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abekojiの日記

2015-08-03

はじめての精神科―援助者必携 春日武彦 医学書院;第2版(2011/12)

目次------------------------------------------

I 手を出す前に考えておくこと

I-1 基本の基本を検討する

[a]他者を理解するための、何本かの補助線

人間観のこと

人間の心の根底にあるのは「無力感」である

人間の行動原理は「面倒くさい」に引きずられがち

自分の存在価値を誰にも認めてもらえないことほどつらいことはない

人は相反する2つの気持ちを同時にもつことができる

人は論理的に考え詰めた挙げ句に間違える


[b]心構えについて

自分なりの判断基準を設定しておく

「超正攻法」でも「舌先三寸」でもない立場

[c]ファーストコンタクトI−わたしの方法

こんな質問から初めてみる

まず「ねぎらう」

声をひそめる

手の内をさらし本気で頼む

ダメなら家族にアプローチする

身体診察に対しては意外に素直

睡眠導入剤の是非

「病感」へのアプローチがポイント

二分法では解決がつかない!

[d]ファーストコンタクトII−地域だったらどうするか

「健康調査」という名目は使える

ダメでも事態は急転する

この「特権」があるからやめられない

[e]「経験を積む」とはどういうことか

あるとき「つながり」が見えてくる

困難は多いほうがよい、なぜか


[f]我々とは何者なのか

かれらの物語に乗ってみる

ウソやごまかしはなぜ大切なのか

「本質に触れない会話」を続けていける存在になりたい


I-2 家族と地域に関するいくつかの事柄

[a]とらえどころのなさ

似たようなパターンはたくさんある

しかし前例は役には立たない

問題を明確にできないから、マニュアルも使えない

結論はわかっているのだが・・・

[b]「待つ」ということ

「動く」ケースと「待つ」ケース

待つには度胸がいる

アプローチされるべきは自分たちかもしれない


[c]共依存という膠着

コントロール願望に根ざした自己犠牲

つきまとう母、逃げられない息子

時間がもたらした癒し

援助者も無縁ではない


[d]時間を動かす触媒として

澱んだ時間、望んだ時間

玉手箱に相当するインパクト

内と外の「時間のギャップ」を埋める


I-3 しんどくならないための2つのヒント

[a]キーワードとしての「優先順位」

精神科では、すべてが丸く収まるわけがない

優先順位をめぐる本人と援助者の闘い

自殺も優先順位の取り違えである

優先順位をつけるとは、何をあきらめるかを明らかにするプロセスである

キーワードの力

「優先順位の違い」にこそ問題の根本がある

そしてかれらも我々も、優先順位の99%は同じである

「優先順位」という発想によって、二者択一の苦しさから逃れられる


[b]「演出」という視点

見栄っ張りのJさんに振り回される

なぜアンフェアな気分になるのか

ウソという名の「演出」と考えてみる

抵抗感のない演出例―デジカメで安心させる

抵抗感のある演出例―あざとい仕掛け

演技が演技でなくなるとき


II かれらの苦しみ 病気は何をもたらすか

II-1 統合失調症

[a]統合失調症のイメージとは?

統合失調症は、なぜ理解がむずかしいのだろう

多くは若いころに発症する

遺伝の影響は半々?

ひきこもり的「たてこもり」

幻聴とのたたかい―勝ったり負けたり

妄想は違和感を収めるための対処法


[b]問題は陰性症状

「派手な症状」だけではない

「地味な症状」が前景化してくる

陰性症状、6つのケース

共通するのは「生きることの不器用さ」

陰性症状の克服は、薬ではむずかしい


[c]陰性症状の人たちと接するために

奇妙な合理主義、変化への恐れ

顔をつぶさないような助言・手助けを

妄想には、否定せず迎合せず

自分のキャラクターにあった対応を

危険に感じたら

薬に関する必須ポイント



II-2 うつ病

[a]うつ病とはなんだろうか

家族のうつ病にも注意を

うつ病もどき」と「うつ病らしからぬ・・・」

うつ病関連は、診断も治療も転機を迎えている

新型うつ病は何が「新型」なのか

なぜ新型うつ病が増えたのか

双極型のこと

もういちど新型うつ病について

自殺について

励ましと気晴らし


[b]従来型うつ病の知識をあらためて整理する

多様なストレス状況が引き金になる

「実直な仕事人間」についての補足

心身ともにダウナー系―症状

薬が基本―治療

さりげない心配りを―接し方


[c]非典型的なうつ病

ノイローゼに見える?

