きらめく夢を想うとき 〜a103netのゲーム日記〜 このページをアンテナに追加

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2012-01-14-Sat

[]WHITE ALBUM2 -closing chapter- (4)

ルート目の小木曽 雪菜ルートの「あるポイントまでの」感想です。

*ネタバレに配慮するとこういう書き方しかできないのですが、

 その意味がわかる人向けの感想です。


1ルート目 杉浦 小春ルート(12/29)

2ルート目 和泉 千晶ルート(12/31)

3ルート目 風岡 麻理ルート(1/8)

ラストまで(1/22)

まとめ(1/25)

(ネタバレ注意。ネタバレ度:高)

シナリオ展開

 コンプリート後にclosing chapterの雪菜ルートを振り返ってみると、一言で言えば「codaのための積み上げなんだなあ」ということになってしまいます(褒め言葉)。そして、言うまでもないことですが、それまでの小春・千晶・麻理3ルートも同様です。


 彼女たちのルートにおいて、春希が共通ルート分岐点手前における雪菜とのすれ違いから、精神的に立ち直るために彼女たちの誰かに依存し、そして惹かれていき、その後、雪菜との関係に決着をつけることが話の一定部分を占め続けてきました。それは、春希の心の中に、雪菜が大事な人としていたからですが、何しろ、その雪菜と(共通ルート分岐点手前で)ギクシャクしたきっかけは、「春希の心にある、かずさへの想い」に雪菜が我慢できなかったことなのですから。

 つまり、このルートを含む4ルート(+同梱の小説による、3年間の描写)をかけて、春希と雪菜のお互いの想いの強さ、そして、結ばれるまでのすれ違いと遠回り、三年前の思い出との関係を「これでもか」というほどに描いてきたことになります。そして、それがどれだけ積み上がっても、春希やプレイヤーを揺さぶるのが、あのエピローグの一瞬というわけです。


 次項で採り上げますが、「積み上げ」という点から見ると、個別ルート序盤における、小春・千晶・麻理からの接触や、後半における歌の話は効果的であったと思います。


■見所と思った場面など

小春・千晶・麻理からの励ましによる復活】

 彼女たち3人のルートでは、共通ルート分岐点(クリスマス)後、3人の誰かのところに向かう春希ですが、本ルートでは一人で数日を過ごします。その後、3人から順次励まされることによって回復していきます。その中での台詞や行動は、この時点で、3人それぞれとの春希の物語を見ているであろう(彼女たちのことを理解している)プレイヤーにとって、感慨深いものがありました。

 まず、春希のことを心配した麻理から電話があります。

「北原が話すだけ。それを私が聞くだけ。

 誰もお前を許しはしないけど、

 それでもお前は少しだけ楽になる」

「俺、冬馬かずさのこと、今でも好きだったんです」

「まだ、忘れてなかったんです」

「そのせいで、傷つけてしまった相手がいるんです」

呆れるくらい赤裸々に喋ってしまった。

だから俺は最後まで、

本当に、肝心なところまで喋って…

 麻理ルートでも聞いてもらったように、春希は、ここでも、冬馬かずさの話を麻理に聞いてもらい、少しだけ楽になります。


 次に千晶の訪問があります。千晶は、彼女のルートと同様に、春希にアプローチをかけますが、春希は応じず、

「それでも、好きだから?

 諦められないから?」

と千晶に言われ、自分の雪菜への想いを確認します。一方でこの時の、

「ん〜、潮時かなぁ」

モチーフとしては

 ますます魅力的になっちゃったんだけど、

 さすがにもう、追いかけられないよね」

「これであたしの大いなる野望は終わり…

 ありがと春希、今まで夢見させてくれて」

といった台詞や、

「あたしはね、

 本当はあんたの想いの深さを知ってるよ?」

物語にしても遜色のない、

 あんたたちの綺麗な想いを知ってるよ?」

「ここまで引っ張ったんだ…

 どうせなら、最後まで突っ走って

 綺麗な物語を綺麗なまま完結させて欲しいな」

「そしたら今度こそ…」

(今度こそ、あたしにその物語を演じさせて)←表示上は「…」

「おやすみ、あたしの神様

 あなたを見つめ続けてきたこの数年間、

 本当に楽しかったよ」

といった台詞は、千晶の「大いなる野望」「夢」を知っていると、心に響くものがありました。何しろ「ここまで・・・」のところでは、千晶は両手を胸に当てています。これは、千晶ルートにおける「本当のことを言うときの合図」であり、もちろん、このルートではその意味を持ちえませんが、そことの結びつきを感じずにはいられませんでした。


 そして、春希は、バイト先に向かい、小春に会います。クリスマスの春希と雪菜のデートを仕組んだ彼女は、二人が上手く行かなかったことを聞いて、「いい加減頑張って乗り越えないと」と言いながらも、春希から話を聞いた後は、

