受贈本紹介

菊地秀行『魔海船3 完結編・天上への道』祥伝社ノン・ノベル
 第一巻の刊行から8ヶ月で完結とは……、其の筆力に感歎、羨ましい限りであります。

泉鏡花柳田國男『山海評判記/オシラ神の話』ちくま文庫
 柳田民俗學と鏡花文學との間にコラボレーションがあるといふ觀點から編集されるらしい《柳花叢書》の第一彈。餘計なお世話でせうが、私なら《柳泉叢書》としたいですね。因みに『山海評判記』は新假名遣に改變されてゐます。某書肆編輯長に「新假名の鏡花なんて……」と歎いたところ、「あなたの理想主義(?)は、今や文庫本の分野では通用しませんね。岩波文庫の鏡花だつて全部新假名ですよ」云々との御返事、でも私は新假名の鏡花なんて、たとへ死すとも讀む氣にはなれません。
『山海評判記』は新聞に連載されたもので、著者生前には書籍化されず、没後の岩波書店版【鏡花全集】(昭和14年〜)に初めて収録されましたが、遂に單行本は出ずじまひでした。序(ついで)に申せば、近々これが小村雪岱の插繪百數拾枚全點を添へて国書刊行会から單行本として刊行されるといふ朗報があります。

東雅夫 編*日本幻想文学大全『幻妖の水脈』ちくま文庫