
2011-12-29-Thu
■[review]WHITE ALBUM2 -closing chapter- (Leaf)(1)
introductory chapterの時に抱いた期待(http://d.hatena.ne.jp/a103net/20100403/p1)に十分に応えてくれた作品。
「私が今までにプレイした全作品」の中で、最も、積み上げ、盛り込み、つながりがあり、(私が耐えられる)ギリギリまで攻めていた作品です。
ということで、本日から(更新頻度は未定ですが)、1ルートずつ感想を書いていきたいと思います。
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(ネタバレ注意。ネタバレ度:高)
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■小春の設定
本作は、春希・雪菜・かずさの物語であるintroductory chapterを序章とすることから、その他の人物を(単なるオマケや数合わせでなく)ヒロイン(=春希の恋愛対象)とするのは、難しいと思っていました。
そこで、「真面目で堅実で親身な世話と的確な助言が心地良いという、言い方を変えれば誰かとそっくりな性格の少女」(←公式の紹介)とされる小春の登場。春希と似ている人物、学校とバイトの後輩、孝宏(雪菜の弟)の同級生、といったところで、この舞台に馴染めていたと思います。*1
魅力としては、強さ、優しさ、面倒見の良さ、そして、笑顔の可愛らしさ。
一番は、「だから、いいこいいこって…してください」と甘えてきたときですね。
■シナリオ展開
あらすじとしては、後述する「気になった点」はあるのですが、概ね先が読めて、予想通りの流れでした。春希がアルバイトをしている塾の生徒である、矢田美穂子が春希に告白をして、きつい言い方で振られます。で、その親友が、(春希と似たお節介焼きの)小春となれば……で予想がつく方向性です。それは、決して悪い意味ではなく、過程を楽しめるものでした。
親友の恋をお節介するため、小春が春希に接近 →事情を知っていく内に、主人公の恋の話に乗り込んでくる。 →似た者同士で惹かれる →親友との仲が悪くなってしまう+雪菜の存在をどうクリアするか
実際には、上記に加えて、春希と雪菜の更なる擦れ違いと、その春希の傷を小春に癒してもらう展開や、武也・依緒といった春希の友人の動き、小春を好ましく思っていた孝宏*2の動きといったものが、物語中のつながりを増やしていきました。
■見所と思った場面など
たくさんあるので、書いていくと、作品中の文章の羅列、物語の流れほぼ全部になってしまいそうですが、順に挙げていきます。
【春希と雪菜の関係に乗り込みながらも、春希に興味を持っていく小春】
孝宏から、春希が雪菜の彼氏であると聞いた小春は、その後、学園祭のDVDで付属時代の春希たちを知り、取材と称して音楽室に来ていたときの春希の表情を思い出します。そこで、春希と雪菜のぎくしゃくした現状を知り、手段を選ばないお節介をしていきます。矢田の登場に始まる、小春の一連のお節介がまた、春希にとっては、自分が周囲にやってきたようなことそのもので、いざ周りから踏み込まれたときの反応や、過去の自分を振り返る描写も面白かったです。
それと並行して、似た者同士でお互いを理解しているからか、小春は春希に興味を持っていきます。二人で夜に雪菜を探した日の言い合いや、バイトで周囲からからかわれた時の反応など、「意識した」ときの小春の表情がギャップもあって魅力的でした。
「だって自分なら…
好きな相手に冷たい態度取られるのは我慢できません」
「しかも相手が、本当は自分のことを
まだ好きでいてくれるなんて知ってたら、
余計に辛すぎて、どうしたらいいかわかりません」
あたりは、お節介と、女の子の気持ちが良いバランスで出ていた場面だと思います。
【互いを助け合い、それにより深みにはまってしまう】
クリスマスで落ち込んでしまった春希は、バイト先に寄って、小春に甘えます。年末までの間、小春は春希を支え、春希も小春に3年前の話を明かします。春希にとって小春は「世界でたった一人の味方」であり、やがて「一緒にいないことで寂しさを感じてしまう」女の子になっていきます。
でも、仕方がないじゃないか。
こんなに長い間、毎日、朝から晩まで一緒にいたんだ。
ずっと彼女の、ころころ移ろう表情を見て、
ただそれだけを糧にして、心を立ち直らせてきたんだ。
…彼女に対して、強い気持ちを抱くのは当然だろ?
