
2007-01-06-Sat
■[review]フォセット −Cafe au Le Ciel Bleu−
あけましておめでとうございます。
FiNALIoN さん(Faxiaさん)から→の年賀絵を頂きました。
さて、今年の初レビューは12/24の続き(SIDE FAMILLEの玲愛と里伽子のみ)です。
時間に余裕があれば、後日「わたしのかけら」等を追加します。
「パルフェがさらに大好きになった」の一言に尽きる*1といえばそうなのですが、今年も、書きたいだけ長文を書いていきますのでよろしくお願いします。
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総合評価 86点(ファンディスク系 通算2位)
1番初めにプレイしたシナリオ。
24日にフォセットの全シナリオを読み終えた時点では、
「里伽子抄」「この冬空に歌声を─」を上回るTOPの印象でした。
簡単に言えば、着実にポイントを積み重ねた話。
そして、イメージを壊さずに、物語を続け、広げた話。
「伸びしろ」の大きさを感じさせる物語でした。
本当に、勝負どころをきっちりと読んできて、
そしてど真ん中にストレートを投げ込んでくる…
脱カトレア記念日で、仲直り(?)をするところで、仁は玲愛のことを上のように評するわけですが、私にとってはこの物語がど真ん中ストレートでした。
元々は、互いに名前で呼び合うことになった日の帰り道に、
48回「仁」と呼んだという単純な記述であった箇所。
玲愛のようなツンデレは、くっつく少し前に反転するところが一番萌えると思っていたので、
この場面を膨らましてくれたのは良かったです。また、
- 「頑張れ仁。私の…」「玲愛を、俺にください」あたりのセリフ
- 由飛との姉妹喧嘩の話
- 本編クリスマスでの「だまし討ち」の話
のようなネタも利いていましたし、
「二人にはちょっと似合わないかもしれない」BGM*2の中で読まれる祝電、
特に、くるとわかってていても感動させる、最後の1つ。
情けなくて、人に頼ってばかりの店長を支えられるのは、
頼もしくて、有能で、融通の利かないフロアチーフだけ。
全部で10行程度の、さらにその初めの部分だけでも、
「ちょっと突き放した態度」「しょうがない優しさ」「思い出の中の絶大なる信頼感」
が滲み出していて、真相を知るプレイヤーにとっては、
簡潔な文言の裏にある想いが強く感じられる内容でした。
(かすりさんの朗読も上手くはまっていると思います)
そして、そんな感動的なメッセージがあっても、
霞むことのない玲愛の存在感が心地よかったです。
おそらく、里伽子にバイアスがかかっている私は、
他のパルフェのヒロインで似た話があったら、一発で揺り戻されると思います。
玲愛に頼られる男になるために、
玲愛を、頼ることを、覚えた。
頼るだけでもない、頼られるだけでもない、
正しい意味でのパートナーとして。
会場での締めの挨拶の前、仁は玲愛との関係をこう振り返ります。
似ている点の多い玲愛と里伽子の異なる部分。
そして、仁のパートナーに「あってほしい姿」の1つ。
パルフェにおける玲愛の立ち位置の重要さを感じました。
<里伽子抄>
1stプレイの感想は24日に書いたように「期待水準並」。
一人で解決しようとして、耐え切れずに壊れかけたところを助けられる─
里伽子の追加シナリオとしては「並」の題材*3だと思っていました。
そして、前述のように、期待以上に良かった「脱カトレア記念日」の方が好印象だったのですが…
恵麻ルート→里伽子ルートとパルフェを復習*4してからの再プレイで逆転しました。
それは、前述の表現を使うなら、パルフェ全体における、最大の「伸びしろ」でした。
ファミーユという喫茶店で、みんなに役割があって、みんなが支え合っている。という暖かい雰囲気と、
「思うより、ちょっとだけ、優しい」世界があったということを思い出させたのです。
