感動的な作り話とソーシャルメディア
Facebookはバカばかり - Hagex-day.info
こちらでほぼ言い尽くされている感がありますが、なぜこの件気になるのか自分なりの考えを整理。
(1)真贋について
この手の議論で必ず出てくるのが、「真贋はともかく良い話じゃないか」、「そんなこと言ったら小説や映画でも感動できなくなるじゃないか」という反論です。
個人的には、お話しや教訓の内容がフィクションであること自体は問題視していません。
ただ、その内容が必ずしもフィクションとして扱われていないことは大いに問題だと思ってます。
すでに上記記事でも指摘されていますが、原発事故の後のデマとこうした都市伝説はベクトルは違えども性質はよく似ています。現実と混同しやすく、リーチが広いテレビドラマで番組の最後に「この物語はフィクションです」と必ず入る意味を改めて考える必要があります。
(2)拡散について
デマの語源であるデマゴーグは、ギリシャの煽動政治家のことです。煽動には人々の口コミ、つまりソーシャルメディアでいうところの「拡散」が重要な役割を果たします。ソーシャルメディアの興味深いところは、これが可視化されることですが、今回の投稿も最後が「人種差別に反対する人はシェア(拡散)」となっていました。
ネットでは残念ながら愉快犯が少なからず居ます。
2ちゃんねるで創作されたデマや作り話を、以前ならmixi、現在ではFacebookやTwitterに「放流」して、それが拡がって行く様を見て、嗤(わら)っている人がいるということはもっと知られていても良いことだと思います。
- 作者: 北田暁大
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2005/02
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 202回
- この商品を含むブログ (326件) を見る
(3)内容について
このエピソードは「逆差別」という要素も持っていて、必ずしも人種差別反対というニュアンスだけでは捉えられません。もともとがブラックジョークだったということにも注意を払う必要があります。例えばこれが、日本の航空会社でアジア系の人種を扱っていたら、と考えてみるとなんとなくイメージが掴んでいただけるかもしれません。
デマや都市伝説は、人の持つステレオタイプをうまく利用します。「ハーバード大学」や「ビルゲイツ」なども人のステレオタイプを刺激するキーワードでしょう。大したことがないエピソードだったり、事実関係に間違いがあっても、これらの枕詞がつくことで「やっぱりそうだったか」となるわけです。人の弱さを突いているとも言えるでしょう。
(まとめ)
真贋・拡散・内容と考えて行くと、いわゆるソーシャルメディアの仕組み*1がまだ未整備なところに、そこに新たに参加するユーザーが増えることで、リテラシーの問題が表面化しているということになると思います。
上記記事の拙いところは、古参ユーザーが新規ユーザーを馬鹿にしているスタンスをとっていることです。たしかに頭から「バカ」と言われては、分かる話も分からなくなることもあるんじゃないかと。
ということで、言いたいことは近そうなんですが、丸く言い換えて整理してみました。