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2010-09-11

[]TRPGオートマトンの状態遷移と考えたときのパラメーター空間

ますます、”だから何?”といった記事を続けちゃいます。

ほとんどのゲームはオートマトンの状態遷移図で書けるのではあるまいか。○×ゲームや将棋オセロなんかは当然のことだし、スーパーマリオだったマリオと敵の位置情報などをパラメーターにすればよい。

ではTRPGはどうかというとキャクターシートに書いてある情報はもとより、キャラクターの位置や人間関係、感情、生きる目的なども含んだ膨大なパラメーター空間の遷移図となる。

オセロ将棋などは盤面をみれば次の一手を考えるのに十分な情報が提供されるがTRPGでは情報が多すぎて盤面を全て見渡すことができない。これがフレーム問題を生じさせてしまう。

しかし、実際の問題としてはTRPGのゲーム内で解決すべき問題というのはある程度方向性があり、フレーム問題を回避または緩和するフレームのセットを提供することは可能なんじゃなかろうか。

Vampire.SVampire.S 2010/09/11 18:20 有限状態オートマトン(FA)だと、ゲームの大きさをパラメータ化する限り、どのゲームも事実上記述できません。FAが受理できるの、正則言語だけなので(普通の形式的ゲームはゲームの大きさをパラメータ化する限り、可算又は帰納的可算な言語ですな。特に、計算量的には(特別な形に制限した)囲碁がEXPTIME完全、詰め将棋がPSPACE完全。一般に、2人ゲームはNP完全よりも上のクラスに属し、NP完全以下に落ちるのは1人ゲーム(パズル。テトリスとか)であることが経験的に分かっています)。

なお、無論ゲームの大きさを有限に制限したゲームはFAで表記できますが、これはゲーム中に発生する全ての記号的組合せ(ゲームの様相、configuration)同士全てを合法な手による遷移によって結んだだけですので、この論法を用いる限り別に宇宙の全ての行為は形式的であればFAで記述されることになります(形式的、だけが必要十分条件)。

Vampire.SVampire.S 2010/09/11 18:27 で、結論としては、RPGは残念ながら上記意味での状態遷移を満たせないと思われます。

なぜかと言いますと、あるゲームの推移を全て追跡して状態遷移を構成した場合、次にその状態遷移を当該ゲームのテーブルに対して公開することで、別のゲームを生成することができるためです。特に、テーブルに対して状態遷移を公開した場合、テーブルの目標は「当該状態遷移を、どのように制御することでより「面白い」プレイになるのか?」に興味が移る可能性が高く、ゲームシナリオが安定しなくなります。具体例としては、劇場版うる星やつら2 ビューティフルドリーマーを元ネタとし、かつその際の『夢内部での法則』自体をPCが制御できるような構造を提示した場合を考えていただければ。

このように、セッション中において、テーブルにより動的にシナリオ、さらにはその上位のメカニズムを生成できるようなセッションを、TRPGは許容していることが多いため、こういった有限の立場からの取扱は困難なのですねぇ。

Vampire.SVampire.S 2010/09/11 18:30 ちなみに、マイナーなTRPGであれば上記のようなメタゲーム連鎖が発生するゲームは存在します。It's came from late,late,late show とか、あるいはヒーローウォーズとかがそうですね。

というわけで、こいつらを含ませる限りにおいて、TRPGはほぼ解析不能であろう、というのが個人的感想です。

あと、そもそも形式的遷移に入らないゲームとして、『ぴよぷるん物語』があるので、これもまあ分析できないだろうなあ。

acceleratoraccelerator 2010/09/11 23:54 こうした場末の記事になぜ目に止まったのかわかりませんがコメントありがとうございました。
なるほど思ったより状況は複雑なようで、それを認識できたのはありがたいです。

僕はもう少しシンプルな状況を考えていまして、”人工知能はTRPGでプレイヤーをできるのか?”という問題を考えています。将棋でさえ状態数は10^80個あるそうでそういったものを解析するのは不可能だと思いますが、将棋ソフトがプロに挑むこと自体はできる時代となりました。
今の技術を駆使すれば例えばなんかしら単純な命令”Aを倒す”という目的を与えたときに、それを適切に分解し(情報収集する、戦力を増強するなど)、状況にあった行動宣言をさせることはできるのではないでしょうか。

