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カンタンな答 - 難しい問題には常に簡単な、しかし間違った答が存在する

2011-07-07

揚水発電は本当に原発の付属物なのか?

先日のエントリーは原発を含むエネルギー問題はそもそも人類が本当に長期的な視野で考えなければならない問題であり、発電コストが数円高いとか安いといった目先の経済合理性の観点で考えるような問題ではないという趣旨で書いたわけであるが、一方で前回取り上げた大島堅一教授による原発コストの試算はかなり広く取り上げられているようであるので、ある意味蛇足ながら、その内容について少し検証してみる。


まず、大島教授は原発の発電コストを考えるに当たっては不可分の関係にある揚水発電のコストが含まれるべきと主張されている。

揚水発電とは、夜間電力で水をくみ上げて上部調整池にためておき、需要の多い昼間に落水して発電する。原発はつねに一定の出力で発電するため、夜間は電気が余る。揚水はその有効活用策だ。つまり、揚水発電原子力のために存在する存在であり、両者は不可分の関係にある。

http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/7499f2bb819d113061fed47cced06f62/page/1/

そして揚水発電のコスト(51.87円/kWh)を加えれば、原子力の発電コストは8.64円/kWhから10.13円/kWhまで増加(+17%)すると試算されている。 (試算結果は両方とも大島教授の試算によるもので、1970-2007期間平均)。


揚力発電はイメージとしては以下のようなものである。夜間の電力で水を上部調整池にくみ上げて、需要が高い昼間にその水を使って水力発電を行う。発電時にはおおよそ水をくみ上げるのに使った電力の7割程度の電力を発電することができるとされている。

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では、実際にどの程度の電力が揚水発電に使われているのだろうか?

以下は電気事業連合会のサイトで調べた2010年度の発受電電力量実績の概要であるが、この中にある「揚水動力」が揚水発電で水をくみ上げるのに使われる電力に相当する。


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数字を見れば一目瞭然であるが揚水発電に使われている電力はかなり少ない。 もし仮にこの電力が全て原子力発電の余剰電力であったとしても、その割合は原子力による発電量の3%程度である。

つまり、余剰電力をすべて捨てたとしても原子力発電の電力コストはkwH当たりにすれば3%程度しか上がらないということであり、大島教授の試算のように「原子力に揚水のコストを加えれば真の原子力の発電コストは17%アップする」という理屈は筋が通らないということが分かるし、少なくとも現状レベルで原子力発電を行うに当たっては揚水発電が必須というわけでもないことも分かる。


ではなぜ発電コストの高い揚水発電が推進されたかと言えば、もちろん理由がある。 それは一言で言えば電力需要のピークをカバーするための蓄電装置として推進されてきたということになる。 このような説明はWikipediaでも見られるもので、取り立てて珍しくもないが、その意味するところを少し図で示してみる。


下のグラフは東京電力の2010年の電力使用実績(1時間毎)をプロットしたものであるが、1日単位の変動に加えて、季節単位の変動があることが分かる。もっとも需要が高いのは8−9月の昼間であり、この年にはピークで約6000万Kwの需要が存在した(注:2010年は猛暑だった為平均的な年よりも高め)。

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ここに、東京電力の電源別の電力供給能力を書き込んでみる。 数値は主にWikipediaから持ってきたもので2004年のデータと若干古いのと、他社からの受電分等が含まれておらず実際に供給できる限界能力はこれより高いようだがイメージは伝わると思う。

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流れ込み式水力と原子力の供給能力を稼働率等を無視して単純に足し合わせても電力需要の最低レベルを下回っている。これを見るかぎり揚水動力を単純に原子力の夜間の余剰電力でカバーしているという訳ではなさそうである。 (実際には原子力稼働率は70%程度で推移しているので、原子力による電力供給は最低需要水準を大きく下回っていることになる。)


又、電力需要の季節・時間帯毎の変動をみると5000万kwを超える需要があったのは猛暑だった2010年の場合でも、時間にすればたったの5%程度に過ぎない。その中でも本当にピーク付近だったのは更にごく短時間である。しかし東電は電力の安定供給のために5000万kwを越える部分の供給能力を予め備えておく必要があり、これが問題の根幹となっている。


