「哲学カフェ」再燃

【授業研究】「ロジカルシンキング実践」の授業は第3回でした。珍しく、スタートは寝ている学生少々、眠そうな学生かなり‥でした。私の説明の時に話している学生も3人ほど。
「余計な話をしている人は、懸命に考える人の迷惑になるということが、前回のリフレクションカードにも書いてあったので、気を付けてね」
「寝ている人は、外に出てひと眠りして、すっきりしたら戻ってね」
「どうしても話さなくてはいけないことは、外で話をしてきてくださいね」
などと、授業規範を整える働きかけをしながら、動かしていきます。
 「主体的な学び」を促進する手立ては「対話的な学び」と理解している私は、グループ内での「短い話し合い(もちろん、対話)」と「質疑応答(これも、授業者と学生全体との対話)」を組み合わせながら、進めていきます。チーム内での話し合いで、友達の質問に答えながら考えだし、着々と前のめりになっていく様子が分かります。質疑応答では、友達の質問にうなずき、授業者の私の解説にうなずく反応が広がっていきます。
 第3回のメインは約20分間のグループでの対話。「目的を考えている/妥当性がある」の2軸で具体例を挙げて、議論する課題です。身近な具体例を考えてくることが宿題になっていたこともあり、話はもりあがります。「にくいやつを殺したとすると、行動は〈目的を考えている〉けど、妥当性は低いですよね。これでいいですか?」の質問に、「いいと思うよ」と回答。
 「じゃあ、殺人はいつでも妥当性は低いですか?」と逆質問すると「戦争は違うかも‥」の声。「え?なんで?」と沸き起こる質問と意見。「広島に原爆を落とした司令官の行動は?」と続けると議論白熱。「そうかあ、〈戦争を終わらせる〉という目的を考えている行動だし、実際に終結につながったわけだから、〈妥当性も高い〉なんだね」「ああ、なるほどね」‥「じゃあ、ストーカーの行動は?」「えーと、それはね‥」‥。最初眠そうにしていた学生も、熱心に話し合い、考えています。
 どのチームも盛り上がります。最後のリフレクションカード記入は物音ひとつしない静寂です。集中力の高さが伝わります。終了後に、質問が相次ぎます。夕方になって、研究室まで質問に来た学生もいます。この動きが「課題依存型の主体的学習」から「自己調整型の主体的学習」への移行が起きている現象だと私は捉えています。
 そして、研究室に来た学生からは、「先生、こういうことをもっと話し合うサブゼミのようなものをつくれませんか?きっと授業を受けている人の中には参加する人が多いと思います」と提案。前期に2回だけでうやむやになってしまった「哲学カフェ」の再燃です。その場で、空き時間や空き教室を調べて、開催できそうな時間が見通せました。再び、挑戦です。学生に火をつけた私が、学生に煽られます。「対話的な学び」は「主体的な学び」を引き起こし、授業者を巻き込みます。このダイナミクスが「新しい授業(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)」の魅力です。