認知症に見える?

難治性うつ病のケース

うつ病は改善しても、「治れない」ケース

病名は鵜呑みにしないほうがいい


[d]躁病

社会的破滅をもたらすことも

「うつ」の底が抜けると「躁:になる


II-3 認知症

[a]認知症とはなんだろうか

とりあえずの医学的定義

「不可逆」でも、治療やケアはなぜ必要か

「ハンディキャップ」という定義がもたらすもの


[b]自尊心と羞恥心は残る

叱っても意味がない

4桁の数字が覚えられないことの意味

なぜ昔話がよいのか

インテリとデイケア


[c]忘れたことを忘れる

空腹も忘れる

不安は食事と結びつく

「さっき食べた」という説得がなぜ無意味か

不安が「住む場所」に結びつくとき

マニュアル頼りでは認知症老人にはつきあえない


[d]かれらは助けを求められない

日常生活はむずかしい「応用問題」なのだ

「助けを求められない」ことがもたらす悪循環

「カスガ式」2つの対処法

ムカつかないための方法を考える


[e]周囲と当人との相互作用

家族の「雰囲気」が決定的な影響力を及ぼす

炭鉱のカナリア

罪悪感の払拭がポイント

やさしさと誠意が通用しないとき


[f]疾患としての認知症

うつ病との鑑別が重要

身体的スクリーニングを忘れないように


[g]ノスタルジーのこと

「懐かしさ」というキーワード

「今ここ」と「遠い過去」を区別できるか


II-4 パーソナリティ障害

[a]パーソナリティ障害とはなんだろうか

極端に個性的な人?

金魚鉢の中のCさん

それでもパーソナリティ障害と診断することの意味


[b]境界性パーソナリティ障害のこと

医療・福祉従事者にも少なくない

「境界性」とは?

あなたの職場のD子さん

敵か味方か

仲間を振り回す

すさまじい怒り

空虚感

情動の不安定さ

なぜBPDは生じるのか


[c]境界性パーソナリティ障害者とどうつきあったらよいのか

時間が解決する・・・?

つきあい方のポイント


[d]介護される人の家族にパーソナリティ障害者がいた場合

家族が援助を拒否する場合

家族の要求がズレている場合

裏では虐待している可能性がある場合

クレーマーに対して


[e]気持ちを傷つけられた我々自身について

オカシイのは自分のほうではないか?

「世間一般」の代表となる


II-5 アルコール依存症

[a]アルコール依存症とはなんだろうか

援助の「基本」がここにある

飲酒量の問題ではない

いわゆる「治癒」はない

抗酒薬も効かない


[b]アルコール援助の「普遍性」

本人ではなく「困っている人」に着目する

イネーブリングをやめさせる

「底つき体験」へ

「余裕と」と「待つ」―近道はない


II-6 ストレス・不安・怒り

[a]「世界を狭める」という方法

たとえば、ひこもり

さまざまな「狭め方」

苦しみに依存して世界を狭める方法もある


[b]「狭い世界の住人」にどうかかわるか

患者の性格によって方法も変わる

相手の話をていねいに聞く

相手の感情に共感を示す

孤独感、孤立感から救い出す

我々には「経験」という武器がある


[c]我々自身の苦しみにはどう対処するか

鳴かないホトトギス

幸せの押し売りはしたくない


III わたしたちの困難 だから精神科はむずかしい

III-1 恨まれる、ということ

[a]我々自身のプライバシーに関連して

プライベートなことを聞かれたらどうするか

誹謗・中傷にどう対応するか

境界線のあやふやな人には気をつけろ!


