TOEIC対策コラム by ACE外語

2005-09-02 新TOEIC®について

TOEIC(R)の形式変更が発表された。

公開テストで2006年の5月から、IP団体受験は2007年から実施となる。

変更点など細かいことについては、公式ホームページを見ればわかるので

ここでは詳しく触れない。

本コラムでは新形式のサンプル問題を実際にやってみた感想を述べてみたい。

(1)題材は変わらない

これまで同様ビジネス現場を中心にした場面が採用されている。

したがって、従来どおりの語彙傾向を踏襲。また題材も従来と変わらないので、

ここ数年公開テストで使用された問題がある程度使われると予想される。

過去十年ぐらいに遡って使われていた問題も使用される可能性もある。

とにかくTOEIC(R)は同一問題を使い回しするので可能性がゼロではないだろう。

(2)形式に変化

リスニングの説明文問題、リーディングの読解問題の数が増えるので

長文に比重が移る。さらに会話問題も従来より長めになる。

ただし問題の難易度やクセは従来どおり。

リスニングは後半の会話問題、説明文問題が設問3問に固定され、

また設問も読み上げられる。

この設問数が固定したことで、事前に何題の設問に目を通しておけば

よいか判断がつくので、練習はやり易くなった。

リーディングはPart VIの間違い探しがなくなるのが痛い。

ほぼパターンも割り出され、一番確実にスコアが狙えるところだった

だけに悔やまれる。

新形式のcloze passageは、より語彙力、コロケーション、熟語の知識など  

が問われるようになるだろう。従来のように下線部の形だけ見ればすぐに答えが

出せて、全文を読んだり、意味を考える必要がないという問題ではなくなる。

ただし問題数が12問と少なくなるので、負担は減る。

最後の読解がさらに難関に。従来はすべて1つの文書を読んで設問という

構成だったが、新テストでは2つの文書を読んでというのが追加される。

しかもおよそ半分はこの形式。読むスピードが遅い人には、頭が痛くなり

そうだ。

(3)音声に変化  

従来の米語に加えて、カナダ、オーストラリア、イギリス、ニュージランドの

発音が使われる。ただし、試験なので、聞き取りに難を覚えるほどのアクセント

ではないはず。かえって、その音声的特長から日本人にはすんなり耳に入ってきて

聞きやすいかもしれない。

それほど神経質になるほどのことでもないだろう。

これに、インド、シンガポール、フィリピンの英語が入ってきたら話は別だが。

(4)難易度

ETSの発表では多少形式に不慣れなためスコアが下がる可能性もあるが、

「いちおう現行テストで600点の人は、実力が適正に発揮できれば新テスト

でも600点になるよう設定されている」とのこと。

だが現行600点の人は新テストで600点はしばらくは無理だろう。

少なくとも2,3回の受験ではちょっと厳しい。

問題形式に慣れるまでの時間がけっこうかかりそうなのと、

測定能力の幅が今回の新テストで広がったので、多くの人が

誤差の範囲を下回って得点がでる可能性が大。

リスニングの設問3問固定がどのように影響するのか興味がある。

Part IVはともかくとして、Part IIIが果たしてどうでるか。

現行テストでは短いながら30題の会話を聞かなければならなかったが、

新テストでは10題でいい。このあたり微妙に影響してきそうだ。

特に730点以上の上級者たちにとって。


というわけで、新テストはさらなる大きな変更の前ぶれだろう。

どれくらい先かは不明だがいずれスピーキングが導入されるはず。

TOEFL(R)がそうであったように。

より小手先の技術ではどうしようもないEnglish proficiency(英語能力)

がしっかり試される時代がもうすぐそこまで来ていると言っていいだろう。


エース外語TOEICコース (プライベートレッスン専門)

チーフコーチ 兼 特別講師

高橋基治(東洋英和女学院大学助教授)

XYLITOL5XYLITOL5 2005/09/21 08:31 TOEICは、こまごました文法・語彙の問題が消え、より速くしかも正確に読解・聴解する力に比重が置かれるのは良い傾向だと思います。文法・語彙を短文中に、フラグメントな形で覚えることにどれ程の意味があるのか。前後のコンテクストから、意味を把握して覚えてゆくのが自然だと思います。しかしながら、スコアーを簡単にアップできるセクションの比重が軽くなってしまうのは、少し残念な気がします。コラムを読んで、傾向が今後いかに変化するか、その対策はどのようにするかが分かり有用であると思いました。

2005-08-20 TOEIC®テストにまつわる憶測についての検証

TOEIC指導を始めてはや10年近くが過ぎようとしている。

10年前に比べると、その認知度や利用価値が格段に増えた気がする。

今どき、会話学校や大学でTOEIC講座を開講していないところを探す

のがたいへんなくらいだ。

2004年度に発行されたリクルート系の雑誌の「取りたい資格」の

ランキングでも1000人にアンケートした結果、総合、年代別、性別

すべてのカテゴリーで第1位になっていた。

こんな背景もあって、英語の資格といえば真っ先にTOEIC

あげられる時代になった。

年間約150万人が受験するという、この数にも驚きだ。

同じ人が何回も受験しているとはいっても相当数いることになる。

まさに世はTOEICブームといえるだろう。

ところでこのテストは試験問題を持ち帰らせないので、

いろいろ憶測が飛び交う。

今日はここでこの憶測を検証してみたいと思う。


Q1:同じ問題を使い回ししているのでは?

