『生きる歓び』/猫にまつわる僕のちょっとした発見ともいえない気付きのこと。
- 作者: 保坂和志
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川上弘美の『ゆっくりさよならをとなえる』収録の「爪切りも蠅も」というエッセイのはじめで、保坂和志の『生きる歓び』をいう本が引かれていた。
孫引きしてみる。
「生きている歓び」とか「生きている苦しみ」という言い方があるけれど、「生きることが喜び」なのだ。
この文章についての川上の説明
掲出文は、小説中の「私」が、片目のつぶれた瀕死の子猫を拾って育てているときの言葉だ。「もう助からないかもしれない」と一時は思われた子猫は、回復して自分で餌を食べるまでになった。苦しいことや幸福なこと、そのどちらをもふくめて、ただ生きること自体が歓びなのだと、回復しつつある猫を見ながら、「私」は考えたのだった。
保坂和志の、この猫のエピソードは小島信夫との往復書簡『小説修業』でふれられている。とともに、川上弘美の『ハヅキさんのこと』の一篇「誤解」でもとりあげられている。
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