きらめく夢を想うとき 〜a103netのゲーム日記〜 このページをアンテナに追加

feng the 7th project :: 『星空へ架かる橋AA(ダブルエー)』応援中!
駄文同盟.com 人気ブログランキング - きらめく夢を想うとき 〜a103netのゲーム日記〜 スカウター : きらめく夢を想うとき 〜a103netのゲーム日記〜

2010-04-03-Sat

[]WHITE ALBUM2 〜introductory chapter〜(Leaf)

総合評価 91点(12位/168作品)


各場面における「各登場人物の想い」「起こっている出来事」を、プレイヤーに悟らせるための、テキストや場面構成、仕掛けが素晴らしい。これを「序章」として続く物語には期待大。


この感動、この感覚、この期待感は久しぶりだったので、90点オーバー。

(序章としては満点でも90にしようと、1周目の段階では思っていたが、2周目追加部分が良かったので+1。時間のない人は追加部分だけでも読むことをおすすめ。)


(項目別評価 標準点7.0)

引き込み感動end雰囲気キャラ音楽画像シーンシステム主人公コンセプト
8.58.07.58.08.08.57.56.07.07.08.5

<以下、基本的にES投稿版と同じです。>


どこが良かったかと言えば、


両手に花の三角関係で繰り広げられる、萌える場面や修羅場、

丸戸氏のお得意のテキストや場面構成、そして伏線の張り方、

才能がある人やアイドル的な人が持つ、普通の人っぽい部分、

家族関係の差異とその変化、周囲との関係に求めているもの、


など、色々と観点はありそう。


特に2点目については、韻を踏んだ文章や、前に出した台詞の上手い使い方はいつもどおりで、この文章が大好きな私としては、かなりの回数「上手い」「無駄がない」と思った。

場面における「各登場人物の想い」「起こっている出来事」を、理解することができるようになっていて、三角関係物語における、それぞれの立場の葛藤や切なさが感じられ、感動のある話になっていると思う。


場面構成にしても、テンポが悪くならず、プレイヤーにとっての意外性も失わない範囲で、主人公のいない場面(ヒロイン同士など)を挟んでいることや、次にどんな場面がくるかがわかっていても退屈させない、ちょっとしたズレが好印象。

物語としてはありがちで、大まかな展開は予定調和なはずなのに、とても引き込まれた。


伏線についても、冒頭の場面、学園祭の3曲目の使い方を筆頭に期待通りで、

まだ現時点では気づいていないものも、きっとあるのではないかと思われる。


もちろん、この(私の勝手な)期待感を満たす「本編」というのは、相当なハードルがあると思う。

何しろ、この物語を「序章」にした・・・

どうしても、今作のメインヒロインそれぞれとのハッピーエンド(を想像した場合)を上回る物語を期待することになるのだから。

(以下、三角関係の描写や、気に入った場面構成などについて。

 多大なネタバレを含むので、2周+同梱の本を読んだ方向けです。)

(1)三角関係

三角関係は、学園祭ステージ直前に依緒が、

「でもさ…

 あんなにどうしようもなくなっちゃったら、

 これからが辛いよね、あの三人」

(以下、この囲みになっているのは作品中からの引用文です。)

