「有事」と「平時」 #edano_nero

今回の「有事」においてその対応で最も評価を上げている政治家は枝野官房長官だろう。 正直なところ菅政権における存在感はかなり希薄なものだった印象が強いが、少なくともこの数日の記者会見での対応は十分に評価できるものであったように思う。

もちろん文句をつけたい人はどんな時でも存在するがネットでの反応をみても枝野官房長官の奮戦振りは評価されていると見てもよいだろう。(半分はネタだろうが、それでも人々の反応の暖かさはわかる。)

Togetter - 「枝野官房長官、寝てください #edano_nero」

ツイッターユーザーが枝野官房長官に「枝野寝ろ」


どんな人なのかと改めて経歴(参照:Wikipedia)をみてみるとなかなかの人物である。 あの状態で説明しにくいネガティブな情報をあれだけ落ち着いて丁寧に説明できる人間はここ数年間の歴代官房長官にはいなかったと思う。 
筆者は民主党を支持していないし、説明自体も細かく見ればあやふやな部分もあり、欲を言えばきりがないが、それでもこの大災害時に「有事の人材」が官房長官に居たことは素直に喜ぶべきであろう。


それにひきかえ一部で「前説」と呼ばれている「おでこにほくろがある人」はまあ想定の範囲内の駄目さを示しているように見える。 ただ、これが鳩山-平野、或いは菅-仙石時代でなかっただけでも不幸中の幸いである。

菅政権の政治主導演出へのこだわり、混乱を増幅

会議室外まで響きわたった東電しかる菅首相の声


又今回の被災に際しては枝野官房長官以外にも日本には「有事の人」が数限りなく居ることが改めて確認できた。 
それは警察・消防・自衛隊・交通機関・インフラ会社・その他被災地の為に努力をされているあらゆる企業・団体の方々等の最前線で奮戦している人々であり、又こちら(http://prayforjapan.jp/tweet.html)のサイトで紹介されている人々、そして被災地で秩序を維持しつつ救援を待っている被災者の方々である。 そしてこれらの方々の「有事」が少しでも早く終わるように枝野官房長官を筆頭に政府の方々にも是非もう一踏ん張りして欲しい。 そして本当の「有事」が終われば次は直接的な被災者にはならなかった我々が、この「有事のヒーロー」に一刻も早く「平時」を取り戻してもらうべく最大限のサポートを行う番である。 (さらに付け加えるなら危険を顧みず救助に来てくれた米軍を初めとする海外の人々の存在に対する感謝の念も決して忘れてはならない。もし次に我々が援助できる機会があればこれまで以上に尽力し、恩返しをすべきである。)




一方で個人的に(おそらく一般的にも)ガッカリさせられた人もいた。


最たるは石原都知事である。 あまり内容を語りたくもないが、一言で言えば酷すぎる。 

石原知事「津波は天罰、我欲を洗い落とす必要」 [読売新聞]


又、ガッカリとは違うかもしれないが、蓮舫氏を節電計画等担当相、辻元氏をボランティア担当補佐官にという人事は本当に大丈夫なのだろうか? 
政府が総力を挙げて対応すべきときに表に出てくるのがこの二人というのは民主党によほど人材が居ないのかパフォーマンス重視なのか分からないが国民にとって納得感のある人事ではないだろう。 しかも蓮舫議員は事業仕分けで耐震関連費用を削ったとして非難されているし、辻元議員は阪神大震災の時に被災地で水や食料ではなくビラを配っていたような人物である。釈明の余地があったとしても現時点の人事としては問題がある。 本当に人材が居ないなら平身低頭してでも他党に頼むべきであるし、個人的には石破議員辺りが出てくれば挙国一致感も生まれ、プラスアルファも期待できるような気がするのだが、どうだろう?

地震に対する発言で蓮舫(@renho_sha)のTLが大炎上 [Togetter]

焦燥 [石破茂(いしばしげる)ブログ ]


その他では原発関連についての池田信夫教授の言動にも驚かされた。 詳細は以下のサイトにまとめられているので興味がある方はご覧になってほしいが、それなり以上の影響力がある人が非常時にこのようなスタンスで良いものだろうか? 