  何度も受験している人で、記憶力のいい人は

  「あれ、この問題以前出ていたやつだ」という経験を

  した人がいるだろう。そう、使い回ししている。

  TOEIC運営委員会発行のNews letterにもきちんと

  このことが書いてある。

  ただし、どのくらい前までかははっきりしないが、

  少なくともここ2,3年前までくらいのものだと推察される。

  時々、10年ほど前に使われた問題も出てきているようだ。


Q2:最近の公開テストは難易度があがった?

  公開テストはIP(過去公開テストで使われた問題)と比べると、

  問題文が長くなっているし、紛らわしい選択肢が増えたとよく

  言われる。そこでこう思うのだろう。

  答えはNoだ。TOEICは実によくできた試験で、その人の英語力が

  あがらない限りスコアは誤差の範囲内(±25)で動くように

  うまく調整されている。

  実際に、昨年筆者の教え子が何人もIPと公開テストを、間を

  あけずに受験したところ、ほとんどスコアの違いはなかった。

  むしろ皆IPのほうが、点数が低く出ていた。


Q3:問題はどうやって作られているの?

  TOEICの問題というのは、それは手間ひまかけて作られている。

  まずETS外部に散らばっているアイテムライターに依頼

  して問題を作ってもらう。上がってきた問題を、今度は

  ETS内部のテスト担当者が、テスティングパターン、

  使われている語彙、問題文の客観性、ビジネスに関連

  した内容かどうかなどあらゆる観点から、リファイメント

  をかけていく。こうして出来上がった問題を、膨大な数の

  サンプルに解いてもらって、できる人とできない人を

  きちんと区別する良問かどうかの実験を行う。

  ここで悪問は排除される。そしてお墨付きをもらって

  やっと完成へといたる。こうしてできあがった問題は

  貯蔵バンクに入れられ、試験の回ごとにコンピューター

  がシャッフルして問題が選び出される。

  そして、試験会場で私達受験者とご対面。まあ、こんな

  感じだろう。


Q4:市販されている公式問題集は過去問だから実際に

  試験には出ないし、役に立たない?

  とんでもない。もちろん、そのものの問題は出ない。

  でも、しっかりテスティングポイントは同じものが

  ばんばん出ている。

  90年代から問題を追って見ていると、マイナーチェンジ

  はあるものの、それほどパターンに大きなぶれや変化は

  見られない。これは特にPart IIとPart V, VIに当てはまる。

  Part II(質問と応答問題)なら相変わらず5W1Hを中心に、

  付加疑問文、選択疑問文、否定疑問文などは毎回出題されている。

  Part VI(誤文認識問題)も主語と動詞の一致から、接続詞

  前置詞の混同、分詞、他動詞・自動詞の混同など以前から指摘

  されているパターンがあいも変わらず出題されている。

  よってテスティングポイントを知るという意味で

  公式問題集をやって損はないといえるだろう。


Q5:なぜ企業はTOEICスコアを重視するの?

これにはいろいろ理由がある。

まず最初にこのTOEICというテスト、実は日本の企業の要請で作られた

という経緯がある。客観的に社員の英語力を測れるモノサシを求めて

いた日本企業の依頼で誕生したのだ。

次に、結果が受かった落ちたではなく、点数で表され、細かい能力の

測定ができるところも企業間に広まった理由だろう。英検では同じ

2級保持者でも上のほうと、下のほうではかなりの差がある。

いま一つ客観性に欠けていた。また、どれくらいの点数の人は英語を

使ってどんなことができるかというガイドラインがきちんとしていた

ことも企業にとっては使いやすかったのだろう。そして、扱われている

題材が、国際ビジネスでのコミュニケーション場面を採用しているのも

大きな理由だろう。

そして最後に、実施している機関がTOEFLなどで有名なETSという世界

最大の教育機関であり信頼性がおけたことも一因だろう。

ただしTOEICが世に出て26年が経ち、一回りして、いろいろなことが

わかってきた。それはテストで860, 900点という高得点をとった人でも、

実際の商談などのビジネス現場でいざ話すとなると、うまくできなかったり

して、スコアスピーキング能力は必ずしも一致しないという現実だ。

ETSの発表によると.78ぐらいの高い相関があるとされているが)。

最近は特に企業側からのこういった声が大きく、TOEICにもスピーキング

導入しようとかなり真剣な検討が進められている。近い将来実現しそうな

予感がする。


というわけで、今回はTOEIC®テストにまつわる憶測について検証してみた。

少しでも参考になれば幸いだ。


エース外語TOEICコース (プライベートレッスン専門)

チーフコーチ 兼 特別講師

高橋基治(東洋英和女学院大学助教授)