と言い、その日の最後に

俺たち三人が、

もっとも近くて楽しくて、

もっとも嬉しかった日。


そして…

俺たち三人が、

本当に三人でいられた、最後の日。

とあるように、その日が最高で、その日から、壊れていく。

この流れが、まさに、話のパターンとしてはこれ以外ありえないくらいの

当たり前の流れながら、十分に楽しめるものだった。


それは、それまでの時間の3人の描写が良かったから。

何とか間に合わせた、ステージの描写も良かったから。

限られた時間の中で、練習して、徹夜して、曲作って、

喧嘩して、仲直りして、風邪ひいて、看病して、

怖じ気づいて、克服して、そして今日を迎えた。

こんな濃密な時間を過ごして、どうしようもなくなっちゃったからこそ、

春希が最終盤に

雪菜と出会う前から、かずさに惹かれていたことも。

雪菜とつきあうと決めたとき、かずさのことが頭をよぎったことも。

雪菜とつきあい始めてからも、かずさをずっと気にしていたことも。

かずさを忘れるために、雪菜との距離を急いで縮めようとしたことも。

と振り返り、雪菜が春希に告白した理由をいうときに、

"好きな人をとられたくない"という思いを抑えて、

「ただ、ずっと三人でいたかったから。わたしを仲間外れにして欲しくなかったから」

「あの、馬鹿みたいに楽しかった三人でのお祭りを、ずっと続けていたかったから…」

と言うような三角関係を感動的な話と感じられたのだと思う。


☆関係の始まり


雪菜とかずさの春希を巡っての関係は、物語当初から面白い。

かずさが第二音楽室の主とわかった次の日に、

俺はこの時、全然気づいていなかった。

木曽のタイミングが絶妙だったことも。

冬馬の表情がやたらと微妙だったことも。

なんて描写のある頃から二人はお互いを意識し、想いを見抜いている。

同梱の本では、かずさは雪菜のことを

「自分と同じ目で、彼のことを見つめる女の子」と思っているし、

雪菜は、かずさを同好会に加えようとする春希に対して、

「あの時は、まさかここまで特殊な条件付きだとは想像してなかったというか…」

と言ったり、

「北原くんって、女の子と一緒にいるとき、いつもそんなふうに、他の女の子の話をするのかなって」

と言って、その後、かずさに対して春希に自分の話をさせて「溜飲が下がった」と言ったりするのだ。

この当たりのやりとりはニヤニヤして見られるし、雪菜が、「似たような趣味だ」と言ったり、一緒に弾いてた理由を見抜いていたりしてかずさを動揺させるとか、「あのことをバラす」との言付けでかずさを参加させたりするやり取りは面白かった。


もう一つ良い場面としては、3人で雪菜の家で話したときの弟の勘違い。

雪菜が2人の間に割って入っていたのは、「付き合っている」かどうかはともかく、

実質的には当たりなのが面白い。


☆春希の想い、かずさの想い


かずさは、ずっと前から主人公のことを見ていた。

それは、本に書かれている話、夏休みのギター指導の話など、随所に描写されているが、空港のシーンでの、

ずっとこっちを見てたからこそ、

目をそらすことができたんじゃないのかって…

が印象的な表現だった。

一方、春希が好きなのもかずさだった。その描写は、雪菜と付き合うことを報告した日の帰り道の、

ここで、俺が夢想していた、

もう一つのあり得ない未来を、切り捨てていく。

俺…初めて会ったときから、

ずっとお前のことが好きだったよ。

というところや、キスのときにかずさが浮かぶだけではなく、

かずさの練習部屋での練習で、

だって、心地よいから。(中略)

…冬馬が、俺だけを見てるのが。

ずっと俺に、笑顔を向けてるのか。

と言っていたり、雪菜を名前で呼ぶ頃には、

だから俺はやっぱり、ほっとして、気が抜けて…

けれど、小さな棘が一本だけ抜けていないような、

そんなちくりとした感覚を少しだけ胸の中に残した。

というように、かずさをずっと気にしているのだ。

ただ、春希は、かずさの想いにも、雪菜の想いにも気づくことができず(本気だと思っていなかった?)、かずさは自分の想いに正直になれない間に、雪菜が春希に告白してしまった。