[b]強硬手段について

見切り発車は要注意

会議の雰囲気しだいで結論は変わる

事なかれ主義でも構わない、自覚さえしてしまえば


[c]もうひとつ、強硬手段について

選択肢と、それを吟味できる能力があったのか

「恨んでもいいよ、おばあちゃん」


III-2 我々自身の怒り、悔しさ、不快感

[a]売り言葉に買い言葉

相手のペースに乗せられてしまったわけだが・・・

こんな自己弁護をしてみる

けっきょく「冷静沈着」がいちばんストレスが少ない


[b]轢き逃げをされた気分

あちらの言い分、こちらの言い分

自分を納得させるためのストーリー

自分なりの心のなだめ方がある


[c]不快なやさしさ

猫かわいがりと罪悪感

エゴの深淵を覗き込んだ気分


III-3 責任感と義侠心

[a]孤軍奮闘の人

抱え込んではプロではない

「こうである」と「べきである」は区別する


[b]自殺予防は可能か

措置入院は無理

医療保護入院も効果なし

まだ十分に「困っていない」

家族からアプローチする


III-4 「困っている」とは言うけれど

[a]おろおろする夫

小手先の対応ではなにも動かない

追いつめられるまで「待つ」


[b]保護者という壁

措置入院医療保護入院は無理

あえて「突き放す」

突き放すために連携が必要になる


IV 電話相談 受話器を片手にして「できること」と「できないこと」

[a]鼻白んだ経験

キャッチホン優先か

電話相談には違和感がある


[b]無防備な立場

なぜムカつくのか

部屋=心の中と直結してしまっている

電話相談のマイナス面



[c]心を込めて焼いてください

常識がいかに違うか

いったいどう答えたらよいのか

さまざまな答え方のレベルがある


[d]7種類の質問

境界性パーソナリティ障害の人からの電話―ごく淡々と

自殺予告の電話―うまい方法などない

当惑をそのまま吐露してしまう

自殺されたら仕方ない

話し相手を求めてくる電話

夜になると不安になって頻回電話に及ぶケース


[e]匿名性について

名前を聞かれたらどうするか

電話は危険である。その危険性が知られていないぶん、なおさら

「なんでもあり」のむずかしさ


V Q&A いざというとき役立つテクニック集

Q1 患者さんと話す(1)

Q2 患者さんと話す(2)

Q3 妄想を聞いてもいい?

Q4 暴力を振るわれそう

Q5 スキンシップ

Q6 話を切り上げるには

Q7 患者さんの「論理」(1)

Q8 患者さんの「論理」(2)

Q9 患者さんの「論理」(3)

Q10 立腹されたら

Q11 クレームの理由

Q12 注意のしかた

Q13 話の“小技”

Q14 患者さんの権威主義

Q15 セクハラ

Q16 同僚への悪口

Q17 被害妄想

Q18 妄想と治療

Q19 ダニ妄想?

Q20 ゴミ屋敷

Q21 こだわりが強い

Q22 ひきこもり(1)

Q23 ひきこもり(2)

Q24 困ったキーパーソン

Q25 ケース検討会

Q26 医者と住民

Q27 敵は本能寺

Q28 受診させるには

Q29 薬を飲まない

Q30 パーソナリティ障害者にげんなり

Q31 クレーマーへの対応

Q32 自殺のこと

Q33 なぜ懲りない?

Q34 相談のしようがない相談

Q35 話がうますぎる?

