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2005-06-01

[] 本の読み方・自主ゼミの仕方・本の紹介 05:30

明らかに物理の教科書やゼミの仕方を探して来ているようなキーワードで検索してくる人が多いので、少しでも役に立ったら嬉しいと思い、良いと思うサイトへのリダイレクション&書き散らし*1

まず、本の読み方について。山崎さんのページの「本の読み方について」が良いと思うのでその紹介にとどめておく。ここでは物理と数学の本の紹介もされている。

http://www-hep.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~yamazaki/books-index.html

自主ゼミの仕方も色々とあると思うけど、この通りに出来ればどう考えても十分だと思えるものとして、河東先生の「セミナーの準備の仕方について」を紹介しておく。何も参照せずに発表できればそれは良いけど、とりあえず物理の場合には実際の所はメモを参照しながらの発表で良いと思う。また、特に物理系の本では現象論的な式を認めて途中で論理的なジャンプをすることがあるけど、そういうジャンプがある場合にはそれがあることをきちんと認識して、どういう現象論なのかを理解出来ると良いと思う。また、論理的に追うことが出来る場合には結果まで辿り着くだけではなくて、結果を適当なグラフに書いてみたり、適当な絵を書いて理解すると良いと思う*2

http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/sem.htm

リンク先まで行くのが面倒な人のために僕の言葉で軽く箇条書きでまとめると、

  • 色んな本を読もう。同じことであっても視点を変えると色んなものが見えてくる。
  • どんな偉い先生が書いた本でも鵜呑みにせずに批判的に読もう。論理のジャンプはあるか?本当に自明/易しいか?どんなに売れている本でも誤植はあるかもしれない。
  • 鵜呑みにせずに読む為には自分で計算することは大事。内容が抽象的なら具体例を考えると理解が深まる。結果をグラフや絵で書いてみるのは有益。
  • 教科書に書いてあることについてのみではなく、読んでいて自分で思いついたことについてもじっくりと考えよう。
  • 周りの人と議論しよう。特にセミナーは良い議論の場になる*3。ただ、自主ゼミをする場合にはリラックスしすぎてぐだぐだにならないように要注意。
  • 自分のペースで理解しよう。本を理解するために他の人と議論したりゼミをするのは有益だけど、ゼミや議論という手段に捕われて、理解がおろそかになっては駄目。
  • セミナーで発表する時は予め頭の中で内容を展開できるようにすると良い。

当然ながら、リンク先を読んだ方がより良いと思われます。

次に、大学で物理を勉強するのに良いと思われる本をリストアップ。ただし、基本的には自分で読んだことのあるもので、力学から統計力学までは日本語版が手に入るものに限る。大学一年の自分に「こんな本が良かったよ」とアドバイスするような気持ちで。

なお、長らく更新をしていないけど、大学4年になる直前の時点の本棚は

http://d.hatena.ne.jp/a-ki_room/20050601/1128514210

のような感じ。まとまった推薦書のリストアップページとしては九大の野村准教授のページを紹介しておく。

http://maya.phys.kyushu-u.ac.jp/~knomura/research/guide-phys/bookguide-phys-j.html

力学。基本的には高校生の力学を微分を用いて書ければそれで半分はクリア。あとは和の記号を用いて自然に多粒子系に拡張したあと、解析力学の形式にまとめあげれば良い。保存則が基本的な対称性と結びついていることを理解すべし。綺麗なものとしてランダウラグランジアンから始めているので非常に綺麗。ニュートン運動方程式から始めるものとしては何を挙げれば良いのか分からないけど、自分で読んだ阿部を挙げる。

力学 (新物理学ライブラリ (2))

力学 (新物理学ライブラリ (2))