下のグラフは同じく2010年の各月の揚水動力(10社合計)をプロットしたものであるが、季節的な電力需要(ピーク需要)の変動に連動しているのが分かる。8月のピーク時の揚水動力は12月の約4倍であるが、もし揚水発電が本当に原子力の余剰電力を使うために存在するなら、このような事は起こらないのではないだろうか。むしろ本当にピーク電力が必要なときには夜間に火力発電を稼動させて作った割高な電力で揚水しているからこそ、電力会社はどうしても必要なとき以外、揚水発電をフルに使わないのだという解釈の方が自然である。

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[追記] 上記では説明不足だったようなので補足。 

発電コストは発電量に無関係な固定費と発電量に比例する可変費で構成される。 よって資本費などからなる固定費は稼働率によらないため、稼働率が低い揚水発電ではkWh当たりにすると相対的に高額となる。 一方で可変費は火力発電等では燃料費となるが揚水発電では揚水動力が主となる。 よって揚水動力に使用される電力コストが非常に低ければ、揚水発電稼働率を上げることによって得られる電力のコストも非常に低いことになる。

逆に言えば夏季のピーク需要時の揚水動力が原子力の余剰電力によるもので、冬季はその余剰電力を捨てていると言うようなおかしな事をやる動機は電力会社には全く無く、揚水動力の多い時期には夜間に主に原子力以外の発電の稼働率をあげる事によって、揚水発電に電力をためて、昼間のピーク時に、揚水発電から電力を引き出していることになる。


電力需要のピークをカバーする電力源が揚水発電である必然性はないが、発電開始や最大出力までの必要時間の短さ、出力調整の容易さなどから揚水発電がこの用途に適した特性を持っているのは間違いない(東電によれば運転開始から最大出力になるまで数分、出力調整にかかる時間は数秒との事)。発電コストは確かに高いが、もし同じピーク需要を火力などの他の電力源で賄ったとしても稼働率の低さを考えれば実際にかかる総コストが大きく減ることは考えづらい(実際にそういう試算もあるようである)。


原子力発電の出力調整が難しいことこそが問題の根幹であるという見方もあるようであるが、別に火力でベースロード部分を埋めたとしても、ピーク需要をカバーする供給能力が不要になるわけでも稼働率が上がるわけでもない。火力発電の中でも発電コストの低い石炭発電は原子力ほどではないとしてもやはり出力調整には時間が掛かる。(既に存在する施設を無視して考えれば、LNG火力は比較的出力調整が容易らしいので揚水発電をやめて切り替えることも可能かもしれないが、新たに建設するコストを考えれば、切り替えが簡単に進むとは思えない。未だに石油火力が存在することを見ても、このような大型インフレの切り替えには時間が掛かることは間違いない。)


日本において揚水発電原子力発電と連動するように推進されてきたのは、あえて理由をつけるとすれば原子力でベースロードの増分を賄うと同時に揚水発電でピーク時の増分を賄えば、原子力発電にも火力発電にも出力調整の負担を掛けることなく、電力需要にマッチできるからだろう。

下のグラフは1975年からの月別の電力需要の推移を示したものだが、年間を通じて必要な電力量の増加以上に、ピークの電力需要が増加していることが分かる。(1975年と2001年を比較するともっとも少ない月の需要の増加は68百万kWなのに対して、ピークの月の需要増加は110百万kWと6割近く多い)

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このようなニーズに応えるためには、ピークの需要増にあわせて原子力・火力の供給能力を増強するか、原子力・火力による供給能力増と併せて揚水発電のような蓄電能力を強化するかするしかないわけであるが、電力会社は後者を選んだと言うことになる。

[追記] その事は過去の「発電設備容量の推移」と「発電電力量の推移」を見比べても推察できる。 発電設備容量は原子力石炭火力、LNG火力、揚水と全て右肩上がりに増加してきており、一部で指摘されているように原子力の発電設備容量の増加と揚水の発電設備容量の増加は相関が高いが、石炭火力とも、LNG火力とも同様に高い相関となる。

一方で発電電力量を見ると、石油火力が発電電力量を減らしている分も補う形で原子力石炭火力、LNG火力は発電電力量を増やしているが、発電設備容量を全体の10%を超えるレベルにまで増強した揚水発電の発電電力量は0.7%に留まっている。

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(エネルギー白書2010)