Q36 生きる価値

Q37 発達障害

Q38 援助者のストレス解消法


索引

あとがき

-----------------------------------------

 本書の感想として、ケースと向き合うときに気が楽になりましたと言っていただけることが比較的多い。それはつまり、峻別と割り切りと自信―これら3つのベクトルを念頭に置いて本書が書かれているからだろうとわたしは解釈するわけである。限界を見極め次善の策をすぐに案出できるようになるとき、人は困難な事態へも余裕を持って立ち向かえるようになる。

月刊少女野崎くん エンディングテーマ・ウラオモテ・フォーチュン「「キライ」の反対の、反対の、反対の、反対のそのさらに反対の 気持ちを伝えるのってなんだか難しい キミの本当の、本当の、本当の、本当の包み隠さない本音を聞きたいだけなのに今日も、また揺らいでる♪」

平和維持活動や様々な援助プログラムだけでなく軍事活動一般に応用されている普遍的論理だな。

2015-05-07

メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱 ヨアン グリロ(著)、山本昭代(翻訳) 現代企画室 (2014/3/7)

目次-------------------------------------------

第1章 ゴースト―イントロダクション


PART機[鮖


第2章 ケシ―麻薬生産の黎明期

第3章 ヒッピー―第1次麻薬ブーム

第4章 カルテル―メキシコ麻薬組織の形成

第5章 麻薬王たち―三大カルテルの時代

第6章 政権移行―高まる戦争の足音

第7章 戦国時代―カルデロンの「麻薬戦争」


PART供‘眤


第8章 運び屋―麻薬密輸とマネー・ロンダリング

第9章 殺し屋―殺人という仕事

第10章 文化―マフィアの音楽・映画

第11章 信仰―ギャングの宗教

第12章 犯罪的蜂起―体制に挑む暴力


PART掘 ̄震


第13章 捜査―スパイと裏切り

第14章 拡大―国際化する組織犯罪

第15章 多様化―犯罪の多角化

第16章 平和―麻薬戦争終結への道


謝辞

参照文献

訳者あとがき

-------------------------------------------

マフィアのボスたちはマネーロンダリングの手段として映画に出資したり、自分の偉業を映画化させようとしたりする。マフィアのボス、「バービー」ことエドガル・バルデスの供述によれば、自伝映画を作らせるために20万ドルをプロデューサーにとっては、そんな金を気前よく出してくれる人は誰にとってもありがたいことだろう。

 貧しい移民は誘拐のターゲットにはなりえないように思えるかもしれない。もちろん彼ら自身は金を持っていない。しかし貧しくても多少の貯金のある親戚くらいはいる。セタスはたいてい移民1人当たり2千ドルを取り立てるるのだ。これを1万倍すれば、2千万ドルになる。大量誘拐が起こるわけである。

 この状況については、勇敢なエルサルバドル人ジャーナリスト、オスカル・マルティネスが詳しく書いている。彼は同じ国の出身者らと一緒にメキシコを縦断する旅をした。一緒に列車に飛び乗り、宿泊所で眠り、そして彼らの恐ろしい体験を聞いた。そうして2007年半ばごろから起こり始めた大量誘拐事件について調べた。深刻な事件が起こっているにもかかわらず、何年もその情報は日の目を見なかった。オスカルによれば、それは2つの理由があるという。地元のジャーナリストはそれを記事にすると殺すと脅されていること、さらに、貧乏人の中でもとくに貧乏な人々に何が起こっているかなど、誰も気に留めなかったから、である。

 2009年になって、やっとこの問題が注目を集めてようになった。メキシコ政府の人権擁護委員会が誘拐の被害にあった移民の証言基づいた報告書を出したのである。驚くべきことに半年の間に1万人が誘拐被害にあったというのだ。信じられない規模ある。セタスのガンマンは列車やバスから、あるいは山道を徒歩で行く移民のグループをまとめて誘拐する。賄賂をもらった地元警察など大規模な汚職のネットワークがこの仕事を手伝っている。ヒラの警察官らはいとも簡単に武装集団のセタスに操られてしまう。

悪い人たちはどこの世界も変わらないな、日本のことが書いてあんのかと思った。メキシコはやんちゃしすぎだけども。

BLACK LAGOON24話 バラライカ「ロック、鷲峰の娘子に伝えろ、ホテルモスクワは現刻をもって一方的に戦闘を停止する。お前が根絶を願う鷲峰組はすでにバラバラになって地下に潜った。お前が考える以上に柔軟な思考をする小娘だぞ。ブルガジビリが得た捕虜情報では組員どもはこう信じてるという『やがて姫君が自分たちをいざなってロアナプラに旗をたてる』のだと、よりによってあのロアナプラ、にだぞ・・・」

