はや葉月

 呀(あッ)といふ間に新暦の葉月、當地も連日30度を超える眞夏日が續きますが、熱帶夜とならぬのがせめてもの救ひであります。相變はらず體調がいまひとつなので、エアコンを26〜28度ぐらゐに設定して引き籠もつてをります。今朝は少し涼しい風が渡つてゐたので、外へ出て久しぶりに撮影してみました。
 此のところ、滿月の前後、月が美しく眺められました。今朝10時半過ぎ、露臺から東山を眺めたところ、其の圓い月が未だ仄白く殘つてゐて、「あざやかに且(か)つは仄(ほの)か/消(け)ぬがに、しかも嚴(おごそ)か。」といふ佐藤春夫の「晝の月」の一節を想ひ起こしました。目は相應の大きさと捉へるのですが、レンズを通すと豆粒以下、何とか撮れないものかとデジカメを操作して、またPC内のPhotoshopを驅使してみましたが……。

 隣地の田圃は早や涼しげな青田と變じ、黒羽蜻蛉(クロハアキツ、通稱オハグロトンボ)が幾匹も飛び交うてゐました。さう言へば「ぬばたまの黒羽蜻蛉は水の上母に見えねば告ぐることなし」と詠んだ齋藤史(さいとうふみ)さんは長野で生を全うされた方でした。此方側の空地には大豆が枝葉を伸ばしてをり、舊盆頃には枝豆として刈り取られることでせう。駐車場脇の畑ではモロッコ隱元(インゲン)の莢が大きく育つてゐます。大型の莢をつける此の隱元は、東京などでは平莢(ひらさや)隱元の名で賣られてゐました。當地の些(ちよつ)と變はつた呼稱に就いて、近邊の方に其の由來を訊ねてみましたが、確たる返答は未だ得られてをりません。大きな莢を食するもので、豆が未熟のうちに摘み取り茹でて食べます。2分ほどで柔らかくなり、茹ですぎは禁物、マヨネーズ和えを勧められましたが、私は削り鰹を載せポン酢と少量の胡麻油をかけて食してゐます。

 青田

 大豆

 モロッコ隱元

 烏瓜は、大抵は雜草として毟り除られてしまふのですが、隣家との境の金網塀に這ひ纏はつてゐたのが奇跡的に生き殘つて、あの妖精めく靉靆たる白花を澤山附けてゐました。二蔓ほど折り採り、硝子の水盤に浮かべてみましたが、夕刻近き今も萎まずに浮いてゐます。實も寔(まこと)に美しく色づいて好もしいフォルムを見せるのですが、今朝見つけた蔓は恐らく秋までには刈り除られてしまふでせうね。