理想的には発電単価が安く、出力調整が容易で、その燃料が無限にある(再生可能)か、有限であってもその価格・供給が市場に左右されにくく、事故も起こりにくい、そしてCO2排出等の環境負荷も低いという電力源があれば、ベースロードからピークロードまですべてそれで賄えば良いわけで、問題は非常に簡単になるが、少なくとも現時点ではそういう都合の良いものは存在しない。

そういった制限下で電力会社や政府は様々な見地からの検討を加えて現状のバランスが形成されてきた訳であり、そういった面を無視した議論は妥当性を欠いているといえるのではないだろうか。


(追記)似たような話で電力会社がオール電化住宅を推進しているのは原発の夜間の余剰電力を消費したい為だという意見も見かけたが、普通に考えれば昼間のピーク電力需要を抑えたいからというのが妥当ではないか。 オール電化住宅が増えることによる夜間の電力需要増には火力発電の稼働率を上げることによって対応する事になるのだろうが、稼働率を上げることによって追加的に得られる電力は火力のように燃料代が相対的に高い比率を占めているものでも割安になる為、2重にコスト的なメリットが得られるというのも電力会社がオール電化を推進する理由の一つと言えるだろう。

名無しの投資家名無しの投資家 2011/07/08 15:17 確かにそうだと思いますね。

逆に自然エネルギーは出力の制御が出来ないので、(特に増やす方に)それをカバーする化石燃料なり、原子力なりが必ず必要になります。
そのコストはしっかり反映されているんでしょうか?

今は無視できる存在なので良いですが、自然エネルギーを基幹として導入するとなると無視できないと思いますね。

abz2010abz2010 2011/07/08 15:45 自然エネルギーの場合は蓄電池が検討されたりしているみたいですが、よく見かける自然エネルギーのコストに含まれているかはよく分かりませんね。

太陽光エネルギー系なら日中の需要が多いときに発電されるので、効率がよい面もあるでしょうが、風力とかは微妙でしょうね。 発電量が小さいと送電ロスも馬鹿にならないでしょうし、


ただ、私はもしその自然エネルギーが持続可能性が高く、発電量の規模的に抜本解決になりうるものなら、かなり割高であったとしても推進してもよいのではないかとも考えています。技術が進めば価格も下がるでしょうし、いずれ化石燃料もウランも無くなるわけですから。 (まあそういう技術が現状見当たらないことが最大の問題なんですが、)

yasuyasu 2011/07/09 08:55 >余剰電力をすべて捨てたとしても原子力発電の電力コストはkwH当たりにすれば3%程度しか上がらないということであり、大島教授の試算のように「原子力に揚水のコストを加えれば真の原子力の発電コストは17%アップする」という理屈は筋が通らない

むしろ、余剰電力をすべて捨ててピーク時に対応できるまで原子力発電を増やそうとしなかったことからも、原子力が割安な発電手段ではないことが見て取れるのだと思うが。まあ、そのことは置いておくとしても、ピーク需要に応えるために設置された揚水発電に対して、実際に利用された発電量をもとにコスト云々言っている時点で論理破綻。


>下のグラフは同じく2010年の各月の揚水動力(10社合計)をプロットしたものであるが、季節的な電力需要(ピーク需要)の変動に連動しているのが分かる。8月のピーク時の揚水動力は12月の約4倍であるが、もし揚水発電が本当に原子力の余剰電力を使うために存在するなら、このような事は起こらないのではないだろうか。

何故?ピーク需要が火力や原子力が通常運転した範囲で収まるのならば、別に夜間に原子力が無駄な発電をしていたところで、揚水とする必要はない。コストが掛かる上に高いのだから。そして、ピーク需要が高まる時期には、原子力の夜間発電を捨てずに揚水に回すということ。すると、ピーク時需要と揚水発電量はきれいな相関関係をもって推移するし、原子力と揚水発電がセットだということの反論にもならない。
原子力が既にあり夜間電力が余っている状態で、ピーク時需要に対応する最も限界的な費用が安いのは揚水発電であるという話であって、原子力が無い状態で、ピーク時需要に全て火力の出力調整で調整するよりも揚水を併用する方が費用が安いということは言えていない。後者で無ければ、原子力が無くても火力と揚水が併用されることは示せておらず、原子力があるからこその揚水発電ということの反論材料にはならない。