2015-02-12

呪医の末裔―東アフリカ・オデニョ一族の二十世紀 松田素二 講談社(2003/12)

目次-------------------------------------------

はしがき―ある一族の20世紀


プロローグ ミレニアムの暗い幕開け

3人の孫の死     埋葬前の諍い    アノンドの希望と絶望    カドゴの結婚生活    カドゴの死    オデニョ一族の苦悩


第1章 動乱の西ケニア―オデニョ一族のはじまり

母子の旅たち    オデニョの幼少時代    母オガと呪薬    ゲハヨ一族とのトラブル    オデニョ来住以前の南マラゴリ社会    戦士オンビサ    白人来訪と西ケニアの植民地支配    南マラゴリ制圧作戦


第2章 白い世界との出会い―呪医オデニョの葛藤

メンゲクランの立ち上げ    初めての出稼ぎ体験    植民地統治の技法    賃労働への誘導     白い都市への幻滅    第1次世界大戦と西ケニア    呪医への道    白い神への憧憬


第3章 ミッションボーイの行く末―オグゾソの夢

村の秀才少年    マラゴリとキリスト教    宣教師という出世街道    教会脱出と挫折    幻の民の再統合―晩年の夢


第4章 屋敷勤めのダブルスタンダード―ケヤの遍歴と達観

外世界への憧れ    世界恐慌の影響と人狩りブローカー    はじめての異文化経験    村の男の結婚作戦    英軍基地での出稼ぎ生活    白人のサーバントとして    ケニアのキクユ問題    サーバント文化の二重倫理


第5章 サーバントから職人世界へ―エブガの漂泊

漂泊気質    異郷のなかの故郷    サーバントという苦行    マウマウ時代    ペンキ職人になる    牧師からふたたびペンキ職人に    死に場所としての村


第6章 白い軍隊への志願―ムラゴの新たな故郷草創

出稼ぎ職業としての兵士    白いテクノロジーの魅力    第2次世界大戦とケニア    ビルマ戦線とアフリカ兵    復員と移住の決意    順風満帆からの暗転    ナンディ移住のリスク    新たな故郷への決心


第7章 独立ケニアの出稼ぎライフ―ソバとナイロビ単身男性社会

ナイロビ在住青年会長    公務員のはしくれに    独立の甘い夢破れ    単身男性文化の功罪    ナイロビの互助講    単身男性文化の崩壊と引退


第8章 構造調整時代の悲鳴―オディンガとアンビチェ兄弟の岐路

2人の兄弟    Uターン組の出現   アンビチェの夢    構造調整という名の毒薬    私化された互助講    ナイロビ居住形態の変化     闇の中のナイロビ暮らし


第9章 村のメシア―小オデニョの信仰共同体

もう1人のオデニョ    小オデニョと父マガガの不運    教祖オリパとの出会い    オデニョの異変     信仰共同体の再興と試練    セックス否定の摩擦    政治家される信仰実践    大オデニョの道


エピローグ 絶望のなかの光明―オデニョ一族の21世紀

幼子の死    持たざる者の知恵    憎悪と友愛を生き抜く    同時代の伴走者として


あとがき

文献リスト

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ソバたちは妻子を、ケロンゴ村に残して来ているのだが、ナイロビでも「ガールフレンド」をゲッドする場合が多い。たいていは、夫の暴力がイヤで子どもを連れてナイロビに逃げてきた女性や、ナイロビで子守やハウスガールとして働く姉や母を頼って出てきた女性が、「ナイロビ妻」の予備軍となった。彼女たち(の父親)に対して、「婚資」を支払うことも、その交渉をすることもないので、彼女たちが正式の、「妻」になることはない。それゆえに関係の持続性は不安定だが、彼女たちは子どもを産み、長期間の家族生活を営むことで、村の「本妻」に対抗するようになる。