池田信夫の発言まとめ [今日も得るもの無し]



そして、ある意味「平常運転」だった人もまた数多く居た。


昨日のエントリーと被るが、経済学関連で言えば新自由主義系の人々の一部はこのような非常時でも「市場メカニズム」を活用した財・サービスの分配を主張し、それこそが適正な分配を達成する手段と主張している。

東京電力は直ちに電気料金を大幅値上げせよ [金融日記]


一方でリフレ派の人たちは今度こそリフレ政策で、震災からの復興と経済の再生を計るべきだと鼻息が荒い。 そして陰謀論のスパイスも忘れずにしっかりと効かせてある。

大震災を増税の口実にするのか?ー谷垣自民総裁臨時増税協議ー [Economics Lovers Live]

「震災増税」ではなく、「寄付金税額控除」、「復興国債の日銀直接引受」で本当の被災地復興支援を[高橋洋一「ニュースの深層」]


特に高橋氏のエントリーでは自民党が検討している復興の為の臨時増税について

 この危機に増税とは理解に苦しむ。この災害時に増税しか見えないのかと思うと、一国民として悲しくなる。国民の共助を求めるなら、災害寄付金を税額控除するのが正しい方向だろう。

 日本の地震リスクを強調して、この機に乗じて日本国債にアタックを仕掛けてくるという外国ヘッジファンドの噂もある。そうした冷酷なハイエナに塩を送るような増税発言だ。

と否定した上で解決策として、

 では、復興策の財源といえば、もちろん国債である。しかも、日銀直接引受がいい。というのは、今はデフレであるので、マネーが日本国内では不足している。被災地には当然潤沢の資金供給が必要になるが、それを全国レベルで対応するためにも、日銀が直接引受によってマネーを増やすのが正しい方向だ。

と述べているが、「日本国債にアタックを仕掛けてくるハイエナ」に対して、増税が駄目で国債の日銀直接引き受けがいいという理屈がわからない。 普通に考えれば逆じゃないのだろうか?


まあ何れにしろ両派とも「市場原理主義」或いは「リフレ政策」が正しいという所から逆算して話を組み立てているだけにしか見えない。 



ではより左派な人はどうかといえばこちらも「平常運転」の人が目立つ。


原発と人類は共存できない-福島原発事故で明らかに、そして唐突な「計画停電」への疑問
[すくらむ: 国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ]


東日本大震災 電機連合、条件次第でスト [SANKEI Biz]


反核団体の皆様におかれては「そら見たことか」といいたい気持ちは理解できるが、本当に予期していたのなら、何か前線の人々の役に立つような準備はできていなかったのだろうか? ここで、「実はこの事を想定してXXXを10万人分予備していました、どうぞ使って下さい!」となれば評価が急上昇したはずであるが、残念ながらそういうのはなさそうである。 


そしてこの期に及んで主張しているのが

反核団体のある幹部は「街頭照明消去など徹底した節電が先決だ。電力業界のトップや原発メーカーが原子力政策を続けようと仕組んだ」とみる。

 その根拠は、日本の電力需要を賄う原発の比率は約3割に過ぎない点だ。地震発生直後の11日こそ首都圏は停電したが、13日には日曜日とはいえ大規模停電に至らなかった。「福島第一原発が放射能漏れを起こし、反原発の国民世論が盛り上がることは確実。それを恐れて、国民に『原発がないと、生活できないぞ』と洗脳しようとしている」(同幹部)と言うのだ。

というような話である。 


まあ「有事においても平時を忘れない」とも評価できるかもしれないがいかがなものだろうか?



(追記)
又、その他の平常運転な人々としては日韓のマスコミもあげられるだろう。


フジテレビ?
フジで放送事故? 「また原発の話だろ」「笑えてきた」などの声をマイクが拾う…ネットで話題に
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1605467.html


テレ朝
テレ朝スタッフが被災地で「こういう絵が迫力がある」と発言か
http://getnews.jp/archives/104624


韓国
MBCニュースデスク、不適切な報道でひんしゅく
「特集ニュースデスク」は11日、日本の大地震のニュースを伝える中、「津波で新韓流ブームも打撃」とする内容を取り上げた。このニュースで「今回の大地震が日本国内の新韓流ブームににも大きな打撃を与えないか懸念される」 「日本での公演や出演スケジュールを調整せざるを得ず、当面新韓流ブームが冷え込むものとみられる」などと報じた。
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=138155&servcode=400§code=400