
2011-12-31-Sat
■[review]WHITE ALBUM2 -closing chapter- (2)
2011年最後の更新になりました。
今年は、仕事で忙しかったことによるプレイ本数の減少、ツイッター(https://twitter.com/a103net)への投稿による分散などの事情により、はてなダイアリーの更新回数は少なくなってしまったのですが、ご覧いただき、ありがとうございました。
・
・
・
(ネタバレ注意。ネタバレ度:高、特にこのルートはネタバレなく語れません。クリア後の方のみ以下をお読みください。)
・
・
・
■千晶の設定
設定を見たときに、どんな関係になるのか、不安に感じました。小春ルート感想でも書きましたが、この物語に新登場ヒロインが馴染むのは難しいと思っていて、単なるゼミの同級生をどこまで絡ませられるのかと思ったのです。1ルートでも読んでいれば、クリスマスに春希と雪菜がどうなるかはわかっていて、そこで春希を助けるのが、そのルートのヒロインであることは想像がつきますが、そこで「千晶に惹かれるだけ」のようなルートにはならないとも思っていましたので。
実際には、付属の3人を知っている、3人の物語に強い興味を持っている人という、序章と関係性の強い人物で、しかも、その演劇の才能からか、春希や雪菜がどういう人物であるかに深く迫ることができた、という面でも物語全体の中で十分な役割を持てたと思います。
■シナリオ展開
1周目を謎かけのまま終わり、2周目で真実を明かしていく展開です。この2周目の大部分までを使った段階的な見せ方が良かったです。
千晶は、春希にとって、恋愛抜きで友達でいられる女性、いつもの世話焼きをすることができる唯一の身近な女性でした。また、千晶は、春希を理解した上でその態度をとっていて、そのこと自体も春希に告げています。レポートの話、「届かない恋」が好きだという話、高校の頃の話、実はかなりの甘えん坊だという話、家庭環境の話、1周目ではわからない嘘と演技を交えながら、千晶は春希に近づいて行きます。
そうする内に、春希は、千晶の「女」を受け入れるようになり、あのクリスマスの後、千晶を逃げ場にします。逃げ場にすることにより、春希は復活して、千晶がいなくても前へ進める状態になりますが、今度は、千晶が姿を見せなくなってしまいます。
ここで1周目の謎かけが終了。謎は「なぜ姿を見せなくなったか?」ですが、ここからの拡がりが見事でした。
2周目になると、今まで見られなかった場面が追加されます。小春と話した場面、雪菜と話した場面、そして、ラジオの場面から劇団の話がわかります。その一方で謎が増えていきます。
一つ目は、雪菜から聞いた、好きな男性のタイプの話(=春希の話)をそのまま、春希に使っていることです。
「あくまでも仮定だって言うのなら…
面倒見が、いい人がいいな」
「わたしって、実はかなりの甘えん坊なんだ」
「だから、頼れる人に焦がれる。
恋焦がれて、もっとワガママ言いたくなる」
「そんなわたしのワガママを、
一生懸命頑張って叶えてくれる人が好き。大好き。」
「口うるさいんだけど、ぶつくさ文句は言うんだけど、
それでも絶対に見捨てたりしない」
「誰にでも平等に優しくて、けれどわたしには、
ほんの少しひいきしてくれたりすると最高かな」
と雪菜が言ったものを、ほぼそのまま使っているのです。つまり、春希の前で、千晶が「雪菜」を演じていたことになります。二つ目は、母親とのことを話したのはネタ、とプレイヤーに明かします。つまり、春希を騙そうとしているのがわかります。ただ、なぜ、そうしようとしていたのかはわからないまま、1周目と同じ展開を迎えます。
ただ、2周目では、冬休み明け、雪菜と千晶が会う場面が見られます。ここで、「雪菜に関する」役を演じること、雪菜に近づいた目的まではわかります。その後、武也により、3年前の付属祭の演劇部*1で主演女優をしていたことがわかります。ここでやっと、三年前から春希たちを知っていたこともわかるのですが、それでも、春希を騙して、そして去って行った意図はわからないままでした。
その後に千晶と会って、やっと彼女の意図がわかる──この見せ方・内容に引き込まれ、驚きの連続の展開でした。