巴マミの平凡な日常でみるリアル世界。わかりきった事を書くことは非常に重要である。

2015-02-03

産廃ビジネスの経営学 石渡正佳 筑摩書房(2005/10/4)

目次--------------------------------------------

序章 アウトローはなくせる

ブラックボックス     不法投棄の相場観     需給ギャップをだれが埋めているのか     中国経済が救世主になった     アウトローは必要悪でわない


第1章 軽油密造シンジケート

1 不正軽油製造と硫酸ピッチの不法投棄

硫酸ピッチの不法投棄     不正軽油製造施設

2 不正軽油の構造的背景

軽油引取税の問題点     行政の盲点     なぜ抜本的対策を避けるのか


第2章 アウトローは二重性につけこむ

1 アウトローと二重性

二重性への志向     二重性の美学     アウトロー学の3つの分野

2 アウトローの社会的役割

アウトローの警告機能     アウトローの補完機能

3 アウトローの組織

差別の組織化     永続性のパラドクス    右翼と左翼

第3章 不法投棄ゴールドラッシュ

1 発覚が相次ぐ大規模不法投棄

手口のデパート―青森・岩手県境    金融業者の乗っ取り―岐阜県    最終処分場の無許可拡張―四日市市ほか

2 法律をかいくぐる影の黒幕

自社処分場ブローカー―銚子市    偽装組合と偽装リサイクル―市原市


第4章 警察と行政の問題構造

1 警察の弱点

結果主義の裏側    封じ込めの限界

2 行政の弱点

プロセス主義という言い訳    行政にできること

3 三権分立と三つの窓口論

市民の窓口としての三権    中途半端な窓口    パートナーシップと市民運動

第5章 情報がアウトローを封じ込める

1 情報公開の効果

アウトローは情報ビジネスである    警察情報を公開せよ     ジャーナリズムとアウトロー

2 自律的コンプライアンス

コンプライアンスの欠如が起こす問題    行政指導からの自律    アウトローからの自主防衛

3 戦略的CSR

企業情報のヤミ    オモテとウラのバランスそとしてのCSR    環境戦略と環境報告書

第6章 アウトローが使う経済学

1 経済的アウトローの構造

アウトロー経済学と市場の失敗    日本経済のオモテとウラ

2 不法投棄の経済構造

不法投棄の変遷    ぼろ儲けだった横流し中間処理施設    不法投棄の市場規模


第7章 ベンチャーによるアウトローの超克

1 価格差を戦略化するアウトロー

価格差の戦略化と構造化     国際経済とアウトロー

2 必要悪論の打破

アウトローは必要悪なのか?    良貨が悪貨を駆逐する    二重価格の脱構築

第8章 環境アウトローに業界再編を仕掛ける

1 かわりゆく産廃業界

進む大企業の取組み    100億円企業に仲間入りする産廃業者    疑似社会主義リサイクルの陰謀

2 二つの新機軸

経済産業省の「廃棄物・リサイクルガバナンス」     環境省の「産業廃棄物処理業優良化推進事業」

3 産廃業界再編のスキーム

・M&Aよる業界再編

買収

乗っ取り

合併

株式公開買付

子会社

水平型共同出資

垂直型共同出資

外国人と外資


・ ネットワークによる業界再編

相互連結型ネットワーク

円環型ネットワーク

ユニット型ネットワーク

逆方向型ネットワーク

商社型ネットワーク(ハブ型ネットワーク)

ITハブ型ネットワーク

トレーサビリティネットワーク

おわりに

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 ベンチャーは2重価格に注目する点では、アウトローと同じだが、ベンチャーの参入によって、2重価格は解消に向かう。ベンチャーはアウトローはとは違って、市場の自由化を求める。規制緩和は、アウトローにとっては毒薬だが、ベンチャーにとっては強壮薬である。アウトローとベンチャーが似て非なるものであるのは、市場に与える影響が逆だからである。市場の2重価格を解消しないベンチャーは、実はベンチャーではなく、アウトローであると言わなければならない。

