お花見〜戸倉宿キティパーク

 近所の川邊や學校の櫻が見頃となつたので、昨日の午後、Mr.Vermilionの御案内を得て、此の邊りでは最も本數が多い(500本とか)といふ《戸倉宿キティパーク》へ、お花見に行つてまゐりました。しなの鐵道戸倉驛の近く、山の斜面に拓かれた市營の兒童公園ですね。公園名に就いては、千曲市のホームページには何の説明も載つてゐませんが、戸倉宿はおそらく「とぐらじゆく」と讀むのでせう。舊幕時代、此處は北國(ほつこく)街道の宿場だつたことに因んでの命名と推量されます。其の北國街道は一部が國道18號線に併合(?)されてゐるものゝ、殘つてゐる箇所もあります。昔は大きなものでも馬か駕籠が通るくらゐだつたので、道幅は狭いですね。
 山羊・羊・兎が飼育されてゐましたが、施設の出來が大雜把なせゐか、彼らの姿は何となくうら寂しく映りました。此處にはまた、高さ8米、日本最大と稱する〈千曲天狗〉なる巨大な極彩色の天狗像があるのですが、此れには觸れないでおきます。
 扨、肝心の櫻ですが、八分咲き、人出もまばらにて見應へがありました。梅林や桃林また杏林などの滿開光景も結構ではありますが、滿開時の櫻には不思議な照り翳りがあつて、一種の妖しささへ觀じてしまひます。

 與謝野晶子★雫して黒髪のごと美くしき洞(ほら)にちるなり山ざくら花
 葛原 妙子★薄黄のさくら湖岸に咲きたればまぶたに塗りぬ油一しづく
 山中智惠子★さくらばな陽に泡だつを目守りゐるこの冥き遊星に人と生まれて

戸倉宿キティパークの櫻


兎たちのお食事

本日の一枚