しかし、TRPGの場合にその場で適応すべきルールのセットまで変更可能にしておもしろいことを求めるとわけのわからんことになりそうなのは確かですね。

まずはパラメーターのセットや状況を限って考えていき、その後、とてつもなく難しそうなルールの問題とかメタな問題を考えたら良いんじゃないかと考えます。

acceleratoraccelerator 2010/09/12 11:46 そうか。僕の言う”パラメーターのセットや状況を限って”というのはVampire S.さんの言うところの問題の大きさをパラメーター化しないということに対応しているのか。

1. 問題の大きさを制限する
2. 直接的なルールの生成はしない(これが具体的にどういうことなのかは考慮の余地あり)
3. メタな構造になる行動宣言はできない
という条件下のみでこういった解析が有効になるということで、だいたい意見は一致しているのですね。なるほど。なるほど。

Vampire.SVampire.S 2010/09/15 01:31 ええっと、本題ではないので簡潔に。

「ゲームの大きさをパラメータ化する」とは、

 ・例えば通常の意味でのマルバツゲームが3×3の格子状で定義されるところ、計算量等を考えるために敢えてN×Nの格子状におけるマルバツゲームに対して問題(又は、言語)の受理・非受理を考える

というように、問題又は言語の個別の要素の大きさを一般化する

といった、オートマトン/言語理論や計算量理論の初歩的な手法をゲームに対して適用することを指しています。無論、初歩的と言ってもこれ自体は専門的な議論ですから、詳しくは適当な入門書をごらんください。なお、余談ですが仮にオートマトンによる受理・非受理を問う問題又は言語の要素の大きさを有限に限る場合、これは非一様オートマトン/non-uniform automataという別の種類の計算模型を用いた議論となり、標準から外れます。

Vampire.SVampire.S 2010/09/15 01:31 さて、オートマトンとか専門用語はどうでもよいとして、せっかく

>”人工知能はTRPGでプレイヤーをできるのか?”という問題を考えています。

というお言葉でacceleratorさんの問題意識を把握することができたので、以下で当該疑問について以前個人的に検討してみた結果について、雑漠に記述してみます。

まず、大前提として、

 ・現在、人類は真の意味での人工知能を実現できていない。
 ・特に、与えられた自然言語の意味を後から解釈できるような人工知能は実現していない。

という事実を紹介しておきます。なお、これは事実ですので疑うだけ無駄です。

したがって、仮に

>まずはパラメーターのセットや状況を限って考えていき、

というacceleratorさんの方針を元に、

 1 ある制限されたTRPGプレイングモデルAがあり、かつ、
 2 Aをプレイするためには、TRPGセッションの場で動的に与えられる自然言語の意味を解釈しなければならない

という2条件が満たされた場合、自動的に、

 ・A をプレイできるような人工知能は、(少なくともVampire.S程度の脳みそでは)実現不能である

という結論を導くことができます。

このような状況下においてacceleratorさんの問題意識

 ・”人工知能はTRPGでプレイヤーをできるのか?”

を言い換えるならば、

 ・既存技術で実現可能な人工知能がプレイできるような、制限されたTRPGはどこまで制限的なのだろうか?

となります。

Vampire.SVampire.S 2010/09/15 01:32 さて、検討するにあたって、まず検討の対象とするTRPGメカニズムを、具体的な一つに固定しましょう。ズバリ、ここでは

 ・『メックウォリアーRPG』

を考えることとします。



『メックウォリアーRPG』をもの凄く簡単に表すなら、これはつまるところ

 A. 生身の人間であるPC達が活躍する普通のTRPGパート、いわゆる“アドベンチャー・パート”は、『ソードワールドRPG』そっくり

 B PC達がバトルメックに搭乗して戦闘するシーン、いわゆる“メック戦闘パート”は、つまるところ只のシミュレーションゲームである『バトルテック』そのもの

というゲームです。

以上から、『メックウォリアーRPG』の典型的シナリオとして、

 ・何かの事件が起こる。
 ・PC達は、アドベンチャー・パートで事件に遭遇し、その事件の解決を志す。
 ・アドベンチャー・パートの処理の結果、最終的に、メック戦闘によって事態の最終的解決が図られる。
 ・このとき、メック戦闘パートに搭乗する彼我の戦力等ボードのセッティングは、アドベンチャー・パートの結果に左右される。

というものとなります。

そこで、さらに「人工知能向けシナリオに対する制限」として、上記のような「典型的なシナリオに限る」と限定してみます。

さらに、acceleratorさんが

>今の技術を駆使すれば例えばなんかしら単純な命令”Aを倒す”という目的を与えたときに、それを適切に分解し(情報収集する、戦力を増強するなど)、状況にあった行動宣言をさせることはできるのではないでしょうか。