名著、僕のばいぶ、バイブルです。

2014-02-17

司法政策の法と経済学 福井秀夫  日本評論社(2006/12/18)

目次--------------------------------------------

第1章 「法と経済学」の黎明

1.日本の「法学」と「経済学」

2.借家の解約制限と家賃規制

3.担保執行法制の初期権利配分

4.コースの定理の示唆

5.「法と経済学会」の創設

第2章 司法改革の法と経済分析

1.はじめに

2.問題の所在

3.司法試験の問題点

4.弁護士によるサービスの質とコスト

5.裁判所と裁判官の問題点

6.法務省・法制審議会

7.民事執行の破綻

8.いわゆるロースクール構想はアメリカ型で

9.まとめ

第3章 司法制度設計の基準

1.法と経済学からみた司法改革

2.法曹人口の増大

3.日本型ロースクール構想と法曹資格

4.法解釈学の意味

5.裁判官キャリア制の見直し

6.法務省改革

7.起訴便宜主義の見直し

8.弁護士規制の改革

第4章 司法改革は国民の視点で

1.裁判員制度の長所と短所

2.被派遣者への国庫補助は短絡的

3.行政訴訟改革の方向性

第5章 新司法試験の法と経済学

1.資格試験は「質」を保証するのか

2.市場の失敗としての情報の非対称

3.法曹人口の増加

4.2006年度合格者のあり方をめぐる議論

5.今後の司法試験合格者決定のあり方

第6章 民間競売の導入―米国における不動産担保契約の概要と非司法競売

1.はじめに

2.不動産競売と関係者

3.不動産競売手続のタイプ―司法競売と非司法競売

第7章 担保執行法制改革―最低売却価額の参考価額化・選択制及び完全な物件内覧権の確保

1.日本の不動産競売の病理

2.最低売却価額見直し・物件内覧権見直しの経緯

3.最低売却価額維持論の語謬

4.立法政策

5.最低売却価額の実質廃止

第8章 司法による行政チェック―住民訴訟制度改正の問題点

1.被害同士の争い

2.負担の不均衡

3.遺族の負担

4.司法改革に逆行

5.改正法擁護論の検証

6.再改正案

第9章 法と経済学の成果としての定期借家権の導入

1.借地借家法のもたらしたもの

2.諸外国の借家制度6

3.定期借家の効果

4.日本の病理・反対論の破綻

5.導入の意義と再改正の課題

第10章 住宅土地市場における規制の効果・改革―マンション建替え要件に関する法改正を中心として

1.なぜ、規制があるのか

2.普遍的市民の利害

3.改革の課題

第11章 権利の配分・裁量の統制とコースの定理

1.市場の失敗と行政法

2.コースの定理の含意

3.行政法・行政処分による権利の設定とコースの定理

4.法政策と法解釈のあり方

第12章 行政訴訟改革の法と経済学

1.行政訴訟の原告・被告格差の是正を

2.裁判所の専門性の向上を

3.行政訴訟と民事訴訟との整合性の確保を

4.訴えの利益の整序を

5.裁量統制は立法で

6.国民訴訟の創設を

7.まとめ

第13章 行政訴訟のパラダイム転換

補論1 マンション建替え要件に関する法改正前夜―法務行政の転換

補論2 司法制度改革の一環としての行政事件訴訟改革

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 この「強い」ということですが、どういう意味で強いかというと、基本的にいくら時間がかかっても、被告は痛くも痒くもないということがあります。サラリーマンとして、あるは官僚の人事異動の一環として訴務のポジションに付くわけですから、いくら時間がかかっても平気である。これが通常の私人間の紛争ですと、時間もコストですから一定のところで収束しようということになる。例えば、和解できるものならしよう、という動機づけが働くわけですが、行政庁に限ってはそういうことはない。むしろ長く続いてくれた方が、組織として維持存続できる。訴務部局などはそういう利害があるわけです。これは法務省の事情も同じです。

戦いのすべて、孫子そのもの。