
2005-07-29-Fri
■[review]_summer(HOOK)
総合評価 79点(38〜39位/65作品))→77点(39位/75作品):06/03/04一斉調整
キャラも声優も良い、萌えどころもある。でもそれ以上に変わらない日常の雰囲気が楽しめるかどうかが大きい作品。気持ちを伝えようとするヒロインはかわいいが、感動したり女の子を口説く気分を感じたりしたい人にはお勧めできない。
今回のレビューは10000hit記念仕様*1でキャラ萌えしているにも関わらず、シナリオ重視の点から見た否定的レビュー*2となっています。今作にほぼ満足している方はご注意ください。
このゲームのジャンルはまったり純恋学園ラブコメADVとなっています。
辞書内での「まったり」は味覚を表しているので、これをゲームにおける楽しみに置き換えて考える必要はあります。それでも、変わりばえのない日常が続くシナリオは、端的に言えば「退屈」の側ではないでしょうか。では、そのようなシナリオでまったり感を得るには何が必要なのか─これも簡単に言えば萌えか笑いです*3。少なくとも私の場合は。
一発ネタでもいいから笑わせて欲しい。「××といる毎日が楽しい」と思わせて欲しいんですよ。今の生活が続いているだけなのに楽しい、欲を言えば「だけで楽しい」という描写が欲しいのです。それが、主人公を自分に置き換えた場合か、傍観者として眺める場合かのいずれかにおいて楽しめるレベルに達してくれないと退屈してしまうのです。その判断要素は大まかに言えば↓の2つでしょう。
CVに関しては高水準であると思います。ただ、CGについては前の場面との間に違和感を感じたり、テキストと合わないところがいくらかあったりしました。そして、属性と性格ですが、幼馴染・義妹・後輩・先輩・先生と揃え、ツンデレも甘えん坊も天然もいます。完璧のように思えるかもしれませんが、これらについてはプレイヤーがどんなものを望んでいるかが開発者側にもわかり、大枠としてなら、期待に応えられるようになってきていることを考慮する必要があります。ですから、大抵の設定は(ベテランユーザーがよく言うように)どこかでみたような、ありきたりのものなのです。
ですから、私のように「千輪ちゃんかわいくて萌え〜」とか「信乃は健気だな〜」とかキャラに愛着を抱くだけで、あまり退屈せずに読み進められるプレイヤーはともかく、広範囲からある程度の好評を得るには1つめに挙げた点をもっともっと充実させる必要があると思います。少なくとも、「フナムシが変なことを言って信乃が殴る」の頻度は高すぎるでしょう。
また、ありきたりを突破できないなら、期待?されている、ありきたりのイベントくらいは用意した方が面白いのではないでしょうか。
のような展開があるか、ないなら代替としてそれ以上のものをというのが本音です。
この作品が期待外れになるとすれば、主人公の性格(後述)と、山場が無いことだと予想できます。大抵の純愛系シナリオにおいて、ヒロインと結ばれるときに何か事件のようなものがあり、結ばれた後にも、その関係は表面的なものであって解決せねばならない試練がある、という最低2つの大きな山が用意されていて、今作ではそれが弱いのです。
もちろん、「わざわさ不幸やピンチにしなくてもいいのでは?」と思うこともあります。実際に、下手な場面を作って評価を下げている作品は多いと思います。大きな山を作るには事前にネタを仕込んでおかなければ、唐突な展開となりプレイヤーを置いていってしまうからです。*4特に2つ目の山は序盤から伏線を用意しておいて、かつそれが告白時付近までバレないようにする必要があるのですから。キャラ紹介にある内容から一番に思いつくもの(先生と生徒の壁、お嬢様や神社等の家柄、義妹と付き合うことによる世間体)を題材にしただけでは、それこそ「ありふれた展開」と謗りを受けますし。
では逆になぜ前述の場面で大きなイベントがあるのかということを考えると、その方がプレイヤーの心を動かしやすいから、ということになるかと思います。(ゲームなのですから)何もしないでカップルになるより、口説いた・試練を越えた方が達成感・充実感もあるかと思います。まったりを目指すのであれば、確かにそれは必要がないかもしれません。ただ、動かさないで満足させることは、揺さぶって満足させるより遥かに難しいことだと思います。
この主人公において問題となるのは、あまりに鈍感であること。主人公が小奈美の気持ちに気づくか、小奈美が行動に出ればプロローグ前に話が決着してしまうということはわかるのですが、ここまで人の気持ちがわからない主人公には共感できませんでした。
この性格には、初めて恋をしたときの気持ち、好きな人の願いを叶えられたときの気持ち、という爽やかさを与えるメリット以上にデメリットも大きいと思います。身近なヒロインのシナリオは、ヒロインが主人公のことが好きなのは主人公以外にはわかるのに、主人公はヒロインが他の男を好きであると勘違いする、という方向にいってしまうし、あまり続くと主人公が魅力的に感じられなくなってくるからです。*5
「この生活が続きますように」(七夕)
「私……もうきっと、たっくんは好きになってくれないと思ってた」(告白時)
小奈美の態度にも疑問があります。要は、いつ、どんな状況になったら自分の想いを伝えられるのですか?ということ。
それが「たっくんが○○と△△を思い出してくれたとき」であり、そうならない場合には他の女に取られても仕方ない、と思っているのなら、もうどうしようもありません。幼馴染好きの私としては、他にはあげないという気概があったほうが魅力的に感じるのですが…
個人的には主人公の性格と小奈美の態度を変えて、イベントを多くすると(この作品の特徴は弱まるのですが)面白い作品になったと思います。
主人公については、冒頭で「誰が好きなんだろう/恋をしよう」と考えさせられるところを変えればよいのではないかと思います。誰に言われたからでもなく恋をする展開でよかったのではないでしょうか。そのためには、「恋人を作ろう」と人に言われて意識改革をするまで、周囲の人物に異性としての魅力を感じないという性分を変更しなければなりませんが。小奈美については前述の通りです。性格設定という味付けやマルチシナリオであることを考えたとしても、親密さに見合った態度という範囲はあると思うのです。
- 8 http://blog.livedoor.jp/april_29/archives/2005-07.html
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