>むしろ本当にピーク電力が必要なときには夜間に火力発電を稼動させて作った割高な電力で揚水しているからこそ、電力会社はどうしても必要なとき以外、揚水発電をフルに使わないのだという解釈の方が自然である。


意味不明。揚水以外の出力調整の可能な発電による調整の方が割安だから、揚水を使わないだけ。たとえ夜間の原子力発電が電力を無駄に捨てている状態であっても、揚水発電に追加的なコストが掛かるのであれば、設備が無駄になろうとも捨てておく方が最適となる。揚水発電がピーク時以外に用いられていないことが夜間に火力発電を稼動させて作った割高な電力で揚水していることの根拠などには決してならない。、

yasuyasu 2011/07/09 09:01 現状、ある程度以上の規模が保てて価格面も含めて現実的な蓄電手法のうち、最も効率がよい蓄電装置が揚水発電だそうです。未来のエネルギーが太陽光のようなものになるならば、揚水なのか蓄電池なのかは分かりませんがそういったものが必要となるでしょう。宇宙太陽光や洋上風力が実現すれば、そちらをメインにLNGで出力調整という形で対応可能となるでしょうが。

yasuyasu 2011/07/09 09:47 現状の揚水発電は原子力発電の付随物ではない、ということを示すには、現時点で原子力が全てなくなり、かつ、その分の発電量を賄うだけの火力発電所が作られた段階において、依然として揚水発電を使う必要性・合理性が存在する、ということを示す必要があります。

abz2010abz2010 2011/07/09 11:33 >むしろ、余剰電力をすべて捨ててピーク時に対応できるまで原子力発電を増やそうとしなかったことからも、原子力が割安な発電手段ではないことが見て取れるのだと思うが。

そこまで理解が同じで、なぜ結論が逆になるのか不思議ですが、ピーク時に対応できるまで原子力発電も そして石炭発電もLNG発電も増やそうとしなかったことからも揚水発電によってピーク時を対応するほうが、その他の発電によって対応するより割安だったってことです。

いずれにしろ揚水発電を原子力発電の付属と考える理由とは全くなりませんね、

名無しの投資家名無しの投資家 2011/07/09 15:24 原子力発電ってのは、負のボイド係数を持ち、一定出力で運転するよう
設計されているから、ピーク時に細かな運転する事には向いていないん
ですけどね。

それぐらい調べてから・・・・・・。

原子力がとりあえず必要ってのは、ドイツで原発が
廃止できない事からも明らかでしょう。

通りすがり通りすがり 2011/07/11 04:26 論理的に必要であるかないかというより
原発のためにそれを作ったのかどうかということが論点
そんなことは作った人に聞かなければわからないが,少なくとも多少の比例関係にはあるはず

yasuyasu 2011/07/11 05:09 >ピーク時に対応できるまで原子力発電も そして石炭発電もLNG発電も増やそうとしなかったことからも揚水発電によってピーク時を対応するほうが、その他の発電によって対応するより割安だったってことです。

相変わらずロジックが苦手な方ですね。まったく意味がわかりません。
もし仮に原子力が無ければ、揚水発電ではなく火力発電所の増設で対応するでしょう。原子力という、細かな出力調整が不得手で、夜間に電力を捨てている発電手段があるからこその揚水発電なわけです。だからこそ、揚水は原子力とセットで考える必要性があります。
ピーク時に対応できるまで規模を増やしたところで、夜間には稼働率を抑えればいいだけの火力発電では、「揚水発電によってピーク時を対応するほうが、その他の発電によって対応するより割安だった」のようなこと自体が起こりませんので、「石炭発電もLNG発電も増やそうとしなかった」ともなっていないはずです。
それぞれの電力の出力特性、とりわけ需要の少なくなる夜間に電力を捨て続けることになるという原子力の特性を無視して、「ピーク時に対応できるまで原子力発電も そして石炭発電もLNG発電も増やそうとしなかった」のように並列的に並べるのは愚かしい発想です。

yasuyasu 2011/07/11 05:16 >原子力発電ってのは、負のボイド係数を持ち、一定出力で運転するよう
設計されているから、ピーク時に細かな運転する事には向いていないん
ですけどね。