と想定されたことを尊重し、

 ・人工知能プレイヤーは、メック戦闘パートにおいて半自動的にメックを動かすことを任務とする

とします。

上記制限から、自明に、

 ・人工知能プレイヤーが対処すべきルール及びデータは、全て完全に形式的である

ことが導けます(本質的に、ここで人工知能プレイヤーはTRPGをプレイしていません。単に、形式的なシミュレーションゲームである『バトルテック』をプレイしているに過ぎないわけです)。

さあ、それでは、この人工知能プレイヤーが「できること」「できないこと」は、一体なんでしょうか?

Vampire.SVampire.S 2010/09/15 01:33 で、答えを書いておきますと、

 A もし仮に、アドベンチャーパートの結果が、以下のようなもの「しか許されない」なら、この人工知能プレイヤーは普通にゲームができます:
  - アドベンチャー・パートの結果、
   (1) 彼我のメック機数
   (2) ボードの地形
   (3) イニシアティヴ修正等の、『バトルテック』ゲーム中に元来存在しているパラメータの修正
  といった要素が修正される場合。

 B しかし、以下のようなアドベンチャー・パートは、ゲームできません:
  - アドベンチャー・パートの結果、
   元々のシナリオでは、(1')「敵対メックの全滅」を目指すべきであったにも関わらず、アドベンチャー・パートの結果として(2')「特定の味方メック1機が逃走する」に勝利条件が移る場合。

なぜなら、後者は、勝利条件として「特定の味方メック1機が逃走」という条件について、「TRPGセッションの場で動的に与えられる自然言語の意味の解釈」が発生しているからです。

実は、上記の思考実験と同じ論理を用いて、一般性を失うことなく、以下の言明が真になります:

 ・人工知能プレイヤーは、予めプログラムの対象とされた形式的ゲーム(例えば、『バトルテック』)のゲーム内パラメータで表現できる、即ち、予め与えられたゲームのルールを用いていわば「プログラムすることのできる」条件以外が、セッション中で動的に発生した場合、対応できない

結果として、次の命題が真になります:

 ・TRPGの形式的部分(『戦闘』ルール等)を人工知能化できるようなシナリオは、非形式的部分もまた、(その途中経路が如何に“文学的”多様性も誇っていたとしても、)必ず、有限の形式的結果以外を導くことができない。

つまるところ、

 ・人工知能を含むTRPGシナリオの非形式的部分は、いわゆる

  - ビジュアル・ノベル(有限個の分岐をプレイヤーが恣意的に選択できるが、分岐の選択結果から導かれる物語は極めて有限性が高く、かつ予め用意された物語が読み上げられるモノであるのに過ぎない)に等しい

となります。

Vampire.SVampire.S 2010/09/15 01:33 以上、論理的な帰結を導いただけですが、さてacceleratorさんの事前予想はいかがでしたか?

私個人の感想としては、以下のとおりとなります:

 仮にTRPGのシナリオに対して「直接的なルールの生成はしない」という制限を課すなら、つまるところ、そのシナリオの実行はTRPGではない。

――なぜなら、それはコンピュータによって完全に実行可能な手続きに過ぎないからである。

Vampire.SVampire.S 2010/09/15 02:13 それと、蛇足ながら。

今見たように、
 ・人工知能と形式的ゲームルールからなるような、純粋に形式的体系と
 ・言語に限らず、自然な存在とが
 ・相互に作用するとき、
  A 形式的体系は、設計時点で想定された他の自然現象に遭遇するために実行不能となってしまう 又は
  B 自然現象の方が形式的体系の方を尊重して、敢えて形式的体系でプログラムできる部分しか実行しなくなってしまう(したがって、系全体が人工的な形式的体系に終始する)
 ・の、いずれか二つの結果しか導けず、結局、両者をうまく融合することができない

という問題は、人工知能の分野では本当によく知られた問題です。

これを、総称して「フレーム問題」と呼びます。

acceleratoraccelerator 2010/09/15 02:54 議論に付き合っていただきありがとうございます。
僕の考えていることを先回りするようなご意見でいつも参考になります。