こうして、小春に強い気持ちを持ってしまった春希は、一度は小春を避けて、日常に、年下の女の子に心の底から依存したりしない日々に戻ろうとするものの、(春希との関係のせいで)親友との関係に支障をきたした小春の心の傷を見て、小春を受け入れます。
この親身なお節介で結ばれた二人が、それぞれ周囲を裏切っているというのが何ともせつないです。
共通ルートから何回も仲直りに失敗して、また、小春と春希の仲が深まるにつれてより亀裂が深くなってしまった仲の修復。そのとっかかりは、美穂子の親と会うことでした。
色んな『母親という生き物』に接していくうちに、
いつの間にか、賭けてみる気になれていた。
序章から、春希の母との関係、かずさの母との関係、そして、小木曽家の家族の関係と、母親との関係に関する描写が多かったので、春希がこの考えに至ったのは、印象深かったです。
そして、小春も美穂子も欠席した卒業式。読むはずだった答辞の代わりに、美穂子へ送った、たった一人に向けてのメッセージ、三年間の思い出と、友情と仲直りを信じたメッセージ、それを叶える、エピローグでの仲直りは、心暖まる内容*3でした。
【雪菜の強さ】
入学試験を終えた小春は、雪菜から声をかけられます。謝る小春に優しく語りかける雪菜。ここで出てくる、雪菜の中学生の頃の話が印象的。これは序章で春希に語っていたものですが、その後仲直りできた話がついてきます。そして、その境遇を今の小春に重ね、励まします。
「そこまで頑張って…
何もかも敵に回してあなたが手に入れたものは、
それだけの価値があるんだって信じていいと思うよ」
送り出した後では泣いていた雪菜ですが、こう言えるようになったのは感慨深いです。
もちろん、入学試験の日に「先輩」「さよなら」と呟いている(別れる覚悟を決めている)小春も強いと思います。
■気になった点
ここまで、好印象が積み上がった過程ばかりを書きましたが、好印象が曇った瞬間もありました。それは、矢田美穂子の行動です。
欠席、そして進学に関して、彼女は、私の考える常識的な範囲を超えて問題を大きくしました*4。彼女の性格や、小春との友情の深さについては、相当の描写がありましたが、それを踏まえても度が過ぎていると感じました。これについては、彼女をそういう、(北原春樹と並び立つくらいの)トラブルメイカーとして描いたか、そうでなければ、ライターが盛り上げのために大げさな話にしてしまったか・・・そう否定的な思いが消えません。
また、それにやや関連して、終盤の春希の行動も(雪菜のことはどうするんだというヘタレの面以外でも)キレがなく感じます。
小春が春希に助けを求めた日、いや、春希が小春に「どうやって、自分一人で解決しようって言うんだ?」と追い詰めた日の行動は、誰が悪いと思っているんだ、と言ってやりたくなる態度であり、「一緒に頑張ろう」と言った解決策の内容も、大したことがありません。*5
上記2点が、エピローグまで綺麗に積みあがったと言い切れない残念な点でした。
*1:言い方を変えると、これでやっと、「単なるオマケ」の枠から出ることが可能になった、とも言えると思います。
*2:雪菜は、終盤で「似たもの姉弟なんだ、わたしたち。同じようにのんびり屋で、同じようにうっかり者で、…だから、同じような相手に憧れるの」と小春に言っています。
*3:後述の「気になった点」がやや曇らせたわけですが…
*4:そもそも、美穂子は春希に振られているので、裏切りはともかく、「彼氏」を取ったという騒ぎは間違いですし、「彼氏」を取られたのは雪菜ですので。
*5:前述のとおり、美穂子の母に会うところはいいのですが、それ以外は、「まずは入学してから、時間をかけて説得して、いつか復学してくれるのを待てばいいじゃないか。しばらくは休学扱いにしてもらって…」くらいしかありません。なお、推薦辞退や大学謝罪訪問は、小春がどうしてもそちらのプランを選んだからとった策であり、春希の本来の狙いではなかったと思われます。
