さよならシネ・アミューズ、『アカルイミライ』

ZERO-tortoise2009-11-01

 ヒューマントラストシネマ文化村通り(旧館名:シネ・アミューズ)が昨日で閉館した。ここ2週間<さよなら興行>として、この映画館で95年以来かけられてきた11作品を1000円で観ることができた。僕は10月18日に『まぶだち』を、そして昨日10月31日に『アカルイミライ』を観に行くことができた。古厩智之監督『まぶだち』に関しては初見、出会うことができて良かった映画だった。10年くらい前の作品だがこの機会がなかったら観ることもなかったかもしれない。黒沢清監督『アカルイミライ』はシネ・アミューズでロードショー時に観ていて、テレビでも観た作品だったが、改めてフィルムで映写された映画を観て、なるほど黒沢清はこの発色だよなと認識を新たにする。ディスプレイで観るのとやはり全然色目が違う。影と光の違い。余談だが、ラストシーンのゲバラTシャツの高校生集団の中に金髪の松山ケンイチがいて驚いた。
 シネ・アミューズは、新しいシネコンと較べると設備的に至らない点も多かった。前に座高の高い人が座るとスクリーンにかかってしまったり、そもそも投影の画角に無理があるのか、天井のむき出しのダクトに光がちらついたり、スクリーンの下にも結構な幅の映写がされていたり、むむむの点も多かった小屋だが、大規模配給にかからない優れた作品を僕らにたくさん観る機会を与えてくれた。僕自身、公私の知人が関係者に多かったのでよくチケットをいただいた映画館でもあった。
 シネ・アミューズは、映画出資・配給にも積極的だったプロダクション・アミューズと、韓国系の作品の買い付け・配給を得意とするシネカノンが共同出資で開館された。このタッグでは、アミューズCQN(現:ヒューマントラストシネマ渋谷)も手がけられた。サザンを育てた大里洋吉会長がアミューズ勇退した際、このふたつの映画館の運営はシネカノン1社に委ねられた。高騰するテナント料・低下する動員数とシネカノンは戦ってきたという。シネカノンの文化に理解を示した人材会社の「ヒューマントラスト」にネーミングライツと行なうなど様々な施策が打たれたが、10月31日閉館をむかえることとなった。同じビルに入っているシネカノンの試写室も閉鎖するらしい。
 個人的に、とても、残念だ。寂しい。

あ、旧CQNの方は残ります。

追記:12月1日よりシネカノン有楽町2丁目がヒューマントラストにネーミングライツとなるようです。また、シネカノンは劇場運営をテアトルに委託したとのこと。