本論ではない部分に関して、補足ありがとうございます。
僕もご指摘を聞いたとき、オートマトンという語の選択があまり良くなかったと反省しております。
オートマトンについては10年ほど前、学生のころにサイエンス社の教科書を途中まで(正規表現と一対一対応するところまで)読んだ程度の知識ですので、オートマトンをどう使うのかがあまり分かっていませんでした。オートマトンという言葉を出さず状態空間法や状態空間の探索という言葉を使えば最初からもう少しクリアな議論になったと思います。

今回のお話については新田克己著『知識と推論』、及び荒屋真二著『人工知能概論』を読みながら徒然と考えているものです。こちらのレベルを明らかにしたほうが議論がしやすいと思いましたのでお書きしました。

acceleratoraccelerator 2010/09/15 03:48 さて、本論ですが、僕もまさに人工知能が扱えるように制限したTRPGはTRPGとしての何らかの本質を失っていないだろうか、と考えているところでした。

僕も人工知能が自然言語の意味を”理解”するのは不可能という立場に立つことにしますが、構文解析まではできると想定しても良いのではないでしょうか。構文解析のしやすい英語を仮定するとして、SVOの分解まではできますよね。そのSVOをデータベースに登録してルールとマッチングさせることにより多少は柔軟な処理が可能になってくると思います。

例えばメックウォーリアのアドベンチャーパートで味方の裏切があり、敵が変わるような場合に、
○自分に敵対的な行動をとるものは敵となるというルール
○敵対的な行動(動詞など)のリスト
があれば、ゲーム内で動的に敵が変わることには対応できます。とはいえボケとツッコミ的な意味で頭をはたかれるのと、意識を失うほどの強さで鈍器で殴られることの区別をするためには、かなり細かい基準がいるのでしょうね。。。判定が難しい場合には一緒に使う副詞にも着目する必要があるかもしれません。

こうしたルールとデータベースは一見作るのが不可能なようにも思えますが、学習の仕方さえきちんとしてれば山ほど本を読ませればもしかしたらできるんじゃないかと思います。まぁ難しそうなことは分かりますが。

acceleratoraccelerator 2010/09/15 04:04 Vampire S.さんの言う人工知能は元から持っているルールにはない想定外のことが起こった場合にはやはり処理できないというのも賛成ですが、僕はルールとデータベースが緻密ならば人間がみても不自然ではない行動をとれる可能性があるという立場です。そしてそのルールやデータベースを具体的に考えてみることは、もしかしたら人工知能ではなく人間の知的活動の詳細を知ることにもつながり、TRPG内での行動の規範を知る手がかりにもなるのではないかと思います。

Vampire.SVampire.S 2010/09/15 04:06 >ゲーム内で動的に敵が変わることには対応できます。

うーんと。問題になってるのは、人工知能が「自然言語の解析能力を持たない」ということより、「自然言語で表現された“状況”に合わせて、自分自身をプログラムし直すような能力がない」ことなんです。

例えば、「特定のメックが逃走すればPC側勝利。その他の損害は全く考慮しない。一方、人工知能側はそれを阻止しなければならない」という場合のルーチンは、事前にそういうルーチン(なり、学習結果なり)を作成してないとダメなんですよね(あるいは、GMが一生懸命上記の状況を、人工知能側の勝利条件ポイントなりで表現する=プログラミングしてやる必要がある)。

アドベンチャー・パートの結果として単に敵キャラが変化するってだけではなくて、そういった「勝利条件」の変化がありうるようなアドベンチャー・パートって、非常に普通にあるわけです。

例えば、旧『ソードワールドリプレイ第3部』最初のセッションは、

 ・GMの清松氏は、最後にボス魔術師との戦闘を予定していた
 ・ところが、PL達は、ボス魔術師と戦闘する合理的理由が無いことを、プレイ中に証明してしまった。

という展開をたどるんですが、これの亜型を考えてみれば、

 ・最初の設定では敵の全滅が勝利条件
 ・アドベンチャー・パートの結果、勝利条件が変更になった

なんてなケースは容易に想定できるわけです。

で、現在の技術では、結局
 ・予め人工知能側のルーチンに、
  - 敵全滅が勝利
  - 特定の敵一体を倒せば勝利
  - 特定の味方一体を守りきれば勝利
  - 特定の味方が、所定の移動を規定ターン数以内に実施できれば勝利……

といった、「シミュレーションゲームにありがちな勝利条件(なお、上記勝利条件はいずれも『バトルテック』シナリオ集に見られるものです)に対する、個別の思考ルーチン」を実装していないといけない。