あと、もし、時間に余裕があれば、(千晶ルート2周目の)2回目をプレイすることをお勧めします。千晶の気持ちを信じて読むと、また違う良さが見えてくると思います。春希や雪菜に近づくだけでなく、「届かない恋」を放送サークルに売り込んだり、現実の三人が辿り着いていない場面まで脚本を書いたり、そして、倒れるほどになるまで演技を極めた千晶の想いの強さが読み取れると思いますので。
■見所と思った場面など
前項の「物語の見せ方」がこのルートの見所の大部分だと思っていますが、雪菜を絡めた恋愛方面を含めた見所を挙げておきたいと思います。
【雪菜と千晶】
雪菜が「晶子さん」の正体を知った後での、二人の会話。雪菜を挑発しようとする千晶に対して、雪菜は「演じ切って」、逆に千晶の本音に迫っています。雪菜の強さと、想いの強さが表れていると思います。
「だって千晶さん…ううん、晶子さん、
あの時、あんなに嬉しそうだったじゃない」
1月に会った時の千晶の態度から、千晶の春希への想いは演技でないと指摘する雪菜。
「っ…ホン書き直しだよ。
今のあんたは、あたしの知ってる小木曽雪菜じゃない。
強くて優しくて、そしてなんて愚かな女。
ここで本音出さないなんて、あたしには理解できないよ」
平行線なまま、小木曽雪菜の本音を引き出せないことも、彼女を理解できないことも、千晶にとっては問題でした。さらに、
「大丈夫だよ、千晶さん。
あなたは何も考えず、ただ、わたしになればいい…」
「考える必要ないんだよ…
春希くんは、必ずわたしのところに帰ってくるんだから」
「わたしたちの三年間は、
誰にも覆すことはできないんだから。
かずさ以外は、ね?」
「だから今は…あなたの背中を押してあげる。
春希くんを、どうか守ってあげて、ください」
「…春になるまででいいから、ね」
と反撃されてしまうわけですし。
この「雪菜に対する理解不足」は、千晶と春希の会話でもいくつか見ることができます。いくら、演劇の才能がある千晶であっても、あの雪菜を把握しきることはできておらず、
「浅いぞ、その造形…
雪菜のこと、何もわかってない。
共感どころか、理解すらできていないだろ本当は」
と春希に言われる始末です。極め付けは、「春希が雪菜を抱いたことがない」という点での誤認識(知らなくても仕方がないといえばそうですが)でした。
【千晶の本音と約束】
このルートのクライマックスは、劇団ワァトスの講演。この舞台は、千晶が三年前から望んでいたもので、大好きだった三人の関係を、"原作"を差し置いて、三人にはとうとう最後まで訪れなかった場面まで描きます。この劇自体も、三年前を知っている人たちの心に響くものですが、ポイントは、主演女優の想いの吐露、全てを求め続けて挑んだ舞台で、千晶は、春希との約束を守ります。その役に、小木曽雪菜も、冬馬かずさも、和泉千晶自身をも重ねて。
「ね、和希くん…」
「わたし、和希くんのこと、本当に、本当に愛してる!
これだけは真実だって、約束する…」
「じゃあ、じゃあさ…本当のことを言うときは合図くれよ。」と言われた合図をつけて。合図の話をされた日には、一切使わず、舞台で使う*2ところが、千晶らしいというところなのでしょう(エピローグでも効果的に使っていると思います。)。
「でないと、冷たく突き放す千晶を見捨てていいのか、
優しく抱きしめてくれる千晶を求めていいのか…
わからないんだよ、俺」
とまで言われてしまった、千晶の演技に対する春希の疑念を超えて、二人の気持ちが通じ合うのですから。
そして、最後に。千晶が、使わなかった、使えなかった切り札は、十分に使われていたと思っています。もちろん、春希に対してではなく、プレイヤーの私に対して。「妊娠」を口にしたときの、あの春希がいない場面での千晶の想いを見た*3からこそ、千晶の春希への想いを信じられたと思います。
- then-d’s theoria blog ver. - 『恋愛ゲーム総合論集2 Comprehen...
- はてなグループ - lovegame30x30グループ - リンク集
- then-d’s theoria blog ver. - 冬コミ(C81)新刊『恋愛ゲーム総合論...
- きらめく夢を想うとき 〜a103netのゲーム日記〜 - WHITE ALBUM2 -c...
- きらめく夢を想うとき 〜a103netのゲーム日記〜 - WHITE ALBUM2 -c...
- きらめく夢を想うとき 〜a103netのゲーム日記〜 - WHITE ALBUM2 -c...
- きらめく夢を想うとき 〜a103netのゲーム日記〜 - WHITE ALBUM2 -c...