両想いだったはずなのに、後で雪菜が言うように「かずさが想いを伝える前なら、勝てる」状況になっていたのだ。


ここからは、まさに「どうして、こうなっちゃうんだろう…」の状況。

かずさを忘れるために、雪菜との距離を急いで縮めようとした春希は、

冬馬のことを、本当の親友と思えるようになるまで。

お互い、言葉を詰まらせたり、感極まったりしないようになるまで。

雪菜のことを、笑ってのろけられるようになるまで。

俺ののろけを、笑って罵ってくれるようになるまで。

と考えていたが、かずさが離れていってしまうことで、ついに、言ってはいけないことを言ってしまう。

「どうして…

 どうして俺の前からいなくなろうとするんだよ!?」

「そんなのはなぁ………っ、

 親友の彼氏に言われる台詞じゃないんだよ!」

「なんでそんなに慣れてんだよっ!」

「雪菜と…何回キスしたんだよ!?」

ここで、やっとお互いの想いに気づくけれども…

という展開が何とも切なかった。


(2)場面構成・伏線など

☆雪菜との出会い、同好会への参加を決めるシーン

「上手い」と思った流れは多数あるが、その中でも、序盤のものを一つ。


最初に小木曽と話したときの

「色々気苦労も多い」「有名になりすぎても困るんだろ」

といったところに、春希が世話焼きだというだけではない伏線があって、

スーパーの店先で、

一生懸命品出しに励む三つ編みの少女。

という描写のあと、

依緒と会って、春希が雪菜のことを話すときは、何ともなさそうなのに、、

参加を断られた夜に「再チャンス」なんてものがあって参加という運びになる。

この場面の前段として、屋上で雪菜が歌うところの出し方、

主人公がこれで最後の演奏だと思っているところで出すのが上手い。


プレイヤーにとって、ボーカルが誰になるかなんて、わからないはずないところで、

意外性とちょっとした盛り上がりがあった。


☆2周目の追加


同梱されている本には、最初に、

この小説は『WHITE ALBUM2 -introductory chapter-』を

一周プレイした後に読むことをお薦めします。

更に、もし二周目をプレイしていただけるならば、

是非その前に読んでいただければ幸いです。

と書かれていて、プレイ前にこの注意書きを読んだときにも期待度UPだったが、1周終わった現時点では、「この段階でまだ何を見せてくれるのだろう、『序章』なのに」という思いだった。

本の内容は、1周プレイした人にとっては、「その後に読む」とされているのが当然の話で、確かに、本で書かれた、かずさの状況を踏まえた上で2周目をすると、各場面での感じ方が違う。

それに加え、2周目の追加されるシーンの出し方も良かったと思う。

その中でも、

だからこそ、時々わからなくなる。

雪菜は、あの夜…

どうして俺に、決断を迫ったんだろうって。

の答えに関する場面が好印象。

「くそ真面目で、細かくて、規則に縛られてて、

 頭でっかちで、教師の顔色ばっか伺って、

 ついでに成績良くて、ちょっとだけ鼻にかけて」

「しょうがないだろ?

 …あたしはお前と違って我慢強くないんだよ」

と言うかずさを見て、雪菜は行動を変えた。何しろ、その直前には、依緒と

「その、さ…あいつのこと、本気だったらさ、急いだ方がいいかもしれない」

「わたし、今のままがいいの。今の関係が、一番気に入ってるの」

なんてやりとりをしているのだ。

たから、二人が付き合いだしたとき、依緒は、春希から告白したと考えた。

これについては、春希の好きな人がかずさだと知っているが武也とのやりとりもあるし、最後の空港へ行く途中に、雪菜が「三人でいたかったから告白した」といったところにもつながっている。


他にも、2周目で追加されたシーンには、


曜子がかずさに、ステージを見た話や、三人の関係を見抜いた話をする場面、コンクールへの出場へのつながりなど、

1周目でも何となくプレイヤーが予想して補完していたところを上手く埋めている場面が多かったと思う。


☆届かない恋

もう一つ、序盤からも出ていたのが、春希が作っていた詞。

春希が同好会でやりたいと思っていたことだった。

 「ほとんど出来てたのになぁ…」

 「そういえばさ、お前、あれどうすんだ?

  俺、まだ預かってるけど?」

当たりからその存在は予想できるし、

かずさが「間に合わせて見せる」と言ったり、授業中に熱心に何かに取り組むところでは十分にわかる。

「新曲。3曲目。ラストナンバー」

「その詞…

 小木曽をイメージして書いてるらしいぞ?」

そうかずさが言った詞で、春希がイメージしていたのは…というのは、

この曲がステージではなく、ラストシーンに出ることからも「狙った作り」

 ─タイトルは「届かない恋」です。─

ずっと3人でいたかったのに、

2人から1人が離れ、1人と1人が残ってしまった話。


届かない恋をしていたのは… というエンディング。

新たなヒロインの登場とともに、3人の恋が届く続編を期待。


以上。

長文お読みいただきありがとうございました。


プレイ時間:1周6.5時間×2。(2周目は差分以外スキップなら1時間以下と思われる。)

お気に入りキャラ:僅差で冬馬かずさ