まさに、だからこそ昼間需要に合わせ、夜間は捨てるほどの規模で運用されているわけであり、なおかつピーク需要が一時的に大きくなった場合にも対応できるよう、夜間の捨てている電力をもとに揚水発電を併設しているという話ですよね?
なんにせよ、「ピーク時に細かな運転する事には向いていない」ことを理解していないがための、間違った発言は見受けられないのですが、こんな周知の内容を、一体どこの部分に対して指摘しているのですか?

yasuyasu 2011/07/11 05:52 原子力発電所による夜間余剰電力がある場合の揚水発電による限界的発電コスト

火力発電所の増設による発電コスト

原子力発電所の増設による発電コスト

原子力発電所による夜間余剰電力がない場合の揚水発電による発電コスト

であるならば、「ピーク時に対応できるまで原子力発電もそして石炭発電もLNG発電も増やそう」とせずに揚水発電という単価の高い発電手段をとったことも、それでいて揚水発電が原子力の付随物であるということも、原子力が割高な発電手段であるということも、すべて齟齬せずに成り立ちます。

abz2010abz2010 2011/07/11 11:00 通りすがり様

コメントありがとうございます。

>論理的に必要であるかないかというより
>原発のためにそれを作ったのかどうかということが論点
>そんなことは作った人に聞かなければわからないが,少なくとも多少の比例関係にはあるはず

仰る通りではありますが、何の「ため」に作ったかといえばピーク電力需要に対応するためであることは間違いないと思います。

一部では原子力の余剰電力を捨てるために作ったみたいな話もあるようですが、本文でも書いたとおり揚水動力は原子力発電の3%程度に過ぎませんから、それなら余剰電力を単純に捨てても見かけ上の原子力発電コストにも殆ど影響はないですし。

そしてベース部分の需要増とピーク部分の需要増の双方に対応するために原子力と揚水発電というのは一つの効率的な組み合わせと考えられることも事実で、そういう意味で比例関係はあると思います。

しかし、どのような発電であれ年間に数%しか必要とされないようなピーク電力需要に対応する為の投資は当然割高になるものであり、原子力の発電コストに揚水の発電コストを足すのは、原子力のみに(現在揚水発電が対応している)ピーク需要への対応義務を課すのと同じであり、そういったことを無視して、単純に「揚水は原子力の付属物であり、一体でないと機能しない、だからコストは合算するのが当然だ」というような議論はおかしいというのが本エントリーの趣旨です。

abz2010abz2010 2011/07/11 11:38 yasu様

いつもコメントありがとうございます。 

とりあえず、前のエントリーで頂いたコメントで

>原子力は揚水と一体となって初めて機能するのだから、この二つは合わせて評価するのが当たり前。そうでなければ、夜間の無駄になっている発電力の分だけ、原子力はさらに発電単価が割高になる。

と仰っていた所からは理解が近づいたようですね。 
本文にも書いたとおり揚水動力の規模は原子力発電の3%程度ですから、「夜間の無駄になっている発電力」を全て捨てても、「その分だけ」で割高になるのは3%以下で、発電コストとしては殆ど誤差範囲しか「さらに割高」にならない事が分かっていただけたようで何よりです。


問題の本質は本エントリーで書いたとおり、ベース需要とピーク需要をいかにカバーしていくかという所で、一部で主張されているような「余剰発電力を無理やり使うために揚水発電をやっている」みたいな話ではありません。

で次ですが、

> 揚水以外の出力調整の可能な発電による調整の方が割安だから、揚水を使わないだけ。たとえ夜間の原子力発電が電力を無駄に捨てている状態であっても、揚水発電に追加的なコストが掛かるのであれば、設備が無駄になろうとも捨てておく方が最適となる。揚水発電がピーク時以外に用いられていないことが夜間に火力発電を稼動させて作った割高な電力で揚水していることの根拠などには決してならない。

これはあくまで原子力発電の余剰電力が揚水動力であり、非ピーク時には夜間の余剰発電力の分は捨てて、ピーク時(夏季)は揚水発電を通じてそれを使っているということですよね。  

非ピーク時(冬季)であっても昼間は火力発電を運用しているわけで、捨てている電力を使って揚水発電をすることが燃料を燃やして火力発電することより追加で必要となるコストが高ければそういうのも成り立たなくもないと思いますが、現実にはどうでしょうか? 

日本の揚水発電は基本的に稼働率に関係なく一年中運用されているので、揚水動力を除いた可変費は火力の燃料費よりかなり安いと思いますが?