電磁気学。砂川の理論電磁気学が好きです。第一章で基本法則を微分形に変形し、Maxwell方程式の性質を調べた後、静電磁場、定常電流、電磁波、特殊相対論、変分原理と基本的な話を一通りさらう。これだけだと具体例に欠けると思うので、僕は裳華房の演習とファインマンの後ろについている演習を解いた。他には歴史的な話まで含めて色々書いてあるものとして太田。電磁気学と特殊相対論は切り離せないのでランダウの場の古典論を。

理論電磁気学

理論電磁気学

電磁気学 (物理学選書 3)

電磁気学 (物理学選書 3)

ファインマン物理学〈3〉電磁気学

ファインマン物理学〈3〉電磁気学

電磁気学の基礎 I

電磁気学の基礎 I

量子力学。とても難しいので誤解が生じそうなものは避けるべきで、基本的には位置表示の波動関数じゃなくて状態を前に出して書くべきだと思う。状態というものをきちんとイメージしながら、どのような公理の元で成り立っているかを理解出来ると少し量子力学とお友達になれる。構造が綺麗に書いてあるものとして清水。こういう本を読んで、量子力学では線形代数が大事なのだという感覚を持っておいた方が良い。具体的な計算をしようとすると特殊関数が出てくることが多いのだけど、特殊関数をなるべく使わずにかつブラケットを前に出した本としてJJサクライ。バランスが良くて演習も少しついている本として猪木・川合。歴史的なことが気になるなら朝永。お話としてやはり朝永先生の量子力学と私。

量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために (新物理学ライブラリ)

量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために (新物理学ライブラリ)

現代の量子力学〈上〉 (物理学叢書)

現代の量子力学〈上〉 (物理学叢書)

量子力学1 (KS物理専門書)

量子力学1 (KS物理専門書)

量子力学 I (物理学大系―基礎物理篇)

量子力学 I (物理学大系―基礎物理篇)

量子力学と私 (岩波文庫)

量子力学と私 (岩波文庫)

熱力学*4。泥臭いものを触った方が良いと思うのでフェルミフェルミ以外でも良いけれど、熱力学はどのようにまとめるのが一番綺麗なんだろうと一度考えると良いと思う。少なくとも、高校で習う熱力学をどんなに延長していっても綺麗にはまとまらないと思う。綺麗にまとまったものとしては、自由エネルギーを前に出したものとして田崎、エントロピーを前に出したものとして清水。個人的にお世話になったのは田崎本だが、構造として好きなのは清水本。

フェルミ熱力学

フェルミ熱力学

熱力学―現代的な視点から (新物理学シリーズ)

熱力学―現代的な視点から (新物理学シリーズ)

熱力学の基礎

熱力学の基礎

統計力学。計算できるだけじゃなくて、カノニカルなどの各分布の分配関数と熱力学におけるエントロピー・自由エネルギーなどの対応があることを納得できるべきだと思う。ランダウって再び絶版になったんだっけ…?良い演習書なだけでなく、基礎事項が簡潔にまとまっているものとして久保。綺麗な本として田崎*5。どのみち、統計力学をきちんとやるためには量子力学の知識が必要。

統計物理学 上

統計物理学 上

大学演習 熱学・統計力学

大学演習 熱学・統計力学

統計力学〈1〉 (新物理学シリーズ)

統計力学〈1〉 (新物理学シリーズ)

なお、僕が学部の頃に受けた量子力学統計力学の講義内容については

http://d.hatena.ne.jp/a-ki_room/20061220/1166719288

を参照。

以下、物性に偏ったラインナップ。ここから英語も含む。

固体物理、物性物理。バンド描像をきちんと理解して、一電子描像で行われている近似は何なのかということを抑えるのが最低限なのだと思う。固体物理の本は割と最初の方に点群の話が長々と書いてあって読むのが嫌になるイメージがあるが、周期場ポテンシャル中ではブロッホの定理が使えることが本質であって、結晶の対称性は後から詳しく議論すれば良いと思う。一つ推すならグロッソ=パラビチニ。網羅的なものとしてはアシュクロフト=マーミンが良いと思う。問題解説も出ているし。柔らかい固体物理にも触りたい人にはチェイキン=ルーベンスキーとか。断熱的連続性や対称性の破れについてのむつかしい本としてアンダーソン。