「わたし、前向きな人ならOKです。

 必死に頑張ってる人なら、嫌いになんかなりません」

と春希を認めます。ここで、矢田美穂子関連*1の問題も解決してしまいます。春希は、以前の美穂子への対応について、

「誰かを好きになることも、

 誰かに好きって言われることも、

 怖くて…ほんと怖くてさ…」

という状態だったと告げるとともに、今でも大好きな人がいると告げます。


 これらの励ましを受けて、二年参りの雪菜への電話につながります。

「だって俺、雪菜の言う通り、嘘ついてたから。

 かずさのこと、忘れてなかったから」

「そして、これからも…

 かずさのこと、ずっと忘れる訳がないって思うから」

それからそれからさ…

 これが一番謝らなくちゃならないことだと思うんだけど」

「それなのに俺…

 やっぱり雪菜が大好きだから」

 彼女たちに、勇気を与えてもらい、答えを教えてもらい、正しい道を指し示してもらった春希は、「嘘」のない「大好き」を雪菜に伝えることができました。


【バレンタインデーのコンサート

 大晦日の電話以降、なかなか進展しない二人でしたが、そこで、(私が)忘れかけていた「歌」の話と、「わがままで、拗ねて、困らせる、昔の雪菜」の話がでてきます。


 春希は、雪菜が、もう一度前に進もうって気になってくれるまで、待つことにしました。毎日、電話越しにギターを聞かせて、少しでも気を抜くと会話が3年前のことになりそうだったり、「届かない恋」を弾こうとしたら止められたり…そんな中、柳原*2との再会で、物語が動きます。

 コンサートの出場を嫌がった雪菜は、3年前の思い出の場所で、春希にこう言います。

「わたしはね…

あなたを好きでい続けるために、

 歌の方を嫌いになったの」

「もし歌えば、必ず、この学園祭のステージが…

 みんなで練習した毎日が、最後の24時間が蘇る」

「けれどね…わたしの記憶は、

 その楽しかったところで止まってはくれないの」

(中略)

「そして、あの…

 三年前の、誕生パーティのこと」

「必死で耳を塞いでも、目を閉じても…

 それでもまだ記憶は止まってくれなくて…」

卒業式のことが…

 空港での、かずさとの別れのことが、

 すごく鮮やかに蘇ってくる」

「なのにあなたは、わたしに歌を思い出せって…

 もう一度、好きになれって言うの?」

 雪菜にとって、歌は、ヒトカラで歌い続けるくらい大好きなものでしたが、3年前から歌わなくなってしまった──それほど、春希への想いと、3年前の出来事のショックが大きいということなのでしょう。それに対して、春希は、部屋に雪菜を連れ帰り、「俺の前で、楽しそうに歌う雪菜が世界で一番大好きだ」と訴えかけ、練習を続けます。


 この一連のイベントで、もう1点、いつもながら好印象な見せ方がありました。「ステージに上がる前に、言っておきたいことがあるの」からの一連の台詞の中で、肝心な部分だけを、視点を切り替えて飛ばして、後で回想させるというところです。「嫌いになってしまうかもしれない」からこそ、ステージで歌う前にしていた約束、そうして、二人はついに結ばれることになりました。(ほんと、ここまで長かった・・・)


エピローグの演出】

 これはもう、完全に狙っているでしょう。一度目のプレイ時は、あの場面に呆然としてあまり覚えていませんでしたが、改めて読むと、ハッピーエンドを演出しようと、場面と言葉を重ねています。

 エンディング曲前の場面は、2週間遅れの誕生日会、そして、3年前──雪菜が家族に嘘をついて一人で待ち、春希が来なかった──とは違う誕生日会。

これが、俺たちの終章。

しかった三年間を締めくくるには、

あまりにも穏やかで、尻すぼみの物語

だけどこれが、

これこそが…

俺たちの、最高のエンディングなんだから。

 3年前のあの日に戻ってくるためのプレゼント物語の終わり。冬が、三人の季節が、『WHITE ALBUM』の季節が終わり、二人だけの季節が、始まるという流れでエピローグを迎えます。


 そこで、さらに、

イブに間に合った。

ミサに間に合った。

『記念すべき日』にふさわしい舞台装置が整った。

…俺の決心に、時間がついてきてくれた。

だから後は、冷静に作業を遂行するだけだ。

雪菜の左の薬指に似つかわしくない安物を、

それなりのものに付け替える作業を…

小箱を開けると、そこには雪菜へのクリスマスプレゼント

…に見せかけた、一生に一度の、かなり意味深な贈り物。

あとは、雪菜にこれを渡すだけ。

もうすぐ雪菜が、ここに来る。

そしたら俺は…

とまでお膳立てして、アレがあるわけです。見方をちょっと変えれば、アレがあってくれないと、本当の解決にはならないわけで、「やっときたか」というところもあるのですが、衝撃的な場面でした。


■余談(雪菜の性格のこと)

「これにて、小木曽雪菜の秘密は、

 一つもなくなってしまいました。

 …あなたに、全部知られてしまったから」

ってICの序盤で言っていたのに、(その後の色々があって、)一番の役者・一番の嘘つきになってしまったなあと。物語の中心的存在でもありますが。そりゃあ、千晶が雪菜のことを掴み損ねるわけだよ。

という話を書こうと思っていたのですが、長くなってきたので、今日はここまで。

*1小春ルートの泥沼を見ていると、「春希が小春を受け入れなければ、こう解決するんだよな・・・」と、ちょっと複雑な気持ちになります。また、「関係ない」と言われた時などの小春の反応もポイント

*2:こういう使い方してくるか…(褒め言葉)と思いました。春希が途中で見切った通り、彼女が雪菜を挑発するような態度をとっていたのには、別の意図がありました。

 2012/01/18 19:49 電車の中で貪るようにレビューを読ませて頂きました。私は昨晩漸くかずさルートを終え、1周目をやり切りました。推測・議論を呼んでいるかずさルートの考察も楽しみにしております。

a103neta103net 2012/01/21 09:40 お読みいただきありがとうございます。
「推測・議論」の類は把握しておりませんが、
2回目のプレイをしながら、ちまちま書き進めています。