その雰囲気は、パルフェという作品では「当たり前」のことでした。
私は、パルフェレビューで(里伽子ルート中心に)シナリオの仕掛けの配置や質ばかりを称賛していますが、それも土台に良い雰囲気があったからだと思っています。
ただ、その「当たり前」は、個別ルートになると、あまり表面に出ていなくて、仁とヒロインの関係について、周囲は「間接的に仁を支える」位の出番であったという印象がありました。*5
というのも、最も印象の強い里伽子ルートにおいて、「あしたのために、その1〜3(1年間で3桁の大台にいくらしい…)」など、真相が発覚して諦めている里伽子を一人で背負ってみせるからです。「家族を特別扱いする」と里伽子に指摘された仁が、「家族になればいい」と言ったように。
それに対して、この里伽子抄では、
みんなが「仁ごと里伽子を引き上げようとしてくれる」のです。
それは、右手で仁の手を取ることしかできない里伽子を助ける「勝てる戦い」。
仁くんは、一人で黙って頑張ったりしないの。
困ったら、誰にも遠慮せず、仲間に頼るの。
恵麻が里伽子にこう話すように、
今回、里伽子を支えるために仁が取った行動は、
みんなに頼って、みんなから優しさや楽しさをもらって、里伽子を包み込むこと。
そして、里伽子が、いつか強さを取り戻して立ち直るのを待つということ。
みんなが仁・里伽子にくれる、優しさは本当に暖かいです。
『キュリオには、あたしが勝たせてみせる』
…って大見得切ったの、誰でしたっけ?
かすり・由飛はもちろんのこと、「ライバル」であった玲愛が、
結構あからさまに「好き」をアピールしていたはずの明日香が、
「弟のことを愛しているに決まっている」お姉ちゃんの恵麻が、
応援メッセージをくれる。
「ちょっとだけ、優しい」世界が、里伽子の周りにはあると感じました。
かつては、仁に頼られることで、
己の存在意義を認めていた里伽子。
一つの大きな幸せを手に入れた時、
頼られるだけの強さはなくなった。
でも─
その幸せはかけがえのないもので、
自分をずっと守ってくれるのだと、
未来を信じることができるようになった。
「行ってきます」の笑顔の先には、
いつかきっと、でも確実に、
あの笑顔と泣き顔があるのだと─
そう思える素晴らしい物語でした。

私がもっとも彼女らしく感じたのは浜辺のシーンです。各人の応援メッセージを受け取っても、彼女の反応は寧ろ冷淡。そして、「だって、ずっとずっと悔しかったんだもん」という所で心情を吐露。結局彼女の挫けている所は、立ち位置の誤解。上手くいかない二人は、そのすれ違う原因を理解しないと前に進めない。ここで『つまんない恋』がBGMでかかっていることが憎い演出。これは脱カトレア記念日において仁のスピーチでもかかっていましたがそれは一種の伏線で、彼女の恋は、由飛曰く「激しい恋」ですから。
「頑張れ仁、私の○○」と「しょうがないなぁ、仁は」
「激しい恋」と『つまんない恋』(に秘めた強い想い)
「パートナー」と「頼れる相手」
などに、玲愛と里伽子の違いが見られ、「仁に世話を焼かれる里伽子」というのは、あの本編〜エピローグでは当然に含まれる状態なのですが、里伽子にとっては、乖離に苦しむ状況のはずです。
そして、そんな場面を容赦なく見せてきて、エピローグのあの場面までの道筋を浮かべさせるのが、この里伽子抄なのかもしれません。
玲愛と里伽子の「恋」の違いについては、パルフェ玲愛ルート(イベント名:嫉妬ポイントMAX)で、
『昔、壮絶に勘違いして以来、答え合わせが億劫。玲愛みたいに積極的なのは嬉しくて助かった。』
のようなセリフがあったのが印象に残っています。
また、仁と里伽子の(本編以前からの)すれ違いは、
「リカちゃんの気持ち決めつけてドツボにはまった」(byかすりさん)
「言ってくれないとわからない」(応援メッセージ後の里伽子)
という2つのセリフが表していると思います。