Basic Notions Of Condensed Matter Physics (Advanced Books Classics)

Basic Notions Of Condensed Matter Physics (Advanced Books Classics)

場の量子論の簡単な本。場の量子論…というか物性だったら第二量子化&Green関数をいかにして扱うかだと思う。第二量子化というのは適当な一電子系の完全系(例えば波数)を用いて、その完全系の各状態に粒子がいくつ存在するかという粒子数表示のこと。一粒子演算子を波数でフーリエ展開すればそれでもう第二量子化だと思って良い。利点としては「多粒子系の状態はボーズ/フェルミ粒子の対称性を反映したように作らないといけないが、第二量子化だと自然と対称性がとりこまれた状態が出来る」「粒子数が変動するような過程も容易に扱える」「素励起などの描像と自然と合う」など。Green関数が広く用いられているのは「Green関数が計算できれば物理量のことが分かる」「形式的に摂動計算が行える」からであり、「Green関数と物理量の関係がどのように与えられるか(ex久保公式)」「Green関数が必要になるのは相互作用を含む量子系の統計平均が計算したいから」ということを忘れてはいけない。Green関数には演算子表示と経路積分表示のものがある。コンパクトな演算子表示のものとしてAGD。きちんと書かれた演算子表示のものとしてFetter and Walecka。網羅的な経路積分のものとして永長。ねっちりとした経路積分のものとしてNegele and Orland。Negeleには生成汎関数も出てくるが、誤植が多め。

Quantum Theory of Many-Particle Systems (Dover Books on Physics)

Quantum Theory of Many-Particle Systems (Dover Books on Physics)

物性論における場の量子論

物性論における場の量子論

Quantum Many-particle Systems (Advanced Books Classics)

Quantum Many-particle Systems (Advanced Books Classics)

数値計算。色々書いてあるティッセンとコンパクトな宮下。

熱・統計力学 (物理学基礎シリーズ)

熱・統計力学 (物理学基礎シリーズ)

くりこみ群。臨界現象とかハイエナジーとか色々無視してもっと漠然と「とことん繰り込んだ先にある現象論=熱力学」のような内容を簡単に書いてある本って無いんだよなと思った。岩波講座 物理の世界とかであっても良いと思うんだけど。とりあえずGoldenfeldを挙げておく。フェルミオン系についてのレビューとしてShankar。

とりあえず書きかけでアップ。他にリストアップできそうなもの。

場の量子論の入門書よりはむつかしい本。

フェルミ液体。

強相関一般。

超伝導

磁性。

臨界現象。

非平衡

啓蒙書的なもの。

その他。

リストがあって当然に思えるのに、僕にはリストアップできそうにないもの。「流体力学 教科書」のようにぐぐった方が良い。理論ミニマム的には凄く不十分なのだけど…。勉強しないと。

流体力学

量子情報。

量子光学。

素粒子や宇宙の本は無理です。

*1:ちと長い意見があるという人はakiroom.blog@gmail.comへ

*2:学部4年の頃の必修のゼミでは大事な式まで辿り着くと、先生に「ちょっとそこ絵に書いてみて」と言われたものです。

*3:本論からずれるのでfootnoteで。英語を話すことが重要である理由の一つは、英語で議論ができるということにある。英語で議論ができれば、論文を経由せずに直接、効率的に理解が出来る。(by Hal.田崎さん。)

*4:佐々・田崎・清水と色んな本が揃っていて、今の学生は恵まれているなぁ…と思いつつ、読んだことは無いので佐々先生のは挙げず。あの薄さは良いだろうと思うんだが。

*5:ただ、出版されたやつはまだ読んでない。

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