ダークエルフの口づけ 3-4 川人忠明

ダークエルフの口づけ、読了しました。

あまり根拠のある話ではなく印象論ですが、本書はTRPG者よりもラノベ者に評価が高い小説です。ぜひTRPG者に手にとってほしいと思います。
僕の印象というのはブログが情報源ですから、TRPG者に比べてラノベ読みのほうがブログに書評を書く人が多いという偏りもあるでしょう。ただ、僕は少なくともTRPG仲間でこのダークエルフの口づけが話題になっているのを聞いたことはありません。やはりTRPG者の中での評価が低いのではないかと考えてしまいます。
TRPG者は自分がセッションしていれば、こういった本を読まなくても楽しいという考えも分からなくはないのですが。

さて感想ですが爽やかな読後感が印象的でした。
本作は、ファンドリアというアレクラストの中で最も陰謀が渦巻く場所を舞台に、血で血を洗う酸鼻な権力闘争が描かれています。権力者の手から手と踊るベラ様の冷酷さの中にある感情がすがすがしく良い読後感につながっています。

TRPGのルールがもとにあることの利点は先日の日記で紹介しましたが*1、ある意味その知識がないと魔法の効果などが分かりにくく、TRPGシステムのほうを知らないと説明不足になってしまう可能性もあるかなぁと思いました。やはりシステムの詳細を知っている人が読んだほうが面白く読めると思います。

4月からはソードワールドのシステムが刷新され、ソードワールド2.0が始まります。それに伴いリプレイなどのシリーズは一旦終わりましたが、小説などはまた別なようです。このベラ様の話にはまだ続く構想があるそうです。続編が発表される日が来るとよいのですが…。念のため言っておきますが、本作はきちんと完結しており、続編がなかったとしても十分に楽しめるものであることを注意しておきます。