そして仮に原子力の余剰電力があるから火力発電所の増設による追加コストより揚水発電による追加コストのほうが安くなって、揚水発電が選ばれたという仮定が正しかったとしても、揚水の発電コストは揚水動力がコストゼロとしても40円/kWhくらいで、他の発電より遥かに割高ですから、火力発電所の増設による追加コストがそれ以上なら、やはり50円/kWh以上の揚水発電のコストを原子力だけに加算するのは理屈に合いませんね。

揚水動力のコストをゼロと考える場合には、原子力から見れば、最大3%の電力を捨てているだけですから、発電コストの割り増しはあえて言うなら+3%でよいのでは?

前田前田 2011/07/12 04:57 > 通りすがり
> そんなことは作った人に聞かなければわからないが,少なくとも多少の比例関係にはあるはず

ほい、作った人の意見
http://web.archive.org/web/20050510182331/http://www.geocities.jp/ogamaclub/shosai/genpatu.html

ITIT 2011/09/20 14:40 >つまり、余剰電力をすべて捨てたとしても原子力発電の電力コストはkwH当たりにすれば3%程度しか上がらない

ここは間違ってないですか?
揚水の割合が3%しかなくても、それ以上のコストが上がることはあります。

原発で生産した8.64円/kwhの電力を揚水発電というリサイクル施設で、51.87円/kwhの高いコストを掛けてリサイクルしていると考えると、大島教授の言いたいことがわかると思います。

abz2010abz2010 2011/09/20 17:35 コメントありがとうございます。

大島教授の言いたいこと(というか議論の前提)は分かっているつもりですが、その上で揚水発電が原発の電力を使っているとしても、それと原子力発電のコストは直接的には関係ないだろうというのが趣旨です。

確かに揚水発電は割高ですし、ご指摘のように発電というよりはリサイクルといった面が強いですが、単純に原子力発電のコストだけに注目すればわざわざ揚水発電所という施設を作ってまで8.64円/kwhの電力をリサイクルして、51.87円/kwhの割高な電力を作る必要は全くありません。そんなことをするくらいなら発電した電力を捨てた方が余程マシなはずです。

仮に揚水発電に使う電力を捨ててしまっても、それは原子力発電の作り出す電力が最大で3%捨てられるという以上のインパクトはないですから、100のコストで100の電力を作り出していたのが、100のコストで97の電力を作り出すという風に変わるだけです。

しかも文中の図にあるように、原子力+水力の発電量は需要の少ない春・秋の夜間でも全ての電力需要を賄えているわけではないですので、揚水発電をやめても実際に発電した電力を全て捨てることにもならないでしょう。

ではなぜそんな割高な揚水発電を行っているかと言えば、これもエントリーに書いたとおりピークロードをカバーするという目的を考えると、結局これがもっとも経済性の高いオプションの一つだからということだと思います。 もしこのピークロードを火力発電でカバーしようと思えば、本当に必要なのは1年間で数週間だけという電力を作るために新たな発電所をつくることになり、その単価は揚水発電所を上回る可能性が高いでしょう。

ぴっちゃんぴっちゃん 2011/09/21 00:49 >もしこのピークロードを火力発電でカバーしようと思えば、本当に必要なのは1年間で数週間だけ
>という電力を作るために新たな発電所をつくることになり、その単価は揚水発電所を上回る可能性が高いでしょう。

揚水発電の建設コストを考えたらありえない話だ。発電所建設費もランニングコストも火力発電の方が小さい。
実際、新設火力発電の容量を増やす形でピークロード対応が取られてきた。
だから、揚水を使わないでもピーク時需要に対応可能な供給力となっているのだ。
それが一番安上がりだったからだ。

ぴっちゃんぴっちゃん 2011/09/21 00:54 揚水発電に求めらているのは蓄電能力でありピークロード対応ではない。
蓄電は電力調整が現実的には不可能で無理にやろうとすると炉を傷める原子力発電に付随するものだ。
単にピークロードに対応するためとしてはコスト面でとても見合わない。