そして、結局の所そうやって予め実装されている思考ルーチンの数は有限なので、

 ・そうした人工知能が対応可能な思考ルーチンの枠内に、どうにかしてアドベンチャー・パートの結果を「落とし込まなければならない」→アドベンチャー・パートが、極めて狭い有限の組合せの結果以外を生成できなくなる→ビジュアルノベルとほぼ区別がつかなくなる

というパターンをたどってしまうわけです。

Vampire.SVampire.S 2010/09/15 04:10 結局、本質は

 ・現在の人工知能は、「予め定義した状況」しか処理できない
 ・人間は、「後から新しい状況に対して“意味”を付与」できる
 ・したがって、ある部分を人工知能で処理することを前提にシナリオを組むと、人工知能が関与していないはずのところでも、人間が「予め定義した状況」を用いて人工知能側に処理を手渡してやらなければならない
 → 本質的に、人間の処理の部分がどんどん形式的手続きに置き換え可能なものになってしまう

ということになります。

ところで、「現在の人工知能は〜〜できない」というのは、つまり「もしかしたら、大規模なデータベースだの大規模なルーチン開発で無視できるほど知能的なプログラムの開発ができるの「かもしれない」」という可能性は否定していません。

単に、私が「しかし、そういう人工知能を仮定して考察することには現実性がない」つまり、「無価値な議論に過ぎない」と主張しているだけです。

Vampire.SVampire.S 2010/09/15 04:22 >僕はルールとデータベースが緻密ならば人間がみても不自然ではない行動をとれる可能性がある

微妙。

仰っていることは、要は「現在の人工知能は、チューリングテストに合格するか?」というものです。で、これの答えは多義になります。

基本的に、「話し相手の話を聞き流しながら、適当に聞いているフリをしつつ、職業的なロールプレイをする」というくだらない人口無能でも、チューリングテストにはかなり通ります(これがelisa/Doctor型人口無能。この例の場合、「対話相手を精神病患者だと思って適当に聞き流しているダメな精神科医」をロールプレイするソフトです)。

一方、例えば

 ・メック戦闘に勝利しなくてはならない
 ・しかし、熱血スポ根キャラクターであるロールプレイもしなければならない

みたいに、知性的付帯条件が複数くっつくと、トタンにこの手の人口無能は破綻するんですよね。

同様に、チューリングテストの試験官に慣れた情報科学徒が試験官となると、これをパスする人工知能は皆無になります(逆に、こういう試験官相手に「人工知能のフリをした人間が対話する」という逆チューリングテストがあり得て、これはしばしば笑える結果となりますが。)。この際、試験官はある種のメタレベル的認識を問うような質問を相手に対して出してやることで、人工知能を打ち破ることになります。

以上の前提をTRPGに適用すると、たぶんに

 ・元々からして形式的なアドベンチャー・パート(ダンジョンシナリオとか)に、形式的ルール解決(戦闘とか)がくっついたようなシナリオなら、人工知能(というか、たぶん、ビジュアルノベルにおける台詞)がくっついていても通る

と思いますが、これってまさしくCardWirthというコンピュータゲームのシナリオそのものになるんですよね。

なので、僕の主張はそれでもあんまり変わらないかなあ。なお、僕個人はCardWirthがすごい好きなので、別にそういうシナリオが「つまらない」と主張することはしません。単に、TRPGとしてみると不満足だな、と思うだけで。

acceleratoraccelerator 2010/09/15 04:40 さて、それでそういった状況に制限したTRPGはもはやTRPGとは呼べないものか、それともそれはTRPGであるのか。僕はそれもTRPGとしたいのですが、これは定義の問題ですから人それぞれだと思います。

関連してVampire.Sさんがもしもう一度このコメント欄を見てお時間があればお答えいただきたいのですが、以下の条件はRuneWarsにおいても必須でしょうか。
> 2 Aをプレイするためには、TRPGセッションの場で動的に与えられる自然言語の意味を解釈しなければならない

プレイヤー向けチュートリアルから引用しますが以下の操作はランダムに行うことすら可能ではないでしょうか。
プレイヤーが付け加える物語を作る時は、まず以下のようにして作られる短い文を幾つか用意します:

•(プレイヤーが担当している)キャラクターを主部とし、
•既に物語りに登場している人物・存在・事物から何か一つを選んで目的部とし、
•キャラクターシートから、好きなアトリビュートを一つ選び、それを述部として
文をつくります。

その文章の意味が通るか通らないかは、作っている人が意味を込めているか込めてないかとは無関係であり、もしむちゃくちゃな文章ができたとしても意味をひねれば解釈可能になりませんか。

