ハヤテはTRPG? 日常を切り出す群像劇

ハヤテのファンサイト間で、ハヤテがTRPG的な手法で書かれているのか否かなどが議題にあがっているようです。

あいつはクラスメート!なんていかが

まぁこういった機会はアニメファンの方にTRPGを知ってもらういい機会ですね。まず宣伝から済ませてしまいましょう。ハヤテのごとくっぽいTRPGをやろうと思ったら、”あいつはクラスメート!”が最適なのではないでしょうか。創作や絵に興味がある人など、ぜひ仲間を集めてやって欲しいですね。

TRPGと物語

さて僕の意見ではTRPG的な手法で物語を書くというのはけっこう一般的な手法で、古いところでは大塚英志が宣伝していますし、そんなに特筆すべきことでもないだろうと思います。まぁやったことある人なら分かってもらえるでしょう。文章を書く技術そのものがあがるわけではありませんが、プロットを書く技術や登場人物の心情を考え、その登場人物らしく行動させる技術はそら上がると思います。

TRPGは物語を発生させる装置ですから、TRPG者は物語についても、その構造を深く考えている方が多いかと、このあたりのリンクがもしかしたら参考になるかもしれません。

とはいえ、ハヤテがTRPG的であるというご意見は、TRPGに関してそこまで詳しくない方がおっしゃっていることなので、僕が考えているTRPGとイメージの差があるのかもしれません。

群像劇における視点の問題か

こちらのエントリーを見ますと、群像劇、つまり「それぞれの物語」を持った複数の登場人物によって進行していく創作物(はてなダイアリーから)における視点を問題にしているのかなぁと思いました。

TRPGというより群像劇だと言いたいのではないでしょうか。

出来事の時系列の整理の仕方

「物語というのは、出来事と出来事を因果関係をもって結びつけたものである」
【ハヤテのごとく!】2D6とレーティング表でフラグやルートが決まるとかどうだろ……【先週末のハヤテブログ界隈についてつらつらと書いてみる】 : 真・踊り子の雑記より引用

これは物語論的に正しい認識ですよね。ちょっと例を出しましょう。1→2→3→…と場面が進むと考えてください。

1. 春君は夏ちゃん(女子中学生)が気になっている
2. バレンタインデーの日が近くなってくるにつれ春君はドキドキ 
3. バレンタインデーの日、秋君と帰る夏ちゃんを目撃!
4. 傷心で帰る春君
5. ところが春君のうちに夏ちゃんが尋ねてきてチョコをプレゼント
6. 夏ちゃんいわく秋君の家はケーキ屋さんであるとのこと

ここでのポイントは3で秋君が夏ちゃんと帰る理由が3の段階では隠されていて、6で明らかにされるという点です。これの順番を変えると読者にとっては全然違う物語になってしまうことが分かるでしょうか。

1. 春君は夏ちゃん(女子中学生)が気になっている
2. バレンタインデーの日が近くなってくるにつれ春君はドキドキ 
3.夏ちゃんは春君に渡すチョコのことを秋君に相談
4. バレンタインデーの日、秋君と帰る夏ちゃんを目撃!
5. 傷心で帰る春君
6. 春君のうちに夏ちゃんが尋ねてきてチョコをプレゼント

これだと、4のイベントは春君の誤解だと読者には分かり、読者的には「この二人これがきっかけでもつれないといいなぁ」みたいな感想を抱くでしょう。

いろいろ起こる出来事をどのような順で語るのかというのは、通常作者の意図が強く現れるところだと思います。ここを単に時系列にしているのならば、ハヤテはちょっと新しいのかもしれませんね。そこに作為を出さないことによってリアリティがでるのを狙っているとか…。ちょっと深読みしすぎでしょうか。

最近らき☆すたも話題になりましたよね。日常のシーンを作為抜きに切り取るみたいな手法はもしかしたら少々新しいのかもしれません。らきすたとTRPGの関係は非常に有名なところですから、TRPG者としてはこういったことを考えてみるのは面白いですね(http://d.hatena.ne.jp/koutyalemon/20080315/p1)。