ぴっちゃんぴっちゃん 2011/09/21 01:10 もしこのピークロードを揚水発電でカバーしようと思えば、本当に必要なのは1年間で数週間だけという
電力を作るために新たな揚水発電所をつくることになってしまうのは揚水発電でも変わらないのだ。
そうでないと言うならば、原子力発電の付随蓄電池としてもともと建設されていたということだ。

abz2010abz2010 2011/09/21 11:22 >揚水発電に求めらているのは蓄電能力でありピークロード対応ではない。
>蓄電は電力調整が現実的には不可能で無理にやろうとすると炉を傷める原子力発電に付随するものだ。

大島教授をはじめとする反原発派の主張の一つですが、それが本当なのか? というのがこのエントリーの趣旨です。

電力調整については、原子力と一般水力という調整が難しい発電方式からの供給量は1年のうちでもっとも需要が少ない時期の需要量を大きく下回ってますので、揚水発電があろうがなかろうが、原発を中心に見ればそもそも電力調整する必要がありません。

また、仮に余剰となる電力があったとしても揚水発電で蓄電しなければ爆発してしまうわけでももちろんありません。 もったいないですが捨てればいいだけです。 そして、揚水動力がすべて原子力発電の電力で賄われていると無理やり想定しても、その量は原子力による総発電量の3%程度で、この分を捨てたとしても原発の経済性が大きく変わるわけでもありません。


>もしこのピークロードを揚水発電でカバーしようと思えば、本当に必要なのは1年間で数週間だけとい電力を作るために新たな揚水発電所をつくることになってしまうのは揚水発電でも変わらないのだ。

もちろんそうです。 需要の変動がある以上ピークにあわせた供給能力を持たざる得ないことは間違いなく、その部分をカバーするのはどのような発電方法をもってしても、ベースロード部より遥かに割高になります。

その上で揚水発電がピークロード対応に適している部分は、出力の調整が容易なことで、比較的出力調整が容易とされているLNG火力等より遥かに短時間で出力調整が可能です。

先ほど韓国で大規模な停電がありましたが、計算上は停電が起きたときにもかなりの発電余力があったようです。 但し、実際に発電するには5時間程余熱が必要でその準備ができておらず、ああいう事態になったとニュースで読みました。 その点揚力発電は、必要になったら発電開始から分単位で最大出力までもっていけます。これは、季節毎のピークロードだけではなく、一日のうちのピークロード、又、事前に予期できない需要増をカバーするという点では大きなメリットになります。

ちなみに

> 揚水発電の建設コストを考えたらありえない話だ。発電所建設費もランニングコストも火力発電の方が小さい。

ランニングコストについては条件をそろえれば揚水発電の方が火力発電より安いと思いますが、火力発電の方がランニングコストが小さいというソースがあるなら教えてください。

山崎山崎 2014/10/14 16:17 >もったいないですが捨てればいいだけです。

って,あなたね,その捨てる場所が要るんですよ。場所が。捨てる場所が無かったら変圧所なんかがバチバチっと壊れてしまうんだから。
その捨て場所として,揚水のポンプの動力という場を作ろうという発想なんだよ。

あ 2015/08/27 15:11 また 「負のボイド係数を持ち、一定出力」 だからとか、もう意味分らんやつがでてきてびっくりだわ。なんのための制御棒なんだよ。

出力調整が原子力発電所はできないみたく言うのはあくまで、物理的に出力が変動できなわけではないじゃん。そりゃ、5分〜10分で 停止状態からのフル出力みたいな、揚水みたいな変動調整はさすがに無理だけど火力と同等の出力調整はできるだろ。
炉を傷めるとかいう人もいるけど、そんなの後付のような話で、だったら、たとえば配管強化しとくとか、制御棒を増やしとくとか、優先順位があるわけで。そんだけの話でしょ。
チェルノブイリの事故の原因は出力変動が問題って単純な考えの人がゴネて、
一定出力で運転しないといけないように、法令上でしたっけ(自治体との協定上の話だっけ?)で事実上でできないだけじゃん。

揚水式発電所の建設のほうが、不勉強の人へ説明するよりも安上がり・経済的ってな現実を理解しろよな。これが、原発全体のコストアップにつながってるんだよ。

ななしななし 2016/05/26 22:31 この教授頭おかしいだろ
揚水発電に限っては稼働率は小さいほうが良い
需要が完全に予測できるなら稼働率は0%になる

揚水発電のコスト(51.87円/kWh)とか出す時点で頭がおかしい

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