってしまう物ですが……人が何かをするには、その人なりの理由がある。そのコトを教えられた1冊です。
善悪をきちんと判断できることって、人間としての基本であり、かつ、もっとも大切にしなければならないのですね。しみじみ……。


そして、心理学って面白いし、怖い学問だ、とも。
心理学は今の時代に大切な学問ですが、人の心を見透かしたつもりになってしまうワナにハマることもありそうです。
人の心は、なかなか分からないものです。でも、心のケガで人生に転倒した人々が、自分を客観視して、まっとうに生きられるような手助けができる人たちが、この日本に沢山いるという事実は、光明だと思っていいと思います。


この先生は大変なことになってしまいましたが、もしも事件に巻き込まれなかったら……。
あるいは、自分にそんな、音でその学生の気持ちがわかる力があったら……。
諸刃の剣っぷりを自覚した上でなら、ちょっとうらやましい能力ではありますね。怖いけれど。