人工無能たちがこのルールで作ったチャットはTRPGなのかTRPGではないのか、Vampire.Sさんのご意見をお聞きしたいところです。

acceleratoraccelerator 2010/09/15 04:48 僕の最後のコメントは僕の前のコメントにつながるものでそのあとのVampire.Sさんのコメントを踏まえたものではありません。僕らは深夜に何をやっているんでしょうねw困ったものです。

Vampire.SVampire.S 2010/09/15 21:41 >僕らは深夜に何をやっているんでしょうねw

まったくです。というか、もはや深夜ではなく早朝であり、大変申し訳ありませんでした。

で、最後にRuneWarsですが、

>その文章の意味が通るか通らないかは、作っている人が意味を込めているか込めてないかとは無関係であり、もしむちゃくちゃな文章ができたとしても意味をひねれば解釈可能になりませんか。

ばれましたか。ご指摘の手続きに着眼されたのは本当に凄いと思います。

ただ、結局人間力が必要なポイントがあって、そこが乗り越えられなくなります。ご指摘の手続きは、本質的にクーポンをランダムに生成する試みなんですが、結果として

 ・与えられたクーポン列からナレーションを作る部分
 ・さらに、所与のナレーションからクーポンを抽出する部分

の二カ所で、人間の介入を必要としてしまうのですね。

実は、ご指摘の通りR=Wのメカニズムは、この二カ所以外は全て機械的に実施可能です。というか、そういう風に、「可能な限り機械的な手続きだけで完遂させた上場合、最小限必要な人間力とは何か?」を考察した結果設計した代物です。

acceleratoraccelerator 2010/09/16 07:38 <もはや深夜ではなく早朝であり、大変申し訳ありませんでした。
まさに。こちらも熱くなりましてつい寝ずにコメントを返してしまいす
みません。

最後の話はプレイヤーが人工知能という状況だからこそ生じるのかもしれませんね。
普通、TRPGに人工知能を参加させるというのは、GM不足の解消のためGMを想定するのかもしれませんが、今回はPLがどういう思考を経て行動宣言するのかを解析するために、人工知能をPLとして用いる場合の話になっています。

GMが人工知能だとTRPGらしさがなくなっていくけど、PLが人工知能なのはGMのフォローの仕方によってはありかもしれないのかなぁと思いました。あんまりロジカルな結論ではありませんが。

GMが人間、PLが人工知能のセッティングというのは、大人がGMで幼児にPLさせる場合にも似ていると思います。特撮の戦隊物ぐらいの話の筋(最近のは小難しいらしいですがw)しか理解できないPLにメックウォーリアで仲間を逃がすために盾になる戦略やら、情報を聞き出すために、敵を動けなくすることを主眼とするセッションは難しく、セッションが失敗に終わる可能性が高いですね。ただし、その場合セッションは失敗していますが、TRPGとしては成立しているかなぁと思います。

逆に、プレイヤーがその場の状況にあった高度な戦略をとっているのにGMがそれを理解しないという状況はTRPGらしさがだいぶなくなっているのでしょう。PLが敵を生かして捉えたくて足だけ破壊したのに、敵のその他の装甲を削りきらないと戦闘パートが終了しないとかなりますと、融通の聞かないCRPGっぽくなりますね。

acceleratoraccelerator 2010/09/16 08:12 こちらのサイトに人工知能の抱える様々な問題がよくまとまっていまして、勉強になりました。
http://www.ycf.nanet.co.jp/~skato/muno/index.shtml

我々の議論している”TRPGらしさ”と”人工知能が今のところできないこと”には大きな関連性があるのだなぁと今さらながら認識した次第です。

-TRPGの大きな特徴はその場の状況に合わせた柔軟な問題解決である。
-ある程度成長した人間は発想や類推を駆使した問題解決ができる。
-発想推論や類推をするための前提として問題を理解する必要があり、自然言語の意味の解釈ができない場合にはスタート地点に立てない。今のところ意味ネットワークや事例データベースを使ったアプローチがあるが、まだ実用的なものにはなってない。

こんな感じのまとめでしょうかね。

人工知能がキャラクターを演じる難しさなども興味深い話題ですが、TRPGの行動宣言の思考過程を見直すという意味では人工知能のとるアプローチを勉強するよりも認知心理学的なアプローチの勉強も必要かと思えてきましたので、一旦そっちの勉強をしてみようかなぁと思います。

長々とコメント、議論ありがとうございました。

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